「あ、架純、結衣。良かった、お前らもファントムに来てくれたんだな。お前達にも会いたいと思っていたんだよ」
私は夏野 結衣。
Lazy Windの御堂 架純とショッピングを楽しんでいたけど、お腹が空いたのでファントムにやってきた。
今日はカフェタイムやってるみたいだったし。
けど、ファントムは何故かボロボロになっていて、そこで、私と架純が昔やっていたアイドルグループBlue Tear。
その当時のマネージャーが、何故かファントムに居て、私と架純に話し掛けてきた。
…え?何で今回も私、夏野 結衣のモノローグなんだろう?それなら前回の話をもう少し長くやったら良かったんじゃ?
と、思ったけど、今はそれどころじゃない。
マネージャーが何で架純達をクリムゾンエンターテイメントに紹介したのか問いたださなきゃ!
「待てヒデ!俺の説教はまだ終わってねぇんだよ!それに架純ちゃんに気安く声を掛けてんじゃねぇ!」
「そうですよ秀さん!私の質問もまだ終わってないんですけど!?」
「そうね、さっきのヒデさんがクリムゾンだという件、それを私も聞きたいわね」
私がマネージャーに問いただそうと思ってたんだけど、英ちゃんと奈緒ちんと理奈っちの圧が私を制止した。
さっき『ちょっとヒデさんと話してくるね』って言ってた架純は『こんなカジュアルな服装でタカさんの前に出れない…ケホッケホッ、可愛い系の服を着てくるべきだった』とか、言いながら私の後ろに隠れている。
「だぁぁぁ!わかったわかった!1人ずつ答えるから!まずは英治!何だ?」
「あのな!何でいつもいつもお前とタカのバトル系の再会シーンはファントムでやるんだよ!前に三咲に半殺しにされたの忘れたのか!とばっちりで俺もしばかれたし!」
「ああ、だから今日は三咲ちゃんが居ない事を確認してからやったんだよ。後でみんなで片付けたらバレないだろ」
「みんなでって何だよみんなでって!お前とタカだけでやれよ!」
「で?次は奈緒ちゃんかな」
「あ、わ、私は、秀さんがクリムゾンってどういう事なのかと思いまして!貴もそうですけど、英治さんとも仲は良さそうに見えますし、本当にクリムゾンなのかな?って思いまして…」
「私も概ね奈緒と同じ疑問ね。本当にクリムゾンのミュージシャンなのだとしたら、何故、今日ファントムに来たのかしら?」
英ちゃんと奈緒ちんと理奈っちの質問。
私も奈緒ちんと理奈っちと同じ事をマネージャーに聞きたかったんだよ。
もし、本当にクリムゾンのミュージシャンだったとしたら、私達Blue Tearがクリムゾンエンターテイメントに潰されたのは何故なのか、そして、何故架純と優香と瑞穂をクリムゾンエンターテイメントに紹介したのかを。
「あ、それな。こいつ元々はクリムゾンのミュージシャンで元々は俺らの敵でよ」
奈緒ちん達とマネージャーが話をしていると、たぁくんが話に入ってきた。
やっぱり、マネージャーはクリムゾンのミュージシャンだったんだ…。
「つっても、うぅ~ん…」
「ハハハ、タカもハッキリ言えばいいのによ。ここにはファントムの、ニュージェネレーションのみんなが居るから言いにくいってか?w」
「wじゃねぇよ。wじゃ…。まぁ、こいつらも南国DEギグとか修羅場も多少はくぐったし大丈夫かな?てか、お前の事を変に思ったりされてもなぁ」
変に思ったり?どういう事だろ?
「んんんんん~…まぁお前がいいってんならいいか」
そして、たぁくんはマネージャーの事を話してくれた。
「こいつは…、ヒデは俺らのファンだって、俺らに近付いて来てな。そんで、『僕もバンドやりたいんでしゅ~…。タカしゃんみたいな最高オブ最高のボーカリストになりたいんでしゅ~』とか言いながら、俺らに近付いて来てよ?」
「いや、そんな気持ち悪い近付き方してねぇわ」
「そんで俺が『俺のようになりたいとはな。可愛いヤツめ。よし、俺の近くに居る事を許そう』と快く迎え入れてやった訳だが」
「いや、当時、人見知り全開のお前は俺を放置したよな?ギャルゲーの限定版をプレゼントしたら、『同士よ!』って言って受け入れてくれただけで」
「それがこいつの策でな。なんやかんやあってクリムゾンのミュージシャンってわかったから、ぶっ倒してやったら俺の軍門に下った訳だ」
「いや、その策でお前に近付いたけど、なんやかんやあって親友になったし、クリムゾンのやり方に反感のあった俺は、お前らに共感してお前らの仲間になったんだけど」
「あ?お前、仲良くなった後に澄香を誘拐したじゃん」
え?すみちゃんを誘拐?
「そ、それはそうだけど!仲良くなったお前らと闘いたくなかったのに、闘わざるを得なくなったから!やむを得ず澄香ちゃんを人質にして、本気のタカとデュエルする為の苦肉の策だったんだって何度も言ってんだろ!」
「そうなんだよ。それだよ。俺が今もわかんねぇのは。
何で俺に本気を出させる為にって澄香を誘拐したの?そんなんじゃ俺は微塵も本気出せないんだけど?お前が澄香に惚れてたから?」
「お前…澄香ちゃんにはとっくに俺の気持ちはバレてるし、澄香ちゃんの前でソレ言われても、痛くも痒くもないけどさ?ここには結衣も架純も居るんだけど…」
「ん?おお、ユイユイおっす」
「うん!たぁくんおっす!」
え?たぁくんは私に気付いてなかったの?
「架純ちゃんもおっす。…って、何でユイユイの後ろで踞ってんの?」
「タ、タカさん…ケホッケホッ」
「お、今日の架純ちゃんの服装っていつもの感じと違うな。フレンチスリーブのロゴTにフレアデニムを合わせて、ジャケットを肩出しで羽織るとは…俺の大好きオブ大好きな服装だ」
「え?あ、あの…ケホッ、タカさんはいつもの私の服装より今日みたいな感じが好きな感じ?」
「ん?おお、そうだな。今日の架純ちゃんの服装ってタカの好みをついてる感じだな。ストリート系ってか、アメカジ系の服装ってタカの好みど真ん中だしな」
「ん?英治に言われるとかアレだけど、まぁ、確かに俺好みのファッションすね」
「結衣、私、明日からも笑って生きていけそう」
「ん?え?よ、良かったよね、うん」
あれ?これ本編だよね?
周年記念の茶番の続きじゃないよね?
「そ、それより貴!秀さんがクリムゾンのミュージシャンだった事、そしてBREEZEのTAKAさんに倒されて、アルテミスの矢の仲間になった事はわかりました!
澄香さんの誘拐とかそういうのはまた外伝で語られるでしょうし、今はいいですけど、本当に今は仲が良いんですか!?」
「ん?おお、まぁな。さっきも言ったけど、めちゃくちゃ好みとか趣味とか合うし。クリムゾンってもこいつの事務所は、元々はちゃんとした音楽事務所だったし」
「そうそう。お袋が作った音楽事務所だったんだけどね。お袋が病で倒れた時に、クリムゾンエンターテイメントの海原がやってきて、親父と兄貴を丸め込んでクリムゾンの下につかされた感じで…」
「マザコンだったこいつはお袋さんの意思を継いで、そのまま音楽事務所をやってたかったみたいだけどな。ま、そこで俺達で叩いて潰してやった訳だ」
「潰してって…。まぁ、お前らにやられたおかげで、親父と兄貴も追放出来たしな」
「おお!そうだよそうだよ!ヒデ、お前その後はお前も歌うの辞めたじゃん?そんで5、6年前にうちに来た時に、お袋さんの意思継いで音楽事務所作ったって言ってなかったか?」
「ああ、英治の言う通りだよ。俺も苦労してやっと事務所を取り返して、新たに音楽事務所を作った」
音楽事務所をマネージャーが?
その音楽事務所はどうなったんだろう?
マネージャーは私達、Blue Tearのマネージャーだったんだし。
「でもな。ちょうど2年くらい前に二胴のアホに見つかってしまってね」
二胴?
あ、聞いた事ある。
確か手塚さんと同じクリムゾンエンターテイメントの四天王とか言われてる人だっけ?
「あ?二胴のアホに?」
「ああ。それで、俺の音楽事務所を見逃すし、クリムゾングループには手を出させない。って条件を出してきてな。
英治のライブハウスファントムと、拓斗のバンドLazy Windを俺達で潰せって言われたんだ」
「あ?俺のファントムと拓斗のバンドを?」
2年くらい前に?あれ?2年前はもう私達はBlue Tearに…。
「ああ、そんでアホのお前は、ファントムや俺を潰すのを断って、二胴に敵対する事にしたんだよな?」
「拓斗、ああ、そうだよ。お前らを潰すのは簡単だけど、お前らと敵対するのは…」
「チ、それでお前らがクリムゾンエンターテイメントに潰されたんじゃ笑えねぇんだよ」
え?そうなんだ…。
マネージャーの事務所もクリムゾンエンターテイメントに…。
「あ?お前マジか?二胴のアホにお前の事務所…」
「それでしばらく連絡もなかった訳か。チ、連絡がねぇから事務所が上手くいってんだと思ってたんだが、タカに知られたら、また無茶しやがるだろうしな。連絡出来ねぇか」
「いや、俺は無茶なんかしませんけど?俺何かしなきゃいけなかった系?」
「なるほどね。合点がいったわ。つまり、ヒデさんのクリムゾンエンターテイメントに潰された音楽事務所。それが結衣さんと架純さんの居たBlue Tearの事務所という訳ね」
…え?理奈っち?
何を言ってるの?マネージャーの事務所?
マネージャーはマネージャーで、私達Blue Tearの事務所の社長さんはマネージャーじゃないよ?
「ああ。そうだよ。俺が…二胴とクリムゾンエンターテイメントと敵対すると決めたせいで、Blue Tearは…。架純と結衣がファントムのメンバーになったのは知ってたからな。今日はタカ達への挨拶をついでに、架純と結衣に謝りに来たんだ」
マネージャー?え?何?
訳わかんないよ?
「私も拓斗さんに聞いて、マネージャー、ヒデさんが本当はマネージャーじゃなくて、私達の社長だと薄々気付いてた。クリムゾンエンターテイメントから隠れるために、私達にも事務所の社長である事を隠して、マネージャーになってたんですよね?」
架純?え?マネージャーが本当は社長?
クリムゾンエンターテイメントから隠れる為に?
それならどうして架純達をクリムゾンエンターテイメントに紹介なんて…。
「俺も架純から聞くまでは知らなかったがな」
「ああ…だからアホの波瀬はBlue Tearの敵討ちとか俺に言ってきたのか」
「そうだったんですね。秀さんがBlue Tearの、結衣ちゃん達の居た事務所の社長さんだったんですね…」
待ってよ。みんな何を言ってるの?
ダメだ。私おバカだから考えがまとまらない…。
「マネージャー、いえ、ヒデさん。ヒデさんが謝る事ないですよ。そもそも私達は…」
「ちょ!ちょっと待ってよみんな!!」
架純がマネージャーに何か言おうとしていたけど、私は我慢が出来なくなって叫んでしまった。
わからない。わからないから、ちゃんと聞かないと。
「わかんない!全然わかんないよ!」
「ゆ、結衣?」
「マネージャーが!本当はマネージャーじゃなくて、私達Blue Tearの事務所の社長さんだってのはわかったよ!それで、それで、英ちゃんとかたっくんとか、昔のお友達をやっつけろって言われて、それを断ったのもわかった!」
「結衣、ああ、そうだよ。俺は本当はマネージャーじゃなくて、事務所の社長だったんだ」
「うん!それはいいよ!それで…二胴って人に断って、クリムゾンエンターテイメントと敵対する事になって、それで負けちゃって、クリムゾンエンターテイメントにBlue Tearの事務所が潰されてしまった!」
「ああ…。そうだ。そして今日はお前達にその事を謝りにな」
「謝らなくていいよ!それは…あんま良くないけど、別にいいよ。私だって、架純や春くんや姫咲、まっちゃん、ファントムのメンバーの誰かをやっつけろって言われたら嫌だし!断ると思うもん!」
「結衣…」
「でもね、私がわからないのは、マネージャーはクリムゾンエンターテイメントが嫌な人達ってわかってたんでしょ?それなのに…何で架純と優香と瑞穂をクリムゾンエンターテイメントに紹介したの?私は…それがわかん…」
「違うの結衣」
「…ない…え?違う?」
「私達は、ヒデさんにクリムゾンエンターテイメントを紹介されたんじゃないよ」
「え?ち、違うの!?」
「あはは、さすがにBlue Tearのメンバーをクリムゾンエンターテイメントに…いや、クリムゾングループの事務所には俺は紹介しないよ」
「え?な、何で?私達の紹介先ってマネージャーが決めたんじゃ…」
え?え?あれ?私の勘違い?
「俺達の事務所にはクリムゾンエンターテイメントのスパイが居てね。俺が紹介するより先に手を打たれて、架純達はクリムゾンエンターテイメントに引き抜かれたんだよ」
「うん、私達をクリムゾンエンターテイメントに紹介したのは、ヒデさん、マネージャーじゃなくて、広報で入社して来た人だよ」
「広報…?あ、も、もしかして
「そう。栗無さん」
「あいつだけなら俺が何とか出来たかもしれないが、他にもサブマネージャーの
そんな…巣派さんもあんないい人だったのに…。
「え?お、おいタカ。くりむぞんたろうとか、すぱいだぞうとか、本名かな?めちゃくちゃ怪しくないか?(ボソッ」
「怪しいよな。何でそんな名前の人採用したんだろ?面接めちゃくちゃ良かったの?(ボソッ」
「結衣、実はね。栗無さんも巣派さんも、クリムゾンエンターテイメントの刺客で、2人共偽名だったの…」
「な、何だって!?」
「それを見抜けなかった…社長である俺のミスさ」
「ね、ねぇ理奈…(ボソッ」
「奈緒、気持ちはわかるわ。私達は黙って聞いていましょう(ボソッ」
そんな…あの2人がクリムゾンエンターテイメントな刺客だっただなんて…。
私も全然気付けなかった。マネージャーだけのせいじゃないよ…。
「あ、えっと、それじゃマネージャーは架純達を…」
「ああ、俺としては各々他の事務所に紹介するつもりだった。架純はSCARLETで、瑞穂はファントムのつもりだったけどな。優香は…」
そ、そうだったんだ。
良かった…マネージャーが、私達の面倒をいっぱい見てくれてたマネージャーが、架純達をクリムゾンエンターテイメントに紹介したんじゃなくて…。
「そっか。私はSCARLETに紹介される予定だったんだ。あの時、クリムゾンに『私達が欲しくて事務所を潰した』なんて口車に乗ってなければ…」
「違うだろ、架純。その後に『お前達がクリムゾンになれば他のメンバーの活動を邪魔しない』って言われたからだろ?調べはついてる」
架純達がクリムゾンになれば他のメンバーの活動を邪魔しない?え?それじゃ架純達は私達の為に?
「そんな綺麗事だけじゃないよ。クリムゾンに入ればまたすぐにでもステージに立てる。そんな打算的な事も考えてたから…」
「架純、そうだったんだ…。そ、それよりマネージャー!あ、本当は社長だっけ?社長!」
「あはは、呼び方は何でもいいよ。今はお前らの社長は日奈子ちゃんだろ?」
「あ、えっと、それならヒデポン!そのクリムゾンになればって話は誰に聞いたの?」
「ああ、その事か。優香と瑞穂からね。Blue Tearのメンバーでまだ謝罪してないのは、結衣と架純だけだ。花梨にもメグミちゃんにも会って来たしな」
優香と瑞穂から?
「ヒ、ヒデさん!ケホッ、ケホッ、ゆ、優香と瑞穂に会ったの!?会えたの!?今、優香と瑞穂は!?ケホッケホッ」
「わ、わわわ、架純、落ちついて!」
「うん。2人共元気だったよ。優香も少しだけだけど、喋れるようになったし…」
「優香…ケホッ、良かった。少しでも喋れるようになったんだ…本当に良かった…グスッ」
「そして赤ちゃんも元気に産まれてた」
「そう。赤ちゃんも元気に……え?赤ちゃん?ケホッ」
「ああ。優香と旦那さんに会ったのは8月くらいだったかな。産まれたばかりだったけど、抱っこもさせてもらってさw」
-バターン!
「「架純!?」」
架純はヒデポンからの報告を聞いて倒れてしまった。
「か、架純!ど、どうしたの!?」
「ゆ、結衣…。いい?あのね、赤ちゃんってね、すぐに出来てすぐに産まれる訳じゃないの…」
架純は倒れたまま私に話し掛けて来た。
「あ、うん。そうだよね。トツキトオカだっけ?10ヵ月くらい?かかるんだっけ?」
「結衣、ヒデさんは8月に優香に会って、赤ちゃんを抱かせてもらったって…」
「うん!いいよねいいよね!優香可愛いかったもん!赤ちゃんもきっと可愛いんだろうなぁ~。私も抱っこさせてほしいよぉ~」
「結衣?私達Blue Tearが解散コンサートしたの…いつだったか覚えてる?」
「え?私達の解散コン?忘れる訳ないよ!2月14日バレンタインデーだよね!」
「解散コンサートから出産まで6ヵ月だね…」
「……ん?あれ?ほ、ほんとだ。あれ?じゃあ優香ってBlue Tearの時には」
「そ、それどころか…クリムゾンエンターテイメントで過酷な特訓させられてた時も…。私達、クリムゾンエンターテイメントに壊されたの4月で、私が拓斗さんと会ったの5月なのに…。気付かなかった…全然気付かなかった…」
うわぁぁ。やるなぁ優香。
「そ、そんな…優香ちゃん人妻になってんのか…」
「そういや松岡くんの推しは優香ちゃんでしたっけ?御愁傷様ですわ」
「むぅ~…冬馬は優香ちゃんみたいな子がいいんだ?」
「ケホッ…ケホッ、ま、まぁ、実はBlue Tearの頃から妊娠していて、出産したって事にはびっくりしたけど、今が幸せそうなら良かったよ。そ、それで瑞穂は?」
「瑞穂はまだ通院は必要みたいだけど、無事に退院して日常生活を送っているよ」
「瑞穂…ケホッ、良かった。無事に退院して、また日常生活を送れるようになったんだ…本当に良かった…グスッ」
「来月には結婚するみたいだしな」
「そう。来月には結婚………結婚!?ケホッ」
「ああ、入院中、親身に看病してくれた看護士さんと燃え上がる恋をしてスピード結婚だ」
「クッ…危ない。また倒れるところだった。そ、そう。瑞穂も幸せなら…良かったよ」
「瑞穂ちゃん、結婚しちゃうのか…」
「ん?内山ってミズホ推しだったの?」
「そうだぞ雨宮!拓実は実はBlue Tearの瑞穂推しだ!」
「あ、そうなんだ?えっ…と、ちなみに江口くんは誰が推しだったの?」
「渉!あんたは誰推しだったの!?笑ってやるから言いなさい!」
「河野も観月も…渉も大変だな」
「だよね。こんな所はたか兄に似なくて良かったのに」
「ちなみにゆーちゃんは誰推しだっけ?」
「そ、それで、ヒデさんは元Blue Tearのみんなに謝って回ってたのって…。ケホッ、今更何故なの?」
「ん、いや、悪かったと思ってるからだけど」
「それは本当にそう思ってくれてるとは思うけど、さっき、タカさんに挨拶をついでにって言ってたよね?」
「ん?おお、そういやお前そんな事言ってたな。架純ちゃんなかなか鋭いな」
「どうしよう、タカさんに褒められた。優香、瑞穂、もうすぐ私も仲間に…」
「架純は何言ってんだ?おい、英治まさか架純もなのか?(ボソッ」
「そうなんだよヒデ。こいつ俺の推しの架純ちゃんを…(ボソッ」
「そんな事より。おい、ヒデ。テメェ、タカに挨拶ってどういうつもりだ?」
「ああ、それな。拓斗、それ答える前にちょっといいか?」
「あ?答える前にちょっとだ?」
そうしてヒデポンは私と架純を真っ直ぐに見て…。
「架純、結衣。Blue Tearの時はすまなかった。あの時はお前達にクリムゾンと闘わせる覚悟が、俺にはなかったんだ」
クリムゾンと闘わせる覚悟?
「ヒデさん…何?そんな改まって…」
「んん…。俺は新しい事務所を立ち上げた。そこでクリムゾンとも戦うつもりだ。日奈子ちゃんにはお互いサポートし合う事って話は通してある。
架純はLazy Windを辞めて、結衣はCanoro Feliceを辞めて、俺と一緒に、俺の事務所で新しいバンドをやってみないか?」
Canoro Feliceを辞めてヒデポンの新しい事務所で新しいバンド?そんなの…。
「「ごめん、無理」」
やっぱり私はCanoro Feliceが大事だもん。
架純も即答してくれて良かった。Lazy Windを今は大事に思ってくれてるんだね。
「即答かぁ~。だよなぁ。俺とバンドやるとか嫌だよなぁ」
「違…ケホッ、違うよ。ヒデさんの事務所のバンドをやるのは…嫌じゃないけど、私はLazy Windの架純だから」
「私もだよ!私はCanoro Feliceが大好きだから。Canoro Feliceを辞めてってなると…無理だよ」
「ははは、そっか。お前らに俺の事務所に来てもらえないのは残念だけど、お前らが今のバンドを大事にしてくれて、本音は嬉しいよ」
ヒデポン…。
「ヒデ、テメェ新しい事務所って…。
そういや思い出すな、テメェがクリムゾンってわかった時、テメェはタカの事もクリムゾンに勧誘したよな」
「ああ。あん時な。タカとヒデは仲良かったからな。
タカのヤツがクリムゾンに入るって言ったらどうしようと思ったぜ」
「あ?俺がクリムゾンなんか入る訳ねぇだろ。お前らアホなの?」
「ああ、懐かしいな。あの時は俺も本気でタカを勧誘したんだけどな」
・
・
・
『タカ、お前もクリムゾンに入らないか?』
『ならない』
『聴けばわかるお前の強さ、レガリアの使い手だな?
その歌唱力、練り上げられている。至高の領域に近い』
『俺はBREEZEのTAKAだ』
『俺はヒデ。タカ、何故お前が至高の領域に…』
「いやいや、待て待て待て」
「英治の言う通りだ。わざわざ・・・まで入れて回想シーンに持っていったつもりだろうが、これって煉獄さんと猗窩座の闘いん時のセリフじゃねぇか」
わっ!?ネタだったんだ?
煉獄さん?猗窩座?鬼滅の刃かな?ちゃんとは観てないからよくわからないけど…。
「え?おい、ヒデ、俺らいつもこんな感じじゃなかったっけ?」
「だよな?いつもそんな感じだったし。
そんでタカに断られ続けて、とうとう決着をつけなきゃな…って時は…」
「ああ。あの時な。あの時は俺も何とかヒデを説得したくて…」
・
・
・
『クリムゾンのバンドマン達は自分達の事しか考えていない。だから抹殺すると宣言した!』
『バンドマンがバンドマンに罰を与えるなど!』
『私BREEZEのTAKAが粛清しようというのだ、ヒデ』
『エゴだよそれは!』
『音楽業界がもたん時がきているのだ!』
『いやいや、待ってくれよ、にーちゃんもヒデにーちゃんも』
「うん。渉くんも落ち着こう?マジで。
その会話外にある『』って回想シーンのセリフって設定でしょ?渉くんも『』で発言しちゃったら、タカ兄とヒデさんの回想シーンに介入した事になっちゃうよ?」
「タカさんとヒデさんのその会話は『逆襲のシャア』の時のセリフでしょ。あ、ちなみにオレの『』は発言内の『』なんで、タイトルとか大事な事の分類すね」
「え?俺らってずっとこんな感じだったよな?」
「そのはずなんだけどな?そんでタカと最終的にはデュエルする事になって…タカはレガリア戦争の事も氷川さん達に聞かされてたしな」
「ああ。まるで昨日の事のように思い出せるぜ。レガリア戦争を繰り返す訳にはいかない。俺はそんな想いでいっぱいだった」
・
・
・
『俺はアルテミスの矢を認めない!音楽を楽しんで、自由に音楽をやれば、それが平和だと言う考えは間違っている!』
『だからクリムゾンの独裁を許すと言うのか?』
『それがバンドをやる者の魂の拠り所となる!』
『今はそれでいいかもしれない。だが、クリムゾンは歴史を繰り返すだけだ。悲しく惨めなレガリア戦争の歴史をな。ここで流れを食い止めなければ、また俺達と同じようなバンドマンが必要となってくる。
そうなれば、悲劇と言う名の歴史がいつまでも続く。ヒデ、教えてくれ。俺たちはあといくつのバンドを潰せばいい?
…俺は後何回、あの子とあの子犬のバンドを潰せばいいんだ?ゼロは俺に何も言ってはくれない。教えてくれヒデ!』
「いやいや、待って下さい。貴もヒデさんも」
「そうね、それってガンダムWのエンドレスワルツの時のヒイロと五飛の会話よね?あの子とあの子犬のバンドっていうのも意味不明だし」
「…ファントムのみんなすげぇな。俺とタカのネタにツッコミ入れれるなんて」
「逸材揃いだろ?」
ネ、ネタだったのか…。
も、もしかして今のネタ元わかって笑ってしまってたら、お尻叩かれたとか!?
「そんで冗談は置いといて、ヒデ、お前マジで新しい事務所でクリムゾンとやり合うつもりなのか?」
「……タカは反対か?」
「反対かどうかって聞かれたら反対ですけどね」
「だよな!お前なら反対すると思ったよ。あははは」
え?え?たぁくんは反対なの?
「そもそも…戦うつもりで音楽ってのがな。俺には合わないだけで。本来なら俺もだけど、ファントムのみんなもクリムゾンとか関わらせたくないし」
あ、そっか。
自由な音楽をやる為に、架純達みたいな人がもう出ないようにって、クリムゾンはやっつけなきゃって思ってたけど。
本来なら音楽は自由なもので、クリムゾンと戦う為にやるものじゃなくて。
音楽やってて楽しいから音楽やるんだもんね。
「ああ。だから俺はBlue Tearの時に失敗してしまった。架純達には悪かったと思ってる」
「うぐっ…今、それ言われると俺も反対だとは声を大きくして言えないけどよ…」
「ふふ、だから俺は次は間違えないよ。お前を見習ってな」
「あ?俺を見習って?」
「楽しいバンドを、楽しい音楽をやる。だけど、降りかかる火の粉はしっかり払う。そうわきまえて事務所をやるつもりだ」
「あ?だったらお前も俺達とファントムに…」
「お袋の事務所を守りたいってのもあるしな」
「……そっか」
ヒデポン。
ヒデポンも私達と一緒にファントムに入ってくれるなら嬉しかったけど、お母さんの事務所か…。
やっと取り返したみたいに言ってたもんね。
「だから結衣、架純。お前達も俺の事務所のライバルだな。お互いに楽しい音楽をやっていこうな」
ヒデポン…。
「うん!うん!もちろんだよ!」
「私も、ヒデさんに楽しい音楽で負けないから」
そうだよね。敵じゃない。
楽しい音楽をやっていく中のライバルだよ。
Ailes FlammeやBlaze Future、DivalもLazy Windもみんなファントムの仲間だけど、ライバルだもん。
私は楽しい音楽をやって、クリムゾンをやっつける為じゃないバンドをやっていくんだ。
私がそんな風な事を改めて心に誓った時、
「これは何事なの?」
あの人がやって来た。