もう少しであたし達のお話も終わり。
今回のお話はあたしが澄香と翔子と日奈子に聞いたお話を織り交ぜながら話そうと思う。
あたしと翔子は無事に関東に辿り着き、まぁ新幹線だから無事に着くのは着くんだけど。
東京駅であたし達は別れ、各々の道へと歩んだ。
かっこいい言い回しを考えたつもりだったけど、あたしも翔子も、東京駅で降りるより品川駅で降りた方が目的地には近かった。
今回も…。
そうだなぁ。あたしか翔子の話から始めた方がいいとは思うけど、日奈子の話からにしよっか。
時系列的には日奈子の話が最初だろうし。
ここからは日奈子の視点でお話するね。
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「んしょ、んしょ…。ふぅ!朝のお仕事終わり!ちょっと休憩しよっかな」
あたし、月野 日奈子はいつものようにお婆ちゃんのやっている神社のバイトをしていた。
あたしがバイトをしている神社は夏祭りや年末年始は、町の人や村の人が来てくれるから忙しいけど、普段は暇な日の方が多かった。
だけど、
「わぁ、英治くん!恋愛成就のゴールドお守りだって!9,800円!これ買って私にプレゼントして!」
「三咲、お前の彼氏は俺だろ?もう恋愛は成就してるじゃないか。お前にこれは必要ないだろ?」
「え?いや、今の彼氏が浮気とかナンパしてばっかりで、私はまだこれからなのかも?って思ってるしさ。恋愛成就のお守り持って素敵な人と出会いたいなぁって思って」
「三咲…。冗談…だよな?」
「それより日奈子ちゃんどこだろ?今日はバイトって聞いてたのに」
「三咲…あの、三咲さん?さっきの冗談ですよね?」
そこには何故か英治ちゃんと三咲ちゃんが居た。
「何で英治ちゃんと三咲ちゃんが
「あ、日奈子ちゃん見っけ~」
「三咲!お願い!!俺の問いに答えて!」
「いやいや、英治ちゃんこそあたしの問いに答えてよ。あたしこれでもビックリしてるし」
「黙れ日奈子!今、俺はいっぱいいっぱいなんだよ!」
「英治くん、今いっぱいいっぱいらしいし、日奈子ちゃんのその問いには私が答えるよ。昨日のArtemisのデュエルギグをね、私と英治くんとで見に来たの」
「あ、そうだったんだ?そっか、昨日の…」
「そうそう。せっかく関西まで見に来たってのに何だよ昨日のライブ」
「英治ちゃん…」
「ま、いつものArtemisらしくなかったよね。BREEZEが、タカくんがあんな事になっちゃって心配とかもあったんだろうけど」
「三咲ちゃん…。タカちゃんって…大丈夫なの?」
「うん、全然大丈夫だよ。まぁ、声は出しにくいみたいだけど、今はまだ手術する程じゃないしね」
タカちゃんの喉はクリムゾンとの長い闘い、無茶な歌い方やライブとかし過ぎちゃったせいで喉にダメージを受けていた。
だけど、本人が言うには『酒焼けとタバコのせいじゃね?』とか言っていた。
だったらお酒もタバコも辞めたらいいのに…。って、
「ま、それでよ。俺達BREEZEは解散する事にした。ドリーミン・ギグの後に…って話だったけど、参加は出来なかったがドリーミン・ギグも終わったしな」
BREEZEの解散…。きっと解散しちゃうんだと思ってたけど。
「…解散ライブとかは?」
「する予定はねぇな」
「…やだよ。あんなのがBREEZEの最期のライブだなんて…つまんないよ」
「おう。俺もそう思ってる」
「!?…だ、だったら!」
「でも、もう終わりだ。だからよ、BREEZEのEIJIとして最期のデュエルをよ、お前に申し込みに今日は来たんだ」
「最期の…?」
「BREEZEとしてはお前に勝った事はあるが、ドラマーとしては勝った事ねぇしよ」
「ドラマーとしては…って、あたしと英治ちゃんでまともにデュエルしたのって…」
「そうだな。デュエルしようぜって、デュエルすんのは初めて会った時以来かもな。何度かデュエルっぽい事はしてたけどよ」
「日奈子ちゃん、お願い、英治くんとデュエルしてあげて」
「わかった。やるよ英治ちゃん、結局…英治ちゃんの最期のデュエルは負けで終わるんだろうけど…」
あたしは英治ちゃんからのデュエルの申し出を受ける事にした。だって、もしここで断っちゃったら、もう英治ちゃんとドラムを一緒に叩けなくなるかもしれないから…。
「いくよ!英治ちゃん!」
「おう!いくぜ日奈子!!」
そうして、あたし達は最期のデュエルを開始した。
♪~
♪♪~
♪♪♪~
「ハァ…ハァ、ハァ…ど、どうだ三咲!さっきのデュエルは俺の勝ちだろ!?」
「いや…どう贔屓目に見ても日奈子ちゃんの勝ちでしょ?何で英治くんは勝てたと思ったの…?」
「んっっっだよ!もぉぉぉぉ!!俺と日奈子のラストデュエルギグじゃん!ちょっと贔屓目に見て俺の勝ちでもいいじゃん!最期くらい…」
「そうだよ、三咲ちゃん」
「「ん?日奈子(ちゃん?)」」
これが英治ちゃんの最期のドラム。
あたしは英治ちゃんに花を持たせても良かった。いや、今まで英治ちゃんにはお世話になってたもん。
最期のデュエルギグくらい英治ちゃんの勝ちで終わらせてあげたら良かったんだよ。
「今のデュエルは…英治ちゃんの…グスッ…英治ちゃんの勝ち…だ…よ…う、うぅぅ…」
「日奈子ちゃん!?どうしたの!?ちょっと落ち着いて!ほら、ヒッヒッフー、ヒッヒッフー」
「ひ、日奈子どうした!?てか、三咲!それは落ち着かせる時の呼吸法じゃねぇ!」
あたしには英治ちゃんに花を持たせるなんて事、出来なかった。
英治ちゃんと最期のデュエルだもん。英治ちゃんと一緒にドラムやれるのは今日が最期なんだもん。
あたしはあたしの全力で英治ちゃんとデュエルしたかったから…。
「ぴぁぁぁぁぁ…うわぁぁぁぁん…」
「日奈子ちゃんが泣き出した!?」
「血も涙も通うはずがない日奈子から涙だと!?バカな!?」
「すぅぅぅぅぅ…」
「「あ、落ち着いた?深呼吸?」」
「ぴゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「「泣き出す為の息継ぎ!?」」
「イヤだイヤだイヤだイヤだイヤだ!英治ちゃんがドラム辞めちゃうのイヤだ!BREEZEが解散するのもイヤだ!あたしも辞める!ドラム辞める!!BREEZEが解散辞めてくれないとあたしもバンド辞めるもん!うわぁぁぁぁん!」
「日奈子!お前…!」
「英治くん、ダメ」
「三咲?」
「ダメだよ、英治くん」
「うわぁぁぁぁん!(ジタバタジタバタ」
あたしは癇癪を起こした子供のように泣きじゃくった。
バイト衣装の巫女服なのに、汚れる事も気にせずに神社の境内に寝そべってゴロゴロ転がりながら駄々をこねた。
こんな事言うの恥ずかしいんだけどね。
でも、その時のあたしは、こんなどうしようもない駄々をこねてでも、英治ちゃんにドラムを辞めてほしくなかったし、BREEZEも解散しないでほしかった。
「日奈子ちゃん、聞いて」
「三咲ちゃん?(ピタッ」
駄々をこねるあたしの側に三咲ちゃんが寄って来て、優しく声を掛けてくれた。
「BREEZEは解散する。
英治くんも…多分、デュエルギグをするのは最期かな」
「う、うぅ…イヤだ…イヤだイヤだイヤだイ…」
「日奈子ちゃん。聞いて」
「う?(ピタッ」
「BREEZEはね。役目を終えたんだよ」
「役目?」
「うん、役目。
トシキくんも、拓斗くんも、タカくんも、そこのアホも役目を終えたんだよ」
「え!?三咲!?何で俺だけそこのアホ呼ばわり!?」
「射手座のレガリア、矢沢さんが辿り着きたかった『音楽の先の世界』、そして大神さんがその辿り着く為の『式』を描いて、やっとタカくんが式を解いて『その道まで導いて』くれた」
「その話は…何となくわかってるけど…」
「タカくんのBREEZEの役目はね、そこまでで終わり。
その為にね、邪魔な足立を倒してくれたんだよ」
「音楽の先の世界…」
「うん、だから日奈子ちゃん達Artemisは、タカくんが 導いてくれた道を歩んでほしいよ」
矢沢さんや大神さんが辿り着きたかった『音楽の先の世界』。
矢沢さんも大神さんもそこには辿り着けなかった。でも、タカちゃんはその『音楽の先の世界』に、あたし達もBREEZEのみんなも、アルテミスの矢のみんなも導いてくれた。そこに辿り着く為の可能性をみんなに伝えて…。
「タカ…ちゃ…グスッ、でも、それで…タカちゃんが…」
「だがしかし!!」
「ふぇ?」
あたしがまた泣き出しそうになった時、三咲ちゃんは言った。
「英治くんは音楽は辞めないよ、もちろんドラムも」
「え?そ、それってどういう事?」
「英治くんの家にドラムを叩きに来てる子達いるでしょ?」
「う、うん。まどかちゃんと綾乃ちゃんだっけ?」
「そうそう。まどかちゃんと綾乃ちゃん!
2人共すっごく可愛いんだよね~。
でね、英治くんはこれからまどかちゃん達に本格的にドラムを教えてあげるんだって」
「ドラムを…?」
それから三咲ちゃんは、これからの英治ちゃんの夢、目標を話してくれた。そのお話はあたしにとっても、夢みたいな目標だった。
「まぁ、そういうこった。俺は学生の間の思い出ってつもりでバンドやってたしよ。だけど、ドラムはこれからもやってくつもりだぜ。まどかや綾乃の先生としてな」
「英治ちゃん…」
「俺の生徒達がよ、いつか俺を越えて日奈子をデュエルで倒してくれる。だから、お前はそん時まで誰にも負けんなよ」
英治ちゃんとあたしのデュエルは、ここで一旦幕を閉じた。
英治ちゃんとデュエルギグをするのは、この日が本当に終わりかもしれない。だけど、あたしがずっとドラムを続けている限り、英治ちゃんの意志を受け継いだドラマーとデュエルギグが出来るんだ。
あたしはその日を目標に改めてドラムを頑張ろうと決心した。
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それが英治くんと日奈子の最期のデュエル。
次は…時系列的にはあたしかな。
あたしは関東に辿り着き、拓斗くんにタカくんの居場所を聞いて、迷子になる訳にはいかないからタクシーでタカくんの元へと向かった。
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「タカくん、こんな所に居たんだ?」
「あ?梓?何でお前がここに居んの?昨日デュエルだったんじゃ…」
そこはまこっさんのやっていたラーメン屋『ふぁんとむ』の前の海岸。
まこっさんのラーメン屋も、ONLY BLOOD2代目の宿敵である足立をタカくんが倒した後、店を畳んだのだった。まぁ、クリムゾンエンターテイメントとの闘いの影響もあったんだけどね。
「『ふぁんとむ』、もう建物も取り壊されちゃったんだね」
「ああ、何か寂しい気持ちんなるよな。まだツケも全部払いきってなかったのに…」
タカくんは普通に喋る事が出来ていた。
まぁ、かなりのダメージはあっても、いきなり声が出なくなるなんて事はないとは思っていたけど…。
「
「そか。良かったな。てか、決勝リーグに参加する為の決勝戦って何かアレだな?」
「でもね、あたしダメだ。音楽は楽しいって思ってる。歌うのも楽しい。だけど、それだけになっちゃった」
「あ?お前、何言ってんだ?」
「あたしが…目標としたのはエクストリームジャパンフェスの優勝なんかじゃなかった。あたしは、ずっとタカくんの背中を追っかけてた。それがね、見えなくなっちゃって……ダメになっちゃった」
「…」
あたしはタカくんに『今』のあたしの気持ちを打ち明けた。
あたしがバンドを始めたきっかけはタカくん達のBREEZEを観たからだし、あたしの歌が上手くなったのはBREEZEにいつか勝ちたいと思ったからだから。
「梓、ちょっと歩くか」
「え?…う、うん」
あたしはそれ以上に何も言えないままタカくんの後ろを歩いていた。
「タカくん?どこまで歩くの?」
「ん?ああ、何て言うべきかなぁとか考えてたけど、あんま上手く伝える言葉が浮かばねぇわ」
そしてタカくんはあたしの方を向いて、ポケットから音楽プレイヤーを取り出した。
「タカくん?」
「ん?ああ、この音楽プレイヤーにはBREEZEの曲を録音しててよ」
「BREEZEの曲?」
「おお。梓もランダムスター持って来てんだろ?やろうぜ、デュエル」
「デュエル…?な、何言ってんの?今のタカくんとデュエルなんか出来る訳ないじゃん…」
「梓、真面目な話だ」
「いやいやいや、待って、あたしもさっきから真面目だよ!?こんな大事な場面であたしはふざけないよ!?」
「いつもふざけてんのは俺だ。だけど今日はマジだ」
「あ、いつもふざけてるって自覚あったんだ…」
けど、それって今から本気でデュエルするって事?
もう満足に歌う事も出来ないんだろうに…。
あたしは躊躇した。
今、あたしとデュエルしたって…。今のタカくんとデュエルして勝ったからって…。
「いくぜ、梓。『ヴァンパイア』!」
「え!?ちょっ…タカくん!?」
タカくんは音楽プレイヤーから『ヴァンパイア』をかけて歌い始めた。
あたしもそんなタカくんに連れて、ギターを取り出して歌ったんだけど…。
♪~
♪♪~
♪♪♪~
「うっ…グスッ…うぅ…ひっく…」
「~♪………ってお前、何泣いてんの?」
「だって…だって、全然…違うじゃん…ひっく…タカくん…全然…声出せて…ないじゃん…うぇぇぇぇ…ん」
タカくんの歌はこれまでと全然違っていた。
『ヴァンパイア』は確かにBREEZEの曲の中では、高低差が高くて歌いにくい曲だったけど、その時のタカくんは高音も低音も出せなくなっていた。
「まぁ、まだちくっと喉に違和感あるしな。俺も自分で歌ってて、ここまで声が出なくなってるとは思ってなかったけどな」
「うぇぇぇん…こんなの…こんなのって…ないよぉ…うぇぇぇん…」
「でも、まぁ、お前が歌うの止めちまったし、このデュエルは俺の勝ちだな」
「……は?タカくんは何を言ってるの?」
「いや、だって、歌い続けてたらお前の勝ちだったかもだけど、歌ったの止めちまったらお前の負けだろ?」
確かに…デュエルとしては、歌うのを途中で止めてしまったあたしの負けという事になる。
声が上手く出せなくなったとはいえ、タカくんは楽しそうにいつものように歌っていたんだから。
「そ、それでもさ!あたしは…」
「せっかく俺に勝てるチャンスだったのにな?喉を痛めてるというのに、一応有名であるArtemisのボーカル梓に勝ってしまうとは…。怖い、俺は自分の音楽の才が怖い…」
「だ、だから、あたしは…」
「あ?負けが納得いかねぇのか?だったら次でキメてやるよ。俺もレガリア使うからよ、お前もレガリア使って本気で来いよ?」
「え?レガリア…?」
「『Future』」
タカくんはそう言って『Future』を歌い出した。
それもレガリアを使って…。
あ~もう言っちゃってもいいかな。
あたしもタカくんも、クリムソンとのデュエルではレガリアを使う事はなかった。
どれだけ不利なデュエルでも…。
でもね、クリムソンとのデュエルじゃない…あたし達の中で大切に想っているデュエル。
不利とか勝ちたいとかじゃなくて、大切なデュエルと思っていた時にはあたしもタカくんもレガリアを使った事はあるんだよ。
あたしもタカくんも、レガリアのチカラは惹き出せていたから。
「レガリアって…タカくん!」
あたしはまたタカくんに連られて歌った。
♪~
♪♪~
♪♪♪~
「ハァ…ハァ…な?やっぱ俺の…コホッ…勝ちだったろ?…ハァハァ…」
「ハァ…ハァ…な、何で…ハァ…ハァ…」
「梓、あのな…コホッ、ゲホッケホッ…」
「た、タカくん!?」
まだ喉に違和感があるというのにレガリアを使って本日で歌ったタカくんは咳き込み、まともに声を出せなくなっていた。
「だ、だい…じょ…ケホッケホッ…だ」
「もう…喋らなくていいから…」
「ああ…梓、あのな…コホッ、俺から…おまぇ…に、渡すもんがある…ケホッ…ケホッ」
「渡すもの?」
「おぅ…トシキも…拓斗も英…治もな。ケホッ、笑ってくれてたよ。バンド…やってん間ずっ…とな、ケホッ」
あたしはタカくんの言葉を黙って聞いていた。
本当はもうしんどそうだったし、喋らせたくなかったけど、この話は聞かなきゃいけないと思っていた。
ここからは聞き辛いだろうしタカくんの咳き込んでた所は端折るね。
「あはは、拓斗はあんま笑ってくれてなかったか。ドリーミン・ギグで引退とか言ってたのに、俺の喉のせいで叶わなくなっちまって…」
「それは…違うでしょ。拓斗くんはそんなのじゃ笑うのやめないよ。拓斗くんはタカくんが…」
「ああ、そうだな、悪い。真面目な話だって言ったのにな。…拓斗は俺にメジャーデビューして欲しいって言ってたのによ。俺が喉やらかしちまって、あいつの期待には応えてやれなかった。けどよ、最後はあいつも笑ってくれたよ」
そう言ってタカくんはあたしを真っ直ぐ見て…
「俺はあいつらに…
「あたし達にも?」
「色々貰ってた。だから俺は太陽でいられた。俺が
夜の太陽。
射手座のレガリアのチカラは
先代の大神さんという星の元にみんなが集まるからという意味と、初代の矢沢さんの歌声はみんなの心に入り込むような、寄生するようなチカラがあったから名付けられたチカラ。
だけどタカくんはみんなを集めるのでも、心に入り込むのではなく…。真っ暗な未来への道を太陽のように照らして…。
「俺の持ってるもんでお前に足りないもの、それをお前に全部やるよ」
「…?何言ってんのタカくん?
レガリアはともかくレガリアを使うチカラは…その人それぞれが…」
「だから、お前にやるチカラはレガリアのチカラじゃなくてな。矢沢さんや大神さんが本当に探してたもんは…『音楽の先の世界』は…」
・
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…。
「どうしたの?梓お姉ちゃん。それで先輩は?」
音楽の先の世界は…。
「それがさ?タカくんはその後、吐血しちゃってね?」
「吐血!?」
「結局、15年経った今も答を聞けてないんだよね~」
「先輩はっ!本当に先輩はっ!何でいつもそんな大事な所でっ!」
うぅ…ごめんね、なっちゃん。
ここまで話しておいてちょっと酷いよね。
てか、本当に謝らなきゃはタカくんにかな?
「だからさ。なっちゃんが…そのタカくんの言う『音楽の先の世界』はDivalで見つけてね」
「私が!?」
……こんな過去の話を聞いていないのに、『音楽の先の世界』を見つけた渉くん。
そう思うと渉くんって本当にタカくんに似てるよね。
ううん、渉くんだけじゃない。
春太くんも美緒ちゃんも豊永くん達ファントムのみんなも、美来ちゃんも…。
みんながたくさんの音楽と関わって、携わって。
そして見据えた世界ってのがあるのかも知れない。
それなのにあたしが今なっちゃんにその答を言っちゃうのはずるいよね。
「でも良かったぁ」
ん?なっちゃん、何が?
「いや~…先輩が持ってるもので、梓お姉ちゃんが持ってないもの?『葉川の姓を下さい!』とか言ってたらもうドン引きだったよね~って思って」
……。
ハッ!?なっちゃんは天才か!?
「え?梓お姉ちゃん?なにその『その手があったか』 みたいな顔」
「い、いや、そ、そんな事言う訳ないじゃん。な、なっちゃんは何を言ってるの?あは、あはははは」
「だよね~。ごめんね、梓お姉ちゃん、変な事言って」
「そ、そうだよ。あはは、変ななっちゃん」
「それで?吐血しちゃった先輩は?死んじゃったの?」
「いや、生きてるよ。知ってるでしょ」
本当はタカくんに『音楽の先の世界』。
そうだなぁ。タカくんも渉くんには『そこ』までは話してみたって言ってたっけ?
Ailes Flamme篇の第6章で。
「『音楽の先の世界』は探し続けるもの。それがヒントだよ。あたしはタカくんにそう聞いて…」
本当は答までしっかり聞いちゃいましたけど。
「タカくんには敵わないなぁと思って…。あたしなりに答を見つけようと思ったの」
「探し続けるもの?」
「うん」
まぁ、それがほぼ答なんだけどね…。
それはこれからのみんなで見つけてね。
「だからあたしはまずはエクストリームジャパンフェスで優勝しようって改めて思ったんだよ」
「うぅ~ん…難しいなぁ~…」
きっと、なっちゃんなら見つけるよ。
「でもさ?それっていい事じゃないの?それで先輩が憧れの対象だったってのはよくわかったけど」
ふふ、もうリアル時間では2年くらい前の話なのになっちゃんはよく覚えてるね。時系列的にはさっきの話してだけど。てか、このお話更新が遅すぎるよ!
もうあたしの企画バンドのお話やってから、リアルで2年くらい経っちゃってんの!?
「あ、それはまた後の話でわかるよ。
でもその前に、翔子と澄香のデュエルギグの話をしちゃおっか」
「え?あ、うん…」
という引きでこのお話はまだ続くのである。
もうちょいであたしの過去話も終わる。
後…何話だろう?5周年記念までには…。
本当は最期のデュエルギグはこの1話で終わるはずだったのに。
もう少しだけあたしのお話にお付き合い下さいませ。ぺこり