バンやろ外伝 -another gig-   作:高瀬あきと

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第40話 やりたいのはバンドなんだよ

あたしの名前は木原 梓。

今はなっちゃんこと、Divalのボーカル水瀬 渚にあたしの昔話をしている。

 

もうこの話長くなり過ぎて、あたしの今を話してるって感じの構成になっちゃってるね。

おっと、メタな事は自重しよう。

 

あたしは金髪に染めたり気に入らない男はぶん殴ったりとか、ちょこっとヤンチャな時期があったけど、バンドをやりたい。音楽をやってみたい。そう思って長かった髪を切り、髪の色も地毛に戻した。

 

バンドをやってみたいと思ったのは好きな人…っていうか憧れた人が現れたからだ。

 

あたしの今までの高校生活で交際を申し込んで来た人達は肉体言語で断ってきた。

そして今日、あたしに好きな人が出来たという噂が流れたせいで交際を申し込んで来た男の人達は、あたしの事を諦めてくれた。今思うとちょこっと後悔している。

 

だけど1人だけ、1人だけは違った。

クラスは違うけどあたしと同じ高校に通う女の子、神崎 翔子。

もちろんあの子はあたしに交際を申し込んできてる訳じゃないけど、毎朝あたしに喧嘩を売ってきていた。

 

あたしがもう喧嘩をしないという事は伝えたから、わかってくれたと思ったんだけど…

 

 

 

 

「フン!」 -ブン

 

 

「わひゃあ!」 -ヒョイ

 

いきなり翔子が殴りかかってきた。

あたしはギリギリのところで避ける事は出来たけど。

 

「か、神崎!何すんねん!あたしはもう喧嘩はせえへんって…」

 

「あ?木原、お前がどうしようがあたしには関係ないやろ?あたしはあたしでお前をぶっ倒す!それだけや」

 

 

 

 

あの子はそんなあたしに殴りかかってきた。

その後も殴りかかってくる翔子の攻撃をかわし、あたしは反撃する事もなく我慢していた。

 

少しした後、学校の始業ベルが鳴りあたし達の…あたし達のっていうか神崎の一方的な暴力だけど。

その時間は終わりを告げた。

 

「神崎のヤツ…なんやったんやろ。何か必死やったみたいやけど…」

 

『木原!今日で最後や!だからっ!今日こそお前を…!』

 

その日の翔子はいつもと違っていた。

だけどあたしはふとバンドの事を思い出して…。

 

「ま、神崎の事なんか考えてもしゃーないか。それよりバンド…澄香と月野さんが一緒にやってくれたらなぁ…」

 

あたしはもう翔子の事を気に掛けるのを止めていた。

 

 

 

-放課後

 

 

「って訳でさー?澄香も月野さんもあたしとバンドやろうよ~」

 

「梓はまだ言ってんの?私はバンドはやらないって。

それより月野さんも梓にバンドに誘われてんの?何で?」

 

「今日は生徒会の集まりもバイトも無いし早く帰ってゆっくりしようと思ってたのに、まさか木原ちゃんにつかまっちゃうとは…。

木原ちゃんがあたしをバンドに誘ってくるのは、あたしが可愛すぎるからじゃないかな?ステージで華になるし」

 

あたしと澄香がいつも通り一緒に下校していると、たまたま日奈子も一緒になった。

 

あたしはチャンスと思い、2人をバンドに誘ったんだけど普通に断られていた。

 

そんな時に…。

 

「き、木原さん!」

 

「木原の姉さん!」

 

校門の所にいた中学生くらいの女の子達に、あたしは呼び止められた。

 

「え?あたし?誰だっけ?」

 

この子達はどこかで見た事はあったと思うんだけど、この時は誰だか思い出せないでいた。

 

「ん?あんた達、確か神崎さんの…」

 

神崎?

澄香が神崎の名前を出して、あたしはハッと気付いた。

この子達はあたしと神崎が喧嘩している時に、時々見かけていた神崎が中学の頃の後輩達だった。

 

「あたしも思い出した。あんたら神崎の後輩ちゃんらやんね?」

 

「はい!そうです!」

 

「木原さん!お願いします!神崎先輩を助けて下さい!」

 

「神崎を?助ける?」

 

「え?何々?この子達は木原ちゃん達の知り合い?神崎ちゃんを助けてって?」

 

 

 

「…って訳だったんです。今まですみませんッした!」

 

「私らはどんな制裁でも受けます!だから!だから、神崎先輩を…」

 

「バカ…バ神崎!」

 

あたしは走った。

 

「「梓(木原ちゃん)!?」」

 

神崎の…翔子の後輩ちゃん達の話はこうだった。

 

翔子があたしに執拗に喧嘩を吹っ掛けてきていた理由。

 

翔子のチーム、舞羅津出異天使達(ブラッディエンジェルス)は、あたしが思っていたヤンキーチームじゃなくて、翔子の中学のボランティア部活の名前だったらしい。なんじゃそりゃ。

 

まぁ、確かに中学の頃の翔子はヤンキーで…高校生になったこの頃もヤンキー色の濃かった女の子だったけど、中学の頃にヤンチャをしまくってた翔子は、学校の先生に改心する為にと、ボランティア部に入れられたらしい。

 

最初はしぶしぶボランティアをしていた翔子だったけど、町を綺麗にしたり、町の人達に感謝される事に喜びを見つけて、中学を卒業する頃には地元でも割と有名なボランティアをする少女へと変わり、それなりに進学校であるうちの高校に入学出来るようにまでなったそうだった。

 

そして高校に入学をした頃、町にゴミをポイ捨てしている女の子達に注意した。

その注意した女の子達は翔子に逆ギレし、翔子に襲いかかったそうだ。だけど、翔子はあっさりとその子達を返り討ちした。

 

話はそこで終わっていたら良かったんだけど、

実は翔子が注意した女の子達には裏の顔があった。

 

隣町のボランティアチーム堕悪粗流邪亜(ダークソルジャー)

そいつらは内申点を上げる為にボランティアをしていた。

火種チームという子達が町にゴミを捨て、火消しチームという子達がその火種チームが捨てたゴミを拾いボランティアをうたう。ほんまこいつら何やってんの?

って感じだけど、内申点を上げる為だけにそんな無駄な事をしていたらしい。

 

そしてそいつらは翔子の中学の地域にも魔の手をのばしてきた。

 

それを知った翔子は、高校に入学した事でボランティア部活も卒業したけど、最後のボランティアという事でそのダークソルジャーを掃除しようとした。

 

だけど相手はボランティアで内申点を上げようとしている連中。相手も札付きの悪者で、喧嘩も強いヤンチャ者の集まりだった。

 

翔子と翔子の後輩ちゃん達は戦っていた。

翔子も毎日あたしとタイマン張ってるだけあって、あたし以外には喧嘩負け無しってくらいには強かったけど、相手の数はそれを凌駕していた。

その戦いは…拮抗していて時間だけが消費されていた。

 

そこでダークソルジャーの頭から、トップ同士のタイマンの話が出た。

 

お互いの頭同士でタイマンを張り、翔子が勝てばダークソルジャーは解散する。

その代わり翔子が負けたら、翔子の後輩ちゃん達は全員、ダークソルジャーの火種チームに入るという条件だった。

 

翔子はこのままじゃじり貧だからとその条件を承諾した。

だけど汚ない相手の事だから、タイマンに邪魔する者が出てくるかもしれない。

 

だからあたしに翔子のチームに入ってもらい、そのタイマンが邪魔されそうになった時にヘルプに入って欲しかったとの事だった。

あれ?これバンドのお話だよね?

 

そして翔子はあたしにチームに入れと、執拗に喧嘩を吹っ掛けてきていたのだった。

 

だけど、そのダークソルジャーの頭とのタイマンは明日。

翔子にとって今日があたしをチームに入れる最後のチャンスだった。

 

それなのに…。

 

「神崎ぃぃぃ!あたし以外にやられてんなよ!(ギリッ」

 

ダークソルジャーは今日。

明日のタイマンを待たずに、大勢で翔子を闇討ちしようとした。

 

それを見ていた後輩ちゃん達はあたしに助けを求めに来たのだ。

 

 

 

 

「な、何がタイマンやねん…。こんな人数で闇討ちして来やがって…」

 

「安心せいや神崎。明日のタイマンはうちがちゃんと相手したる。約束もちゃんと守るわ。

せやけど、明日のタイマンにお前が来られへんかったら、うちらの不戦勝やんな」

 

「どこまでも汚ない連中やな。お前らは…」

 

「うちらが汚ないってか?悔しかったらうちらの事も綺麗に掃除してみぃや」

 

「言われんでも…この町はあたしが綺麗にしたるわ!」

 

「こんだけ人数連れて来たのにまだ倒れてへんのは誉めたるけどな。神崎、もう終わりや。お前ら一斉にかかれ!」

 

「くそ…ここまでやなぁ…」

 

「ドッカーーーン!!」

 

\\ギャアァァァァァ//

 

今まさに翔子がやられそうになっていた時。

何とかあたしは間にあい、翔子に一斉にかかってきた連中を肉体言語でブッ飛ばした。

 

「ハァ…ハァ…か、神崎、ぶ、無事やな。良かった…ハァ…ハァ…」

 

「木原?お前、何でここに…」

 

「は、走ってきたし…数分迷子になって余計に走り回ったから…も、もう疲れた…ハァ…ハァ」

 

「何やねんお前は!?誰じゃ!?」

 

お前は何者だ?

ダークソルジャーのボスのような女の子があたしにそう問いかけてきた。

あたしは長年、何者か問われた時に使いたいと思っていたセリフを使う機会がやっと来たのだと感動を覚えていた。

 

「ポルナレフ、名のらせていただこう。J・P(ジャン・ピエール)…木原 梓!(バン」

 

あたしの長年の夢が叶った瞬間だった。

 

「ジャンピ…?何て?」

 

だけど彼女にはあたしの想いは届かなかった。

 

「あ、あたしは神崎の助っ人や。お前ら全員覚悟せいよ!」

 

「バカ!木原っ!お前喧嘩はもうしないって言ってたやろ!しかも助っ人って何やねん!」

 

「あ?うるさいよ神崎、後輩ちゃん達からあんたらの喧嘩の事聞いた」

 

「後輩達…?あ、あいつら…」

 

「あの子ら必死やってんから怒ったらんときや?それに友達が闇討ちなんかでやられてるのとか普通にムカつくし」

 

「え?と、友達…?」

 

「そんで…これは喧嘩ちゃうやろ。ボランティア活動…ゴミ掃除や」

 

「木原…お前…」

 

とりあえずこのダークソルジャーのボスみたいな女の子を掃除しよう。これはボランティア活動だ。と、あたしは自分に言い聞かせた。

 

「助っ人?お前みたいな可愛い女の子がか?」

 

「そういうあんたも可愛いやん」

 

「か、かわ!?う、うっさいわ!ちょ、お前らみんな出てこい!」

 

「「え?」」

 

ダークソルジャーのボスみたいな女の子がみんな出てこいと叫ぶと50人くらいの人達が出てきた。この人達今までどこに居たの?

 

「ま、まだこんなに居たのかよ…。木原、お前でも無理やろ。早く逃げな」

 

「確かに…まともに戦ったら無理やろな…」

 

これだけの人数を相手にまともに戦って勝てる訳がない。これは漫画やアニメじゃないんだから。

 

だけど…あの技なら。

 

 

超級覇王電影弾。

 

 

あの技ならこの人数相手でも…。

ドモン=カッシュも東方不敗マスターアジアも、アニメの終盤では単独で一人で撃つ事が出来ていた。

 

だけど基本は……

 

「木原!来るぞ!」

 

…え?あ、ヤバ。

考え事してる場合じゃなかった。

 

ダークソルジャーの連中は大人数であたしと翔子に一斉に襲いかかって来た。

 

考え事なんてしている場合じゃない。

撃つんだ。あたしも一人で!超級覇王電影弾を!

 

そう思って荒ぶる鷹のポーズみたいなポーズをとった時……。

 

「「梓!(木原ちゃん!)」」

 

あたしが今まさに超級覇王電影弾を撃とうとした時、澄香と日奈子もこの場所に現れたのだった。

 

「あいつら…瀬羽さんと…生徒会長?」

 

「澄香も月野さんも…何で?」

 

 

 

「うっ…、何かヤバそうやと思って梓の事追っかけて来たけど…ほんまヤバそうな展開になっちゃってるし…」

 

「うわ~…たった2人相手にあの人数とか…どうしよっかな。ポリスメンに電話して助けてもらう?」

 

 

 

澄香は喧嘩とかした事もないし、日奈子に至ってはあんなちびっ子だし。

あたしも翔子もこの場に来た澄香と日奈子に驚いていた。

 

だけどこの後、あたし達は悪夢を見る事になる。

 

「あは、あははははは!神崎ぃ!他にも助っ人が居るのかもと警戒してたけど、たった2人の助っ人とはな!

しかも、その内の1人はちびっ子やんけ!小学生か?あははははは!」

 

「クッ…瀬羽さんも生徒会長も!木原を連れて逃げな!あたしが何とか時間を…」

 

「澄香!月野さんと一緒に逃げて!あたしが本気で……れば余裕だから!」

 

「え?梓は何言ってんの?『本気で…れば』って何?」

 

「ちびっ子?小学生?それは…あたしの事か…?(怒」

 

あたしと翔子は澄香と日奈子に逃げるように伝えた。

だけど…。

 

「フン、お前らみんなダークソルジャーに歯向かう気やったんやろ?誰も逃がせへんで。まずは…そっちのちびっ子から泣かせたろか!」

 

そう言ったダークソルジャーのボスみたいな女の子は、ダークソルジャーの部下達に日奈子を襲うように命令した。

だけどそれがダークソルジャーの連中の悪手だった。

ダークソルジャーの連中と日奈子との距離がもう少し近かったら、距離が離れていなかったらあんな惨事は起きなかったのかもしれない。

 

「ちびっ子を泣かせると言って、あたしに襲いかかって来てるつまり…ちびっ子ってのはあたしの事だな?」

 

「つ、月野さん!ヤバいって!こ、ここから逃げないと…わ、私が何とか時間を稼ぐから!」

 

澄香も日奈子を逃がそうとしたけど、日奈子は逃げる事なんかせず…

 

「ちびっ子って!あたしの事だなー!?(怒」

 

日奈子はそう叫んだ。

そして、日奈子が叫んだ後、日奈子の背負うランドセルが光り輝き、そこから何か円筒状の機械のような物が複数個飛び出したのだった。何だあれ?

 

「あたしは…!ちびっ子じゃ…ない!!

……いけ!ファンネルたち!!」

 

-ヒュン…ヒュン、ヒュン

 

円筒状の機械のような物が、ダークソルジャーの面々に飛び掛かっていった。

 

そして円筒状の機械のような物から放たれるビーム攻撃。

そのビーム攻撃はダークソルジャーの面々だけでなく、辺り一帯を、あたしと翔子を巻き込みながら攻撃を続けていた。

 

あたしは生まれて初めて…ほんまに死ぬかと思った…。

 

 

 

 

「こいつじゃない…。こいつでもない…」

 

どれだけの時間が経ったかわからないけど、日奈子の円筒状の機械のような物、ファンネルの攻撃がやっと終わってくれた。

 

一面焼け野原になったけど、あたしも翔子も何とか生き延びる事が出来た。いや、もちろん1人も死者は出てないけど。

 

日奈子は日奈子の事をちびっ子と言ったダークソルジャーのボスを探していた。

探しだしてどうするつもりなんだろうと恐怖を隠しきれないけど、ボロボロになったあたしは翔子と並んで座りながら少し話をしていた。

 

「悪かったな木原。お前を巻き込んで」

 

「いや、別にそんなんええし。

てか、神崎があたしに毎日喧嘩吹っ掛けて来てたんが、そんな理由やって知っておもろかったけどな(笑」

 

「…それだけじゃねぇよ」

 

「それだけじゃない?」

 

今回のこの喧嘩。

ううん、日奈子の圧倒的戦力による容赦ない攻撃のせいで、今でも地元ではソロモンの悪夢と呼ばれる程の大惨事になった訳だけど、元々は翔子とダークソルジャーのボスとのタイマンに…、あたしに助っ人として来て欲しかったから、あたしを部下にしようと喧嘩売って来てた。って聞いたんだけど、他に何かあるの?

 

「……お前には迷惑かけちまったしな。ちゃんと話すよ」

 

「長くなるようなら聞きたくないけど?」

 

「いや、聞けよ、そこは!

……あたしはずっと喧嘩負け知らずだった。

だけど中学ん時にな、お前と初めてタイマンして、手も足も出ずに負けちまった」

 

中学生の時?

あれ?あたしと翔子って中学の時に会った事あったっけ?

と、今でもあたしは思い出せないでいるんだけど…。

 

「中学の時にって…それほんまにあたし?

あたしと神崎って高校で初対面じゃないの?」

 

「……覚えてねぇのかよ。まぁ、いいや。今でも勝てた事ないし。

…だからな、あたしなんか喧嘩が強いって事しか取り柄がなかったのに…その喧嘩で負けちゃったからさ…」

 

「神崎…」

 

あたしは翔子の話を聞いて…

 

-バチーン

 

「痛ったぁぁぁぁぁぁぁぁいいいいいい!!!!

お、おまっ!木原っ!お前何で私のおっ…おっぱ…む、胸を!?」

 

思いっきり翔子のおっぱいを叩いた。

そして、翔子の顔面を掴み、アイアンクローをした。

 

「い、いだだだだだ…!ちょ、木原!痛い!マジで痛い!顔が潰れる!何で私、アイアンクローされてんの!?」

 

「神崎…お前、喧嘩しか取り柄がないやと?お前…それ本気で言ってんのか?あ?」

 

「いや、マジだけど?…って!いだだだだだ…!

お前…!アイアンクローの力が!強くなってる!」

 

あたしは翔子の顔面を掴む力を強くして…、

 

「お前な!女子最強の武器であるでかいおっぱいしときながら、取り柄がないとはどういう事じゃぁぁぁぁ!」

 

そう言った後、再びおっぱいを叩いた。思いっきり。

 

「痛っっったい!!木原!お前!また胸を!」

 

「それだけちゃうわぁぁぁぁぁ!!!」

 

「いたぁぁぁぁぁい!!つ、次は脇腹!?」

 

そして次はすかさず脇腹を掴んだ。思いっきり。

 

「この!このくびれ!!神崎、お前ちゃんと飯食ってんのか!!なんやねん、この脇腹!ほっそ!!」

 

「だから痛いって!」

 

「ハァ…」

 

「何でタメ息!?やっと解放されて安堵感からタメ息つきたいのはあたしの方なんやけど!?」

 

「いいか、神崎。取り敢えず聞け。

女の子の最強武器であるでかぱいを装備しながら、その細いウエスト、顔も大人っぽくて綺麗やし、あんたの後輩ちゃんに聞いたけど、部活でクッキーやらお菓子やら作って行ってたんやろ?」

 

「ま、まぁ、お菓子は…作るの好きやし、でも胸は気にしてるし、ウエストも爆食いしても肉が付かないし、顔も自信無いし…」

 

「神崎、あたしからしたら、神崎の方が、めちゃくちゃ羨ましいよ。喧嘩とか強くても何もいい事なかったし…」

 

 

 

そしてあたしは翔子に音楽の事を、バンドをやりたい事を話していた。

 

「お前。それで髪も切って、喧嘩もしないって…?」

 

「うん、だからあたしはもう喧嘩もしないし、これから音楽を頑張っていく。

神崎ももうボランティア部の事は解決したやろ。月野さんのおかげて…」

 

辺り一面焼け野原になっちゃったけど。

 

「もう喧嘩も辞めてさ。神崎も好きな事、感張りたい事見つけなよ」

 

「木原…」

 

あたしはそう言って立ち上がり、澄香の待つ方へと歩いて行った。

 

「やっと見つけたぁぁぁ!お前だな!あたしの事をちびっ子って言った女は!」

 

日奈子はダークソルジャーのボスを見つけ…、その後はあたしは何も見ていない事にして帰る事にした。

 

それがあたし達の地元で今なお語り継がれるソロモンの悪夢の顛末である。

 

 

 

 

そして、その日の翌日。

 

その日も澄香と日奈子にバンドに入る事を断られたあたしはげんなりしていた。

 

だけど、いつか澄香も日奈子もバンドに入ると言ってくれるかも知れない。

あたしはそう希望を持って、ギターの腕を磨くべくおっちゃん…なっちゃんのお父さんにギターを教わりに行った。

 

♪~

♪♪~

 

なっちゃんの家から軽快なギターの音が聞こえていた。

 

「んん?ギター?おっちゃんの音とは違うような?」

 

あたしは不思議に思いながらも、なっちゃんの家、おっちゃんにギターを教わっている部屋へと入った。

 

「よう、木原」

 

え?何で?

 

そこにはギターを弾く翔子が居た。

 

ほんま何で?

 

あたしが不思議に思っていると、おっちゃんが後ろから部屋に入って来た。

 

「さすがやな。もうそのフレーズをマスターしているとは」

 

おっちゃんが何を言っているのかわからなかった。

 

「ありがとうございます。先生、次のフレーズもお願いします」

 

先生?翔子が何を言っているのかわからなかった。

 

「ちょっと…神崎もおっちゃんも何を言っているの?

てか、何で神崎がここでギター弾いてるの?」

 

あたしは疑問をそのまま2人に投げかけた。

 

「ああ、昨日な。楽器店に行ったら翔子がおってな」

 

「昨日、木原がやりたいって言った音楽ってどんなもんか興味持って楽器店行ったら」

 

「翔子が音楽に興味があるって言うから、ギターを教えながら試し弾きさせてみたら…」

 

「ギターを試しに弾いてみろって言われて、そしてギターを弾いてみたら胸にズドンとくるものを感じて…」

 

「翔子にはギターの才能がある!俺の音楽の全てを翔子に教えたいと思って、弟子に勧誘した」

 

「もっとギターを弾きたい、もっとギターを上手くなりたいと思って、弟子にしてもらった」

 

何を言っているのこの2人は。

 

「あたしもやりたい事、頑張りたい事を見つけたんだ。それがギターだった。

木原、これからは音楽で勝負だ!あたしはお前を越えるギタリストになる!」

 

「あはは、翔子、お前はもう梓を越えとるよ」

 

「あはは、本当ですか?だったら嬉しいです」

 

ほんま何を言っているのこの2人は。

 

その日から、あたしは翔子と一緒にギターの練習をする事になった。

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