咲「本当にそいつとで大丈夫なんですか」
空港で咲がヨーヨーを構えながら聞いてきた。
水「大丈夫だと思う。殺す気があるならとっくに寝てる間に殺されてるよ」
ちなみにそいつとはもちろん僕の隣にいる夢月命のことである。
命「そんなに警戒しないでくれよ」
咲「あなたが私を殺しかけたこと、忘れてませんからね」
命「それを言われるとなんも言えねーんだよなぁ……」
まぁ、咲には慣れてもらうしかないだろう。
咲「はぁ……とりあえず気をつけてくださいね。向こうで何があるか分かりませんから」
水「分かってるって。今まで気をつけてないことなかったでしょ」
咲「先輩なら外国の景色を見てうかれて気を抜きそうですけどね」
それはそうかもしれないと思わず苦笑いをしてしまう。
命「おい、時間だぞ」
水「おけ、行くぞ」
僕は咲に背を向けて行こうとすると、「行ってらっしゃい」と言われたので顔だけ振り向いて笑顔で手を振ってやった。
先輩が私に手を振っている中、私はどうしても警戒心が抜けないライフィーを睨んでいた。
すると、睨まれていることに気づいたのか知らないがライフィーがこちらを振り向いてきて、私に近づいてきた。
咲「……なんですか」
私がヨーヨーを構えたまま言うと、ライフィーは私の耳元で
ライフィー「雪に気をつけろ」
咲「え……?」
その言葉を理解できなかった私はそう返すことしか出来なかった。そして気づいたらライフィーは水先輩の隣に戻っていた。どうやら何か話しているようだったが、少なくとも水先輩もどこか楽しそうだった。
今日は疲れた。白雪を助けるために
これだけ頑張ったんだから少しくらい気を休ませて欲しいものだ。
と、行ったところで自室に着いたのだけど、その扉の前に見知らぬ人が立っていた。
「来た」
その二文字だけ言っただけなのだが、こちらの雰囲気は凍りついた。
なんだ、こいつの殺気とも言えない冷たい気配は。
「どうも、疲れてるところ申し訳ないんだけど私の話を聞いてくれるかしら?」
アリア「まず名くらい名乗ったらどうなの」
アリアですら少しビビっているが凍りついている俺と白雪の代わりに質問してくれた。
「あぁ、ごめんごめん。あと、三人ともそんなに警戒しなくてもいいよ?お姉ちゃん悲しいな……」
そんな気配を放っておいて何を言ってるんだこいつは
「私の名前は
その聞き覚えのある名字を聞いて、納得した。確かによく見ると水の髪を伸ばして、女にしたらこんな感じになりそうだ。
というかそれが本当ならこの人が兄さんの相方なのか。そりゃあ、本物の化け物だ。
雪「とりあえず上がってから話そうかな。様子を見るに、ジャンヌダルクの1人でも倒してきたんでしょ」
そういうと、鍵がかかってるはずの俺の部屋の鍵を針金を使って一瞬で開けて先に部屋に入っていった。
言われた通りに三人とも部屋に入ろうとすると
雪「あ、そこの黒髪ちゃんは帰ってもらえる?」
白雪「え……?」
白雪は一瞬抵抗するような表情をしたが、彼女の気配におされて渋々帰っていった。
キンジ「で、何の用なんだ」
雪「まぁ、まず前提の話を言わせてもらうと……私の弟は敵側の人間よ」
その言葉を聞いて、俺は凄く嫌な予感がした。
雪「………あと、キンジくん。私の相方は、まだ生きてるわ」
その言葉を聞いて嫌な予感は吹き飛んだ。
雪「いい表情ね。とりあえずこの話は後にして……本題に入るね。私は二人に協力して欲しくて来たの」
アリア「どういうこと?」
雪「これは、私にもあなたにも利益のあることなの。私も、イ ウーのことを追ってるの」
キンジ「なるほどな。でも相方もいないし、1人じゃどうすることも出来なくなったから俺達を利用しようってことだな」
雪「ぶっちゃけそーねぇー」
こんなに真剣な話をしているのにゆるふわな感じがあるのは水にそっくりだ。もうさっきの冷たい気配はなくなっていた。
キンジ「どーする、アリア」
俺はここはアリアに判断を委ねることにした。
アリア「……いい案だと思うわ」
そりゃあそうだろうな。双方目的は同じでしかもこちらは兄さんに並ぶ強力な戦力を得ることが出来る。
雪「じゃあ、契約成立ってことで……これ、私のメアドと電話番号ね」
そういうと雪は俺の部屋の窓を開けてベランダに行った。なんだろうと思って俺とアリアはベランダに行くとそこにはもう彼女はいなかった。
アリア「あそこよ!!」
アリアが指を指している方向は下。
キンジ「この高さから飛び降りたのかよ……」
アリア「ワイヤーをかける音もしなかったしワイヤーもなしで着地したみたいね」
ちなみに俺の部屋は5階だ。そこからワイヤーなしで落ちるのは死ななくとも、かなり危険ではある。流石は水の姉にして兄さんの相方だと痛感させられた。
この調子で頑張りたい所存でございまする……