ピンポーン
「は~い」
宅配便が届いた。
お父さん宛だったけれど、密林からのものだったので、開けることにした。
これはきっと本に違いない。
ひょっとしてえっちな本だったら、それをきっかけにからかってやるんだ。
私はもう、少しくらいえっちな本なんかじゃ何ともない大人なので、平気。
全然、平気だからね。
ごくりと喉をならし、えいやとダンボールを開けた。
んー?
なんだ、これ。
そもそも本ではなかった。
こけし?
でも、お父さんがこけしを買う意味がわからなかった。
なんかいっぱいあるし……ボーリングのピンかな?
よく見ると2重になっていて、10個以上ある。
ボーリングのピンなら9個でいいはず。
そんなに買う意味もわからないな。
んー。
こうなってくると気になって仕方がない。
しかしこれが何なのかを調べる方法もわからない。
一つを手にとって詳しく見てみる。
色はいくつかあるが、一番多いのは赤。
魚雷、というか爆弾というか、そんな形にも見える。
スタイリッシュなデザインで、かっこいいような気もする。
よく見るとてっぺんにシールがあった。
あー、これを剥がせばなんかわかるかも。
カリカリと爪で剥がそうとするが、妙に剥がしづらい。
んもー、今どきこんな剥がしづらいシールあるかなあ?
ようやく剥がしたのに何もなかった。
小さな穴が空いているだけ。
ナンノコッチャ。
あ!?
両脇を掴むと穴からなにか出てくるとか?
ぺこぺこ
……何も出ない。
なんなんだよう。
ため息をつきつつも、まだ諦める気がせず、ためつすがめつしてみる。
ん?
なんか剥がせる場所があるな。
ゴミを捨てやすくするためのかな……。
でも途中までというか下の方だけしか開けられそうにない。
いいや、剥がしちゃえ。
ぺりぺりと赤いビニールを剥がす。
底の部分がぺろっと剥がせて、底の部分が丸出しになる。
だが、いまだに何だか全くわからない。
底の部分は回してみると回った。
あ、あれか。
ペッパーミルみたいな。
この部分をくるくると回すと、さっきのシールの穴から塩とか胡椒が出てくるんじゃない?
くるくる……
出ないねえ。
最初に中身を入れるのかな?
すると回していた部分は引っ張ればすぐに外れた。
ははーん、やっぱり。
中身をこっから入れるのね。
と思ったら、何これ~?
なんか糸引いてるんだけど~!?
腐ったものが入ってるとか?
全然意味がわからなかったが、蓋を開けたらもっとわからない。
白くてブニョブニョしたものが入っていて、細い穴が空いている。
そしてなぜかネバネバしている……。
だめだ、全く、少しも、一つも意味がわからない。
でもコレに何か入れるのかなー。
勇気を出して、指をツッコんでみた。
意外と柔らかく、すんなりと奥まで人差し指が奥まで入る。
ネバネバも気持ち悪くはなく、吸い込まれるように、つぷつぷという音を立てて指を迎える謎の物体。
いや、気持ち悪くないどころか気持ちいいかもしれない。
人差し指を出し入れしてみると、指の根元が何か気持ち良い感じ。
でもちょっとぶかぶかというか、もっと太いものを入れるんだろうという気がする。
「ただいま~」
タイムオーバーだ。
お父さんが帰ってきた。
もう、答え合わせの時間ということだろう。
「おう、いたのか……って、おいおい」
目を丸くして、愕然と固まるお父さん。
やばい、勝手に荷物開けたの怒ってるのかな。
なんとなく、指を出し入れしながらお父さんの顔を伺う。
「ちょ、そ、それはどういうつもりなんだ」
おや。
いつも余裕綽々の態度を崩さないお父さんが、困惑を隠しきれてないじゃないですか。
何だか全くわからないけど、わかってるふりをすれば、からかえるかもしれない。
「別に?」
指を穴に出し入れしながら、にや~っと笑ってみせる。
「お、お、おい、やめなさい」
「ん~? 何を?」
私は全部わかってるという顔で、芝居を続ける。
「それはパパが使うものなんだ」
使う?
パパが?
やはりわからない。
飾ったりするものではないことはわかったけど。
「へえ~、どう使うの?」
「ええっ!?」
どうしたらいいのかとあたふたするお父さん。
あーとかうーとか言いながら、頭をヒネったり、首を横に倒したり。
いつもつまらない反応しかしない、お父さんとは思えないリアクション!
楽しい!
「使うところ、見せて欲しいなあ~」
人差し指と中指をジュッポジュッポと出し入れしながら、おねだりするように、上目遣いで言った。
「ま、マジか……」
目を抑えて天を仰ぐお父さん。
流石に大げさ過ぎないかな。
「ほ、本当にお父さんがコレを使うところ見たいんだな? 後悔しないな?」
中学を選んだときよりも真剣な目で確認してくるお父さん。
ちょっと不安になってきた。
使い方は気になるが、とんでもないことになりそうな予感。
「ちなみにその、手伝ってくれるのか?」
「手伝い? 例えば?」
「その、おかずを提供してくれるとか」
――は?
おかずを必要とするものなんて、ご飯くらいのものだろう。
なにこれ、即席おかゆマシーンとか?
「それくらいならいいけど?」
「お前が、おかずになるのか? いいのか!?」
私がおかず?
どういうことだか……。
食べるつもりなのかな……。
「舐めるくらいならいいよ?」
「ま、ま、マジか――――!?」
絶叫とともに、リビングのドアが開いた。
「なにがマジなんです、パパ?」
「ぎゃあああああ!?」
お父さんは耳を引っ張られながら、涙を流していた。
お母さんは、なんで怒っているんだろう……。
「それ、指入れるの、やめなさい」
私は、赤いこけし? のようなものを取り上げられ、その真相をわからず仕舞い。
でも、私はお父さんをうまくからかうことができて上機嫌だった。
数年後、真実を知った私は、すぐにあの台詞を口に出した。
「お、お父さんめ~」
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