また、自分の気分次第で投稿したりしなかったりするので、気長にお待ちいただけると幸いです。
「オラオラァ!そんなんじゃすぐさま死んじまうぜ?脇を締めろ!目は相手を捉えて絶対に死角に潜り込まれることが無いようにしろ!そうすれば敵の攻撃に対してすぐに反応できる!」
そんな注意とともに紅い魔槍が唸りをあげて突き出されてくる。
おそらく手加減されているのだろうが、こちらからすれば目にも止まらぬ速さの速度だ。
それを今まで習った槍の技と、当てずっぽうの様なカンで捌き続ける。
そんな常人離れしたことをしているのはとある一部分を除けば他人と何ら変わることがないはずの、
平凡な高校生、
彼はとある事件に巻き込まれることさえなければ友人に囲まれ、ある程度は幸せ、ある程度は不幸な、そんな人生を送っていただろう。
特別に楓凜だけが幸福、不幸とかではない、人が見れば平凡と評するような人生を。
そんな彼が一般人から逸般人へと変わってしまうきっかけとなったのは、まるでラノベみたいな現象に巻き込まれたからだ。
少し、いやもうかなり前の出来事だが、思い返してみるとしよう……。
☆★☆
楓凜が朝登校してきたのは
部活動がある生徒はとっくに来て朝練に取り組んでいるような時間。
楓凜は、己の仕事(クラスの係の仕事である)の掃除を黙々とやっていた。
掃除を始めて10分くらいするとチラホラと朝練を終えた生徒や登校してきた生徒が教室に入ってきた。
彼らは授業の準備をしたり、友人とのおしゃべりを楽しみはじめた。
更に10分くらい経過し、SHRが始まる10分前くらいに楓凜は掃除を終え、授業の準備を始める。
「おはよう。いつもありがとう、お疲れ様楓凜君」
そんな声が聴こえ、振り向くとそこには美男美少女達の姿が。
声を掛けてきたのは
その後ろには二大女神のもう一人である
※雫はポニーテールにした黒髪で、切れ長の眼をした美人系の顔立ちをしている。剣道部に所属しており、実家が剣術道場をしていることもあって、全国に行くのは当たり前といった腕前を持っている。
光輝は容姿端麗、頭脳明晰の上、運動も出来ると言う完璧超人だ。安定のモテ男である。ただ、思いこみが激しいというのが唯一の欠点か。
龍太郎は190cmという日本人離れした体格の持ち主で、空手部に所属している熱血漢だ。また、脳筋でもある。
鈴はいつも笑顔を浮かべており、騒がしい。そのちっこい体のどこにあるのかというほどの元気で騒ぐ、クラスのムードメーカーだ。
恵里はいつも騒ぎすぎる鈴のフォローに回る優しげな雰囲気を湛えている眼鏡っ娘だ。なお、図書委員である。
ちなみに、楓凜も祖先に北欧の人が居たらしく、身長は180cmを超え、顔は少し彫が深いイケメンである。
また、それなりにラノベ等を嗜んでおり、オタクと言われる人種との会話でも難なくこなせる。
「ああ、おはよう白崎さん、八重樫さんたちもおはよう」
「「「「おはよう」」」」
挨拶を返す楓凜に対し、にっこりと微笑む6人。
「しっかし、南雲も楓凜のようにもう少し早く学校に来てくれればいいのだが。そんなのだから皆から評判は良くないと言うのに……」
そんなことを言いつつ眉をひそめるのは天之河だ。
南雲というのは楓凜の親友で、白崎が恋をしている相手である。(下の名前はハジメだ。)
それゆえ白崎はハジメによく構うのだが、光輝はそれに気づいていない為、白崎がハジメを気に掛けることを余りよく思っていない。(まぁ、白崎がハジメのことを好きということはありえないと思い込んでいるのも一因だが。)
いつも始業のチャイムが鳴るギリギリ前になってから登校してくる、気の弱そうな男の子だ。サブカルが大好きなオタクでもある。また、ハジメも例にもれず夜遅くまでアニメやゲームをしたりしており、睡眠をあまり取っていないため、授業中に机に突っ伏している姿をよく見る。そのため、教師からの評判は良くない。(それでも平均的な成績はとっている)また、白崎が良く構うため、何故こんな奴を、と思うクラスメイトが多くクラスでの評判もあまり良くない。
「あんまり人の友人の悪口を言わないでくれるか、天之河。ハジメはいつも遅刻ギリギリで来たり、授業中に寝てしまうことも多いけど、根は良い奴だ。成績も平均くらいはとっているし、皆に迷惑を掛けている訳ではないし」
「・・・そうだな、気をつけよう」
「そういえば光輝、あなたアレは大丈夫なの?」
「ああ、大丈夫だアレは―――――」
少し場の雰囲気が悪くなってしまったが、そのことを敏感に感じ取った八重樫がさりげない話題転換で払拭に動く。
その後、テレビで報道されているニュースなどの他愛もない話をしているうちにSHRの時間が来て、6人は各々の机に戻って行った。
☆★☆
SHRは担任の
そして始業のチャイムが鳴る5分くらい前に教室の後方のドアが開き、ハジメが登校してきた。
その瞬間クラス中の視線がハジメへと向く。
敵意を向ける奴もいれば舌打ちをする奴、無関心な奴もいれば侮蔑の表情で見ている奴もいる。
「(はぁ、何故ここまでハジメが敵視されねばならないのだろうか……)」
雰囲気を変えるために動きだそうとしたが、楓凜が動く前に動いた奴等がいた。
「よぉ、キモオタ!また、徹夜でゲームか?どうせエロゲでもしてたんだろ?」
「うわっ、キモ~。エロゲで徹夜とかマジキモイじゃん~」
そういってゲラゲラ笑いだす男子生徒4人。
一番最初にハジメへ声を掛けたのは
ハジメはこの4人に頻繁に絡まれる。
しかし、ハジメはキモオタと罵られるほど見た目や言動は見苦しくないし、コミュ障ではないので受け答えも明瞭だ。髪なども短めに切り揃えられており、不潔な印象は全く受けない。
それなのに何故こうも絡まれるのか、その答えは白崎が原因だ。
ハジメが檜山達の絡みを曖昧な笑みを浮かべつつ、乗りきり、自分の机に座った時、彼女がやってきた。
「南雲くん、おはよう!今日も遅刻ギリギリだね。もっと早く来ようよ」
「あ、ああ、おはよう白崎さん」
ニコニコと微笑みながらハジメに挨拶をする白崎。
遠目に見てもハッキリと分かるほど頬が引き攣っているが、なんとか挨拶を返すハジメ。
挨拶を返され、嬉しげな表情を浮かべる白崎。その瞬間、またもハジメを襲う視線の集中砲火。
ハジメのライフはもうゼロに近い!
冷や汗を流しながら耐えていると、八重樫、天之河、坂上の3人がハジメのそばへ行った。
それを見て、出るタイミングを失った楓凜もハジメのそばへ向かう。
「南雲君。おはよう。毎日大変ね」
「香織、また世話を焼いているのか?全く、本当に香織は優しいな」
「全くだぜ、そんなやる気ないヤツにゃあ何を言っても無駄と思うけどなぁ」
3人の中で挨拶をしたのは八重樫のみ。
天之河は香織が優しいから構っているだけと思っているし、坂上は努力大好き人間だからやる気がなさそうに見えるハジメのことを嫌っている。
「おはよう、八重樫さん、天之河くん、坂上くん。はは、まぁ、自業自得とも言えるから仕方ないよ」
雫達に挨拶を返し、苦笑いするハジメ。「てめぇ、何勝手に八重樫さんと話してんだ? アァ!?」という言葉より明瞭な視線がグサグサ刺さる。雫も香織に負けないくらい人気が高い。流石は二大女神と言うべきか。
「それが分かっているなら直すべきじゃないか? 何時までも香織の優しさに甘えるのはどうかと思うよ。香織だって君に構ってばかりはいられないんだから」
光輝がハジメに忠告する。光輝の目にもやはり、ハジメは香織の厚意を無碍にする不真面目な生徒として映っているようだ。
「い、いや~あは「天之河、ハジメだって皆とは違う方向性の努力をしている。人には人のやり方や想いがあるんだ。すべてを否定するのはおかしいだろう?逆に聞くが、天之河だったらハジメのように実家の仕事の手伝いが出来るのか?出来ないだろう。だったらそういうものでもあると認識してそれを尊重してやってくれないか」」
「……そうだな」
ハジメの曖昧な返事に割り込んで自分なりの思いを伝えるとバツの悪そうな顔をして自分の席へ戻っていく天之河と坂上。
「……ごめんなさいね? 二人共悪気はないのだけど……」
この場で最も人間関係や各人の心情を把握している雫が、こっそりハジメに謝罪する。俺とハジメは「仕方ない」と肩を竦めて苦笑いするのだった。
そうこうしている内に始業のチャイムが鳴り教師が教室に入ってきた。
そして、何時ものようにハジメが夢の世界に旅立ち、当然のように授業が開始された。
そんなハジメを見て香織が微笑み、俺と雫はある意味大物だ(ね)と苦笑いし、男子達は舌打ちを、女子は軽蔑の視線を向けるのだった。
☆★☆
ソレが起きたのは昼休み。皆友人と思い思いに弁当を広げ、お喋りを楽しんでいた。
なんてことはない日常の一コマのような風景。(なお、白崎とハジメによるちょっとした一幕があった。)
そんな風景をブチ壊したのは、謎の光と幾何学模様に、円環。
それは光輝の足元に純白に光り輝く円環と幾何学模様が現れ、その異常事態には直ぐに周りの生徒達も気がついた。全員が金縛りにでもあったかのように輝く紋様、俗に言う魔法陣らしきものを注視する。
その魔法陣を見ていると嫌な予感がした。これはまるでラノベではないか、異世界へ召喚魔法陣のようだと。
その魔法陣は徐々に輝きを増していき、一気に教室全体を満たすほどの大きさに拡大した。自分の足元まで異常が迫って来たことに漸く硬直が解け悲鳴を上げる生徒達。未だ教室にいた愛子先生が咄嗟に「皆! 教室から出て!」と叫んだのと、魔法陣の輝きが爆発したようにカッと光ったのは同時だった。
「ふむ、なかなか面白い奴が居るではないか」
若い女の声。しかし、どこか老練な声。そんな声が聴こえたと思った瞬間、楓凜は意識を失った。
数秒か、数分か、光によって真っ白に塗りつぶされた教室が再び色を取り戻す頃、そこには既に誰もいなかった。蹴倒された椅子に、食べかけのまま開かれた弁当、散乱する箸やペットボトル、教室の備品はそのままにそこにいた人間だけが姿を消していた。