上里友海は勇者である 作:水甲
友海SIDE
今日はみんなで海に来ていた。どうして海に来ているかはこの間の戦いで一応、バーテックスを倒したことにより、大赦がご褒美として勇者部の合宿先を用意してくれた。
「海だぁ~」
「牡丹、転ぶよ」
「全く海でよくそんな風にはしゃげるわね」
「あちらの世界には行く機会がなかったので……」
「確かにそうだけど……」
「あんたら、温度差激しいわね」
風おばちゃんが準備体操をしながらそう言っていた。すると夏凛おばちゃんがこっちに向かって走ってきた。
「風!こっちは十分に身体を温めてきたわ!さぁ、勝負よ」
「夏凛ちゃん、風先輩と勝負するんだね」
「優れた選手は水の中もいけるってことをまたまた見せてあげるわ!」
「ねぇ、こんな格好で女子力振りまいたらナンパとかされないかしら?」
「何を心配してるのよ」
夏凛おばちゃんが呆れている隙に風おばちゃんが先にスタートするのであった。
「ちょ、ずるいわよ!?」
「みんな、良かった……」
「友海ちゃん、元気になったね」
ママが笑顔でそう言うのであった。もしかして元気なさそうに見えてたかな?
「何だか友海ちゃん、私達のこと心配してくれてたみたいだから……」
「えっと……その……」
「心配してくれてありがとう。大赦の人も調査してくれているからきっとなんとかなるよ」
「えぇ、友奈ちゃんの言うとおりよ。牡丹ちゃんも気にしないようにね」
「えっ、は、はい」
牡丹も内心心配してたんだね。
「それじゃ、いっぱい遊ぼっか。友海ちゃん」
「うん、友奈ちゃん」
赤嶺SIDE
「ふぅ、本当にこういう時は年相応の顔をするわね」
私はパラソルの下でみんなのことを見つめていた。すると私の隣に星海がそっと座ってきた。
「遊ばないんですか?」
「貴方こそ、水着に着替えてないじゃない」
「私は……その……」
「もしかして泳げないとか?」
「うぅ、言わないでください。海という名前がついているのに泳げないってどう思います?」
「ふふ、気にしないほうが良いんじゃないのかな?」
「そうでしょうか?」
「赤嶺さんはどうなんですか?」
「私は………」
過酷な日々、死んだ後あの世界に行ったときは楽しい日々があったけど、彼が死んでからはつらい日々が待っていた。こうして遊んだりするのは久しぶりすぎて忘れている。私はどんな風に遊んでいたんだっけ?
「色々とありすぎてね。今更ね」
「赤嶺さん……」
「心配ありがとうね。星海」
「いえ、巫女として勇者様のメンタルをサポートしないと……」
「そこは巫女としてじゃなく、友達としてでいいんじゃないの?」
「あっ!?」
星海と私は一緒に笑い合うのであった。それにしてもこんな時に考えるべきじゃないけど、あの邪神は私の願いを叶えてくれるのかな?
友海SIDE
みんなで海でいっぱい遊んでいたせいか気がついたらもう夜になっていた。私は一人夜の海を眺めていると
「こんなところで何してるんだ?友海」
「あれ?蒼くん」
声をかけてきたのは蒼くんだ。なんでこんなところにいるんだろう?ここは一般の人はあまりいないのに……
「どうしてここに?」
「んん?まぁ、散歩かな。友海は?」
「私は友達と一緒に合宿に来てるの。今はちょっと夜風に当たって……」
「……そうか」
蒼くんは何故か私の頭をなでた。なんでいきなりこんなことを!?
「蒼くん?」
「わ、悪い。ちょっと元気が無い気がして……」
何だか急に頭を撫でられてものすごく顔が熱いし、ものすごくドキドキしている
「あ、ありがとう。でも女の子の頭を急に撫でるのはよくないよ」
「それじゃこれから許可をもらうよ」
「それもだめだと思うけど……」
蒼くんって何だか色々と抜けている気がするな……
「それで何で元気がなかったんだ?」
「えっと……ちょっとホームシックかな」
「ホームシック?」
「うん、色々とあって今はパパとママと離れて暮らしてるの。それも突然のことだったからかな。牡丹や赤嶺ちゃんや友奈ちゃんたちがいるから寂しいってことはなかったんだけど、やっぱりちょっとね」
「……僕にはよく分からないけど、今の寂しい分、会えた時の喜びとかはすごく良いものになるんじゃないのか?」
「そうかな?」
「そうだよ。僕なんて……いや言う必要はないか」
蒼くんはどこかへ行こうとしていた。
「あんまり元気が無いところ見せるなよ。お前は元気な方が僕は好きだよ」
蒼くんはそう言い残して去っていった。好きって……どういうことかな?
旅館の部屋に戻ると牡丹が心配そうな顔をしていた。
「どうしたの?顔が赤いけど……風邪?」
「えっ!?風邪じゃないけど……ただちょっと……」
「ほほう、友海、もしかして誰かにナンパされたとか?」
「えっ!?」
「あら、秋と冬を通り越して春がきたのかな」
赤嶺ちゃんがニヤニヤしながらそういうのであった。べ、別にそういうことじゃ……
「ちょっとこれは詳しく聞かないとね」
その後、私は風おばちゃんと赤嶺ちゃんにいろいろと聞かせるようにとせめられるのであった。
とある世界
「カズマ、やはりユミとボタンはギルドでも見ていないらしい」
「あの二人どこに行ってるんだ?王都とかか?」
「先ほどゆんゆんと一緒にアイリスに聞きに行きましたが、来ていないそうです」
「ふたりともどうしたんだろう?書き置きとかないよね」
友奈たちが心配する中、僕は持っている武器を全部取り出し、手入れをしていた。
「アクアはなにか聞いてないのか?」
「なんにも聞いてないわよ。ただどうにも妙なのよね。ウミ、悪いんだけどエリスを呼び出してもらっていいかな?」
「ちょっとまっていてくれ。すぐに手入れを終わらせて犯人を探しに行くから……帰ってきてからに……」
カズマさんが無言で僕の肩を掴んだ瞬間、一気に体力を奪われた。
「ユウナ、こいつ、暴走してるぞ」
「ごめんなさい。友海ちゃんのことになると暴走しちゃって、でもそれくらい海くんは愛してくれてるから」
「あぁうん、お前ら家族を含めてな。惚気は良いからな」
カズマさんがため息をつく中、銀が戻ってきた。
「今戻ったけど……何があったんだ?」
「実はな」
カズマさんは事情を話すと銀はあることを言い出した。
「あの二人が!?だから海のやつがぶっ倒れてるのか」
「ギン、理解が早くて助かります」
「とりあえずウミ、エリス様を呼んでくれ」
「……わかった……」
僕はエリス様を呼び出すと何故かエリス様は難しい顔をしていた。
「皆さん、ちょうどよかった。話があったので……」
「話?」
「はい、実はと言うとユミさんとボタンさんの魂が感じられないんです」
「どういうことだ?死んだのか?」
「カズマ、言葉を選んでやれ。ウミが絶望してるぞ」
「あの、ウミさん。死んだというわけではないので安心してください」
「本当?」
「はい、ただ二人の魂が感じられなかったのと同時に……どうにも妙な力を感じるのです。この感じは私とアクア様と同じ女神……いえ、禍々しい力を感じます」
「やっぱりエリスも感じたのね。どうにも禍々しいもの感じてたのよ」
「だとしたら神クラスのやつが関わってるのか?」
「はい、その調査のために彼女に調べてもらっています。ウミさん、もしかしたら……」
「あぁわかった」
どうにも厄介事に巻き込まれたって言うことか。