上里友海は勇者である 作:水甲
あの戦いから数ヶ月がたった。私達は未だに元の世界に帰れないでいた。いつになったら帰れるのか思っていたけど、きっといつか帰れるだろうと思っていた。
「讃州中学勇者部は、勇んで世の為になる事をするクラブです。なるべく諦めない、成せば大抵何とかなる、などの精神で頑張っています」
「友奈~、タウン誌で勇者部の活動を紹介してもらうんだから、良いキャッチコピーを考えてよね」
「お姉ちゃん!幼稚園からお礼のメールが沢山来てる!」
「ふむ!この間のはバカウケだったからねぇ~!」
ママたちがパソコンでメールを見ている中、私と牡丹はというと……
「風おばちゃん。頼まれていた衣装の修復終わりました」
「こちらもシナリオの方、訂正終わりました」
「うんうん、ありがとうね。二人共……でも友海、その呼び方はやめてくれないかしら?まだ私はピチピチの中3なのよ!」
「あっ、ごめんなさい」
「友海ちゃんたちからしてみれば、それくらい年が離れてるんだよね」
「はい、癖みたいなもので……」
「癖なら仕方ないけど……気をつけなさいよ。特に人前で友奈のことをママって呼ぶのは駄目よ」
「は~い」
怒られたけど、未だになれないな~あっちではすぐに名前呼びできたのに……
「ごめんごめん~もう始まってるー?掃除当番の途中で寝てしまったんよ~」
「器用に寝れるなんてある意味すごいわね」
そんな事を話していると掃除当番から戻ってきた園子おばちゃんと依頼から戻ってきた赤嶺ちゃんが部室に入ってきた。
園子おばちゃんはあの戦いの後、動けるようになり、讃州中学に転入してきた。
「園子…そんな時に寝る事が出来るのはあなたくらいよね……」
「わぁ!褒められたー!」
「良かったね!夏凜ちゃんはなかなか人を褒めないんだよ」
園子おばちゃんとママがハイタッチするけど、明らかに褒めていない気がするのは気のせいかな?
戦いが終わり、今は平穏な日々が続いていた。だけどその日々を過ごしているのはママたちだけだった。
部活も終わり、私、牡丹、赤嶺ちゃんの三人である人を探していた。
「やっぱりいないね……」
「友奈さんたちは気がついていないみたいですけど……」
「そこら辺、海くんからは聞いてないの?」
「う~ん、あんまりパパからは……」
「よく聞いておくべきだったね」
「まぁいいわ。とりあえずは私達だけでなんとかしよう」
「「はい」」
勇者部にもうひとりいた。牡丹のママは一体どこに行ってしまったのだろうか?
「……今回の件とは別に……二人は邪神と連絡は取れているかな?」
「いえ、全然……」
「私達がこっちに来てから連絡とか無いよね」
「そう……」
赤嶺ちゃんは何か考え込んでいた。邪神の言う悲しい運命って数ヶ月前に起きたあの戦いのことじゃなかったのかな?もしかしてこれから起きるあの……
「大丈夫だよね。私達なら……変えられるよね」
あの時は沢山の人達に助けられながら、運命を変えることができた。だけど今回は私達が頑張らないと……
星海SIDE
大赦本部
ある一室で私は幹部たちから渡された書類を見ていた。そこに書かれていた内容は……
「神樹様の加護を捨て、新たに邪神の加護を得るですか……」
「はい、大多数の人間が邪神を崇拝しています。一体邪神とは……」
私の前にいる神官がそう答えた。私は以前彼女たちから聞かされた事を話した。
「……女神から邪神だと言われてしまった元女神だと……私はそう聞かされています」
「何ですか?それ?」
「そういうことがあるみたいなの。本当かどうかわからないけど……」
「はぁ……」
「邪神崇拝している人々の動きに注意してください。もしかしたら何かしらの行動を起こしているはずです」
「わかりました」
神官がそう言って部屋から出ていった。
本当に厄介なことが起こり始めている。いや、もしかしたら……
「知らないところでもう始まっているのかもしれない……」
とある世界
エリスさんがようやく帰ってきて、僕たちに調べたことをすべて話した。
「邪神って……アクア、またお前……」
「ちょっと待ちなさいよ。今回は私は関係ないからね。そのムーアとかって奴は知らないわよ」
「カズマさん、先輩が言っていることは本当です。ムーアは正真正銘の邪神……奴の目的は全ての平行世界を支配するつもりです」
「だが何故その邪神とやらがユミたちを連れ去ったんだ?」
ダクネスさんの疑問は当然だ。神クラスなら友海たちは必要ないはず………
「ムーアは例外的な存在を使い、力を上げるのかもしれません」
「「「「「例外?」」」」」
僕、カズマさん、アクアさん、ダクネスさん、めぐみんの五人が口を揃えた。何だか聞き慣れない言葉なんだけど……
「例外的な存在……それは平行世界にて限りなく低い可能性で存在するものです。そのものはどんな運命すら変えることが出来る力を持っています。現状確認できているのは別世界のキキョウさんとウミさん、貴方です」
「僕が?」
「はい、貴方は運命を変え、ユウナさんたちを助けました。貴方は例外的な存在です」
「………エリスさん、僕は……違うと思いますよ」
「どうしてですか?」
「いや、どう考えても……」
僕はある人物の方を見るのであった