上里友海は勇者である   作:水甲

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09 間に合わなかったとしても

友海SIDE

 

わんこバーテックスと戦うことになった私。長い時間をかけて戦っていられない。急がないとママたちが満開して大変なことになる。

 

だけどわんこバーテックスの動きが早すぎて、パンチを繰り出しても避けられてしまう。

 

『俺ノ速サニツイテコレナイダロ!!』

 

すれ違いざまに爪で私の体を傷つけていく。こういう時どうしたものか……

 

(思い出さないと……戦いの基本……)

 

私は目を閉じ、パパやママに教えてもらったことを思い出していた。こういう相手に対してはどうするべきか……

 

(爆裂魔法を放てば楽だけど、今後のことを考えるととっておきたい。勘で攻撃を当てるのは私にはまだ無理……)

 

どうにかしないと考え込んでいると、カズマおじちゃんのある言葉を思い出した。

 

『素早い相手に対して攻撃を当てる方法?まぁ色々とあるけど、一番いいのは……』

 

私はそっと右腕を掲げた瞬間、わんこバーテックスが噛み付いてきた。

 

『馬鹿ガ!!自分デ腕ヲ伸バシテ……噛ミツケト言ッテイルモノダゾ!!』

 

「その通りだよ!!」

 

カズマおじちゃんが教えてくれたこと、それはわざと攻撃を食らって、反撃をすること。私は左手を思いっきり握りしめ、わんこバーテックスを思いっきり殴り飛ばした。

 

『がふっ!?』

 

「いたた、この世界のママみたいに絶対防御とかじゃないから無茶できないな……」

 

噛まれた箇所を押さえながら、そう言うと倒れたわんこバーテックスは起き上がった。

 

『自分ノ腕ヲ犠牲ニスルナンテ……回復デキルカラカ?』

 

「悪いけど、回復はしないよ。魔力はのこしておか……何で私が回復できるって知ってるの?」

 

『サァテナ。今回ハ退イテヤル』

 

わんこバーテックスはそう言って、その場から逃げ出すのであった。どうしてあのわんこバーテックスは私が回復できるって知ってるのかな?

 

「そうだ。今はママたちのところに……」

 

急いで戻ろうとしたが、まばゆい光があっちの方で見えていた。

 

「そんな……」

 

この戦いでママたちを満開させないようにしようとしていたのに……間に合わなかった?

ううん、まだ間に合うはず。聞いていた話だったら……まだママと夏凛おばちゃんは満開していないはずだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はママたちのところに駆け寄ると、すでに巨大なバーテックスの封印の儀を行っているところだった。

 

「牡丹、赤嶺ちゃん」

 

「友海……ごめん」

 

「ちょっと厄介すぎてね……悪かったわね」

 

「大丈夫。今は?」

 

「レオ・スタークラスターの御霊を出したけど、出た場所が……」

 

赤嶺ちゃんが指を指した方向を見ると、空だった。もしかして宇宙に出てきたって言わないよね

 

「友海ちゃん、すごい怪我!?」

 

「大丈夫なの?」

 

ママと牡丹ママが心配そうに駆けつけてきた。私はただ頷くとママはあることを告げた

 

「御霊を破壊すればこの戦いは終わる……友海ちゃんたちは休んでて、私と東郷さんで……」

 

「友奈ちゃん、私も行くよ」

 

「友海!?」

 

牡丹は止めようとするが、赤嶺ちゃんが牡丹の肩を掴んだ。

 

「大丈夫なの?」

 

「うん、まだ使ってないから……」

 

「それなら……行ってきなさい」

 

「うん、行ってきます」

 

私とママは牡丹ママの満開に乗り、宇宙へと上がっていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

御霊の近くまで行くと御霊から激しい攻撃の嵐が襲ってきた。

 

「友奈ちゃん、友海ちゃん、道は私が……」

 

満開の砲撃で御霊からの攻撃を相殺していき、道が見えた。

 

「友海ちゃん!ここは私が……」

 

「ううん、私がやる……必殺!!爆裂勇者パンチ!!」

 

爆裂勇者パンチを御霊に直撃させるが、巨大すぎて少しクレーターができたくらいだった。

 

「わんことの戦いのダメージが……このままじゃ……」

 

できればママだけでも……ママだけでも苦しい思いはしてほしくない。ママが満開するなら……

 

「満開システムがないから仕方ないけど……あったら使ったのに……」

 

「友海ちゃん、ありがとうね。満開!!」

 

私はママの満開を見届けながら、牡丹ママの満開の上に落ちるのであった。

 

「友海ちゃん、大丈夫?」

 

「ママ……ごめんなさい」

 

「えっ?」

 

私が最後に見た光景はママが満開で御霊を破壊する姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『シナリオ通りね。まぁこの戦いを変える方法は神様の力がなければね……』

 

なにもない空間で一人つぶやく邪神。

 

『これからがどう変わるか……楽しみだわ。そのために女神共には邪魔はさせないわ』

 

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