上里友海は勇者である 作:水甲
世界が樹海へ変わると私達の前に邪神が立ちはだかっていた。その胸には友海が囚われている。
『神樹も最後の力を振り絞って樹海を作り出したみたいね』
「私達を利用して、友海まで利用して……あなたは存在すら残さずに滅ぼされる覚悟できてるかな?」
赤嶺さんが拳を構えるが、邪神は不気味な笑みを浮かべていた。
『あなた達みたいな例外のなり損ないが、私を倒せると思ってるのかしら?』
「やってみなきゃわからない!!勇者!」
「ダブル!」
「「パンチ!!」」
赤嶺さんと友奈おばさまが同時にパンチを繰り出すが、邪神は背中から生えた触手で攻撃を防ぎ、二人を思いっきり触手で叩きつけた。
『無駄なことをしないほうがいいわ。あなた達は黙って私に悲しみと絶望を捧げなさい』
「そんなこと!」
「するもんか!」
夏凛おばさまと風おばさまが背後から攻撃を加えようとするが、邪神の触手の先が獣の口みたいに開き、二人を捕獲し、地面に叩きつける。
だけどその隙に園子おばさまと樹おばさまが攻撃を繰り出そうとするが、
『だから無駄よ』
悪魔みたいな翼を広げ、二人を吹き飛ばしていく。私とお母様で砲撃を行おうとするが、邪神の翼から無数のエネルギー弾が発射され、私達も吹き飛ばしていく
『アハハハハハハハハ!!弱い、弱すぎるわ!あんたら人間が神に勝つなんて無理なのよ!!絶望しなさい!!』
邪神の高笑いが響き渡る中、私達は諦めずに立ち上がった。
「諦めない……勇者は諦めたりしないって……おじさまから教えられた!!」
「そうね……あの人ならそういうね……だから……」
『そう……だったら……』
邪神は赤嶺さんを触手で縛り上げ、赤嶺さんの頭に触れた。
『絶望の淵に苦しみ続けなさい』
赤嶺SIDE
気がつくと元の世界だった。これは邪神が見せている幻覚だとすぐさま気が付き、私は抜け出そうとするが、
「友奈?何してるんだ?」
「海くん……これも幻ね……」
「幻?何を言ってるんだ?僕は幻なわけ……」
海くんが何かを言いかけた瞬間、突然海くんの首が切り落とされた。
「……海くんの死を見せ続けて私を絶望に落とすつもり?そんなの……」
言葉ではそう言えるが、私は永遠に海くんの死を見せ続けられていく。耐えるんだ。耐えないと駄目なんだ……
「どうして……何も言ってくれないんだ?友奈……」
「やめて……あの人の声でそんな事を言わないで……」
私が絶望するまで見せ続けるの?この悪夢を……
とある世界にて
「たどり着いたわ。邪神の世界」
「友海たちはここに……」
「だけど簡単に入れそうにないな……」
桔梗さんが手を伸ばすが、弾かれてしまった。これが結界っていうものか……
「奴は私や女神の力では壊せないように作ったみたいだけど……」
『本当に考えなしですね。しっかり調べないと……蕾。力を貸してください』
「はい」
サンチョ・ヒメノさんと蕾さんがまばゆい光に包まれると、蕾さんの姿が前に会ったヒメノさんと同じ姿に変わった。
「それじゃ行きますよ」
牡丹SIDE
『どうかしら?私が作り出した悪夢は……』
全身から汗を流し、膝をつく赤嶺さんに対して邪神は笑みを浮かべていた。
「最低ね……否定し続けても……永遠に終わらない……」
『それじゃ終わらせてあげるわ。愛しい人の所に行きなさい』
邪神が黒く巨大なエネルギー弾を作り出し、私達に向かって放とうとしていた。だけど赤嶺さんは立ち上がり、右の拳に魔力をため始めた。
「そんなもの……相殺してみせる!!」
『出来るの?人間風情が……』
邪神がエネルギー弾を放った瞬間、赤嶺さんが拳を大きく振った。その瞬間、私と友奈おばさまは赤嶺さんのサインに気がついた。
「爆裂!勇者パンチ!!」
爆裂勇者パンチと邪神の攻撃がぶつかり合い、邪神の攻撃は消えたが、赤嶺さんは地面に倒れ込んでいた。
『ふふ、なかなかの威力だけど……私を倒すまでには行かないみたいね』
「それはどうかな」
「友海ちゃん!?」
二人の攻撃がぶつかりあう瞬間、私と友奈おばさまの二人で友海を引き剥がすことに成功した。友海は解放されると同時にすぐさま勇者に変身した。
「牡丹……ママ……ありがとう」
「ううん、お礼は後だよ」
「友海、今は邪神を倒そう」
「わかった!!」
友海は満開し、両拳に魔力を溜め込んだ。
『それは……それを喰らったら……させるか!!』
邪神が無数のエネルギー弾を放つが、三首のバーテックス姿になった蒼くんが盾になり、友海を救った。
『終わらせろ!!』
「うん、師匠とママ直伝+私の……みんなの思いを込めた!!爆裂!ツイン!勇者パンチ!!」
『う、こ、こんな……』
友海の一撃が邪神に届く
はずだった。
『なんてね』
「かはっ!?」
友海のお腹に触手の一撃が当たっていた。友海はそのまま地面に落ち、倒れ込んでいた。
『ふふふ、惜しかったわね。もう少しで私を倒せそうだったのに……だけどより良く勇者たちの絶望を食らうためにはこういうのが良いと思ってね。さぁこれで終わりよ』
邪神は笑みを浮かべながら、いくつもの触手を生やし、先の方を鋭く尖らせた。
『死ね!!』
「ゆみぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーーー!!?」
友海SIDE
邪神の攻撃がいつまでも届いてこなかった。私はそっと目を開けると、邪神の触手が焼き切られていた。そして邪神の触手を切り落とした男の子をみて、牡丹は涙を流していた。
「間に合ったみたいだな」
『貴様は!?だけど貴様一人なら!!』
邪神は大きく翼を広げて、無数のエネルギー弾を放ってきた。だけど巨大な鏡で邪神の攻撃を反射する一人の女の子がいた。
『がああああああ!!なんだこれは』
『調査不足だね』
「なんというか神でもここまで頭が回らない人がいるんですね」
「そう言ってやるなよ。ただでさえ、怒らせたらいけないやつを怒らせたんだから」
二人がそういう中、邪神の後ろからママたちと若葉おばちゃんたちの武器が邪神に向かって、放たれていった。
『があっ!?これは……』
「勇者乱舞終式!!」
その人は地面に降り立ち、倒れ込んだ私をそっと起こした。
「怪我は……してるけど大丈夫みたいだな」
「あ、あぁ……」
私は涙を流していた。そうだよね。いつだって私の危機を救ってくれたよね
「桔梗さん、蕾さん。お決まりなセリフを言ってもいいですか?」
「あぁ、言ってやれ」
「言ってやってください」
その人は二人の言葉を聞き、笑みを浮かべ、邪神を睨みつけた。
「うちの娘をイジメた奴はお前か?クソ野郎!!」
「パパ!」