セクハラ上手の高木パパ   作:暮影司

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ご要望にお応えして、お母さんと絡む過去編を書きました。
これでいいんでしょうかねえ?



温泉

「また、あの温泉旅館行こうか」

 

家族3人で夕食を食べているとき、お父さんが言いだした。

瓶ビール1本空けて、何とも機嫌が良さそう。

 

「海は綺麗だし、飯は美味いしさ」

 

確かにあの温泉は凄くいい眺めだったし、お湯も気持ち良かった。

料理もとっても美味しいし。

でも。

 

「絶対行かない」

 

私はきっぱりと拒否した。

 

お父さんがあからさまにがっかりと肩を落とす。

 

お父さんめ~。

私はもう、あのときの私とは違うんだから。

 

温泉旅館に行ったときのことを思い出すと、恥ずかしくて泣きそうになるんだからね。

 

2年前にお父さんとお母さんと私の3人で、特急に乗って海沿いの温泉地に行ったのだ。

家族で温泉旅行。

それは全く普通のことだと思う。

 

そのとき、家族用の貸切風呂に3人で入ったんだよね。

それも普通だと思う。

当時は私も小学生なわけだし。

お父さんと一緒にお風呂に入るのは問題なかった。

一人だけ男湯じゃ可哀想だしね。

 

あの温泉は海を一望できる露天風呂で、1時間だけ家族で貸し切ることができた。

そのときのことは、いい思い出だった。

完全に夕日が沈みきらない程度の夜。

赤と紫が混ざるような空に、月が昇っていて。

波の音と海風を浴びて入るお風呂は、本当に気持ちがよかった。

うっとりと湯に身体を預けて、空を眺めていると、お父さんが余計なことを言った。

 

「ママみたいにおっぱい大きくなるといいな」

「もう、パパったら」

 

のろける両親のことは嫌いじゃなかった。

両親の仲が悪いのはつらいと思う。

だから「どこ見てるのよっ」と桶で殴ることはなかった。

胸も当時はほんの少ししか出てなかったので、怒んなかった。

――今考えると、殴ってよかったような気がする。

 

その後、お母さんがお父さんの身体を洗い、私がお母さんの身体を洗ってあげた。

そして当然、その流れで私はお父さんに洗われることに。

当時は洗いっこするのが普通だと思ってたからなあ。

お父さんの素手でボディソープを塗りたくられて……。

思い返すだけでも顔が赤くなる。

気持ちよかったけど。

 

その頃は髪も洗ってもらってた。

お父さんは髪を洗うのが上手なんだよね。

美容室より気持ちいいんだから、よっぽどの腕だ。

また洗ってもらいたいなあ……いやいやだめだめ。

もうお父さんと一緒にお風呂なんて入りません。

で、髪を洗ってるときに言ったのだ。

あの思い出したくない言葉を。

 

「にょたいもりって知ってるか?」

 

にょたいもり……?

全く聞き覚えのない言葉だった。

 

ニョタイモリっていうイモリの一種かな。

韓流スター、ニョ・タイモリとか。

そんな質問してくるわけないか。

 

「わかんない」

 

あっさり降参した。

こんなの考えたって無駄だよね。

 

「じゃあ、後でやってみよう」

 

やってみよう……?

にょたいもりとは、やってみるものなの?

やっぱり私の予想とはまるで違うもののようだった。

 

そんな会話があって、お風呂の時間が終わってから私とお父さんだけで部屋に戻った。

確かお母さんは髪を乾かすからって、大風呂の脱衣場にドライヤーをしに行ったんだった。

 

部屋にはもうご馳走が並べてあった。

金目鯛や伊勢海老があったので豪華だ~って思ったな。

アワビはよくわからなかった。

あれって美味しいのかな?

 

「よし、それじゃ今のうちに女体盛りするか」

 

何が今のうちなんだか、当時はもちろんわからなくて。

 

いきなりお父さんが私の浴衣を、がばっと脱がした。

当時はまだブラジャーをつけてなくて。

でも、さっき一緒にお風呂に入ってたから隠すのも変だと思って、なすがままだった。

そして畳の上に転がした私の、胸の上にお刺身を載せていったんだよね。

 

う~ん、今だったらお父さんの頭には舟盛の舟が刺さることになったでしょうに。

当時の私は、ぽかんとしてたな……。

 

「これが女体盛りだ~! 女の子の体にお刺身を盛るから、女体盛り!」

 

ふ~ん……。

なんだそれ。

 

「これに何の意味があるの?」

 

私は間抜けな格好のまま、そんな質問をしたんだ。

 

「ロマンだよ!」

 

男のロマンって、本当意味わかんない。

 

「まだアワビって感じじゃないな。トコブシだな」

 

そう言って、トコブシを箸でつかみ、私の下腹部の方に持っていこうとしたとき、お母さんが戻ってきた。

 

「ごめんごめん、急いで髪乾かしてきた~……ってパパ? 何やってるの?」

「げえっ、ママ!? いつももっと、髪を乾かすのに時間かかるのに……」

「何をやっているのかと、聞いているんです」

 

お母さんの声はすごく低かった。

 

「にょ、女体盛りをね。ほら温泉旅行っぽいじゃん?」

 

お父さんはギャグっぽく調子に乗って話したが、お母さんの態度は変わらなかった。

 

「パパ……これをいつも出張先でやってるの?」

「や、嫌だなあ、そんなわけないじゃないか。こんなえっちなことを」

「えっちなことを娘にするな、この変態!」

 

至極まともな事を言って、お母さんはお父さんを窓から放り投げたのだった。

ししおどしが身体に刺さったとかで流血してた気がする。

 

 

――2年前の温泉旅行とは、そんな思い出のイベントなのである。

 

「お父さん、またししおどし刺さるよ?」

 

私がそういうとお父さんは青ざめた顔でお尻を抑えた。

お尻に刺さってたのか……。

 

「いや、もう女体盛りなんてしないって」

「当たり前です」

 

お父さんのセリフに、お母さんがピシャリと言った。

 

「それよりワカメ酒を」

「今すぐ死ねええええ!」

 

お父さんが何か言い始めたところで、もうお母さんが攻撃を開始していた。

相変わらずお父さんは死を恐れないなあ。

見習いたくない勇気。

 

お父さんはお尻にビール瓶が刺さった状態で、失神したようだ。

 

それにしても、ワカメ酒とは一体……。

お酒に若布を入れたから何だっていうのだろう?

 

西方に聞くのは……やめた方がいいだろうな、きっと。

お母さんの顔を見て、この事は綺麗さっぱり忘れようと思った。

 

 

 

 

 

 

 




評価つけていただけるようになってきて嬉しいです。
是非今後とも宜しくお願いします。
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