諸刃の癒し   作:vegatair

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オリジナル展開です。
1人増やした弊害ですね笑
頑張ります。



11.次なる試練

 着替えを終えグラウンド・βに集まった生徒たち。

 彼彼女らのヒーローの『戦闘服』は一般的な服装ではなく、仮装パーティーか何かと言いたくなるような、そんな外見のものが多い。

 例えば両手に手榴弾に見せた籠手をつけていたり、テープカッターを思わせるフルフェイスのヘルメット、両肩に歯車を装備するなど個性的な衣装が多い。

 しかも女子に至っては羞恥の感情など皆無なのか、体のラインをはっきりとさせるもの、かの透明少女に至っては手袋と靴以外は何も身につけていないと、年頃の男子高校生にとっては少々刺激が強いデザインが多い。

 

 しかしヒーローとは人々からの人気が必要不可欠。こうしたわかりやすい、見ただけで『あのヒーローだ』と理解できるような服を着る必要がある。ようはオリジナリティーを出せ、という話である。

 とはいえあまりにも刺激的な『戦闘服』の数々に、さしもの諸葉も目のやり場に困り天を仰ぐ。

 

「あぁ……雄英最高、ヒーロー科最高……入ってよかった……」

 

 そんな諸葉の足元にいつの間にか峰田は、そんな扇情的な『戦闘服』を身に付ける女生徒を見て歓喜の涙を流していた。ちなみに峰田の『戦闘服』は髪の色と同じ服に目元を隠すマスク、そして黄色の手袋と靴にマント、白いオムツのようなパンツといった風貌だ。

 そんな峰田になんともいえない視線を向ける諸葉だが、不意にトントンと肩を叩かれ振り返る。するとそこに立っていたのは『戦闘服』に身を包んだ響香だった。

 

「どう……似合ってる、かな?」

「うん、似合ってるよ……とっても」

「あ、ありがと……諸葉もその、似合ってるよ」

 

 照れからほのかに赤く染まった頬をかき、恥ずかしそうに視線をずらす響香。彼女の『戦闘服』は絵の段階で見ていたのだが、やはりこうして実際に着ることでより格好よさや魅力といったものが増す。幼馴染という贔屓目を抜いたとしても十分に魅力的だ。

 そんな二人のやりとりを傍観していた峰田。現在、彼の脳裏にはある一つの仮説が浮上していた。

 

「癒代……耳郎……お前ら付き合ってんのか?」

「は、はぁっ⁉︎ ちがっ、ウチらはそんな関係じゃ──」

 

 震える指、というか体全体を震わせながら二人を指差し、消え入りそうな声で尋ねる峰田。そんな峰田の発言に明らかな動揺を見せる響香。

 実際は思いもよらない一言に驚いたために出た反応だが、峰田にとってはその拒絶が間違った仮説を結論へと至らしめてしまう。

 

「テメェ癒代ぉ……んな女に興味ないふりしやがって、実はプレイボーイだったてかぁッ⁉︎」

「だから違うって! ほら、諸葉からもなんか言ってやって……」

「なんでっ、なんだって耳郎なんだコラァ‼︎ もっとグラマラスな奴なら他にいるだろうが!」

「……よし殺す」

 

 最後に言い放った峰田の一言にプツン、と耳郎の中で何かが切れる。即座に耳郎は耳たぶのプラグを峰田の体へ突き刺す。そして彼女の『個性』により増幅された心音が峰田の体へと送られ、悲鳴とともに峰田はその場に悶絶する。

 呻き声をあげる峰田へ冷めきった視線を送る響香。一通り峰田が制裁を受けたのを見届けると、諸葉は倒れ伏す小柄な少年へと近づき

 

「響香とは幼馴染で、だから仲がいい。峰田が思ってるようなことはない」

「ウグッ……それを早く言えよぉ……!」

 

 授業が始まる前から瀕死の状態に追いやられる峰田。だがあの勢いだったら多分言っても聞かないと、諸葉は峰田が停止するのを待っていたのだ。

 峰田とそんなやり取りをしている諸葉の後ろ、自らの体型を見直した響香は周りの女生徒たちへと視線を移す。どの生徒も自分より数段発育の良い体つきをしており、響香は再度、起伏の少ない自身の体を見下ろしため息を吐く。

 

「……ちゃんと牛乳飲んでるのに」

 

 そんな響香のつぶやきは誰にも聞かれることはなく、クラス全員が集合したことを確認したオールマイトが声をあげる。

 

「揃ったな有精卵ども! ではさっそく戦闘訓練の概要を説明しよう!」

 

 その一言にざわついていた生徒たちは一瞬で静かになる。皆が聞く準備を整えたところで再度、オールマイトは口を開く。

 

「ここは入試でも使った演習場だが……さて皆は今から何をするかわかるかな?」

 

 新米教師のオールマイト。生徒たちへの問いかけ方が子供にするそれだが、そこはヒーロー科の生徒。即座に多くのものが手をあげ各々発言をする。

 

「また入試のように対ロボットの訓練でしょうか!」

「やっぱ漢だったら一対一のタイマンだろ!」

「いやいやバトルロワイヤル的な奴じゃね?」

 

 そんな生徒たちの意見を一通り耳にするオールマイト。さすがNo. 1ヒーロー、全ての内容を聞き取り咀嚼することができたようだ。新米といえどそこはトップヒーロー。やはり教鞭を振るう才能もあるのだろう。

 そんなオールマイトの開口一言目は

 

「せ、先生は聖徳太子じゃないから、一人一人発言してくれると嬉しいな……」

 

 やはり新米は新米。苦笑いを浮かべたオールマイトは手を合わせ生徒たちへとお願いをする。

 

「さて気を取り直して……今回行うのは対人訓練! しかもただの対人訓練じゃあないぞ! なんと7人一組のチーム戦だ!」

「対人にチーム戦って基礎がなってないのに大丈夫なのかしら」

「その基礎を知るためさ蛙吹(あすい)少女! ロボットではない、人に『個性』を振るうということを知るためのね!」

 

 入試ではぶっ壊せばOKなロボットだった。無論、『個性』の加減などせずに全力で挑んだことだろう。

 しかしそれが対人へとなれば話は大きく変わってくる。相手に大怪我を負わせない『個性』の制御、そして何より意志を持った相手との戦闘だ。ロボットのように一筋縄ではいかない。

 

「でも7人一組って多くないですかー? 私たち昨日知り合ったばかりですよ?」

 

 カラフルな斑模様の『戦闘服』に身を包んだ少女、芦戸(あしど)三奈(みな)が手をあげて発言する。

 

「だからこそさ! ヒーローにとってコミュニケーション能力は必要不可欠! 君たちがどれほどその能力を持っているのか、まだ出会って間もない今が一番よく実感できるのさ!」

 

 互いの『個性』の情報を共有しそれに適した役割を決める。プロになればた事務所とのチームアップする機会は数多く出てくる。

 どんな相手であっても一定水準の連携が取れるヒーローは大変重宝されるのだ。

 

「ルールはこうだ!」

 

 ・それぞれのチームに一つずつ『ターゲット』が割り振られる

 ・相手チームの『ターゲット』に触れれば勝利!

 ・各チームには『捕獲テープ』が三本支給。巻かれた人は強制的にリタイアだ!

 ・『個性』は使用していいがいたずらに傷つける行為は厳禁、即強制退場してもらうぞ!

 

 まとめれば『個性』使用を認められた『陣取り』のようなものらしい。

 

「そして次はお待ちかねのチーム分けだが……皆にはこのくじを引いてもらおう!」

 

 そう言いオールマイトは赤いボックスを手に持つと、生徒達一人一人に中身を引かせる。

 諸葉も順番が来ると箱の中へと手を突っ込み適当に中身を取り出す。取り出したボールに書かれていたのは『A』という文字。

 

 Aチーム:飯田、麗日、尾白、耳郎、緑谷、八百万、癒代

 Bチーム:青山、蛙吹、切島、障子、常闇、爆豪、峰田

 Cチーム:芦戸、上鳴、甲田、砂糖、瀬呂、轟、葉隠

 

 以上のチームに分けられたクラスメートたち。

 

「さて自分のチームはわかったな! そしたら各自指定された場所まで移動してくれ! あ、ちなみに地図はボールの中に入ってるからね!」

 

 オールマイトの言う通りボールはガチャガチャの景品よろしく、真っ二つに別れる構造をしており、中には折りたたまれた地図が入っていた。

 諸葉は地図を見ながらそのポイントへ向けて歩き始めると、ちょうど近くを歩いていた八百万が近寄り声をかける。

 

「癒代さんもAだったのですね。よろしくお願いしますわ」

「姐さん……こっちもよろしく──」

 

 振り返り、そこまで口にしたところで諸葉は言葉を途切らせる。そんな諸葉に八百万は首を傾げ不思議そうな表情を浮かべ

 

「どうかされましたか?」

「……姐さん、『戦闘服』ちゃんと要望出した?」

「えぇ、きちんと要望は出させていただきましたが……それが何か?」

 

 はっきり言おう。八百万の『戦闘服』はかなり露出度が高い。というか胸元から(へそ)まで前がパックリと開いているというのは如何なものか。

 基本は動じない諸葉だったが、さすがに彼女の『戦闘服』はスルーすることができなかったらしい。

 

「……いや別になにもない」

 

 本人がいいというのならそれでいいのだろう。諸葉はそう納得し、これ以上彼女の『戦闘服』に関しての考察をやめる。

 だが諸葉は知らない。彼女が当初要望した『戦闘服』は法律に抵触する恐れがある程のものであったことを。

 

 そんなことなど露知らず、諸葉は目的地へと向けて足を進めるのだった。

 

 

『ターゲットと書かれた長方形の何か』が置かれた目的地へと到着し、小さな円陣を作る諸葉と一同。

 そんな中一番に声を発したのは、全身を白い鎧のような何かで包み込んだ男子生徒。

 

「まずは軽く自己紹介と互いの『個性』を確認しよう。俺は飯田天哉、加速する『個性』を持っている」

「あ、飯田くんだったんだ」

 

 どうやら中にいたのは飯田だったらしく、自身の個性について軽く説明をする。

 

「それでは次は私が。私は八百万百と申します、『個性』は生物以外なら大体作り出せるといったものです。よろしくお願いいたしますわ」

「俺は尾白猿夫(ましらお)。『個性』は見ての通りこの尻尾だ、よろしく」

「私は麗日お茶子。『個性』は触れたものを浮かせるってやつです、よろしくね!」

「ウチは耳郎響香。プラグをつないで心音を増幅したり、地面につないで索敵したりできる『個性』、よろしく」

 

 チームの大半が自己紹介を兼ねて『個性』についての軽い説明を終える。そして順番は諸葉と緑谷へ。

 

「俺は癒代諸葉。『個性』は治癒系統、よろしく」

「ぼ、僕は緑谷出久です。『個性』は超パワーだけど、使えば体もボロボロになっちゃうってやつです……よ、よろしくお願いします」

 

 自己紹介も終わり、いよいよ作戦に入るわけだが。ここでポイントとなるものは『攻守』の比率だ。

 全体の『個性』のバランスを考え、どう防衛側と攻撃側を組み立てていくのか。ここで勝敗が分かれるといっても過言ではない。

 

「攻撃に割り振るか守備に割り振るか、悩ましいところだな……」

「あまり守りに偏り過ぎてもターゲットを取れませんし、逆もまた然りですわ」

 

 攻守のバランス。守れて且つ、ターゲットを取れる攻撃力を有した編成。

 どうすれば良いかと頭を悩ませていると

 

「あ、あの……僕に一つ考えが……」

 

 おそるおそる、緑谷が手を挙げつつ控えめに発言をする。

 

「む、緑谷くん……してその考えとは?」

「う、うんっ。まず編成だけど、守備には八百万さんと耳郎さんがいいと思うんだ。八百万さんの『個性』は状況に対処しやすいし、耳郎さんも索敵で奇襲にも対応できる」

 

『創造』の八百万と『イヤフォンジャック』の耳郎。確かに守るという観点でいえばこの二人の『個性』は非常に心強い。

 

「攻撃側は機動力のある飯田くん、身体能力の高い癒代くんがいいと思う」

「それじゃ俺はどっちがいいかな」

「直接戦闘を考えたら、尾白くんは守備側に回ってくれると安心かな。それと麗日さんも『個性』で浮かせれば主導権は握れるだろうし、守備側でいいかな?」

「うん、大丈夫! 頑張るね!」

 

 各個人の『個性』の持ち味を把握し、この場において最善の選択を取る。緑谷がこれまで培ってきたヒーローの知識は、この場において『個性』以上の武器となりえていた。

 

「僕は万が一『個性』を使った場合を考えて、癒代くんと同じ攻撃側に回る……ざっとだけどこんな感じでどうかな?」

「そうだな、俺からは何もない。緑谷くんの案がいいと思うが、みんなはどうだ?」

「私も緑谷さんの意見に賛成ですわ」

「ウチもないかな」

 

 どうやら緑谷の案が本格的に採用されたらしい。そのことに緑谷は嬉しそうに口元をほころばせ

 

『それじゃあ訓練開始だッ!』

 

 インカム越しに聞こえたオールマイトの合図に従い

 

「それじゃあ行くぞ! 緑谷くん、癒代くん!」

「うん!」

「うん」

 

「それでは、私たちも準備をしましょう」

「だね」

「よっし、やるぞー!」

「ははっ、あんまり肩に力入れすぎないでね」

 

 それぞれがそれぞれの役割を果たすべく行動を開始した。

 

 





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