カオスクロススクールD×H 変人紳士な青龍帝 英雄王とアーサー王に育てられし元ニート物語   作:zeke

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遠距離圧縮魔力銃アルテミス……一誠が【無から有を創る力】で創ったL96A1型の狙撃銃。使い手の魔力を弾丸として使用しており、一誠の魔力が魔王クラスだったので一誠が創ったは良いが銃自体が一誠の魔力量に耐えられなかった為、長年不要とされていた銃。アーシアの修行終了を記念して一誠からアーシアに譲渡された。


第三十三変人:ライザー眷属VSリアス眷属

「さて。これで修行は終わりだ。約束通り俺は依頼人の依頼に応えに行くぞ。リアス先輩。はっきり言ってあんた等勝つ可能性は……限り無くゼロに近い」

 

 そう言う一誠の言葉を聞きリアスは驚きの声を出し、眼をまん丸くした。

 だが、一誠は一つの助言を口にした。

 

「んでも、ゼロじゃないんだ。ゼロでない以上勝てる可能性もあるって事だ。抗え。自らの運命を宿命を必死に抗い運命を打ち破って見せろや。先ずは大将以外を全員10分以内に打ち破って見せろ。んで、大将の戦意を削ぐ。後は全員でリンチ……じゃなくて一斉攻撃。休ませる暇なく攻撃をして相手を叩け。以上、俺の講義を終了。お疲れ~」

 

 一誠はそう言いながら二階の窓から飛び出し外に出る。

 空中で背中から悪魔の翼を出して翼を羽ばたかせる。

 

「ハア、あの子は思い通りに行かないものね」

 

 リアスは、そんな一誠の後姿を見ながら嘆息する。

 

 そんなリアスの言葉に白音は、それが兄様ですからと頷く。

 頷く白音の横で白蘭が何故かジャンボパフェを食べながら一誠を見送っており、白蘭の横では一誠との修行で途中から銃弾が特殊なゴム弾になり、そのゴム弾をしこたま浴びてイケメンフェイスが見る影も無くなったほど顔が腫れあがった木場が一誠を見送っていた。

 

 一誠が見送られて向かった場所。

 それは、バイト場所ではなく駒王学園だった。

 オカルト研究部の部室の扉を開け中に入る。

 一誠の視線に見慣れた部室が映る。

 

「へへへ。久しいな可愛い子ちゃん」

 

 部室の隅に置いてある物に布がかけられていた。

 

「んじゃ。久しぶりのその顔を見させて貰おうか」

 

 キャラ崩壊しまくっているが勢いよくその布を払い除けるとそこにあったのは……

 

「灰だと?」

 

 灰だった。

 

「何故だ!?俺の愛しいライトノベル()漫画(愛人)が何故灰に成らねばならぬのだぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 慟哭を始め、ダンと床を叩いた。

 溢れんばかりの涙を流し、悲しみに暮れる。

 

 その時、ポケットから携帯のアラーム音が流れた。

 

「……行かなきゃ」

 

 一誠は【無から有を創る力】で空き瓶を創り、そっと灰を空き瓶の中に入れて栓をする。

 

 服の袖で涙を拭き、パンパンと頬を叩き気合を入れる。

 

「虚しいね。そして、これが悲しいという感情か。この力を使う対価としちゃあ総合的にみるなら安いのかもしれないな。俺個人としてはどちらも捨てれないけれどね」

 

 灰を入れた空き瓶をポケットに入れる。

 

「じゃあな。お前の仇は―――」

 

――俺がとる。そう言いながら【何処でもドア】を創り扉を開く。

 行先はバイトの上司の所だ。

 

◆◇◆

 小型船が港に停船し、船から男の声が聞こえる。

 

「おう、お前若いのに良く働くなあ。良い仕事っぷりじゃねえか!これでお前さんも一人前の漁師だな。ハッハッハ」

 

 年は、50代後半であろうか。

 白髪が混り借り上げの頭に鉢巻を巻いている。筋骨隆々とはしていないがそれでも40kgはあろう網を3つ一偏に運ぶため網を重ねて持ち上げた。

 前方にカッパを着て目の前でせっせっせと網を運ぶ若い男を見ながら豪快に笑いながら一緒に網を舟の淵まで運ぶと港に向かって放り投げる。

 

「ええ。働けるんなら働かないと。働かざる者食うべからずってね。これ、俺が好きな言葉なんですよ。それに、若い内に色々な職業に手を出して自分に合う職業に就職したいので」

 

 若い男はそう言いながら港に網を投げ込むと走るように船の中を歩き、次の網を運び始める。

 

「そうか。つっても、今時の若いもんに比べたら大したタマだぜ兄ちゃん。最近の若いもんは、ひ弱でだめだ。その点、お前さんは社長に眼をつけられるだけあるぜ」

 

 若い男が船の淵まで網を運ぶと港に向かって放り投げる

 運んでいた網が後4つに成ろうとした時、突然港の方から声がかかった。

 

「お~い、兵藤。客人だ。お前さんに会いたいだと」

 

「……俺に?」

 

 若い男―兵藤一誠は後ろにいた50代後半の男の顔を見る。

 

「おう、行って来いや。もうじき休憩だったし少し早いがお前さんが行っても構わねえよ」

 

 その言葉を聞き、一誠は「お先に休憩いただきます」と言って挨拶をすると船から飛び降り港に着地すると声をかけた男に案内されながら客人が待つ場所へと案内される。

 

 一誠が案内された場所。

 そこは、普段バイト期間の5日間の間にまかないとして出される朝食を食べるログハウスだ。

 ログハウスに入ると3つの長テーブルが連結されており、綺麗に椅子が並べられていてその椅子に一人の若い男性が座っていた。

 赤い、紅の様な色をした長い髪に黒いスーツで身を包んでいる。

 そんな彼の背後に顔見知りの女性が待機しており一誠はその女性を見ると何故か鼓動が高鳴った。

 

(久しぶりに家族の顔を思い出して気持ちが高ぶったか?)

 

 冷静に自分の鼓動が高まったことを冷静に分析しながら若い男性の前まで移動する。

 

 若い男性は一誠が正面に立つと立ち上がり笑顔で話しかける。

 

「やあ、君が兵藤一誠君だね?」

 

「人違いです」と言ったが目の前の男性の後ろに立っている女性を見て、はあ。誤魔化しきれねえよなあと思いながら言葉を付け足した。

 

「………と言っても、俺がここに来た段階で俺が兵藤一誠だって事がばれてんだろう?」

 

「まあね」

 

「ならば隠し通せる訳もねえよなぁ。いかにも。俺が兵藤一誠だが?」

 

「僕はサーゼクス・ルシファー」

 

 目の前の男、サーゼクス・ルシファーと名乗る男を見ながら一誠は首を捻り記憶をたどった。

 合宿中で現魔王の事を教えられたからだ。

 

「確か現魔王様だったか?」

 

「ああ。リアスの兄でもあるよ。リアスの眷属である君の事を聞いてね」

 

 そんな二人のやり取りをサーゼクスの後ろで待機して見ていたアリアンナは、サーゼクスの言葉を聞き一誠からブチッと聞こえては鳴らない音が聞こえたような気がした。

 

「だ~か~ら~、俺はリアス・グレモリー(あいつ)の眷属じゃねえと言ってんだろうがっ!!!」

 

 一誠は両手に【無から有を創る力】でデザート・イーグルを創ると銃口をサーゼクスと名乗る目の前の男に向ける。

 

「サーゼクス様!」

 

 驚いて後ろで動こうとするアリアンナを手で静止の合図を送るだけでピクリともしないサーゼクスを見て一誠は興味深そうに見る。

 

「ほお!だてに王をやってはおらんようだな……頭は悪そうだが」

 

 銃を下げ銃口をサーゼクスの頭から地面に降ろすと【有を無に変える力】で無に帰して椅子に座る。

 

 そんな一誠を見ながらサーゼクスは、こりゃあリアスも手を焼く。リアスは、とんだじゃじゃ馬を眷属にしたようだねと苦笑する。

 

「それで?俺に何の用だ?」

 

 先ほどまでのやり取りを気にする事もなく話すが、一誠はサーゼクスを大したタマだと密かに心の中で評価する。

 

「君に土産物を持って来たんだよ」

 

「土産物?」

 

「ああ」

 

 サーゼクスは手元に小型の魔方陣を発現させると一誠の目の前に一つの立体映像が映し出された。

 

「これは?」

 

「リーアたんとその眷属が昨日ライザーフェニックスとその眷属と戦ったんだが、その時の映像だ」

 

 パンとサーゼクスの後ろに待機するメイドがどこから出したのかわからないハリセンでサーゼクスの頭を叩いたのを見てカラカラと笑いながら再度立体映像に視線を向ける。

 そこには―――

 

 

 

 

 

 僕、木場裕斗は一誠君を除くオカルト研究部員の皆と部室に集まっていた。

 部長は戦術の本を読み、朱乃さんはそんな部長にお茶を入れている。部室のソファーで小猫ちゃんがヨウカンを食べており、アーシアさんに至っては部室の椅子に腰を掛けて時を待っていた。僕も手甲を装着し時間を待つ。

 

 開始10分前に部室の魔法陣がひかり、アリアンナさんが現れる。

 

「皆様、準備はよろしいですか?開始10分前です」

 

 アリアンナさんが確認をとると皆、無言で頷き立ち上がる。

 

「開始時間に成りましたらここの魔法陣から戦闘フィールドへと転送されます。異空間に作られて、使い捨てとなっておりますのでどんなに派手な事をしても構いません」

 

 アリアンナさんにそう説明を受け、説明を受け終わってすぐに僕達を光が包み込んだ。

 ああ、これは転移の時の感覚だ。もうすぐ戦いが始まる。僕達、グレモリー眷属にとって最初の初陣である非公式のレーティングゲームが始まる。

 

 

 転移をされるも部室にいた。

 だが、動揺はしない。さっき転移されたのは確かだ。

 と言う事は、今回ここが戦闘フィールドなのだろう。

 

『皆さま。この度はグレモリー家とフェニックス家の「レーティングゲーム」の審判役を担う事になりました、グレモリー家の使用人、アリアンナでございます』

 

 校内放送でアリアンナさんの声が聞こえる。

 

『我が主サーゼクス・ルシファーの名のもと、ご両家の戦いを見守らせていただきます。どうぞよろしくお願いします。早速ですが今回のレーティングゲームのフィールドはリアス様とライザー様の意見を参考にし、リアス様の学び舎 駒王学園のレプリカを参考に作らせていただきました。両陣営 転送された先が「本陣」でございます。リアス様の本陣が旧校舎のオカルト研究部の部室。ライザー様の本陣が新校舎の生徒会室。「兵士」の方は「プロモーション」をする際に相手の本陣の周辺まで赴いてください。……開始の時間となりました。ゲームの制限時間は夜明けまでです。では、始めてください』

 

 そう言って放送が切られ、戦いが始まった。

 

 みんな、集まって!と言うリアス部長の指示に従い、僕たちは彼女の元まで行くと机に地図を広げてリアス部長は指示を出す。

 

「この地図を見て頂戴。皆ももう解っていると思うけれどもこの地図は駒王学園の地図。ここが放送にもあったライザーの本陣」

 

 そう言って部長は地図に描かれている新校舎の生徒会室を指さす。

 それを見て僕は、

 

「部長、旧校舎寄りの体育館。これを先に占拠しませんか?運動場も良いですが眷属全員に囲まれてしまっては、こちらが不利です」

 

 僕の意見に部長も同じことを思っていたのか頷いた。

 

「そうね。裕斗と小猫は森にトラップを仕掛けて頂戴。予備の地図を渡すからトラップを仕掛けた場所に印をつけておいて。朱乃、小猫と裕斗が帰ってきたら空を含めた森周辺に霧と幻術をありったけかけておいて」

 

「「「はい」」」

 

「全員が帰ってくると同時にライザーに仕掛けるわよ!ライザーの眷属を個々に早期に撃破。短期決戦でライザーの眷属を早期に撃破してライザーの心をへし折るのよ!!」

 

 その言葉を背にして僕達は部室から出て行く。

 

 

 部長に言われた通りに森にトラップを小猫ちゃんと仕掛け終り、部室に戻って来ると朱乃さんが一足先に帰ってきていた。

 

「終わったみたいね。皆、これをつけて頂戴」

 

 部長は僕たちが帰って来るとそう言って僕達に丸い光るBB弾より少し大きい球体を差し出す。

 

 ……これは、確か魔力で動く通信機。

 

通信機をつけ終わると

 

 

「皆、敵を15分以内に撃破しましょう!!祐斗と小猫は、体育館に向かって頂戴!敵が体育館内に集まったら、朱乃。あなたの雷で体育館ごと敵を撃破。アーシアは私と一緒に部室で待機。皆、敵を発見。もしくは、敵に発見されたら私に知らせて頂戴。さあ、可愛い私の眷属たち。フェニックスとの戦いよ!誰一人欠ける事も無くライザーの所までたどり着いて私達の力を思い知らせてあげましょう!」

 

 

「「「はい!!」」」

 

 

 

 

 

 

「………敵が来ました。こちらに向かって来ています」

 

 

 体育館に向かう道中、小猫ちゃんが僕にそう教えてくれる。

 ああ、もう!体育館はもう目の前だって言うのに!!

 取り敢えず、部長に報告する。

 

『部長、敵が来ているようです。目視で未だ確認は出来ていませんが体育館に向かっている道中で接触しそうです』

 

『そう。解ったわ『部長さん、任せて下さい』……アーシア?』

 

『私も一誠さんと白蘭さんの修業を受けたんです!魔力だって使えるようになりました!守られるだけじゃ嫌です!!』

 

『そう解ったわ。でも、どうするの?』

 

『私に考えがあります!木場さん、当初の作戦通りに体育館に向かって下さい!木場さんの方に向かって来ている敵は私が対処します』

 

『………そう、解ったわ。祐斗、予定通り小猫と体育館に向かって頂戴!』

 

『了解しました』

 

 通信を切り体育館に向かうが、アーシアさんはどうやって敵を対処するつもりなんだろう?

 そんな僕の疑問は、1分後に予想外の答えとなって返ってくる。

 

『祐斗、今何処にいるの!?』

 

突然の通信。声の主であるリアス部長は大きな声で僕にそう尋ねるが声はどこか焦りを帯びていた。

 

『え~と~、今、体育館に向かっている途中です』

 

『まだ体育館に到着していないの!?』

 

『はい、すみません。ですが、一体どうしたのでしょうか?』

 

『そこから敵は見える?』

 

 部長の問いに視線を向っていた体育館から周囲に向けると少し離れた所から敵がこちらに向かって来ているのが解る。

 

『はい。確認できました』

 

『今すぐそこから小猫を連れて離れなさい!!体育館に『90、95、100%。チャージ完了。いつでも逝けます!』そこからすぐに離れてぇぇぇぇぇ!!騎士(ナイト)の力を全力で使って体育館に入り込みなさい!』

 

『解かりました。アルテミス射出します!』

 

『アーシア?貴女、私の指示を聞いていたの!?って、きゃあああああ!!』

 

 

 部長の甲高い悲鳴の後、凄い爆音がして通信機からノイズ音が以外聞こえなくなった。

 

「……祐斗先輩、何か来ます!」

 

「小猫ちゃん。ごめんね!」

 

 僕は小猫ちゃんの腕を掴んで全力で騎士(ナイト)の力を使ってその場を駆ける。

 あの部長の悲鳴。そして、悲鳴の前の部長の言葉。ここから察するに原因はアーシアさんだろう。

 そして、アーシアさんが何かをした影響で通信に障害が発生したと考えるのが妥当だろう。

 

 

「くっ!」

 

 体育館の入り口の扉が見え、脚に力を更に籠める。

 後、1歩。体育館の入り口の扉に手が届き扉を押して開けると同時に背後から強烈な熱風を帯びた爆風が発生した。

 体が宙に浮き突然の浮遊感に見舞われる。

 そして、僕の体は体育館の中に体が押し入れられた。

 その後に来る、突然の落下感。

 

「がっは!」

 

 背中から落ちた時の衝撃が僕の全身を駆け巡る。

 一誠君との修行で衝撃は慣れているけれども、どうして僕が吹き飛ばされたんだ?

 

 痛む全身を無理やり立たせて周囲を見る。

 小猫ちゃんも僕と同様に吹き飛ばされた様子だが、オリンピックの体操選手のようにシュタッと立っていた。

 

「な、何が起きたんだい?」

 

 訳が分からない。

 だが、突然体育館にスピーカーからアリアンナさんの報告が入る。

 

『ライザー様の兵士(ポーン)3名、僧侶(ビショップ)1名リタイア』

 

 ライザー・フェニックス卿の眷属をアーシアさん一人で倒したというのか!?

 

「……そんな」

 

 小猫ちゃんも目を見開いて驚いている様子だ。

 

『祐斗、小猫、無事?』

 

 耳に入れた通信機から部長の声。

 僕はすぐさま疑問を問いかける。

 

『はい。両名ともすんでの所で体育館に駆け込みました。しかし、一体先ほどの爆風は何だったのでしょうか?熱風を帯びた爆風に吹き飛ばされながら体育館に入ったのですが……』

 

『………それは』

 

 通信機越しから聞こえる部長の呆れた様な言い辛そうな声音。

 一体何があったんだろう?

 いいや、アーシアさんは何をしたんだろう?

 

『部長さん、アルテミス射出終了しました。銃身がオーバーヒートしている為暫くの休息が必要です』

 

『………解ったわ。アーシア、私の指示があるまで、それはしまって待機よ』

 

『了解しました』

 

『簡潔に話すわ。アーシアが修業期間中に受けたのは高度な射撃訓練だったの』

 

 ………ハア!?しゃ、射撃訓練!?

 

『絶句するのも解るけれど聞いて頂戴。しかも、超精密射撃の訓練をアーシアは魔力を使うと共に誤差範囲1mmがアーシアの今の射撃スキルよ』

 

『え~と~、一誠さんに射撃訓練を終えたらこの遠距離圧縮魔力銃 アルテミスを貰っちゃいました。えへへ』

 

『え~と~、それじゃあ部長。彼女は?』

 

『ええ。回復要因かつ遠距離攻撃に優れた狙撃手(スナイパー)と言う事よ』

 

 そ、そんな!?入りたてのアーシアさんが、もしかしたら今このゲームに参加している僕たちの中で一番強いんじゃないかな?

 

『でも、部長さん。私の遠距離圧縮魔力銃 アルテミスは、一発一撃なんですよね~。銃身が威力によっては激しくオーバーヒートしてしまい再装填に時間が掛かるので申し訳ありませんがこのオーバーヒート具合から察するに15分程度が必要かと思います。冷却ファンも回ってはいるのですが、チャージをするとどうしても銃身がオーバーヒートしてしまい暫くの休息が必要なようです』

 

『良いから早くその銃をしまいなさい!』

 

『はい。分かりました』

 

『と、まあこの様な状況よ。祐斗が吹き飛ばされたのはアーシアの狙撃による影響よ』

 

「凄いな、リアス・グレモリーの眷属は。驚かされるぞ」

 

 通信越しで部長と話していると体育館に驚きの声を上げる女の声が響く。

 視線をそちらに向けると、テェーンソーを持った双子の女の子。一誠君に棍で攻撃した少女。チャイナドレスを着た女性。部室でライザー眷属の説明を受け、顔写真を覚えたから解るが双子の子達は『兵士(ポーン)』、棍を持って一誠君を攻撃した子も『兵士(ポーン)、チャイナドレスを着た女性は戦車(ルーク)だった筈だ。

 

「……祐斗先輩は兵士(ポーン)をお願いします。私は戦車(ルーク)を」

 

 

「解ったよ」

 

 僕と小猫ちゃんはお互いに相手と対峙する。

 チャイナドレスを着た女性が中国拳法の構えを取り、小猫ちゃんもそれを見て拳を握りしめる。

 僕が相手する小柄な一誠君を棍で突こうとした女性が棍を下段に構え、チェーンソーを持った双子の少女たちがチェーンソーを起動させた。

 ドオオオオオオ

 

 駆動音が発せられチェーンソーの刃が勢い良く回り、刃の勢いが時間が経つに連れてさらに加速する。

 

 腰に携えた剣を抜刀しながら挨拶する。

 

「僕の名前は木場祐斗。リアス・グレモリーの騎士(ナイト)だ」

 

 剣を構え、脚に意識を集中させて力を込める。

 騎士(ナイト)は俊敏なスピードを駒の持ち主に付与させる。

 

「……ハア!」

 

 敵のチェーンソーを使う女の子が動こうとした瞬間、脚に溜め込んでいた力を一気に解放する。

 俊敏な速さで敵との距離を詰め、双子のチェーンソー使いの一人の胴を一太刀浴びせ、更に体を右にひねり、僕に目掛けて振るわれるチェーンソーを回避する。振り終わると共にもう一人の双子のチェーンソー使いの胴に目掛けて縦に一閃する。

 

「ハア!」

 

 そんな僕に目掛けて棍使いの少女が連続突きを放ってくる。

 肩、鳩尾、顎、膝。あらゆる人体の急所を狙って来る。

 

 でも、そんな正確な攻撃も当たらなければどうと言う事は無い!

 

 そんな回避をしている間に部長からの通信が入った

 

『小猫、祐斗。準備が出来たわ。すぐにその場から離れて頂戴作戦通りに行くわよ』

 

『解りました』

 

『……はい』

 

 部長の通信が来たと言う事は、朱乃さんの準備が出来たと言う事だ。

 

 僕は小猫ちゃんと一緒に体育館を走って出ていく。

 

「な!?逃げるのか!?」

 

 先程小猫ちゃんと殴りあっていたチャイナドレスを着た女性が驚いているが、こちらは、はなから時間稼ぎだったんでね。済まないけれどもここは撤退させて貰うよ。

 

 小猫ちゃんと共に体育館から出る。

 

 それと同時に体育館を破壊する強大な威力の雷が体育館に降り注ぎ体育館を破壊する。

 中に居たライザー・フェニックス卿の眷属達も諸共体育館を破壊する予定だったのだ。

 しかし、流石部長の懐刀である女王の朱乃さん。

 その実力は折り紙付きだ。

 

『ライザー様の兵士(ポーン)3名戦車(ルーク)1名リタイア』 

 

 アリアンナさんの敵がリタイアした宣言が流れ、体育館の中にいた眷属がリタイアした事が証明された。

 これでリタイアしたライザー・フェニックス卿の眷属が8名。後、戦車(ルーク)1名、僧侶(ビショップ)1名、女王(クイーン)1名兵士(ポーン)2名騎士(ナイト)2名と成った。相手の眷属も半分以下に減った。流石のライザー・フェニックスも驚かずにはいられない筈だ。

 

 まあ、当初の予定とは違うがアーシアさんが敵を4名リタイアさせた事が一番のイレギュラーだろう。

 

『敵は運動場に居る事が確認できます。その数6名』

 

 通信越しからアーシアさんが敵の情報を教えてくれる。

 6名!?残りの戦力を殆どぶつけて来ているじゃないか!

 

『旧校舎に向かって来ています。アルテミス射出まで今暫く時間が必要です。残り6分程かと……それまで時間を稼いでください』

 

 拙い!残りの1名が誰だか判らないが、殆どの戦力をぶつけてこちらを取りに来ている事が判る。

 こちらは小猫ちゃんとアーシアさんと部長に朱乃さんと僕の5人。

 今動けるのは僕と小猫ちゃんと朱乃さんの3名だけだ。

 

 アーシアさんは、部長と一緒で部室から恐らく動けない。

 僕を巻き込んだ援護射撃も恐らく部室からだろう。

 

「小猫ちゃん」

 

「……はい。運動場に向かいましょう」

 

 小猫ちゃんとすぐに運動場に向かう。旧校舎寄りの体育館からなら、運動場から旧校舎の部室に到着するまで時間があるので、敵が部室に到着するまでに先回りできる。

 

 運動場に辿り着くと剣を持つ騎士(ナイト)2名と、兵士(ポーン)2名、戦車(ルーク)1名、僧侶(ビショップ)1名が運動場の中央にいた。

 ……拙いな。ここでは、僕たちが不利だ。

 相手は6名。人数は圧倒的にこちらが不利だというのに、地の利も生かせない戦場だ。

 

「………」

 

 な、何でだろう!?僕の隣にいる小猫ちゃんが相手の、兵士(ポーン)の猫耳を付けた女の子を見て無言で怒っているように見えるのだけれども………

 

「……祐斗先輩」

 

「ひゃい!」

 

「……先輩は、兵士(ポーン)以外の相手をお願いします」

 

兵士(ポーン)以外の相手を全員するのは流石にきついかな~」

 

「……拒否は認めません。お願いします」

 

 やっぱりこの子も一誠君の妹さんだよ!

 この有無を言わせない選択肢!というか、選択肢すら与えて貰ってないよ!! 

 

「一つ聞かせて貰って良いかな?」

 

「……何でしょう?」

 

「何でそんなに怒っているんだい?」

 

 僕がそう聞くと小猫ちゃんは前方にいる猫耳を付けた兵士(ポーン)2名のライザー・フェニックス卿の眷属を指さしながら答える。

 

「……私とキャラが被っているからです。猫耳キャラは、私と姉さまだけで十分です!兄様を惑わすような猫耳キャラはこの世に私と姉さま以外いりません!兄様を惑わす私と姉さま以外の猫耳キャラの猫耳を引き千切ります!」

 

 うん、その嫉妬はとても可愛いよ。

 でも、エグイよ!?えぐ過ぎるよ!猫耳を引き千切るって……

 

 ……一誠君。女の人の嫉妬は時に怖いね。

 君も罪作りな人だよ。

 

「逃げて~、そこの猫耳を付けたライザー卿の眷属達!うちの部の戦車(ルーク)が君達の猫耳を引き千切ろうとしているよ!!」

 

「……裏切り者、死すべしです」

 

 僕の顔面に小猫ちゃんの小さな握り拳が勢い良く振られ、僕の顎に裏拳が入る。

 

 顔が凹むように痛い!

 しかも、殴られた衝撃で体が大きく後ろに吹き飛ぶ。

 

 小猫ちゃんに殴られた事で空中に体が浮き、弧を描くように落下していく。

 うん、この後に来るのは何か解るよ。

 

 ゴロゴロと後ろに転がるように受け身を………

 

「ゴホッ!」

 

 駄目だった。

 今まで散々投げられたりしたけど、受け身が取れなかった。

 うん、今度は受け身の練習をみっちりしておこう。

 

 

 うつ伏せになった状態から上半身を起こし、フラフラとガタがきている両脚を立たせようと足に力を込める。

 

「大丈夫か?」

 

「無理なら戦わなくてもいいんだぞ?」

 

 敵の剣士から優しい言葉がかけられた。

 うう、敵の言葉が心に沁みるよ。

 

 でも、戦うべき時には戦わないと。

 

「ああ、大丈夫だ」

 

 腰に携えた剣を杖代わりにして立ち上がる。

 

「……戦う前から全身がボロボロなんだが……本当に大丈夫か?」

 

 敵に情けをかけられるが、そこは騎士として心配無用だ。

 何より……一誠君との修行の方が、はるかに体がボロボロに成った!

 

「情けは無用だ!こんな傷、かすり傷でも無い!!君達は、銃を持った鬼畜に追いかけられた事あるかい?追いつかれたら「蛍みたいにその尻光らせな!」とか言われて、お尻に容赦なくゴム弾を撃ち込まれる様な修行をした事あるかい?ねえ?ねえ?ねえ?あるかい?本物の銃弾が顔の横すれすれで飛び交う厳しい修行をした事があるかい?ねえ、答えてよ!ねえ!?」

 

「お、お前本当に大丈夫か!?目が虚ろだぞ!」

 

 ……そう。僕は今、そんな眼をしているんだ。

 

 剣を構え、脚に意識を集中させ力を込める

 

〔おい、木場ああああ!!!チンタラすんな!尻に銃弾ぶち込まれてえか!?〕

 

「!?」

 

 一誠君の声!?馬鹿な!彼は、今日来る予定ではなかった筈だ!

 

「……そ ん な 見えなかっただと!?」

 

「……グレモリー眷属の力はここまで強いということか」

 

 気が付けば僕はライザー・フェニックスの騎士(ナイト)2名を屠っていた。

 

 周囲を見渡すが一誠君の姿は見えない。

 と言う事は、先ほどの声は幻聴か。

 

 ……ふふ、どうやら僕も色々と末期のようだね。

 

『ライザー様の騎士(ナイト)2名リタイアです』

 

 アリアンナさんの状況報告が運動場に設置されているスピーカから流れる。

 

「にゃあああああ!!!助けてえええええええ」

 

「ふみゃあああああああああ!!!耳がっ、耳が引き千切られるにゃあああああああ」

 

 視線を悲鳴のする方向に向けてみれば、ライザー・フェニックス卿の猫耳をつけた兵士(ポーン)2名が運動場を逃げ回っていた。

 そんな彼女らが逃げる相手とは……

 

「……その耳、引き千切ります!兄様を惑わす猫耳は私と姉さまだけで十分です!!」

 

 小柄な僕らグレモリー眷属の戦車(ルーク)、一誠君の妹さん搭乗小猫ちゃんだ。

 

 小猫ちゃん。はたから見たら君、可愛いのに色々と台無しだよ!

 健気な一途な思いを抱く女性のはずだろうけど口ぶりから察するに相手、君のお兄さんだよ!?しかも、世間で言うヤンデレ属性まで持って無いかい?今の君、眼がハイライトだよ!

 

 

「イザベラ!あの小柄な女性を全力で止めなさい!同じ、戦車(ルーク)でしょう?」

 

 金髪ツイン縦ロールの少女で小猫ちゃんと同じ位の背の女の子が顔半分に仮面をつけた女性に命令をする。

 

「君は戦わなくて良いのかい?」

 

 ついつい、金髪ツイン縦ロールの少女に聞いてしまう。

 確か、名前は……

 

「え~と~、レイヴェルさんだっけ?」

 

「あら?良く私の名前をご存知ですね」

 

「まあね。君達の相手を、プロを相手にするんだから公開されている名前と顔、相手の消費した駒ぐらいは覚えておかなくちゃね」

 

「ふふ、随分勤勉なのですわね」

 

「実力が伴わない分、戦術や知識で補わないとね?」

 

 僕がそう言うとレイヴェルさんは、「こちらを殆ど撃破しておいて」と嘆息する。

 

「私は、戦いませんもの」

 

「それじゃあ、どうして戦場に?」

 

「お兄様曰く、「ほら、最近近親相姦ものとか妹ものに憧れる奴が多いじゃない?……ま、俺は妹系じゃ無いんだけれどね」と言う訳ですわ。つまり、単なる自慢話のネタとしてですわ」

 

 ……何だか不憫そうだね。一誠君が聞いたらどう思うんだろう?

 そんな他愛もない話をしていると鋭い音が聞こえた。

 

 

「クッ!凄まじい蹴りだ!」

 

 視線をそちらに向けると小猫ちゃんが、止めに入ったライザー・フェニックス卿の、戦車(ルーク)に防御をしている上から蹴りを入れていた。

 確か、小猫ちゃんの蹴りを受けた相手の戦車(ルーク)は、イザベラさんって言うのだったかな?その人が小猫ちゃんの蹴りを受けて大きく仰け反っていた。

 

「……邪魔者死すべしです。邪魔しないで下さい!」

 

 駄目だ!小猫ちゃんが暴走している!

 これじゃあ、聞く耳を持って無いし持たないだろう。

 

「ごめん」

 

 僕は彼女、レイヴェルさんに断りを入れてからスグサマ地面に手を置き、神器を解放する。

 

魔剣創造(ソード・バース)

 

 運動場に次々と僕が創った魔剣が筍のように生え、相手の戦車(ルーク)イザベラさんと猫耳の兵士(ポーン)2名に次々と魔剣が刺さり、敵は魔剣によって串刺しとなった。

 

 

『ライザー様の兵士(ポーン)2名戦車(ルーク)1名リタイアです』

 

 運動場に設置されているスピーカーからアリアンナさんの報告が入る。騎士(ナイト)2名、戦車(ルーク)2名、僧侶(ビショップ)1名、兵士(ポーン)8名リタイアだ。

 つまり、戦わない僧侶(ビショップ)のレイヴェルさんと、女王(クイーン)1名、キングであるライザー・フェニックス卿の3人となる。

 

「さあ、行こう。小猫ちゃん!」

 

「………何で邪魔をしたんですか?祐斗先輩」

 

 じと眼で僕を睨んでくる小猫ちゃん。

 お、怒ってるのかな?少し怖いんだけれども……

 

「そ、そんな事よりも、先ずは敵を倒そうよ!ね?」

 

「……まあ、良いでしょう。でも、次邪魔をしたら殴りますよ?」

 

 そう言って小猫ちゃんは先に行ってしまう。

 ハアとため息を吐いたその時、突然地面が魔方陣を描いた!

 いや、違う。これは、トラップだったんだ!!

 

 運動場の地面が爆発し、僕と小猫ちゃんは爆発に巻き込まれてしまう。

 僕にものすごい熱と爆発の衝撃が襲う。

 

「ぐっ」

 

 痛む体を無理やり立たせる。

 少しでも緊張を解けば意識を持っていかれそうな感じだ。

 

 そんな体で爆発に巻き込まれ仰向けに成っている小猫ちゃんの所まで行くと、小猫ちゃんの体は薄くなっていた。

 

「……すみません。もう少し皆さんのお役に立ちたかった」

 

 そう言って小猫ちゃんの体は薄くなり、レーティングゲームからリタイアした。

 

『リアス様の戦車(ルーク)1名リタイア』

 

 審判役のアリアンナさんが淡々とそう告げる。

 ……僕の中で沸々と悔しいという思いが込みあがってくる。

 

 いや、一番悔しいのは彼女、小猫ちゃんだろう。

 

 視線を空中に向けるとライザー・フェニックスの女王(クイーン)1名がこちらに手を向けたまま飛んでいた。

 

不意に僕の視界に映るものがあった。

僕のすぐ前方の空中に悪魔の翼を広げて空中に飛んでいる朱乃さんが視界に映った。

 

「祐斗君、部室に行きなさい」

 

「ですが!」

 

「今の貴方は戦力に成りません。アーシアちゃんに治療を行って貰った後、再戦するのです。いいですね?」

 

 その強い口調には、若干怒りが含まれているように感じた。

 

 解りました。と言って朱乃さんにその場を任し全力で旧校舎にあるオカルト研究部の部室に向かう。

 僕の背後から魔力の撃ち合いが始まり、魔力での攻防戦が行われる。

 

 

 

「アーシアさん!すまないけれども回復をお願いしたい」

 

勢い良く部室の扉を開くと同時にアナウンスが流れた。

 

【リアス様の女王1名リタイアです】

 

 

 そんな!?姫島副部長がリタイアだって!?

 驚く僕をリアス部長が叱る。

 

「祐斗、しっかりなさい!気持ちは解るけれども、まだライザーは倒れていないわ!」

 

 ……そうだ。まだライザー・フェニックスは倒れていない。

 

「祐斗、アーシア、今からライザーの所に直接仕掛けに行くわよ」

 

「解りました」

 

「はい」

 

 

部室を出て廊下を渡り、ライザー・フェニックスのいる本陣の生徒会室に向かう。

 

ライザー・フェニックスの本陣生徒会室のすぐ近く。

あと10歩ほど歩くと生徒会室につくような距離に僕たちはいた。

 

「行くわよ!」

 

 リアス部長の言葉に僕とアーシアさんは頷き、僕は生徒会室の扉を勢いよく開ける。

 

「待ってたぞ、リアス」

 

 生徒会室の中央に設置されているソファーに腰かけるライザー・フェニックスが僕達を見る。

 

 突然、僕の横にいたアーシアさんの足元に魔方陣が現れアーシアさんは魔方陣に閉じ込められた。

 

「アーシア!?」

 

「アーシアさん!?」

 

 

「回復役を封じさせてもらったわ」

 

声の主の方に視線を向けるとライザーの女王のいつの間にかライザーの後ろに立っていた。

 

「魔剣創造!!」

 

片膝をつき、地面に手を置き神器を開放する。

 

生徒会室の床から僕が作った魔剣達が次々と生え、生徒会室のライザー・フェニックスが座っていたソファー、生徒会室の机、椅子が魔剣達によって次々と串刺しにされた。

ライザー・フェニックスも魔剣に串刺しにされるが炎をあげながら復活をする。

 その表情は涼しそうな表情をしておりダメージを受けていない様子だ。

 

「部長さん、木場さん退いて下さい!アルテミス、チャージ90、95、100%。アルテミス射出します!」

 

 アーシアさんの声を聴き、急いで飛び込むように左に倒れこむように飛び退く。

 

「アルテミス発射!」

 

 魔方陣の中に封じ込められているアーシアさんの声の後、魔方陣が砕け散る音と共にすさまじい濃密な魔力の砲撃がライザー・フェニックスに向かっていく。

 その攻撃に虚を突かれたのかライザー・フェニックスはその場で突っ立ったままだ。

 

「ライザー様!」

 

 ライザーの女王がライザーを押し倒し、代わりにアルテミスの射線上に入る。

 そして、アルテミスのレーザー光線のような魔力の砲撃がライザーの女王ユーベルナに向かう。

 

 ユーベルナさんは、防ぐ事が出来ずに濃密な魔力の砲撃を受けてしまうも流石は経験者。手をこちらにかざすと

 

「爆破」

 

 そう言ってリタイアの光と共に消えていった。

 

 後ろで爆発が発生し、僕は前方に爆風によって押される。

 凄まじい熱風を受け、全身に火傷を負いながらも摩剣を杖代わりにして立ち上がる。

 

【ライザー様の女王1名リアス様の僧侶1名リタイア】

 

 アナウンスが流れる。

 そうか。アーシアさんは先程のライザー・フェニックスの女王の攻撃でリタイアに成ってしまったか。でも!

 

「まだだ!まだ負けたわけじゃない!」

 

 痛覚で摩剣を握っている感覚が失せ、摩剣を握っている手がプルプルと震えている。

 喉にも血がこみ上げてくる感覚がする。

 だけど!まだ僕達は負けていない!

 

「リアス・グレモリーの騎士よ!いい加減に眠れ!!」

 

 ライザー・フェニックスはそう言って手に炎の塊を魔力で生み出すと僕にめがけて投げてくる。

 

「まだだ!」

 

 握っている感覚がない摩剣を持った手で僕に向けられた炎の魔力を摩剣で斬る。

 

「っ!」

 

 僕の反撃が予想外だったのか驚きの表情を見せるライザー氏。

 だが、その眼には恐怖と焦りの色を見せていた。

 

 いける!

 

 そう思った矢先に

 

「リザインします」

 

 リアス部長の声が背後から聞こえた。

 

「え?」

 

 驚き、後ろを振り返ろうとするも足がもたつき、後ろに倒れてしまう。

 地面にあたるだろうと思ったが違った。

 

 リアス部長が僕が倒れるのを防いでくれたが、僕の今の格好はリアス部長に膝枕をされた状態だ。

 

「な……n」

 

 

 呂律が回らなくなった舌でリザインした理由をなんでと問いただそうとするも、その時のリアス部長の表情は……泣いていた。

 眼から涙を流し、悔しそうに唇を噛みしめていた。

 

「祐斗、ありがとう。ありがとう」

 

 何度も僕にありがとうと言いながら涙を見せる。

 

「でも、もう良いの。あなた達は十分にやってくれた」

 

 良い訳ないでしょう。貴女は、僕にとって姉のような存在なのだから。

 情愛深いグレモリー家の血を引く貴女もその例外じゃなかった。

 他の悪魔眷属であるならばひどい仕打ちすらあることだってあるのに、貴女は僕達眷属を家族同然の様に扱ってくれた。そんな貴女に恩返しするために僕はこの戦いで勝利をあなたに捧げたかった。

 

 他のリアス・グレモリー眷属が戦い、傷つきリタイアしていく中で僕の視界に映ったのは、貴女が悲しそうに、そして悔しそうに唇を噛みしめる姿だった。

 

 貴女は本当にどうしようもなく優しい方だ。

 

 リタイアの光に包まれながら僕はアナウンスを耳にする。

 

【リアス様の騎士1名リタイア。リアス様のリザインを確認。ライザー様の勝利です】

 

 

 非公式とは言え、初めてのレーティングゲームで得た敗北を。

 

 

 

 

 

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