イナズマイレブンGOクロニクル ~集え!銀河最強の戦士達~   作:ヒビキ7991

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第21話/衛宮邸の人々

~衛宮邸 居間~

 

 

交差点で士郎と出会った天馬達は、士郎の誘いで丘の上にある士郎の自宅、《衛宮邸》を訪れた。衛宮邸には本邸の他、離れや道場、土蔵まで備えられていた。

 

 

士郎

「どうぞ。」

 

天馬

「ありがとうございます。」

 

 

士郎は天馬達全員に茶と菓子を振る舞った。士郎はテーブルの反対側に腰を下ろし、天馬達と向かい合った。

 

 

士郎

「じゃあ改めて自己紹介から。俺は衛宮士郎。この近くにある穂群原学園の高等部3年生で、この家の家主をしています。」

 

天馬

「松風天馬です。よろしくお願いします。」

 

信助

「西園信助です。」

 

「空野葵と申します。」

 

鉄角

「俺は鉄角真。」

 

好葉

「森村好葉です。よ、よろしく・・・。」

 

瞬木

「瞬木速人です。よろしく。」

 

座名九郎

「市川座名九郎と申します。以後、お見知りおきを。」

 

井吹

「井吹宗正です。」

 

オズロック

「ビットウェイ・オズロック。よろしく頼む。」

 

サトシ

「サトシです。よろしくお願いします。」

 

セレナ

「セレナです。」

 

ユリーカ

「アタシはユリーカ!で、こっちはお兄ちゃんの・・・。」

 

シトロン

「シトロンです。よろしくお願いします。」

 

永夢

「僕は宝生永夢。小児科医をしています。」

 

戦兎

「俺は桐生戦兎。物理学者だ。・・・ところで士郎君、ちょっと聞いてもいいかな?」

 

士郎

「何でしょう?」

 

戦兎

「君はこの家の家主だって言ったな?ご両親とかは居ないのか?」

 

士郎

「ここは元々、俺の親父の家だったんです。親父が数年前に他界して、以降は息子の俺が家を引き継いだんです。」

 

永夢

「じゃあさっき僕達が坂道で遭遇した女性は誰なの?見た感じは面識があるみたいだったけど。」

 

士郎

「あの人は《藤村大河》さん。深山町に本拠を据える組の組長の孫娘で、俺の保護者を勤めてくれてる人です。・・・で、ついでに言うと親父の知り合いで俺の学校の先生だったり。」

 

ユリーカ

「なんかフクザツー。」

 

士郎

「自分でもそう思ってる・・・。」

 

 

士郎は苦笑いをして答えた。

 

 

士郎

「ところで、天馬君達は冬木の人かい?」

 

天馬

「冬木?」

 

士郎

「ああ、今俺達が居るのは《冬木市》の深山町ってところなんだ。で、川を挟んでの向こう側は新都って言うんだ。・・・その様子だと、この街は初めてかい?」

 

天馬

「はい、俺達みんなで旅をしてて、偶然この街に来たんです。」

 

士郎

「そっか。よし、なら俺がこの街を案内してあげようか?」

 

天馬

「えっ?いいですか?」

 

士郎

「ああ、構わないよ。」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~紅州宴歳館 泰山~

 

 

天馬達は士郎のガイドで、深山町の様々な場所を巡った。士郎の通う"穂群原学園"、先程天馬達が訪れた寺院"柳洞寺"、海を臨む冬木市最大の人気デートスポット"海浜公園"、昔ながらの雰囲気を醸し出す"マウント深山商店街"。そして一同は今、そのマウント深山商店街にある中華料理店《紅州宴歳館 泰山》にて昼食をとっていた。

 

 

天馬

「この春巻き美味しい!」

 

サトシ

「チャーハンも美味いぜ!」

 

士郎

「気に入ってくれて何よりだよ。ところで・・・。」

 

 

士郎は鉄角と座名九郎の食べている料理に目を向ける。二人が食べていたのは麻婆豆腐だったが、士郎は何やら不安な様子。

 

 

士郎

「なあ、ホントに大丈夫か二人とも?別に無理して食べなくても・・・。」

 

鉄角

「大丈夫だって!」

 

座名九郎

「別に無理して食べている訳ではありません。むしろこの味、この辛さ、非情に気に入っております。」

 

 

と、鉄角と座名九郎は顔から凄い量の汗を流し、身体から熱気と湯気を発しながら麻婆豆腐を美味しそうに食べていた。

 

 

天馬

「二人が食べてるのって、麻婆豆腐ですよね?」

 

士郎

「ああ、俺は食べたこと無いんだけど、ここの麻婆豆腐は異常でな・・・。」

 

シトロン

「異常って、何故ですか?」

 

士郎

「辛さが尋常じゃないらしいんだ・・・。ハマる人にはとことんハマる美味しさらしいんだけど、一端の人間にとっては殺人級の辛さらしい・・・。」

 

セレナ

「殺人級・・・。」

 

 

士郎の話を聞いて、天馬達は少し苦笑いした。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~海浜公園~

 

 

昼食を終えた一同は、深山町と新都の間を流れる未遠川にかかる"冬木大橋"を渡り、新都で最も高いビルで新都開発を担った企業のオフィスが詰め込まれている"センタービル"、ゲームショップや電器店、ブティック等のテナントがある駅前ショッピングモール"ヴェルデ"、同じく駅前に最近オープンした全天候型室内ウォーターリゾート"わくわくざぶーん"、駅前中心街から少し外れた場所にある"冬木中央公園"、そして士郎のアルバイト先である酒屋"コペンハーゲン"と、新都の色んな場所を巡った。そして夕方、冬木市見物を終えた一同は海浜公園から衛宮邸へと向かっていた。

 

 

天馬

「いや~楽しかったぁ~!今日はありがとうございます、士郎さん!」

 

士郎

「どういたしまして。」

 

 

すると、士郎が突然足を止め振り向いた。

 

 

士郎

「あのさ、天馬達は今日は泊まるところとか決めてるのか?」

 

天馬

「えっ?」

 

 

天馬達は少し不味いと思った。天馬達の寝床ともなっているギャラクシーノーツ号へと戻るには、柳洞寺から更に森の中を2時間以上歩く事になる。一人で野宿するという言い訳なら通るかも知れないが、大人がいるからと言って全員で野宿をするなんて言えるわけが無い。

 

 

天馬

「えーっと・・・その・・・。」

 

士郎

「決まってないなら、今日は家で泊まっていくか?」

 

天馬

「えっ、ええっ!?」

 

 

士郎の提案に天馬達は驚いた。

 

 

天馬

「い、いいんですか?いやでも・・・。」

 

士郎

「大丈夫だよ。俺の家には来客用の離れがある。それにあの大きさだ。部屋ならいくらでもあるから問題無いさ。」

 

 

士郎は笑顔で答えた。

 

 

天馬

「・・・どうする?」

 

 

天馬は他のメンバーに問う。

 

 

戦兎

「もうこんな時間だ。せっかくだし、ここは御言葉に甘えさせてもらおうぜ?」

 

永夢

「僕も戦兎さんに同意です。」

 

サトシ

「俺も!」

 

ユリーカ

「アタシも!」

 

 

どうやら大半のメンバーは泊まる気でいるようだ。

 

 

天馬

「・・・じゃあ、御言葉に甘えて。」

 

士郎

「OK!じゃあ、衛宮邸に戻ろう。」

 

 

こうして、天馬達は衛宮邸に泊まる事になった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~衛宮邸 居間~

 

 

衛宮邸に戻った士郎と天馬達。玄関を開けて居間に入ると、居間では今朝会った女性大河を含む四人の女性と、一人の幼い銀髪の少女が居た。

 

 

士郎

「ただいま。」

 

大河

「お帰り士郎ー!・・・あら?」

 

???

「お帰り衛宮君。・・・ん?」

 

 

士郎が帰って来た事に気づき、居間の女性方は士郎に目を向けると同時に、士郎の後方にいる天馬達に気付いた。

 

 

???

「あら?先輩、お客様ですか?」

 

士郎

「ああ、今夜ここに泊めてあげる事になったんだ。」

 

天馬

「始めまして、松風天馬です。今夜一晩だけですが、お世話になります。」

 

信助

「西園信助です。」

 

「空野葵と申します。」

 

鉄角

「鉄角真です。」

 

好葉

「森村好葉です。よ、よろしく・・・。」

 

 

瞬木

「瞬木速人です。よろしく。」

 

座名九郎

「市川座名九郎と申します。以後、お見知りおきを。」

 

井吹

「井吹宗正です。」

 

オズロック

「ビットウェイ・オズロック。よろしく頼む。」

 

サトシ

「サトシです。よろしくお願いします。」

 

セレナ

「セレナです。」

 

ユリーカ

「アタシはユリーカ!で、こっちはお兄ちゃんの・・・。」

 

シトロン

「シトロンです。よろしくお願いします。」

 

永夢

「僕は宝生永夢。小児科医をしています。」

 

戦兎

「俺は桐生戦兎。物理学者をしております。」

 

大河

「・・・あっ!何処かで見た顔だって思ったら、今朝私が撥ね飛ばしちゃった方々ですよね!?」

 

 

大河は慌てて立ち上がり頭を下げる。

 

 

大河

「衛宮士郎君の保護者を勤めさせております藤村大河と申します。今朝は多大なるご迷惑をお掛け致したました事、まことに申し訳ございません!」

 

天馬

「い、いや大丈夫です!気になさらないで下さい。」

 

???

「また変な人達を連れてきたわね、衛宮君・・・。衛宮君の同級生の《遠坂凛》と申します。よろしくお願いします。」

 

???

「えーっと、先輩の後輩の《間洞桜》と申します。」

 

???

「私は《イリヤスフィール・フォン・アインツベルン》。呼びにくかったら"イリヤ"で構いません。」

 

???

「《バゼット・フラガ・マクレミッツ》です。よろしくお願いします。」

 

 

ガシッ

 

 

と、自己紹介を終えるや否やイリヤは士郎の腰にしがみつく。

 

 

イリヤ

「ねえお兄ちゃん、今日の夕飯は何を作ってくれるの?」

 

士郎

「そうだなぁ、大人数だし鶏の唐揚げでもしようかと思う。」

 

イリヤ

「ヤッター!シロウの唐揚げ楽しみ!」

 

 

士郎の言葉にイリヤは喜びを見せる。と、その様子を見てた永夢が何やら首を傾げていた。

 

 

永夢

「ん?・・・お兄ちゃんって事は、士郎君とイリヤちゃんは兄妹なの?全然似てないって言うか、イリヤちゃんは外国人みたいだけど・・・。」

 

士郎

「えーっと、話せば恐ろしく長くなるから超大雑把に済ませますけど、イリヤは親父の本当の娘で、俺は親父に拾われた養子なんです。」

 

永夢

「あー、なるほど。だからお兄ちゃんか・・・。」

 

士郎

「ええ、俺もつい最近知ったからまだ馴染めてないんですが・・・。」

 

 

士郎の説明に納得した永夢。と、その足元ではユリーカが目を輝かせている。これはもしや恒例の・・・。

 

 

ユリーカ

「凛さんと桜さんと大河さんとバゼットさんキープ!」

 

 

ユリーカは居間に進入し右膝をつき、凛達に右手を差し出した。

 

 

ユリーカ

「お願い!お兄ちゃんをシルブプレ!」

 

 

凛・桜・大河・バゼット

「・・・え?」

 

 

ユリーカの行動に、凛達はポカンとした。

 

 

ユリーカ

「お兄ちゃんのお嫁さんになってほしいの!お兄ちゃんったらメカばっかでちょ~っと抜けてるところがあるから、しっかりしたお嫁さんがいればいいかな~って。」

 

 

シトロン

「ユリーカ!それはやめろっていつも言ってるだろ!?」

 

 

シトロンはエイパムアームを起動し、ユリーカを持ち上げシルブプレを阻止した。

 

 

ユリーカ

「ちょっと~!何でぇ~!?」

 

 

ユリーカは釣り上げられじたばたするが、凛達はシトロンの顔を見ると何故か難しい顔をして悩み始めた。

 

 

士郎

「どうしたみんな?」

 

大河

「いやねぇ、シトロン君って可愛いし優しそうだから、こんな私でも良いならOKしてあげても良いかなぁって一瞬思ったんだけど、シトロン君って見た感じ随分と年下だし、それに士郎の家って士郎を除いて女の人ばっかりで、日々監視の目を通しておかないといけないじゃん?その辺を考えると、私は無理かなぁって・・・。」

 

「私は・・・そうね、シトロンが今の藤村先生くらいの歳になって、ちゃんと安定した収入を得られる仕事に就けたら考えてあげても良いわよ?」

 

「わ、私は・・・その・・・まだ結婚とかは考えてはいないのですけど、お、お友達からなら・・・。」

 

バゼット

「えーっと、私は今は住所不定のアルバイトですし、女らしくないですし、食事だって人並みに楽しめない人間ですし、その、お嫁さんって柄では・・・。」

 

 

どうやらシトロンは婿さん候補としては悪くない様子。

 

 

士郎

「と、取り敢えず飯にしよう飯に!桜、遠坂、手伝ってくれ!」

 

「えっ!?あー、そうよね?分かったわ!」

 

「えっ?あ、はい!」

 

 

士郎・凛・桜は台所へと向かった。すると・・・。

 

 

鉄角

「・・・ん?」

 

 

鉄角が何やらバゼットを見ていた。

 

 

バゼット

「何です?」

 

鉄角

「バゼットさん、だったか?アンタ、見た感じ随分と腕に覚えがあるみたいだな。」

 

 

鉄角がそう言うと、バゼットは何か察したのかニヤリと笑った。

 

 

バゼット

「ほう・・・貴方も中々良い腕をしていそうだ。どうです?夕食まで少し時間がありますし、軽く手合わせでも。」

 

鉄角

「良いぜ?受けて立ってやる!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~衛宮邸 中庭~

 

 

鉄角とバゼットは中庭に移り、鉄角は両手にバンテージを巻き、バゼットは革手袋を両手にはめる。

 

 

バゼット

「準備は良いですか?」

 

鉄角

「ああ、いつでもOKだ!」

 

 

鉄角とバゼットは拳を握り構える。縁側ではアースイレブン一同が集まり、大河がゴングの代わりに割り箸で皿を叩こうとした瞬間・・・。

 

 

「何やってるんだ?」

 

 

そこへ厨房に居た士郎がやって来た。

 

 

天馬

「士郎さん!?」

 

士郎

「藤姐、お前またバゼットに勝負事持ちかけたろ?」

 

大河

「えっ!?ち、違うわよ!今回はバゼットさんと、えーっと・・・鉄角君だっけ?二人が勝手に始めようとした事なんだからね!」

 

バゼット

「そ、そうです!今回は私に非がある事でして、大河さんは全く関与していません!」

 

士郎

「そっか、なら疑って悪かった、藤姐。それからバゼット、客人に強そうな奴が居るからって勝負持ち掛ける癖いい加減直せよ?あと、アンタの右腕は問題無くても左腕は元の腕より脆いんだから、無駄に勝負持ちかけて壊すなよ?」

 

 

士郎はそう言うと、厨房へと戻っていった。

 

 

鉄角

「・・・バゼットさん、アンタ義手だったのか?」

 

バゼット

「はい。いけませんか?」

 

鉄角

「いや、その・・・ビックリした。あはははは・・・。」

 

 

バゼットの秘密を知って苦笑いする鉄角であった・・・。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~士郎の部屋~

 

 

夕食と風呂を済ませ、バゼットと大河とイリヤは各々衛宮邸を離れ、凛と桜は衛宮邸内の自分の部屋に、アースイレブンは各自士郎の用意してくれた部屋へと移った。

 

 

士郎

「悪いな、ここしか空いてなくて・・・。」

 

天馬

「いえいえ、御構い無く。」

 

 

天馬は士郎の部屋の隣で眠ることになり、二人は押入から布団を引っ張り出していた。

 

 

天馬

「凛さんと桜さんとは同居なんですね。」

 

士郎

「まあ、同居と言うか下宿だな。でも二人とも、二日に一度は自分達の家に帰ってるんだ。バゼットは少し前まで家で暮らしてたんだけど、今は遠坂の家の近くにある古い洋館に住んでる。イリヤは藤姐の家に厄介になってるんだが、実は郊外にある森のお城でメイド二人と暮らしてるとか。」

 

天馬

「は、はぁ……ん?」

 

 

ふと、天馬は部屋の窓際に置かれた机の上のライオンのぬいぐるみが目に入った。

 

 

天馬

「これ、ライオン?」

 

士郎

「ああ、そのライオンには大切な思い出があるんだ。」

 

天馬

「思い出・・・ですか?」

 

士郎

「・・・君には話しても良いかも知れない。ちょっと来てくれ。」

 

 

士郎は部屋を出ると中庭に下り、土蔵へと向かった。天馬も中庭に下り士郎の後を追った。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~土蔵~

 

 

土蔵内には様々な道具やガラクタが堆積し、物置となっていた。

 

 

天馬

「ここは?」

 

士郎

「俺の鍛練場所。寝る前にここでいつも鍛練をしてるんだ。」

 

天馬

「鍛練って、何のですか?」

 

士郎

「魔術の鍛練さ。」

 

天馬

「魔術?」

 

 

魔術と聞いて天馬はピンと来ない様子。

 

 

士郎

「魔力を用いて人為的に神秘・奇跡を再現する術の総称だ。黒魔術とか錬金術とか聞いたこと無いか?」

 

天馬

「聞いたことはあります。」

 

士郎

「俺と遠坂とイリヤ、そしてバゼットは、その魔術の使い手なんだ。と言っても、俺はまだまだ半人前の魔術使いなんだけどな・・・。」

 

天馬

「士郎さんはどんな魔術が使えるんですか?」

 

士郎

「そうだなぁ、例えば・・・。」

 

 

士郎は近くにあった木刀を右手に取る。

 

 

シュン!

 

 

すると突然、左手に全く同じ木刀を出現させた。

 

 

天馬

「うえっ!?木刀がもう一本出てきた!?」

 

士郎

「ああ、こうやって魔力を物質化してオリジナルの複製を作る《投影魔術》と、さらに・・・。」

 

 

士郎は近くにあったベニヤ板を数秒触り天馬に渡す。と、天馬はある違いに気付いた。

 

 

天馬

「あれ?見た目はベニヤなのに・・・。」

 

士郎

「鉄みたいだろ?それは魔力を通して対象の存在を高める《強化》の魔術だ。俺が得意・・・と言うより、現状出来るのはコレだけなんだ。」

 

天馬

「へぇー・・・でも、士郎さんが魔術使いって事と部屋のライオンにはどんな繋がりが?」

 

士郎

「俺と遠坂は、半年以上前に7人の魔術師がある物を求めて戦う争いに参加したんだけど、あのライオンのぬいぐるみは、その時俺のパートナーだった少女のお気に入りだったんだ。」

 

天馬

「パートナーですか?」

 

士郎

「ああ。彼女とは最初は考えが合わず色々衝突してたんだけど、戦いを重ねる内に徐々にお互いを認め合う事が出来て、最終的に彼女と恋人になったんだ。」

 

天馬

「その人は、今何処に?」

 

士郎

「戦いが終わった後、彼女とは別れる事になった。でも、俺はいつかまた会えるって信じてる。同じ時間に居て、同じモノを見上げた。それを覚えていれば、遠く離れていても共にあると信じられる。だから、今はとにかく走り続ける。遠くを目指していれば、何時かは手が届くはずだと信じてるから・・・。」

 

天馬

「士郎さん・・・。」

 

 

士郎の話を聞いて、天馬は少し悲しくなった。

 

 

士郎

「・・・寝る前にこんな話して悪かったな。俺はもう少し鍛練をしてから寝るから、天馬は先に部屋で寝といてくれ。」

 

天馬

「はい、お休みなさい。」

 

 

天馬は士郎を土蔵に残し、士郎は魔術の鍛練を始めた。

 

 

士郎

「さてと、やるか!」

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~柳洞寺 山門~

 

 

同じ頃、暗闇に包まれた柳洞寺の山門の上に、ローブを被った怪しげな男がいた。

 

 

???

「なるほど、あれがグランドファーザーとグランドチルドレンの連中が言ってたアースイレブンって連中か。フッ・・・。」

 

 

ローブの男は不気味に笑い、闇の中に姿を消した。

 

 

 


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