転生じゃなくて転送されたみたいだけど、頑張ってみる。   作:甘々胡麻ざらし

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今回はすこーし不思議なことが起こります。


自分だけのPartner

授業が終わり昼休みを迎えると流斗は千冬に呼び出された。周りからはヒソヒソされるが流斗は無視して千冬に付いていく。

 

「どうしたんですが織斑先生。俺はこれからリヴァイブをピッカピカに磨くという使命があるのですが?」

「そのリヴァイブについてだ」

 

千冬についていくとある部屋で足を止めた。そしてドアをノックして部屋に入る。中には初老の男性と真耶が立っていた。

 

「失礼します学園長。宇田を連れてきました」

「失礼します。一年一組の宇田流斗です」

 

一応社交辞令として流斗は挨拶をする。

 

「わざわざ有難うございます。私がIS学園の学園長である轡木(くつわぎ) 十蔵(じゅうぞう)です」

「お、男?」

 

目の前に居た初老の男性は学園長と名乗り、流斗は驚きを露にする。

 

「確かIS学園の学園長って女性だったはず…」

「表向きは私の妻がしております。が、実務に関しては私が担当しておりましてね」

「実質学園長って訳ですか」

「そうです。さて、立ち話もなんですから座ってください」

 

流斗はお言葉に甘えてソファに座り学園長を見る。

 

「それで話とはなんですか?リヴァイブのことだと織斑先生からお聞きしましたが」

「その通りです。実は山田先生からとても興味深い話を聞きましてね。昨日君が整備室へ向かいリヴァイブに謝罪の言葉を述べていたときにそのリヴァイブが光ったそうなんですよ。そして少女の幻が見えたとか。おや?どうしました?」

 

流斗は顔を手で隠していた。理由は昨日のことを思い出して恥ずかしくなってきたからだ。

 

「宇田君どうしたんですか?」

「いや、18がボロボロ泣くのってと思いまして…」

「別に恥ずかしがることはありませんよ!」

「ええ、恥じることはありません。むしろ君はISを大切にしている。素晴らしいことです」

「は、はぁ…」

「それで君の手にはボトルが握られていたと聞きましたが?」

「これのことですよね?」

 

流斗は懐からエンプティボトルを取りだし十蔵に見せる。

 

「でもこの中には何にも無いですしただのボトルですよ?」

「確かにただのボトルですね。しかしもうひとつ不思議なことがあったのですよ。調べたところ君が乗ったリヴァイブにある変化がありましてね」

「変化?」

一次移行(ファースト・シフト)はご存じですね?」

「ISが搭乗者のデータを取り入れてその人にあった専用機になる状態のことですよね?ってまさか!」

「その通りです。君が乗ったリヴァイブは君のデータを取り入れ自ら一次移行(ファースト・シフト)をしていました」

「うそーん!?」

「いくら初期化しようにもまるで意志があるかのようにそれを拒んでいましてね。そこでリヴァイブを君の専用機にしようと決定しました」

「え?」

 

まさかの展開に流斗は頭が追い付いておらず混乱していた。

 

「とりあえず一緒に整備室に来てもらえますか?」

 

混乱した頭のまま流斗は十蔵についていき整備室に向かった。

 

「さて、お前のリヴァイブは…」

「この子ですよね?」

 

千冬がリヴァイブの場所を示そうとしたが流斗は自ら歩いてリヴァイブの元にたどり着いた。そしてそっとリヴァイブの手を握りながらリヴァイブを見つめる。

 

「本当に俺でいいのか?俺はまだまだ初心者だし、これから先も沢山お前を傷つける。それでも良いのか?」

 

流斗はリヴァイブが自分を相棒として認めてくれたことに嬉しさを感じつつも不安もあった。本当に良いのかと。しかしリヴァイブはそれに応えるかのようにピクリと動いた。脳裏に"君が良い"と聴こえた気がした。

 

「俺を選んでくれてありがとう」

 

流斗がそう言うとポケットからエンプティボトルが飛び出しキャップ部分をリヴァイブに向ける。するとリヴァイブは粒子となりボトルに吸い込まれ流斗の手に落ちた。流斗の手には虹色の液体パーツが中に入ったボトルが握られており流斗は満足そうにそれを見たあとキャップを閉める。

その光景に千冬は驚き、十蔵は興味深そうな顔をし、真耶は何故か涙を流していた。

 

「まさかそのボトルが待機状態だったとわな」

「これでそのリヴァイブは君の物です。せっかくですし名前を付けてあげてはどうですか?」

 

十蔵にそう言われ流斗は顎に手を当て考える。中々ピッタリな名前が思い浮かばず悩んでいるとふと昨日見た少女を思い出した。

 

「みーたん…?美空…?ベルナージュ?ベルナージュ!よし!今日からお前は俺の相棒のベルナージュだ!」

「ベルナージュか。中々良い名前じゃないか。で、何故山田先生は泣いているんだ?」

「だ、だっで!嬉しくて嬉しくて!流斗君の頑張りがISにも認められたと思ったら!」

「山田先生泣きすぎですよ(笑)。ハンカチどうぞ」

「さて、では私はこの辺で。宇田君、君の相棒を大切にしてくださいね」

「はい!」

 

流斗はシャカシャカとボトルを振ると中の液体パーツが動いて気持ちいい音を鳴らす。何故かこの音が流斗には相棒のベルナージュが喜んでいるような気がした。




はい、流斗の専用機の名前はベルナージュに決定しましたー。パチパチパチ~。
流石にワープとか火星パワーはないよ!?

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