カオスクロススクールD×H 変人紳士な青龍帝 英雄王とアーサー王に育てられし元ニート物語   作:zeke

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なんかそれっぽくないかもしれませんが


第三十二変人:マスターVSサーヴァント

「ん」

 

一誠が目を覚ますと寝ていたベッドの傍に設置している目覚まし時計は午前4時過ぎを示していた。

 

すぐ隣ではベル坊が寝ており、その隣で金髪の髪を下ろしたヒルダが静かに寝ている。

 

「午前4時過ぎ……今日、何かあったっけ?」

 

必死に記憶を辿るも全然頭が働かない。

 

「まあ、予定表見ればいいや」

 

欠伸しながら上半身だけを動かし、ベッドの傍に設置している机の上に置かれている予定表に手を伸ばし、予定表を開くとリアス・グレモリー修行合宿と今日の日付の所に書かれていた。

 

それを見て一気に記憶がよみがえる。

 

「あ~、昨日から修行してたんだっけ?んで、ベルが愚図ったから帰ってきて昨日は親子三人で寝たんだっけな~」

 

隣で寝ているベル坊とヒルダを見て成程成程と一人納得する。

 

「ん、起きたのか」

 

一人納得しているとヒルダが起きた。

体を起こし眼をこすりながら一誠の方を見る。

 

「ああ。おはよう、ヒルダ。今日も修行だ。ベルは連れて行った方が良いな。んでも寝ているのを起こすのも可哀そうだしな~。……そうだ!ヒルダ、ベルが起きたら俺に電話をくれよ、な!電話くれたら迎えに行くからよ」

 

「……貴様が坊ちゃまに気に入られているなど認めたくはないが、坊ちゃまがそう望むなら私もそうするまでだ」

 

何処かふて腐れたように言うヒルダにクスリと笑いを零すとヒルダの頭を撫でながら言う。

 

「そう不貞腐れるなって。ベル坊も、こいつもヒルダ!お前を血は繋がっていなくとも母親だと思ってんだからよ。手前は立派なこいつの親だよ」

「そうか」

 

そう呟くヒルダの表情はどこか嬉しそうにしている。

 

「ああ、それじゃあ行って来る」

 

「ああ。行って来い」

 

ヒルダに見送られながら一誠は【無から有を創る力】で【何処でもドア】を創ると扉を修行場のリアス・グレモリーが所有する屋敷へと繋ぎ、扉を開いてくぐった。

 

 

「さて、とっとと今日の練習の準備でもするか」

 

そう呟くと無から有を創る力でデザートイーグルの幾つもの弾倉と弾を創る。

創った弾を弾倉に入れ、セッティングして今日の練習の準備が終わる。

 

「さてさて、木場君と全員の修行どうすっかな~」

 

頭を張り巡らせ、これからの修行の事について考える。

 

まずは、木場に体力をつけさせ少なくとも半日中走り続けてもぶっ倒れない体にするのと銃弾の速度に眼を慣れて貰う。

 

白音が黒歌と何処まで修行によって能力が開花できるか解らないが、理想としては敵を足止め出来るくらいの力まではつけて欲しい所だ。

 

白音が足止めした所を木場が叩いて終わらせる。

 

アーシアは、確か神器が聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)だったか?レイが回復系の神器だと言っていたのは。

まあ、聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)で傷を負った人のサポートだろうな。

 

極力傷を負わない方が良いんだが、無理だろうな。

 

何せ、相手はプロだ。ルーキーのリアス眷属では踏んできた場数が違う。

 

何よりも向こうの方が実践慣れをしている。こちらの動きが今までの経験から手に取るように解るかもしれない。

 

リアス・グレモリーと姫島朱乃の修行方法が思い浮かばない。

 

「ふう、仕方ない。あの二人の事は全て白兄に任せるとしよう」

 

そう呟きながら弾をセッティングした弾倉をズボンのポケットに詰め込みながらオカルト研究部の部員と+その他協力者が寝食している屋敷へと向かう。

 

 

○■○

 

「さて義弟君には、これから木場君と義妹との1:2のバトルをして貰うよ」

 

白蘭の指示を聞き木場は声を荒げる。

 

「1:2って、少しばかり卑怯じゃないですか!?」

 

木場の言葉を聞き、白蘭は嘆息しながら答える。

 

「あのね、木場君。君が2人を相手にするんじゃないんだよ。義弟君が義妹と君を相手にするんだよ」

 

「な!?」

 

驚く木場を相手に白蘭は続けた。

 

「少なくとも、君は義弟君の強さを見たはずだよ?」

 

「……」

 

木場は、その言葉に黙るしかなかった。

 

昨日の修行で少なくとも木場は一誠にかすり傷ひとつ付ける事は出来なかったのだ。

 

しかも、それどころか修行をし終えた木場が地面に横になって息を整えていると一誠は、欠伸をしながらその様子を眺めていたのだ。

 

体力だけでも一誠は木場を軽く超えていた。

 

修行を思い起こしても、一誠のスピードは木場と互角かそれ以上あるとみても良い。

 

「まあ、別に良いけど俺はマイシスターには手を出さねえぞ」

 

そう言いながら愛銃のコルトパイソンに銃弾を詰める一誠。

弾倉を取り外し、弾倉の中に入っている銃弾を全て取り外し手慣れた手つきで一発一発の銃弾を曲がってないか確認しながら再度、銃弾を詰める様子は様になっている。

 

「別に構わないよ」

 

「まあ、木場には手を出すけどな」と呟き、頬を釣り上げる一誠。

その背後には悪魔がケケケと笑っているかの様な邪悪な笑みを浮かべていた。

 

その様子を見た木場は、お手柔らかにと言いながら項垂れており半分諦めた表情を浮かべている。

 

「お待たせにゃ~」

 

そうこうしていると黒歌が白音と共に一誠のもとに到着し、一誠に抱き着く。

 

「一誠、疲れたにゃ~。癒して欲しいにゃ~」

 

愛銃をホルスターに収め、甘える黒歌の頭を撫でながら笑う。

 

「ああ、黒歌お疲れ様。修行の方はどう?順調?」

 

一誠の問いに、

 

「バッチリにゃ!」

 

黒歌は、親指を立ててにんまりとした表情で答える。

 

「ね?白音」

 

黒歌は、背後にいた白音に視線を向けると白音は無言で頷きながら肯定する。

 

「そっか。そりゃあ、上々だ。良くやったな」

 

一誠は、白音の頭をうりうりと撫でる。

 

「………はい」

 

白音は頬を赤らめ恋する乙女のような表情で一誠を熱い眼差しで見つめる。

 

「むう、黒歌さん空気気味にゃ!一誠、黒歌が一番頑張ったんだから私を褒めるにゃ!」

 

抱きつく力を強め、これでもか!と主張する豊満なバストを一誠の後頭部に押し付ける。

 

「お前は甘えん坊さんだな~」

 

等と言いながら抱きつく黒歌の頭を撫で、黒歌の顔に視線を向ける。

 

黒髪に金色の瞳、道行く男子に尋ねたら十中八九美人と答えるようなスタイル。大人の色っぽさ、つまりは妖艶さを身に纏った雰囲気。

更に頭部には黒い猫耳が生えており、見る者を見惚らせる色香が更にプラスアップ。

つまり、詰まる所美人な妹が一誠に抱きついているのだ。

 

この状態を松田と元浜が見れば新FFF団を直ぐに招集し、団員達も5分以内に集まり得物の点検を終えた状態で一誠に襲い掛かっていただろう。

 

恐らく松田と元浜は、黒い覆面の下に隠した顔は滅類で汚れていただろう。

 

まあ、無論全員返り討ちにあうオチ付きなのだが……

 

「ほらほら、修行に戻るよ」

 

甘ったるい空気を醸し出す一誠と黒歌と白音の三人の中に白蘭が入りながらパンパンと手を叩く。

 

助かったと呟き、安堵する木場だが修行内容を完璧忘れていた。

 

「それじゃあ、白音にももう一度説明するね。義妹ちゃんは、そこの木場君と一緒に義弟君に攻撃する。義弟君は木場君だけ攻撃。OK?」

 

「ああ、了解」

 

「……解りました」

 

「はい」

 

一誠、白音、木場が二つ返事で白蘭に返事するとそのばを後ろに飛びのき、互いに距離を取る。

 

「始め!!」

 

白蘭の掛け声と共に木場は一誠に向かって騎士(ナイト)の力を使って駆け出す。

 

一見、素早い動きで姿が見えないようにも見えるが、一誠はショルダーホルスターに収めているデザート・イーグルを二丁を両手に持つ。

ずっしりとした重量感、太いグリップが丁度良い具合に手に収まる。

 

片方のデザート・イーグルの照準を先程木場が居た場所から木場が走ろうとしていた方向に向ける。

そこには何もない。木場の姿形も無く地面があるのみ。

 

少し離れた所に木々が生い茂っているだけで特に変わった様子は無い。

 

だが、迷わず引き金を引いた。

 

何も見えない所にデザート・イーグルの銃口から銃弾が一直線上に発射される。

 

ダ―――ン

 

銃声が修行場に鳴り響き、銃弾は勢いよく飛んでいく。

そのままの勢いで少し離れた木々に被弾するかと思われた。

 

キンッ

 

だが、銃弾は木々に被弾する事は無く突如現れた木場と木場の持つ魔剣によって弾かれ、軌道をそらされる。

 

「驚いたな。何で僕が此処を通ると思ったんだい?」

 

「んな事は簡単だ。先ず、手前の駆ける方向を見極めりゃあ良いだけだ。動物全般に言えることだが、スピードが出ている物は急停止が出来ねえんだよ。急停止出来たとしてもその時の負荷は計り知れねえ。んで、木場。手前のスピードは昨日の修行で概ね理解しているし、眼が慣れている。だから、後は手前が通る進行方向に手前の通る時のタイミングを合せりゃ、手前が勝手に銃弾の発射方向に突っ込んでくるって寸法よ。それにお前の速度なんてうちの家族に比べたらまだ遅いんだよ!」

 

「だが、まあ」と言いながら一誠はその場を横にずれる。

 

「こうやって、敵が隙を突いてくる事を忘れちゃいけねえがな!」

 

一誠が立って居た場所に義妹の白音の拳が振られ、地面が抉れ小さなクレーターが出来る。

 

そして、その地面から土煙が立ち昇りパラパラと白とが地面を殴った時の影響で土の塊が周囲に飛散する。

 

「……行きます!」

 

一誠を追撃する様に白音は横に避けた一誠に目掛けて拳を振るう。

 

回避したのに拳の追撃が来る為、大きくバックステップを取りながら両方の手に木場の手足にデザート・イーグルの銃口を向けて発砲する。

 

騎士(ナイト)の力を使い銃弾を回避するも、回避した方向に一誠が更に銃弾を撃ってくる為、碌に回避できず魔剣で銃弾の軌道をずらす。

しかも、今度は三発。

 

だが、木場は難なく銃弾を持っている魔剣で弾き弾丸の軌道をずらす。

 

「ヒュー。驚いたぜ、木場。弾丸の軌道を読み取り弾丸の直線軌道をずらすなんてよぉ!」

 

「僕の方こそ君の認識を改めなければいけないね。君が僕の先に銃弾を放つ事は造作もないみたいだからね!」

 

二人が会話している間も一誠はデザートイーグルの銃弾を木場に撃ち放ち、木場はその手に持つ魔剣で撃ち放たれる弾丸の軌道をずらす。

 

「だが、懐に入られたらどうかな?」

 

木場は脚の筋肉と言うばねをフルに使い、自身の今までで最速のスピードで一誠の懐に入ろうとする。

 

「チイ!」

 

一誠は苦虫をかみしめた表情に成りながら右手のデザートイーグルをショルダーホルスターに収めて右手をあける。

 

そして、向かって来る木場の手をとらえ足払いをして体勢を崩させて背負い投げの要領で片手で木場を地面に倒す。

 

「!」

 

気が付いた時には木場は地面に倒されていた。

 

否、その前に景色が反転したがそれは一瞬だった。

 

一瞬で倒された。

 

無論、倒されて後から来るのは……

 

「がはっ」

 

受け身が取れずに勢いが強いまま地面に倒された時の衝撃だ。

 

衝撃の影響で一瞬眼を閉じてしまった。

だが、仕方なかった出来事なのだがその一瞬が一誠にとっては十分だった。

 

左手のデザートイーグルを木場の頭に向けると

 

「あばよ、木場」

 

躊躇なく引き金を引き、発砲した。

 

ダンッ

 

一発の銃声が山に響き渡る。

 

■ □ ■

 

同時刻

とある山に幽霊(ゴースト)は9人の仲間と共に居た。

周囲には木々が生い茂るが前方には河川が流れている。

 

「さっさと魚を山の様に釣ってこい。ランサー」

 

溝の様に目が濁った神父服の男性がランサーと呼ばれる青タイツを履き赤い槍を持った男性に命令する。

 

「おおい!言峰えええ!俺は「令呪を持って命ず。僕と言峰に従え」」

 

幽霊(ゴースト)は、右手をランサーに向けランサーが言い終わる前にランサーに強く念じながら命じた。

瞬時、幽霊(ゴースト)の右手に刻まれていた令呪と呼ばれる痣の様な模様が一つ消える。

 

そして、ランサーは河川へと釣竿を持ってその俊敏な脚を生かして移動する。

 

「ハア、マスターよ。その令呪の使い方はどうかと思うぞ」

 

幽霊(ゴースト)に居た赤い服を着た白髪で褐色の男性が頭、主に米神に手を置き、目の前で起こった事に頭痛で悩まされながら言う。

 

その様子に幽霊(ゴースト)は、こいつ何を言ってるの?と言いたげな表情を赤い服を着た白髪で褐色の男性に向けた。

 

「アーチャー、頭悪いの?それとも……頭、悪くなったの?令呪が無数にあるんだから別に構わないよ。それにどうやら失った令呪もすぐに回復して元通りになるみたいだからね」

 

 幽霊(ゴースト)は、右腕をアーチャーに見せるとそこには無数の令呪と呼ばれる英霊(サーヴァント)を強制的に従わせる絶対命令権の痣があった。

 この令呪は、聖杯戦争と呼ばれる奇跡の願望器を巡り7人の魔術師が7体の英霊(サーヴァント)を召還したときに3つだけ持つ事が出来るのだが、幽霊(ゴースト)はこの奇跡の 願望器である聖杯をその身に吸収する事で奇跡の願望器である聖杯と一体化した。

 つまりは、聖杯自体が幽霊(ゴースト)の意思を持つ様になったのだ。

 

 

 まあ、聖杯自体が過去の聖杯戦争の影響で汚染されてしまったので汚染された聖杯をその身に宿し、聖杯と一体化した幽霊(ゴースト)も無事では済まされず髪は白く変色し、瞳は真っ赤になり、俗にいう黒化したのだが。

 

 アーチャーと呼ばれた赤い服を着た白髪で褐色の男性は、あんぐりと口を開いた

 その様子はまさに開いた口が塞がらないといった様子。もしくは鳩が豆鉄砲を食ったような表情だ。

 

 まあ、何せ急にさらりと毒を吐かれたのだ。開いた口が塞がらないのも無理はないだろう。

 

「地獄に落ちろマスター」

 

 毒を吐きながらもその手に握られている包丁でじゃがいもの皮をむき始め調理を開始する。

 

そう言うが……

 

「誰が強いか。そして、誰が主か教えた方が良いみたいだね。言峰?」

 

「そうだな」

 

 不意に神父に問いかけ、神父がそうにやけながら答えると幽霊(ゴースト)は、満足そうにうなずいた。

 そして、突如幽霊(ゴースト)から黒い泥の触手のような物が現れる。

 

この世全ての悪(アンリマユ)

 

幽霊(ゴースト)から現れた黒い泥の触手のような物は、呪詛を含んだこの世全ての悪。

 

 人の身に降りかかれば強烈な呪詛によってこの世全ての悪の一部を体験する。強烈な呪いだ。

 

 かつてこの呪いを何とか出来た者は二人しかいない。

 英雄王ギルガメッシュ。そして、幽霊(ゴースト)

 この二人だけだ。

 

 英雄王ギルガメッシュも手こずったその強烈な呪いは並大抵な英霊(サーヴァント)では防ぐ事は出来ず、自我を失い性質が悪に成る恐ろしい呪いだが、幽霊(ゴースト)はその存在を作られたが、存在自体を否定され消されると言う複雑な追い立ちを歩んで来た為どちらかと言うならば一体化して更に悪と成ったのだ。

 

更に奇跡の願望器である聖杯も第三次聖杯戦争で敗れたアンリマユと言う反英雄を取り込んでしまい聖杯そのものが悪と成っており、汚染された聖杯をその身に取り込んだ幽霊(ゴースト)に聖杯が力を貸している状態なのだ。

 

「ま、待てマスター!解かった、解かった!私が悪かった」

 

 たじろぎながら焦るアーチャーの言葉を聞き幽霊(ゴースト)は黒い泥のような触手を引っ込める。 

 

「解かれば良いんだよ。解かれば……でも」

 

「?」

 

 不思議そうに首をかしげるアーチャーの肩を不意に背後から掴む者がいた。

 その者を見ながら幽霊(ゴースト)は、笑みを浮かべる。

 

「僕の愉悦に付き合って貰おう」

 

アーチャーは肩を掴む背後の者を見ようと首を後ろに向ける。

 

「さあ、この麻婆豆腐を食べると良い」

 

 外道神父。言峰神父が熱々のどす黒くボコボコと泡立つ麻婆豆腐が乗った平たい皿を片手に持ち、麻婆豆腐が乗ったレンゲをアーチャーの口に押し付けていた。

 

「#$%”#⁉」

 

 驚いた拍子に口を開けてしまい、アーチャーの口に麻婆豆腐が入れられる。

 そして、この世のものとは思えないほどの刺激が味覚という味覚全てをアーチャーから奪い取る。

 

 舌が痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。

 熱い、熱い、熱い、熱い、熱い、熱い、熱い、熱い、熱い、熱い熱い。麻婆豆腐が熱い。 咽喉が焼けるように熱い。

 そして、味覚が感じられなくなっていく。

 

「この世全ての悪ではなく、この世全ての刺激の一部を受けて貰うよ。アーチャー」

 

 そう言う幽霊(ゴースト)の声を耳にしながらアーチャーの口にこの世全ての刺激を凝縮したような麻婆豆腐が次々と流し込まれる。

 あまりの辛さにアーチャーは逃げ出そうとするも、そうは問屋がおろさない。

 

「令呪を持って命ず。その麻婆豆腐を全力で完食せよ」

 

 幽霊(ゴースト)は、ランサーに命じた時のようにアーチャーに右手を向け強く念じる。

 瞬時、幽霊(ゴースト)の右手に刻まれていた令呪が一つ消え、アーチャーに麻婆豆腐を完食するという絶対命令が掛る。

 

 アーチャーは、その手に持っていたジャガイモと包丁を地面に落とし、言峰神父からレンゲをひったくると次々と激辛麻婆豆腐を口の中に流し込む。

 アーチャーの額から滝のように汗が流れ、顔は真っ赤に成るも麻婆豆腐を口の中に流し込む勢いは休むことなく次々と流し込まれる。

 ついには、麻婆豆腐を完食したアーチャーの服は汗でべったりと張り付き、麻婆豆腐の中に入っていたラー油や香辛料のせいで体中が火照っている。

 

「何で発情しているの?アーチャー?」

 

「マスター……君は自分のせいで私がこうなっているのに発情しているというのか?」

 

 アーチャーの眼は、まるで獲物を狙う植えた肉食獣のように鋭い眼光で幽霊(ゴースト)を睨む。

 そんなアーチャーを見て幽霊(ゴースト)は嘆息する

 

「ハア、アーチャー。本当に君は頭が悪いようだね。人間は基本年中発情期なんだよ。だから、アーチャー。君が発情していても何も可笑しく無いんだよ」

 

 それを聞いたアーチャーは両手に2本1対の陰陽の夫婦剣【干将・莫耶】を投影し、黙って幽霊(ゴースト)に向けて構える。

 

「へえ。僕を相手にしようって言うんだ。良いよ。聖杯の力を使わずこの世すべての悪(アンリマユ)も使わず君を相手に勝ってあげるよ」

 

 無表情でアーチャーと対峙し幽霊(ゴースト)を見る。

 

「いけない!」

 

 その様子を傍で見ていた紫色の頭髪をなびかせながら二人の間に入ろうとする幽霊(ゴースト)の恋人、ライダーを外道神父 言峰がその腕を握り止める。

 

「待たないか」

 

「何を!あなたも解っているでしょう。人間と英霊(サーヴァント)では相手に成らないという事を」

 

「そう急ぐ事でも無いだろう。あれを見ろ」

 

 神父が指差す方向にライダーが目を向けると

 

無限の宝剣創造(アブソリューション・ブレイカー)!!!」

 

 

 右手に黄金のレイピアの様な剣を持ち、あらゆる宝剣を羽根のように繋ぎ、巨大な翼を形作る幽霊(ゴースト)の姿があった。

 

「逝け。アーチャー!誰が上か強いのかその体に教えてあげるよ!」

 

 

 右手に持った黄金のレイピアのような剣の剣先をアーチャーに向けると次々と宝剣で創った翼から羽根をまき散らしながら飛翔する鳥のように宝剣の剣先をアーチャーに向け照準を定める。

 そして、無限に等しい量の宝剣で形作られた翼からアーチャーに狙いを定めた宝剣達は、ギルガメッシュの王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)の様に弾丸の如く宝剣で形作られた翼から射出する。

 

 翼から射出された宝剣達は、アーチャーに目掛けて一直線に飛んでいきアーチャーのいる場所の地面にいくつもの剣が突き刺さり土煙を巻き起こしながらもアーチャーに向かって無限に等しい量の宝剣が撃ち出される。

 

 幽霊(ゴースト)は、宝剣を撃ち出す事を一回中断し土煙が巻き起こるアーチャーがいた場所を見つめる。

 

 土煙の中からアーチャーが2本1対の陰陽の夫婦剣【干将・莫耶】で撃ち出され自身に向かって狙いにくる宝剣達を弾き、軌道をそらし、宝剣を壊しながら出てくる。

 

 その様子を見た幽霊(ゴースト)は、赤い瞳でアーチャーを睨み付けながら言う。

 

「本気で来なよ、アーチャー。じゃないと、……本当に死んじゃうよ?」

 

 アーチャーの頬からは、撃ち出された宝剣がかすって斬ったであろう切り傷があり左腕には小さな剣と中くらいの大きさの剣が2本突き刺さっていた。

 

「確かに、マスターと思って油断していた。認識を改めよう。君は……強い!」

 

 

 

そして、両手握る2本1対の陰陽の夫婦剣【干将・莫耶】を消すと宝具の詠唱を始める。

 

 

 

I am the bone of my sword.

――― 体は剣で出来ている

 

Steel is my body, and fire is my blood.

血潮は鉄で、心は硝子

 

I have created over a thousand blades.

幾たびの戦場を越えて不敗

 

Unknown to Death.

ただの一度も敗走はなく

 

Nor known to Life.

ただの一度も理解されない

 

Have withstood pain to create many weapons.

彼の者は常に独り剣の丘で勝利に酔う

 

Yet, those hands will never hold anything.

故に、その生涯に意味はなく

 

So as I pray, UNLIMITED BLADE WORKS.

その体は、きっと剣で出来ていた

 

 

 

 詠唱が終わると共にアーチャーと幽霊(ゴースト)

 そして、戦う二人を見ていた幽霊(ゴースト)の恋人で長身紫色の長髪美人であるライダー、溝のように腐った眼をした英霊(サーヴァント)の様に強い言峰神父、侍であるアサシン、白い髑髏の仮面をつけた黒い肌の男性 新アサシン、エルフ耳で素顔はライダーとは別で美人の何故かローブを羽織っている為美人台無しのキャスター、狂っているバーサーカー、英霊(サーヴァント)ではないが武骨で無口な葛木先生がいつの間にか荒野に無数の剣が突き刺さり、巨大な歯車が空中で回る固有結界の中に居た。

 

「!」

 

 驚く幽霊(ゴースト)を相手にアーチャーは言う。

 

「ならばこちらもそれに相応しい戦い方をせねばなるまい。マスターよ!」

 

 傍に突き刺さっていた剣を両手で二つ抜き、左右両手に一本ずつ持つと颯爽と幽霊(ゴースト)に向かって駆け出すアーチャー。

 

 そんなアーチャーを目掛けて幽霊(ゴースト)は、右手に持つ黄金のレイピアのような剣の剣先をアーチャーに再度向ける。

 

 瞬時再びアーチャーに向かってあらゆる宝剣が宝剣で形作られた翼から弾丸のように射出される。

 

 その戦闘スタイルは、英雄王ギルガメッシュを連想させるかのような戦闘スタイルであった。

 

 アーチャーは撃ち出される宝剣を両手に持つ剣で軌道を逸らし、弾く。

 

 

 何本もの宝剣を弾いただろうか。

 

 数えるも馬鹿らしくなるぐらいの量の宝剣を弾いた剣も流石にひび割れて霧散する。

 

 一向に幽霊(ゴースト)が宝剣で形作る翼は小さくなる事も無く撃ち出される宝剣も勢いを衰える様子もない。

 

「不味いな。これでは、こちらが不利だ」

 

 そう言いながら未だ荒野に突き刺さる傍にあった剣を抜き剣先を幽霊(ゴースト)に向けるアーチャー。

 息が上がり始めた自分を見ながら毒づくが戦闘継続の意を幽霊(ゴースト)に見せる。

 

 そして、幽霊(ゴースト)に向かって再び駆ける。

 

「馬鹿め!無駄だよ、アーチャー!」

 

 弾丸のように無数に宝剣を射出する幽霊(ゴースト)

両脚、左腕、胴に宝剣が刺さりながらもアーチャーは幽霊(ゴースト)の懐に入り込む。

 

「だが、弓兵が懐に入られたらどうかな?」

 

 その手に握る剣で幽霊(ゴースト)に一太刀一閃する。

 

「甘いね。アーチャー」

 

 だが、アーチャーが握る剣が幽霊(ゴースト)に届く事は無かった。

 幽霊(ゴースト)に振るう剣を握る腕を幽霊(ゴースト)が左手で掴み、まるで合気道の様にアーチャーが振るう剣の軌道をアーチャーの腕を掴んだ左手を中心に横にずれる。

 

 そして、がら空きのアーチャーの右手の腹に

 

「龍水虎掌」

 

 右手に持つ黄金のレイピアのような剣を放り棄てて空いた右手で一発入れる。

拳がアーチャーの腹に決まり強烈な衝撃がアーチャーに決まった。

 

「グフッ」

 

 口から血を吐き、後ろにたじろぐアーチャー。

 

 そんなアーチャーに拳を向けながら幽霊(ゴースト)は言う。

 

「僕は、死ぬ前のあいつと同じ体力スペックだよ!アーチャー、確かに弓兵が懐に入られたらお終いだろう、普通は。でもね、何事にも例外というのは存在するんだよ。君叱り。そして、僕もその例外だ。僕の、僕たちの真骨頂は近距離戦にこそあるんだよ!」

 

 後ろによろけるアーチャーに止めを刺そうと拳が振るわれる。

 

「!」

 

 だが、拳がアーチャーに当たることは無かった。

 拳はアーチャーの顔に当たる5cmくらいの空中で止まった。

 

 幽霊(ゴースト)の拳を止める者がいた。

 

「そこまでにしておけ」

 

 幽霊(ゴースト)の師クロウ・クルワッハだ。

 拳を止めたクロウの顔を見ると幽霊(ゴースト)は深呼吸をし、

 

「ああ。おかえり、マスター」

 

 笑顔で出迎える。

 

「何故だ!?何故入って来れた!?」

 

 アーチャーは自身が張った固有結界を見るといつの間にか固有結界が霧散していた。

 

「そうか、成程。いつの間にか固有結界が切れていたのだな」

 

 そう言いながら観戦していた観客達のいる所へゆっくりと歩くアーチャー。

 そして、たどり着くと地面に腰を下ろす。

 

「へ、だらしねえな。アーチャー。マスターなんぞに後れを取るなんてよぉ」

 

 いつの間にか魚釣りから帰ってきた青く長い髪をポニーテルで一纏めにし、青タイツで赤い長い槍を持つランサーがアーチャーに茶々を入れる。

 そんなランサーにアーチャーは、疲れ切った声で言う。

 

「ランサー。君はバカか?」

 

「何だと!?」

 

「今の戦いを見てわからなかったのか?我々のマスターは下手な英霊(サーヴァント)よりもよっぽど強い。何しろ私の攻撃する手を取った位だ。君も英霊(サーヴァント)なら解るだろう?」

 

 ランサーはアーチャーにそう言われ幽霊(ゴースト)を見る。

 そこには、彼の師クロウ・クルワッハと楽しそうに話す幽霊(ゴースト)の姿が目に映った。

 

「ああ。俺らのマスターは、普通の魔術師なんかよりもよっぽど強いって事が解るぜ。俺らも強く成んなきゃなあ」

 

 ニヤリと楽しそうに頬を吊り上げるランサーを見ながらアーチャーは無言で頷いた。

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