System Mind──── 機械の少女は涙を流す   作:feel0330

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長かった一話がやっと終わりです!



一話「機械少女」 (完)

「私は、今から三十年先の未来から来ました」

 

三十年ってことは、今が二一一五年だから二一四五年ってことか。

 

「私のいた時代では機械少女は全世界に広がり、生活の一部として多くの人に愛されていましたし必要とされていました。しかし、ある日大きな事件が起きました」

「大きな事件?」

「はい。機械少女が人を殺しました」

 

機械少女が人を殺した…?

 

「機械少女は人間を気付つけられないようにプログラムされているんじゃなかったけ?」

「その通りです」

「じゃあ、なんで殺すなんてことが…」

「確かに機械少女は主はもちろん、人間を気付つけることはできません。しかし、それは基本的にはと言うだけです」

「…例外があるってことなんだね」

「はい。その例外と言うのが、主の危機です」

 

機械少女は自分の紅茶を一口飲み

 

「機械少女が何らかの基準をもとに、危険と判断したものを主から遠ざけようとする──つまり、排除しようとするんです」

「それと殺人がどう繋がるの?」

「主が殺されそうになったんですよ」

「……それって殺人が起きそうになったってこと?」

 

現在の日本の殺人事件数は年間で二十にも満たない。

 

「さっき、私は機械少女が全世界に広まったと言いましたよね?」

「…うん」

「その全世界には未来でもまだ法や安全性が、十分とは言ない国も含まれています。つまり、治安の悪い国の貴族が護衛用として購入した結果ですよ」

「護衛ならSPを雇えばいいんじゃないの?」

「SPを雇うと、人件費やチップなんかがかかる上に、秘密を自分以外の人が知ってしまう可能性があります。しかし、機械少女なら費用は最初の購入費しかからないだけでなく、命令すれば入られたくない部屋なんかは絶対に入りませんから、秘密を守ることが簡単なんですよ」

 

自分を守らせるため?秘密を守るため?

 

「それだけのためなら機械少女じゃなくてロボットでも買えばいいじゃないか…」

「機械少女は一通りの武術は基本からプログラムされていますし、銃の扱いも覚えさせようと思えば、簡単に扱えます。つまり、人間より圧倒的に便利なんですよ」

 

便利──その言葉を口にするときの機械少女の顔はどこか、悲しげだった。

 

「大体はわかったよ。けど、それだけでわざわざ未来から来たの?」

「何がわかったんですか?私はまだ一割も話してませんよ?」

「えっと、未来で起きる殺人を止めろってことじゃないの?」

「殺人を止めるなんて無駄なことのために、わざわざ未来から来るわけないじゃないですか。それに、機械少女を機械みたいに扱うからあんなことになるんですよ」

「それじゃあ、君が未来から来た理由は何?」

「それを今から話すんですよ。それと、君ってやめてもらえますか?」

「だって、君の名前なんか知らないし」

「私にはシアルって言う大事な名前があるんですよ」

「シアル…」

「さて、ここからは少し長いのであなたは黙っていてくださいね」

「わかったよ。おとなしく聞いてるよ」

「話を戻すと、機械少女が殺人をしました。その結果、機械少女を守る法律だけでなく機械少女を取り締まる法律が議論されました」

 

議論の内容は様々だったが、主な議題は人間に適用されている法律を機械少女が犯した場合、罪は機械少女に与えるべきかその主に与えるべきか、と言うものだった。

 

「法律が発布されるまでの間、機械少女は全機、収容所に送られることが決まりました」

それは法律が決まらないうちに、機械少女がまた犯罪を犯すと混乱するので一時的に、と言うものだった。

 

「しかし、ここで機械少女も致命的な欠陥が発見されました」

「致命的な欠陥…?」

「感情の抑制ができないんですよ」

 

機械少女たちは収容所に行くことを拒んだ。

 

「初めのうちはただ、初期のように抗議するだけでした。しかし、政府は強硬策に出ました。簡単に言うと拉致ですね」

 

政府は機械少女とその主の対応に手を焼いたため、一機ずつ回収していくことにした。

 

「その結果、機械少女たちも自分と主を守るため武器を手に取りました。小さな内戦状態でしたよ」

 

機械少女は人間を手助けするために体は丈夫にできていて、力は強く武術なども覚えているために個としては完全に人間を圧倒していた。

しかし、自衛隊の持つ軍事力の前に機械少女たちはジリ貧になっていた。

それまでに人間を少なからず殺していたため、ここで敗戦宣言をしても処分は確実だった。

 

「その時、一人の研究者が立ち上がりました」

 

その者は機械少女を用い、機械少女に負けを認めさせ、政府にも機械少女の自由の拘束を断つように指示した。

他に有無を言わさないほどの力を持って。

 

「その内戦を終わらせた力が真理(ヴェリタス)と呼ばれる石です」

 

真理──かつて世界最小国と言われた国、バチカン市国の地底で見つかったため現地の発掘チームが名付けた。

 

「真理はそれ単体ではただの石と同じです。しかし、先に言った研究者が開発した機械少女に組み合わせることで、人知や物理法則を無視した力が機械少女に宿りました」

「そこで、内戦は終わったんだろ?だったら、なんでシアルは未来から来たの?」

「黙っていてくださいと言いましたよね?」

 

シアルが冬樹を睨む。

 

「はい。すみませんでした」

「本題はここからです。この力はあまりに強すぎたため、各国が欲しがりました」

 

真理を持った機械少女の力はまさしく神と言えた。

それほどの力を持ってすれば、他国の領土を奪うのなど、片手でできるほどだった。

他国はそれを良しとせず、真理の研究に勤しんだ。しかし、真理の力を引き出せる国は日本以外に現れなかった。

 

「真理の力を引き出せたのは、あの研究者──私達の創造主様だけでした」

「……………え?」

「各国は真理の力を狙って、創造主様及び、私と姉妹を日本に渡すように交渉と言う名の脅迫をしました。日本政府はその交渉に応じ私の妹を差し出すよう創造主様に命令しました。しかし、創造主様は妹を守ってくれました。すると、今度は創造主様と私達が拉致の対象となりました」

 

そう話すシアルの目には静かな炎が燃えているように見えた。

 

「私達は反抗し、屈服させることを創造主様に提案しました。しかし、創造主様は向かってくる敵を追い払うだけで、決して積極的には戦いませんでした」

「どうして?」

 

冬樹の問いにシアルは静かに首を横に振り

 

「わかりません。ただ、創造主様は信じていたのでしょうね。機械少女ではなく、人間が持つ心を」

 

人間が持つ心…。それは何なのか冬樹はわからなかった。

 

「そうして私達と国の戦いは長い間続きました。そんな時ついに、事態は動きました。そう、妹の一人が拉致されました」

机の下にある手が震えているのに冬樹は気付いた。

 

「そのことに私達姉妹は激怒し、ついに全面戦争を始めました。創造主様の静止を無視して」

 

神と呼ばれた機械少女対全世界…。

考えただけでもただじゃ済みそうにない。

 

「私達は余裕で勝てると思っていました。何せこっちには真理の力がありましたから」

 

物理法則を無視するほどの力があれば人間なんて簡単に殺せるとシアルたちは思っていた。

 

「しかし、私達が引きこもっている間に世界は対真理の力としての武器を開発していました。それが原理(アルケー)と言われる、真理と対をなす石でした」

 

原理も真理と同様にバチカン市国から発掘された。

 

「真理は機械少女から力を引き出せますが、原理は石の状態でも真理を封殺できました。そうして私達は撤退しました。二人の姉を残して………」

 

シアルは泣いていた。姉妹を三人も連れ去られ、自分は何もできない無力を痛感して。

 

「私達は創造主様の元に帰りました。ただ、解剖される日を待って。しかし、創造主様は密かに開発していました。あの状況を覆す装置を」

 

シアルが冬樹に顔を向け言った。

 

「それがいわゆるタイムマシンです」

 

タイムマシン──漫画やアニメでよく出され、時代を自由に行き来できる装置。

 

「それが私に与えられた真理の力の一つです」

 

そう言うとシアルは立ち上がり背中を冬樹に向けた。

すると、まるで衣服から翼が生えてきた。

 

「これは……」

 

その翼は冬樹が飛び降りた時にそれを支えたシアルの背中に生えていた翼だった。

 

「この翼は私が真理の力を発動するためにある媒体です。これが青く光るときに私はタイムトラベルします」

「空を飛んでるときはピンク色だったよね?」

「はい。桜色に光るときは重力の操作ができます」

「重力の操作?」

「そのことは後程話します」

 

そう言うとシアルの背中から翼は消えた。

 

「とりあえず、私が未来から来た理由は以上です。世界を救うなんて大きなことじゃなくて、がっかりしましたか?」

 

シアルは自嘲気味に言った。

 

「……シアルは、シアルはさ、家族を守るために未来から来たの?」

「はい。私にとっては唯一持っていた大切なものでした。それを取り戻せるなら命の一つや二つ、投げ捨てたって構いません」

 

その言葉を発したシアルの目を見て、冬樹は震えた。

 

「本気…なんだね?」

「冗談でこんなことを言うなら、私は私を殺します」

「わかったよ。君の家族を救うのに協力しよう」

「本当ですか!?」

 

シアルの表情が一気に晴れた。

 

「冗談でこんなこと言ったら殺されるからね」

「ありがとうございます!!」

 

シアルは頭を下げた。

 

「でも、協力って言ったって何をすればいいの?」

「それはまた明日にでも話します」

 

またそれか。シアルは何かと話を先延ばしにする癖があるな。

 

「今日はもう寝ましょう」

「そう言えば眠いな。今、何時?」

 

時計の方を見るともう四時なっていた。

 

「もうこんな時間!?」

「話し込んでいましたからね。隣の部屋、お借りしますね」

「あぁ、好きに使ってくれていいよ」

「では、おやすみなさい」

「…あ、おやすみ」

 

シアルは冬樹の部屋から出ていった。

久しぶりにおやすみを言った気がするなぁ。

そんなことを考えながら、冬樹は自信の寝室に行き、ベッドの上で眠りに落ちた。

 




どうもfeelです!
今回の後書きはまじめに書きますよ
始めての連載小説なので何文字くらいで投稿したら良いか、わかりません...(唐突な愚痴
なので読者の皆様には申しわけないですが、キリのいいとこで投稿しようと思うので、短かったり長かったりが激しいと思います!
しかし、内容は一切妥協とかはしないので読んでいただけると嬉しいです!!
これからもよろしくお願いします!!
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