セクハラ上手の高木パパ   作:暮影司

5 / 15
ひっかけ問題

リビングに居たお父さんに、ふと思いついて問題を出してみた。

 

「お父さん、イッパイのイをオに変えてみて?」

「おっぱい! おっぱい!」

「……オッパオ、何だけど……」

「あー! なるほどね!」

 

はー。

私はこめかみを抑えてため息をつく。

なんて、からかい甲斐のない人なんだ。

ほんと、つまんない。

西方に問題を出す前にシミュレーションしてみようとしたけど無駄にも程がある。

もう、おっぱいという言葉を言いたくて言いたくて仕方がないだけじゃない。

西方だったら、多分こう。

 

「オッパ……」

待てよ!?

このままだとオッパイ!?

オッパイな訳がない!

うっかりオッパイなんて言ってしまったら、どれだけからかわれることか。

高木さんめ~。

どんな罠なんだコレは?

イをオに変える……。

そうか、二回目のイもオに変えるんだ!

「オ!」

「オッパオだよ、高木さん」

 

な~んて物凄いドヤ顔で言うんだろうな。

オッパオって言葉を発するまでに、表情を10回は変えてくれる。

見てる間ずーっと楽しいことうけあい。

西方に比べて、お父さんはホント面白くないんだから。

 

「お父さんはつまんない」

「な、なんだって」

 

ショックを隠しきれない様子だ。

残念ながら同情の余地はない。

そうするとお父さんはメガネもしてないのにメガネ位置を直すような無駄に格好の良いポーズをしながら言った。

 

「ふっ、だったらお父さんが問題を出そうじゃないか」

「ふ~ん」

 

あまり期待はしてないけど、西方をからかうのに使えるネタが手に入るならいいかも。

私だって無限にアイデアが湧いてくるわけじゃないんだから。

次はどうやってからかおうかって、お風呂でアイデア出ししてるんだよ。

まぁ、それが本当に楽しい時間なんだけど。

 

「コで始まって、ムで終わるものなーんだ」

 

むむむ?

全然わからない。

 

「ヒントはね、最後はゴミ箱に捨てます」

 

目を閉じて、腕を組んで唸る。

なんだろ。

本当に難しくない?

 

「まだわかんないの?」

 

お父さんが仁王立ちで上から目線で見てくる。

座っている私を物理的に上から見下ろして言っているのである。

くやしい。

 

「もう一つヒントね。パパはそんなに好きじゃないんだけど、ママが渡してくるから仕方ないと思ってる」

 

お母さんが渡すもの?

夫婦で使うものってことかな。

コ、なんとかム。

コ、なんとかム。

……コンドーム?

 

「コ」

「コ?」

 

待って、待つのよ!

これは罠、お父さんの罠よ!

コンドームって言わせてからセクハラするつもりなんだわ!

だってコンドームだよ?

普通の女子中学生が発する言葉じゃないよっ!

 

落ち着いてもう一度考えよう。

ヒントを見直してみる。

 

1.最後はゴミ箱に捨てる。

コンドームもそうだよね、あってる……。

 

2.お父さんは好きじゃない。

聞いたことある。

つ、付けない方が気持ちいいって。

 

3.お母さんが渡してくる。

お母さんが渡してるところを想像する。

く、口に咥えて差し出すの良いとか、雑誌で読んだような。

 

ううう。

お父さんとお母さんがベッドでそういう事をしているところなんて想像したくないのに。

もの凄く具体的に想像しちゃったよっ。

 

「おや~? なんでそんなに顔を真っ赤にしているのかな? かな?」

 

くぅ~、なんて嬉しそうな顔してるのよ。

 

お父さんめ~。

 

完全にお父さんの術中にはまってるよ。

今のところ、間違いなくお父さんのシナリオ通りに違いない。

 

もう一度、考え直そう。

お母さんがよくお父さんにあげるもの。

う~ん。

お金。

それはただのお小遣い制だ。

う~ん。

ガム。

ガムあげてる!?

ガムは語尾がムだ!

噛んだ後はゴミ箱に捨てる!

これじゃない!?

 

コなんとかガム。

コーラガム?

紅茶ガム?

コーヒーガム?

それだ、コーヒーガム!

お父さんはコーヒーがあんまり好きじゃない!

チョコレートケーキを食べるときに玄米茶を要求する面倒くさいタイプ!

 

「コーヒーガム!」

 

私は勝ち誇った顔で、言い放ってやった。

ふふふ、コンドームって言うと思って期待してたでしょうに。

残念だったね、お父さん。

 

「ぶっぶー。なにそれ? そんなガム売ってなくね? 答えはコンドームでした」

 

……エーッ?

あっさり流されるの!?

さらっとコンドームなの?

今までの妄想は現実なの!?

し、信じられない。

 

結局セクハラしたいだけなんだ、この人は……。

 

「相手が着けたくないって言っても、避妊はちゃんとしないとダメだぞ?」

 

……。

自分でも顔が紅潮していくのがわかる。

しかも親として正しいことを言っている気がするので、簡単に怒れない。

くうう、さすがお父さん。

 

「西片は嫌がらないと思う!」

 

言い放ってリビングを飛び出し、自分の部屋に帰る。

 

「ちょ!? 誰だ!? パパは許さないぞー!」

 

慌てた声で叫んでるけど、無視します。

セクハラした罰として、無駄に心配したらいい。

 

お父さんは本当に全く。

どう考えても、コーヒーガムでしたー、の方が面白いでしょうに。

あっ。

答えをコーヒーガムにして、西片にコンドームだと思わせたら……?

これは良いアイデアな気がする!

ヒントを考えよう、ヒントを。

さぁ、楽しくなってきたぞー。

 

たまにはお父さんも役に立つな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。