カオスクロススクールD×H 変人紳士な青龍帝 英雄王とアーサー王に育てられし元ニート物語   作:zeke

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第二十五変人:俺、はぐれ悪魔に出会います

古市と別れた一誠は町をぶらついていた。

一誠が町をぶらついているのには、理由があった。

昨日、ベル坊とヒルダが来て、これからどうして良いか分からず、シャーリーに相談しようと思い調理室に向かったのだが彼女が部活中にクッキーを作るのに材料が足りないことが判明し、シャーリーが買い出しに向かったという情報をシャーリーと同じ家庭クラブに入っている子に聞き一誠は買い出しに行ったシャーリーを探すべく町まで出たのだ。

 

「くっそ~。何処にいるんだ!?」

 

一誠がシャーリーを探しに町に出てもうすでに20分が経過しようとしていた。

未だにシャーリーを見つけられず、太陽がギラギラと照りつけ気温は30℃近くに成ろうとしている為少し苛立ち始めていた。

全然シャーリーを見つけられず喉も乾いてきたので喉を潤そうとすぐ傍の自販機に脚を運びファンタ グレープを購入し蓋を開けようとすると、

 

「あう!」

 

すぐ隣で女の子の声がし、こける音が聞こえ少し強い風が吹いた。

一誠が視線を声したの方向に向けると金髪の女の子が盛大にこけており彼女の持ち物であるスカーフが先ほど吹いた風で飛ばされていた。

一誠は「ハア」と短い溜息を吐くと開けようとしたファンタを地面に置き、風で飛ばされているスカーフを助走してジャンプすると空中でキャッチした。

そして、キャッチしたスカーフを持つとこけた金髪の女の子に駆け寄った。

そして、膝をつき女の子に

 

「大丈夫か?」

 

と声をかける。

 

「あうう。何で私は何も無い所でこけるのでしょうか?」

 

女の子はそう言いながら顔を上げる。

金髪の長い髪にシスター服という格好。

 

女の子の言葉に一誠は内心

(ドジだからかな?)

と思いながら手を差し伸べる。

女の子は差しのべられた手を掴むと一誠は引っ張り女の子を立ち上がらせる。

 

「大丈夫です。ありがとうございました」

 

女の子はお辞儀をすると彼女がこけた事で一緒に倒れたトランクを起こそうと手を伸ばすと一誠が先に動いた。

 

「持つよ」

 

一誠はそう言うとトランクを片手で持ち、先ほどキャッチしたスカーフを彼女に彼女に渡した。

 

「もう飛ばされるんじゃねえぞ」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

女の子はぺこりとお辞儀する。

(礼儀正しい子だなあ~)

なんて思いながら女の子を見ていると、ふと疑問が思い浮かんだ。

(そう言えば翻訳コンニャク創ってねえのに会話ができる)

そう。相手は金髪の外人シスター。一誠も学校で英語を習っているため英語での会話が少々出来るが、今までの会話に一回も英語を使ってないのだ。

(ここで考えられるのは、やはり悪魔になった影響か?)

そう考えるとついつい頬が緩んでしまう。

(面白え。これで一儲けできそう。やっぱり時代はグローバルだぜ)

な~んて、考えてしまう。

特にギルガメッシュや兄の白蘭がいるためお金には困ってないのだが、人間の(さが)かわからないがついついお金儲けに思考が行ってしまう。

「あ、あの~、どうかなさいましたか?にやけてますけど…」

一誠は目の前の少女に指摘されるまで全く持って気が付かなかった。

少女に指摘された事により我に返ると

「いや、少し面白い事を考えてた所だ」

と言って緩んだ頬を引き締めた。

「面白い事ですか?」

きょとんとした表情で尋ねる少女に一誠は

「あ、うん。こっちの話だから大丈夫。気にしないで」

と言ってはぐらかす。

そして、

「こっちには何の用なの?ここは結構田舎のほうだけど…」

話題をすり替える。

「教会に赴任して来たんです」

「教会?やっぱりシスターさんなの?」

「ええ、そうです。教会が何処にあるか分からなくて。でも、ここに来る途中に色んな人に尋ねたんですけれども通じなかったみたいで……」

「はは。ここも田舎っちゃ田舎だからねえ。都会みたくグローバル化はまだ進んじゃないんだよ」

と言い思考を張り巡らす。

(教会?ここいらで教会と言えばここから少し離れた山奥の山頂付近だけれども、あそこはもう潰れてた様な)

頭をフル回転させ記憶をたどる。

少女は一誠の顔を見ると

「でも、通訳できる人がいて助かりました」

と、とても嬉しそうに言う。

「そう。教会まで運ぶよ」

一誠はシャーリーを探すのを一時止めて少女を協会に連れて行くため、教会へと脚を運んだ。

「うわあああん!!!」

一誠と少女が歩き始めてすぐだった。

二人が公園から出ようとすると男の子の泣き声が聞こえた。

一誠があたりを見渡すと遊具の傍で男の子がこけていた。

男の子のすぐ傍には母親らしき人物が立っていた。

少女は男の子を見るとすぐさま駆け寄る。

少女の指にある指輪から光が発せられ男の子の膝をすりむいた箇所が治り始めた。

暫くすると男の子の怪我は治り、母親は男の子を連れいそいそと公園を逃げるようにして出て行った。

母親に連れられて男の子が出て行く時、少女を振り向いて「ありがとう」と笑顔で言った。

少女は男の子が言った言葉が解らないみたいであったが、一誠が少女の傍に行き通訳する

「ありがとうだってよ」

「そうですか」

「その力……」

「はい。神様から貰った素敵な力です」

笑顔で一誠を見る少女。しかし、その顔は何処か暗く悲しそうな表情であった。

(あの力。治癒、回復系統の力か)

少女の力に一誠は驚く素振りを見せなかった。一誠自身、回復系統の力では無いがチートの力逆行する時計(バック・トュー・ザ・タイマー)を持っているのだ。逆行する時計(バック・トュー・ザ・タイマー)の力で一誠自身の時を逆巻けば、例え瀕死の重傷を負っていても怪我を負う前の状態に戻す事が出来る。

 

「……怖くないんですか?私が異能な力を持っていて」

恐る恐る一誠に尋ねる少女。

そんな少女に一誠は

「別に。君のそれは素敵な力だね。大切にすると良いよ」

「はい!」

怖がられず寧ろ一誠に褒められたのが余程嬉しかったのか少女は先程とは笑顔で答えた。

 

そんな事がありながら二人が教会付近に到着するとすぐ眼の前に教会が見えるのだが、突如一誠は悪寒に襲われる。風邪の時に感じる悪寒とは違う、まるで体そのものが目の前の教会を拒絶するかのような感触。

「!………」

(一体如何したんだ?俺の身体は……)

等と一誠が考えていると一誠の左手に居候中の二天龍(笑)が一誠にだけ聞こえるように話しかける。

『恐らく悪魔としての本質がお前の身体の中から教会を強く拒絶しているのであろうな』

居候ドラゴンのドライグに言われ一誠は

(あまり関わらない方が賢明か)

と結論づけた。

体が教会を拒絶する悪寒に襲われながらもトランクを教会の入り口まで運ぶ。

「ふう、それじゃあ」

教会の入り口まで運ぶと踵を返し、一誠はとっととその場を立ち去ろうとする。

 

「ま、待ってください!」

突如、運んでいたトランクの持ち主の少女に呼び止められた。

「ん?どったの??」

背にした少女の方を振り向き尋ねる。

「あの、お礼を「ああ、良いや。要らねえわ」え、でも!?」

「要らねえ要らねえ」

気だるそうに手を横に振り、拒否の意を示す。

「俺、お礼を貰う為にやったわけじゃねえし。自分の意思でやっただけだから気にすんな」

「そ、それでは!せめて名前だけでも教えて下さい!!」

「う~ん。まあ、良いか。兵藤一誠だ」

「兵藤一誠さん。ありがとうございます!私は、アーシアです。アーシア・アルジェントと申します」

「そう、それじゃあね。シスターアーシア」

アーシアに背を向け街へと戻る為に脚を動かす。

「ありがとうございました!!」

後ろからアーシアの声が聞こえ、一誠はポケットに左手を突っ込んだ状態で歩きながら右手を挙げて左右に[バイバイ]と言う意味で横に振る。

『相棒』

再びドライグが一誠にだけ聞こえるように話しかける。

「あん?何だよ」

『あの少女だが「何?好みの子だったわけ?マジで!?お前年を考えろよ。お前とあの子じゃ孫どころか夜叉孫以上年が離れてんじゃん!このロリコンドラゴン!!」ぐすん』

一誠の吐いた毒でドライグの心がガリガリと掘削機で削られるかの様に削られていった。

「キモッ!その年で泣くとか……キモすぎ!否、まあ、そこは万歩譲って良しとしよう。でも、その声で泣かれても中年のおっさんが泣いてる様でありえんわ。と言うかマジ引くわ………結論、超キモ過ぎ」

一誠の毒舌で神器の中に封印されているドライグの真っ青に成った鱗が主にストレスでボロボロと落ちて行った。しかも、当の本人であるドライグは泡を吹いて気絶中。

「♪~♪~」

一誠、鼻歌を歌ってご機嫌中。

そんなドライグが再び目を覚ます頃には一誠は街に戻っていた。

「ふう、シャーリー何処にいんだよ。あち~」

自販機で買ったファンタグレープを何だかんだで飲み忘れた一誠の喉は猛烈に乾いていた。

しかも、買ったファンタグレープはそのまま放置してアーシアの荷物運びを手伝っちまったので今頃買ったファンタは常温保存されて超温くなっている。

そんなファンタを照り付ける太陽、満点の青空、熱い気温の下で飲みたいわけでもなく、一誠は勿体ないと思いながら破棄した。

そして、今コンビニに涼みに&コカ・コーラの500ml缶を買いに来ていた。

コンビニに入り、飲み物コーナーへ行くと一誠は探していたシャーリーに出会った。

「え!?何でここにシャーリーが居んの!?」

予想にもしない所で目的の人物に出会ったことに一誠は驚きを隠せなかった。

「え~と~、ちょっと喉が渇いたから飲み物を買いに来たんだけれども…一誠、私に何か用だった?」

買い物籠を持ち、キョトンとした表情のシャーリー。

「あ、うん。超というか無茶苦茶用。シャーリーに超重大な相談をしようと思って」

「私に相談?」

「うん。まあ、ここで言うのもなんだし、暑いけれども飲み物を買って外で相談でもかまわない?」

「良いけど」

シャ-リーに承諾をもらい一誠は、シャーリーと共にコンビニで買い物をし終えた後、公園の日陰にあるベンチへと移動した。

一誠とシャーリーが互いに向かい合いベンチに座り、シャーリーはコンビニで購入した飲み物を開け一口飲むと一誠に尋ねた。

「それで、一誠。相談ってなあに?」

「あ、うん。ここだけの話なんだけれども俺、子供が出来た」

「……え?」

シャーリーは一誠の突然のカミングアウトに持っていた飲み物を落としてしまった。

地面に飲み物の中身がぶち巻かれ、シャーリーの足元で地面にドクドクと飲み物の中身がこぼれる。

「え?子供??一誠の??」

「うん。俺の子供」

「……………ええええええええええええ!?」

シャーリーの驚きの声が公園全体に反響した。

無論、そんな音源のすぐ近くにいた一誠はダメージを受けるのは当たり前で。

「うう、耳が。耳が!」

耳が少しおかしくなっていた。

「え、ちょっと一誠!それ本当!?」

一誠の両肩をしっかりと掴みガクガクと一誠の体を揺らし始めるシャーリー。

体が揺さぶられ頭も体につれられて揺らされながら一誠は言う。

「あ、うん本当。それで、これからどうしたら良いかシャーリーに相談したかったんだよ」

「いや、それはもうどうしようもないよね!?責任を取るしか無いんじゃない」

「うむ。やはりそうか」

腕を組み考える素振りを見せる一誠。

そんな一誠をジト眼で見始めるシャーリー。

無論、仕方ないことであろう。幾ら恩人でも急にしかも学生の身分で子供が出来たらそう思ってしまっても仕方の無いことだ。節操の無い人だと。

無論、相手が誰なのか年頃の女の子であるので気になりもするがそれよりも彼女の中での一誠のイメージがガラリと音を立てて崩れ始めたショックのほうが大きい。

「それで、これからどうするの?」

「無論、学校は通うぞ」

「子供はどうするの?」

「そこら辺は心配ない。母親代わりにも言っているからな」

「そう………ん?母親代わり?あれ?子供のお母さんは??」

「知らん」

「え、いや、知らないって」

「知らんものは知らんぞ。シャーリー」

「え………ええ~」

一誠の言葉にシャーりのシャーリーの思考能力は低下していく。

「え、でも、一誠の子供なんでしょう?」

「うん、俺の子供。母親代わりの人も俺の家に来ているぞ」

「………」

最早無言となり現在の状況整理を行おうと頭をフル回転させるシャーリー。

「いや~、子供マジで可愛いわ」

シャーリーの目の前には親バカに成りかけの一誠がいる。

「それで、一誠。相談って子供が出来た事?」

「うん」

「それは相談って言うよりも事後報告だけれども……」

シャーリーは呆れ顔で一誠にツッコミを入れる。

「まあ、そう言う訳なんだけれども」

「それで、結局何を私に相談したいの?」

「あ、うん。子育てってどうやったら良いのかな」

「私も知らないわよ」

「え!?でも、ルルーシュの子供が欲しくないの?」

「え、まあ、そりゃあ欲しいけど……って、何を言わせるのよ!!」

「なにって本音?」

「何故疑問系」

「まあ、そう言う訳だからシャーリーの事だから今頃子育てグッズとか子供の名前とか考えているだろうし、子育ての方法と知ってそうだなと思ったから」

「一誠。貴方私をどういう目で見てるの?」

「用意周到で魅力的な女性」

「それって、褒めてるの貶しているの?」

「褒めてるつもり」

「あんまり嬉しくないんだけれども」

「う~ん、それじゃあ。ルルーシュにお似合いの魅力的な女性」

「え~、それほどの事でもないかな~」

なんて言いながら頬を赤くさせ、てれる表情を浮かべるシャーリー。

そんなシャーリーを見ると一誠は面白そうに笑った。

「ハハハハ」

「あ、ちょー!一誠、何でそこで笑うの!?」

「別に~」

はぐらかす一誠の胸をポカポカと叩くシャーリー。

その様子は、さながら愛し合う恋人同士にしか見えない。

その様子を見たホームレスは走って公園に設置されているトイレまで行き血涙しながら壁殴りをはじめ、公園を散歩中のシェパード犬は不機嫌に成り、いそいそと公園を出て行った。

また、公園の中にあるグラウンドでゲートボールしていたおじいちゃんは、クラブを握りボールを打つとボールが木っ端みじんに破裂した。

「いかんの~、あまりにも腹が立って無意識の内に力を入れすぎたみたいじゃわ。フォッフォッフォ」

そう言いながらも次のボールを出すおじいちゃんが握っているクラブからミシリと音が聞こえ、鉄製のクラブがひん曲がった。

公園を散歩中のお婆ちゃんは「あらら、若いわね~」と言い温かい眼差しで二人を見る。

そして、作者は一誠を撲殺するために木製の野球バットを釘バットにする為に釘を打ち込み始める。

また、一誠の左手に封印されているドライグは火の代わりに砂糖を大量に吐き始め、もう体の7割近くが自身が吐いた砂糖によって埋もれていた。

 

「成るほど。本屋とかインターネットで調べればよかったんだな」

ピンク色の雰囲気を辺りにまき散らしていた元凶―――一誠がそう呟く。

あの後シャーリーから「インターネットや書店、図書館に行って調べれば良いんじゃないかな?」と言われたのだ。

まさに目から鱗、灯台下暗しであった。

「それでシャーリー」

「ん~、何?」

「ルルーシュとの間に生まれてくる子供の名前はもう決めたの?」

「え~と~、まだかな~って、何を言わせるのよ!」

「ハハハハ」

一誠は笑いながら走って公園を出て行った。公園を走って出て行く一誠を追いかけるシャーリー。

毎日死ぬか死なぬかの瀬戸際のつらい修行をしている一誠に一般人のシャーリーが追いつけるはずも無く、あっという間に距離を離されてしまう。

もう、息も絶え絶えと成るシャーリーはついに走る事をやめ大きく息を吸うと

「一誠えええええええええええええ!!!」

今までの比にならないくらいの大声で叫んだ。

 

砂糖を吐いていたドライグが体調を戻すころには

「ハハハハハ」

シャーリーの声を背に一誠は楽しそうに笑いながら走っていた。

 

「ちょっと!一誠君!!どういう事よ!」

オカルト研究部の部室に来た一誠は部室に来ていた主(仮)のリアス・グレモリーに説教を食らっていた。

「ふああああ」

リアスの前で気怠そうに立って欠伸をし始める一誠。

そんな一誠を見てリアスは青筋を立てる。

「兵藤君、あなた自分が何をしたかわかっているの!?」

部室で一誠に怒鳴り声で説教を始めるリアス・グレモリー。

そんなリアスに一誠は

「人助け」

とだけ言うと彼女の前から移動し部室のソファーへと寝ころんだ。

「ちょっと!ああ、もう!!」

自身の赤い髪をかくリアス。

そんなリアスを彼女の傍にいた黒いポニーテールの巨乳美女で和服が似合う大和撫子のオカルト研究部の副部長にしてリアスの眷属悪魔の女王の駒である姫島朱乃がいさめる。

「まあまあ、リアス。特に何もなかったんですから良かったじゃないですか」

「朱乃、彼がした事は下手をすれば天使との戦争を引き起こす原因に成っていたのよ!」

「良いじゃねえか。結果オーライだぜ。リアス先輩」

半眼になりながらリアスに言う一誠。

そんな一誠に朱乃は言う。

「兵藤君もですよ。貴方も自重して下さいね」

「ああ、すまない。これから気を付ける」

自分とは違い朱乃に素直に謝る一誠にリアスは

(彼は私の事が嫌いなのかしら)

と思い、そう考えるとズキンと胸の内が痛んだ。

リアスは踵を返してソファーで寝転がる一誠を背にすると朱乃に

「朱乃、お茶を淹れてくれるかしら」と言い、朱乃は「分かりましたわ。部長」と軽く承諾してお茶を淹れる準備をし始める。

その様子をソファーで寝転がり半眼で見ていた一誠は「ハア」と小さくため息をつくと瞼を閉じて寝始めた。

 

「ん?ここは……」

一誠が目を開けるとオカルト研究部の部室の天井とは違う光景があった。真っ白、まさに真白の空白の世界。隣でハアハアと興奮した犬のような声が聞こえ、一誠は不自然な視線をすぐ隣の音源から感じた。

「………」

(これは夢だこれは夢だこれは夢だ)

無言となり、何度も心の中でそう呟き眼をしっかりと閉ざす一誠。

音源の方へ眼を閉ざしたまま体を向け大きく息を吸うと眼を開けた。

一誠の視界に映ったのは

「ハアハアハア」

興奮して鼻息が荒くなっている一誠を転生させ、不愉快な荒い鼻息を一誠に吹きかける元凶幼女化した女神アテナ。通称喪女神だった。

「………」

無言となり再度瞼を閉じる一誠。

(夢だ!これは夢に決まっている!!)

「ハアハア、やっとだね。やっと二人っきりに成れたね」

鼻息の荒い女神アテナから発せられた最初の一言めはとてもとても残念な言葉だった。

「……」

無言で寝転がって状態から体を起こし立ち上がると一誠は黙ってアテナから距離を置いた。

「え、あ、ちょっと!?何で距離を置くんですか!?」

さっさと立ち上がり一誠に近づきながら抗議の意を示すアテナ。

「いや、誰でも身の危険を感じたら逃げると思うぞ。ほら、涎だって垂れているし」

一誠はアテナの唇の端を指さす。

アテナの唇の端には確かに涎が垂れていた。

「おおっと、いけませんね。フフフフ」

意味深なことを言うアテナとさらに距離を離す一誠。

アテナは「ふう」吐息を吐くと言う。

「貴方にお知らせです」

「あん?お知らせだあ??」

「Yes.良いニュースと悪いニュースがあります。どちらから聞きたいですか?」

「………悪いニュースから聞こうか」

「そうですか。それでは……あなたと同じ転生者ですが」

「確か俺を入れて3人じゃなかったっけ?」

「Yes.ですが……」

言葉を渋るアテナ。

そんなアテナを見て一誠は嫌な予感がした。

「……まさか」

「Yes.転生者が増えました」

「何故だ?」

「貴方が転生した後に他の神々がぶち込んだ事をゲロッたんですよ。私のごうm…んん。OHANASIでね」

「…程々にしておけよ。それよりもそいつ等は敵か?」

「それは定かではありませんし、貴方が味方につけるか敵にするかはあなたの選択です」

「……」

「私はただ真実を告げるだけです」

「…そうか」

「それと……いえ。これは辞めておきましょう」

渋る様子で話すアテナ。

そんなアテナを見て一誠は顔をしかめる。

「何だ?何を隠している??」

アテナの顔を覗き込むようにして尋ねる一誠。

「いいえ。何でもありません」

後ずさりをしながらも答える。

「……そうか」

一呼吸あけると一誠は自身の左手で右眼を隠した。

そして、有を無に変える力で右眼を無に帰すと無から有を創る力で赤い鳥が羽ばたく紋様、絶対遵守のギアスを創ると右眼を隠していた左手をのけ赤い鳥が羽ばたく紋様、絶対遵守のギアスでアテナの眼を見ながら言う。

「俺、兵藤一誠が命ず。汝の隠し事を全力で申せ」

一誠がそう言うと一誠の右眼に創られた絶対遵守のギアスが赤く輝き、女神アテナに絶対遵守のギアスが掛る。

「あ!クッ!ダメ」

自身に掛った絶対遵守のギアスに抗う女神アテナ。

そして、

「ハアハア。あ、貴方!私に絶対遵守のギアスをかけるとか何を考えているんですか!?」

一誠のギアスに見事打ち勝った。

「フム、俺のギアスに抗いあまつさえギアスを打ち破るとは、俺が認めよう。未だ貴様は俺よりも上位種という事か」

そんな一誠をアテナは

「貴方、ギルガメッシュに口調が似てきましたね」

ジト眼で見る。

それと同時に恐怖した。

(あと少し。あと少しで私は彼のギアスを打ち破る事は出来なかった)

もう少しでも一誠のギアスの力が強ければ自分が彼のギアスに掛っていたのだ。

「ほう!光栄な事だな。俺の尊敬する人物は、ギルとセイバーとムツゴロウさんであるからな!!」

特に反省もせず悪びれる様子もなく、と言うか寧ろ自慢げに胸を張って言う一誠。

そんな一誠を見るとアテナは頭痛に襲われる。

「ハア、貴方という人は……」

アテナは溜息を吐き再び一誠を見る。

「最後ですが良いニュースです。ついに転生者発見装置を完成させました!」

そう言って、アテナは左手を何もないところに伸ばした。突如、アテナの左手が指から手首まで消えた。

「!……疑似空間。もしくは亜空間があるのか」

「正解です♪」

亜空間を探るアテナの腕は突如探る事をやめ、左手を亜空間から引いた。

亜空間から出てきたアテナの左手には一誠がとある漫画で見たことがあるものが握られていた。

「これがその転生者発見装置です♪」

一誠は差し出された転生者発見装置を見ると

「スカウターじゃねえか!?」

魂のこもったツッコミをアテナにした。

そう、一誠に渡された転生者発見装置はドラゴンボールに出てくる相手の戦闘能力が測れるという超便利アイテムスカウターのパクリ物。というか、スカウターそのものなのだ。

「いや~、中々これだ!って思う様な形に成りませんでしたのでかなり時間がかかりました」

一苦労だったんだぜと言う口調でしゃべるアテナ。

そんなアテナに一誠は質問をする

「なあ、形なんてどうでも良かったんだが…と言うか形を考える為に今まで時間が掛かったのか?」

凄いくぐもった口調で。

「はい♪」

無い胸。絶壁。標高何センチ?と言うくらいコンクリートを打ったかのようなペッタンコの胸をえっへんと言わんばかり張り自慢げにするロリ姿の女神アテナ。

 

「あー、うん、凄いねー。良く出来たねー」

 

棒読みで喋り、眼は生気を宿さない一誠。

(今まで待たせといて結局パクリ物かよ)

心の中でそう呟いていた。

「エヘッ!そ、そんな事無いもんっ!!」

いつの間にか初めて作った図工の作品を親に褒めてもらった時の子供の様な口調で言うアテナ。

そんなアテナを見て一誠は「ハア」と小さく溜息を一つ吐くとスカウター。もとい、転生者発見装置をかけてみる。

「……ぜんぜん作動しねえんですけど」

かけて見たがうんともすんとも言わないスカウターモドキ。もとい転生者発見装置。

「あ、当たり前です!!それは半径5メートル以内に転生者が居ないと作動しないんですから」

「使えねえ~」

転生者発見装置を外しながら呟く一誠の言葉がアテナの心に勢い良くかつ、容赦なく突き刺さる。

「うう」

自身のコンクリートを打ったような絶壁の胸を押さえるアテナ。

「半径5メートルって何だよ。認識範囲狭くねえか?」

「ううううう」

一誠の容赦ないダメ出しに最早泣きそうになっているアテナ。

はたから見たら年の離れた妹を兄が苛めているようである。

「…でも。ありがとうな」

そう言いながら一誠はアテナの頭を片手で優しくなでる。

一誠に頭を撫でられた事によりアテナの顔がパアッと明るくなった。

そして…

「えへへへ。撫でら~れ~た。褒められちゃった。よっしゃあ!!これで童貞貰った!喪女神なんてもう言わせないぜ!!」

空腹のライオンが獲物を見つけた時のような鋭い眼光となり、一瞬眼光が光った。

そして、一誠を襲おうとして一誠の腕を掴もうと一誠ぬ迫るアテナ。

あと少しで一誠の腕を掴めるという状況で突然一誠の体が光りだした。

「……これは」

突然の事にやや驚く一誠。

自身の手を見るが手自体が透けて見える。

「チッ!もうタイムリミットですか」

一誠の透けて行く体を見ながら忌々しそうに舌打ちをするアテナ。

「おい、涎を拭け。涎」

徐々に消えて行く一誠はアテナの顔を指差す。

一誠の指差す方向にはアテナの小さな唇の端から確かに涎が垂れていた。

「おおっと!いけませんね」

アテナはそう言いながら服の袖で涎を拭う。

「おいおい。ハア」

小さく溜息を吐き頭をかく一誠。

「んじゃあな」

それだけ言うと一誠の姿は消えて行った。

「次は貴方の童貞をいただきます!!!」

消え行く体の中で一誠が最後に耳にしたのは残念女神の残念な宣言だった。

 

「……ここは…学校か」

一誠が眼を開けると見慣れた天井が眼に移った。

「帰ってきたと言う事か」

「あ、兵藤君起きましたのね」

不意に声をかけられ声のした方向を見ると姫島朱乃が立っていた。

「ん、ああ。寝ちまってたみたいだな。どん位寝ていたか解かっか?」

「大体2時間くらいですわ」

「……そうか。結構寝たな」

「そうですわね。結構可愛い寝顔をされていましたわ」

朱乃にそう言われ一誠は顔を背け「忘れろ」とだけ言うとソファーから体を起こして立ち上がる。

朱乃は「あらあら」と言いながら楽しそうにうふふと笑う。

「兵藤君も起きた事ですし、大公から依頼されたはぐれ悪魔の討伐に行きましょうか」

朱乃がそう言って一誠は始めて気づいた。

部室で全員が待機している事に。

(いけねえ。まだ寝ぼけてんな)

そんな事を思いながら

「了解」

とだけ言うと背伸びして皆と一緒に魔方陣で移動した。

一誠が魔方陣で飛んだのは町外れにある廃屋だった。

廃屋の中を捜索するために移動しながらリアスは一誠に話す。

「これから討伐するのは、はぐれ悪魔よ」

「あん?はぐれ悪魔??鬼畜だな先輩も。高々迷子に成ったくらいの同族を討伐すんなんてよ~」

「違うわよ。ハア、良い?」

「あん?」

「はぐれ悪魔と言うのは爵位持ちの悪魔に下僕としてもらった者が主を裏切り、または主を殺して主なしとなる事件が稀に起こるのよ」

「成る程。ボイコットか。でも、ボイコットした位で殺されるんじゃ堪ったもんじゃねえな~」

「ボイコットでもないわよ。悪魔に成れば人間の頃よりも強力な力が手に入る。その強大な力を自分のために使いたくなる者もいるわ。その者達が各地で暴れまわってはぐれ悪魔と成るのよ。つまり野良犬ね。危険分子は消さないといけないのよ」

「ふ~ん。まあ、やんちゃすんのは良いけどね。青春してんな~はぐれ悪魔って奴らは、よ」

「そういう問題じゃないわよ」

一誠の発言に呆れ顔となる一誠の隣を歩くリアス。

「血の臭いです」

リアスの隣を歩く白音が鼻を手で隠しながら言い、一誠も

「ああ。すげえ血の臭いだ」

苦虫を噛み潰したかのような表情と成った。

「兵藤君、貴方解るの?」

「ん?ああ、さっきからすんげえ血の臭いがしてるぞ」

一誠の歩く前方から凄い濃い血の臭いがし、一誠と白音は気付いていたが他の人は気付かなかったようだ。

「さて、(やっこ)さんのお出ましらしいぜ。先輩」

一誠の歩く足が止まり一誠がそう言うと全員が足を止め一誠の視線の先を見る。

「ほう!見所のある子が居るみたいね」

声の主は一誠の視線の先から現れた。

「?痴女手品師??」

その声の主を見た一誠はそう呟く。

何故なら声の主は四肢は見えないが全裸の女で空中に体が浮いていたのだ。

突如一誠の視界が真暗に成り、一誠の瞼に何かが乗った感触がしたと思ったら力が入れられ一誠の瞼を無理やり小さな何かが押さえつけていた。

「痛い!痛いっす!!」

あまりの痛さに悲鳴に似た声を上げる一誠。

「ここは兄様の見てはいけないものがあるので強制的に視界を遮断させてもらってます」

妹の白音の小さな小さなお手てが一誠の視界を遮っていた。しかも、ルークの力をバリバリ使っていたりする。

「こら!妹よ、お兄ちゃんはもう16歳を超えたんだぞ!?そんな俺に見てはいけないものならお前も見てはいけない筈だ!」

「私は良いんです」

「んな!?理不尽すぎるぞ」

「これを見たらセイバーさんに兄様の今日の修行を超ハードにしてもらわねば成りません」

「……俺、何も見ない」

「……なら良いです」

白音の小さな手が一誠の瞼から退くと一誠は瞼をしっかりと閉じる。

「え~と~、今日は見学して欲しいのだけれども……」

リアスは二人のやり取りの後にそう言うが

「先輩は俺に死ねと申されますか」

と一誠に言われ、

「ごめんなさい。今日は良いわ。説明だけ聞いて頂戴」

と言うとはぐれ悪魔の方向を見る。

「悠長な奴だ。それが命取りとなる」

はぐれ悪魔は一誠とやり取りをしていたリアスに攻撃を仕掛けた。

自身の巨大な左手に持つ槍の矛先をリアスへと向ける。

リアスに、はぐれ悪魔の矛先が当たる瞬間リアスの隣にいた一誠から風が吹き、はぐれ悪魔の槍が吹き飛ばされた。

「!何者だ!?」

自身の槍があっさり吹き飛ばされた事に驚き醜悪な表情を浮かべ始めるはぐれ悪魔。

「ガタガタ五月蝿いぞ。とっとと片付けろや」

一誠の言葉に全員が我に帰った。

「そうね。はぐれ悪魔バイザー。自身の欲望に刈られ主から逃げ暴れまわるその罪、万死に値する。グレモリー公爵の名において貴方を消し飛ばしてあげる。裕斗」

「はい部長」

木場はリアスの声に返事をすると神速で動き出し、自身が持つ剣ではぐれ悪魔バイザーを切り刻む。

一誠は、リアスに

(お前がやんねえのかよ!?)

と心の中で突っ込みをひそかに入れるのであった。

「ほう!速いな」

木場の速度に一誠は感嘆する。

「貴方、目を瞑っていても解るの?」

「何を言う。無論だ」

リアスの質問に何言ってんのコイツと言った表情で言う一誠。

そんな一誠にリアスは説明を続ける。

「裕斗はナイト「騎士。つまりは脚、速度の強化か」ええ、そうよ」

「ギャアアアアアアアア!!!」

リアスの説明が終わると同時にはぐれ悪魔バイザーが悲鳴を上げ、両腕が胴体とおさらばしていた。

自身の両腕を切り落とされたバイザーは近くに居た一誠の妹、白音を自身の巨大な脚で踏みつける。普通の人間ならぺちゃんこに成りタンパク質の塊と成っていたであろう。

はぐれ悪魔バイザーが白音を踏みつけて暫くすると踏みつけた脚に変化が起きる。

踏みつけた脚がグググと押し戻されるのだ。

バイザーは自身の白音を踏みつけた脚が押し戻される事に驚いた。

バイザーは脚が押し戻され、巨体な体を支えるバランスを崩す。

「貴方の妹はルーク「つまりは戦車。考えられる特性はパワーと防御力のアップと言ったところか」そうね」

リアスの説明をしている間に白音はバイザーの脚をどかし、空中にジャンプするとバイザーの腹に一撃入れる。

バイザーの巨大な体が後方へと吹き飛び地面に倒れこむ。

そこへ雷が何度も何度も落ちる。

姫島朱乃が手を天にかざした事で天空が輝き白音の一撃で倒れているはぐれ悪魔バイザーに雷が落とされたのだ。

「まだ死んでは、駄目ですわよ」

活き活きとした表情でそう言いながらはぐれ悪魔バイザーに再度雷を落とす姫島朱乃。

そんな朱乃の声を聞いた一誠は

「Sだね」

と呟く。内心

(でも、あの程度の電撃じゃあな~。ベル坊の電撃の方がまだ強そうだ)

と我が子の電撃と朱乃の雷を勝手に比較していた。

一誠がそんな事を思っているとリアスが説明をする。

「朱乃は魔力を使った攻撃が得意なの雷や氷、炎などの自然現象を魔力で起こす力ね。そして、何よりも彼女は究極のSよ」

「聞く限りそうとしか思えねえよ」

リアスと一誠がやり取りをしているとはぐれ悪魔バイザーに落ちる雷撃の音がやんだ。

朱乃はふうと一息吐き攻撃の手を止める。その顔は一仕事をし終えた社会人の様であった。

リアスはその様子を確認しはぐれ悪魔バイザーの元へと近づいた。

そして、はぐれ悪魔バイザーに手をかざして尋ねる。

「何か言い残すことは?」

「殺せ」

バイザーから発せられた声は恨みでも何でもない。ただ、結果を受け入れた人の声だった。

「そう、なら消し飛びなさい」

リアスの手のひらからはぐれ悪魔バイザーに向かって巨大でどす黒い魔力の塊が撃ち出され、その巨大な魔力の塊にはぐれ悪魔は飲み込まれ消えて行った。

リアスははぐれ悪魔バイザーが消滅したのを確認すると息をつく。

「終わりね。皆ご苦労様」

そんなリアスを見た一誠は

(結局おいしいとこ取りじゃねえか!?)

と再度ツッコミを入れる。

一誠が心の中でツッコミを入れている間に姫島朱乃がその間に魔方陣を展開し、一誠以外のオカルト研究部全員が魔方陣に乗ったのを確認すると一誠も魔方陣に乗り部室へと帰っていった。

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