ー 1年後 ー
家の近くの河川敷。俺の訓練所だ。
ホッパーと呼ばれるだけあって、俺の体は脚力を第一に強化されていたらしい。まぁ、パンチ力もそこらの強化系と張り合うぐらいなんだが。
「調子はどうだ?猛」
「ようやく自分のものになってきましたよ、おやっさん」
立花藤兵衛。両親が他界している俺を面倒見てくれる、立花レーシングクラブの会長。親同然の恩人であり、俺の体の理解者で協力者。俺の体のことはオールマイトがおやっさんに話しておいてくれた。
「サイクロンの方はどうだ」
「サーキットでしか走れてないので、なんとも」
おやっさんがチューンナップしたcbr400r 通称 サイクロン
そこらの中型になら余裕で勝るスペックを持っているが、俺がまだ免許すら持っていない為、直近で取れる中免に合わせた400にしたらしい。ちなみに、通常なら車検は絶対通らないが、コネで無理くり通すから絶対警察には捕まるな、とおやっさんに言われた。大丈夫なんだろうか…
「今はストレージの中に入ってるんだろう?」
「ええ、1万ちょいの所で止めてます」
「便利なもんだなぁー、お前の個性。まぁこっちとしちゃあ、なおしがいが無くてつまらないんだがな」
個性『ストレージ』
印をつけた物を出したりしまったりできる個性。
両手で触ったものが〝印〟を付けた状態になり、印自体は目には見えない。今のところは最大4つ同時に収納可能、その内の3つはサイクロンとショッカー時代のバトルスーツ、バイク用ヘルメットに当てられている。
印済みの物は、いくら壊れようが1度出し入れすれば印を付けた時の状態に戻る。俺のサイクロンはフル整備の状態で印をつけた為、おやっさんには悪いがメンテは必要ない。
「まぁ、入試まであと数ヶ月。気い引き締めていけよ」
「はい!」
「ああ、そうだ。お前に客が来てる。飯がてら一回帰るぞ」
〇
「お待たせしてすみません。相澤先生」
「いや、急に来て悪かったな本郷。調子はどうだ」
「問題ありません」
相澤消太先生。ヒーロー名、イレイザーヘッド。
雄英の先生で事実上、俺のお目付け役であり師匠でもある人だ。
「それで先生、バイクの件はどうですかね」
「一応許可が降りた。試験会場も私有地だからな。だが、60以上出すな。」
「ありがとうございます!」
入試はサポートアイテム持ち込み可、とのことだが、バイクをサポートアイテム扱いできるかどうかは不安だった。
「お前の戦闘スタイルは知ってるが、わざわざバイクを使わなくてもいいだろう」
「でも合理的でしょう?」
「…どうだかな」
おやっさんの入れたコーヒーを飲む相澤先生。
「……それで
「ああ、少しだが稽古をつけてやる」
「お願いします!!」
こうして俺は雄英への道を、一歩一歩確実に辿っていく。