カオスクロススクールD×H 変人紳士な青龍帝 英雄王とアーサー王に育てられし元ニート物語   作:zeke

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第三十四変人:泥沼化する結婚式場

 

 映像を全て見終わり、まあこういう結果になったかと頷く一誠。

 

 

「リーアたんの結婚式は今日から6日目だ。すまないが、結婚式をぶち壊してくれ」

 

 そんな一誠に笑顔でそう言うサーゼクス。

 そんなサーゼクスの頭を後ろで待機していたメイド、アリアンナが何処からか取り出したか解らないハリセンで叩く。

 

「そのような言い方では単なるテロではありませんか!」

 

「いや、だってさ~アリアンナ。リーアたんが結婚しちゃうんだよ!本人乗り気じゃないのに、結婚しちゃうんだよ」

 

「ですが、もう少し考えてから発言をしてください!」

 

 目の前で漫才を繰り広げる二人を見ながら一誠は、ふあああと欠伸をする。

 そして、一通り漫才を終えた紅髪の魔王は、懐から一つの魔方陣が描かれたカードを取り出し一誠に渡す。

 

「これは、結婚会場に繋がっている。これを使ってくれ」

 

「ふ~ん」

 

 興味深そうに魔方陣が描かれたカードを受け取る一誠。

 

「んで、俺に何をしてくれるんだ?俺を動かすんなら相応の対価じゃねえと動かねえぞ?」

 

 受け取った魔方陣が描かれたカードをパタパタと団扇のように仰ぎながら言う。

 

「対価は、好きな物を言うが良いさ」

 

 堂々とした魔王の物言いに一誠は一つの疑問を問いかける。

 

「つーか、俺を使わなくてもあんたの命令一つでこんな結婚式なんぞどうにでも成るんじゃねえの?仮にも糞にもあんた魔王様なんだろう?」

 

 尤もな一誠の意見だが、魔王と成ると色々と周りが五月蠅くてね全部に口出しできないのさ。何よりも減ってしまった純潔悪魔の血筋を絶やさないようにと旧い家柄重視の文化が未だに悪魔の世界は根強いんだよとサーゼクスは肩を竦める。

 

 一誠は、それを聞くと義妹達の事を思い描く。

 

(もし、あいつ等が白音と黒歌が自分の好きじゃない相手と強制的に結婚する羽目になったら……)

 

 悲しい顔を思い描く義妹達を想像しながら気に食わねえなと呟きサーゼクスから受け取った魔方陣のカードをびりびりに破り捨てる。

 そして、座っていた椅子から立ち上がり

 

「全てが気に食わねえな。勝手に戦争おっぱじめといて純潔悪魔の血が絶滅寸前だから、今を生きる若者本人の意思を無視しての結婚。そうさせちまったゴミ共。そんなゴミ共に何もしない魔王様方。反吐が出るね。まあ、良いやそれよりも、今回はあんたの思惑に乗ってあげるよ魔王様(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)。―――それと、対価は当日言うからそん時に貰うとしよう」

 

 ライザー・フェニックスに対する私怨+悪魔社会に置ける怒りでぶち切れ寸前の一誠。それだけ言い残すとログハウスから立ち去った。

 

「アリアンナ。どうしよう!もしかして契約しちゃあ拙い相手と契約しちゃったかな?」

 

「……知りませんよ。そんな事」

 

 ログハウスに取り残された紅髪の魔王が後悔し、お付きのメイドが嘆息した。

 

 

結婚式当日

 

 リアス・グレモリーは結婚式場に居た。

 ウェディングドレスを身に纏い、窓の外を見ていた。

 

(一誠)

 

 レーティングゲームが始まる前の合宿で彼が言った言葉を思い出していた。

 

 合宿が始まってから数日がたったある晩の事。

 リアスは修行場のテラスで本を読んでいた。戦術マニュアルの本だ。

 ふうと溜息を吐き、気分でかけていた眼鏡をテーブルの上に上に置く。

 

 その時、近くの草むらからごそごそと木々の揺れる音が聞こえる。

 

「誰!?」

 

 声を荒げて座っていた椅子から立ち上がり、手に魔力の球体を作り出す。

 

「んあ?まだ起きている奴がいたのか」

 

 草むらから現れたのは、長ズボンに長袖Tシャツ。麦わら帽子を被り、虫かごと虫取り網を持った一誠。

 

「…………何をやっているのかしら?」

 

 頬を引き攣らせ、一誠に尋ねると「見て解らんか?虫取りだ」と言う。

 

「近頃はカブトムシも売れるからな。今日は大量に捕れた」

 

 嬉しそうに言いながら肩からかけていた大きな虫かごをドンとリアスの目の前のテラスのテーブルに置く。

 虫かごの中にゴキ○リの大群を思い描かせるほどの大量のメスとオスのカブトムシがぎっしりと詰められており、虫かごの中に置かれている昆虫ゼリーに我先にと言わんばかりに群がっている。

 

 リアスは、ヒッと悲鳴をあげながら一誠に退けて頂戴と言い、一誠は渋々「やはり女子に、この子らの良さが解らんか」と言いながらリアスの前からカブトムシ達を退ける。 

 

 この山は良い。カブトムシが大量に撮れた。今回の修行の成果は、これだな。うん。台所からくすねて来た黒砂糖と焼酎を煮詰めた効果のお蔭もあったと満足そうに頷き始めるが、そんな一誠をそんな虫取りをしに修行に来たんじゃないでしょうと半眼で睨む。

 

「それでお前はこんな時間に何をしているんだ?」

 

「戦術マニュアルを読んでいるのよ」

 

 リアスの返答を聞き、聞くだけ無駄だったなと言って立ち上がり虫かごを持って立ち去ろうとする一誠の手をリアスは掴む。

 

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!自分で聞いて来て、それはないでしょう?」

 

「つまらん。色々とが策するよりもさっさと寝ろ。明日の修行に響いては本末転倒だ」

 

 リアスに背を向けた状態で言う。

 

「抗え。抗え。抗え。己が運命に。全てに。後は俺が全て処理する。全てな(・・・)

 

 

「……そう、ありがとう。それよりも一つ質問して良いかしら?」

 

「ん?」

 

「あなたの家、そんなに経済力がやばいの?」

 

「阿呆。単なる娯楽ついでの小遣い稼ぎだ」

 

 そう言って鼻歌を歌いながら虫取り網を担いでリアスの前から立ち去った。

 家の中に入った一誠を見送ってリアスは視線を夜空へと移す。

 綺麗な星が見える夜空と成っており、ついつい見入ってしまう。

 彼に言われた事を思い出しながら。

 

 

 

 

「一誠」

 

 リアスが窓から外を眺めていると部屋にいた従者に声をかけられた。

 

「リアス様、お時間です」

 

 従者の声を聴き、リアスは従者に顔を向ける。

 

「ええ」

 

 これから起こる事に考えもしなかった。

 

 大きな広場に着飾った大勢の貴族悪魔が楽しげに談笑している。

 その中央に炎を出しながらスーツ姿のライザーフェニックスが現れる。

 

「ご参集の皆様、お集まりいただきありがとうございます。今夜は、名門グレモリー家と我がフェニックス家の歴史的な瞬間を共有して頂きたかったからでございます。さあ、ご覧下さい。我が妃 リアス・グレモリー」

 

 ライザーが向かい側の扉を指さす。

 扉は重い音を出しながらゆっくりと開いた。

 扉の中からは、男性が赤いドレスに身を包み長い紅髪のウィッグをし、無駄にダンディーな髭、逞しい筋肉がウェディングドレスをはち切れんばかりに圧迫させ、背中になぜか裸の赤ン坊ベル坊を引っ付けた姿のアランドロンが登場し、その横には鍛えられぬいた体に白い純白のウェディングドレスを身に纏い頭部は猫耳という男性ミルたんが現れた。

 

 筋肉ムチムチの謎の男性二人の女装姿に会場にいた男女関係なく全員が気持ちの悪さに体調不良を引き起こした。

 

「何者だ貴様!」

 

 ライザーは、かろうじて立ち上がりそう尋ねると、司会の人がさらに結婚式を進める。

 

「それでは、新郎新婦誓いのキスを」

 

「キスだと!?貴様、正気か!?」

 

 ライザーは、司会の人の胸ぐらを掴み尋ねるが結婚式は新婦(代理)を巻き込み更に進んでいく。

 

 ここで説明させて頂くと、司会の人は決して悪くない。

 司会の人は、結婚会場に設置されているトイレに行く時に急に背後から何者かに拉致され、赤い鳥が羽ばたく様子が描かれた眼をした人物に絶対遵守の命令を命じられたのだ。

 

 ―――俺が来るまで何があっても結婚式を止めるなと。

 

本人の意思とは関係なしにその絶対命令を守っているだけで、司会の人は悪くない。むしろ被害者なのである。

 

 中々キスをしようとしないライザーにしびれを切らしたアランドロンがおいおいと泣きながら背中にくっ付いていた裸の赤ん坊を抱きかかえてライザーに見せる。

 

「酷いわ!この子の事はどうするのよ!?」

 

「ダ~?」

 

こいつ誰?と言わんばかりに首をかしげる赤ん坊だが、結婚式は更に泥沼化していく。

 

「ライザー殿、これは一体?」

 

 ライザーの傍にいた貴族がライザーに尋ねるがライザーは、こんなの予定に無かったぞと困惑するだけである。

 

その時、急に広間に大きな笑い声が響き渡った。

 

「ハッハッハ!!!」

 

 広間にいた貴族悪魔全員が笑い声のする方向に視線を向けると、そこに赤いドレスに身を包み長い紅髪のウィッグをし、無駄にダンディーな髭、逞しい筋肉がウェディングドレスをはち切れんばかりに圧迫させた姿で登場した男性が縦に真っ二つに割れて、その中から混沌大好き。まさに悪魔。お前本当に人間だったのか?と疑いたくなる人物 我らが兵藤一誠が黒いロングコートに身を包んで1匹の龍に乗り、2匹の龍がその後に続いて現れた。

 

グオオオオオオオオオオオオオ

ガアアアアアアアアアアアアアア

グルルルルルルルル

 

 イビルジョー、ティガレックス、ナルガクルガの3匹の龍が広場に現れ結婚式場は更に大混乱に陥る。

 

「あ、こら!無駄吠え禁止」

 

 イビルジョーに乗っていた一誠がイビルジョー、ティガレックス、ナルガクルガの3匹の龍に叱りつけ、3匹はそれ以降吠えなくなった。

 それを確認すると、一誠はイビルジョーの頭を軽くポンポンと叩き、イビルジョーはそれを合図に首を下げる。

 すると、一誠は滑り降りるようにイビルジョーの頭から地面に降り立つ。

 

 そして、イビルジョーの頭に乗っていた時に確認した依頼してきた魔王のもとへと歩みを進める。

 

 その途中、ライザーが一誠の前に立ちふさがる。

 

「貴様!何のつもりだ!?」

 

 その言葉に一誠からブチッと聞こえてはならない音が聞こえた。

 

SIDE out

 

 僕、木場裕斗は結婚会場に来ていた。

 小猫ちゃんに言われて結婚会場に来ていたのだが突然ウェディングドレスを着た屈強そうな男性が二人あらわれて、その一人が縦に真っ二つに割れたら龍に乗った一誠君が現れた。

 

「■■■■■■■■■■■■」

 

 な、何を言っているかわからないよ!一誠君!!

 困惑する僕たちオカルト研究部員に一人の男性が寄ってくる。

 

「……ハヤテさん!?」

 

 小猫ちゃんが驚いた表情でその男性を見る。

 男性は僕を見るとペコリと会釈した。

 

「始めまして、みなさん。綾崎ハヤテと申します。兵藤家で執事をさせて頂いてます」

 

 綾崎ハヤテと名乗る人物は、視線を僕から一誠君へと向ける。

 

「え~と~、一誠様は手前何のつもりだだと!?決まってんだろうボケが!嫌がらせに決まってんだろうが!!と申しております。早口で何を言っているか一見わからないでしょうが読唇術を心得ている自分なら解ります」

 

 視線を綾崎ハヤテと名乗る一誠くん家の執事から一誠君へと視線を向ける。

 一誠君は懐からライザーに見せつけるかのように灰の入った小瓶を取り出した。

 

「■■■■■■■■■■■■」

 

 再び何かを言ってるけどやっぱり何を言ってるか解らないよ、一誠君!

 

「え~と~、一誠様は手前のせいで俺の初めてのアルバイトの給料で買った嫁や愛人が灰に成ったんだ!一人だけ幸せにさせるかよ馬鹿が!他人の不幸は蜜の味!憎むべき相手の不幸は、何のとも言えぬほどの極上の蜜の味だ!ボケェだそうです。うわあ、ここまで怒ってる主は初めて見ました」

 

 ハヤテさんに翻訳して貰っている内に、会場内がさらにざわつき始めた。

 

 一誠君が小瓶をしまい、ライザーに飛びつこうとしている。

 僕は騎士(ナイト)の力を使い、一誠君を止めようとするが

 

「お待ちください、一誠様!」

 

 ハヤテさんが一誠君の後ろから羽交い絞めする。

 は、速い!この人、悪魔じゃないのに速い!下手をしたら僕以上の速さだ。

 

 

「!ああ、ハヤテか。しかし、何故お前がここに?」

 

 一誠君は、ハヤテさんに羽交い絞めにされて意識を取り戻した様子だ。

 

「アランドロン様に連れて来て頂いたのです」

 

「……そうか」

 

 そう言うとハヤテさんは一誠君を開放し、一誠君は魔王様のもとへと行く。

 

side out

 

 ここで、一誠がライザーの結婚式をぶち壊すと決めた要因を記しておこう。

 

 まず、事の起こりはライザーが部室であるオカルト研究部にリアスと会うために来たことから始まった。ライザーは炎を出しながら登場した。そして、その炎は一誠が初めてバイトで貰ったバイト代で買ったライトノベルや漫画の山を燃やしたのだ。

 それを知った一誠は無論激怒した。

 一誠のその時の心情を例えるならば初めての就職で初めての初任給を使いローンを組んで買った初めての車を浮き浮きワクワクしながら運転中に車を買った初日に後ろからベンツにぶつけられ、ベンツの運転手がちゃらい男で「あ、すんませ~ん」と言いながらベンツから出て来て、結局初任給を使い買った車が廃車に成った感じだ。そんな、誠意も微塵に感じられない謝罪をする相手が結婚式で幸せの絶頂に至ろうとしている。ならばどうする?

 無論、持てる力を駆使して作戦を立てて綿密に計算しつくし、予想外の出来事を可能な限り排除した上で相手を不幸のどん底に叩き落とす他は無いだろう。結局はライザーの身から出た錆なのだ。同情の余地もない。同情する点があるとしたら運がなかった点一択だろう。

 

 

 

 魔王と対峙する一誠。

 魔王 サーゼクス・ルシファーは涼しそうな表情で一誠を見据える。

 

「来たぞ。魔王」

 

先ほど何も無かったかのような口調で話す一誠に魔王サーゼクス・ルシファーは驚きの表情を見せる。

 

「こんな感じで来られるとは予想外だよ」

 

「サーゼクス。これは一体?」

 

 一誠の傍にいた紅髪の中年男性が困惑した表情で魔王サーゼクスに問う。

 

「父上。私の可愛い妹の婚約パーティは派手にやりたい。それに彼の力を見てみたいのですよ。前代未聞の変異の駒(ミューテーション・ピース)8個も使用したとの報告があった。とんでもない潜在能力を秘めた彼の実力を是非ともこの目で拝見させていただきたいのですよ。彼の実力は思っていた以上のもののようだ。何せドラゴンを従えるのですよ?これは見ものだと思いませんか?」

 

 魔王の一言で全員が黙り込んだ。魔王サーゼクスは一誠へと視線を向ける。

 

「ドラゴン使い君。お許しは出たよ。ライザー、私の前でその力を今一度見せてくれるかい?」

 

「解りました。魔王様の頼みとあらばこのライザー、身を固める前の最後の炎をお見せしましょう」

 

 ライザーは不敵に笑い、一誠を見る。そんなライザーから視線を一誠へと向けると魔王サーゼクスは一誠に訊く。

 

「ドラゴン使い君、君が勝った場合の対価は何が良い?」

 

「魔王様、下級悪魔に対価などと」

 

 魔王サーゼクスの申し出に周囲に居た悪魔から非難の声が上がる。だが――

 

「悪魔なのですから、こちらから願い出た以上それ相応の対価を払わねばならない。さあ、何でも言ってみたまえ。爵位かい?それとも絶世の美女かい?」

 

 普通の人が聞けばのどから手が出そうなほどの魅力的な話。

 だが、一誠は

 

「ハッハッハ」

 

 笑う。大声で腹を抱えて笑う。

 

「爵位?絶世の美女?本気で言ってるのか魔王様?んなちんけな物に俺が興味を示すとでも?」

 

 そう言って魔王サーゼクスを指さす。

 

「俺が望むもの………それは、お前の命。もしくは魔王の座だ!!!」

 

 その発言に会場内がざわつく。

 一誠は、その様子を面白そうに眺めながらさらに言葉をつづけた。

 

「と、まあ本来は言いたいのだが今回はあんたの思惑に乗ると約束した。対価はこの婚約の破棄。そして、リアス・グレモリーの今後の恋愛、結婚の自由の保障。それが俺の要求する対価だ」

 

 魔王サーゼクスは内心驚きながらも一誠に笑みを見せる。

 

「解った。約束しよう」

 

ー◇◆◇ー

 

 結婚会場の中央に急きょ作られた空間。

 空間の周囲に貴族悪魔とリアス・グレモリーとライザー・フェニックスの両家の関係者が集まっている。

 そのそばでは、一誠が連れてきた龍 イビルジョー、ナルガクルガ、ティガレックスが結婚式で出された料理をバクバクと食べており、そんな3匹の龍にせっせせっせと料理を運ぶコックの姿が見受けられる。

 

「ふあああ~、面倒臭え~」

 

 空間内には欠伸をする一誠とそれと対峙するライザー・フェニックス。

 そして、それを取り巻くライザー・フェニックスの眷属悪魔たち。

 

「ふん。雑魚悪魔の癖に俺とその眷属に……って、貴様!何しれっとカップラーメンに沸かした湯を入れているんだ!!」

 

 激怒するライザー。

 それもそうだ。何せ目の前には、携帯ガスコンロを使用して熱々のお湯が入ったやかんを傾けながらカップラーメンにお湯を入れる一誠の姿があったのだから。ライザーが怒るのも無理はない。

 

「え?だって腹減ったから。腹が減ったから何か食べなきゃね~。と言うか、お前が俺を怒らしたから余計なエネルギーを使わせたんじゃないか」

 

 ブーブー文句を言いながらもカップラーメンにお湯を注ぎいれると一誠は、足で自分を中心として地面に自分が入れるだけのスペースの円を描く。そして、腕時計を捜査して5分後に鳴るようにアラームをセットすると

 

「ん、これで良し。来いよ。折角だしゲームしようぜ。俺はこの円から一歩も出ず、攻撃もせずに5分間待ってやるよ。5分後に俺が倒れてたらお前らの勝ち。5分後に俺はライザー。お前をぶちのめしに行くから。そんじゃあ、ゲームスタート」

 

 腕を組み、円の中に立つ。

 

 こ、こいつ!どこまでも舐めやがって!やれ、お前達!と眷属悪魔に命令をかけるライザー。

 

 その命令を聞きライザーの眷属悪魔『兵士』のチェーンソーロリ双子のイルとネルが一誠に目掛けてチェーンソーを振るう。

 

「この~」

 

「バラバラに成れ~」

 

 ほう!愛らしいな。全くライザーという奴はこんな小さな子供まで眷属にするとは……脳が無いのか。下半身駆動でしか動けぬ戯けなのかと落胆する。

 そして、イルの手からチェーンソーを奪い取るとネルが振るうチェーンソーにぶつける。

 

 両者のチェーンソーが駆動し、互いのチェーンソーの刃がぶつかり刃が飛び散った。

 一誠は刃が飛び散ってネルに当たらぬようにネルの腕を掴み空中に放り投げる。

 

 そして、すぐさまイルも空中に放り投げ、瞬時に右手に白虎の籠手(ビーステッド・ギア)を発動させる。

 

【bestbeastbeastbeastbeastbeast】

 

空中に放り投げたイルとネルを中心に一つずつ風の球体を創り、その中にイルとネルを閉じ込める。

 

「先ずは二人。どうした?さっさとかかって来い!」

 

 来い来いと手で合図する一誠。

 

「クッ!」

 

「この!」

 

 甲冑装備の『騎士』カーラマインとワイルドな大剣使いの『騎士』シーリスが剣を振りかざし一誠に斬りかかるが、一誠は眼を一瞬見開くと斬りかかってくるカーラマインとシーリスの手から剣を取り上げる。

 

 

「「な!!」」

 

 驚く剣士二人の持っていた得物を後ろに放り投げ、二人の腕を掴むと後ろに放り投げた。

 

【beastbeastbeastbeatbeast】

 

  そして、白虎の籠手(ビーステッド・ギア)を使用して、二人を空中で風の球体の中に閉じ込める。

 

 

「はい、更に2人。これで4人脱落。どうした?とっとと来い。残り3分が来てしまうぞ?」

 

 のんでんだらりとする一誠だが、更に棍使いの童顔少女『兵士』ミラ、獣人戦士の姉妹『兵士』ニィとリィ、『戦車』の雪蘭が一誠を囲む。

 

「「「「はっ!」」」」

 

 『兵士』のミラが一誠の腹に向けて棍を突き、『兵士』のニィとリィが一誠の両脚を狙い蹴る。

 

 だが、ミラの棍が一誠の腹を突く事は無く、ミラの棍は一誠に握られて腹に届く事は無かった。

 

「中々攻撃が鋭かったぞ。だが、まあ俺を打ち負かすには程遠いがな」

 

 そう言って棍を持ち上げる。キャッと悲鳴が上がり棍を持っていた為ミラの体が持ち上がる。

 

【beatbeastbeastbeastbeatbeat】

 

 すぐさま風を発生させ、操り風の球体を創るとその中に閉じ込める。が、その時を狙っていたかのようにニィとリィの鋭い蹴りが一誠の膝に目掛けて放たれる。

 

「はっ!」

 

 空中にジャンプし、蹴りを避ける。すぐさま二人の腕を掴み空中に放り投げる。

 

【beastbeastbeastbeastbeast】

 

 その瞬間、二人を風が包み風の球体が創られ二人はその中に閉じ込められる。

 

「これで更に2人。7にn」

 

 一誠が言い終わる前に雪蘭が一誠の頭に向けて右足で回し蹴りを放つ。

 一誠は、左腕で攻撃を防ぎ攻撃してきた足を持ち、雪蘭の体勢を崩す。

 

「ほいさ」

 

【beastbeastbeastbeastbeast】

 

 パチンと指を鳴らすと、瞬時に雪蘭を中心に風が発生し風の球体を創り、雪蘭はその中に閉じ込められる。

 

その時、一誠を中心に爆発が起きる。

 

「ふふふ、油断をしているときが一番の隙なのよ」

 

 ライザーの『女王』ユーベルーナが一誠に向けて魔力を放ったのだ。

 ハッハッハと高い笑い声を黒い煙を上げ風の鎧を纏いながら黒い煙の中から一誠が現れる。

 

「中々の戦いをして来たようだが、今の俺に油断も慢心もあるか、戯け。油断も慢心も無けい俺に隙など生れぬぞ」

 

 そう言いながらライザーの『女王』ユーベルーナに人差し指を向ける。

 そして、指をパチンと鳴らすと

 

【beastbeastbeastbeastbeast】

 

ユーベルーナを中心に風を発生させ、風の球体を創りその中にユーベルーナを閉じ込める。

 ユーベルーナを閉じ込めた直後に5分が経ったアラームが一誠の腕時計から流れ、うむ。時間かと呟きながら腕時計を止めるとライザーに向けてゆっくり一歩一歩歩き出す。

 

「ライザー様をやらせない!」

 

 ライザーの『戦車』イザベラが一誠の前に立ちふさがり、一誠の行く手を遮り一誠に向けて拳を放つが、

 

「邪魔……」

 

 拳を受け止め、イザベラを空中に放り出す。

 イザベラの体は空中を舞い、一誠の腕の中にすっぽりと納まる。

 

「ふええ!?」

 

 お姫様抱っこされるイザベラが可愛らしく女の子の悲鳴を上げた。

 

「……しないでね?」

 

 にこやかに言う一誠にイザベラは羞恥で顔を真っ赤に染める。

 

【beastbeastbeastbeastbeast】

 

 そして、イザベラの体は風が纏わりつきイザベラを中心に風の球体が創られ、イザベラはその中に閉じ込められる。

 

 

「ふう、邪魔が入るな。麺も伸びる事だし、てっとり早く済ますか」

 

【beatbeasbeastbeastbbeastbeastbeastbeast】

 

 そう言ってライザーにめがけて手をかざす。

 

風の通り道(エア・ロード)

 

 突如、風が発生し一誠は横向きの台風に包まれた。

 

 それは、まるで風に作られたトンネルだった。

 そのトンネル内にいる一誠にめがけてライザーの眷属が炎の魔力を撃つが霧散する。

 

「無駄だ。これと、先程の風で創った球体はちょっとやそっとで壊れやしない。少なくともお前達の攻撃ごときじゃヒビ一つ作れやしないよ」

 

 そう言って再び視線をライザーの方に向ける。

 

【beastbeastbeastbeastbeastbeast】

 

 白虎の小手(ビーステッド・ギア)から5回の機械音が発せられ、一誠はその音を聞くとライザーに向けて人差し指を向ける。

 

風の監獄(エア・プリズン)

 

 風がライザーを中心に発生し、ライザーの眷属を閉じ込めた風の球体が創られライザーはその球体の中に閉じ込められる。

 

「んしょ」

 

 一瞬でライザーとの距離を詰め風の監獄(エア・プリズン)に閉じ込められたライザーの前に立つ。

 

「貴様!こんな事で俺を閉じ込められると思っているのか!?」

 

 激怒するライザーだが一誠は、じゃあそこから出てみろよと煽る。

 激怒し、背中から炎の翼を出すライザーに一誠は懐から小瓶を取り出すと、小瓶ごとライザーが閉じ込められている風の監獄(エア・プリズン)にぶん投げる。

 そして、素早くショルダーホルスターに収めていたコルト・パイソンを一つ素早く抜くと銃口をライザーを閉じ込めている風の監獄(エア・プリズン)の中に入ろうとする小瓶に向け、躊躇わず引き金を引いた。

 小瓶に銃弾が当たり、中に入っていた粉末がライザーに降り注ぐ。

 粉末が降り注ぐと同時に風の監獄(エア・プリズン)の中にいたライザーを巻き込んで爆発が起きる。

 

 爆発は風の監獄(エア・プリズン)にから出る事は無かった。

 

 爆発を見ながら一誠は、ほう!粉塵爆発とはこの様な感じかと感心する。

 

 煙の中からライザーが現れる。

 

「ぐっ、貴様あああああ!!!」

 

 首を手に当てながら、苦しみ始めるライザーを見ながら一誠は笑みを浮かべる。

 

「そう。ここで問題です。簡単な化学の問題。先程君は、小麦粉によって粉塵爆発を受けダメージを受けました。では、今、何故君は苦しんでいるでしょ~か?」

 

 その問いに戦いを見ていた魔王サーゼクスは、ハッと気づき答える。

 

酸素欠乏症状(チアノーゼ)か!」

 

 魔王の答えにパチパチと手を叩き、ライザーを馬鹿にするように見ながら一誠は続ける。

 

「ご明察!流石魔王様!!君の今の状態は限られた密室空間に閉じ込められた哀れな実験動物。粉塵爆発で酸素量を一気に減らし、君のその炎で君は自分の首を絞めたんだよ!」

 

 解説をする間にもライザーは酸欠で一回死に、再び生き返るもすぐに酸欠で死ぬ。

 

「君は不死を自慢に天狗に成っていた様だけれども、君を負かす方法なんて幾らでもあるんだよ。不死と言うのも考え物だね~。何せ永遠と殺されるんだから。案外不死である事をやめた方が楽で良いかもしれないよ?」

 

 最早それは戦闘とも言えない戦いだった。

 ライザーが一方的に殺される。

 不死で生き返ろうとも酸欠で生き返ったと同時にすぐに死ぬ。それが何回も繰り返される。無限死という言葉が思い浮かぶ。

 無限死を繰り返すライザーを傍に一誠は結婚式に来ていた貴族悪魔に向けて声高らかに言う。

 

「良いか、悪魔諸君!勝手に戦争しといて純粋な悪魔の血筋がヤバいから無理やり結婚させよう!な~んて甘い考えてるんなら辞めろ。これは命令だ。聞けねえなら俺が相手になってやんぜ!老害風情無能揃いのゴミ虫。否、蛆虫風情がっ!過去の遺物風情が今を生きる若者の未来に一々口出ししてんじゃねえよ。カス!」

 

 そう言って再び無限死を繰り返すライザーに視線を移す。

 

「そろそろ終わらせちまおうか。カップ麺の麺が伸びちまう」

 

 懐から液体の入った小瓶を取り出し、風の監獄(エア・プリズン)に閉じ込められたライザーに放り込む。

 手に持つコルト・パイソンの照準を宙を舞う液体の入った小瓶に向け引き金をためらわずに引いた。

 銃口から銃弾が発せられ一直線上にあるターゲットの小瓶を貫く。

 小瓶は割れ、中の液体がライザーに降り注ぐ。

 

「グアアアアアア」

 

 硫酸を浴びたようにライザーは呻き、顔の皮膚が焼け爛れる。

 

 ほう!聖水を浴びれば悪魔はこのようにダメージを受けるのか。フム、恐い恐い等と言いつつ

 

【beastbeastbeastbeastbeastbeastbeastbeast】

 

 右手の小手に風を纏わせる。

 

「これで終わりだ。爆ぜろリア充!吹き飛べ糞野郎!風の鉄鎚(エア・ハンマー)!!!」

 

 纏わせた風を小手の先に集め、風の監獄(エア・プリズン)に囚われ、酸欠の為、無限死を体験したライザーの鳩尾に捻じ込むように拳を放つ。

 拳がライザーの鳩尾に寸止めをすると同時に小型の風の障壁が連続でライザーの鳩尾に衝撃波を打ち込む。

 

 

 一誠の攻撃が当り、衝撃がライザーの体内を駆け抜ける。

 その時、一誠はライザーにだけ聞こえる声音で言った。

 

「咬ませ役をご苦労さん。実に君は彼女、リアス・グレモリーに自分の力ではどうしようもない事があると言う事を教えるための良い道化(ピエロ)だったよ。褒美だ、喜び誇るが良いさ。君は俺の宝の一つ白虎の籠手(ビーステッド・ギア)を使わせたんだ」

 

 ライザーの今までした出来事を嘲笑うかのように、そうライザーに耳打ちする。

 

 ライザーは衝撃で天井まで吹き飛ばされ天井にぶち当たると天井にひびが入りそのまま地面に落下する。

 

「こ、この俺がっ!!!」

 

 

 震える手で上半身をおこして立ち上がろうとするも無限死によって何度も殺され、今までの事は全てこの下級悪魔である兵藤一誠の掌の中で回っていたと言う事。否定したくなるような真実を告げられ、最早心が折れていた。

 そして、遂には心身ともに力尽き地面にうつ伏せで倒れる。

 

「お兄様!!」

 

 ライザーの妹で眷属にされていたレイヴェル・フェニックスが一誠とライザーとの間に飛び込んできた。

 無言で一誠を睨み、何かを訴えてこようとするレイヴェルを見て一誠は優しく微笑み、彼女の頭を撫でながら言う。

 

「そこで伸びている君の兄貴に伝えておいてくれ。お前が変わるならリアス・グレモリーの心も変わるかも……とな」

 

 そう言いながら一誠は、リアス・グレモリーの眷属がライザーとの戦うまでの間に行った修行の一誠にとって最終日の晩の出来事を思い出していた。

 

 

 

 

 修行最終日の晩。一誠は喉が渇いたので水を飲もうとキッチンに行くとリアス・グレモリーが必死にライザーの今までの戦った映像をキッチンのそばに設置されている食卓テーブルの上で見ていた。

 向こうも一誠に気付いたのか映像を止め、一誠の方を見るとかけていた眼鏡を外す。

 

「あら、一誠。こんな夜遅くにどうしたの?」

 

「それはこちらのセリフだ、戯け。こんな夜遅くまで一体何をしている?体調管理を怠るようではいかんぞ」

 

 そうね。とリアスは呟くと一誠に黙って聞いてちょうだいとお願いする。

 

「私はね、リアスなのよ。でも、同時にグレモリーでもあるわ。グレモリーの娘である事に誇りを持ってはいるけれども、リアスではないのよ」

 

 良く話の内容が理解できない一誠だったが、次のリアスの言葉を聞いてすべて理解した。

 

「だから、リアスとして私を愛してくれる人と一緒になりたいの。グレモリーではなくリアスとして。私はこのささやかな願いを叶えたいの」

 

 話を聞き終えると同時に一誠はリアスの腕を掴んでいた。

 そして、掴んでいるリアスの腕がある事を心の中で確認しながらリアスに問う。

 

「この俺が今掴んでいるお前の腕は誰の腕だ?リアスかグレモリーか?この俺の瞳に映る紅の髪のお前は誰だ?リアスか?グレモリーか?」

 

「………っ私は!?」

 

 リアスの両腕をしっかりと握り、少し音声を上げて言う。

 

「ここにいるのは、俺の瞳に映るのは単なるリアス。リアス・グレモリーだ!お前が言いたいのは概ね理解したつもりだ。悪魔の世界がどうの、階級がどうの、貴族社会がどうの。その視点でお前を後ろの家柄グレモリーの人間でしか見ていない奴が多いと、極端な話道具としてしか見ていないと言いたいのだろう。自分をグレモリーの人間では無く、ただ一人の女として見て欲しい、と。俺からしてみれば悪魔の社会がどうの、家柄がどうのとかどうでも良いんだよ!一つ言わせろ。俺が触れている腕の人物は、単なるリアスだ。グレモリー。ハッ!だからどうした!?お前は、俺の眼に映る紅の髪をした魅力的な女性は単なる駒王学園オカルト研究部部長という肩書を持った一人の女性でしかねえ!」

 

 リアスは貴方乱暴ねと言いながらもクスリと笑い小さな声で、でもありがとう。と、一誠に告げる。

 

 一誠はそっぽを向いており、柄にもねえと言いながら頭をかきむしっていた。

 

 そこで一誠は思い出に浸ることを辞める。

 周囲に作られた臨時の戦闘フィールドが壊れていく事を横目で見ながら観戦していた魔王サーゼクス・ルシファーの基に訪れる。

 

「勝ったぞ。魔王様」

 

「おめでとう、ドラゴン使い君。所で肝心のリアスが未だ来ないんだが……」

 

 サーゼクスの問いに一誠は、ああ。それならと結婚式会場入り口の新婦のリアスが登場する予定だった扉へと視線を向ける。

 その瞬間タイミングよく重く鈍い音を出しながらも扉が開き、ウェディングドレスを身に纏った姿のリアス・グレモリーが一誠の絶対遵守のギアスにかかった従者に連れられて登場した。

 

「俺の絶対命令で連れて来る時間をずらさせた従者によって今到着の予定だったからさ」

 

 笑顔でそう述べる一誠を見て、サーゼクスは驚いた。

 自分たちの今日の出来事は、この子の掌で全て回っていたのかと。この人物兵藤一誠に踊らされていたのかと。

 そうなれば、彼。ライザー・フェニックスが負けるのも必然だったのでは無いかと思えてしまう。

 決してライザーという男が弱いわけではない。

 どちらかと言うと強い方だ。彼のレーティングゲームでも負け星が少ない。寧ろ、懇意にしている相手にわざと負けたので実質不敗。そんな相手を前に5分間自分は移動せず、5分後にライザーを倒すと宣言し有言実行した。

 しかも、最早一方的な暴力とも言える方法で。

 

そう考えているサーゼクスの耳に更に驚くべき言葉が入った。

 

「あ~あ。準備運動にすらならなかったぜ。あー、腹減った。カップ麺食べよ~っと」

 

 そう言ってカップ麺の蓋を剥がす一誠を見て、確かに強いと思った。貴族悪魔が集まるこの場所で堂々と下手をしたら貴族悪魔全員を敵にまわす発言をするだけの実力があると思い知った。

 ならば……殺すか?

 今の彼ならば禁手に至っていない。我々悪魔の敵に彼が渡ってしまっては最悪我々悪魔は滅んでしまう。

 手に滅びの魔力を込めようとした時、一誠は見透かすように言った。

 

「無粋な事をするな戯け。俺はボス面している奴が気に食わんだけだ。そんな奴の面を見ていると無性に蹴り倒したくなるのでな。ま、弱者に手を出すような弱い者いじめは、そうそうしないから安心しろ。今回みたいな倫理無視をしたら……ククク」

 

 黒く面白そうに笑う一誠に何も言えなくなるサーゼクス。

 

 そんな時、リアスが一誠の創った絶対遵守のギアスにかかった従者に連れられてサーゼクスと一誠のもとに到着した。

 

「おう、お姫様の登場だ。さてと姫様、さっさと帰るぞ」

 

「え、ちょっと!?これ、如何なっているの?」

 

 現状がわからず慌てふためく最愛の妹のリアスを見てサーゼクスは苦笑する。

 

「ほら、君の婚約者様であるライザー君はあそこでふん伸びているし、しかも魔王様と契約して君の婚約破棄とこれからの恋愛の自由を保障させた。これで君は自由だ好きに恋をするといいさ」

 

 そう言って手に握っていたコルト・パイソンをショルダーホルスターしまう。

 

 そして、ライザーとの戦いのため邪魔に成らないように会場内の机の上に置き、先ほど蓋を剥がしたカップ麺をもつとズルズルと勢い良く食べ始める。

 

 うめえ。やっぱり体を動かした後の食事は最高だぜ!と呟く一誠の傍らでジョーを筆頭にナルとレックスが一誠に近づく。

 一誠はもう食べ終わったのかと呆れながらジョー、ナル、レックスが食事していた場所に視線を向けると3匹の龍が食事を取っていた巨大な皿がカラに成っており、そのすぐ傍で料理を運んでいたボーイさんらしき人物が息をきらしていた。

 イビルジョーがのジョーがしゃがむとああ、もう!カップラーメン食べる余裕ないじゃんと嘆息しながらジョーによじ登り食べかけのカップラーメンを片手にリアスに腕を差し出す。

 

「ささ、自分で決めろリアス。ここで結婚するか?それとも俺と一緒に学園に帰って自由に恋愛するかを」

 

 リアスは戸惑い、兄のサーゼクスの顔を見るが自由にしなさいと頷く。

 

 その様子を見たリアスは、ありがとう。一誠。ありがとうと言いながらその腕をとると一誠はリアスの腕を勢いよく引っ張りジョーの頭にリアスを騎乗させる。

 リアスがジョーの頭に乗るとジョーの背後で待機していたティガレックスのレックスとナルガクルガのナルに命令する。

 

「ナル、レックス!部員全員を載せたら帰るぞ」

 

 すると、ナルとレックスはしゃがみ地面に頭をつけた。

 

 ほらほら!オカルト研究部の部員の皆、とっとと部室に帰るよと結婚会場のど真ん中で龍に乗って言うも結婚会場に来ていたオカルト研究部の部員達はリアスと一誠の二人っきりにさせようと気を利かせて動かない。

 その様子を見た一誠は、「ああ、成程」と頷くとペシぺシとジョーの頭を軽く叩く。そして、レックスとナルを見て、「変更。このまま帰るよ~」と言う。

 

 ジョーは立ち上がり、ナルとレックスもジョーに続いて立ち上がった。

 

ジョーはナルとレックスを連れ、頭に一誠とリアスを乗せてアランドロンのところまで一歩で歩く。

 

「あ!そうだ!!全員注目」

 

 急に一誠が何かを思い出し、大声で会場内にいる悪魔を注目させる。

 会場内にいる悪魔全員が注目すると、一誠は右手で自分の左目を抉り出す。

 

「痛っ!」

 

 左目を抉り出した影響で痛みを受ける。

 

 リアスの顔に一誠の左目から出た血が飛び散り、かかる。

 

「……え?」

 

 リアスは一瞬何が起きたか解らなかった。

 

 手で顔についた暖かい液体に触れると赤い液体であることがわかる。

 それだけで十分だった。

 

 解らなかった事が一瞬で分かった。

 

「キャアアアアアアア!!!」

 

 会場内にリアスの悲鳴が響き渡るも気にする事無く、一誠は抉り取った左目を会場の床に目がけて捨てて再び右手で左目があった場所を隠す。

 そして、【無から有を創る力】で左目があった個所に【記憶改ざんのギアス】を創る。

 

 一誠が右手を取り払うと、そこには赤い鳥が羽ばたく模様が刻まれた眼があった。

 

 【記憶改ざんのギアス】で会場内にいるリアスとライザーの眷属と親族らしき人物以外の全ての悪魔の記憶を改ざんする。

 

 一誠の赤い鳥が羽ばたく模様が更に赤くひかり、リアスとライザーの眷属と親族らしき人物以外の全ての悪魔にリアス・グレモリーとライザー・フェニックスの婚約式から魔王様の婚約記念パーティーへと記憶を書き換える。そして、魔王様の婚約パーティーに余興として自分とライザーが戦ったという風に記憶を都合よく書き換え、視線を魔王サーゼクス・ルシファーへと移す。

 

「この会場内にいる人たちの記憶はうまい具合に改ざんしたから後の事は宜しく」

 

 それだけ言うと一誠はリアスとジョー、ナル、レックスと共にアランドロンが真っ二つに割れて転送される。

 

困惑する魔王だが、そんな魔王に結婚式に来て一誠に記憶を改ざんさせられた男性悪魔が声をかける。

 

「魔王様、何故そんな処にいらっしゃるのですか?今日は魔王様とその奥方の婚約記念パーティーなのですから、中央にいらっしゃってください」

 

 男性悪魔の発言に会場内にいる一誠によって記憶を書き換えられた悪魔たちは全員うんうんと頷く。

 さらに男性悪魔は魔王サーゼクス・ルシファーのそばに待機していたアリアンナに視線を向けると、

 

「奥方様も何故にそのような格好をされていますか?お二人方は今日の主役なのですから、その様な格好を成されずとも」

 

 そう言ってパンパンと手を叩き会場内にいた従者を呼び出す。

 

「奥方様にドレスを用意して差し上げろ」

 

 命令を聞いた従者のメイドは、メイド服姿のアリアンナの腕をとり会場内の外へとアリアンナの服を着替えさせるためにアリアンナと共に退出していく。

 

 困惑を続ける魔王サーゼクスの肩をリアスとサーゼクスの母親が叩く。

 

「サーゼクス、困惑は解りますがあなたは魔王なのです。彼が言っていた記憶を改ざんしたという状況なら今の状況も少しは理解できるのではないのかしら?フェニックス卿の方は私たちが何とかしておきます」

 

 リアスとサーゼクスの母親の話を聞くと頷くサーゼクスだが、そこに着替えを終えたアリアンナが先ほどの従者と共に帰ってくる。

 

「さあ、お二人方。今日の主役なのですから存分に楽しんで下さい」

 

 男性悪魔がそういうと軽やかな音楽が流れ始め、会場内の殆どの悪魔が近くにいた男性と女性というペアでお互いに手を取り合い踊りだす。

 では。と男性悪魔が挨拶をして立ち去ると入れ替わるようにアリアンナがサーゼクスに問う。

 

「これは一体?」

 

 サーゼクスは、解らない。だが、会場内にいる悪魔全員が記憶を改ざんされたならあらかた理解はできる。この後の処理は大変だが今は楽しもうと言ってアリアンナの手を取り、流れる軽やかな音楽に身を任せて踊りだす。

 

 全く。事後処理が大変ですねと苦笑しながらもアリアンナも身を任せてサーゼクスと共に踊り始める。

 

急にリアスとライザーの結婚式から魔王の婚約記念パーティーへと変貌した会場内を見ながら木場は小猫(白音)、姫島朱乃、アーシア・アルジェントに話しかける。

 

「今回は僕たちの出番なかったね。婚約パーティーも滅茶苦茶だ」

 

「………それが兄様ですから」

 

「あらあら。凄い事に成りましたわね」

 

 そう言いながらも朱乃は、「あの小手は、まさかあの人?」と小さく呟いた。

 

「はううう!人が半分に割れました!!」

 

 アランドロンが一誠とリアス、それに3匹の龍を転送する時に縦真っ二つに割れたのを見てショックで気を失い、再び眼を覚ましたのがリアスが一誠に引き連れられて帰った後だった。

 なので、一誠が眼を抉り取ると言う更にショッキングな映像を見ずにすんだ。

 

「僕達も行こうか」

 

 木場の提案に姫島朱乃、アーシア、搭乗小猫が頷き、会場から出ていく。

 オカルト研究部員が出て行った会場内で魔王がその責務を一時的に忘れ優雅に愛する妻と踊る。

 

 

 

「馬鹿ね。貴方」

 

 そう呟きながらリアスは一誠の血で血塗られた頬を撫でる。

リアスの指が一誠の血で血塗られるがそんな事を構わず撫で続けた。

 

 下手をすれば悪魔全員を相手にするのよ?と嘆息するも、「そん時はそん時だ」とリアスに微笑みながら言う。

 そして、カップラーメンを一口ズルズルと勢いよく食べる。

 

「……シリアスな雰囲気が台無しね!」

 

「気にすんな。もうじき食い終わる」

 

 一誠の宣言通りにカップラーメンをその後20秒で食い終わり汁まで飲んだ一誠はクシャクシャとカップを圧縮するとポケットに突っ込むとリアスの方に視線を向ける。

 左眼は赤い鳥が羽ばたく模様が描かれ、もう片方の右眼は普通の何も描かれていない眼だ。

 

「その眼は?」

 

 リアスの問いに一誠は、「ああ」と呟くと右手で左眼を隠すように触れる。

 そして、右手を取り除くと右眼と同じ眼に成っていた。

 

「この眼は曰く王の力。他者の思考に干渉する特殊能力だ。効果範囲は調べていないが、先程の会場内ぐらいなら全員が効果範囲に入るだろう」

 

「そう、ありがとうね」

 

 そう言って一誠の唇にリアスの唇が触れる。

 

「!?」

 

 驚く一誠にリアスはクスリと笑う。

 

「ファーストキスよ。日本では女の子が大切にするものよね」

 

「……色々すまぬ」

 

「何が!?」

 

「まず一点。俺、ファーストキスは済ませた。それに今後のお前の為に俺は、ライザーとの試合にわざと出なかった。挫折を味わった人間は一回り強くなるからな。まあ、お前は悪魔だがな。さらにもう一点。カップ麺食ったから匂いが気になっただろう」

 

「もう……色々と台無しね」

 

 でも、色々と私の為に考えてくれてありがとうと呟く。

 

 リアスの反応を面白そうに見ながら一誠は、そうだなと頷いた。

 

 二人の頭上に浮かぶ月が満月の状態で二人を明るく照らしていた。

 

「あ、私もあなたのお家に住むから」

 

「ハア!?」

 

「いや、だからあなたの家に住むから。あなたとの交流を深めたいのよ」

 

「却下。調子に乗るな」

 

 二人の仲に亀裂が入るのを知った事かといわんばかりに明るく二人を照らす。

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