ま…まだあたしこと木原 梓の過去話やで…(白目
翔子と日奈子と一緒に来た楽器店。
そこで、日奈子の元バンドメンバーと出会った。
日奈子は『自分はバンドから追い出された』という過去から、バンドをやりたくないと思っていた。
だけど元バンドメンバーが言うには、その事は『誤解』だった。
日奈子はその場から逃げるように楽器店から飛び出し、元バンドメンバーの女の子達は日奈子を追った。
あたしも日奈子を追おうと思ったけど、翔子に制止され、その場に残っていた日奈子の代わりに、日奈子の元バンドでドラムをやっている女の子。如月 陽子ちゃん。
あたしと翔子は楽器店の近くの公園のベンチに腰を掛けて、陽子ちゃんから日奈子の過去を聞いていた。
ただの余談だけど、この時、陽子ちゃんがせっかく日奈子の事を教えてくれるからと、あたしが自販機でコーヒーを買って陽子ちゃんにあげたんだけど、何であの時、あたしは翔子のジュース代も出させられたんだろう…?
「なるほどな。それで生徒会長は…その葉月だっけ?あいつらにバンドを追い出されたと思った訳か」
「うちも葉月らから聞いただけやけどね。それがうちらの真実や。でも、当の月野さんからしたら、バンドを追い出されたと思ってしもても、しょうがないんちゃうかな?」
おっと、あたしが翔子のジュース代まで出させられた事を思い出している間に日奈子の話は終わっちゃってたようだ。
陽子ちゃんからの話だとこうだった。
ボーカルの
ギターの
ベースの
そしてドラムの月野 日奈子。
みんながみんな苗字か名前に太陽を連想させる言葉と、月が入っているという事で、MOONとSUNから取って
M&Sって日奈子のゲーム会社の名前に今も使われてるよね。
そして4人は中学時代、ライブをやる事はなかったし、カバー曲ばかりだったけど、スタジオで練習したり楽しくバンド活動をしていたらしい。
だけど、この時は日奈子と葉月ちゃん達のレベルが違い過ぎていた。
日奈子は当時グングンとドラムの腕が上がっていて、葉月ちゃん達は自分達には才能が無いと思い知らされていたそうだ。
でも、だからって日奈子を疎ましく思う事もなく、みんな日奈子のドラムの音が大好きで、日奈子に憧れる程になっていたらしい。
今でもよく陽子ちゃんに日奈子とバンドをやっていた事を自慢したりするそうだ。
日奈子は当時、メジャーデビューとまではいかなくても、自分達で歌詞も曲も作ってライブをやりたいと日頃から言っていたらしい。
葉月ちゃん達は自分達のレベルがわかっていたから、そんな日奈子の邪魔になってるんじゃないかと悩んだりする日もあったみたい。
そして中学卒業間近になった頃、日奈子だけが別の高校へと進学が決まった。
学校が変われば一緒に居れる時間も減るから、一緒に練習出来る日も少なくなるかも知れない。
学校が変われば日奈子のドラムに合うようなバンドメンバーと出逢えるかも知れない。
そういった想いから、葉月ちゃん達は日奈子に『他の人とバンドを組んで本格的に音楽をやってほしい』と伝えた。
でも、日奈子はそれを『バンドから追い出された』と受け取ってしまった。
ほんの些細なすれ違い。
もっとじっくり話し合えていたら、もっと変わっていたかも知れない。
葉月ちゃん達も日奈子が好きだから、日奈子のドラムが好きだったから、悩んで悩んでやっと伝えた言葉だ。
でも、それは…
「それは月野さんが可哀想だよ!」
あたしは叫んでいた。
だって、きっと日奈子はその4人でバンドをやりたいと思ってたんだと思うから。
「あたし!月野さんを探してくる!」
「うぅ~ん…、そう…だな。あの3人が生徒会長を見つけたとしても、生徒会長は聞く耳持たずで逃げちまうかもだし…」
「ほなうちも月野さん探しにいこかな。コーヒーごちそうさま。あ、そや、誰かが月野さん見つけたら連絡取り合って集まった方がええんちゃう?メアド交換しとこうや」
当時はLINEとかなかったから…メールアドレスの交換をして、それぞれが日奈子を探しに出た。
メアドを交換した陽子ちゃんの話だと、まだ葉月ちゃん達も日奈子を見つけられてないようだった。
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「なんてご都合主義…。まさかあたしが1番に月野さんを見つけちゃうとか…」
当時、方向音痴っぽい所があったあたしは、駅の方へと探しに行こうと思っていたのだけど、何処をどう通ったのかわからないまま、河川敷に立っていた。
そこにたまたま日奈子が居たもんだから大爆笑だよね。
「月野さん」
「…木原ちゃんは知ってたの?」
「何を?」
「あの楽器屋に葉月達…あたしの元バンドメンバーが来たりしてる事」
「ん、さっきまでは知らなかった」
「…って事は神崎ちゃんか」
そう、翔子はあの楽器屋のスタジオで葉月ちゃん達が練習しているのを知っていた。
この日の朝、あたしが翔子に日奈子をバンドに誘っているけど断られている事、そしてその理由はわからない事を言った時、翔子は過去に何かあったんだと思い、中学のボランティア部の後輩ちゃん達に、日奈子の過去を調べさせたそうだ。
そして、後輩ちゃん達は日奈子の過去を調べあげ、元バンドメンバーがあそこの楽器屋でスタジオ練習しているという情報も得たのだった。
……翔子の後輩ちゃん達っての何者なの?
ただの中学生でボランティア部の子達だよね?
「月野さんがバンドをやりたくない理由もわかったよ」
「そっか。それは良かった。だったらもうあたしにバンドやろうとか言わないで」
「月野さん」
「何?」
「バンドやろうぜ!」
「……話聞いてた?」
「聞いてたよ。だから、バンドやろうぜ!」
「何でそうなるの!?あたしはもうバンドはやらな…」
「あたしは日奈子を手放したりしない!」
「木原ちゃん…ひ、日奈子って…手放すって…」
「聞いて日奈子。ほんとはあたしが言う事じゃないと思うし、日奈子のバンドメンバーだった子達から話すべきなんだと思うけど…」
あたしは日奈子に陽子ちゃんから聞いた話を話した。
葉月ちゃん達が日奈子とバンドをやっていてどう思っていたのか。
葉月ちゃん達が日奈子のドラムをどれだけ好きだったのか。
葉月ちゃん達が日奈子の為にどう決断したのかを…。
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「そっか…あたしが可愛すぎるから…」
「いやいやいや、可愛すぎるとか言ってないよ?可愛い可愛くないの話とちゃうし」
「あたしも…ほんとはそうじゃないかな?って思う事もあったよ」
「え!?自分が可愛すぎるって!?」
「でも、そんなのは自分の都合いいように解釈して、葉月達の事や音楽を嫌いにならないようにしたいだけなんじゃないかって思って…」
「あ、良かった。ちゃんとあたしの話聞いてくれてたんやね」
「うん、でもね、木原ちゃん…あたしは…」
「怖い?またバンドをやって、今度はあたしと翔子にほんとに追い出されたらどうしよう?とか?」
「ううん、木原ちゃんと神崎ちゃんはそんな事しないと思う。木原ちゃんはこないだ神崎ちゃんの事も助けに走ったし、神崎ちゃんだって、あたしの為を思ってあたしの事を調べてたんだろうし…」
「そう!そうだよ日奈子!
あたしは喧嘩相手だった翔子の事も助けたし、翔子もほとんど話した事もない日奈子の為に…」
「あはは、どっちかというと下手っぴな木原ちゃん達に愛想尽かして、あたしが抜けちゃう可能性の方が高いしね」
「なっ!?」
誰が下手っぴやねん!
ってツッコもうかと思ったけど、確かにこの時は歌もギターも下手くそだったし、何か反論するのも止めといた。
おっちゃんからのギター練習も、ほとんど筋トレみたいな事ばっかりで、あたしも翔子もほぼ自己流だったしね。
「木原ちゃん、木原ちゃん達は何でバンドやってるの?メジャーデビューしたいの?」
「メジャーデビューかぁ。うん、メジャーデビューを目指してる事になるかも」
「そっか。メジャーデビューしたくて…」
「それは違うよ」
「え?どゆこと?メジャーデビュー目指してんでしょ?」
「きっとメジャーデビューする事になると思うってだけだよ。あたし達の目標は全国制覇。
エクストリームジャパンフェスで優勝する事があたし達の目標だから。まぁ、それより音楽が楽しいからやってんやけどね♪」
「全国制覇!?って、エクストリームジャパンフェスで優勝!?そんなの無理だよ絶対無理!」
「え?何で?」
「だってエクストリームジャパンフェスだよ!?
全国の猛者中の猛者のバンド!そんなバンドばっかりが集まるすっごいフェスなんだよ!?」
「海賊王になるよりかは簡単そうだけど…」
「いや、そりゃ海賊王になるよりは…とは思うけど、エクストリームジャパンフェスでの優勝は、ううん、本戦に出場する事だってすごい事なんだから!そもそもメジャーデビューする事よりエクストリームジャパンフェスの本戦に出場する方が難しいって言われてるくらいなんだからねっ!」
「いいねぇ~。ワクワクしてくる。あたしはあたし達のバンドなら…、日奈子と一緒なら優勝も夢じゃないと思ってるよ」
「あたしと一緒ならって…あたしのドラムも聴いた事ないくせに…」
「なれるよ。あたし達ならそんなすごいバンドに」
「なれるよって…」
「ねぇ、日奈子。ワクワクしない?あたし達がそんなバンドになるって、そんなバンドを目指して音楽を楽しんでやってくの!」
「あたし達で…音楽を楽しんで…エクストリームジャパンフェスに…ぶふっ、ふふ…ふふふふ」
「日奈子?」
「ふふ…ごめんね。木原ちゃん…あたしは…」
「「「日奈子!!!」」」
日奈子はあたしに何かを言おうとしていたけど、その時ちょうど葉月ちゃん達が来たから、日奈子の言葉を最後まで聞けなかった。
葉月ちゃん達がここに来れたのは、あたしが日奈子に声を掛ける前に、翔子と陽子ちゃんに日奈子を見つけた事を連絡したから、きっと陽子ちゃんから葉月ちゃん達に連絡してくれたんだろう。
「日奈子…ごめん、ごめんなさい。日奈子がそんな風に思ってたなんて…」
「私もごめん…もっとちゃんと話してたら…」
「日奈子…ごめん…ごめんね。ほんとに追い出したとかじゃ…うぅ…グスッ」
「葉月ちゃん、結月ちゃん、日登美ちゃん…」
ちょっとの間、あたしは離れてた方がいいかな?
そう思って少し離れた所に居た翔子と陽子ちゃんの方へと向かった。
「梓、お前よく生徒会長を見つけられたよな。てか、駅の方探すとか言ってなかったか?ここ駅から全然離れてるけど…」
「え?えっと…何となく日奈子がこっちに居る気がして…」
「ん?お前いつの間に生徒会長の事を日奈子って…」
「木原さんグッジョブやね!」
その後も遠くで話している日奈子達をぼんやり眺めながら、あたしは翔子と陽子ちゃんと他愛のない話をしていた。
しばらくすると、日奈子は葉月ちゃん達と笑い合いながらあたし達の方へと歩いて来た。
「木原さんも神崎さんもありがとうございました。
おかげで日奈子と話せて…」
「いや、あたしらは何もしてないよ。な、梓」
「うん、ほんとに何もしてないよ。てか何したあたしら?」
「もう!木原ちゃんも神崎ちゃんも!そこはどういたしましてでいいじゃん!」
う…こういう時この後どうしたらいいんだろう?
あんまりこういう場面に遭遇した事ないし…何か言えばいいの?
『よし、帰ろっか』
とか、言おうものなら『え?こいつもう帰るの?空気読めない系?』とか思われる気がする。
ぐぅぅ…いったいどうすれば…。
え?もしかしてあたしコミュ障なの?
とか、考えながらあたしは混乱していた。
「…生徒会長は、元バンドメンバーと話してどう思った?バンド、まだやりたくないか?」
翔子がそんな事を言うものだからあたしは更に混乱した。
え?それ言っちゃうの?てか、今それ言っちゃっていい系なの?と…。
「神崎ちゃん…あたしは…」
そう言った日奈子は、あたし達の顔を見て…。
「うん、やっぱりバンドはやらない」
「「「「日奈子(生徒会長)!?」」」」
あたしも正直驚いたよ~。
まさかこの流れでバンドやらないって言われるなんて思ってなかったし。
「あの~…もしかしてそれうちのせい?
うちがM&Sのドラマーになったから?月野さんはバンドやるなら、やっぱM&Sがいいみたいな?」
陽子ちゃんにそう言われてあたしはハッとした。
そもそも追い出されたって日奈子の誤解だった訳だし、真相がわかっちゃったら、やっぱり昔から一緒だった葉月ちゃん達とバンドやりたいのかも知れない。
「ううん、それは関係無いよ。
葉月ちゃん達はあたしを追い出した訳じゃないというよはよくわかったよ。だけど、葉月ちゃん達は悩んで悩んで、あたしがM&Sにいらないと思ったのは事実な訳だし」
「うっ…そ、そんな風に言われると…」
「そして、自分達の作った曲と歌詞で、いっぱいライブをやりたい。って、あたしの気持ちを想っての事だったっていうのもわかってるつもり」
「生徒会長…そんなら何で?結局、M&Sじゃなくなったからもうバンドはやりたくないって事か?」
「あたしはね。身体は小さいけど器量は大きいつもりなの。でも、今回の事だけは怒ってるの。もうぷんすこだよぷんすこ」
自分で身体は小さいって認めてるんだ?
って言おうかと思ったけど、空気を読んで止めておいた。
「だから葉月ちゃん達がひとつお願い事を聞いてくれるなら、バンドをもう1度やるって事を考えてみようと思う」
「私らにお願い事?」
「聞くよ!日奈子のお願い事なら!そんなどぎつい事じゃなければだけど…」
「わ、私も、それでもっかい日奈子がバンドやってくれるんなら…」
日奈子のお願い事って何だろう?
でも、もう1度M&Sでバンドをやりたいからっていう理由じゃなくて良かった。
「さっき日登美ちゃん言ってたよね?あたしがM&Sの時はポップス系のロックだったけど、陽子ちゃん?だったかな?
新しいドラマーの子が入ってから、ジャズ系のバンドになったって」
「う、うん。難しいってのはロックもジャズも一緒やけど、私達の音楽にはジャズの方が合ってたから…。葉月はまだロックやりたいって言ってるけど…」
「うん、それでジャズ系の音楽やり出してからは、曲作りもしたりしてんだよね?」
「いや、曲作りって言ってもお遊びみたいなもんやけど…」
「うんうん。ジャズもいいけど、やっぱりロックが好きだし、あたしはバンドやるならロックでやりたい」
日奈子がやりたいのはロックか~。
あたしもどっちかというと歌いやすいのはポップスよりロックかな?BREEZEもロックやしあたし達もジャンルはロックの方がええね。とか、日奈子の話を聞きながら、あたしも真面目に音楽の事考えたりしてたんだよ?という余談。
「あたしはあたしでバンドを頑張る。
だから、いつかあたしのバンドとM&Sでデュエルギグをやりたい」
「「「デュエルギグ!?日奈子のバンドと!?」」」
「あたしがM&Sじゃなくなって良かったって。
葉月ちゃん達とバンドやらなくて良かったって。
葉月ちゃん達は葉月ちゃん達のバンドで。
あたしはあたしのバンドで。
お互いがお互いの好きな音楽を頑張って良かったって思えるようにしてほしい。そしたら、あたしもバンドまた楽しんでやれると思うから。それがあたしのお願いだよ」
「日奈子…」
「うん…わかった。約束する」
「うん!日奈子、デュエルギグ絶対やろう!」
「あはは、そやな。うちらの…今のM&Sでちゃんと曲作って、そんでいつかデュエルやろね」
「うん、ありがとう。だったら約束だもんね。あたしもデュエルギグ出来るように、もっかいドラムを…バンドをやる!!」
日奈子…。
良かった。日奈子はまだあたしとバンドをやるって言ってくれた訳じゃないけど、葉月ちゃん達との誤解も解けて仲直りして…本当に良かった。
「良かったね、翔子」
「ぶん…ぼぉんどによがっだ…ながなおでぃ…でぎで…グスッ」
え?確かに感動的に纏まったぁ。って思ったけど、翔子は何でこんなガチ泣きしてんの…?
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そしてあたし達は、葉月ちゃん達と別れて地元に帰って来た。
地元までの道中はバンドの話は誰もする事がなく、ただ無言だった。
あたしは日奈子にもう1度『バンドやろうぜ!』って言いたかったけど、バンドをやると決めた日奈子にそれを言うのは何か空気読めてないかな?と、さらにコミュ障を拗らせたような事を考えていた。
「木原ちゃん、神崎ちゃん。
今日はありがとう。何かモヤモヤ~ってしてたものが晴れた気がするよ」
「そっか。日奈子がそう思ってくれてるなら良かった」
「ま、余計なお世話にならなくてあたしも良かったよ。それよりさ、生徒会長。
お前バンドやるんだろ?生徒会長のドラム聴いた事ないけどさ、梓は一緒に…」
「待って神崎ちゃん」
「生徒会長?」
「木原ちゃんから聞いたんだけど、木原ちゃんと神崎ちゃんのバンドは、エクストリームジャパンフェスで優勝する事を目標にバンドをやってるの?それ本気なの?」
「ん?梓がもう話したのか?
あたしももちろん本気だぜ?エクストリームジャパンフェスで優勝して、メジャーデビューをする。
梓は今ん所はメジャーデビューは、エクストリームジャパンフェスの副産物って感じで考えてるみたいだけどな」
「そっか、神崎ちゃんも本気なんだね」
「ああ。あ、もちろんエクストリームジャパンフェスは目標だけど、メジャーデビューは生徒会長や瀬羽さんが嫌とか…他にも目標あんならそっちも追加しても…」
「瀬羽ちゃん?ありゃ?木原ちゃん、瀬羽ちゃんにもバンド断られてなかったっけ?」
「今のところはね」
「…まぁいいや。バンドってね。歌ったり楽器出来たらいい訳じゃないからね?
歌詞や曲を作ったり、スタジオの練習やライブの予約とかしたり、ライブハウスの人とコミュニケーションとか取ったり、ライブ決まったら広報として宣伝したりしなきゃいけないし、企画や演出も考えなきゃいけない。
そしてスタジオの練習代やライブでの収支とか計算したり、対バンするならスケジュール調整も必要になるよ?」
「…すまん、生徒会長」
「ごめんね、日奈子」
「「悪いんだけど日本語でもう1回よろしく」」
「ほぼ日本語だったよ!?」
そういやそうだよね。
あたしも翔子もまだおっちゃんの家で練習してただけだったから失念してたけど、本格的にバンドやっていくなら曲作りもライブの日の調整も、お金の管理や宣伝も大切だもんね。
「ふぅ、ならあたしが決めちゃうね」
「「決めちゃう?」」
「木原ちゃんがバンマスでボーカルでしょ?だから、木原ちゃんが作詞と作曲を担当して?」
「あたしが作詞と作曲!?
ま、まぁ…お母さんも作詞してたし、あたしも自分で作詞して歌いたいとは思ってたけど…作曲もか…」
「そんで神崎ちゃんが、スタジオの予約やライブハウスの人とのコミュニケーションとか。葉月ちゃん達ともすぐに仲良くなってたし、コミュ力も高そうだし」
「いや、コミュ力は梓より高いとは思うけど…。まぁ、確かにそういうのも大切な仕事だし、あたしも自分で適所だとは思うけど…」
「そしてあたしはホームページとかも作れるし、広報とかやるよ。ついでに企画とかもホームページに載せたいからそっちもあたしがやっちゃうね(ニヤリ」
「せ、生徒会長…お前、それって…」
「日奈子が広報的な事…やってくれるの?」
何かすっごい悪魔的な笑顔をしてたけど…。
「あとは瀬羽ちゃんが、収支計算とかスケジュール調整とかしてくれたら完璧かな?」
「「日奈子(生徒会長)」」
「あたしはM&Sとデュエルやりたい。ライブをいっぱいやりたいって思ってる。
木原ちゃんもBREEZEだっけ?と、デュエルしたいんでしょ?それにライブは2人共いっぱいやりたいんだと思ってるし。
あ、あたしもせっかくもう1度バンドやるなら、楽しんで面白くしていきたいし、それならエクストリームジャパンフェスで優勝を目指してみるのも楽しそうだと思うし」
そして日奈子はジッとあたしと翔子を見つめて…
「だ、だからね、木は…。
梓ちゃん、翔子ちゃん。バンド…バンドやろうぜ!」
「日奈子…!うん!やろう!」
「生徒会長…いや、日奈子。これからよろしくな」
そうしてその日、あたしと翔子のバンドに、日奈子がドラマーとして参加する事になった。