転生じゃなくて転送されたみたいだけど、頑張ってみる。 作:甘々胡麻ざらし
流斗は鈴音を部屋の中に入れ、本音のベッドに座らせた。飲み物は先ほど買ってきたピーチソーダを渡し、鈴音は俯きながらことの経緯を話した。
「まず話す前にあたしと一夏は小5から中2まで同じ学校の友達だったの」
「小5から中2まで?」
「うん。あたしは小5のときに両親の都合で日本にやって来て、中2のときに両親が離婚。あたしは母親に付いて行くことになって中国に戻ったの」
「ごめん…。なんか聞いちゃ不味いこと聞いちゃったな…」
流斗はしまったと思い頭を下げると鈴音は別に気にしてないと言い話を続けた。
「で、中国に引っ越しするときに一夏と約束したのよ」
「約束?」
いつもの調子なら結婚の約束でもしたのかと茶化すが、今は真面目な場なのでやめておいた。鈴音は少し照れながら約束した内容を話した。
「料理が上達したら、毎日あたしの酢豚を食べてくれる?てね」
「…それどういう意味?」
ピシッと場が凍りついた気がした。鈴音は口を開いたまま固まり、本音はえぇ…と呆れていた。
「え?マジでどういうこと?」
「うーたんそれは無いよ…」
「本音はわかったのか!?」
「あんたも一夏と同じかぁ!」
「待ってくれ!毎日味噌汁を作ってくれと言うプロポーズなら知ってるけど」
「「それだよ!」」
鈴音と本音に同時にツッコミをされた流斗はようやく理解した。
「要するに好きですが照れ臭くて日本の味噌汁プロポーズを自分の国籍に引っ掻けて酢豚プロポーズをしたということか」
「わぁぁぁぁ!改めて解説しないでよ!なんか恥ずかしくなってきた!」
「いや~青春だねぇ。で、泣いていたのは一夏がその約束を忘れていたということかな?」
「なんでそこは察しが良いのよ…。まぁ忘れてくれていた方がどんだけ良かったことか…」
鈴音の言葉に流斗はどういうことだ?と質問すると衝撃なことを鈴音は言った。
「あいつ約束を間違えていたのよ!毎日酢豚を奢ってくれるって!」
「あらら…」
ここは鈴音を励ますべきところだが、流斗は鈴音に対して言った言葉は何故ストレートに言わなかったというものだった。
「だからあんたが言った通り告白するのが恥ずかしかったから!」
「だからって遠回しに言って伝わらないのはもっと意味がないよ。確かに告白するのは勇気がいることだ。俺だってそうさ。でも君が遠回しに告白したのは恐らくフラれるのが怖かったからだ。だから遠回しに告白してダメージを減らしたかったのじゃないかな?」
「っ!」
図星を突かれたのか鈴音は顔を俯けるが流斗は言葉を止める気はなかった。
「凰鈴音さん。君の傷つきたくないという気持ちはとても理解できる。俺も昔同じことをしたからね」
「え…?」
流斗は苦笑いしながら首から指輪を通したネックレスを出した。
「俺も恋人に遠回しに告白したんだ。ずっと俺の隣を歩いてくださいってさ。向こうにどういう意味って言われたときは焦ったよ。結局ストレートに告白してOK貰ったけど、向こうからはスパッと言いなさいって怒られちゃった」
「…あんたも苦労したのね」
「うん。多分織斑って相当鈍感だと思うよ。俺もかなり鈍感の分類に入るけど流石に女子が彼に向ける目はわかるよ。まぁ本人は気づいてる様子はないけど」
「あーうん。あいつってかなり鈍感だわ」
「正解なのかよ…。でもこれはある意味チャンスかもしれないな」
「どういうこと?」
「鈍感ならこの学園の女子生徒の好意に気づく可能性は薄い。だったらその照れ臭さを乗り越えて真っ直ぐに思いを伝える時間があるってことじゃないか」
「でもあたし…」
「まだ難しいかな?」
「そうじゃなくてあたし怒りのあまり一夏をひっぱたいちゃった…」
「「あちゃ~」」
流斗と本音は揃って頭を押さえて二人で会議を始めた。
「ちょっと。あたしを置いて会議しないでよ」
会議が終わったのか流斗と本音は鈴音の肩をガシッと掴んだ。
「今度のクラス対抗戦で一夏に勝つ!」
「そして少し話したいと呼び出す!」
「「あとは話し合ってそして告白する!以上!」」
「なっ!?」
「応援してるよ凰鈴音さん」
「頑張れリンリン~」
「なんでそうなるのよ!?はぁ…。でも確かにそうよね。一夏に対する怒りはまだ収まってないし、ぶっ飛ばしてあげるわ!そして思いきって告白してやる!」
「その意気だ!」
「ファイト~!」
ようやく調子を取り戻したのか鈴音の表情は笑顔だった。
「ありがとね。なんか少しスッキリした」
「こっちもキツいこと言って悪かったね」
「ううん。むしろありがたかったわ。ねぇ、これからも相談とかしてもいい?」
「おう!この流斗お兄さんが出来る限りの乗ってやる!」
「なにそれ(笑)」
あははと鈴音はお腹を押さえて笑いだした。そして流斗に手を差し出した。
「あたしのことは鈴って呼んでよね。堅苦しいの苦手だし」
「じゃあ俺のことも好きに呼んでくれ」
「じゃあ兄貴で」
「何故そうなる!?」
「あんたが自分でお兄さんって言ったんでしょ?」
「いや、そうだけどさ…」
「なら問題ないでしょ?これからよろしくね。ア・ニ・キ♥。じゃーね!話聞いてくれてありがと!」
鈴はお礼を言って部屋から出ていくと流斗は頭を掻いて苦笑いをしていた。
「わんぱくな妹だな…」
「よかったねうーたん。ところでうーたん彼女居たの?」
「え、あ、うん…。ちょっと事情があって今は遠距離だけどね」
「そうなんだ…」
本音は胸が締め付けられるような感じがしたが何故かはわからなかった。
はい、こんな感じになりました。