バンやろ外伝 -another gig-   作:高瀬あきと

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第9話 周年記念じゃないよね?

ザー…ザー…

 

 

私はとある教室の窓から外を眺めていた。

室内に響き渡る雨の音。

それ以外の音は何一つしない。

 

私は

 

「ふぅ…」

 

窓の外を眺めながらタメ息をついてしまった。

 

「姫咲お嬢様」

 

「あら?澄香さん、どうしました?」

 

窓の外の景色を見ていた私は、澄香さんの呼び掛けに応えるように室内へと目線を移した。

 

「いえ…。しかし…こういう日が続くと少し気持ちが鬱々してしまいますね」

 

「…!?そ、そんな事ありませんわ!わ、私はこういう日々も大好きですわよ!

ただ…ほんの少し…ほんの少しだけですけど、外に出たくなる気持ちもありますわね」

 

私の今の気持ちを澄香さんに見透かされている。

それが気恥ずかしくもあり、慌てて否定してしまいましたが、澄香さんにはそれも見透かされているような気がして、素直に今の気持ちを伝えた。

 

私の反応を見て言葉を聞いた澄香さんは、ただ黙って私に微笑みかけてくれていた。

 

ザー…ザー…

 

「あのさ、姫咲…。ちょっといいかな?何で俺達はここに呼ばれたの?」

 

「春太、とうとうツッこんじまったか…。何故かこの教室に呼ばれて、俺達は澄香さんの私設部隊の方達に無理矢理この席に座らされてから、秋月と澄香さんの小芝居に付き合わされてるだけだしな」

 

「姫咲ー!私もせっかくだから文化祭を回りたいって思ってるんだけど!ってか、それより何でこんないい天気なのに、ミュージックプレイヤーで雨の音を流してるの?」

 

「ふぅ…私はこんなにも憂いているというのに…。私は気持ちを汲んでくれない春くん、情緒を重んじてくれない結衣、察しの悪い松岡くんに辟易としていた」

 

「いきなりこんな所に呼ばれて、訳のわからないまま座らされて…どう気持ちを汲めって言うんだろう…」

 

「情緒?あたしそんな情緒ないような事言ったっけ?それより姫咲は何でモノローグ風に喋ってるの?」

 

「…大方察しはついてるんだけどな。また変な茶番に付き合わされるんだろ…。せっかく5周年記念の時のケツの傷も癒えてきたってのに…」

 

私の名前は秋月 姫咲。

Canoro Feliceという楽しいや幸せを世に伝えるバンドのベースを担当している。

いつの間にCanoro Feliceはそういうコンセプトのバンドになりましたの?確かに幸せを届けたいというコンセプトではありましたが…。

 

「それで秋月。俺達は今回は何をやらされるんだ?場合に寄っては逃げ出したいと思うが、お前と澄香さんが居る限り逃げ出すは不可能だろう。だったら要件だけを手短に済ませてくれ。クラスの催し物の手伝いもあるしな」

 

「クラスの催し物の手伝いですか。フフ、以前の松岡くんからは想像出来ない言葉ですわね。Canoro Feliceはこういう方向にも松岡くんの心境や行動の変化にも役立ってますのね。私はそんな松岡くんを見て微笑ましい気持ちになった」

 

「何だこれ?新手の羞恥プレイか?秋月はモノローグで言えば済むような事を何で口に出してんだ?」

 

「んー?何でだろう?」

 

「きっと何かイライラするような事があったんじゃないかな?俺達はただそのイライラの捌け口に呼ばれただけじゃない?」

 

「さすが春くん。察しが良くて助かりますわ」

 

「……ごめん。結衣、冬馬。俺はどうもやらかしてしまったみたいだ…」

 

「そうか。ただ何かに鬱憤が溜まってるから、その捌け口にされてるだけか。精神面のダメージはあるだろうが、肉体的ダメージは無さそうだな。安心したぜ」

 

「え?え?春くんもまっちゃんも何を言ってるの?」

 

今年の文化祭。

私はもう3年ですので、今年が高校生活最後の文化祭となります。

何か思い出を残したい。私の爪痕をこの学校に残したい。

 

そういう想いから、私は今年の文化祭は近隣の高校で合同で文化祭を行い、その各学校でしか行なわれない伝統ある催しを、みんなで参加出来るようにしようと思い、私は柄にもなく奮闘しました。

 

私の学校では演劇部による演劇。

美緒さん達の学校では軽音楽部による音楽大会。

はたまた他の学校では大食い大会やダンス大会、吹奏楽大会など…。

その学校の生徒でしか楽しめないというのは、とても勿体ないとも思いましたから…。

 

私はこの高校生活の3年間。

これからの経済の為の勉強と淑女として恥ずかしくないようにマナーの勉強、習い事や家の家訓を守る為に、日々精進して参りました。

その代償に、普通の女子高生が楽しむような娯楽や、友達との思い出などと無縁な生活を過ごしていました。

 

「娯楽とは無縁…。おかしいな。俺と姫咲が出会ったのはゲーセンのはずなんだけど…」

 

「俺ともよくゲーセンで対戦してたしな。いつも俺が負けていたが…」

 

「あれ?姫咲ってよくキュアトロのライブに行ってたんじゃなかったっけ?」

 

「毎日勉強?私の見てない間に?そもそも秋月家の家訓とはいったい…」

 

春くん達と出会いCanoro Feliceを始めてから、私の中で青春がまさに始まった。

だから私はこの合同文化祭で…うぅ…。

 

「何で姫咲のモノローグが聞こえてくるんだろう?こんな事初めてだ。正直帰りたい…」

 

「自分の中に入りこんで俺達のツッコミを無視してるしな。あの澄香さんまで疑問に感じてるんだ。今なら逃げ出せるんじゃねぇか?」

 

「そろそろ架純との待ち合わせ時間になるし、私も早めに切り上げたいんだけど」

 

「いやぁ、姫咲お嬢様が何を言ってるのかわかりませんが、冬馬くんも結衣ちゃんも逃がさないですよ」

 

「冬馬も結衣ももう諦めなよ」

 

「やっぱり詰みか…」

 

「えぇー!せっかく架純と文化祭を楽しもうと思ってたのにー!」

 

この合同文化祭の音楽大会にCanoro Feliceで参加し、そしてたくさんの生徒の方達に、私達の演奏を聴いて頂きたかった!

 

それなのに、合同文化祭なのだからと、参加出来るバンドは各学校の生徒に限られ、私達Canoro Feliceは参加する事が出来なくなってしまいました。

せめてその腹いせにと、女性のみで構成されているガールズバンドのみ参加可能という事にし、Ailes Flammeが参加出来ないように仕込んだのですが、何故か発案者である私が審査員までさせられる事になり、合同文化祭の企画者としての仕事、審査員としての事務作業に追われ、文化祭自体を楽しむ時間を失う事になってしまった。

 

「ガールズバンドのみ参加可能にしようって言い出したのは姫咲だったのか…」

 

「Ailes Flammeの奴らも演奏したかったろうに、いい迷惑だよな」

 

「姫咲めちゃくちゃ腹いせって言っちゃってるね」

 

「まぁ補足しますと、姫咲お嬢様の独断と腹いせによる判断だけじゃなくて、美緒ちゃん達の学校は女子校やし、その伝統は守りたいって向こう側の理事さんの要望もあったんですけどね」

 

 

-パンパン!

 

 

春くん達が何かごちゃごちゃ話しているようですが、私は手を2回叩いた。

私もこのまま愚痴っている訳にもいきませんものね。

そろそろ本題に入らせていただきましょうか。

 

「姫咲が無言のまま手を鳴らしたよ…」

 

「とうとう始まるんだな…」

 

「ねぇ澄ちゃん。今日は何をやらされるの?もう痛い事はないよね?」

 

「実は私も今日は聞かせて頂いてないのですよ。痛い事はないよね?と、聞かれましても、正直、痛い想いをしなかったら良いですね。としか言えません。申し訳ございません」

 

「澄香さんにも話していないような事が…」

 

「そうか…ヤベェ、涙が出てきた」

 

「ええええええ…どうしよう…」

 

皆さんは何をまだごちゃごちゃと…。

しかし、遅いですわね。

 

 

パンパン!

 

 

私はもう1度、先程より大きな音が出せるように手を鳴らした。

 

 

-ガチャ

 

 

「ハァ…ハァ…お、お呼びですか…?お嬢様…ハァ…ハァ」

 

「あ、綾小路さん?」

 

「生徒会長…」

 

「わぁ。しっきーだ!こんにちはー!あれ?まだおはようかな?」

 

私達の居る教室に入って来たのは、私達Canoro Feliceのチューナーであり、私達の学校の生徒会長でもあり、私の秋月家の執事として働く綾小路 四季さんだ。

 

「四季。どうしましたか?姫咲お嬢様の前でハァハァハァハァと興奮して…。ハッ、おっぱい星人である四季が姫咲お嬢様を見て興奮する訳がない…!まさか、結衣ちゃんを見て!?」

 

澄香さん?

確かに胸の話をされると結衣に比べたらとは思いますが、私もそれなりにはありますからね?

 

「ち、ちが…ハァ…ハァ…ん…ふぅ…。

違いますよ!私は一応、姫咲お嬢様の執事である前に、この学校の生徒会長やってるんですから。今日は申請になかった変な模擬店とか出てないかの見回りをしてたんですよ」

 

「ああ、なるほど。それで姫咲お嬢様の呼び掛けに応じて、急いで制服から執事服に着替えて、ここに馳せ参じたって事ですね?」

 

「そうですよ。生徒会のメンバーに言い訳して持ち場を離れて…本当に大変だったんですから。姫咲お嬢様も生徒会メンバーなのに、合同文化祭の責任者で生徒会の仕事出来ないから、ただでさえ人手不足ですのに」

 

「フフ…フッフッフ…」

 

「澄香さんが笑い出したよ」

 

「ああ、いつもの事だな」

 

「まさに笑止!」

 

「お姉様!?」

 

「え?笑止?澄ちゃん今笑ってたよね?」

 

「四季、その程度で息を荒げるとは情けない。それでも私の私設部隊のソルジャーですか?」

 

「…!?も、申し訳ございません、お姉様。返す言葉もございません」

 

「私なら20秒。…いえ、それはさすがに言い過ぎですね。私なら姫咲お嬢様の手が鳴ってから180秒以内に着替えを済ませ、この場に立っていたでしょう」

 

「…クッ、も、申し訳ございません…」

 

「(待って。何で20秒から180秒に言い直したの?澄香さんでもさすがに無理って思ったの?)」

 

「(180秒って事は3分だろ?秋月が最初に手を叩いてから3分は経ってないと思うんだけどな)」

 

「なるほどね。しっきーもまだまだって事だね」

 

「ええ…。結衣さんの仰る通りでございます。その胸に抱き締めて慰めてはいただけませんか?」

 

「え?胸?」

 

「ですが四季。貴女はまだまだ若い。私から言わせてもらえば、四季なんてまだ小学校を卒業してから10年も経ってない少女のようなもの。猛るのです!精進するのです!それが貴女をまたCanoro Feliceのチューナーとして一皮も二皮も剥けさせるのです!」

 

「お姉様…私、猛りますわ!」

 

「(そりゃ高校3年だからね。小学校卒業してから6年くらいだもんね)」

 

「(それって音楽関係あんのか?チューナーとして一皮も二皮も剥けるって何だ?そもそも猛るとは?)」

 

「えへへ、私もギタリストとしてまだまだな所あるし!しっきー!一緒に頑張っていこうね!」

 

ああ、なるほど。

これが春くんと松岡くんがよく言っている澄香さんの小芝居ですか。

する側ではなく、初めてされる側に回った訳ですが、確かに面倒くさいししんどいですわね。

 

「そんな事より四季さん。私が依頼した資料は持って来て下さってますか?」

 

「もちろんでございます。姫咲お嬢様に依頼されました事を調べ上げ、こちらに居るメンバー全員分に渡りますようコピーした資料を持ってきております」

 

「仕事が早くて助かりますわ。それでは早速みんなに配って下さい」

 

「かしこまりました」

 

四季さんはどこからか鞄を取り出し、そこに入っていた小冊子を私達に配ってくれました。

おそらく適当にコピーしたのでしょう。全員に手渡しても余っている数札の小冊子は、急いで隠すかのように四季さんは鞄にしまいました。

 

それを見た澄香さんは目を閉じながら、「フッ」とお笑いになってましたが、ここでまた小芝居が開始されても面倒くさいし時間を取るだけですので、私は澄香さんより先にと口を開いた。

 

「それではこちらの資料は皆様に行き渡りましたわね?さっそく表題に目を通して欲しいのですが…」

 

「『AmaterasuとBreak Bellの調査報告書』?姫咲、これって…」

 

「Amaterasuって確か葉川さんのレガリアってのを受け継いだってボーカルが居るバンドで、Break Bellが宮野さんと梓さんが絶賛してたバンドだよな?」

 

「私も直接ライブ観た訳じゃないからよくわかんないんだけど、たぁくんも三咲さんも、たっくんもあずあずも絶賛してたよね」

 

「この報告書。よく調べてあるようですね。四季、いつの間にこんな事を?」

 

「先日、ファントムで葉川さん達のお話をお伺いした後すぐに姫咲お嬢様より私達に勅命が下されまして」

 

「…私達に?あれ?四季だけにじゃなく?貴女達って一応私の私設部隊やんね?何をそんな勝手に…」

 

本当にこの僅かな時間でよく調べてくれましたわ。

さすが澄香さんに鍛えられた私設部隊の方々ですわね。

 

「ではまず1ページ目を皆様に見て頂きたいのですが…」

 

「ちょ、ちょっと待って!取り敢えずいいかな?姫咲」

 

「まずはAmaterasuの本城 天音さんについてですが…」

 

「いや、姫咲。お願いだから話を聞いて?」

 

私は春くんの発言を無視し、このまま話を進めようとしましたが、春くんはそんな私の発言を書き消すかのように叫んだ。

 

「いや…この訳のわからないまま話を進められる訳にはいかないとは思ってるけど、別に叫んだりはしてないからね」

 

「しようがありませんね。やむを得ません。致し方なく春くんの話を聞きましょうか」

 

「どんだけ俺の話を聞くのが嫌なの?

まぁいいや。えっとさ、俺も確かにAmaterasuやBreak Bellってバンドは気にはなってるけどさ。姫咲が面白がって調査をしたのも納得はいってる。そして、俺達はただ単にその面白そうだからみたいな事の巻き添えにされたのも納得はしてないけど、理解はしているよ」

 

「なら何も問題はないではありませんか。概ねは春くんの仰る通りですわ」

 

「いや、あのさ、これって今日じゃなきゃダメかな?今日は俺も音楽大会は無いとはいえ、文化祭を楽しみたいと思ってたし、結衣は架純さんとの約束もあるし、冬馬に至っては自分のクラスの催し物もあるだろうしさ」

 

なるほど。そういう事ですか。

 

「わかりました」

 

パンパンパン

 

私は手を3度鳴らした。

 

それから少しの時間が過ぎてから…。

 

-ガチャ

 

「ちょ、な、何なんですか貴女達!?ケホッ」

 

私達の居る教室の扉が開かれ、元Blue Tearのセンターであり、現Lazy Windのギタリスト兼ボーカリストである御堂 架純さんが教室内へと放り込まれた。

 

おかしいですわね。

架純さんは喉の調子が良くないので、くれぐれも丁重に連れて来ていただくようお願いしておりましたのに。

 

「わ!?架純!?大丈夫!?」

 

「うん、結衣ありがとう。大丈夫だよ。

結衣との待ち合わせ場所に居たら、サングラスをしたスーツ女子に囲まれて…」

 

「サングラスをしたスーツ女子に…私の私設部隊の子達かな?」

 

「着いて来てくれたら、タカさんのBREEZE時代のブロマイドをくれるって言うからつい…ゴホッゴホッ」

 

安心しましたわ。

どうやら丁重に連れて来てくれたようですわね。

 

「四季さん。架純さんにもこちらの調査報告書をお渡ししていただけますか?」

 

「え?ああ、はい。わかりました」

 

そして四季さんは架純さんに、AmaterasuとBreak Bellの調査報告書を手渡してくれました。

 

「え?何これ?AmaterasuとBreak Bellの調査報告書?Amaterasuって確かタカさんの…。あ、それより結衣達Canoro Feliceはここで何やってるの?文化祭は?」

 

「すみません架純さん。正直、俺達もここで何をやらされるのか、何をやっているのかわからないんです」

 

「俺も春太と同じくッス。せっかくの文化祭なのに」

 

「それより!架純はたぁくんのブロマイドをくれるからって、私との待ち合わせをすっぽかしてここに来たの!?」

 

「だって…1枚だけじゃなく使用用と保存用と観賞用の3枚くれるって言うから…」

 

「あ~…そっか。それならしょうがないね」

 

しょうがないんですの?

 

「それに結衣も結局ここに居たし、会う事は出来たから結果オーライじゃない?」

 

「それもそうだね」

 

たまに結衣と架純さんって、どんな修羅場をくぐってきたんだろう?とか思っちゃいますわね。

大体の事には動じませんし…。

 

「まぁいいですわ。これで結衣の問題は解決。松岡くんのクラスの催し物も代理の方がやってくれているので解決」

 

「なっ!?代理だと!?何を勝手に…!」

 

「後は春くんの問題だけですが、レガリアを持つAmaterasuは今後クリムソンに狙われる可能性も捨てきれませんし、今後のファントムの、私達Canoro Feliceにとっても大切な話だと思っています。

春くん個人が文化祭を楽しむのと、今後の話。どちらが大切だと思いますか?」

 

「ず、ずるいだろそういう言い方!」

 

「それに今日この事をここで話し合いをするのには、ちゃんとした理由もありますのよ」

 

「ちゃんとした理由?」

 

「ええ。もちろんです。

何も運営の仕事が忙しくて、周りのみんなが文化祭を楽しんでいる事に不満を感じて、八つ当たり的な意味だけで集めた訳ではないのです。まぁ、7:3(ななたいさん)くらいの割合ですわね」

 

「どっちが7でどっちが3なんだろう…」

 

「諦めろ春太。文化祭は明日からも日曜日まではあるさ。日曜日は…まぁほとんど片付けだろうが…」

 

「パラパラ~っと、この報告書読んでみたけど、すごく調べてあるよ。この話し合いは私にとっても有意義な時間になると思う」

 

「え?架純?ほんとに?この報告書ってそんなすごい感じ?」

 

「さすが四季。いえ、私の私設部隊。いえ、それをまとめて鍛え上げた私が凄いんでしょうが、確かにこの報告書は素晴らしいものです」

 

「お姉様さりげにめちゃくちゃ自分を持ち上げてますよね」

 

さて、これで問題なくこのミーティングを開始出来そうですわね。

明日の金曜日は明後日のライブ大会の準備で忙しいでしょうし、今日しか時間もありませんしね。

 

「では、話が長くなってしまいましたが、これよりこのまま報告書を元に、AmaterasuとBreak Bellへの対策会議を始めさせていただきますわ」

 

「対策会議!?」

 

「おい、秋月。AmaterasuとBreak Bellは別にクリムソンって訳じゃねぇだろ。Amaterasuに至っては葉川さんのレガリアを受け継いでるし、海原に狙われてたって話だしよ」

 

「あ、なるほど。そこですか」

 

どうやら澄香さんはお気付きになられたようですわね。

 

「そこって?澄ちゃんは何かわかったの?」

 

「ええ。まぁ、アレですよ。姫咲お嬢様はAmaterasuがタカからレガリアを受け継いで更に海原に狙われている。そこであまりにもメインバンドなのにCanoro Feliceの出番が取られないかって心配してるんですよ」

 

「ああ…姫咲らしいね…」

 

「何だそれ?そもそも前回の話で江口も似たような事言ってなかったか?江口の場合は、まぁ、Amaterasuを守る為ってのもあったが、秋月の場合は本当に単に出番が欲しいだけだろ」

 

「松岡くん、黙りなさい。そして澄香さん。

もう少しオブラートに話してくれませんか?そうも的確に言われてしまいますと…」

 

「わ、澄ちゃん当たってたんだ?」

 

「Canoro Feliceってご当地ヒーローの曲やったり、意外とこの話の中でライブをやってる方だと思うんだけど…ケホッケホッ」

 

「御堂さんの言う通りですよね。姫咲お嬢様に至ってはライブない時も出番多いですし…。お姉様もCanoro Felice関係とArtemisの方で出番多いですしね」

 

「姫咲お嬢様は目立ちたがり屋ですしね~…」

 

「皆様、黙りなさい。

AmaterasuとBreak Bellを私達ファントムの味方にしても、敵に回る事になってしまったとしても、私達は彼女達を知っておいた方が良いと言っているのです!

それに彼女達は今年の周年記念の際に、澄香さんとタカさんの企画バンドによる番組で、ゲストとして収録に参加する予定となっています!その前に彼女達の事を知っていた方が良いでしょう!」

 

「ちょっと待って下さい姫咲お嬢様!何ですかそれ!私聞いてないんですけど、タカは承諾してるんですか!?」

 

「澄香さん?何故タカさんの承諾が必要なのですか?」

 

「いや、だって私とタカの番組ですし…」

 

「あの企画バンドはSCARLETのバンドです。そしてそのSCARLETの社長は日奈子さん。そして、SCARLETの最大出資者である秋月家の私!その2人で決めた事ですから絶対ですわ!」

 

「何て横暴な…。それなら日奈子の企画…は、旅行番組だから無理か。いや、でも梓の企画番組ならいけるじゃないですか!そもそもバンドをゲストに呼んでなっちゃんがMCでやるトーク番組じゃないですか!」

 

「本来なら私もそうしたかった所なのですが、まだセットも完成してませんし、まだ渚さんと睦月さんとで、コント用…おっと失礼。番組用の制服のデザインを決め兼ねてる所なのですよ」

 

「企画バンドの番組か。俺達は番組の方はまだ何もしてないけど、ダンスのレッスンはたまにしてるかな」

 

「うちも番組の方はまだだな。でも、さすが佐藤さんと神崎さんと言った所で、俺達に足りない要素を的確に教えてくれてるぜ」

 

「私達の企画バンドって何かしてるっけ?」

 

「そういや何もしてないよね。どうなってるんだろ?」

 

日奈子さんも弘美さんもアイドルをやる気満々でしたのに、まだ何もやってないんですの?

 

「まぁ、そんな訳で明日この場所、この教室で公開撮影をする事になっています。私の権限で既に番組関係者や観覧者の準備も整っていますわ。澄香さんもタカさんとの2人の共同企画をこんな形でみんなに公開するのは不本意でしょうけど諦めて下さいませ」

 

「いつの間にそんな手回しを…タカと私の共同作業が公開されるなんて…」

 

「秋月も澄香さんも何を言ってんだ?葉川さんも澄香さんも出演しないし、番組に出演するのは雨宮達だろ」

 

「姫咲は澄香さんが喜んで協力するように、わざわざタカさんとの…って言い回しを選んだんだろうね。現に澄香さんはわざわざ共同作業って言い直してるし」

 

「タカさんとの…共同…作業…///」

 

「あれ?架純は何で顔を赤くしてるの?何かえっちぃ事考えてる?」

 

結衣は何故共同作業で顔を赤くする架純が、えっちぃ事を考えてるという発想になったのでしょう?

 

「では!澄香さんにも納得いただけた所で…」

 

「い、いや、納得はしてないですよ!?」

 

「私達Canoro FeliceがどうすればAmaterasuやBreak Bellより目立つのか会議を始めます!」

 

「「「「「主旨が変わってるー!?」」」」」

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