カオスクロススクールD×H 変人紳士な青龍帝 英雄王とアーサー王に育てられし元ニート物語 作:zeke
フリードが噛ませ犬っぽくなっちゃいましたし、名乗ることも無くなっちゃいました。
「そ、そんな!アーシアを!?」
そう驚きの声を漏らすレイナーレ。
レイナーレが堕天使の幹部コカビエルから聞いたのは、去年、アーシア・アルジェントと言う一人の修道女が聖女とまつられ、悪魔を治癒したことにより教会から魔女の烙印を押され、追放された少女を魔王の妹であるリアス・グレモリーとソーナ・シトリーの領域の中で殺害し、一般人としたアーシアを殺す事で戦争を起こさせると言う事だった。
レイナーレは追放されたアーシアを去年拾ってから妹同前。家族のように可愛がっていた。
そのアーシアを殺さねばならないのだ。その心中は想像を絶する。
「聖女とまつられ、そして魔女と後ろ指を指されながら残りの下らない人生を生きていくよりも古の中途半端で終わった戦いの火種となり、我々堕天使が勝利し天使と悪魔を従える殉教者と成ったほうが良かろう」
そう漏らすコカビエル。
確かにそれはそれで素晴らしい事なのかも知れない。だらだら残りの人生を生きるよりも殉教者とまつられ未来永劫感謝される存在であり続けるのは、並みの一般人では早々無理だ。
とレイナーレは思ってしまう。
(でも、それで本当に良いのか?)
レイナーレの良心が痛む。
「やってくれるな?」
目の前のコカビエルの覇気を含んだ声を聞き、レイナーレは
「……はい」
ただ首を縦に振り同意する事しか出来なかった。
そして、この時自らの非力さを生れて始めて呪った。
(歯がゆい。何も出来ない自分が歯がゆい。…誰か助けて!!)
それと同時にヒーロー等居ないと分かっていても縋りついてしまうレイナーレ。
(誰か!誰でも良い。助けて!!)
レイナーレと言う少女の悲痛な思いが果たしてヒーローに届くのだろうか?
「さて、僕も強くなんないとね」
「中々強度も増してきたじゃないか」
傍の岩に腰かけ師匠となったクロウ・クルワッハに言われ、修行で創った宝剣がことごとく折られた事を思い出しながら苦笑する。
「駄目だよ。まだだ。この程度の強度じゃ弱い」
「俺に傷をつけたのにか?」
クロウ・クルワッハは自身の服の袖を捲り
その腕には所々大小様々な切り傷があった。
「その程度じゃ、まだ駄目だ」
手元に小さな宝剣を創りながら
「…そうか。しかし、何故お前は力を求める?」
「…
クロウ・クルワッハは不意に理解しがたいことを言い始める
そんなクロウ・クルワッハを見ながら
「僕はね、生まれてこれまで光を浴びたことがないんだ。それどころか、まあ無意識なのかも知れないけれども僕は消されそうだったんだ」
「!どう言うk!!」
突如クロウ・クルワッハは喋るのをやめ、睨みつける様に前方を見る。
先程まで前方には弟子の
だが、今は弟子の
まるでブラックホールのように黒く時空が歪み、ソフトボールぐらいの大きさの穴が開いていた。
そして、穴はどんどん大きさを増している。
そして、
「呼んでる気がする。行かなきゃ」
とだけ言うと穴の方へ近づき始めた。
まるで磁石のS極とN極が引きつられるかのように
「おい!」
クロウ・クルワッハに声をかけられ、一瞬だけクロウ・クルワッハを見ると穴の中に入って行った。
そして、
「…ああ!もう!!」
頭をかきむしるとクロウ・クルワッハもまた走って穴に近づく。
そして、クロウ・クルワッハも穴に吸いこまれるかのように消えていった。
二人を飲み込んだ穴は役割を終えたように静かに消えていった。
「ここは…」
クロウ・クルワッハが気が付くと木々が所々生い茂る寺の裏側にいた所にいた。
柳桐寺。そこに
この奇跡の願望器たる聖杯は聖杯の為に作られたイリヤスフィール・フォン・アインツベルンを贄としていたのだが、イリヤスフィールは生まれ持ってのホムンクルスである為、寿命が母親であるアイリスフィールと同じくとても短く聖杯がイリヤスフィールを贄としていても生まれ持って寿命が小さいイリヤスフィールでは、いずれ消滅してしまうと思い新たなる憑代と成る贄を手に入れるため
クロウ・クルワットが周囲を見渡すと少し離れた所に弟子の
そして、丸い泥の様なものの傍まで行くと
「お前はこれが何か知っているのか?」
「……知らない」
「善意として言おう。立ち去ったほうが賢明だぞ」
神父の言葉に
「……」
何も言わず更に泥に向かって無言で近づく。
もう、空中に浮く丸い泥と少女のすぐ真下。
そして、泥を見つめたまま神父に尋ねた。
「ねえ。これは何?」
「それは聖杯、奇跡の願望器の中身だ」
「そう」
神父とのやり取りを終えた
それも、全て。
泥は
泥に飲まれた
「クッ!」
手足を動かそうとするもがっちりと幾つもの手が
そうこうしている内に
『死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね』
頭がおかしくなりそうなくらい何回も死ね死ねとコールされる。
まるで頭の中に直接語りかけてくるような感覚。
(死ぬ?僕が??日を浴びず消されそうになった僕が何も出来ずに、ただただ死んでいく?)
そう思うと体の中から怒りが込み上げてくる。
(フザケルナヨ。ボクハ、シナナイ。イキル。コンドコソイキルンダ!!)
そう思った瞬間
普通の右眼だったのが闇のようにドス黒く丸い瞳の中心に一点の純白の様な白い虹彩となったのだ。
「ふざけるなよ!今まで日の光も浴びず、ただ存在を否定され拒絶されあまつさえ消されそうになったんだ。今度こそ僕は生きる。生き残るんだ!!」
そして、
まるで光が闇に飲まれて行くかのように。
その瞬間、
否、正確には飲み込まれた。
瞳に吸い込まれていくかのように消えた。
「ボクハコンナトコロデシネナイ!!」
憤怒の声を上げ声高らかに宣言し上下左右360度に見える顔をそのドス黒い闇の様な瞳で睨みつけるとブラックホールに吸い込まれるかのように瞳に吸い込まれていった。
「だから言ったのだ。立ち去ったほうが賢明だと」
神父――言峰綺礼は、先ほど飲み込まれた
空中に浮いていた聖杯の贄となった少女、イオリヤスフィール・フォン・アインツベルンは役目を終えて解放されたかのようにあの後空中からゆっくりと落ちて言峰によって地面で寝かされていた。
言峰綺礼は、「ふう」と溜め息を吐くと
突如、言峰綺礼の後ろ。つまり
「!」
言峰は急いで背後を振り返るとパリンと言う音と共に
「何者なんだ!?」
言峰は珍しく驚愕の表情となった。
そんな言峰に
「忌み嫌われた半身」
とだけ言う。
「聖杯の中身をこの世の全ての悪を飲み干したというのか!?高々一人の人間風情が!?」
驚きの表情を隠せない言峰に
「フン。中々にして黒かった。まさしくこの世の悪であった。だが……」
「この僕の生への執着心の方が遥かにどす黒く邪悪だったみたいだな」
ニヤリと笑う
そんな
「今の貴様は恐らく聖杯そのものだ。つまり」
「つまり、僕の望む様に成ると?」
まるで初めから全てを知っているかのような口調になる
そんな
「そうだ」
言峰の言葉を聞き
そして、
「それじゃあ。望むとしよう。手始めに僕が最後に生き残るための力を貰おうか!!」
声高らかに宣言した
「これは!?」
言峰綺礼は自身の目の前に起こった事に驚いた。
何故なら、この聖杯戦争という魔術師の戦争は一度の聖杯戦争につきあらかじめ通常7つの器(クラス)、セイバー(剣の騎士)・アーチャー(弓の騎士)・ランサー(槍の騎士)・ライダー(騎乗兵)・キャスター(魔術師)・バーサーカー(狂戦士)・アサシン(暗殺者)が用意されそのクラスに該当する属性を持った英霊を召喚、クラスの役割に一騎ずつ憑依させることで人としてのカタチと人格を再現する仕組みになっている。今回はアサシンにイレギュラーがあり、アサシンが二対召喚される事となった。
だが、最後に残ったセイバーは言峰綺礼が契約して前回の聖杯戦争で受肉した英霊ギルガメッシュと共に行方不明。
他の英霊は負けて消えていったが言峰の視界に映ったのは今回の聖杯戦争で敗北し消えていったはずの英霊達。
しかも、バーサーカー以外自我を持っている。
「ありえない」
そう呟き、頭に手を置く言峰にさらに信じられないものが視界に入った。
「令呪が無数に」
令呪。それは魔術師が英霊を従え、支配・制御するための3回限りの力。
この令呪を全て使い終わった魔術師は聖杯戦争で実質の敗北となり、英霊も消える。
その3回限りの筈の令呪が
「一体どう言う事だ」
周囲を見渡しながら言うアーチャー。
彼も聖杯戦争で敗北し消えた筈だった。
しかし、受肉とまでは成らずとも再び戦った地に戻って来ているのだ。
驚かずにはいられない。
「へえ、ねえ神父さん。この人達は?」
自身の目の前に現れた英霊達をみて面白そうに呟き、言峰に尋ねる
そんな
「英霊。聖杯戦争で魔術師に召喚され使われる者たちだ」
「ふ~ん。これが僕が願った結果か」
面白そうに呟く
そんな
「坊や。あんた一体何者?」
ローブに身を包んだまま
そんなキャスターにニコリと笑いながら
「始めまして、皆さん。ええっと~なんて言ったけ?あの中身」
神父言峰に顔だけを向け尋ねる
「聖杯の中身と言えばよかろう」
「ああ、そうか」
再び英霊達の方向を向き話を再開する。
「聖杯の中身を食らった者だよ。この世で最も生に執着を持ち、この世で最も薄汚く醜い…人間さ」
邪悪な笑みを浮かべるのであった。
翌日、一誠が学園の敷地をまたぐと
「居たぞ!異端者だ!!」
背後から聞いたことのある声がし、一誠の後頭部にめがけて棒が振られる。
「ハア、面倒くさい」
溜息を吐きながら一誠はそう漏らすと、背後からの襲撃者に向かって裏拳をする。
「コペッ」
何処か漫画みたいな声を出しながら襲撃者は一誠の裏拳でノックアウトし、一誠は襲撃者の顔を見た。黒いマントとマスク。額にFとロゴの入った文字。バカとテストと召喚獣に出てくる醜いチェーリーボーイ団体FFF団を連想させるというか、まんまFFF団の格好をした襲撃者。
マスクを剥ぎ取り襲撃者の顔を見ると
「ハア」
思わず二度目の溜息が出た。
襲撃者は一誠の友達にしてパシリ兼悪友。古市だった。
「会長がやられたぞ!皆のもの出会え出会え!!」
先ほどとは違うが聞きなれた声が一誠の背後からして一瞬にして一誠は黒いマントにFと赤いロゴが描かれた黒いマスクをかぶった集団に囲まれた。
「何やってんだ?松田、元浜」
一誠のすぐそばに居た二人の黒いマスクと額にFと赤いロゴが描かれた黒いマスクを被った二人組みに尋ねる。
「黙れ異端者!!」
「そうだぞ!観念せよ、一誠。貴様に逃げ場はない!」
松田が両手で持つ縄がパシンと伸ばされ一誠を追い詰めるかの如くじりじりと近寄ってくる
黒いマントにFと赤いロゴが描かれた黒いマスクをかぶった集団。
「ハア……お前ら頭大丈夫か?」
溜息を一つ吐き、心配そうな眼で友達の松田と元浜を見る一誠。
否、松田と元浜だけではなく一誠を囲んでいた黒いマントにFと赤いロゴが描かれた黒いマスクをかぶった集団全員を見始めた。
「う、五月蝿い!このリア充めが!」
「貴様の様なリア充を抹殺せねば俺らの頭が怒りで脳みそが解けてしまうわ!!」
松田と元浜はそう言いながらマスクから血涙を流して一誠をにらむように見る。
「…松田、元浜」
悟るように優しい声をかける一誠。彼らの傍に行き肩を叩くと
「ざまあ」
悪魔のような笑みを浮かべる。
松田と元浜は暫く思考が停止した。
しかし、思考が元に戻ると
「「一誠えええええ!!!」」
怒号と共にタックルを仕掛ける。
「馬鹿め!甘いわ」
一誠は向かってくる二人に向かって廻し蹴りをくらわした。
「グワッ!」
「ガッ!」
一誠の廻し蹴りは最初に松田に当たった後、元浜を巻き込んでぶっ飛ばした。
松田と元浜はお互いの頭が激突して気絶。
他の団員?らも瞬殺された二人を見てガタガタと震え始めた。
「ハア、朝から元気な奴らめ」
そう言いながら背伸びをすると一誠は鞄を持って自分の教室へと向かっていく。
途中、廊下を渡っていると一誠の眼に昨日まで存在しなかった壁に貼られた新聞が視線に映った。
「ん?」
一誠が壁に張られた新聞に近づき読んでみると、そこには兵藤一誠、シャーリー・フェネットとデート!?と書かれた記事があった。
「ハア。超面倒くさい事が起きる原因はこれか…一体誰だよ。全く」
溜息を一つ吐き壁に貼られた新聞を剥がしクシャクシャに纏めるとズボンのポケットの中にしまいこむ。
そして、欠伸を一つしながら自分のクラスへと赴いた。
一誠が教室に行き自分の席に座ると枢木スザクが一誠に近づいてくる。
そして、机を挟んで一誠の向かい側に立つと一誠の胸倉を掴み自分の顔へと近づける。
「一誠!君は何を考えているんだ!!」
「ハア?」
「シャーリーにまで手を出して!シャーリーはルルーシュの彼女だっただろう!!」
睨みつけるような視線で一誠を見るスザク。
そんなスザクを見ると一誠は「ハア」と溜息を一つ漏らし目の前にいるスザクとは別の方向に視線を向ける。
「ルルーシュの彼女だって肯定されちゃったね、シャーリー」
「へ?」
一誠の先にはシャーリー・フェネットがおり、スザクは間の抜けた声をあげ、教室内にいた生徒全員がシャーリーへと視線を向ける。
一方のシャーリーはスザクの所為で教室にいた生徒全員の視線を浴びて羞恥に晒されて顔を赤くしていた。
無言でスザクの背後からC.C.とユーフェミアが無言でスザクに近づき、手に持つハリセンで思いっきりスザクの頭を叩いた。
パーンと良い音が教室内に響き渡り、ハリセンで叩かれたスザクはすぐに背後を振り返る。
「スザク、貴方と言う人は……」
「スザク……」
ユーフェミアとC.C.は呆れた声でスザクの名を言う。
最早残念すぎてまま成らないのであろう。
無論、スザクの名前の後にくる言葉は、女心を知れと言う言葉なのだが教室内で誰もその言葉を口から発する者は居なかった。
全員分かっていたからである。言葉を言っても最早無駄だと。
「え、なに、この空気」
周りの空気に違和感を覚えるスザク。
だが、その原因が自分である事を知らなかった。
それは、グレモリー眷属がはぐれ悪魔バイザーを討伐したして暫くたった日のことだった。
「♪~♪~♪~」
鼻歌を歌いながら筋トレがてら自転車を漕ぎ、今日も依頼者のもとへと行く一誠。
何故だかわからないが一回魔方陣から一度行った事のある依頼者のもとへ行くと落胆されたので筋トレがてら自転車を漕いで依頼人のもとに行くようにしたのである。
一誠の今回の依頼主は、一軒家に住む人で玄関先に自転車を置くとインターホンを鳴らす。
(……誰も出てこない。それに人の気配が家の中からしない?どう言う事だ?…まさか!依頼をすることを忘れてんのか!?おい、おい。そりゃあマジでヤベえぞ。俺、これまでロクな対価をもらってねえから今度はきちんとした対価を貰わねえといけねえのに)
焦りが生じる。
(ええい!気配消して居留守を使われたんだったら流石にキレんぞ)
そう思いながら玄関の扉を見ると
「おいおい、開いてんじゃねえか。あれか、注文の多い料理店みたく、どうぞ何方でもお入り下さいってか?」
玄関の扉が半開きとなっていた。
「不用心すぎんぜ。全く」
ぶつくさ言いながら玄関の扉を開ける一誠。
「すんませ~ん。宅急便をお届けに参りました~」
なんて馬鹿をやってみたりする。
(あり?何だか妙だな。玄関開いてる→人の気配全くない。もしや誘拐か!?)
「すんませんけど失礼します」
断りを入れながら依頼人の家に入る。
靴を脱ぎ一誠がリビングに足を踏み入れると、地面にあった液状の様なものを踏んでしまった。
「あ~、靴下汚しちゃったよ。ん?って、これ血じゃね?」
地面にたまっていたのは血だった。それも尋常じゃないほどの出血量。
「ま、まさか!?バカとテストと召喚獣に出て来るムッツリーニ並の初心なチェリーボーイの鼻血か!?」
「いやいや、そりゃあ無いっしょ!?」
男の声がした。一誠以外の男性の声。
「!」
一誠が声のした方向を見ると白髪の少年が神父のコスプレをしてそこに居た。
先ほどのツッコミはこのコスプレ少年がした模様。
「コスプレ大会!?」
「ちげえから!」
「それじゃあ、依頼人の趣味!?」
「違えよ!依頼人はそこに居んだろ!」
コスプレ少年が指をさす方向には、逆さ磔にされ、手足と胴体にぶっとい釘を刺された男性の哀れな姿があった。
「…これは」
「悪魔を常習的に呼ぶ奴みたいだったからさ~そんな終わった奴なら俺が人生をENDにしてやったわけですよ」
「どうやって逆さ磔にしたんだ?と言うか無駄な労力をご苦労様。神への反逆、もしくは相当な恨みがあったと見える」
「え、いや、反応そこ!?」
「え、他に何の反応をしろと?」
「何でこんな事をするんだ!とか言うんじゃねえ?普通」
「成程。近頃の強盗は神父の格好をし、あまつさえそんな設定に拘るのか……」
「いや、コスプレじゃねえし!リアル神父だ!!」
「うっそだ~」
「いやいや、マジ。マジっすわ!!」
「信じらんねえよ。それじゃあ、聖書の内容を全部この場で音読してみて。聖書を見ずに」
「え!?」
「ほら、出来ねえんじゃん。この自称神父」
「自称じゃねえし!リアル神父だし!」
「分かった分かった。この似非神父」
「殺す!」
神父のコスプレをした少年は懐から銃と刀身の無い柄を取り出す。
そして、柄から光の刀身が出て来た。
神父のコスプレをした少年は一誠にその光の刀身で斬りつける。
「ハア」
一誠はため息を一つ吐き、手の神経を集中させる。
そして、
「悪魔君、アーメンってね!」
神父のコスプレをした少年が自身に斬りつける光の刀身の剣だけを奪う。
少年に気付かれぬまま。
「ほえ?」
神父の格好をした少年は先ほどまで握っていた剣が無くなっていた事に気が付き間の抜けた声を上げる。
「剣が無い?」
「探し物はこれか?」
一誠は神父の格好をした少年の手から奪った剣を見せながら言う。
「返せ!」
神父の格好をした少年は持っていた銃を一誠に向けて発砲する。
発砲音が出ない銃。
それを少年は一誠に向けて発砲した。
一誠はその銃弾を避ける。
「!おいおい、ふざけんじゃねえぞ糞悪魔。とっとと当たって死ねや!」
発砲音の出ない銃を一誠に向けて連射する神父の格好をした少年。
「ハア」
再びやる気のないため息を吐くと全神経を集中させて少年が発砲する銃を取り上げた。
「!」
気が付けば銃も取り上げられた事に神父のコスプレをした白髪の少年は激怒する。
「ふざけんなよ糞悪魔が!」
憤怒の形相で一誠を見ながら先ほど一誠が取り上げた光の刀身の剣を懐から出し、両手に持つ。
「……馬鹿め!」
神父のコスプレした少年から取り上げた銃で神父の足元を狙いながら片手で撃ち始める一誠。
「戦術も成ってない。剣の力量もいまいち。結論、激情に任せて突っ込んでくる単なる三下か。つまらぬ」
神父のコスプレをした少年は一誠から撃たれる銃弾の回避に精一杯であった。
「どうだ?狩る者から狩られる者になった気分は?」
「チッ!」
一誠を睨みつけながら舌打ちをし、回避する神父のコスプレをした少年。
そんな少年に一誠は更に言う。
「撃って良いのは撃たれる覚悟のある奴だけだとルルーシュは言っていたな。貴様は何の覚悟も持たず人に銃を向けていたのか?」
「クッ!」
回避に専念するしか出来ない事に少年は苛立ちを覚える。
カチッ
少年の反撃の合図は銃弾を全部撃ち終わった銃から発せられ少年は動いた。
「チャーンス!」
両手に持った光の刀身の剣を一誠に向け斬りつける。
「そんなのある訳無いだろうが!」
自身に斬りつけられる剣よりも一誠の蹴りの方が早かった。
一誠の蹴りは少年の鳩尾に入り、少年は一誠の蹴りを食らい後ろに吹っ飛ぶ。
リビングに設置されていた食卓テーブルを巻き込みながら少年はド派手に吹っ飛んだ。
けたたましい音がリビングだけではなく家全体に響き渡る。
「先ほどの音は一体……キャアアアアアア!!!」
一誠が悲鳴の方向を見れば何時か教会に案内したシスター、シスターアーシアが居た。
シスターアーシアは壁に逆さ磔となっている男性の亡骸をみて悲鳴を上げた。
「!シスターアーシア!?君が何故ここに!?」
「一誠さん!?」
「おやおや、アーシアちゃん。結界は張り終ったんですかな~」
一誠がアーシア以外の声の方向を向くと一誠に先ほど蹴り飛ばされた少年が立ち上がっていた。
「フリード神父、これは一体!?」
「アーシアちゃんはルーキーでしたな。俺らはぐれ神父は、こうして悪魔と悪魔に手を出す終わった人間を殺すことがお仕事ざ~んす」
「そんな!」
「そして、そこの悪魔君も抹殺対象DEATH」
「そんな一誠さんが!?」
白髪の神父の格好をした少年、フリードに言われ一誠の顔を見るアーシア。
その表情は驚きの表情となっていた。
「そこの悪魔君は絶対に殺すんDEATH。なんせ、この僕を蹴っ飛ばしてくれたんですから」
そう言うフリードと一誠の間にアーシアは、両手を広げ一誠とフリードの間に割って入る。
「おやおや、アーシアちゃ~ん。一体どういう事ざんすかね~。これは」
怒りがにじみ出た声でアーシアに尋ねるフリード。
「悪魔だからと言って殺して言い訳がありません!」
「ハア!?おい、手前!頭に蛆でも湧いてんのか!?」
光の刀身の柄でアーシアの頭を横殴りに殴る。
それを見た一誠は
「おい!ふざけんなよ!!」
ぶちギレていた。それもそうである。一誠の依頼人であり、一誠の
いや、それは百万、百兆歩譲って良しとしよう。
だが、目の前の男が女であるアーシアに暴力を振るったのだ。一人の男としては見過ごせるわけもない。
それと同時に目の前の少年神父フリードの立ち位置が守るべき対象から害悪にしか成らない下等生物へと降格した。守るべき対象で無くなった生物に、害悪にしか成らない下等生物に兵藤一誠は容赦しない。
「旦那には殺すなとは言われたけれど他は特に何も言われてねえし、姉さんからも何にも言われてねえ。ちょっと位傷物に成っても文句は言われねえよな。アーシア君に僕の傷ついた心を体で癒やして貰いましょうかね。ヒャハハハ」
一誠の言葉が聞こえていなかったのか、フリードはそう言いながらアーシアの両袖を光の刀身の剣で壁に突き刺してアーシアを拘束した。
その様子を見た一誠は怒りで体を震わせる。
「下種がふざけるな。ふざけんなよ、下種似非神父!!」
「あん?」
一誠の怒りの声にやっとフリードは一誠の方を向いた。
「手前、それでも男か!アーシアを傷物にする?ふざけんなよ!!」
「何々?悪魔が正義とか振りかざしちゃうの?」
「似非神父。手前だけは許さねえ!」
一誠はそう言うと
(おい!いつまで寝てんだ白虎!いい加減起きやがれ!!!)
白虎を強く思った。
【beast】
右手から数年ぶりに機械じみた声が聞こえ、そして
『すまない。何故か封印されていた。強く思われたので封印が解けた』
懐かしい数年ぶりの白虎の声を聞いた。
「そんな事はどうでも良い。それよりもいくぜ白虎!目覚めて早々のブッ飛ばす敵は目の前の虫けら以下の下等生物だ!」
『応!』
一誠の右手に白い籠手が現れ
【beastbeastbeastbeastbeastbeastbeastbeastbeastbeastbeastbeastbeastbeastbeast】
と籠手から機械じみた声が連続で発される。
突如、籠手に風が纏わりついた。
「悪魔が調子に乗ってんじゃねえ!」
フリードは走りながら剣を上段から構えると一誠に向かって振るう。
その振るわれる剣を一誠は全て避ける。
(!体が羽のように軽い)
自身の体が羽のように軽く思う以上に体が動くことに驚く。
『神器を発動させているからな。我の力は、風と雷をどこでも発生させ支配する能力。荒野を疾風の如く駆ける我に相応しき力よ』
「OK!拳に纏わりついているのはその力って事か」
白虎とやり取りをしていると白髪の少年神父フリードから剣が振るわれる。
「何をごちゃごちゃと!とっとと消えろ糞悪魔!」
フリードから振るわれる剣を避けると同時に一誠は
「かっ消えろ害悪にしかならねえ下等生物!」
籠手を装備した右拳をフリードの体にぶつける。
拳をぶつけた瞬間籠手に纏わりついた風がフリードの体に衝撃波と成ってフリードを吹き飛ばす。
ガシャアアアアアン
窓ガラスを勢い良くぶち破りフリードは一誠によって星となった。
フリードを星にして籠手を納めると突如、床が青く光りだした。徐々にとある形を作っていく。
グレモリー眷属の魔方陣。
魔方陣が完成すると魔方陣が光りだす。
魔方陣から一誠の見知った人たちが現れる。
「兵藤君、助けに来たよ」
スマイル顔で現れた木場。
そんな木場に一誠は
「遅えよ。もうぶっ飛ばし終えた所だ」
「あらら」
出番無しに成った事に木場は苦笑する。
「っと、そんな事よりも」
一誠は壁に拘束されたアーシアを助ける。
両袖を突き刺していた剣を抜き、アーシアの拘束を解く。
「一誠さん。ありがとうございます」
「良いって事よ。あの男の風上にも置いとけねえ糞似非神父をブッ飛ばしたし、君もあいつをぶん殴りたかっただろうけれども代わりにぶん殴っといたからまあ良しとしてくれや」
「いいえ。ありがとうございます」
二人がそんなやり取りをしていると木場と共に魔方陣から現れた姫島朱乃が同じく一緒に転移して来た主のリアス・グレモリーに言う。
「部長、複数の堕天使の気配です」
「解ったわ。一誠魔方陣に乗りなさい帰るわよ」
一誠はリアスの言葉を聞くと彼女の方向を見て尋ねる。
「アーシアも一緒にか?」
リアスは嘆息しながら言う。
「残念だけれどもその子は無理よ。その子は人間だし、この魔方陣はグレモリーの者しか転移させれないの」
「……そうか。なら、先に帰ってろ。俺は、アーシアを連れて帰る」
「!無理よ!!複数の堕天使が相手なのよ!下級悪魔の貴方がどうこう出来るわけじゃないわ!さっきは偶々はぐれ悪魔祓いを倒せたみたいだけれども「五月蠅え!とっとと行け!!」!………解ったわ。それじゃあ先に部室に帰って待っているわ」
「ああ」
「一つ言わせて貰うわよ」
「なんだ?」
「私の眷属に欠員が出るなんて許さないわよ!」
「あ~、了解了解。先に帰っていろ。俺もすぐに帰るわ」
一誠の言葉を聞きリアスは踵を返して魔方陣の上に乗る。
一誠は服の裾を引っ張られる感覚がし、その原因を見ると妹の白音が一誠の服の裾を引っ張っていた。
「……兄様、一緒に帰りましょう」
上目使いで言う妹の白音。そんな妹の頭を撫でながら一誠は言う。
「お前も先に部長と共に部室に帰ってろ」
「でも!」
「心配すんな。お前の兄貴なんだぜ?信じろよ」
最早何も言っても無駄だと知った白音は
「……解りました。必ず帰って来て下さい」
とだけ言うと一誠のそばを離れリアスと共に魔方陣に乗った。
「行きますわよ」
姫島朱乃の声を合図に床に描かれた魔方陣が光り、一誠の前からオカルト研究部の部員と魔方陣が消えた。
魔方陣が消えると一誠はアーシアに尋ねる。
「君は今の居場所に戻りたいか?俺は今の君がそう望んでいるとは思えないが……」
「私は戻りたくありません。平気で人を殺す所なんて」
「そうか」
一誠はそう呟くと学生服から携帯電話を取り出した。
「でも、このままでは一誠さんに迷惑がかかります。ですので私を置いて行って貰っても「あー、うんそれ無理」え?」
「俺ってさ曲がりなりにも男だし、つーかオスだし。女の子を置いて逃げるなんてあの似非神父のような悪魔ではあるけど腐っちゃいねえし。何よりも高々この程度なら幾らでも対処できるから気にすんな」
一誠はアーシアにそう言うと携帯電話でとある所に電話を掛ける。
「あ、あの~、一誠さん?」
「し!」
携帯電話を持っていない左手の人差し指でアーシアの唇をふさぐ。
携帯電話で電話をかけた相手は暫くのコール音の後に出た。
『あ~、もしもし一誠か?』
「ああ。古市、ちーと頼みたい事があんだけれども」
『あ~、なんだ?』
「アランドロンに代わってくんねえか?」
『あー、なに?あのおっさんに様なわけ?』
「ああ。ちっくとアランドロンを貸して欲しい」
『良いぜ。と言うか俺のじゃねえかんな!』
「細けえ事はどうでも良いだろ。とっとと代われ!」
『ったく。ちょっと待ってろ。おーい、アランドロン。一誠から電話だぞ』
等と言う古市の声が聞こえ暫くすると一誠の目的の人物アランドロンが現れた。
『一誠殿、何か御用ですかな?』
「あー、ちーくと手を貸してくれ。俺が今居る所から転移してえから手を貸してくれ」
『了解しました。それでは』
アランドロンの声が切れ通話が切れた。
一誠は携帯をポケットにしまうと「ふう」とため息を吐く。
「あ、あのー、一誠さん?」
不安そうにするアーシアに一誠は
「あー、大丈夫。もうすぐ助人が来るから」
と言うと
「お待たせしました。一誠殿」
無駄にダンディーなポージングをしたおっさんが急に一誠の前に現れた。
「おう、来たか。それじゃあ学校の屋上にでも転移してくれ」
「はい」
アランドロンはそう言うと縦に真っ二つに割れる。
「それじゃあ、アーシア。行くぞ」
「はひい!人が縦に真っ二つに割れました!」
アーシアはアランドロンが真っ二つに割れた事により驚きとショックで気絶した。
「あちゃ~、気絶しちまったな~。こりゃあ何処でもドアを使った方が良かったか?」
頭をかきながら呟く一誠。
後悔後先立たずとはまさにこの事。
「まあ、このまま此処に居ても仕方ねえから移動すっか」
そう言うとアーシアをお姫様抱っこで持ち上げるとアランドロンで学校の屋上に転移する。
「……兄様」
オカルト研究部の部室、そこで白音はソファーに座って呟いていた。
一誠がはぐれ悪魔祓いに遭遇していると感知し、オカルト研究部の部員全員で一誠救出に行ったのだが、悪魔祓いは一誠によって撃退された後だった。その後、複数の堕天使が向かって来ているのを感知し、一誠はアーシアと言うシスターを守るために一人堕天使が向かってきている現場に残ったのだ。無論、家で毎日死ぬほどの修行をしているから心配はいらない。要らないのだが、やはり家族。どうしても心配してしまう。
「…やはり、ここは兄様が帰ってきたら駅前のギガントジャンボパフェを奢って貰うしかありませんね」
一誠の財布の出費が本人の知らない所で確定していた。
白音がそんな事を思っていると
ドゴオオオオオン バキッ
勢い良くオカルト研究部の部室のドアが蹴り開かれた。
勢いが強すぎて最後は聞こえては成らないドアの壊れた音が聞こえたのは白音の気のせいではないだろう。
勢いよく部室のドアが開かれドアを破壊した元凶はズカズカと部室に入ってくる。
両手で気を失った少女、シスターアーシアをお姫様抱っこで抱えた状態で。
そして、気を失った少女を空いているソファーへとゆっくり降ろすと一言。
「あー、喉乾いた」
さほど汗もかいてはいない様に見えるが本人は、服をパタパタと扇ぎさながら夏の暑さを連想させるそぶりを見せる。
「「「………」」」
元凶にオカルト研究部全員の視線が集まる。
本人はみんなの視線に気付くと
「あ?何だよ。そんな鳩がロケットランチャー食らったような顔をして」
「あ、いや、兵藤君?」
「幽霊だと思ってんなら目玉逝かれてるのか?ちゃんと脚があるから幽霊じゃねえかんな!」
そう言って尋ねてきた木場に自身の脚を見せる元凶――もとい一誠。
「貴方、無事だったの!?」
驚きの声をあげる部長のリアス・グレモリー。
彼女は一誠が無事帰って来れないだろうと思っていたので驚きを隠せなかった。
「おいおい、リアス先輩よお。俺を舐めないで頂きたいぞ。あの程度幾らでも対処の使用ができんぜ」
心外だ!とばかりに言う一誠。内心
(敵を殲滅させれたし、何処でもドアを使用して逃げれたし、ギアスによる記憶改ざん。幾らでも対処できたんだけれどな)
と、決して本人の前では言えない事を呟いていた。
「と、兎に角無事でよかったわ」
何とか持ち直したリアスは、一誠の無事に安どの声を上げる。
「それよりもその子をどうしますの?」
一誠が連れてきたシスターアーシアを見ながら一誠に姫島朱乃が尋ねる。
アーシアの立ち位置は悪魔にとって非常にまずい立ち位置でもあった。
堕天使側の人間を拉致したと思われ、堕天使側と悪魔側の戦争に下手をすれば発展しかねないのだ。
「あ~?何言ってんだ?勿の論で助けるに決まってんだろ?」
何言っちゃってんの、この人?と言いたげな表情で当然とばかりに言い返す一誠。
「兵藤君、この件は下手をすれば悪魔側と堕天使側との戦争に成るのよ?貴方、その責任が取れるの?」
そんな一誠に先ほどまで黙っていたリアスが正論を言う。
そんなリアスに一誠は
「あ~?俺にこの子を見捨てろと言いてえのか?んなもん却下だ馬鹿野郎!女一人守れずに男をやってらんねえぜ」
阿呆らしいと吐き捨てる一誠。
そんな一誠にリアスは続ける。
「兵藤君、貴方自分が何をしたのか解っているの!?堕天使側に戦争を起こさせる口実を作ってしまったかもしれないのよ!」
「んなら俺を眷属から外せよ」
「!……貴方、本気で言ってるの?」
リアスは怒りで肩を揺らし、声は怒りがにじみ出ていた。
「勿の論で本気だぜクソッタレ。俺はあんたの下につくなんて一度も言ったことがねえぞ。リアス先輩よお」
「ふざけないで!私の眷属に欠員が出るなんて許されないわ!」
そのリアスの言葉に一誠は
「そっちこそふざけるのも大概にしとけや小娘!」
ブチギレていた。
「俺は今まであんたの眷属になると言った覚えはないはずだぞ!まあ、そこはどうでも良い。だがな、俺の信念は曲げねえ!あんたが情愛深い素晴らしい悪魔だってのは理解した。自分の眷属を思う素晴らしい人だっていうのは尊敬される美点だが、眷属のこいつ等だって意志を持ってんだよ!あんたの眷属かもしれねえが玩具じゃねえんだよ!あんたに迷惑が掛からねえように眷属から外す様に俺は言ったぞ!進言したぞ。それをしないのはあんたの醜い傲慢なプライドが自分の眷属から欠員が出たと言われたら恥ずかしいからと思っているからじゃねえのか!?……あんたに迷惑掛けて悪いとは思うが俺にも曲げられねえ信念があるんだ」
一誠はそう言うと先ほどソファーに寝かせたシスターアーシアをお姫様抱っこで抱き上げると部室を出て行った。
リアスは一誠に言われ自身の唇を噛みしめ一誠が出て行った扉を睨みつける。
悔しい。
この言葉がリアスの心の中にあった。
(確かに私の眷属からはぐれが出た何て言われるのはごめんこうむりたいわ。彼の言った通り私は眷属が欠けるのを恐れていたのも事実)
リアスは悔しさを紛らすために自身の唇をかみしめるしかなかった。
(でも、彼には生きてほしい。私の眷属でいて欲しい)
「リアス」
等とリアスが思っていると彼女の傍で待機していた眷属の姫島朱乃がリアスに話しかける。
「ここは貴女の領土でしょう?堕天使側もそれを承知の筈。堕天使側の者が此処に居る事は本来有り得ない筈でしょう?まあ、どこかに移動中に偶々偶然魔王の妹の領土に足を踏み入れたという可能性も無くは無いけれども…」
「!そ、そうね。朱乃、貴方のお父さんにこの件が堕天使総意の意思なのか尋ねてみてくれるかしら?」
「了解しましたわ。部長」
姫島朱乃はそう言うと魔方陣を展開させて移動する。
「…部長、兄がすみませんでした」
姫島朱乃が居なくなった部室で白音が主であるリアス・グレモリーに謝る。
「でも兄様の気持ちだけは、くみ取ってあげて下さい」
そう言うとリアスに一回頭を下げて部室を退出した。
木場と二人だけになったリアスは窓辺に行き考える。
子猫が先ほど言った言葉を脳内で思い出してみる。
――兄様の気持ちだけはくみ取ってあげて下さい。
そして、一誠が言った言葉を思い出す。
―――あ~?俺にこの子を見捨てろと言いてえのか?んなもん却下だ馬鹿野郎!女一人守れずに男をやってらんねえぜ。
俺の信念は曲げねえ!
「っ!」
「部長!?どうしました?」
リアスは思わず驚きの声をだし、それを聞いた木場がリアスに駆け寄る。
「何でも無いわ祐斗。大丈夫、大丈夫よ」
木場に制止する手振りを見せるリアス。それを見た木場は駆け寄る脚を止めた。
「ごめんなさい祐斗。今は一人にして欲しいの」
リアスの言葉に木場は無言で部室を退出した。
何とも言えない思いがリアスの心を困惑させる。
「……兄様、駅前のメールーヘンのギガントジャンボパフェを奢って下さい」
リアスと半場喧嘩別れした一誠は別荘にアーシアを運び込むと妹の白音にたかられていた。
「え!?はあ!?何故に!?」
訳が解らない一誠は驚きの声を上げ抗議する。
「…兄様。何を自分がしたか解って無いんですか?」
「え、何って……喧嘩上等って云う状況を作った訳でござんますが何か?」
「……よく思い出してください」
「はい」
「兄様ははぐれ悪魔祓いに遭遇しました」
「はい」
「そこでやんちゃをしてはぐれ悪魔祓いをぶっ飛ばしました」
「……はい」
どんどんと自身の立場が悪くなる気がする一誠。
そんな一誠に構わず白音は続ける。
「そこはまあ良しとしましょう。でも、兄様はその後シスターを救うべく私と一緒に部室に帰ろうとせず一人その場に残り私に心配をかけました」
「………はい」
「よって私に謝罪の意を込めて私が今すごく食べたい駅前のメールーヘンのギガントジャンボパフェを私に献上する義務があります」
「いや、待て待て!訳が解らん」
「……何がですか?」
「お前に心配をかけたのは解る。だが、何故俺がお前にギガントジャンボパフェだかメガトンパンチだか解らんが奢らねば成らないんだ!?」
ギガントジャンボパフェ一つ1万5000円。地元の高級食材で作った5人前のドデカいパフェ。地産地消をモットーにしている女性に大人気の駅前のメールーヘンと云うファミレスの店主が提供する極上の一品。口に運べばとろける様なプリンと甘すぎずカロリー計算もバッチリです。
「……もう一度軽くおさらいしましょう」
「はい」
「兄様はやんちゃをしました」
「仰る通りで」
「私に心配をかけました」
「はい」
「結論、兄様は私にギガントジャンボパフェを奢る義務があります。よろしいですね?」
「え、あ、はい」
「……宜しい。それでは私と今すぐに駅前のメールーヘンにギガントジャンボパフェを食べに行きましょう」
「何だかうまく飲まされた感じがするんだが、まあそれでチャラになるなら安いもんか。って、今すぐ!?」
「兄様、反応するのが遅いです」
「ちょっと待て白音、今からは拙い!もうすぐ夕食だ!」
「大丈夫です。すぐ終わります」
そう言う白音の眼はネズミを追いかける猫の眼をしていた。
「え、なにそれ。ちょっと白音さん、怖いんですけれども……」
「……逝きましょう」
「ニュアンスが違った気がすんだが?」
「……気にしたら負けです」
そう言って白音は一誠の腕をつかむと戦車(ルーク)の力をバリバリ使い一誠を連行した。
終始、一誠の腕が連行されて悲鳴を上げたのは言うまでもなく、目的地についても腕の代わりに財布が悲鳴を上げたのはまた別の話だった。