転生じゃなくて転送されたみたいだけど、頑張ってみる。   作:甘々胡麻ざらし

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Be The One見てきました!
グリスのデータカード当たったー


ハザードレベル

巧と話を終えた流斗は楯無に頼みこのビルドラボの補足説明をしてもらっていた。思った通りビルドラボは仮面ライダービルドの話における主人公たちの基地と何ら変わりがなかった。早速流斗は楯無が流斗の知らない場所で回収していたスマッシュボトルを浄化しようとしてみたが、一つ疑問が浮かんだ。

 

「そう言えば俺がボトルを浄化出来のはわかったけど、生徒会長のボトルって何処で手に入れたんだ?ある程度葛城さんから聞いたけど、どうにもそれが気になって…」

 

楯無が持っている海賊フルボトルと電車フルボトルは本来はベルナージュがエボルトの野望を阻止するため成分を消し、後々美空が浄化しているのだ。しかし成分を消すことが出来なかったボトルもあるため楯無のボトルも成分を消すのを免れた物だと思った。

 

「え、葛城先生言ってなかったの?私の海賊と電車は"専用機の待機状態が変化したもの"だって」

「ええ!?」

 

流斗はその言葉に驚きを隠せなかった。本来仮面ライダービルドの作品ではフルボトルはエボルトが美空の父親である惣一(そういち)の記憶から生み出したものであり、ベルナージュが成分を消してからはスマッシュの成分を浄化してフルボトルを作り出していた。しかし楯無の口から語られたのはISの専用機の待機状態が変形したものであった。

 

「そんなに驚くなら見せてあげるわよ?あ、危ないから離れててね」

 

流斗たちは楯無から一定の距離を置くと彼女は海賊フルボトルを振り、流斗がボトルのベルナージュを展開するようにキャップを腕にあてた。そして楯無の体を粒子が包み込み水色の機体が現れた。

 

「これが私の本来の専用機、霧纒の淑女(ミステリアス・レイディ)よ」

 

楯無は専用機を解除して地面に着地する。今度は電車フルボトルを手に取る。

 

「こっちの電車フルボトルは私が専用機を造るときに機体データの元になったモスクワの深い霧(グストーイ・トゥマン・モスクヴェ)よ」

「あの、何故フルボトルが専用機の待機状態になるのかと、トレイターが言っていたハザードレベルについて教えてくれないかな?一応ネビュラガスとかは聴いてるけど、葛城さん浄化のこと以外詳しく教えてくれなくてさ」

「えぇー…。わかったわ。でも私ちゃんと伝えられるかわからないから、虚ちゃん」

「はいはい、私が説明しますよ」

 

楯無の横にいた眼鏡の女性が口を開き、流斗は名前がわからず少し困惑した。

 

「あ、自己紹介がまだでしたね。私は生徒会会計の布仏(のほとけ) (うつほ)です」

「布仏って…」

 

チラリと本音を見るといつもの笑顔をしながらお姉ちゃんだよーと答えた。眼鏡をかけている所を除くと顔は本音に似ており、母性がくすぐられる本音とは対称的に虚は優しそうな母親のイメージが沸いた。

 

「いつも本音がご迷惑をかけてすみません」

「いえいえ!いつも明るくて周りの友達と楽しく過ごされていますよ。周りからも可愛がられていますし。ただ、授業中に時々居眠りが…」

「うーたん!?」

「本当なの本音?」

「うう~。な、なんか三者面談受けてる気分…」

 

確かに言われてみれば今の三人の会話だけ聴くと三者面談の感じがする。先程も言った通り虚は母親のような雰囲気があり、流斗はおっさん顔なためここが教室で机を並べて向かい合っていたら教師と生徒とその保護者といった空間が出来るだろう。虚は話を切り替えるため咳払いをすると近くにあったホワイトボードを持ってきてマジックで書き始めた。

 

「まずハザードレベルとはネビュラガスを投与された人の数値を表しています。これが高くなればなるほど力が増していき、一定の数値で様々な変化が生じます。変化が生じるのはハザードレベル1、2、2.1以上、3以上です。まずハザードレベル1。これは病弱な人がネビュラガスを投与された場合とIS操縦者が持つ数値です」

「ちょ、ちょっと待ってください!IS操縦者ってどういうことですか?まさかIS操縦者は全員人体実験を?」

「それは半分正解です。葛城先生からの話によりますとISには微量のネビュラガスが入っており、ISを動かした者はその微量のネビュラガスが投与され、ある意味人体実験をされています」

「なるほど…。あ、続けてください」

「はい。まず病弱な人がネビュラガスを投与されるとスマッシュになり、倒され成分を抜かれるとその人は消滅するようです」

「消滅…」

 

仮面ライダービルドでもハザードレベル1のスマッシュになった人間は消滅するのを流斗は知っていたが、やはり直接聴くと怒りが沸いてくる。

 

「でもそれならIS操縦者もスマッシュになりますよね?」

「その点については問題ありません。現にこの学園の一年はスマッシュになっていませんよね?つまりISからネビュラガスを投与された人はスマッシュなることはないんですよ」

「そうだったんですか。納得しました」

「次にハザードレベル2です。これは普通の人間がネビュラガスを投与されスマッシュになった場合。そしてIS操縦者がこのレベルに達したときISの待機状態がフルボトルに変わります」

 

虚の言葉に流斗は引っ掛かりを感じ首をかしげた。それは自分がさっき戦った女子生徒のことだった。あの女子生徒たちはトレイターによってスマッシュにされ、成分を抜き取っても生きていた。つまりハザードレベル2であるのは確かなのだ。こう考えると女子生徒はスマッシュにはならず、フルボトルを手にするのが自然だ。虚が言ったことに矛盾が生じる。しかし虚はその言葉に首を降った。

 

「確かに宇田さんが言ったことは正しいです。しかしこのボトルの精製にはもう一つの条件があります。さっき私が言ったこと覚えてますか?」

「えっと、IS操縦者がハザードレベル2になったらISの待機状態がフルボトルに…。あっ!」

「その通りです。もう一つの条件はそのISが専用機であること。フォーマットしていない訓練機ではフルボトルは精製されません。これがさっきの女子生徒たちがスマッシュになった原因です」

「な、納得しました…。あれ?ということは俺の待機状態がフルボトルになっていたのも」

「恐らく貴方がハザードレベル2に到達していたからでしょう。そして最後にハザードレベル2.1以上です。これは特定の人のみに起こることで、ネビュラガスを投与したときにスマッシュにはならず、人の姿を維持することが出来る状態です。IS操縦者がこのレベルに達することはほぼありませんが、お嬢様はそのレベルを越えています」

 

チラリと楯無を見るとドヤ顔をしており、そんな楯無を無視して流斗は話を続けるよう頼んだ。

 

「恐らく宇田さんもハザードレベル2.1を越えていると思われます。ただ、貴方が"どちら"でハザードレベルを越えたのかはわかりません」

「どちら?」

「トランスチームガンのことです。報告によりますと貴方は銃口から黒いガスを噴射し苦しんだ。恐らくあれはネビュラガスですね。しかし貴方はガスを浴びたにも関わらずスマッシュにはならずに人間の姿のままでした。この事から貴方はトランスチームガンでネビュラガスを浴びて2.1を越えたのか、それとも貴方がIS操縦者として2.1を既に越えていたかわからないのです」

「なるほどなるほど」

「そして最後に…」

 

虚はホワイトボードをひっくり返し再び書き込んだ。ボードには楯無の顔をデフォルメしたような絵とビルドドライバー、そしてトランスチームガンが描かれていた。

 

「ハザードレベル3です。このレベルに到達した人はトランスチームガンやビルドドライバーで"変身"することが出来ます」

「ほほー」

「あまり驚いていませんね?」

「え!?あ、いや、驚くことが多過ぎてトランスチームガンで変身できるとか言われても大した驚きが…」

「そういうことですか」

 

流斗はこの瞬間内心焦っていた。トランスチームガンで変身できることは承知だったが、自分はまだトランスチームガンで変身できず、しかもトランスチームガンを武器として認識しているように振る舞っているのである。いや、正直流斗が驚きが減っていると言うことに嘘はない。ISがボトルに変化することはこの混ざりあった世界の辻褄合わせになり、確かに驚きがあったのだ。

 

「あ、じゃあ変身できるかどうか試してみましょうよ!」

「え、いや」

 

流斗は話を切り替えるためトランスチームガンを取り出すがピタリと止まった。

 

「どのボトルで変身できるんですか?」

 

あまりにも間抜けな行動に虚たちはその場にずっこけ、虚はズレた眼鏡をかけ直しコホンと咳払いをした。

 

「あのですね…。トランスチームガンは基本的に武器なんですよ。変身機能は特定のボトルのみで宇田さんはそのボトルを…。あれ?じゃあ宇田さんはどうやってトランスチームガンからネビュラガスを出したのですか?」

「ああ、ベルナージュがボトルに変わってそのボトルを使いました」

「そのボトルは今どこに!?」

「なんか、バングルに変わっちゃって…」

 

流斗はバングルを見せると虚は顎に手を当てて考え始めた。

 

「そのバングルをボトルに出来ますか?」

「無理ですね。俺も試しましたけどダメでした」

「そうですか…」

「じゃあビルドドライバーで変身できるか試してみたら~?」

「それだ!」

「いや、ちょっとそれは…」

 

本音の一言で閃いた流斗は楯無からビルドドライバーを借りて腰に巻き、楯無から海賊と電車のボトルを借りた。

 

《海賊!電車!》

 

ボトルをベルトに挿してレバーを回すとスナップライドビルダーが形成される。

 

「お、これいけるんじゃね?」

 

《Are you ready!?》

 

「うっしゃあ!変身!」

 

しかしスナップライドビルダーの管の中には色が付かず、ハーフボディが形成されないまま流斗を挟み込んだ。すると流斗に電流が流れ流斗は地面に倒れてビクビクと痙攣した。

 

「い、いてぇぇぇぇ…」

「あー、駄目だったみたいね」

「だから言ったんですよ…」

「うーたん?うーたん大丈夫?」

 

本音は近くの椅子に座らせられていた継ぎ接ぎの兎の縫いぐるみをベシベシと流斗にぶつけながら安否を確認すると、流斗は体を起こしてその場に座った。

 

「ハザードレベル3はありませんでした!」

 

キリッとした顔でそう言い放った流斗に虚は再びずっこけ、楯無は爆笑し、本音は安心した顔をした。ちなみに本音が抱えていた縫いぐるみの名前もうーたんと言うみたいだった。




ハザードレベルの説明回なのに文字数多いw
みーたんの縫いぐるみってうーたんって言うのかよw
知らずに主人公の愛称にしてたわw

あと現在半分オリジナルの仮面ライダーの設定作ってまーす。近々アンケート出しますのでご協力していただければありがたいです

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