魔法少女リリカルなのは 〜ありがちな転生生活〜 作:妖魔夜行@
side碌斗
「2年ぶりか…」
俺は目の前にある表札に『八神』と書かれた家を見て呟く。
インターホンを押すと、家の中から「は〜い」という女性の声が聞こえてきた。
「お待たせしました…あら?君は?」
「えっと…はやてから聞いてると思うんですけど、小鳥遊碌斗です」
「ああ君が小鳥遊くんね!どうぞ上がって下さい」
「お、お邪魔します」
俺を家にあげてくれた女性、闇の書を守る守護騎士『ヴォルケンリッター』の1人、「風の癒し手」湖の騎士シャマルだ。
シャマルに案内されてリビングに通される。
「はやてちゃーん!小鳥遊くんが来てくれましたよー!」
「おっ!態々ありがとなぁロクトくん」
「いや、元は俺から提案した事だ。気にすんな…それで本人はどこだ?」
「あ、ちょっと待ってぇな。今呼ぶさかい」
そう言うとはやては念話で呼ぶのか目を瞑り黙った。すると数十秒後、2階から足音がして女性が降りてきた。
腰まで伸びた綺麗な銀髪と紅眼が特徴的だ。
「お呼びでしょうか?我が主…そちらは?」
「昨日咲ちゃんが言っていた小鳥遊碌斗くんや。信頼出来る人やから睨むのやめーや。ロクトくん、この子がリインフォースや。皆からはリィフって呼ばれてるんよ」
「…八神リインフォースだ。宜しく頼む」
おーおー怖ぇ…はやてに止めろって言われてるのにめっちゃ睨んできてるよ。というか宜しくする気ないだろアンタ。
「はやてが言ってくれたが、小鳥遊碌斗だ。今日は咲に頼まれてアンタのバグを壊しに来た」
「…ふっ」
鼻で笑われたよ。めっちゃ馬鹿にされてるよ。
「主…申し訳ありませんが私はこの様な軟弱そうな輩に闇の書の防衛プログラムを取り除くことが出来るとは到底思えません」
「随分と言ってくれるな」
「思った事を言った迄だ。実際に貴様の魔力値を計測してみたが精々Fランク。主も、あの咲でも出来なかった事を貴様如きが出来るわけ無いだろう」
咲さーん、貴方が凄い信頼されてるせいでピンチなんですけどー。
「リィフ、それくらいにしとき」
「ですが主」
「ならば実力を測ってみたらどうだ?」
突然違う女性の声が聞こえ、扉の方を向くとそこには凛々しい風貌をした20歳くらいのポニーテールの女性がいた。
「シグナム…」
「シグナム、いきなり何言ってるんや。あっロクトくん、こっちはシグナム言うて私の家族の1人や」
「シグナムだ。よろしく頼む」
「俺は小鳥遊碌斗と言います。こちらこそよろしくお願いします…で、さっきのはどういう意味ですか?」
「そのままの意味だが?」
そうだった…シグナムは戦闘狂でしたね……。
この女性はシャマルと同じ、闇の書を守る守護騎士『ヴォルケンリッター』の1人、「烈火の将」剣の騎士シグナムだ。
「リインフォースと戦えと?」
「いやリィフは今戦えない。下手に魔法を発動させると防衛プログラムが起動するかもしれんからな」
「ではどうするのですか?」
「簡単だ、私と戦えばいい」
ですよねー。分かってた。
恐らくはやてからこの前の恭也さんとの模擬戦の事でも聞いたのだろう。
「ですがここには道場の様な場所がある様に見えませんが?」
「何を言っている、お前も魔道士なのだろう?ならば1つしかあるまい。何、私も主から話を聞いてお前と戦って見たいと思ったいたのだ。あの高町の兄と互角の勝負をしたと聞いたぞ?」
「…はやてぇ」
「う、嘘はついてないからモウマンタイや!…すんまへん」
俺のジト目が聞いたのか素直に謝った。
「はあ…仕方ない、でもこんな所でやる訳には行かないから移動してもらいますよ」
「それくらい構わないが…小鳥遊は転移魔法が使えるのか?」
「いやレアスキルです。【
俺が右手を上げてそう呟くと空間が裂けて、スキマが出来る。スキマとは『東方Project』のキャラクター「八雲紫」の『境界を操る程度の能力』で開けた空間の事で、裂け目の両端にリボンが結ばれており、その開けている空間の中から多数の目が覗いているのが特徴だ。
空間の境界を操って裂け目を作り、離れた場所同士を繋げて移動することができる。因みに、夢や絵、物語にも行けるらしい。
突然現れたスキマに驚いてすぐ様臨戦態勢になるシグナム達守護騎士。
「あー、そんな構えなくていいですよ。これは俺のレアスキルですから」
「そ、そうなんや…何か不気味やなぁ」
「まぁ女子には少し怖いかもな。移動用のレアスキルだと思ってくれ。今は管理外の無人世界に繋いでいるから入ってくれ」
俺は八神家の皆にそう言ってスキマを潜った。
目の前に広がるのは草一つ生えていない荒野の大地だった。
「うわっ!ホンマに移動してる!」
「凄いな…」
「一瞬でこんな所に来れるなんて…」
「…………」
「ほう…確かにこの管理外世界に生命反応は無いな」
「うっわ何だこれ!?」
ん?後半2名は初めて聞いた声だぞ?
「ザフィーラ、ヴィータ、来てたのか」
「そりゃあんな面白そうな事大声で話してりゃ聞こえるし気になるだろ」
「我はそこの少年の実力が気になるから来た」
「えっと…小鳥遊碌斗です。よろしく」
「おうヴィータってんだ!ヨロシクな!」
「ザフィーラだ」
こっちの赤毛の三つ編みの少女は闇の書を守る守護騎士『ヴォルケンリッター』の1人、「紅の鉄騎」鉄槌の騎士ヴィータ。
なのはのデバイス、レイジングハートを大破させた事もあり、原作で唯一なのはに黒星を付けた相手だった筈だ。
見た目が幼いので海鳴市のおじいちゃん、おばあちゃん達から可愛がられており、またそれを本人も素直に喜んでいる。
こっちの青い狼は、闇の書を守る守護騎士『ヴォルケンリッター』の1人、「蒼き狼」盾の守護獣ザフィーラ。
人間形態にもなれて、人間時筋骨隆々とした青年のような姿になりヴォルケンリッターの中では最年長といった感じになる。普段は獣状態で過ごしているらしいがその理由は、はやてが犬を飼いたがっていたからという理由から。そのせいでご飯もドッグフードや犬用の食品皿に盛り付けられる事が殆どらしい……仲良くなったらメシ作ってあげよ。
「さて、そろそろ始めようか。レヴァンティン、セットアップ」
『set up』
機械的な声が流れるとシグナムの服装が変わって騎士服のようなデザインのバリアジャケットとなる。
シグナムは飛び上がると地面から15メートルほど離れた空中に留まった。
「ここまで来たしな、やるしかないか…アラジン、抑制用リミッターを1つ外してセットアップだ《戦闘用リミッターは解除しなくていい》」
『うん!セットアップ!《分かったよ》』
アラジンの声により、俺の体が光に包まれる。光が収まると俺の服装はレーム帝国で剣闘士をやっていた時のアリババの服に変わる。腰にはアリババが剣闘士をしていた時に使っていた剣を差している。俺はこの姿をバリアジャケットとして着ている。
抑制用リミッターを外した時の俺の魔力は大体B+程度になる。
抑制用リミッターとは、戦闘用のリミッターの上に更にかけるリミッターの事を言っており、魔力量をFランク以下まで抑え込むことが出来るリミッターだ。俺が魔導師である事を隠す為にしていたリミッターだ。
戦闘用リミッターとはその名の通り、状況に応じて魔力量を上げるためにつけているリミッターだ。こちらは3つ付けている。リミッターを付けることでトレーニングにもなるしな。
俺もシグナムと同じくらいの高さまで浮び、シグナムと20メートル程離れた所で剣を構える。
「ほう、リミッターを掛けていたとは…やはり小鳥遊も剣を使うのか」
「ええ、まあ……はやて、シャマルさん達も一応バリアジャケットを着といて下さい。流れ弾が行かないとは限らないんで」
「わかったで〜」
「あと、誰か審判というか合図をしてくれる人いませんか?」
「それなら我がやろう」
ザフィーラがそう言うと人型になって飛んでくる。丁度俺とシグナムの中間辺りで留まる。
「む…驚かないのだな?」
「あーえっと、咲から少し聞いていたんで」
「成程…それなら納得だ」
「……あと、今度良ければ飯作りますよ」
「……後で詳しく聞かせてくれ」
「…はい」
苦労してるんだな…。
俺はザフィーラに飯を作る時、めいいっぱい彼の好きな物を作ってあげようと思った。