カオスクロススクールD×H 変人紳士な青龍帝 英雄王とアーサー王に育てられし元ニート物語   作:zeke

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べるぜバブに出てくる損な役回りの古市君。
可愛そうだと思い、彼女持ちにしてみました。


戦闘校舎のフェニックス
第二十九変人:古市、春が来ました


時は放課後のオカルト研究部の部室。元はぐれ悪魔祓い+元堕天使を従業員とする警備会社AUOを起ち上げてからさらに一週間。

その間にアーシアが駒王学園に転入するというイベントが発生した。

 

 

「……」

 一誠は無言でこめかみを手で押さえて悩んでいた。

 

 何故なら前方に

「見て下さい、一誠さん!私、悪魔に成りました!これで一誠さんやレイナーレ、いえレイ姉様と同じです!」

 悪魔の翼を出して嬉しそうに笑顔で悪魔に成った事を報告するアーシアがいたのだから。

 

 突然の悪魔に成った事に驚きどう反応して良いか一誠は困っていたのだ。

 アーシアを救出してからと言うものアーシアは一誠の本家で生活している。アーシアの純情な所がグレイフィアやセイバーを初めとする女性陣に気に入られ男性陣も特に不満は無かったのでそのまま生活する事を許可し、アーシアは兵藤家の本家で生活する様になり一誠の妹の様な存在に成ったのだが、そのアーシアが突然の悪魔に成った事に若干の驚きと同様を隠せずにいた。

 

「どういう事だ、リアス・グレモリー。説明を願おうか」

 

 アーシアの傍、オカルト研究部の部室のほぼ中央に設置されているソファーに座っているリアス・グレモリーを見る一誠。その眼はやや怒りがにじみ出ているかのごとく無意識のうちにリアスを睨みつけていた。

 

 そんな一誠を見てリアスは嘆息しながら言う。

「もう、そんなに怒らないでよ。これはアーシアたっての願いなのよ」

 

「アーシアの願いだと?」

 

「そうよ。今朝早くに私の教室に来て大声でお願いされたのよ。悪魔にして下さい!ってね。もう、大声でし

かも教室で言うんですもの。後処理が大変だったわ」

 

ハアと溜息を吐きながら目の前の机に置かれた赤いチェスの駒をいじる。

 

視線をリアスからアーシアに向けると

「そうなのか、アーシア?」

 

「はい!レイ姉さまや一誠さんと同じです」

 パアッと花が出るかのごとく嬉しそうな表情を浮かべるアーシアの姿が。

 

「……ハア」

 溜息を一つ吐き、アーシアがそう思ったのならば何も言うまいと呟く一誠。最早あきらめ半分と言ったところだ。

 

 駒王学園に通っているミッテルトは一誠の兄である白蘭によってどうやって作ったかは知らないがアクセサリー状の天使の力を封印する道具を一誠から渡されミッテルトはいつも常備している。

 一誠も自分や妹達がアーシアの傍に居ない時にアーシアを守る陰の護衛役としてミッテルトにアーシアを守って貰うよう頼み込み、その時に天使の力を封印する道具を渡した。ミッテルト自身もアーシアの一件でそれとなく罪悪感があったので一誠に頼まれた時に

「あ~、了解了解」

と軽く承諾をしたのだ。

 

 一誠はAUOの社長と言う肩書だが本来は学生。曲がりなりにも学生なので学業優先であり本人も学業を優先しているため秘書の元堕天使レイナーレこと、天使レイに会社の事は、ほぼ任せている。故にお飾り社長なのだが本人が口癖のように会社で言う「信じなきゃ始まんねえから俺はお前らを信じる」との言葉で元はぐれ悪魔祓いや元堕天使達で構成されている従業員達からの不満も無く、ギルガメッシュから借り受けた10億も従業員の給料を減らす事は無く社長である一誠の給料から全額支払われており、従業員もそういう事情を知っている為どちらかと言うならば一誠を慕っている状態だ。

 故に一誠の頼みと成らば一誠の手足のように動き従う駒と成りつつある。

 

「んで、俺に何か用か?俺はこう見えて忙しいんだが……」

 

 今日一誠がオカルト研究部に居るのも理由があり、主であるリアス・グレモリーが一誠の教室に現れて「ちょっと来て」と言われ腕を引っ張られてオカルト研究部の部室に来たのだ。無論、リアス・グレモリーが教室に現れなければ部活をサボって古市を粛清するつもりだった。

 

 何故なら古市はミッテルトが転入してきて3日目辺りにミッテルトに告白しミッテルトと付き合い始めたからだ。他人の不幸は蜜の味と謳う一誠。夜な夜なアランドロンが一誠の許に駆けつけて

「貴之が変な女にたぶらかされた~」

と一誠の足もとに泣きつきに来るのだ。はっきり言って気持ち悪くて如何にかしたいのだ。

 

 しかも、丁度そこへ古市が会長であったのだがリア充と成った為新しく会長を交代し新会長と成った松田と元浜が率いる新FFF団がリア充と成った古市をぼころうと計画していた。一誠も自分に夜な夜な泣きつきに来る原因である古市がミッテルトと一緒に居て鼻の下を伸ばしていることに不満を覚え松田と元浜率いる新FFF団と一緒に古市をボコろうと計画していた放課後にリアス・グレモリーの半分拉致の様な形で部室に連れてこられたのだ。不満たまって仕方ない。

 

 本来ならば今頃は古市をボコってアランドロンを押しつけてアランドロンと二人っきりの夜を迎えさせていたのだ。ストレスを発散する予定が発散できずにいたのでイライラしているのだ。

しかも、今日古市をボコった後にすぐさま帰宅する予定だったのだ。

なんでも、ギルガメッシュは今日用事がありヒルダも一誠が帰ってき次第、魔界へ一時帰るとの事を今朝言われベル坊の面倒を見る事に成っている。グレイフィアに任せるという手もあるが何かと忙しいグレイフィアに頼むのは申し訳なかったし、セイバーがベル坊の面倒を見れるかといえば?である。

故に一誠が早く帰宅してベル坊の面倒を見てやる他はなかった。なのでこんな所で道草を食っているとヒルダの剣とベル坊の電撃が飛んでくるかもしれない。

 

「実は【リア充抹殺!】で貴方に【消えろおおお!!!】ああ、もう五月蠅いわね!一体何なの

よ!」

 

 オカルト研究部の部室の紙装甲である壁の向こうから怒号の声が聞こえ、外のグランドから叫び声が聞こえリアスの会話を妨害するためリアス・グレモリーは若干怒り気味。リアスはその原因を見ようと窓側に行き窓を覗くとグランドに手には大鎌を持ち黒いマントを羽織った変な集団が一人の男子生徒を追いかけていた。

 

「ハア、もう五月蠅いわね」

 

ブツクサ言いながら開いていた窓を閉め再び話を再開しようとするがリアスの前に一誠は居なかった。

 

「……一体彼は何処にいたのよ!」

 

怒りで髪が揺らめくリアス。そんなリアスに眷属である木場が言う。

 

「え~と~、一誠君なら『用事が出来たから失礼するぜ!』と言いながら部長が窓を閉めている間に出て行きましたよ」

 

「……」

 

 無言で頭を抑え込むリアス。そんなリアスを見て木場は、あははと乾いた笑しか出なかった。

 

「もおおおおおお!!!」

 

 リアスの大声がオカルト研究部の部室がある旧校舎中に響き渡り、古い旧校舎の外にまで若干響き渡った。

 

 一方、オカルト研究部と言う魔王リアス・グレモリーの居城からさっさと逃げた勇者(笑)な一誠君はオカルト研究部がある旧校舎から出てグランドに向かっていた。窓から見えた手に大鎌を持ち黒いマントを羽織った集団と追いかけられていた男子生徒。彼らの事は大体見当がついていた。

追いかけられていた男子生徒は古市貴之。一誠の友達にして最近彼女が出来た事に調子こいてる下僕兼パシリ。

追いかけていた集団は松田 元浜が率いるテェリーボーイ保護団体 新FFF団である。

まあ、追いかけていた見当は古市を見つけたからなんだろうが、あいつ等のあの勢いじゃ最悪古市を殺しかねない勢いだった。ボコるのは一向に構わんが殺されるのは簡便だ。

だが、パシリもとい小間使いが消えるのは一誠にとって手札が無くなるので困る。古市を生き返らせる手間が面倒くさいのだ。

 

「ハア、面倒臭い」

 

溜息を吐きながらグラウンドへと向かう脚を急いだ。

 

⋆                     ⋆                      ⋆

時は遡り5日前。つまり、ミッテルトが駒王学園に転入してくる2日前の事である。

 

「ハア、彼女が欲しい~」

俺、古市貴之は一人寂しく学校からの帰路を歩いていた。

この頃、親友の兵藤一誠はあの美少女揃いのオカルト研究部に入部しやがって腹が立つ。何でも今はもう入部者を募集していないとか。

くっそ~、入部出来るのなら入部したいぜ。

だって、美少女揃いの部活だぜ!普通健全な男子高校生なら入部して美少女とお近付きに成りたいと思うぞ!だが、あいつはそういう所に無頓着だからな~。あいつとポジションが変わりたいと常々思うぜ。

そう言えば、あいつの周りには美少女ばっか集まりやがる。この前あいつの家に遊びに行った時にはヒルダさんとか言う金髪ゴスロリ巨乳美少女を紹介されたし、振り返るとあいつの周りにはグレイフィアさんを始め、セイバーさんや白音ちゃん。黒歌ちゃんにフェリスさん。新しく海外からのホームステイとか言うのでアーシアちゃんとか言う金髪美少女シスターが居た。

 

「あ~、クッソ!何であいつの周りに美少女ばかり集まんだよ!!」

 

足元に転がる石ころをイライラのあまり蹴飛ばす。

 

「俺なんてあいつにアランドロンとか言うおっさんをホームステイさせられたんだぞ!」

 

 俺は無駄にダンディーなおっさん。

 あいつ、兵藤一誠はたくさんの美少女を囲ったハーレム状態。

 

「何なんだよ、この差は!」

 

満天の青空を思わず見上げて呟く。

 俺とあいつとのこの差は一体何なんだろう?

 常々考えてみるが答えは出ないままだ。

 そして、何故満天の青空なんだ!俺の気持ちはグレーだぞ!グレー!何故に曇りじゃ無いのだ!

 

「痛っ!」

 

前方から声がし、

視線を空から前方に向けると一人の女性が頭を押さえてしゃがんでいた。

彼女の傍には俺が蹴った石ころが転がってあり、俺は蹴った石ころが彼女にあたった様だ。

ヤバイ!

 

「大丈夫ですか!?」

 

俺がしゃがみ込んだ女性に近づくとメキメキと女性から聞きなれない音がし、女性の体に異変が起こった。

背中から蝙蝠のような羽とバッタのような羽が生え、脇腹からは8本の蜘蛛の様な脚がにょきにょきと生え出た。女が振り返り俺の方を見ると口が頬まで裂け、鋭利な歯を覗かせる。

着ていた服は破れ、乳房が露わと成り普通の女性ならば俺はがん見しているが、相手は異形。

異形の化け物はケタケタと笑いながら言う。

 

「美味しそうな小僧だ!その肉を寄越せええええ!!」

 

相手は脇腹から出た蜘蛛の様な器用に動かし、怒涛の勢いで俺に俺に迫る。

パックリと頬まで裂けた口を広げ俺に襲い掛かってくる!

 

「!」

 

あまりの事に体が動かない!恐怖で体が動かない。

化け物は頬まで裂けた口を俺の首に目掛けて噛みつこうとする。

―――駄目だ!体が動かない!!俺はここで死ぬのか!?

眼を瞑り、せめて恐怖だけには臆そうとせず。

――もう駄目だ。

眼を瞑り諦めたその時

 

「ギャアアアアアアアア!!!」

 

かん高い悲鳴を聞いた。

恐る恐る眼を開けてみると化け物の左腕に紫色の光の槍が突き刺さり、肩が消滅していた。

 

「チッ、腕に当たっただけかよ。おい、そこのお前!」

 

声の主は化け物の背、俺と目の前の化け物の延長線上にいた。

青い目に金髪のツインテールゴスロリ風の衣装を身に着けた少女が。

少女はビシッと俺を指さしながら言う。

 

「お、俺?」

 

辺りを見渡してみるが俺以外誰も居ない。

 

「そうだよ!お前以外に該当する奴いねえじゃん!」

 

ごもっとも。

 

「え、あ、はい」

 

「とっとと逃げな。あたいがその化け物を倒しておくからよ」

 

そう言いながら彼女の手に光の槍が現れた。

目の前の化け物の腕を貫いたあの光の槍だ!

 

「その金髪、鮮血で染めてくれるわ!」

 

目の前の化け物は踵を返して憤怒にまみれた表情で少女に向かっていく。

脇腹から出た蜘蛛の様な脚を使って少女に向かって突進する。

頬まで裂けた口は大きく開き化け物の鋭利な歯が覗く。

 

「はん!高々はぐれ悪魔如きがあたいを殺せるわけないじゃん!」

 

はぐれ悪魔

少女の口から聞き慣れない単語が出てきた気がする。

少女は手に持つ槍を投合し、化け物にあてる。

 

「ぎゃああああああ!!!」

再びかん高い悲鳴が異形の化け物から発せられ右半身に槍が刺さりジュウジュウと肉が焼ける音が聞こえる。

化け物がピクリとも動かなくなると少女は化け物の横を通り俺の方に近づく。

その瞬間動かなくなった化け物の脇腹から出た蜘蛛の様な脚が動き、脚の鋭利な先端が少女の背に向かう。

 

「危ない!」

気が付けば俺は少女に飛び掛かっていた。

あの硬直状態をいつの間にか解いていた。

そして、そのまま少女を横に押し倒す。

少女の背に向かっていた化け物の脇腹から生えた蜘蛛の脚は目標である少女の背を見失うと少女が居た場所である俺に向かう。鋭利な蜘蛛の様な脚は俺の服を破り腹を掠めながらすぐ背後の地面へと突き刺さる。

 

少女は驚いた表情と成るも再びその手に光の槍を出して化け物にぶん投げる。

そして、立ち上がると俺の胸ぐらを掴み

 

「何やってんだよ!高々一端の人間がよお!逃げろって言ったじゃん。どうして逃げなかったんだよ!」

鬼気迫る表情となった。

 

「男が女の子に守られるなんて格好悪いだろ」

 

「っ!」

 

「それにお前には傷ついて欲しくねえ!」

 

少女は顔を赤くしてモジモジとし始める。

 

「それは私だからか?」

 

「ああ」

 

これが男だったら絶対に見捨てていた。

うん、断言できる。

むしろ、盾にしていただろう。

なにせ最近はアランドロンとか言うおっさんが毎晩いつの間にかベッドに侵入してきて朝起きたら横で寝ているダンディーな寝顔を見る羽目となっているのだ。

…絶対にアランドロンが居たら盾にしていただろう。

 

「そ、そうか」

顔を赤くしてうつむく少女。

 

「大丈夫か!?」

 ヤバイ!さっきの戦闘で負傷したのか!?

 

 少女に近づき顔を見ようとすると……

 

「み、見るな~!!!」

 

 少女の指が飛んできた。

 指は俺の眼に一直線に飛び込んできて目潰しとなり…

 

「うおおおお、眼がっ!眼がっ!燃えるように痛い!!」

 

 俺の眼にクリッティカルヒットした。

 グウウ!何でこうなるんだよ!!踏んだり蹴ったりじゃねえか!

 あっ、でも、美少女に踏まれるならばそれはそれである意味ご褒美かも。

 

「お前、キモいぞ……顔が」

 

「人の眼を目潰ししといてそりゃねえだろうが!!」

 

 少女の顔が見えないから断言できねえが声から推測するに少女の顔は心底呆れ、凄く引き攣っているのであろう。見えないのが残念で仕方ない。レアなのに

 

「んじゃあな。記憶弄らないでおいてやっから今日の事は忘れろ」

 

少女はそう言うと少女の声のする方から翼が羽ばたく音がした。

白鳥が羽ばたく時の様なそんな音。

 

「あっ!待って!」

 

視力が回復し、声の音声元の少女に声をかける頃には少女の姿は見当たらなかった。

代わりに白い羽が幾つか宙を舞っていた。

 

「あの子は一体何者だったんだ?」

 

俺の声が虚しく空に響き渡った。

 

「……解んねえ。けど、あいつ可愛かったな~」

 

気を取り直して少女のいた方向から踵を返して帰路に就こうとした時

 

「ふぎゃ!」

 

少女が何処からか降ってきた。

正確に言うなら落ちてきた。

 

し か も 、さっき別れたはずの少女が だ

 

少女はうつ伏せに成っている。

 

「………」

 

何だか、もう色々と雰囲気が台無しである。

 

ぎゅうううううごろごろごろ

 

「………」

 

場違いな音は少女のお腹から聞こえた。

しかも少女は先程と変わりなくうつ伏せに成ったままである。

ただ、一部。顔のみが羞恥で真っ赤に染まりあがっているだけである。

 

これは……うん。色々と本当に酷い。

あの子は一体何者だったんだ?で終わってた方がまだ良かった。

こんな再会劇を別れてすぐに、しかも喜劇でも悲劇でもない場面での再会。

これなら街中で出くわしていた方が良かった。

街中で出会って

「あ!」

「あ、あの時の!」

って再会した方が良かった。

うん、取りあえず少女のそばに行き声をかける。

 

「腹、減ってんのか?」

 

「………」

 

俺の問いに少女は答えない。

 

「取りあえず……俺ん家に来るか?腹減ってんだったらお礼…とまでは行かないけれども晩飯位はご馳走するぞ」

 

「……頼む」

 

少女は俯いたまま立ち上がる

心なしか若干耳まで赤くなっている。

 

あれから少女を家に連れ込み、妹にからかわれながらも家族に説明して何とか夕食を一緒に食べているのだが……

 

「それでね、貴之ったら」

 

「へえ、そうだったんですか~」

 

滅茶苦茶うちの家族、特にお母様に気に入られている!?

 

「貴女、聴き手上手ね。もう、うちの貴之とは大違い。月とスッポンよ~。貴女、うちの子に成らない?」

 

「お母様、ありがとう御座いま~す。でも、うちは家族がいるんで…」

 

「そう、残念ね~」

 

「お気持ちだけ受け取っておきます」

 

「本当、ミッテルトさんがお姉ちゃんに成ってくれたらな~」

 

妹のほのかにまで言われて……うう、俺の居場所がねえ!

大好きなハンバーグがしょっぱく感じる。

 

「こら、駄目だぞ~。古市が泣いてんじゃん」

 

「五月蠅い、泣いてなんか無いやい!」

 

ミッテルトだっけ?

今日拾った女の子に同情される俺。

ついつい子供らしく反論してしまった。

美少女が、ニヤニヤとしやがって……

 

「泣きたいのですね……さあ、貴之。私の胸にカモ~ン」

 

ミッテルトから眼をそらすとガタイの良いおっさんアランドロンが俺の前に居た。

おっさんは俺の手を取り慰めてくれるが

 

「……食事中に出てくるな!おっさん!」

 

取られた手を振り払い

ゲシゲシと目の前のおっさんを踏みつける。

全く俺にホモっ毛は、ねえってんの

 

「古市……」

 

「貴之、あなた……」

 

「お兄ちゃん……」

 

「貴之、お前……」

 

ミッテルト、お母様、妹のほのか、父上の視線が痛い!

 

「やめてくれ!視線が痛くて死んじゃいそうだ!」

 

何で俺がこういう目に合わなきゃならないんだ!

 

「……海外の同性愛結婚にも慣れておかなくちゃいけないのかしら?」

 

頬に手を置き真剣な顔つきでそう漏らすお母様。

 

「母さん!俺に同性愛の趣味も性癖も無いからね!」

 

ここは何としてもその様な誤解は何としても解いておかねばならない!

 

「そうだよ、お母さん」

 

妹のほのかが俺の弁護をしてくれる。

おお、流石は妹。持つべきものは良い妹だよな~

心の中でそう呟いていると……

 

「お兄ちゃんは女好きだよ。だって、ほら、こんな本をベッドの下にたくさん隠しているんだから」

 

いつの間にかゴム手袋をして汚いものを持つような感じで俺のエロ本を食卓に置きだした!

 

「うおおお!ほのかよ!お前、何してんの!?」

 

急いで食卓に並べられたエロ本を奪取する。

マジで何してんの!?

公開処刑とか洒落に成んないんだけど!?

 

「何って、お兄ちゃんの性癖を家族会議にかけてんだけれども……拙かった?」

 

首をかしげる妹のほのか。

 

「拙いってもんじゃねえだろうが!?何人の部屋に勝手に入って私物を物色してんの!?」

 

「ほのか、駄目でしょう!」

 

おお、母上もほのかを叱って下さる。

そうだよな。人の部屋に勝手に入っちゃだめだよな!

 

「そんな汚いもの食卓に置いちゃダメでしょう!後で少なくともテーブルクロスは買い換えないと……」

 

「母上!?」

 

え、なに?

エロ本ってそんなに汚い物なの!?

思春期の男子高校生なら誰もが持ってたりする物じゃないの?

こう、ベッドの下にとか押入れの奥にとか机のカギ付きの引き出しの中にとか隠してたりする物じゃないの?!

一誠……は、論外だとしても普通の男子高校生なら一冊位はあるんじゃないの!?

 

「……後でお父さんが処理しておこう」

 

最後に【こっそりと厳重に保管して】と親父の呟く声が聞こえたが……

 

「あなた、もしもその如何わしい本を見つけた場合……骨の一本や二本じゃすまないわよ?」

 

首を傾げて笑顔で言う母上。

後ろに般若のビジョンが見えるのは気のせいだと思いたい。

 

「ハハハハハ、何を言ってるんだい母さん。勿論念入りにガソリンをぶっ掛けて焼却処分するにきまってるじゃないか!」

 

父よ、一つだけ問いたい。

何故に最初乾いた笑いをしながら涙を一滴流したのだ?

 

「そう、なら良いけど……ごめんなさいね、ミッテルトさん。家の男共がこんなんで」

 

「ごめんなさい、ミッテルトさん私の兄がこんなんで」

 

母上と妹のほのかの言葉が胸に突き刺さって痛い!

言葉に棘がありまくって痛い!!

 

「大丈夫ですよ。うち、こんなんでも助けてもらった恩がありますし……」

 

すんません。ミッテルトさん、せめて恩人に鞭をうつ様な発言やめてくれませんか

 

「これからもどうかこんな馬鹿息子を宜しくお願いします。ミッテルトさん」

 

うおおい!親父、手前裏切りやがって!!さっきぼそりと【こっそりと厳重に保管して】とか言ってた人が掌を返すように裏切りやがって!しかも、馬鹿息子!?実の息子を前にして何たる言い草だ!これは是が非でも抗議しなければいけない!

 

「ちょっと待った!親父、実の息子を前に馬鹿息子は「黙りなさい!」……はい」

 

母上に遮られ抗議を断念しなければいけなくなった。

何故ならば俺の頬を何かがかすみ一滴の赤い血が流れたからである。

 

俺は恐る恐る背後を振り返ると箸が壁を貫いていた。

予備動作すら見せなかった母のクナイ投げならぬ箸投げを見せられては黙る以外の選択肢が俺の中で一瞬にして消失した。

今の母上ならば今日出会った化け物も一瞬で撃退してくれる事この上ないだろう。

これで我が家の平和は何時も守られているのだな。

強盗や殺人犯が来ても我が家は絶対安泰だと思わざるを得ない。

この母を目の前にすれば即時の無条件降伏か投降以外の選択肢は消失しよう。命が惜しければの話ではあるが……

 

「ごめんなさいね、ミッテルトさん。うちの貴之、女の子を連れて来るのは初めてだったから、いささか興奮と緊張をしているみたいなの」

 

「お兄ちゃん、節操が無さすぎるよ~時と場所を考えてよ」

 

酷い!関係無くね!?

と言うか、はるか。お前の所為でこうなったのに何言ってんだよ!?

だが、母上の俺を見る鋭い視線を前にして抗議を言う度胸も無く……と言うか母上が抗議を許可させぬと言う勢いで俺を見ている。微笑んでいるが眼が笑ってない。

 

「……はい」

 

なので俺は頷くしか出来なかった。

成るほど。父さんは母さんのこう言う猫被りな所を見抜けなかったが故に母さんと結婚してしまったのか。

世間では結婚は人生の墓場だと言うがこれならば頷ける。

 

「た~か~ゆ~き~ちゃ~ん、ちょっとお母さんとOHANASHIしましょうか。大丈夫、すぐに終わるわよ~」

 

何故だろう。母上の周りにどす黒いオーラが溢れ出ているように見える。

父上は机の下に縮こまってブルブルと震え「死にたくない死にたくない死にたくない」と呟いている。

そして、俺の脚は椅子に座っているはずなのに何故か高速に超高速ピストン宜しくブルブルと震えている。

 

母上は俺の傍によると俺の肩をがっしりと掴み隣の部屋へと連れて行く。

無論、俺は逃げ出すという選択肢は母上に捕まれた時から消失しており、妹は俺を気にすることなくミッテルトさんと話に熱中している。

隣の部屋に引きずり込まれ、扉を閉められた瞬間俺は意識を失った。

 

 

等という事がありながらも晴れてミッテルトと交際をスタートし始めた古市なのだが、今現在新FFF団に追われてリアル鬼ごっこを開催中なのである。

無論勝利報酬はゼロ。負けた時の報酬は古市の命。強制参加の鬼畜ゲーム。

だだっぴ広い学校の校庭を走り、後ろから追いかけてくる鬼のFFF団のレンガや大鎌を投げるといった投合武器を避けながらも終わりの無いゲームをしている。

 

「おらああ、リア充覚悟!」

 

「裏切り者には死の鉄槌!」

 

等とほざきながら追ってくる黒いマントを羽織り手には大鎌を持った武装集団を横眼で見ながら追ってから逃げる古市。

だが、足を絡ませてしまい盛大にこけてしまった。

 

「あ!」

 

その隙を見逃さねえ!と言わんばかりに追いついてくる新FFF団。

マントで隠れた顔はものすごい形相と成っているだろうと予想できる怒涛の勢いで古市との距離を詰め追いつく。

パシンと新FFF団の一人が手に持つ縄を伸ばし古市に近づき、古市を縛りつけようとしたその時、

 

「待って!」

 

と一人の女の子が走ってきた。

女の子の名はミッテルト。古市の現、彼女。

ミッテルトは古市と新FFF団の中に割って入ると手を広げ新FFF団の古市への暴行を止める。

 

「お願い!やめて!!」

 

美少女にやめてと言われたら止めざるを得ない思春期真っ只中の男子高校生。

彼らは思春期真っ只中の男子高校生なのだ。しかも、童貞付きの。

彼らが暴力を振るうのは男であって決して女ではない。

むしろ、美少女にやめて!!と言われたらキュンと来てやめてしまう様なチェリーボーイ共なのだ。

故に古市への暴行の手を辞める。

 

「ありがとう、ミッテルト」

 

パンパンとズボンについた土を払いのけながら謝罪する古市に

 

「良いって事よ。だって、あたい達もう恋人じゃん」

 

と笑顔で返すミッテルト。

二人は手を恋人繋ぎで繋ぐと周囲にハートを出し鼻歌を歌いながらグラウンドを横切っていく。

それをマントの下で血涙しながら見る新FFF団の連中。

口から砂糖を吐きたくなるほどの甘々ラブラブな二人を見て手に持つ大鎌を地面に振りおろし突き刺す。

 

「「「くっそおおおおおおおおおおお!!!」」」

 

大地を揺るがすむさ苦しい男共声がグラウンドのみならず新校舎、旧校舎内まで響き渡った。

 

一誠がグラウンドの新FFF団に着くとそこには雄たけびをあげ、血涙しながら地面に大鎌を突き刺す新FFF団の姿があった。

 

「何してんだお前等?」

 

不思議そうな顔で新FFF団に近づきながら訪ねる一誠。

 

「「うう、一誠ええええええ!!!」」

 

そんな一誠に泣きながら抱きつこうとする新FFF団の会長を務める松田と元浜。

そんな二人の顔をアイアンクローで受け止める。

 

「男に抱きつかれる趣味はねえ!」

 

一誠の言葉を聞き、二人は脱力し地面に咽び泣いた。




古市→ロリ市に進化!!
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