緋弾のアリア with水竜の巫   作:月見草クロス

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今回は咲視点です。彼女はヒロイン候補ですよね。
まぁ、彼女かもだし他のキャラかも知れませんね………誰かは秘密です。


水と咲

私が先輩と会ったのは一年生になる前の中学三年の卒業式だった。

私は東京武偵高付属中学校に通っていてそのまま東京武偵高校に進学したんだ。

 

出会いは突然………なんて言うけどまさにその通りだったのをよく覚えている。

 

出会ったのは依頼を同じクラスの友達のライカとしていた時だった。

 

ライカは強襲科で好成績を残している武偵でBランクの中学三年という珍しい人材なんだそうだ。私は人材って言葉が嫌いだけど武偵って変な人ばっかりだしね。先輩含めて。

ちなみにあだ名は男勝りの性格から男女。私はそのあだ名が本当に許せない。ライカだって女子なんだしそのあだ名は酷すぎる。

 

あの時は私がドジってライカが脱出したのに私だけ閉じ込められたんだ。

 

本来はライカは目標を捕まえたあと裏口から脱出、私は証拠の回収ということで回収後はすぐに逃げる予定だったのに敵に捕まっちゃって倉庫に閉じ込められてたんだ。

 

その時、私を捕らえた敵はライカが倒しそびれたやつなのかそれともライカはまだ敵と交戦していないのか分からなかった。

 

携帯も奪われていたので連絡もできず、ただ怖かった。

どれだけ爪をたてても逃げることもできない。手も結び付けられていてまず爪をたてることも出来なかったが。

 

そんな時だったと思う。先輩は本当に颯爽と現れたんだ。

 

「なんだよ~………密輸者を仕留めとけって師匠に言われたのに誰かが先にやりやがったな………」

 

その声を聞いた時、武偵校の生徒だと思ってすぐに声を出した。

 

咲「助けてください!!」

 

「助けてください…………どこからだ!!あと名を名乗っとけ!!」

 

咲「真田咲!!武偵です!!近くの倉庫に閉じ込められています!!」

 

「そこだな!!了解した!!」

 

すると扉の鍵を開けるかと思えば斬り裂いて破ってきた。

 

透き通るような………まさに水のような色の目は暗い倉庫でも光っているように見えました。髪も水のようで何となくかっこいいけど背も低いし私より幼く見えて可愛くもありました。

 

「お前か。脱出でもしそびれたか?全く困った武偵だな………」

 

見た目に反して口調はかなり大人びていて明らかに後輩にしか見えなかったので少しイラッときました。私は中学三年にしては背が低いのでそれより低い彼は後輩だと思いました。

 

「白福水………東京武偵高校一年だ」

 

その言葉を聞いた時かなり驚いた。

どう見ても140cmくらいしかない背の先輩なんているの?

 

咲「えっと…………先輩ですか?」

 

水「お前、中学三年だろ?聞いたことある。真田咲って戦闘も出来て治療もできるいいやつだって」

 

私は初めて自分が有名なんだって思って少し照れた。

 

水「何照れてんだ?お前が有名なんじゃなくて僕の知識が豊富なんだ」

 

少しガックリした。

 

水「ガッカリすんなよ。僕はそれでもいいと思う。よしっ!!手動かせるだろ?」

 

先輩はニコッと笑ってそう言った。

ハッとすると手はいつの間にか自由になっていた。

 

私はその手際のよさ、そしてそのことを全く悟らせなかった。

 

それだけでわかった。この先輩はただ者じゃない。

 

 

ライカと合流し、武偵に帰ったあと、先輩のことをすぐに調べた。

 

すると予想通りすぐに情報は出てきた。

 

白福水 狙撃科Sランクの高校一年。

依頼の成功率がほぼ100%。狙撃科だけど強襲科のSランクほどの実力で魔術まで使える武装巫。

そして二つ名『術集合(アグレゲーション)

 

二つ名持ちのSランク高校一年生なんて化け物だ。スゴすぎる。

 

ライカに聞いてみたら先輩のことを知っていたらしく話してくれた。

 

ライカ「水先輩だろ?強襲科ではよく『強襲科殺し』なんて言われててたまにフラっと強襲科に来ると強襲科のヤツらに次々決闘を仕掛けて勝ち続ける………見た目があれなだけに下克上狙うやつもいるが私は無理だわー。あれは明らかに強いもん。あのキンジ先輩を軽々倒したって話だし」

 

キンジ先輩のことは知っていた。

この学校で最も注目されやすい強襲科のSランク。高校一年でSランクのこの先輩もただ者ではない。でもあの先輩はあの先輩でネクラとか昼行灯とかひどいあだ名がある。まぁ、あの先輩、気にしてなさそうというか無視してるけど。

 

ライカ「咲、水先輩のこと気になってるのか?」

 

咲「え?………うん、まぁ」

 

ライカ「だったらやめといた方がいい」

 

その言葉に私は疑問しか出なかった。

 

ライカ「水先輩はただでさえ変な人しかいないこの学校で異常者って呼ばれてるんだ」

 

咲「…………なんで?」

 

ライカ「だって変だろ?狙撃科なのに強襲科にフラっと来て、決闘を挑む。それで勝つくらい強いのに強襲科は取らないし、口調もコロコロ変わる。見た目も高校一年であの背の低さ。不思議なことばっかりなんだよ。あの先輩。だから自ら近づくのは本当に強い人達だけ。キンジ先輩とかと仲良いらしいけどそこら辺と仲良い時点でやばい。みんな強さを知ってるからいじめはしないけど忌み嫌われてるんだよ。あの先輩」

 

私はそれを聞いて絶句した。

あの時、先輩は明らかに助けるのが普通と言うかあの時、武偵の仲間だから……ではなくて、ただ好意でしたように見えた。

 

ライカ「まぁ、お前が一度決めたことを曲げない性格なのは知ってるし、判断は任せるよ」

 

 

私はモヤモヤしたまま自分の所属している救護科(アンビュラス)の授業を受けながらその事が頭から離れなかった。

 

でもなんで私はあの先輩のことを気にするんだろう?

 

………………私はあの先輩が好きとか?

 

いやいや!!ありえないありえない!!

 

そんなことばっかりで授業もまともに受けられてなかった。

 

 

そして放課後。

ライカと帰ろうとしたのだが忘れ物をしたことに気づき教室に戻っていた。

 

すると教室の中から男子達の声がした。

 

話を聞くとどうやら気になる女子の話をしているようだ。

 

「お前、誰だ?」

 

「俺は咲ちゃんか?ちっこくて可愛いし」

 

………………///

 

「まぁ、一番ないのはあの男女だよなぁ~。強襲科でもマジで勝てねぇし女とは受け取れねぇんだよな」

 

…………………イラッ!!

 

「まぁなぁ………そうだよなー」

 

咲「ライカ。あいつら締めてくる」

 

私の愛用の武器、ヨーヨーを取り出して突撃しようとする。

 

ライカ「いいんだよ、私は自分でよく分かってるから。にしてもお前はいいよな…………ハハハ………」

 

顔を下げて力なく笑っているライカに私は何も言えなかった。

 

「何してんだ?先輩もまぜろよ~♪気になる女子か?」

 

聞いたことのある声に私はハッと教室に入っていった人を見た。

 

それは間違いなく私が今、一番気になっている先輩、白福水先輩だった。

 

水「で、さっきまで何言ってたの?」

 

「あ?いやぁ~。あの男女はないなー………って」

 

水「そうかそうか。で、悪口言ってたと」

 

「そうですよ。あいつと言ったら女に見えないですし、僕達より力も強いし、性格なんて男だし」

 

水先輩から殺気は全くない。怒ってる様子もない。

水先輩も乗り気なんだと思ってこうなったら水先輩もろともぶっ飛ばしてやろうと思っていた。

 

水「じゃ、死ね」

 

「「え?」」 「「え?」」

 

教室前と教室内で四人が変な声をあげた。

 

次の瞬間、片方の男子がまるで消えたように見えた。

見ると教室の壁に激突して気絶していた。

教室の壁には傷がついていないけど今の勢いでよく大丈夫だったね!?

 

水「あ、ちょっと本気出しすぎた」

 

「大丈夫か!?………くっそ!!負けっぱなしでたまるか!!」

 

水「そう死に急ぐなよ、後輩くん!!」

 

もう一人の男子には顎を蹴りあげをくらわせた。

男子は少し後ろによろけて倒れた。

恐らく気絶しただろう。

 

水「よっし!!終わり!!こんなクズいヤツらはなんで生きてんだろうな………な?この前の後輩?」

 

咲「え………ハハハ………そ…そうですね………」

 

私はそんなことより水先輩の強さに驚きを隠せなかった。

 

水「お前が火野ライカだな。お前も不便だな~」

 

先輩はホワホワ笑いながら言う。

もうどっちかって言うと子供みたいだ。

 

ライカ「あ………ありがとうございました!!」

 

ライカはガバッと礼をする。

水先輩はそれを見て少し嫌そうな顔をした。

 

水「謝るな。謝られるほどのこともしてねーよ。ほら、『仲間を信じ、仲間を助けよ』だろ?」

 

ライカ「え……はい!!」

 

この先輩はやっぱり変わっている、この学校では。

水先輩は優しすぎるんだ。この変人しかいない学校では考えられないほどに。何かの悪口を聞いたり、困っていたり助けを求める人がいるとどうしても助けたくなる。多分、そんな先輩なんだ。

確かに異常者だ。一般人でもそんな人はそう居ない。

でも異常者の意味はいい意味でだ。

 

水「じゃ、もう帰るぞ~。またいつか会おう!!」

 

先輩は帰ろうと背を向けて歩き出した。

でも少し歩くと止まって「そうだ!!」なんて言って顔だけこっちに向けた。

 

水「僕はライカも可愛いと思うぜ?」

 

ライカ「なっ………なんですか先輩!!」

 

ライカは照れていたが顔は嬉しそうだった。

それを見ると先輩はニッと嬉しそうに笑ってまた歩き出した。

 

咲「ライカ!!先に帰ってて!!」

 

ライカ「え!?……わかった!!」

 

私はそうとだけ言って走り出してしまった。

 

最後に見せた、あの笑顔は確かに何かを押し殺しているように見えた。助けを求めていた。

 

理不尽だ。あんなに人のことしか思ってないのに人に嫌われているなんて。可哀想で仕方なかった。

そして憧れた。嫌われているのにそれでも助けることをやめない。そんな先輩に憧れたんだ。

 

多分、初めて助けてもらったあとにモヤモヤしていたのは先輩の優しさをあのとき感じたからだと今はわかった。あのとき、先輩は一度も脱出しそびれた私を責めなかった。普通の武偵の生徒なら少しは責めたりするだろう。でもあの先輩はむしろ潔く助けてくれたんだ。

だから私はモヤモヤして止まなかったんだ。

 

先輩の後ろ姿を見つけて、呼び止めた。

 

咲「先輩!!」

 

すると先輩はさっきと同じように顔をこちらに向けなかった。

 

水「なんだよ………」

 

不機嫌な声をしていた。

 

咲「先輩って優しいんですね」

 

水「人に優しくするのは当たり前だろ?」

 

咲「当たり前って難しいですよ」

 

水「で、それだけか?眠いんだが………」

 

咲「…………なんで人にそこまで優しくできるんですか?」

 

水「なんでお前は僕がすごい的な言い方するんだ?」

 

先輩は明らかに少し怒った声をあげた。

その怒気はなぜか鬼のように恐ろしかった。

 

咲「凄いじゃないですか」

 

水「何がだよ。結局、こんなことしても周りの評価は異常者なんだよ!!」

 

先輩は何かを吐き出すように叫んだ。

その声は怒気を含んでいたけど震えていた。

 

咲「…………先輩、泣いてるんですか?」

 

水「うっ………泣いてねぇし」

 

いや、泣いてる。声が泣いてる時の声だ。

 

咲「無茶しなくてもいいじゃないですか。なんで抱え込んでるんですか?」

 

水「…………だって周りには関係ないだろ?」

 

咲「関係ありますよ!!」

 

水「根拠は?」

 

咲「うっ…………」

 

この先輩は子供みたいな回答をしてきた。

でも言い返せない。確かに私は先輩から見れば部外者だ。

 

咲「…………じゃあ、関係あるようにしましょう」

 

水「……………は?」

 

咲「先輩!!私を戦妹(アミカ)にしてください!!」

 

先輩は驚いたかのようにこちらに顔だけ向けた。

その目は少し赤い。やっぱり泣いてたんだろう。

 

水「いや、意味わかってる?」

 

咲「はい!!先輩はいい人ですから!!」

 

水「…………お前は優しすぎだ」

 

咲「先輩程じゃないです」

 

水「…………俺の戦妹(アミカ)なんて嫌われるぞ?」

 

咲「私は先輩がいいんです」

 

先輩はその言葉に少し赤くなって顔を下げた。

 

咲「先輩は誰より優しいです。だから私の憧れの先輩です。それに先輩がこんなに助けを求めているのに心配しないのがおかしいです」

 

その言葉を聞いたら先輩は少しだけ涙を目に溜めて顔をあげた。

 

水「……………やっぱりお前は優しすぎだ」

 

咲「だから先輩程じゃないですって」

 

水「…………ひとつ言うけど僕は厳しいよ?」

 

咲「問題ないです!!」

 

水「……………ついてこい」

 

先輩はその言葉を言ってまた歩き出した。

 

私はその小さな背を追いかけた。

 

 

後日、それを見ていたらしいライカにかわかわれた。

先輩にその事を話すと笑って次は鍵とエンブレムを渡してきた。鍵はいわゆる合鍵らしい。エンブレムは戦妹(アミカ)の証みたいなものだ。

 

水「これでお前は正式に僕の戦妹(アミカ)だ!!」

 

咲「周りが見れば先輩の方が戦弟(アミコ)ですけどね」

 

水「うるせぇ!!」

 

これが私と先輩の出会いの物語だ。




書いてて気づけば5000文字という異例の長文になってた!?いや、水と咲はいいですね。これからもいい戦兄妹として活躍してくれることでしょう!!次回から本編に戻りますが何書こう………w
それでは!!

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