イナズマイレブンGOクロニクル ~集え!銀河最強の戦士達~   作:ヒビキ7991

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第17話/編み出せ!必殺技!

ジジジ・・・。

 

 

突然、病室の片隅に置いてあるテレビが起動した。

 

 

サトシ

「何だ?」

 

ピカチュウ

「ピカ?」

 

 

ノイズが徐々に消え、画面に謎の人影が映し出された。天馬達アースイレブンはその姿を見て驚いた。

 

 

スティン

『地球人よ。私は遠き宇宙からの使者、グランドチルドレンの一人、スティン・シーアンである!』

 

 

戦兎

「コイツは!?」

 

オズロック

「スティン!」

 

 

スティン

『アースイレブンの皆さん、聞こえるかしら?私は貴方達にサッカーによる勝負を挑みます。』

 

天馬

「勝負・・・?」

 

スティン

『もし勝負に応じなければ、ロストバグスターウイルスを世界中にばら蒔くわ。』

 

 

明日那

「えええ~!?」

 

永夢

「何だって!?」

 

 

スティン

『試合は二日後、聖都大学附属病院野外グラウンドにて行います。キャプテンの命と、この星を守りたいのであれば、大人しく勝負に応じる事ね。フフッ・・・。』

 

 

ジジジ・・・

 

 

画面に再びノイズが走り、スティンは画面から消えた。

 

 

貴利矢

「戦うしか助かる道は無いってか。どうする?」

 

天馬

「決まってるじゃないですか!戦うんですよ!俺達が、アイツらを倒さないと・・・!」

 

 

天馬はベッドから立ち歩こうとする。だが・・・。

 

 

ドサッ

 

 

サトシ

「おい天馬、無理すんな!」

 

 

サトシは天馬に駆け寄り、天馬を支える。

 

 

天馬

「だって、俺達が試合に出なきゃ、世界中に大勢の被害者が出るんだよ!戦わないと!」

 

戦兎

「確かに。でも天馬、考えてみろ。今のお前がそんな状態じゃ、まともに試合に参加出来ないぞ?」

 

天馬

「でも・・・。」

 

 

すると、戦兎はシトロンと藜斗に目を向ける。

 

 

戦兎

「シトロン、黎斗、俺に力を貸してくれないか?」

 

シトロン

「えっ?」

 

藜斗

「なに?」

 

戦兎

「天馬が試合に参加出来るようにするために、ウイルスを無力化する装置を開発するんだ。頼む。」

 

 

戦兎はシトロンと藜斗に協力を求める。すると、シトロンは微笑み藜斗はニヤりと笑った。

 

 

シトロン

「そういう事なら、喜んでお手伝いしましょう!」

 

黎斗

「良いだろう。私の才能が役立つと言うのなら、喜んで力を貸そう。」

 

戦兎

「ヘヘッ、最高だ!恩に切るぜ!」

 

 

シトロンと黎斗が協力してくれる事になり、戦兎は喜んだ。

 

 

サトシ

「俺達は、試合の日まで猛特訓だ!」

 

セレナ

「ええ!天馬の代わりに戦えるくらい強くならないとね!」

 

瞬木

「なら、俺達も付き合うぜ?」

 

鉄角

「こう見えて、天馬にビシバシ鍛えられたからな!」

 

永夢

「僕達も、何か出来る事を探そう!」

 

パラド

「おう!」

 

明日那

「うん!」

 

天馬

「みんな・・・。」

 

 

天馬のために動こうとする一同。天馬は皆への感謝と、申し訳無さで一杯だった。

 

 

エボルト

「・・・。」

 

 

すると突然、エボルトが病室を出て廊下へ向かう。

 

 

龍我

「おいエボルト、何処行くんだ?」

 

 

エボルトは龍我に呼び止められ足を止めた。

 

 

エボルト

「お前達を見てると、俺にも何か出来ないかと思ってな。ちょいと奴等の船に潜り込んで情報を盗んでくる。何かお前達の役に立つモノがある筈だ。」

 

 

そう言うと、エボルトは廊下を歩き病院を後にした。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~ギャラクシーノーツ号 ブラックルーム~

 

 

天馬とシトロンを花家ゲーム病クリニックに残し、アースイレブンはギャラクシーノーツ号へと戻った。

 

 

真名部

「では、始めます!」

 

 

真名部はブラックルームのコントロールパネルを操作し、辺りにフィールドを出現させた。

 

 

瞬木

「じゃあこれから、サトシとセレナの特訓を始めるぜ?内容は至ってシンプル。単独でのドリブルで俺達の攻撃を避けながら敵陣深くへ蹴り混み、ゴールを決めるんだ。試合までの時間は少ないから、徹底的に鍛えてやる。覚悟しとけ?」

 

サトシ

「分かった。」

 

セレナ

「了解よ。」

 

 

サトシはセンターサークル中心にボールを置き、軽い準備運動をする。

 

 

サトシ

「・・・よし、何時でもOKだ!」

 

 

サトシはフィールドの瞬木達と、ベンチでホイッスルを握るユリーカに合図を送る。ベンチでは葵とピカチュウが特訓を見守っていた。

 

 

ユリーカ

「それじゃ、始め!」

 

 

ピー!

 

 

ユリーカがホイッスルを吹いた直後、サトシはボールを蹴り、ドリブルで瞬木達のいる敵陣へと走り出す。

 

 

瞬木

「いくぜ!」

 

座名九郎

「参ります!」

 

 

前方から瞬木・座名九郎・信助が突っ込む。

 

 

サトシ

「よっ!ほっ!」

 

 

サトシは機敏に身体を動かし、瞬木達三人をかわして更に蹴り混む。

 

 

鉄角

「行かせるか!」

 

 

ディフェンス陣の鉄角・好葉・真名部・皆帆が正面から接近する。

 

 

サトシ

「これでどうだ!」

 

 

サトシはヒールリフトでボールを真上へと蹴り上げる。ボールは鉄角達四人の頭上を通過し、サトシはその隙に鉄角達の脇を通り後ろへ回る。そしてボールはサトシの足下に戻り、サトシはゴール前の井吹と対面する。

 

 

井吹

「来いサトシ!」

 

サトシ

「いくぞおおおおお!!」

 

 

サトシは右足を大きく後ろに振り上げシュートの体勢に入る。そして勢いよくボールにシュートを叩き込んだ次の瞬間・・・。

 

 

バーン!

 

 

サトシ・セレナ

「っ!?」

 

 

サトシの蹴ったボールはシュートと同時に微かに電気を帯び、井吹の守るゴールへと放たれた。

 

 

井吹

「なにっ!?」

 

 

ガシャーン!

 

 

井吹は突然の現象に驚いて固まり、ボールはゴールへと突き刺さった。

 

 

サトシ

「い、今のは?」

 

瞬木

「一瞬、ボールが電気を帯びた様な・・・?」

 

 

続いて、セレナの番が回ってきた。セレナは軽やかにステップやジャンプで瞬木達のディフェンスをかわし、あっと言う間に井吹と対面した。

 

 

セレナ

「いくわよおおお!」

 

 

セレナは右足を大きく後ろに振り上げシュートの体勢に入る。そして勢いよくボールにシュートを叩き込んだ次の瞬間・・・。

 

 

バーン!

 

 

セレナの蹴ったボールはシュートと同時に微かに炎を帯び、井吹の守るゴールへと放たれた。

 

 

セレナ

「えっ?」

 

井吹

「なにっ!?」

 

 

ガシッ!

 

 

井吹は両手でボールをガッチリキャッチする。だが勢いに負けて手が滑り、ボールはゴールポストに激突して跳ね返った。

 

 

セレナ

「何、今の?」

 

鉄角

「サトシに続いてセレナもか。どうなってんだ?」

 

皆帆

「もしかして、必殺技の前兆じゃないかな?」

 

真名部

「そうですね。先程のサトシ君とセレナさんのシュートの威力とボールに起きた現象から察して、間違いないでしょう。」

 

瞬木

「へぇ、じゃあやることは一つだな。」

 

 

瞬木はサトシとセレナを呼び、二人に話した。

 

 

サトシ・セレナ

「必殺シュートの特訓?」

 

瞬木

「そうだ。偉そうな口を叩くが、二人のドリブル能力は試合で十分戦えるレベルだ。だから二人には試合までの間、俺達との合同練習と平行して必殺シュートの特訓をしてもらう事にした。キャプテンが万全じゃない今、俺と座名九郎の必殺技だけじゃ点を取るのは難しいしな。」

 

サトシ

「でも、必殺技ってどうやって編み出せばいいんだ?」

 

セレナ

「いくら必殺技の前兆があったからって、ちょっと急すぎるわよ。」

 

瞬木

「そうだな・・・。」

 

 

瞬木はふと辺りに目を向ける。すると、ベンチで待機するピカチュウの姿が目に入った。

 

 

瞬木

「・・・例えば、ポケモン達の技を手本にするとかどうだ?」

 

サトシ

「ポケモン達の技を手本に?」

 

瞬木

「さっきのシュートの時、サトシの蹴ったボールは電気を、セレナの蹴ったボールは炎を纏っていた。つまり、サトシはピカチュウの電気技、セレナはマフォクシーの炎技を手本にするんだ。」

 

セレナ

「なるほど、それなら出来るかもしれないわ!」

 

サトシ

「そうと決まれば、ピカチュウ!」

 

 

サトシはピカチュウを呼び、ピカチュウはサトシのところへ駆け寄った。

 

 

サトシ

「ピカチュウ、お前の技を手本に必殺技を編み出したいんだ。手を貸してくれないか?」

 

ピカチュウ

「ピカ!」

 

 

ピカチュウは"喜んで!"と言っているかの様に自身の胸を叩いた。

 

 

セレナ

「マフォクシー、出てきて!」

 

 

ポーン!

 

 

セレナはモンスターボールを投げ、ボールからマフォクシーを出した。

 

 

マフォクシー

「マッフォ!」

 

セレナ

「マフォクシー、一緒に必殺技作りを手伝ってほしいの!お願い出来る?」

 

マフォクシー

「マフォ!」

 

 

マフォクシーは"喜んで!"と言っているかの様に笑顔でガッツポーズをした。

 

 

サトシ

「よし、じゃあやろうぜ、セレナ!」

 

セレナ

「うん!試合までに必殺技、完成させないとね!」

 

 

こうして、サトシとセレナの必殺技の特訓が始まった。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~花家ゲーム病クリニック 病室~

 

 

その日の夜、病室の天馬は窓の外を眺めていた。が、その表情は寂しそうだった。

 

 

天馬

「・・・。」

 

 

ガラガラガラ・・・。

 

 

病室の扉が開き、葵がやって来た。

 

 

天馬

「葵・・・。」

 

「天馬、調子はどう?」

 

天馬

「うん、横になったお陰で少し楽になったよ。今、シトロンと戦兎さんが頑張ってバグスターウイルス抑制装置を作ってくれてる。そっちは?」

 

「みんなで頑張って、サトシとセレナの必殺技作りの最中よ。」

 

天馬

「サトシとセレナの必殺技!?凄いね!」

 

「うん!みんな頑張ってたよ。」

 

 

ガラガラガラ・・・

 

 

すると、今度は永夢がやって来た。

 

 

永夢

「天馬君、調子はどう?」

 

天馬

「永夢さん。寝てたお陰で少し楽になりました。」

 

永夢

「そっか。」

 

 

すると、永夢は鞄からある物を取り出し、天馬に見せた。白い折り畳み式の携帯型ゲーム機と、ボールを追いかけるサッカー選手達のイラストが描かれたゲームソフトだった。

 

 

「はいこれ、僕と貴利矢さんからの差し入れ。」

 

天馬・葵

「ライトニングストライカー?」

 

永夢

「主人公が率いる弱小サッカーチームが、物語を進めながら試合を勝ち抜き、史上最強のサッカーチームを作り上げるサッカーRPGゲーム。幻夢コーポレーションの最新作だよ。」

 

天馬

「へぇー、面白そうですね。」

 

「遊んでみよ?」

 

天馬

「うん!」

 

 

天馬はゲーム機の電源を入れ、ライトニングストライカーのゲームカセットをセットし、葵と永夢と一緒にプレイを開始した。

 

 

 

 

そして翌日・・・。

 

 

 

シトロン

「お待たせしました!」

 

 

シトロン・戦兎・黎斗が病室にやって来た。

 

 

黎斗

「今こそ!」

 

戦兎

「サイエンスが未来を切り開く時!」

 

シトロン

「シトロニック・ギア、オン!」

 

 

シトロンはそう言うと、ポケットから黒い腕時計型の機械を取り出した。

 

 

シトロン

「名付けて、《バグスターキャンセラー》です!」

 

天馬・葵・永夢

「バグスターキャンセラー?」

 

戦兎

「その名の通り、バグスターウイルスを無力化する装置だ。」

 

黎斗

「使い方はとっても簡単!腕に着けて電源を入れるだけでOKだ。そうすれば、装着者の半径2メートルにバグスターウイルスを無力化する特殊な電波を約1週間の間放出し、装着者の体内のバグスターウイルスを無力化し、さらに外部のウイルスを寄せ付けない。しかも、電池は市販のボタン電池でOKだ!」

 

「早速試してみましょ。」

 

天馬

「うん。」

 

 

天馬はバグスターキャンセラーを左手首に装着し、スイッチを入れる。すると・・・。

 

 

天馬

「・・・あれ?何だか調子が良くなってきた!」

 

 

天馬は勢いよくベッドから降りると、まるで何事も無いかの様に準備体操を始めた。

 

 

戦兎

「どうやら成功したみたいだな。」

 

シトロン

「はい!戦兎さんと黎斗さんのお陰です!」

 

黎斗

「ハハハッ!それ程でもあるかな?」

 

「良かったね、天馬!」

 

永夢

「これで安心して、試合に参加出来るね。」

 

 

天馬が元気になってくれて、一同は安心した。

 

 

天馬

「よし!じゃあみんなのところに行こう!」

 

 

天馬はそう言うと、スパイクに履き替え病室を飛び出した。葵・シトロン・永夢・黎斗・戦兎も後に続いた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~ギャラクシーノーツ号 ブラックルーム~

 

 

ギャラクシーノーツ号に到着した天馬達は、真っ先にブラックルームへとやって来た。

 

 

天馬

「みんな!」

 

サトシ

「おっ?天馬!」

 

 

天馬の姿を見るなり、一同は天馬のところに集まった。

 

 

瞬木

「天馬!身体は大丈夫なのか?」

 

天馬

「ああ、シトロンと戦兎さんと黎斗さんの発明品のお陰だよ。それより、サトシとセレナの必殺技は?」

 

サトシ

「ああ、ついに完成したんだ!」

 

セレナ

「ピカチュウとマフォクシーのお陰で、完成出来たの!」

 

天馬

「よし、じゃあ試合前の仕上げだ!やろうぜみんな!」

 

 

一同

「おう!」

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~スターシップスタジアム サーバールーム~

 

 

その頃、エボルトはスターシップスタジアムに潜り込み、データベースから情報を集めていた。

 

 

エボルト

「銀河系の地図に、連中が今後向かう予定の惑星の座標。連中は少なくとも、あと4つの惑星を巡るつもりか。いったい何が狙いなんだ?」

 

 

エボルトはサーバールームの端末と、ビルドドライバーに似た赤いバックル、《エボルドライバー》をケーブルで繋ぎ、エボルドライバーに情報を転送していた。すると・・・。

 

 

エボルト

「ん?何だこりゃ?」

 

 

エボルトは謎のファイルを見つけた。ファイルを開くと・・・。

 

 

ガシャン!プシュー!

 

 

デスクの引き出しが突然開いた。中には黒いガシャットと、黒いトリガー型のアイテムが入っていた。

 

 

エボルト

「何だこりゃ?」

 

 

《COMPLETE》

 

 

丁度データの転送も終わり、エボルトは2つのアイテムとエボルドライバーを手に取り、急いで船を後にした。

 

 

エボルト

「まあいい、ついでに貰っていこう。何か役に立つかも知れないな。これは・・・。」

 

 

 


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