巫女とサムライ 作:マッチ売りの老婆
メガテン4のエストマ”ソード”から思いつきましたまる
ーーあの日、自分たちは『当たり前の日常』を取り戻した。
東京を覆う天蓋を外すため、東京の守護神に『民の希望』を集め、捧げた。
『善意の大玉』を持つ【神の戦車】を打ち倒し、『悪意の大玉』を内包する【悪魔王】を滅ぼし。
神にも、悪魔にも頼らずに、東京を自分達の手で取り戻した。
そう、『人間』の手で取り戻したんだ。
天蓋が外れ、東京の25年ぶりのお天道さまが覗いた。
二分された東京の民は再び一つとなり、『東京の女神』も戻った。
何もかも、元通りの『当たり前』だった。
ーーああ、何処でこうなったのだろう。
息を潜め、影に隠れていた異能を持つ者たちに、蹂躙された。
東京を、また壊された。
民は怯え、『ハンター』に助けを求めた。
抗うことは、出来なかった。
悪魔に頼り、悪魔自身になった者もいた。
それでもダメだった。
神も、悪魔をも拒絶したからだろうか。
人間のみが自らの足で立つことを、決意したからだろうか。
拠り所を失った人間は、大いなる力を持った存在に蹂躙される。
それは、運命なのだろうか。
何故だ。
何故。
何故、我々人間はただ、平穏に暮らすことすら許されないのだ。
ーー狂っている。この理不尽は。
何も出来ぬ人間は、ただ滅ぶしか、ないのだろうか。
抗いは、意味の無いものなのだろうか。
願わくば、いつか、彼らをーー。
淡い希望を持ち、死して尚諦め切れない『人間』
少年の意識は、冷めていく体温と共に徐々に消え失せていった。
********
この世界には『
アラダマとは人間が【
その姿は虫のようなものであったり、鳥のようなもの、はたまた建造物のように巨大なものと種類は様々であるが、その全てに共通して言える事は、”総じて人間に対して敵意がある”という点である。
その理由は、人類がアラダマと言葉を交わす事が不可能であるため不明瞭であるが、一説によると自らを生み出したこと、自らの半身を奪った事によるものだとされている。
荒魂の主構成である『ノロ』は、人間によって【珠鋼】を抽出された”余り”である。
元々は、ふたつで一つの存在だった。
それを人間が強引に介入して、半身とも言えるそれを奪ったとなれば、当然だろう。
しかしだとしても、はいそうですかと無抵抗に嬲り殺される事を許すほど、人類は人間出来ていない。
人類は彼らから奪った半身たる【珠鋼】を用いて【
【御刀】は神聖なる希少金属【珠鋼】を用いて造られており、その性質上『隠世』と呼ばれる異世界より超常の力を引き出す事が出来る。
これを用いて古来より、人類は荒魂を抑えてきた。
そしてその際の、【御刀】を用いて【荒魂】を討伐する役目は【
【刀使】は総じて、女性であり、それは【御刀】の神聖たる力を自らが依代となり引き出す『神薙の巫女』であるからだとされている。
【刀使】は今もなお、数多くの者が存在している。
荒魂が現代になって尚存在し、現代兵器では対応出来ていない現状では、必然と言えた。
今やそれは教育機関を設立するまでとなっており、日本政府や海外勢力も目を付けている。
五箇伝と呼ばれる、5つの学び舎。
『
『
『
『
『
『大荒魂』が突如出現した災厄、【相模湾大災厄】に出征した生き残りの刀使が学長を務めるこれらは、今や国に無くてはならない存在である。
学び舎で教育され、量産される【刀使】
伝統を受け継ぐ、歴史ある【刀使】
過程は違えど、結果は同じ。
【刀使】は今や、なくてはならない存在という事は、誰の目から見ても明らかであった。
そして此処に、【異分子】が一つ紛れ込む。
かつて、唯一神の尖兵となり、またヒトと悪魔の王に君臨し、そして人間としての選択を選んだ『サムライ』
神と悪魔を従えし人間が齎す、新たな災厄。
それを世界が知るには、まだはやい。