転生じゃなくて転送されたみたいだけど、頑張ってみる。   作:甘々胡麻ざらし
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いつもより長くなってしまった…


その名はクラウドトレイター

「ボトルって何のことだ!」

『はぁ?しらばっくれてんじゃねーよ。この学園にボトルの反応がしてんだよ。お前らだろ?』

「一夏。あんたは早く逃げなさい…。こいつはヤバイわ…」

「なっ!バカ言うな!男が女を置いて逃げれるかよ!」

「これはそう言う次元の話じゃないのよ!分かるのよ…。あいつは代表候補生…ううん。"国家代表以上"の実力があるわ…」

 

国家代表とは数多く存在する代表候補生の更に上。そして国家に一人しか存在していない代表候補生の頂点なのだ。つまり相手をするなら同等かそれ以上の実力を持つ人物でないと勝てるかどうかすらも分からない。鈴一人ならまだ時間を稼げるかもしれないが、一夏を守りながらだと不可能に近い。しかし一夏は男のプライドなのか逃げようとせずむしろ剣を構えていた。

 

『そこの代表候補生はよくわかってんじゃねーか。まぁ大人しくボトルを渡してくれればそれで良いんだよ』

「ボトルってもしかして流斗が持っていたやつか?」

「っ!バカ、一夏!」

『へぇ』

 

一夏の失言に鈴は大声で止めようとしたが既に聞かれてしまい、クラウドトレイターは仮面の中でニヤリと笑った。

 

『もう一人の男性操縦者が持ってるのか。そいつは何処だ?言ってくれたらお前らの命は…。チッ!邪魔が来たか』

 

クラウドトレイターが空を見上げると黒い全身装甲(フルスキン)のISが落下してきた。異様に長く太い両腕はゴリラを彷彿させ、顔の部分には不規則に並んだレンズが不気味に光っていた。

 

『お前らは後だ。すぐにこのゴミを片付けてやるよ』

 

《アイススチーム!》

 

黒いISは両腕のビーム砲をクラウドトレイターに放とうとするが、クラウドトレイターはライフルを分解し、トランスチームガンと"スチームブレード"に分けた。そしてスチームブレードのバルブを回転させると刀身から冷気が溢れ黒いISの両腕を氷漬けした。

 

『次はこれだ!』

 

《エレキスチーム!》

 

再びバルブを回転させると今度は刀身から電撃を放つ。黒いISは体からスパークが起こり動きが鈍くなる。

 

『決めはこれだ!』

 

《スパイダー!》

 

スチームブレードを放り投げトランスチームガンのスロットに薄紫のクリアパーツに銀の蜘蛛のデザインが施されたスパイダーボトルをセットする。トランスチームガンから待機音が流れ銃口を黒いISに向けるとトリガーを引いた。

 

《スチームブレイク!スパイダー!》

 

銃口からエネルギー弾が発射され、黒いISを撃ち抜いた。黒いISからはオイルが流れ、撃ち抜かれた所には配線が見えていた。

 

「む、無人機!?」

 

黒いISが無人機であったことに鈴や一夏は驚愕を露にした。普通ISは人が乗ることで動くため、無人機など未知の領域であった。しかし目の前の黒いISはその現実を示していた。そしてクラウドトレイターは無人機のコアを取り出すと流斗が持っていたエンプティボトルを取りだしコアに近づけると、コアが吸い込まれゴリラのデザインを施した茶色いボトルに変化した。

 

『おおっ!偶然にもゴリラフルボトルをゲットしたぜ!さてと。後は宇田流斗のボトルを…。っ!なんだ?』

 

アリーナの壁が壊れ、中から出てきたのはトランスチームガンを持った流斗だった。トランスチームガンにはユニコーンフルボトルがセットされており、恐らくその力で壁を壊したのだろう。

 

「俺のボトルが欲しいんだろ?」

『わざわざ自分から出てくるとは感心するぜ。それにしてと何でお前がトランスチームガンを持ってるんだ?』

「お前に答える必要はない!」

 

流斗はシャカシャカとベルナージュを振りキャップを正面に合わせると腕に挿し、ベルナージュを展開した。ただし前回とは違い、クラウドトレイターのように体にフィットする全身装甲(フルスキン)に変わっていた。

 

「ちょっと兄貴!なんで来ちゃうのよ!」

「あいつの狙いは俺だ。だから俺が囮になるから鈴ちゃんは織斑を連れて離れてくれ」

「でも!」

「大丈夫。ボトルの使い方なら俺も知ってる」

 

流斗はそういうと左腕にスロットが二個ついたブレスを巻き付ける。そしてトランスチームガンからユニコーンフルボトルを抜き、スケボーフルボトルと一緒に両手でシャカシャカと振る。

 

「さぁ、実験を始めようか」

 

キャップのラベルを正面に合わせスロットに差し込む。

 

《ユニコーン!スケボー!》

 

「武装!」

 

ブレスのボタンを押すと両腕が変わり、右腕から肩にかけて水色のユニコーンの装甲が装着され、左腕は黄緑色に変わり背中から同じ色のスケボーが現れた。

 

『なんだそれ?』

「トランスチームガンのシステムを応用してボトルの力を引き出せる装置さ。名付けてツインブレス!」

『へぇ、そいつは面白そうだ、な!』

 

クラウドトレイターはスチームブレードで斬りつけてくるが流斗は右腕のユニコーンの角でそれを防ぐ。

 

「時間稼ぎするから頼んだよ鈴ちゃん!」

「う、うん!ほら行くわよ一夏!」

「おい、放せよ!俺も戦う!」

 

鈴はジタバタともがく一夏を抱えながらその場を離れた。鈴が離脱したことを確認した流斗はクラウドトレイターと距離をとり仮面の中で冷や汗をかいた。実のところこのツインブレスは試作品であり、使用時間が3分とどこぞの光の国の巨人レベルに短いのだ。さらにフルボトルを二本使っているとはいえ、勝てるかどうかの見込みなど皆無である。しかし流斗の目的は勝つことではなく時間稼ぎだ。この3分の間に教師たちが着くのを祈るだけだった。

 

『俺をがっかりさせるなよ!』

 

《エレキスチーム!》

 

「ふっ!」

 

クラウドトレイターはエレキスチームで電撃を放つが、流斗は背中に背負っていたスケボーに乗り込みかわす。そして隙を見つけてはトランスチームガンの銃弾を放つが向こうは馴れているのかスチームブレードで弾く。

 

『オラオラオラァ!』

 

クラウドトレイターはトランスチームガンでお返しトばかりに銃弾を放つが、セシリアのレーザーほどの速度ではないのでかわすことは出来る。しかし防戦一方な状況であるため中々決定打を出すことができない。

 

「ちっ!」

 

流斗のバイザーには残り時間が一分半と表示され焦りが増す。

 

『何焦ってんだよぉ?』

「っ!ここは…やるしかねぇ!」

 

流斗はベルナージュの翼からエネルギーを放出し、そして一度取り込み圧縮して放出した。次の瞬間爆発的に加速しクラウドトレイターに突撃する。これは真耶から教えてもらった高度な技のひとつ"瞬間加速(イグニッション・ブースト)"である。

 

「うぉぉぉぉぉぉ!」

瞬間加速(イグニッション・ブースト)か!中々面白いじゃねーか!だが、こいつの欠点は曲がれないことだぜ!』

 

《エレキスチーム!》

 

クラウドトレイターはギリギリでかわすと、すれ違い様に電撃を帯びたスチームブレードで流斗の装甲を傷つけた。そのまま流斗は吹き飛ばされアリーナの壁に激突してSEを大きく削った。

 

『面白かったが俺様の相手じゃなかったな』

「…それはどうかな?」

『何!?』

「これなんだと思う?」

 

フラフラと立ち上がった流斗はクラウドトレイターに手に持ったボトルを見せた。それはクラウドトレイターが手にしていたゴリラフルボトルだった。

 

『まさかお前の狙いはボトルだったのか!?』

「その通り。そして俺の予想が正しければ!」

 

流斗はツインブレスからボトルを抜き取りゴリラフルボトルとダイヤモンドフルボトルをシャカシャカと振り、キャップを正面に合わせる。

 

『させるか!っ!』

「それはこっちの台詞ですわ!」

クラウドトレイターはトランスチームガンで流斗の手を弾こうとしたが、どこからかレーザーが放たれそれを防いだ。

 

「サンキューオルコットちゃん!」

「少し遅れましたわ」

 

パチンと可愛らしくウインクをし、セシリアは照準をクラウドトレイターに向ける。

 

「よしっ!」

 

《ゴリラ!ダイヤモンド!ベストマッチ!》

 

「武装!」

 

二本のボトルをスロットに挿すと、右腕にゴリラの豪腕が装着され、左腕にはダイヤモンドがいくつか埋め込まれた腕へと変化した。そしてバイザーには時間が変更され、新たに3分間の行動を与えられた。

 

『ベストマッチだと?』

「ふぅ…。勝利の法則は決まった!」

『何が決まった!だ。お前は俺様に負けるんだよ!』

 

クラウドトレイターはトランスチームガンの弾丸を放つが流斗はダイヤモンドが埋め込まれた左腕を前に翳す。すると弾丸は流斗の目の前で止まり一つ一つが物質変化を起こし一つの巨大なダイヤモンドに変化した。

 

『何!?』

「これで決める!」

 

流斗はゴリラの豪腕でダイヤモンドを砕こうとしたときチラリと視界の端に何かが見えた。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!零落白夜!」

 

なんと一夏が雪片弐型の刀身を輝かせて突っ込んできたのだ。一夏の雄叫びを聞いたクラウドトレイターは片手で雪片弐型を止めると一夏は驚愕した顔をした。

 

「な、なんで…?」

『零落白夜って言えば確か相手のシールドバリアを貫通して絶対防御を強制発動。そしてSEを大きく削るだったな。残念だったな。このトランスチームシステムにそもそもSEも絶対防御も存在しねぇよ!』

「そ、そんな…」

「ちっ!だから離れろって言ったのに」

 

流斗が一夏に撤退を促したのはこれが原因だった。そもそもシステムの根幹が違う相手に一夏の零落白夜が通るはずはないと予想していたのだ。そして最悪なことにクラウドトレイターは一夏の剣を奪い投げ捨て、盾になるように自分の前に出した。

 

『ほらやってみろよ。もしかしたら俺にも当たるかも知れねーぜ?まぁその前に織斑一夏が殺られるかもなぁ!』

「ちくしょう…!」

「不味いですわ…。ここからですと一夏さんに当たってしまいます…」

 

バイザーに表示されている数字が減っていき、遂には0になってしまった。それと同時に両腕の武装が消滅し、元のベルナージュに戻ってしまった。

 

《ライフルモード!》

 

『仲良くくたばりな!』

 

《ドライヤー!》

《スチームアタック!》

 

クラウドトレイターはドライヤーフルボトルをライフルモードにしたトランスチームガンにセットし、引き金を引くと炎を纏った弾丸が射出され三人を襲った。

 

「「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」

「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

地面を転がりSEの残量を確認すると残り26と表示されていた。

 

「くそっ!」

『随分手こずらせてくれたなぁ。ボトル、頂くぜ?』

『一夏ぁ!』

 

キィーンとハウリングか起こり全員が中継室を見た。そこには箒がマイクを持って立っており、肩で息をしていた。

 

『男なら…男ならそのくらいの敵に勝てなくてなんとする!』

「あいつ何してんだよ!?」

 

どうやら一夏を鼓舞するために渇を入れたようだがクラウドトレイターはそれを見てトランスチームガン(ライフルモード)を箒に向けた。

 

『次から次へと五月蝿いやつらだなぁ!まずはてめぇからだ!』

 

《スチームアタック!》

 

再び炎を纏った弾丸が射出され箒の居た場所が爆発した。




ツインブレスはツインブレイカーのパイルバンカーとビーム砲がないverだと思ってください。
あとベストマッチを見極める機能もありますが、流斗は既に知っているのであまり意味はないです。強いて言うならビルドのボルテックフィニッシュが使えるくらい。


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