上里友海は勇者である   作:水甲

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20 孤独と苦痛

友海SIDE

 

牡丹ママを救うことが出来、勇者部に再び日常が戻ってきた。ママも苦し思いもすること無く、みんなと笑顔で過ごしていた。

 

ただ……私は……

 

「……友海?聞いてるの?」

 

「えっ?何?牡丹?」

 

「友奈おばさまのことよ。ここしばらく様子を見てたけど、聞いていたような感じじゃないねって」

 

「う、うん……」

 

牡丹、それは仕方ないよ。ママは呪いを受けていない。呪いを受けたのは私なんだから……

それにこの事は言えないよ。言ったらきっと牡丹にも迷惑かけるし……

 

「もう少し様子を見てみよう。もしかしたら私達にもなにか出来ることがあるから」

 

「そうね……」

 

ごめんね。牡丹。嘘ついて……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は皆が帰った部室で一人で呪いの痛みから耐え抜いていた。胸に刻まれた烙印は時間が経てば経つほど広がっていく。

それに誰かに話したりしたらその人にも影響が出てしまう。ママはその苦しみからも耐えてきたんだ。娘である私も耐えないと……

 

「一人ぼっち……大丈夫だよね」

 

私は自分にそう言い聞かせていた。きっとそのうち呪いを解く方法があるはずだから……それまでは……

 

「……友海」

 

不意に声が聞こえ、振り向くとそこには赤嶺ちゃんが心配そうに私を見つめていた。

 

「赤嶺ちゃん……」

 

「あなた、何か隠してるでしょう?東郷を助けた後くらいからずっと……」

 

「か、隠し事なんてしてないよ……」

 

「その割には元気が無いわよ」

 

「そう?私はいつもどおりだよ」

 

「………私はこれから起きることを話でしか聞いてない。だからどんな未来が起きるか分からないけど……」

 

赤嶺ちゃんは私の手を握り、見つめていた。

 

「あんた、未来を変えるために何をしたの?」

 

「何も……してないよ」

 

「そう……」

 

赤嶺ちゃんは私の手を離し、部室から出ていこうとしていた。私は呼び止めようとするけど、呼び止めても話すことが出来ない

 

「まだ話せないってことで納得しておくけど、辛くなったら話して……」

 

赤嶺ちゃんはそう言い残して、出ていくのであった。辛くなったら話せか……

 

「ごめん。ごめんなさい……」

 

私は一人、泣くのであった。辛いよ……助けてほしいよ……

 

「助けてあげましょうか?」

 

私の心の声が聞こえていたのかのように、突然聞き覚えのある声が聞こえた。私の後ろにはいつの間にか邪神ムーマが立っていた。

 

「ムーマさん……」

 

「邪神とはいえ私は神。呪いなんてものは効かないわ」

 

「……ムーマさん……」

 

「貴方を蝕む呪いから……苦しみから救ってあげられるわ」

 

ムーマさんはゆっくりと私に手を差し伸べるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

牡丹SIDE

 

私は一人、友奈おばさまに呼び出され、近くの海岸に来ていた。そこには友奈おばさまの他に風おばさま、樹おばさま、夏凛おばさま、園子おばさま、星海さん、そしてお母様が来ていた。

 

「牡丹ちゃん、友海ちゃんのことだけど……」

 

「友海がどうかしたんですか?」

 

「やはり知らないみたいですね」

 

星海さんの言葉を聞いて、私は理解した。友海が何かを隠しているの?

 

「私達も友奈からあとになって聞かされたんだけど……あの子、東郷を助けるために一人で助けたみたいなのよね」

 

「友海ちゃんからなにか聞いてない?」

 

そんな……本来ならお母様を助ける時に、友奈おばさまとお父様が呪いを代わりに引き受けたって聞いていたのに……だとしたら今、呪いは……

 

「それにね~ちょっと気になることがあるの。今大赦では神樹様派と邪神派に別れてるらしいんだ~」

 

「邪神派………まさか!?」

 

そんなわけない。あの人は私達がこの世界を救う例外になってほしいからって言っていた。でも、どうして……

 

「邪神派の人が言うには、人々を絶望から救う事ができるって神託を降し続けているみたい」

 

「それって……」

 

「神樹様からの神託では、邪神の言葉を聞き、世界は暗く絶望しか無いものに変わってしまうって……」

 

星海さんの話を聞き、私はすぐに気がついた。私達は騙されていたの……

 

「その邪神とかよく分からないけど、どうにかする方法があるのよね」

 

夏凛おばさまがそう聞くが、星海さんは首を横に振った。

 

「現時点ではどうすることも……ただ鍵を握っているのは友海さんだけみたいなんです」

 

友海が鍵を握ってる?もしかして前に言っていた『例外』と関係が……

 

「とりあえず明日、友海に無理矢理にでも話を聞くわよ」

 

風おばさまの言葉を聞き、全員が頷くのであった。

友海……まさか一人で背負い込んでる?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある世界にて

 

「というわけで頼める?」

 

家に来た天の神に頼まれごとをされた私。するとヒメノ様は……

 

『なるほど。邪神とやらは間抜けね。確かに天の神と女神を封じれば邪魔されることはないだろうけど……』

 

「でも、私達はちょっとだけ関わっただけだから……知らないのはしょうがないと思いますよ」

 

「いいえ、邪神は間抜けよ。それに結界を破壊して、彼らが知ったらどんな風に怒るのやら……」

 

『確実に魂ごと消滅されるわね』

 

「何だかすごい人達なんですね。でもその人達にこれを返せますね」

 

私は紅い刀と水色と白の短刀を天の神に見せた。あの時、私の力になってくれたもの……ちゃんと返さないとね

 

「それじゃ準備ができたらいいなさい。女神の間に連れて行くから」

 

 

 

 

 

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