死に救済はない~Dead by Daylight 作:Shigen
パークなども再現したり、オリジナルのパークも出して行けたりしたらいいなと思います。
「ハアッ、くそっ!あいつは一体何なんだよ!」
明かりは空を照らす月のみ。暗くこの世なのかさえわからない森を少年は一人走っていた。いや、ヤツから逃げ回っていた。
しばらく走り続けると、先ほどから後ろで感じていた威圧感がなくなった。どうやら一旦巻いたらしい。こんなに走るのは高校の部活以来である。木の陰にいったん腰を下ろし少年はぼそりとつぶやいた。
「というより、ここはどこなんだ?確か俺はコンビニに買い物に行っていたはずなのに、、、」
少年は呼吸を整えながらこの得たいの知れない場所に来てしまう前のことを思い出していた。
5月24日 PM22時
少年(名を黒部 新という)はバイト帰りで夜の街を歩いていた。いつもの書店のバイト後は近所のコンビニでスナック菓子を買うのが新のひそかな楽しみとなっていた。
「そういや、昨日から新作の菓子が入ってるって誰か言ってたな。これはさっそく買ってみっか!」
意気揚々とコンビニにたどり着いた新は新作のスナック菓子と飲み物や小物をいくつか購入し帰路についたはずだった。
もうすぐいえにつくという時に
「ん?あれはなんだ?」
目の前の道路がおかしい。一部分が、どす黒い沼のようにゆらいでいる。新には霊感などは一切ない。しかし、好奇心は強いほうだった。おそるおそる目の前の沼のような何かに近づいていく。
「こんなところに沼?なんてあるわけないけど、、、これは」
試しにそばに落ちていた空き缶を拾いその沼?らしきものに投げてみた。
「はあ!?」
空き缶は沼に飲み込まれてしまった。この時点で新が全力でここから離れていればまだこの後の結末は違っていたかもしれない。ただこの時の新はこの得たいの知れない状況に対して思考が回っていなかった。
「これは、どこかにつながっているのか?」
持前の好奇心でおそるおそる、その沼の淵まで近づきとりあえずスマホで写真を撮ろうとした瞬間だった。目の前の沼から鎖なのか、棒なのかはわからない黒い何かが何本も飛び出し新の腕に絡まりついた。
「え、ちょっとま、、、」
新があわてて体勢を立て直そうとするのもつかの間黒い何かに引っ張りこまれ新は沼に飲み込まれた。
沼に飲み込まれた後の新がふときがつくと森の中に立っていた。先ほどまでの住宅街とは著しく違う景色に新は驚きを隠せなかった。
「俺は夢でも見てるのか?」
周りを見渡しても背の高い木が立ち回り烏が止まっていてじっと新を見つめていた。正直気味が悪い。現在の日本とは思えない光景にしばらく茫然としていた新だったがとりあえず歩き回ってみることにした。
「しかし、夢にしてはいやにはっきりとした意識もあるし、嫌な臭いもする。なんなんだろうな、それにあの黒い鎖のようなものは一体何だったんだろうか、、、」
新が沼から出てきた黒い何かについて考えてながら歩いていたときだった。突然、体全体を寒気が走った。
「っ!?」
脳が警鐘を鳴らしている。近くに何かやばいものがいる、このことだけがなぜだか新にはわかった。自分の心音がどんどん高くなっていくのがわかる。得体のしれない何かが近くにいる。
(とりあえず、どこかに隠れないとやばい!ったく、ここは一体なんなんだよ!)
自分の趣味の悪い夢に悪態をつきながら木の後ろにしゃがみこんで周りをうかがうことにした。
「ん?あれは、人か?」
遠くから人影が見える。自分より年上らしきスーツ姿の男だった。自分の隠れている木陰の方向に向かって走ってくる男をみた新は人を見つけたことで少し安心し体を起こそうとした瞬間、顔色が変わった。
走っている男の後ろをおうようにチェーンソーを持った男の姿を見たからだ。いや、あれは人といえるのかはわからない。黄色い前掛けをした恐ろしい形相の大男だ。時折チェーンソーをふかしながら男性を追いかけていた。
よく見れば逃げる男性の表情は恐怖に染まっており、体から血を流していた。
(やばいやばいやばい!)
直観的に分かった。あの大男につかまってはいけないと。自分は殺されてしまうと。
「くそお、何なんだよ。こいつは!」
男性が叫びながら、逃げ続けているがその距離の差はどんどん縮まっている。そして、その瞬間は訪れた。思わず新は顔をそむけた。
「うわあああああああああああ!」 ドスッ!!!!
持っていたチェーンソーとは別のハンマーで殴られた男性が地面に倒れた。男性のうめき声が聞こえる。どうやら意識はもうろうとしているがまだ生きているらしい。
おそるおそる顔を出した新が見たのは倒れた男性を担いで離れていく大男の姿だった。
(なんだ?殺すつもりはないのか?)
そのまま離れていく大男を見ながら新は動けなかった。徐々に心音は落ち着いていく。おそらくあの大男が近づくと心拍数が上がるらしい。
今見た光景に対して理解が追い付かなかった新は離れていく大男を茫然とその場で見ていることしかできなかった。
50メートルくらい離れただろうか。そこで大男は立ち止った。
大男の前にはフック?のようなものがあった。
(あいつ,どうするつもりなんだ?まさか、、、!!)
新が想像した通り、大男は担いでいた男をつかみ、そのままフックに引っ掛けた。
男性の悲鳴が辺りに響き渡る。意識がもうろうしていたがフックに左胸を貫かれたショックで意識が覚醒したのだろう。
新は思わず立ち上がった。ここから離れないとやばい。このままじゃ自分も同じ目にあわされる!
ただ、しかし、けれども、その瞬間、新はこの得たいの知れない場所に来てから一番背筋が凍った。
男性をフックにつった瞬間、大男が新の方向を向いた。