バンやろ外伝 -another gig-   作:高瀬あきと

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第48話 ドラマーvsドラマー

「って訳で!あたしは秋葉原に行きたいの!何か問題ある!?」

 

「いや、問題大有りでしょ」

 

あたし達Artemisは、10月23日にBREEZEとデュエルギグをする為に、新幹線に乗って関東へと向かっていた。

 

「てかさ、日奈子。私達はエクストリームジャパンフェスを目指すバンドマンだよ?やっぱりバンドマンの聖地!武道館を見に行きたいでしょ!」

 

「別に」

 

「え?あれ?武道館…生で見たくない?」

 

「別に?あたし達はいつか武道館でもライブすると思ってるし。別に今見に行かなくてもいいと思ってるよ」

 

「日奈子は自信満々だねぇ。でも、梓と翔子は武道館見に行きたいでしょ?」

 

「あ?別に?あたしは原宿行って色んな服見てまわりたいなぁっての思ってるけど。な?梓も別に武道館とかどうでもいいよな?」

 

「うん、あたしにとって聖地は大阪城ホールやし。てか、原宿も秋葉原もどうでもいいよ?あたしは池袋に行きたい。乙女ロードに足を踏み入れる日をどれだけ待ち望んだ事か…」

 

「せっかく前日入りするんだから秋葉原行くべきでしょ!」

 

「日奈子も翔子も梓も何言ってんの!絶対武道館!」

 

「あたしは原宿がいいって…。明日のライブ衣装もせっかくだからって原宿の店で仕立ててもらったじゃん。受け取りも行かなきゃだしさ?」

 

「池袋!乙女ロードって言ってるでしょ!これもうアレだから。Artemisのリーダーとしての命令だから!」

 

あたし達はせっかく前日入りしたんだからと、10月22日は東京観光をすることにしていた。

 

だけど、あたし達4人の行きたい所は一致することはなく、どこに観光に行くか揉めるに揉めていた。

 

「わかったよ。梓ちゃん…」

 

「日奈子!わかってくれた!?」

 

「梓ちゃんは池袋。あたしは秋葉原にしよう。

そして翔子ちゃんが原宿に行って…」

 

「あ?日奈子、お前まさか今日はみんな別行動にするつもりか?」

 

「…ハァ、バンドを志す者として梓達も武道館に…」

 

「澄香ちゃんは梓ちゃんと一緒に池袋ね」

 

「は!?何で!?」

 

「梓ちゃんが1人で池袋に行ってホテルに戻れるとおもう?明日にはライブがあるんだよ?」

 

「え?あたし1人でも大丈夫だよ?」

 

「確かに…梓1人じゃ改札から出ることも出来ないと思う…けど…」

 

「え?澄香は武道館行ったらいいやん。あたしは池袋行くし」

 

「澄香、諦めろ…。ボーカル無しじゃライブも出来ないしな」

 

「え?だからあたしは大丈夫だって」

 

「で、でもさ!それなら翔子か日奈子が一緒でもいいやんか!私が諦める必要は…」

 

「澄香ちゃんは梓ちゃんの親友でしょ!」

 

「何その理屈!た、確かに梓の事は親友やって思ってるけど…」

 

「澄香…(トゥンク」

 

「ごめん、梓。ときめくのは止めて。

てか、それで言ったら翔子も日奈子も梓の親友ちゃうん!?」

 

「梓ちゃんの事は親友だし大事なバンドメンバーだと思ってるよ?でもね、あたしが秋葉原に行きたいのは梓ちゃんが将来必要になるだろうパーツを買いに行く為なの。それに翔子ちゃんはあたし達の衣装を引き取りに行くのを兼ねての原宿でしょ?」

 

「う…そ、そう言われると…。で、でもそれなら梓が池袋我慢して私と武道館行くとか…」

 

「絶対嫌ですね。あたしは池袋に行きます」

 

「ほらね」

 

「ハァ…わかったよ。私の負け。

梓と一緒に池袋行けばいいんやろ?てか、日奈子の梓が将来必要になるだろう物ってなんなん?」

 

「サイコフレームとNジャマーキャンセラーだよ」

 

「……何?日奈子は梓と将来宇宙戦争でもやるつもりなの?」

 

そうしてあたしと澄香は池袋に向かう事になり、日奈子は秋葉原、翔子は原宿へと向かう事になった。

 

ここからは別行動しちゃったから、あたしも聞いた話になるんだけど、みんな各々BREEZEのメンバーとエンカウントしちゃってね。

 

まずは日奈子と三咲ちゃんから聞いた話からしようかな。

 

 

 

 

日奈子は秋葉原に到着し、事前に調べていたパーツ屋を回る事にワクテカしていたという。

 

「ここが…聖地秋葉原。ここならあたしの求めるひとつなぎの大秘宝(ワンピース)が見つかるかもしれない…」

 

そうして1軒1軒パーツ屋を回り、関西では手に入らないパーツはないかとか色々な物を探していたみたい。

 

一方その頃同じ時間に、BREEZEの英治くんと、英治くんの彼女である三咲ちゃんも秋葉原に来ていた。

 

「んっだよもー!何で俺がタカのパソコンを買ってやらなきゃなんねーんだよ!」

 

「いやいやいや、英治くんがタカくんのパソコンで勝手にえっちぃサイトを見ようとして、ウイルスに引っ掛かってクラッシュさせちゃったからでしょ?買ってやるって言うかただの弁償だよね」

 

英治くんと三咲ちゃんは、英治くんが壊してしまったタカくんのパソコンを弁償する為に、秋葉原に新しいパソコンを探しに来たようだった。

 

「それにしても秋葉原っていいな。盲点だったぜ。可愛いメイドさんがいっぱい居るじゃねぇか」

 

「うん、そしてそのお店に入って店員のメイドさんをナンパしたりしないように私が今回着いて来たんだけどね」

 

「…ん?あの子」

 

「って英治くん!言った側から!

またナンパする気!?彼女の私がこんな近くにいるのに!!可愛い女の子に罪はないから英治くんが血を見る事になるんだからね!」

 

「あ?ちげぇよ。三咲、お前も見てみろって」

 

「私には何も見えない!そして次に英治くんが見るのは病室の天井だよ!また入院だね!おめでとう!!」

 

「だから違うって!マジで!ってかその拳を収めて下さい。あそこに秋葉原に似つかわしくない幼女が1人で居るんだって!迷子かもしれないだろ!!」

 

「え?迷子?」

 

-バキッ

 

「痛い!!」

 

「あ、ごめん。迷子って聞いて手を緩めたつもりなんだけど…。ちゃんと寸止めにしたし」

 

「え?今の衝撃波なの?衝撃波であの威力なの?」

 

英治くんがその時見つけた迷子の幼女ってのは日奈子の事だったんだけど…。

 

「まぁ、いいや。今は顔面の痛みより迷子の幼女の方が大事だぜ」

 

「え?迷子の幼女って…あの子?あの子は違うよ。明日デュエルやるArtemisの…」

 

三咲ちゃんはあたしとも澄香ともメールのやり取りをしていたし、日奈子の事は話していたしあたし達の写真も送った事がある。

だから日奈子の事は知っていたんだけど、当時の英治くんは知らなかったみたい。

 

ちなみに三咲ちゃんからもBREEZEとあたし達の対バンの件を話してくれていた。

だけど、タカくんには『負け無しのバンドと対バンとか怖いから嫌だ』、トシキくんには『大阪に行くのも来てもらうのも…』、拓斗くんには『めんどくせぇ』、英治くんには『へぇ、女の子のバンドか?ちなみにそのバンドに可愛い子。俺好みの子はいるのか?』とか言われて説得出来なかったらしい。

 

「おーい!そこの幼女ちゃん!」

 

「だから!英治くん!あの子は違うって!」

 

「三咲、バカ野郎!幼女が1人で親と離れてこんな所に居るんだぞ!俺たち大人がしっかり保護してやらねぇとダメだろうがっ!」

 

三咲ちゃんはそんな真面目な英治くんを見て、幼女を助けたいという英治くんの優しさを受けて、メロメロになっちゃって思考が停止したらしい。

 

「英治くん…!(ああ、なんてかっこ良くて優しいの…!もう好き!大好き!!)」

 

「って訳で、そこの10年後が楽しみな幼女ちゃ~ん!」

 

「だから、英治くん…!」

 

英治くんは三咲ちゃんの話も聞かず日奈子に突撃して行った。

 

「おい、そこの幼女ちゃん」

 

「ん~…これは…仮面?うーん…血を垂らしたら何か突起物出てきた…?うん、この仮面を被りながら血を着けたら…ああ、やっぱ何か脳に影響ありそうだし使えないか。…これは…」

 

「おい!幼女ちゃん!聞いてくれ!」

 

「これは…核パルスエンジン…だよね?うーん、これがあれば、モビルスーツの量産化…いや、それ以上の…」

 

「幼女ちゃん!」

 

「うわっ!びっくりした…!幼女…?幼女って…」

 

「大丈夫かい?」

 

「(キョロキョロ)幼女ってもしかしてあたしの事?」

 

「もちろんさ幼女ちゃん」

 

「あ"?」

 

英治くんは日奈子の事を幼女が迷子になってると思って声を掛けたんだけど…

 

「誰が幼女やねん…。ん?もしかして…ああ、あたし見た目こうだもんね。いい?あたしな幼女じゃないの。れっきとした女子高生なの。ぴちぴちなの」

 

「幼女ちゃん、気持ちはわかるぞ。子供扱いされたくないんだろう?でも、10年後にまた再会しよう」

 

「あ"?」

 

英治くんは日奈子の事を幼女として疑っていなかった。

 

「英治くん!その子は違うって!その子はArtemisの!」

 

「あん?あるてみす?…Artemisって明日デュエルやる…」

 

「え?あたしの事知ってる…?あ、あ!BREEZEのEIJIちゃんだ!」

 

三咲ちゃんのおかげで日奈子はArtemisのメンバーである事を認識してくれた。

そしてそれと同時に、日奈子はあたしと澄香にBREEZEの事を色々と教えられていたから、そのついでにアー写などを見ながら悶えるあたしと澄香を見ていたから、日奈子は声を掛けてきてきた人が英治くんだとわかったらしい。

 

「こ、この幼女が…Artemisのメンバー…だと…」

 

「幼女幼女うるさいなぁ…」

 

「そうだよ!月野 日奈子ちゃん!英治くんと同じドラマーの女の子だよ!」

 

「う、うぅ…うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!」

 

英治くんは突然泣き出したらしい。

 

「そんな…バカな…!グスッ…なんで!なんでなんだ!グスン、せっかく!せっかくガールズバンドとデュエルだと…グスッ…ガールズバンドとデュエルと思っていたのに!それが…こんな幼女とだと!?グスン」

 

「あ"?」

 

「へぇ、英治くんはガールズバンドとデュエル出来るって喜んでたんだ?」

 

「あったり前だろうがっ!グスッ…もし可愛い女の子が居たらどうしようとか!タカにバレないようにどう声掛けようとかよっ!」

 

「ねぇ、お姉さんこいつの彼女なんだよね?こいつ何言ってんの?」

 

「そうだね。うふふ。

こいつ彼女である私の前で何言ってんだろうね?あ、日奈子ちゃんは何でこんな所に?明日デュエルあるから前乗りかな?あ、色々聞きたい事あるんだけどちょっと待っててくれる?」

 

「え?」

 

「ほら、英治くん、ここじゃちょっとアレだからあっちいこ」

 

「離せよ三咲!俺は、俺は今、明日の楽しみを奪われて…」

 

「いいから。いいから、ちょっとこっち来いってんだよ」

 

「え?三咲?三咲さん?何か怒ってる?え?三咲様?引っ張る力強くないですか?服が破れちゃいそ…待って!謝るから!謝るから待って!痛い!めちゃくちゃ痛いんだけど!」

 

英治くんはそのまま三咲ちゃんに引き摺られて、裏路地に入っていったらしい。

そして、裏路地から戻ってきた英治くんの顔はボコボコに腫れ上がっていたらしい…。

 

「ごめんね、日奈子ちゃん。お待たせしちゃったね」

 

「いや、それはいいんだけど…」

 

その後、日奈子と英治くんと三咲ちゃんは、日奈子のアドバイスの元、タカくんのパソコンを買い、そして、一緒にお昼ご飯を兼ねたお茶をしていたらしい。

メイド喫茶で…。羨ましい…。

 

「そっか、それで三咲ちゃんはあたしの事知ってたんだね」

 

「うん、明日は久しぶりに梓ちゃんと澄香ちゃんに会えるし、私も楽しみにしてたんだよ~」

 

「まぁ、梓ちゃんと澄香ちゃんは池袋行っちゃったんだけどね」

 

「池袋かぁ。タカくんも今日は池袋行くって言ってたし、梓ちゃん達とエンカウントしてたりしてね!」

 

「え?ネタバレ?」

 

「ネタバレ?とは?」

 

「いや、いやいや、何でもないよ。それよりいいの?三咲ちゃんの彼氏さん、めちゃメイドさんをナンパしてるよ?」

 

「うん、あんまよくないけどね。あの腫れ上がった顔じゃナンパも成功しないでしょ。いつもの事だしね~」

 

「いつもの事って…よくそれで結婚したよね」

 

「へ?結婚?」

 

「いや、いやいや、何でもないよ。それよりそろそろ出よっか。あたしも買いたいのあるし」

 

メイド喫茶での話はそんな感じだったらしい。

これって日奈子から聞いたんだっけ?三咲ちゃんから聞いたんだっけ?

 

ま、それは今はいいか。

 

そして、3人がメイド喫茶を出た時の事。

 

 

-ドンドンドンドン!

 

 

やたらと煩いトラックが大通りを占拠していたみたいなの。

 

 

「ふはははは!俺様の名前は"ゴガツバエ"!クリムゾンミュージカルの唯一のドラマー様だ!」

 

そのトラックにはクリムゾンミュージカルのドラマーが居たらしい。

クリムゾンミュージカル。とても聞き間違いしそうな名前。

 

そう、皇紅蓮の率いるクリムゾンミュージックと。

 

「「クリムゾンミュージック!?」」

 

日奈子と三咲ちゃんも聞き間違えちゃったらしい。

 

「何だ?そこの女と幼女は俺様のクリムゾンミュージカルを知っているのか?」

 

「クリムゾンミュージック…。梓ちゃんのお父さんの居るクリムゾンエンターテイメントの親会社…」

 

「クリムゾンミュージック…。あの皇紅蓮の…。私達は外伝的なあれだし、絡む事はないと思っていたのに…」

 

まだクリムゾンミュージックとクリムゾンミュージカルを聞き間違えているようだった。

 

「ふははは!俺様は今、その辺にいる一般人とドラムデュエルをして5連勝中だぜ!俺様に勝てるドラマーなんてこの世に数人しかいないだろうなっ!」

 

「あいつ…あたしと同じドラマー?」

 

「その辺にいる一般人とドラムデュエル?それってどうなんだろう?」

 

「ふはははは!俺様の上にはたくさんの凄いドラマーがいるだろう!だがな!俺様の右に並ぶドラマーは絶対居ないぜ!」

 

「そんなすごいドラマーなの!?さすが…クリムゾンミュージックだよ!(ギリッ」

 

「右に並ぶドラマーな居ないって…!うちの英治くんもすごいドラマーなんだからっ!」

 

2人の勘違いはとどまる所を知らなかった。

 

上にはたくさんの凄いドラマーが居るけど、右に並ぶドラマーは居ないって、自分が一番下手だって言ってるようなもんなのにね。

 

だけど、当時の日奈子と三咲ちゃんは"クリムゾンミュージック"の名前に恐怖を感じていた。

 

「さぁどうする?俺様はまだまだドラムをやれるぜ!他に居ねぇのか!ドラムをやってみたいって程度の一般人はよ!?」

 

「あたし…ドラムをあんな事に使ってるあいつキライ。あたしがデュエルしてくる!」

 

「ダメだよ、日奈子ちゃん!明日はBREEZEとのデュエルだよ!?もし、ここで負けちゃったりしたら!」

 

クリムゾングループのバンドマンと、クリムゾングループ以外のバンドマン。

そんなふたつのバンドがデュエルをしたら血の雨が降る事になる。

だって、バンドやろうぜ!のデュエルゲームで負けたら服とかボロボロになってたし。

 

それにデュエルで負けたバンドはもうバンドをやれなくなる。そんな設定があった。

 

「三咲ちゃん…。もしあたしが負けちゃったらさ。明日Artemisのみんなに…」

 

「嫌だよ!私そんなの嫌だよ日奈子ちゃん!」

 

日奈子も負けたとしてもホテル戻ってきた時にあたし達に話してくれたら良かっただけなのにね。

 

「ぼばえらは、ぞどいぼぞどっでババなのヴァ?」

 

日奈子と三咲ちゃんが茶番を繰り広げていると、久しぶりに英治くんが会話に入ってきた。

 

「ヴァいづのバナじ…」

 

「こいつ何言ってるの?顔が腫れ上がってて何言ってるのかわからないんだけど?」

 

「うぅん、そうだね。私が何とか解読してみるよ!愛の力で!」

 

その時、日奈子は愛の力って大した事ないんだな。

と思ったらしい。だからいい歳して日奈子も見た目あれだけどまだ結婚出来てないんだよ。

あ、これブーメランだわ。

 

「………」

 

「うん、うん。なるほどなるほど。わかったよ」

 

「え?わかったの?」

 

「あのなぁ?お前らバカだろ?あいつが言ってんのはクリムゾンミュージカル。クリムゾンミュージックじゃねぇよ。だって」

 

「………」

 

「うん、うんうん。え?」

 

「クリムゾンミュージカル?…クリムゾンミュージックじゃないのか。それで?英治ちゃんは何て?」

 

「文字数の無駄だしこんな雑魚はサッサとやっちまって帰るぞ。顔を冷やしたいしな。だって」

 

「やっつける!?」

 

「……」

 

「ほむほむ、なるほど。

ちびっ子お前もドラムやってんだろ?ここはひとつどうだ?あいつのトラックにはあいつのドラムを含めて3セット。俺とお前とあいつの3人でデュエルしようぜ。だって」

 

「え?今のセリフそんな長かった?」

 

「何だ?お前ら俺様とドラムデュエルやるつもりなのか!?面白い!」

 

「……」

 

「あいつがバカで助かったな。よし、Artemisの日奈子っていったっけか?お前、俺とドラムデュエルする気はあるかよ?だって」

 

「それ本当に英治ちゃんが言ってる?長くない?でもまぁ、ドラムデュエル…やる気はあるよ」

 

「…」

 

「よぉし、言ったな?……ここだけの話、三咲には内緒だけどな。お前、あれだ。俺とこのデュエルで負けたらよ。お前の学校の女の子4人程紹介しろよ。ご、合コンってやつだ!な!?いるだろ!?可愛い女の子!俺らはBREEZEのメンバー4人で参加するからよ!だって。え?これを私に通訳させるって英治くん正気?」

 

「は?合コン…?

………うん、いいよ。あたしの学校の女の子4人だよね?紹介してあげる。ただし、あたしに勝てたらだよ?」

 

「…」

 

「うひょぉぉぉぉぉ!マジでか!よっしゃ!やる気めちゃくちゃ出て来たぜ!だって。え?私、一応英治くんの彼女だよ?2人共わかってる?」

 

そんな三咲ちゃんの訴えは虚しく、2人には聞き流されていた。

 

今から英治くんと日奈子、そしてクリムゾンミュージカルのドラマーの3人でのデュエルが始まろうとしていた。

 

英治くんが勝ったら日奈子は学校の女の子をBREEZEの4人に紹介する。

そして日奈子は『そのかわりあたしが勝ったらBREEZEはあたしの企画ライブには絶対に参加する事。この条件でいい?』と、とんでもない条件を提示していた。

 

「ふははは!お前ら2人で俺様に挑んでくるとはな!よほど俺様が…」

 

「うるっさい!お前なんか眼中にないの!」

 

「うるっせぇんだよ!外野は黙ってろ!」

 

「え?外野…?」

 

いつの間にか普通に喋れるようになってた英治くん。

 

そして、2人プラス外野の3人のドラムデュエルが始まった。

 

ちなみに三咲ちゃんは相手は腐ってもクリムゾングループのミュージシャンだから、タカくんの承諾なしに勝手にデュエルなんかしていいのかと心配していたらしいけど、『合コンの為だ』と一蹴されたらしい。

 

後日、英治くんはタカくんと三咲ちゃんにしばかれる事になる。

 

♪~

♪♪~

♪♪♪~

 

「な、何なんだよ…お前ら…し、素人じゃねぇだろ!?」

 

「うっさい!集中してんだから話かけないで!!(このクリムゾンのヤツは下手っぴとしても…英治ちゃんのドラム…本気でやらなきゃ負けちゃいそう…)」

 

「外野は黙ってろ!つったろが!しばくぞ!(マジでか!?このちびっ子、こんなスゲェ音出せんのかよ!さっきから着いて行くのに必死だぜ!)」

 

日奈子は"学校の女の子を4人"という話だったから、あたし達Artemisのメンバーを改めて紹介したらいいや。

BREEZEとの合コンだったら、タカちゃんも来るだろうし梓ちゃんと澄香ちゃんには感謝されるかも~。

 

って事で、翌日のデュエルの為に手の内は隠そうとしていた。

だけど、いつの間にか英治くんのドラムの音に引っ張られて、本気でドラムを叩いていたらしい。

 

そして…

 

「ハァ…ハァ…クソっ!負けちまった…!」

 

「ふっふっふぅ~。あたしの大勝利!」

 

デュエルは日奈子の勝ちで幕を閉じた。

 

クリムゾンミュージカルのドラマーは、デュエルが終わった後、恥ずかしそうにこっそりと帰って行ったらしい。

 

「あ、あはは、2人共お疲れ様…。あの人帰ってしまったけど…」

 

「クソ!負けは負けだ!日奈子…だっけか?

お前が企画したライブには俺らBREEZEは絶対参加してやるよ!」

 

英治くんはその時は、企画ライブって言ってもただの楽しいライブだろ。と、日和った事を考えていた。

この時の約束のせいで、何度も死にかける事になるんだけど…。

 

「ま、英治ちゃんもなかなか良かったよ。あたしの企画ライブには絶対参加してもらうからね」

 

「あ?ああ…約束は約束だからな」

 

「よし!潔い英治ちゃんには特別だよ!

さっきのあたしの学校の女の子4人を紹介してあげるってやつ。あたしの勝ちだけど紹介してあげる」

 

「ほ、本当か!?」

 

「うん!本当だよ(ニタァ」

 

その時日奈子は、英治くんには飴も与えておけば、企画ライブが危険性があっても参加せざるを得ないだろう。

と考え、あたしと澄香にタカくんと合コンさせてあげるという貸しを作れると考えたらしい。

 

実際、あたしも澄香も英治くんも、この日から日奈子の手のひらの上で踊る事になる。

 

 

 

 

「なんて事があってね。その日、日奈子は英治くんとデュエルしたんだよ」

 

「あっはっはっは、梓お姉ちゃん作り話上手すぎ!」

 

「え?作り話じゃないよ?な、何でそう思ったの…?」

 

なっちゃんに作り話と言われてしまった。

日奈子と三咲ちゃんから聞いた話をそのまま伝えたのに。

 

「だって、あるわけないじゃん!」

 

え?何が?何か変な所あったかな?

 

「英治さんや日奈子お姉ちゃんの話が本当だとしても、三咲さんの性格がおかしすぎるよ。あんな上品で清楚なお姉さんなのに!」

 

え?三咲ちゃん…?

あ、そういえば晴香ちゃんとこないだお茶した時に、三咲ちゃんに子供が…初音ちゃんが産まれてから、人格を整形されたかの如く性格が変わったって言ってたっけ?

 

三咲ちゃんと2人でお茶した時は昔のまんまだったけど。

 

「ダメだよ、梓お姉ちゃん。

三咲さんは私達も会った事あるし、そんな変な人じゃないの知ってるんだから」

 

……三咲ちゃん、みんなの前ではどんだけ猫をかぶってるの?

 

「それで?日奈子お姉ちゃんが英治さんに会ったって事は、梓お姉ちゃんと澄香お姉ちゃんか、翔子お姉ちゃんが、先輩かトシキさんか拓斗さんと会ったって事だよね?」

 

「う、うん、まぁ…」

 

「それで次は誰のお話?」

 

「そう…だね…」

 

うん、このままあたしが混乱してたんじゃ話が進まない…。三咲ちゃんの事は今は考えないでおこう。

 

「そだね、次は翔子が原宿行った時の…翔子と拓斗くんから聞いたお話をしようか」

 

「へぇ、翔子お姉ちゃんは拓斗さんと会ったんだ?」

 

そうしてあたしの昔語りは続く。

 

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