上里友海は勇者である 作:水甲
気がつくとそこは真っ暗な場所だった。どうして私はこんな所にいるのだろうか?
あたりを見渡すと幼馴染で大親友の牡丹が倒れていた。私は牡丹の体をゆすり起こした。
「牡丹、起きて」
「ん、ここは……友海!?私達は一体?」
「わからない。私達、何してたんだっけ?」
「えっと……確か……」
私達は必死に何が起きたのか思い出していた。確かクエストを終わらせて、街に戻ろうとした時に急にフードを被った女の人に声をかけられて……
「気がついたらここだったね」
「明らかにそのフードの人が怪しいわね」
何となく犯人がわかり、どうしたものか考えようとした時、ある場所だけ光が照らされた。そこにはあの時の女の人が立っていた。
「目覚めましたね。勇者よ」
「爆裂!勇者………」
「ちょ、ちょっと待ってください!?」
犯人が早速現れたから先手必勝で倒そうとしたのに思いっきり止められた。
「友海、待ちなさい。あの私達をこの場所に連れてきたのは貴方ですか?」
「え、えぇ、そうよ」
「目的は何ですか?」
「目的……それはね。あなた達には例外な存在になりうるかどうか知るためよ」
「よくわからないんだけど……」
私は再度拳に魔力を込めた。師匠の教えの一つ、『よくわからないことを言う人は、一瞬で倒せ』だからね
「ちょっと待ってください。話を聞いて下さい」
「友海、落ち着いて、敵意はないから大丈夫だよ」
「そう?」
「ふぅ、すぐに手を出す娘は危ないですね。私は運命と例外を司る邪神ムーマといいます」
「邪神って言うことは敵だよね」
「だから話を聞いてからにして下さい!!こうみえても昔はれっきとした女神だったんですよ」
「えっ?だってアクアさんが言ってたよ。邪神は危険だからあったら即倒しちゃっていいって」
「友海、あの人の言葉を鵜呑みにしちゃ駄目だからね。それと話が進まないから、少しじっとしてて」
「うん、わかったよ。牡丹」
「話が進みますね……今回、あなた方をお呼びしたのは先程も言ったように例外の存在になりうるかを知るためです」
「例外ですか?」
「……世界はたくさんあるということを知っていますか?」
私と牡丹は顔を見合わせた。別世界の牡丹のパパがいる世界や色んな時代の勇者が集まる世界に行ったことがある。
「うん、知ってるよ。私達も経験したことがある」
「それなら話は早いですね。あなた達には悲しい運命をたどる可能性がある世界へ行っていただき、そこで悲しい運命を変えられる例外になっていただきます」
「悲しい運命?」
「東郷牡丹さん、貴方の父親である神宮桔梗。彼は別世界では天の神との戦いを終わらせた例外。上里友海さん、貴方の父親である上里海は、異世界にて死ぬ運命だった少女たちの運命を変えた例外。私が言う例外というのはそういう意味です」
つまりそれって……運命を変えてくれって言うことなのかな?それだったら……
「わかったよ。引き受けるよ」
「友海、もう少し話を……」
「師匠の教え一つ『困った人がいたら必ず力になる』だよ」
「それは……そうだけど……」
困った人がいたらそれが人じゃなくっても助けるべきだって師匠が教えてくれたんだから……
「引き受けるということですね。それでは早速ある世界に行ってもらいます。因みに約束をして下さい。運命を変えるとは言っても、未来から着たということなどを伝えないように……特に牡丹さん、貴方は名字を名乗るのをやめたほうが良いです。まぁ神宮は大丈夫です」
「それって……どういうことですか?もしかして……」
「貴方の思っているとおりです」
ムーマさんは笑顔を私達に向け、指を鳴らした瞬間、私たちの意識はなくなるのであった。
「………先行している彼女のことを伝え忘れたけど、いいか。さてさて上手く行くでしょうか楽しみですね」
また気がつくと見知らぬ場所にいた。何だか神聖な場所みたいだけど……
「急に送るのはどうかと思うけど……」
「とりあえずここは四国のどこかってことかな?」
「何でそんな事分かるの?」
「あの人が言っていた言葉を聞いて思ったの。この世界は私達がいた世界と似た世界だけど、全く違う世界で、そこには海お父様もお父様も存在しない世界なんじゃないかって……」
「あれ?でもそれだとママたちは?」
「あの人が私の名字を名乗らないほうが良いって言ったのは、お母様はいるからだと思うの」
パパがいない世界……そんな世界があるんだ……
「でもどこに行こう?」
「そうね……」
「とりあえず讃州中学校を目指すのはいいかもしれないよ~」
不意に聞き覚えのある声が聞こえ、振り向くとそこには体中に包帯が巻かれ、ベッドに横たわる女の子。
「園子おばちゃん?」
「……ここは貴方の部屋でしたか」
「うん、そうだよ~それとおばちゃんって言うのはやめてほしいかな?それにしても驚いたよ~急に光がパーっとなって、二人がいるんだもん」
「あ、あの、私達は……」
「大丈夫だよ~神樹様から神託があってね。別世界から来訪者が現れるってね」
すごいな~神樹様にもう話が言ってるんだ。でも神樹様は大丈夫なのかな?枯れたりするんじゃないのかな?
「それにね。二人が来る前にもうひとり着てるんだ~」
園子おばちゃんがそういった瞬間、部屋の影から一人の女の子が出てきた。私と牡丹はその子を見て驚いた。
「どうしてあなた達がいるのかしら」
「「赤嶺友奈!?」」
基本的に友海たちは中学二年生という設定です。