第1話 もうすぐ文化祭
わいわいがやがや…。
そういや春さんが言ってたっけ。
わいわいがやがやって描写古いなぁ。って。
だったら新しいわいわいがやがや感を思わせる言葉を考えてみよう。
……俺は文系だけど語彙力ないから思い付かないわ。
歌詞を書いてんのに語彙力ないとか致命的だけどな!
今は今月に開催される文化祭の準備に学校のクラスの連中と勤しんでいるところだ。
「でもまさかびっくりだよね。松岡さんの学校と美緒ちゃん達の学校、その他にもこの地域の学校いくつかと合同で文化祭やる事になるなんて」
そう。
何故か今年の文化祭はこの地域の…。
この地域のって言っても電車乗らないと移動に大変な学校もあるけど、いくつかの学校で合同で文化祭が開催される事になっていた。
本来なら…いや、例年までは俺達の学校は俺達の学校だけで文化祭は行われていたんだが、今年はCanoro Feliceの姫咲ねーちゃんの学校が、今年は合同で文化祭を大々的に開催して地域を盛り上げようって言い出したらしい。
「江口、それちょっと違うわよ」
「ん?雨宮?違うって何だ?」
俺はさっきから一言も喋っていないのに…。
やはり今回も俺のモノローグは筒抜けなのか…。
「雨宮さん。違うってどう言う事?僕も概ねさっきの渉の説明で合っていると思うんだけど…」
さっきの俺の説明?そうか。拓実も安定に俺のモノローグを読んでいる訳だな。
「ああ、概ねは合ってるんだけど、姫咲さんの学校がって所がね。元々は姫咲さんの独裁によって決まった事らしいよ?ほら、美緒の学校の軽音部のgamut。あそこって毎年ライブが開催されててさ…」
雨宮の説明によるとこういう事だった。
美緒の学校の文化祭では、毎年
gamutのメンバーによるライブを開催しているらしい。
美緒の学校は女子校だからガールズバンドによるライブ大会らしいんだけど、そのgamutの中でどのバンドが一番上手いか、かっこいいかなどを学内の生徒による投票で競っていたらしい。
その噂を聞いた姫咲ねーちゃんは、何とかそのライブを観たい聴きたい歌いたいと思い、文化祭を合同でやろうと暴挙に出たそうだ。
いくら秋月家の力を持ってしても不可能だと思われていたんだが、学校側やPTAを黙らせる事に成功し、近隣の学校を纏めての開催をテスト的にやってみようという事になったそうだ。
そういやこないだ校門前に黒塗りのすごい車が何台も止まってたっけ。
「だけど姫咲さんの誤算は文化祭を合同でやるって所でまとまっちゃって、例のライブ大会は各学校の生徒のみが参加可能って事になっちゃったから一瀬さんやユイユイは参加出来ないし、当の姫咲さんはライブ大会の審査員になっちゃったんだよね」
「あ、そうなんだ。じゃあ雨宮さんもDivalでは参加出来ないんだね」
「そうなんだよね。だからPASTEL BEATで参加しようとも思ったんだけど、美緒はGlitter Melodyで参加だからさ」
「私はその方が良かったわよ。ま、ボーカルは志保か沙智がやればいいとしてもベースがいないしね」
「うぅ~、ごめんね明日香ちゃん…私もライブ大会は審査員側なんだよ~…」
さっちもライブ大会の審査員なの?何で?
本当にさっちって何者なの?
「ま、ボーカルはあたしがやるとしてもベースはなぁ…。まさか理奈にJKの振りさせる訳にもいかないし」
「そういう事。文化祭も皆勤する約束があるし、一応参加はするけどゆっくりぶらぶらさせてもらうわ」
「あれ?でもベースなら茅野先輩に頼めばいいんじゃない?茅野先輩もそういう大会なら出たいって言うんじゃないかな?」
「それだ!内山!あんた頭いい!ナイス!」
「ちょっと!拓実!あんたバカなの!?私はゆっくりしたいって言ってるじゃない!」
「いや、拓斗さんにも明日香ちゃんがちゃんと青春を謳歌するようにサポートしてやってくれって頼まれてるし。それにこれ青春×バンドのお話だしね。あんまりバンドやってないけど」
「な!?た、拓斗め…余計な事を…!」
「あはは、いいじゃねーか明日香!俺達もそれならAiles Flammeで出場してみっかな!」
「え?」
「え?江口くん…何を言ってるの?」
「お?雨宮もさっちもどうしたんだ?何か変か?」
「渉。あんた志保の話ちゃんと聞いてた?」
「あ、ああ。もちろん聞いてたけど…」
「渉。ライブ大会に参加出来るのはガールズバンドのみだよ。もし男子も参加出来るなら茅野先輩の前に僕もいるじゃん…。まぁ僕はまだまだ下手くそだけど…」
「な、なんだってぇぇぇぇ!!?」
---------------------------------
「むぅぅぅ…」
「あ?どした水瀬。何か仕事でわかんねぇ所でもあったか?」
「いえ、仕事は滞りなく進んでるんですけど…」
「あ?なら良かったじゃん。今日も残業なしで帰れるな。てか、それなのに何でさっきから唸ってるの?」
「先輩はバカだバカだと思ってましたけど、本当にアホですよね!顔もアレだし!」
「何だとこの野郎。いきなり何で俺をディスってんの?」
「もう!今回から『文化祭編』が始まってるんですよ!?ここだけの登場しかなかったらどうするんですか!!」
「あ、そうなの?それでそれがどうかしたの?それよりメタな事は自重した方がいいぞ?」
「それがどうかしたの?って…。何でわかんないですかね?文化祭編って事は学生達がメインですよ!?私達社会人はお仕事だし出番が減るじゃないですか!」
「あっそ。良かったじゃん。さ、仕事の続きすっか。早く帰りたいし」
「何が良かったってんですか!!」
「いや、俺は出番より休みが欲しいし。出番減るならゆっくり出来るじゃん。ゲームしながら寝まくろうと思います」
「はぁ!?出番より休みが欲しいとか!先輩は!これだから先輩はっ!」
「あ、ちゃんとバンドのお話らしく出番ない間に作詞とか作曲しとくし。水瀬もギターの練習とかしてたらいいやん?」
「そりゃギターの練習もしますけど…うぅ、出番が欲しい…」
私の名前は水瀬 渚。
さっきから私に訳のわからない事を言って来ているのは、私の職場の先輩であり、Blaze Futureのボーカルである「いい歳してまだ未婚の葉川 貴だ」
「いい歳して未婚とかその情報いる?」
「ナチュラルに人のモノローグ読むの止めてくれません?セクハラで訴えますよ?」
「いや、『いい歳してまだ未婚の葉川 貴だ』って思いっきりセリフで言ってましたけど?」
相変わらず変な事ばかり言ってくる先輩と、仕事の息抜きがてらにちょっと会話している時だった。
-コンコン
「葉川、水瀬さん居る?」
私の働く会社の経理部の先輩であり、私達ファントムの仲間。Noble Fateのギタリスト木南 真希さんが私達の部署へとやって来た。
「あ?どした木南?俺も水瀬も居るぞ。むしろ居なかったら仕事中にどこ行ってんの?って感じだし」
「いや、あんたらの部署って休憩時間は適当に取るじゃん?」
「いや、もう16時過ぎてるしね。さすがにこの時間には…」
「まぁいいや。何かさ?私もだけど葉川と水瀬さんを社長が呼んでるんだよ」
「「社長が?」」
・
・
・
「えぇぇぇ…俺何やらかしたっけ?アレはバレてないはずだし…もしかしたらアレか?」
「ああ…先輩だ…絶対先輩のせいだ…。私のせいじゃないはず。こないだ社長室に行った時におまんじゅう食べちゃったけど」
「葉川も水瀬さんもそんなに社長にバレたらヤバい事やってんの?」
そして私達は社長室の前に到着し、木南さんが社長室のドアを開けた。
「違うんだ!社長!あのカップ麺はこの辺では売ってなくてつい貰っちゃっただけなんだっ!机に300円置いていただろう!?」
「社長!違うんです!あのおまんじゅうは社長が全社メールで食べてもいいよ。って書いてたから食べちゃっただけで!確かにあの日から日にちが経ってましたし最後の1個でしたけど!」
「社長、2人もこう言っています。反省しているようなので、先日私がうっかり発注し過ぎた備品のA4用紙の件も含めて許してあげて下さい!」
挨拶より前に私達はそれぞれ言い訳をしていた。
「いや、あ、あのカップ麺の犯人は葉川くんだったの?
まぁ、そのカップ麺の件はあれ198円だったから別にいいよ。
あの最後のおまんじゅう食べたのは水瀬くんだったのか。まぁ別にいいよ。それよりあれ賞味期限切れてたけど大丈夫だった?」
「「まじでか」」
「そして木南くんの備品の件は、A4用紙は消耗品だしよく使うものだしその件も別にいいよ」
「はぁ~良かったぁ…」
「それなら何で俺と水瀬は呼ばれたんです?解雇?」
「解雇!?え!?何で!?」
「まさか私も!?」
「いやいやいや、そんな事では呼ばないよ。そもそも解雇にするのも結構お金や労力掛かるし」
びっくりしたぁ。
まぁ、うちの部署って営業部と比べると売上がアレだから、解雇とか言われても不思議ではないし…。
「実は毎年年度末(3月)に行ってる社員旅行の件なんだけど」
「社員旅行?うちって社員旅行とかあるんですか?」
「水瀬さんは新卒だもんね。うちの会社は閑散期になる3月に社員旅行に行くんだよ」
「ま、自由参加だけどな。不参加組は社員旅行行かないかわりに中期の春休みが貰えるのだ。当然俺は不参加組だ。うちの部署去年まで俺1人だったし。ぼっちだし」
「私もだけど営業部の子らも葉川と飲み行ったり、社員旅行で和気あいあいとしたいって言ってんのに…」
「あ?水瀬らが入って来た時の新人歓迎会とか去年の忘年会の事忘れたの?俺みんなに彼女いないとか、結婚してないとかでバカにされてただけだけど?」
「えー、先輩ー!今年のは行きましょうよー。私もせっかくだし行きたいですし。ほら、同期が居るとはいえ私も隔離部署で仲のいい人居ないからぼっちになっちゃいそうですし」
「え?やだよ?」
「もう!葉川も水瀬さんがこんなに…」
「うぉっほん!うぉっほん!ワタシの話をしてもいいかね?」
「「「あ、すみません。はい。どうぞ」」」
社員旅行という響きでうっかり社長放置で話しちゃってたよ。
でもせっかくだから社員旅行も行きたいなぁ。
3月ならまだまだ先だけど社員旅行編とかあったら、私の出番も超増えそうだし。
ファントム関係者、私と先輩と木南さんだけだし。
「うむ。それで今年の社員旅行は取引先の融資で南国に行く事になってね」
「南国かぁ~」
「俺は行かない」
「葉川も来なって~」
「時期は3月ではなく、今月10月に行く事になった」
「は?え?今月さっそく?」
「ぬぅ…今月か。まだ今月は推しイベントは来ないだろうが、ゲーム三昧の充実した秋休みを過ごせそうだな」
「って、社長。それ私も初耳なんですけど?仕事の方は大丈夫なんですか?それよりもその話で何故私達3人が?」
あ、そうだそうだ。木南さんの言う通りだ。
その話で何で私達が呼ばれたんだろう?
「ああ、それでね。今月にはこの近辺の高校で合同の文化祭が行われるらしくてね。君たちにはその文化祭へ広報と調査を目的として参加してもらいたいんだよ」
「「は?」」
「え?社長…それって…」
「本来なら営業部の者をその文化祭に行かせるべきなんだが、取引先のお嬢様のご指名でね。それに葉川くんはどうせ社員旅行に行きたがらないだろうしいっか。って思って」
ちょ、ちょっと待って!
それって志保達の通う学校とか姫咲ちゃん達が通う学校とかが合同でやるっていう文化祭だよね!?
文化祭編でも私の出番あるかもって感じだけど、社員旅行はどうなるの!?
「そういう訳で葉川くんと水瀬くんと木南くんで、臨時の部署を立ててその仕事を任せたい。水瀬くんと木南くんには悪いけどね。ある程度の仕事は取引先がまとめてくれるみたいだから、文化祭を楽しんだらいいよ」
「ぐぉぉぉぉ!私はどうすれば…文化祭編でも活躍出来そうだけど社員旅行も行きたい…」
「取引先の融資で南国…俺達を指名…?社長。取引先って秋月グループですか?」
「お、さすが葉川くん。よくわかったね」
「あ、あの独裁お嬢様め…。何でおっさんの俺が学生さん達の文化祭に…。あー、そのお仕事はお断りします」
「君たち3人の中の誰か1人でも断った場合、融資を打ち切られるらしいんだよ。
社員旅行を楽しみにしているワタシも他の社員達も敵に回す事になるけどいいかね?」
「あ、あの野郎…な、なんて卑怯な手を…」
「そ、そうですよ。社長!私も社員旅行行くの楽しみにしてましたし、広報とかそういうのは葉川1人にやらせたらいいじゃないですか!せめて私と水瀬さんはっ!」
「え?木南?俺1人にやらせたらって何?」
「やれやれ。もちろん君たちにも悪い話じゃないよ。
社員旅行は一応自由参加だから公休扱いで給料は出ないが、君たちの場合は仕事という形で文化祭に行くのだから給料はちゃんと出る」
「え?文化祭楽しみながら給料貰えるって事ですか?」
「うぐっ、そ、それはうまみがあるが…いや、しかし…」
「そ、そうですよ。やっぱりいくら給料が発生するとは言っても社員旅行の方が…」
「社外での長期間の仕事だからね。ちゃんと出張手当も出すがどうだろうか?」
「「出張手当…?
……社長、どうぞご安心して社員旅行を楽しんで来て下さい。文化祭での広報や調査は我ら犬にお任せ下さい」」
そう言って先輩と木南さんが社長に頭を下げた。
私は出張とか行った事ないからわかんないけど、手当っていくら貰えるんだろう…。
先輩どころか木南さんまでもが自らを犬と呼ぶ程の金額なのかな…?
「いやぁ。助かったよ。じゃあ、先方にはOKと伝えとくから。ありがとう仕事に戻っていいよ」
「「ハッ!それでは失礼致します」」
社長室を出た所から木南さんと先輩はスキップをしながら職場へと戻った。
あの余計な仕事を嫌う先輩が、休みが潰れる仕事をやらされるのにスキップをするとは…。
そうして私達も文化祭に行ける事になり、文化祭編での登場も約束されたのだった。
---------------------------------
「と、言うわけで、今頃あの男はスキップをしながら臨時収入を喜んでいると思いますわ。そして今回の文化祭には英治さんや 三咲さんにも来て頂きたいんですの」
「いやぁ。いくらタカでもせっかくの休みが潰れるのに、さすがにスキップはしないんじゃないか?」
俺の名前は中原英治。
今はカフェ営業をしているファントムで、コーヒーを飲みながら我が妻である三咲と、Canoro Feliceのベーシストである姫咲ちゃん。
そして元Artemisのベーシストとドラマーの澄香と日奈子とミーティングをしていた。
ちなみにカフェ営業は娘の初音とBlaze Futureのベーシスト盛夏ちゃんの2人に任せていた。
美緒ちゃんは今日はお休みである。
「でね?ちょうど文化祭の行われる週はファントムでライブ予定もないし、カフェもこないだのタカちゃんとヒデちゃんの悪ふざけでまだボロボロじゃん?いっそお休みにしてあたしのSCARLETの社長達で掃除と改装を一気にやっちゃういい機会だしさ」
「うぅぅん…確かにいい機会だとは思うし、ファントムの修繕費もSCARLETが金を出してくれるのはうまみがあるとは思うんだが…」
「え?あたしが出すのは人員だけで修繕とか改装にかかる費用はちゃんと請求するよ?」
「あなた。日奈子ちゃんが修繕費を全部出してくれると言っているんだし、文化祭のライブ大会っていうのも観ておきたいじゃない?」
「三咲ちゃんもここからは初音ちゃん達には見えていないとはいえ、姫咲ちゃんがいるからってので猫被ってそんな喋り方してるのかもしれないけど、あたしは修繕費出すとか一言も言ってないよ?図々しさが昔のままだよ?」
確かに三咲の言う通り。
Glitter Melodyは参加するみたいだし、ファントムのオーナーとしてだけでなく元バンドやってた者として、色んなライブを観てみたいとは思うんだけどな。
「あの、三咲さんも割と乗り気みたいですけど、英治さんは何か文化祭に行きたくない理由がおありなんですか?」
「あ?いや、JKもいっぱい居るだろうし文化祭に行くのは別にいいんだけどよ?」
「あなた?」
「このファントムの出張模擬店って何だろうって思ってな」
「ああ、それはファントムの知名度を上げる為に…」
・
・
・
姫咲ちゃんの話によると、今回の合同文化祭は各学校付近の商店や飲食店、他にも色んな施設や幼稚園や会社なんかとも協力し、地域活性化や支援などを目的とした地域祭のように大々的行われるらしい。
もちろんそういったお祭りやイベントは他にもあるが、学生達を主導に社会体験の一貫として行われるようだ。
そこで地域の商店などから模擬店を出して盛り上げてほしいという名目の元、俺達のファントムも参加して新規顧客の獲得を目論むとの事。
人材についてはSCARLETの方で何とかするから、俺と三咲と初音は模擬店に参加せず、合同文化祭で行われるライブ大会を観てほしいとの事だった。
「ん?待ってくれ姫咲ちゃん。もちろん俺もライブ大会は観たいと思うし、三咲も観たいという風に言ってはいるが、『ライブ大会を観てほしい』というのは何故なんだ?」
「ああ、その事ですか。言葉の通りですわ。
正直な所、私はBREEZEには興味もありませんし、Artemisこそが…いえ、そこは今はいいですわね。
BREEZEもArtemisもメジャーではありませんけど、バンドとしては私達Canoro Feliceも含めてファントムのバンドより音楽という分野で成通していると思っています」
あ~…なんか改めてそう言われるとこそばゆいな。
確かに経験やデュエルの場数といえば、ファントムのバンドはFABULOUS PERFUMEにしてもまだまだだと思う所もあるが、端的に言ってしまえばそれだけだ。
15年前に戦ってきた俺達にしても、Artemisや他のバンド。
それこそクリムソンの奴らやユーゼス達にしても、今の奴らには敵わない所もあるし、尊敬する目で観て色々と思う所もある。
「ん?まぁそうだろうな。俺達もバンドをやってきたって自負もあるしな」
ははは、そんな事しか言えないな。
俺達は
タカも拓斗も梓も澄香も後世には凄いミュージシャンだったぞ感出してるし。
最近はボロ出てるけどな。
「タカさん達の職場や晴香さん、トシキさんの職場はもちろん、翔子さんの学校にも話は通しています。今年のライブ大会には学生のみ。それもガールズバンドのみという縛りはありますが…」
「わかったよ。姫咲ちゃん。
俺達に今の…俺達にとっては次世代か。そのバンドの音楽を観て聴いてほしいって事だな?」
「…はい。さすが英治さんですわね。話が早くて助かりますわ。どこぞの男とあの方とは違いますわね」
どこぞの男ってのはタカだろうな。あいつは結局やるくせにブーブー言いそうだし。
…あの方って誰?梓ではないだろうし、日奈子なら喜んでやりそうだし…。翔子はそもそも教師だから…ってなると澄香か?
あー、あいつは拓斗以外のミュージシャンは良い箇所しか見えないヤツだから、他のバンドを批評とかってなるとやりにくそうだわな。
「ああ。わかった。後世の奴らを酷評するつもりでライブ大会しっかり観させてもらうぜ」
「いえ、別に酷評前提という訳ではありませんが。
まぁ、お願いいたしますわ。あ、それで今年のライブ大会は参加希望が多くて予選から行われる事になってまして………」
タカやトシキ、拓斗はどうすんのかわかんねぇが、三咲はやる気満々だし、梓や日奈子にしてもやる気だろうな。
…この地域の学生によるライブ大会か。
もしかしたら、三咲が射手座のレガリアを託した天音ちゃんって子にも会えるかも知れねぇな。
-数日後
「はぁ…何で俺がそんな事を…」
「葉川も文句ばっか言ってないでさ。せっかくだから文化祭楽しもうよ」
「それで?実際俺達はどうしたらいいのかな?」
文化祭まで後数日という日になっていた。
ここにはBREEZEとArtemisのメンバーと三咲に含め、秋月グループの会社の代表として姫咲ちゃんと、タカと同じ職場であり仕事というていで文化祭に参加する渚ちゃんと木南さん。同じように職場に手を回された綾乃と奈緒ちゃん、沙織までが居た。
後数日って何でこんな曖昧なんだろう…。
「そうですわね。皆様には文化祭を楽しんで頂きたい。そして自分達の青春時代を思い出して死ぬ程悶え苦しんでほしいと思う気持ちもありますが」
何で俺達の青春は思い出したら悶え苦しむ前提なの?
「文化祭は来週の月曜日から土曜日まで計6日間開催されます。月曜日、火曜日に各ステージを用意された学校でランダムで予選が行われ、土曜日に決勝大会が開催されますわ」
6日間も文化祭があるのか…この時期に…。
大学進学希望の学生さん達には大変だな。
「皆様には各学校へ分かれて参加して頂き、私達世代のバンドを観て頂きたいんですの」
「私達世代って…あれ?もしかして私って今の世代にカウントされてなかったりします?」
「奈緒!言わないで!私もそれは思ったけど言わなかったのに!」
「おっちゃん達はアレだし、真希や沙織さんはバンド経験者はそれなりにあるだろうけど、私なんてバンド初心者なのに…」
「皆様の言い分はわかりますが、これでも一応皆様の会社には『お仕事』という形で文化祭への参加をお願いしておりますので、形だけでもライブ大会を観て頂きたいんですのよ」
「私の職場は楽器の卸し会社だし、ライブ大会を…っていうのはわかるけど、葉川くん達の職場や佐倉さんの職場は関係ないのでは…?」
何だかんだと話をしてはいるが、姫咲ちゃんの話によれば文化祭を合同でやるのは全部で8校。
その中で予選が行われるのは、姫咲ちゃんと美緒ちゃんの学校以外の6校で、そこで上位に選ばれた2バンドで最終日の土曜日に美緒ちゃんの学校で決勝大会となるらしい。
「あ、この学校ってタカとトシキと三咲の母校じゃねーか?」
「え?あ、ホントだ。懐かしい~。出来ればそこには行きたくないね」
「私やタカくんはともかく何でトシキくんも…」
決勝大会は姫咲ちゃんも審査側で参加する事は出来るが、まだ学生だから最終日以外は自分の学校で行事参加が必要らしい。
そこで俺達から2人ずつに予選を観に行ってほしいとの事だった。
まぁ、決勝大会も俺達は全員観には行くけどな。
ちなみに姫咲ちゃんの学校で予選が行われないのは、姫咲ちゃんの学校は近隣の小学校や幼稚園の生徒を招待して演劇大会が行われるかららしい。
「そういう訳で皆様『お仕事』としてよろしくお願いしますわね♪」
姫咲ちゃんの独断で、俺、タカ、トシキ、拓斗、梓、日奈子、三咲、奈緒ちゃん、渚ちゃん、綾乃、木南さん、沙織の12人は2人ずつのチーム分けをされ、来週から行われる文化祭に備えるのであった。