上里友海は勇者である 作:水甲
友海SIDE
樹海へと訪れると四国の壁を埋め尽くすほどの星屑がいた。星屑が出てきている場所……やっぱりパパたちから聞いていたとおりだ。
「何よ。あの数……」
「友海、あんたたち、なにか知ってるの?」
「はい、お母様のお話が本当なら……四国の外は滅んだ世界ではなく、炎の海に包まれた世界が広がっていて……そこには無数のバーテックスがいるんです」
「何よそれ……というかこれを起こしてるのが東郷だっていうのか!?あのバカ!!」
「東郷さん……どうして……」
「ママ、牡丹ママを責めないであげて、ママたちを救うために……終わりなき役目を終わらせるために、世界を壊そうとしてるんだよ。やり方は間違ってるかもしれないけど……」
『東郷先輩……』
「まぁ勇者部はこんなことを受け入れる気ないわよね」
「赤嶺、当たり前じゃない」
夏凛おばちゃんが刀を取り出し、構えた。
「友奈、風、樹、友海、牡丹、赤嶺、道は切り開くわ!!そのために……満開!!」
夏凛おばちゃんが満開をし、無数の星屑に飛び込んでいった。本来なら止めるべきことなんだろうけど……
「ママ、行こう」
「うん」
私達は牡丹ママがいる場所へと駆け出そうとした瞬間、私は何かに腕を捕まれ、どこかへ連れて行かれるのであった
気がつくと私の周りに誰もいなかった。端末でみんなの居場所を確認するとそこまで離れた場所に連れてこられてはいないみたいだ。
「早く戻らないと……」
『イヤ、君ニハココデ待ッテモラオウ』
突然私の目の前にこの間戦ったワンコ・バーテックスが私の前に立ちはだかっていた。私は拳を構えた。
「待つ訳にはいかないよ!だって、これ以上はみんなに悲しい思いはさせないたくないから……」
『………ヤハリ、止マルツモリハナイカ。仕方ナイ』
ワンコバーテックスがまばゆい光に包まれ、みるみるうちに人の姿になっていった。光が消え、私の前に現れたのは……
「あお……くん?」
「いいや、僕はバーテックス。君の敵だよ」
「どうして……どうして蒼くんが……」
「本当は人について知ろうと思っていた。だから色々と調べていたんだけど、君に出会った」
蒼くんはゆっくり私に近寄り、私の肩を掴んだ
「友海、君は優しい子だ。だからこそ、もうここで戦うのをやめたほうが良い。聞いたんだ。天の神と神樹と同じような存在が……」
蒼くんが何かを言いかけるが、私は掴んでいる手を振りほどき、拳を構えた。
「蒼くんがなにか伝えようとしているのはわかったけど、でも私はそれを聞いてきっと悩むんだろうけど……それだったら自分自身で真実を知って、悩みたい」
「……そうか……君はそういう人間だったね。僕の目的は君を止めて、やつの思い通りにさせないつもりだ。だからこそ……本気でやる」
蒼くんがまた光だし、十二星座型のバーテックスと同じような大きさに変わり、3つの首が生えたバーテックスに姿を変えた。
『俺は天の神に作られた変異種のバーテックス。君を連れ去った狼の姿と人の姿。そしてこれが俺が本気で戦うときの姿……名前はケルベロス・バーテックスだ』
「……本気で戦うなら、私も本気で答えるから」
牡丹SIDE
「あとは……任せたわよ……」
夏凛おばさまが満開が解けると同時にそのまま地面に落ちていく。私が追いかけようとすると赤嶺さんがそれを止めた。
「あの子は私に任せておいて、牡丹は牡丹のやるべきに集中しなさい」
「私のやるべきこと……」
「赤嶺……私も行くわ」
『私も行きます』
「風、樹……仕方ないわね。いいよ。それと……友奈ちゃん」
「赤嶺ちゃん?」
「牡丹のことサポートしてあげてね。一応私はこの子達のお姉さんだから、心配でしょうがないのよ。だから……」
「うん、任せて」
赤嶺さん、風おばさま、樹おばさまは落ちた夏凛おばさまを助けに向かい、私と友奈おばさまはお母様のところへ向かった。
お母様がいる壁の外へ行くとやっぱり聞いていたとおり、炎に包まれた世界が広がっていて、そこにはお母様が待ち構えていた。
「……友奈ちゃん、牡丹ちゃん」
「東郷さん……どうしてこんなことを……」
「これも全部、みんなを救うためよ」
「……東郷さん、このまま戦い続ければ、いずれ園子さんと同じようになるから……そのためにこんなことを始めたんですよね」
私がそう告げた瞬間、お母様は驚いた顔をしていた。
「そう、未来から来ているからこそ、全部知ってるのね」
「はい……だからこそ止めさせてもらいます」
「牡丹ちゃん……」
「わかったわ。来なさい」
私は弓を構え、お母様は二丁の銃と4つの遠隔誘導攻撃端末を私に向けるのであった。
とある世界にて
「…………」
「なぁ、ウミ、いい加減落ち着けって」
「そうですよ。今のウミはまるで昔ダクネスが帰ってこなくって、落ち着かないカズマみたいですよ」
「あんな感じだったのか。あの時は本当に済まなかったな」
「いや、ダクネスさん、昔のことだから気にしなくていいですよ。というか友奈、どうにかして落ち着かせてくれよ」
「えっ、私?ん~」
僕は調査しているエリスさんが戻ってくるのをウロウロしながら待っていた。早くどうにかして見つけないと……
すると友奈が僕の前に立つとそっとキスをした。
「ん、落ち着いた?」
「う、うん」
「なぁ、落ち着かせろって言ったのに……いちゃつくなよ」
「とはいえ、ウミが落ち着いたのでこれで良しでしょう」
「ウミ、素直にエリス様が戻ってくるのを待ってろ。何かいい報告が出てくるかもしれないぞ」
ダクネスさんにそう言われ、僕は椅子に座るのであった。そうだよな。素直に待たないと……
「なぁ、ウミ、もし戦いで負けそうになっていても、あの二人の勇者システムにアレがつけられてるんだろ?使用後は物凄い筋肉痛になる」
「あぁ、つけるつもりはなかったけど、もしものときのためにって頼んでおいたけど……発動するきっかけに気がつけば良いんだけど……」
あの二人はまだそのきっかけが分かっていないからな。