バンやろ外伝 -another gig-   作:高瀬あきと

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第12話 ありがとう6周年!

わいわいガヤガヤ…。

 

わいわいガヤガヤって描写ってめちゃくちゃ古いなって、前にCanoro Feliceの一瀬さんが言ってた気がするけど、本当に古いよね。

 

あたしの名前は雨宮 志保。

どういう訳か今回もあたしのモノローグになったりしちゃっているので、昨日までは今年の周年記念はどんなのやるんだろう?って楽しみにしていたあたしも、3年前のトラウマが甦ってきて、正直、周年記念とかやれる精神状態にない。ごめんなさい、もうしません。

 

「あの子達がタカさんにレガリアを託されたAmaterasuと、タカさんの音楽を思い出させるBreak Bellのメンバー…という訳ね」

 

「り、理奈!?ご、ごめんなさい!もうしません!だから何卒!何卒お許し下さい!」

 

「志保?貴女は何を言っているの?公開収録だからってそんな緊張する事もないでしょう?」

 

あ、ヤバ。

普段は理奈と居ても何ともないのに、周年記念の話だと思うと…。

 

「まぁ、いいわ。私達はこれから収録を一緒にするのだし、挨拶をしてくるわね」

 

あ、挨拶か。あたしも嫌な先輩とか思われない為にも挨拶くらいはしてた方がいいか。こないだの文化祭の時にAmaterasuとは一緒だったし、少し挨拶もしたけどゆっくりは話せてないし。

 

正直この周年記念でどんな恐怖を体験する事になるんだろう?って事で不安で頭いっぱいだったし失念してたよ。

 

「うん、あたしも理奈と一緒に行くよ」

 

「あ、あたしも挨拶しとこうかな。収録はほとんど志保と美緒ちゃんがメインみたいだから、あんまり絡みないだろうけど、あたしも仲良くしたいし」

 

そう言って香菜があたしの理奈の間に入ってきた。

正直理奈と2人きりになるのは怖いという気持ちがあったけど、香菜が間に入ってきた事によって恐怖心は倍増された。だって恐怖体験したの3年前にこの3人で居た時だもん。

 

「こんにちは、私はDivalのベーシスト理奈と申します。本日は公開収録という短い時間かとは思いますが、よろしくお願いしますね」

 

早速、AmaterasuやBreak Bellのメンバーに挨拶をする理奈。正直びっくりした。

あたしは理奈の事だから『あなた達がAmaterasuとBreak Bellね。タカさんのレガリアを受け継いだというから、どんなバンドかと期待していのだけれど、まだまだケツ青いひよっこ達じゃない。せいぜい私のお芝居の邪魔にならないように気を付ける事ね』とか喧嘩腰で挨拶すると思ってたのに…。

 

「だよね。あたしも理奈ちは『あなた達がAmaterasuとBreak Bellね。タカさんからレガリアを受け継いだという事は、貴女達は…いえ、グダグダここで喋っていても時間の無駄ね。いいわ、今からデュエルをしましょう』とか言い出したらどうしようと思ってたから、安心したよ~」

 

ああ…やっぱ香菜も理奈はそんな感じで喧嘩売ると思ってたんだね。

ってか『だよね』って何?あたしのモノローグまた筒抜けなの?

 

って思ってたら、あたしも香菜も思いっきり理奈に睨まれた。ごめんなさい、もうしません。

 

「「あ、あの!す、すみません!本来なら私(あたし)達の方から挨拶に伺わせていただくべきでしたのに!」」

 

「クスッ、そんなのは気にしなくていいわよ。緊張もしているのでしょうし…。それよりそんなに綺麗にハモッて、とても仲が良いのね」

 

「あ、天音…///」

 

「結月ちゃん…///」

 

「ゆっくりお話でもしたい所ではあるけど、もう少しで本番も始まるしこれだけ伝えておくわ。

緊張もあるでしょうけど、気楽に収録に挑んで頂戴ね。先輩風を吹かせる訳ではないのだけど、私も収録とかは経験もあるし、困ったら私達を頼ればいいわ」

 

「はい!ありがとうございます!

理奈さんの経験もあるしって、やっぱcharm symphonyの時のですよね?あたしはlunaちゃん推しだったんですけど、charm symphonyの曲はよくカラオケで歌わせてもらってます!」

 

「ちょっ…真凛さん!推しは別の人ならわざわざ言わなくても…」

 

「いいわよ。全然気にしてないわ。lunaのファンだったのね。あの子が聞いたらきっと喜ぶわ」

 

「ほら、理奈さんも気にしないって言ってくれてんじゃん!でもあたしcharm symphonyならspirareが好きだったんですけど、あれってカラオケに入ってないから、めっちゃ悔しくって~」

 

「…!?

そう。spirareが好きなのね。とても嬉しいわ」

 

あ、確かspirareって理奈がcharm symphonyの時に作詞作曲した曲だったような…。

 

 

-ピンポンパンポーン

『これより生徒会準備室で、株式会社M&S協賛の元、ライブハウス、ファントムで活動するミュージシャン達による音楽番組の公開収録が行われます。お時間のある方、ご興味のある方は…』

 

 

あ、もう収録の始まる時間か。

そっか。SCARLETって名前出せないから、日奈子さんのやってるゲーム会社の方のM&S協賛って名目でやるんだっけ。

 

「そろそろ時間みたいね。それでは収録の準備をしましょうか」

 

「あ、あの…理奈さん!」

 

「?何かしら?」

 

「あの…公開収録では言わないつもりだから…今しか言う機会がないと思って…。いや、あの、その…収録後とか、もしこれからもお付き合い出来るなら…とも思ってるんですけど、先に言っておかなくちゃと思って…」

 

「どうしたのかしら?もう収録が始まるのだし、時間もあんまりないのだけれど、ゆっくりでいいから話して頂戴」

 

「あ、ありがとうございます。えと…私、私は本城 天音って申します…。そ、それで、えっと…射手座のレガリアを三咲さんに託していただいて…」

 

「もちろん知っているわよ。でも、レガリアがどうとかそんな事よりも、貴女は貴女らしく歌いなさい。レガリアの後継者ではなく、Amaterasuの天音というミュージシャンの歌を私は楽しみにしているわ」

 

「も、もちろんです。私らしく、私が好きな音楽で好きな歌を歌うつもり…ですけど、射手座のレガリアの使い手だったタカさんや、大神さん。そして、その大神さんとバンドをやっていた氷川さんの…理奈さんのお父さんにも顔向け出来るように、私は頑張ります。

私が楽しいって思う音楽と歌で、みんなが楽しいって思ってくれるような音楽を…私達はやっていきます!ですから…その…上手く言えないんですけど…」

 

「さっきも言ったけど、本城さんが本城さんらしく歌っていくのなら私は応援するわ。そして、本城さん達がタカさんや大神さんや父はもちろん、私達Divalにも負けないような、そんなバンドになる事を私は期待もしている。こんな言い方はおこがましいと思うのだけれど、ずっと見ているわ。待っているわよ」

 

「は、はい!ありがとうございます!」

 

「天音があんな事言うなんて…。なんか…本当にレガリアの後継者に相応しくなってきたね」

 

「結月もうかうかしてらんないわね」

 

結局あたしも香菜も挨拶らしい挨拶は出来なかったけど、収録の時間になりそうだからと、あたし達は観覧客が通されるより前に定位置へと移動した。

 

観覧席の前の方は、万が一、客入りが悪かった時の事も考えて、ファントムのミュージシャンがサクラとして陣取っている。

正直Ailes Flammeの連中の前で、演技とかするのは恥ずかしいけど、もし笑われるようなら後日しばけばいいしとあたしは腹を括った。

 

撮影現場に入った時に思った事がいくつかある。

まず案の定Ailes Flammeの奴らも目に入ったし、出演するメンバー以外のファントムのバンドメンバーはほぼ全員が居た。

 

ほぼ全員というのは、何故かBREEZEのメンバーは貴もトシキさんも拓斗さんも英治さんも居なかったからだ。

そして保母さんであるまどかさんも、◯学生である初音も平日だから当然いない。

 

そして観覧席のど真ん中でGlitter Melodyのマスコットでありチューナーでもあるグリメロちゃんが、おぞましい牙の隙間からヨダレを垂らし、ハァハァと息を荒らげながらビデオカメラを回していた。正直怖い。

 

あたしはそっと撮影現場を見てみる。

 

何故かサングラスをかけ、これでもかってボリュームたっぷりのルーズソックスを履き、上着をロールアップさせて、指貫グローブを着け、シャツをだらしなく着崩してネクタイを緩め、机に足を乗せ、噛んでいるガムをたまに膨らませたり割ったりしながら『オーイェイ、オーイェイ』と呪文のように繰り返し喋っている栞が目に入り、何故か企画バンドでは別のバンドであるはずのさっちが当然のように席に座っていて、『え?何で私はこの場所に座らされてますの?』って不思議そうな顔をしながらキョドっている姫咲さんが居た。

 

って!

さっちと姫咲さんがステージ側に居る事にもびっくりだけど、栞のあのキャラ何!?

今までも何度か企画番組の収録したけど、あんたそんなキャラじゃなかったじゃん!

 

栞の席の隣という設定の香菜が恐る恐る自席に座り、栞に声を掛けていた、

 

「し、栞?ど、どしたのかな?あんたらしくないっていうか…。えっと…そのキャラ何?」

 

「オーイェイ」

 

話し掛けらてもそれしか言わないんだ…?

 

 

-キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン…

 

 

あ、チャイムの音だ。

このチャイムが撮影開始の合図って言ってたよね。

少し気になったので、チラっとだけ観覧席を見てみると、何人かの一般の生徒さんも観に来てくれていた。

 

あたしは美緒と一緒に進行役っぽいところもあるし、気を引き締めて失敗しないようにしなくちゃ。

 

「ガラガラガラガラ…ピシャ」

 

そう言いながらドアを開けて教室に入ってくる理奈。

いつもこの収録の時に思うんだけど、台本には『理奈;ガラガラガラガラと扉を開けて、ピシャっと扉を閉めて教室に入る』って書かれてるだけだし、わざわざ台詞で言わなくてもいいと思うんだけど…。

 

それにしても今日の理奈は英語教師役か…。

いつも理奈先生って設定なのに何でいつも担当教科が違うんだろう?

 

前は物理の先生や現国の先生とかやっていて、物理教師のような一言とか、現国教師のような一言とか台本に無茶振りが書かれてて、『実に面白い』とか『今でしょ!』とか言ってて大丈夫なのかな?と心配したものだけど、今日はもっとヤバい事に、台本には日本語で書かれてる理奈の台詞は(英語で)と書かれている。

多少は歌詞作りで英語も使ってはいるけど、日常会話の英語と歌詞の英語は全然違うしね。

 

「ハロー、エブリワン」

 

「「「「ハ、ハロー、ミス理奈(オーイェイ)」」」」

 

挨拶は普通だったね。

ってか栞は挨拶でも『オーイェイ』しか言わないの?

 

「……ソレデェは、トュデイはジュギョーのマウェにミナサァンに連絡がアリマース」

 

喋れてない!

英語で喋れてないよ理奈!

そりゃあたしもそんな高何度な英語無理だけどさ!

もうinterludeの青木 リュートみたいになってんじゃん!

 

「oh!そのマウェにミス美緒」

 

「は、はい!?」

 

「トュデイは髪を結んでいるのデスね。ベリー似合ってマァス。ビューティホービューティホー」

 

「あ、ありがとうございます。

理奈さんに褒めらるとか今日は髪を結んできて良かった…。てか、それよりさすが理奈さんだね。まさか英語もこんなにペラペラ喋れるなんて…なんて尊いんだろう(ボソッ」

 

美緒は理奈の事になるとアホになる呪いでもかけられてんの?

ってか、理奈も美緒の髪型より他に気になる所いっぱいあるでしょ!?

何故かさっちと姫咲さんもいるし、栞の格好は変だし!

 

「デハ、トュデイの連絡デスが、何と!トュデイは!留学生のスチューデントが来てくれてマァス!エブリワン、クラップでお迎えクダサァイ!」

 

そう言って拍手をする理奈。

クラップを拍手する意味で使うならクラップスとか複数形にした方が…まぁいいか…。それより栞はスルーするんだね。

 

そして『し、失礼します』と天音が言って、教室に入ってくるAmaterasuとBreak Bellのメンバー達。

 

「彼女達はこのゴウドゥ文化祭で音楽大会のファイナルステージまで残ったアムァテラァスと、ブルェイクベェルの方達デェス」

 

え?何て?

ちょっと大事なバンド名が聞きづらかったんだけど…。

 

「と、そのマウェに、ナズェ、このアムァテラァスとブルェイクベェルが、数あるライブ大会の参加バンドの中で、この番組の番組のゲストにノミネートされたのか、まずは説明させて頂きたいと思いマァス」

 

あ、ここであたしが理奈にこの質問を振られて、何でAmaterasuとBreak Bellだけがライブ大会の参加バンドからゲストに呼ばれたの説明するだよね。

 

よし、公開収録だし撮り直しなんて出来ない。

失敗しないようにしなきゃ。

 

「デハァ、ハイ!ミス栞!」

 

「オーイェイ」

 

「イェス!イェスイェスイェス!ブラボブラボー!」

 

そう言って拍手をする理奈。

 

え!?ちょっと待ってよ!

ここは『デハァ、ハイ!ミス志保!』ってあたしに振られるとこだったじゃん!?

何で栞に振ってんの!?

それに栞もオーイェイしか言わないし、理奈もイエスじゃないよ!何がわかったの!?

 

「ミス栞の言う通り、今回のライブ大会の参加バンドには、申込書に将来の希望するミュージックオフィスや、将来の展望を書いていただきましたが、アムァテラァスとブルェイクベェルは、私達ファントムに所属するのを希望すると書いて下さったので、特別に番組にオファーさせていただきました。ハイ、クラップクラップー!」

 

 

\\ワァー!パチパチパチパチ!//

 

 

待って、みんな拍手してる所悪いけど、あたし全く拍手する気になれないんだけど。

あたしの最初の見せ場は潰されるし、結局理奈が説明してるし!

ってか、理奈ってこういうの嫌いじゃなかったっけ!?

こういうバラエティ的なノリも嫌いだったから、charm symphonyの事務所辞めたんじゃないの!?

 

「と、言う訳で、今回のライブ大会に出ているバンドのエブリワンの中で、彼女達が今回タマタァマ選らばれただけという事なので……。

今回はゲストに呼べなかったバンドの皆さんにも、いつかこの番組に出ていただけるように私達も頑張りますので、皆さんにもいつかこの番組に出たいと思っていだけたら、私は嬉しいです」

 

あ、ここ…理奈のアドリブだよね。

今回はたまたま選らばれただけです。ってだけの説明で締めて、AmaterasuとBreak Bellの自己紹介に入る予定だったし。

さすが理奈、場馴れしてるだけあるよね。こういう機転の利いたことはあたしには出来ないっていうか…。

 

「デハァ、早速デェスがアムァテラァスのリーダーであり、ヴォーカルゥのミス天音から自己紹介してもらいましょう。ソレデェハァ!アムァテラァスのエブリワン!お願いシマァス!まずはミス天音」

 

ここは進行通りにいくんだね。

てか、出演者も観覧席のみんなも、何で誰1人としてこの理奈を見て笑わないの?あたし結構我慢してるんだけど、みんなも我慢してるの?

 

「あ、えっと…Amaterasuってバンドでボーカルをやらせてもらってます天音と申します。

えっと、た、誕生日は12月19日のA型で…好きな食べ物は砂ずりです…。必殺技とかはないんですけど、苦手な食べ物はいっぱいあって…人参とかピーマンとか…で、でも、一生懸命食べられるように頑張りますんでよろしくお願いします!!」

 

\\ワァー!パチパチパチ//

 

いや、ちょっと待って!

あたしも拍手しないと空気読めない奴かな?って思われそうだから拍手したけど、バンドを頑張るんじゃなくて、嫌いな食べ物を食べられるように頑張るって言っちゃってるよ!?緊張しすぎじゃない!?

しかも女子高生で好きな食べ物が砂ずり!?ツマミじゃなくて!?いや、砂ずり美味しいけどね!そよ風行ったらあたしも食べるけど!!

 

「スンバラスィ自己紹介でした。では次はアムァテラァスのギタリスト…ミス真凛いってもらおうかしら」

 

落ち着けあたし。

本来なら進行役はあたしと美緒なのに、どんどん理奈が進行していっているけど、自分の仕事が減ったと思って喜ぶべきなんだ。うん、きっとそうなんだ。

 

「あたしはAmaterasuのギタリストで真凛っていいます。誕生日は5月1日のB型です!ゴールデンウィークの祝日の合間の平日に誕生日だからいつも誕生日は激萎えで~。好きな食べ物は甘いイチゴで嫌いな食べ物は酸っぱいイチゴ!必殺技ってのは特に思い付かないけど、あたし昔から多趣味で色んな事に手を出してて、全部それなり~って感じだったんですけど、ギターだけは全然そんな事なくて、奥が深いっていうか色んな音出せたら嬉しくなるっていうか。だから、あたしギターに激ハマりしてバンド始めたって感じです!」

 

\\ワァー!パチパチパチ//

 

「え!?自己紹介って誕生日とか食べ物の事だけじゃなくて音楽の事も言って良かったの!?」

 

「そりゃそうですわよ。天音は自己紹介を何だと思ってますの?」

 

「いや、天音の自己紹介もある意味斬新で良かったんじゃない?これバンドの番組だけど」

 

「す、すずちゃんも結月ちゃんも辛辣だよ…。どうしよう…あのボーカル食べ物の事しか話してないとか思われてるよきっと…あ、お腹痛くなってきた…」

 

まぁ天音の気持ちもわからなくないかな。

台本には自分の担当パートと名前、誕生日と血液型と好きな食べ物と嫌いな食べ物と必殺技を言って下さい。ってだけ書いてあるし。

……てか、必殺技って何なの?

 

「ミス真凛の自己紹介もとてもスンバラスィかったデェスね。甘いか酸っぱいかイチゴは食べてみないとわからない。まさに諸刃の剣といった所デェスね。

では、次はベーシストのミス蘭。貴女の自己紹介をお願いシマァス」

 

今のイチゴの件いった!?

 

「あー…あたしはAmaterasuのベーシストの蘭。誕生日は8月21日のAB型。好きな食べ物はハヤシライスで嫌いな食べ物は骨を取るのがめんどくさい魚。必殺技はダークネスフィンガーなら出来ると思う。

んでー、あたし本当はバンドやるつもりなんかなくてー」

 

え?バンドやるつもりなかった?

みんなドヨッてしてるじゃん。

 

「って言うのも、あたしばぁばの妹ばぁばに昔からベース習ってて、あたしのまわりもデュエルギグ野盗達も全然あたしの敵じゃなくて…ベースやってるのは楽しいけど、誰かとデュエルとかセッションとか全然つまんなくてさー」

 

ばぁばの妹ばぁば?

お祖母さんの妹さんって事かな?

 

「でもそんな時にまりんにBlaze FutureとDivalの対バンに無理矢理連れてかれてー」

 

Blaze Futureとあたし達の対バン?

それってあたし達のデビューライブの時じゃん。

 

「そん時に観たせーかと、りなせんせーのベース対決。めちゃくちゃ奮えてドキドキワクワクした。あたしにはとても出せそーにない音とか、あたしならこーするのにって思った時に紡がれた意表を付いた音。一音一音があたしにはしょーげきてきだった」

 

「ワタァシと盛夏の?」

 

いや、理奈先生、そこは普通に私で良かったんじゃないでしょうか?

 

「ほうほうほう。あの時か~。なかなか見所のある娘っ子ですなぁ~。でも好きな食べ物はカレーじゃなくてハヤシかぁ~」

 

「そんでバンドやデュエルにきょーみ出た時。あまねの歌を聞いて、あたしが欲しかったのは、求めてたのはコレだってすごくゾクゾクした。だから今はAmaterasuが楽しー。楽しーからバンドやってる」

 

「蘭ちゃん…そんな風に思ってくれてたんだね。私もすごく嬉しいし、すごく楽しんでAmaterasuやってるよ。私の歌には蘭ちゃんのベースがすごく大切。

でも…蘭ちゃんもそんなすごい事をこの自己紹介で言っちゃうんだね。私がどれだけ薄い人間なのか浮き彫りにされちゃってるよ…うぅ…余計お腹痛くなってきた」

 

「とても…いいえ…、ちょっと待って頂戴ね。

ン、ンン…。oh!ベリーベリー!スンバラスィ自己紹介でした!エブリワン!クラップクラップ!」

 

\\ワァー!ウォー!パチパチパチパチ//

 

理奈…。そんな無理して役作りしなくても…。

いや、あれかな?逆に元charm symphonyだから、あたし達を気遣って無理して嫌な事もやってるとか?

あかん、ダメだ。さっきの蘭の話もいい話だったのに、これが周年記念の話だからって、余計な事ばっかり考えちゃう…。

 

「デハァ、次はキーボード?ドラマー?さぁて、どちらにしようカヌァ~?テェンのゴッドの仰るがままに~。ハァイ!次はドラマーのミス輝美。ミス蘭のような感動的なストーリーを期待してマァス」

 

「何で私の時にそんなハードル上げるんですか!?」

 

あの輝美って子も可哀想に…。

公開収録だから何か考える時間も、NG出したり撮り直しも出来ない状況でこんな無茶振りされるなんて…。

…本当に理奈はバラエティに出るの嫌だったの?

 

「あ~…えっと…私はAmaterasuのドラムを担当させていただいている輝美っていいます。誕生日は10月24日でO型です。好きな食べ物はペペロンチーノとか…意外と思われるかもですけど、ニンニクがガッツリしたのが好きでして…。き、嫌いな食べ物は特に思い付かないです。あ、ゲテモノ系とかは無理かもです。あ、あはは…そ、それで必殺技かな。必殺技は…意外と思われるかもですけど早口言葉が得意です!よろしくお願いいたします!」

 

「…それだけかしら?」

 

「それだけかしらとは!?」

 

「あの…特にないのであれば、無理とは言わないのだけれど、遠慮せずに今しか言えないような事を言っても構わないのよ?あ、別に振りとかじゃないわよ?」

 

「めちゃくちゃ無茶振りじゃないですか!?理奈先生は何で今は流暢に日本語喋ってるんですか!?」

 

ホント輝美には同情するわ。

さっきまでの…天音以外の自己紹介は良かっただけに、テンプレだけじゃ帰れないよ。って言ってるようなもんだし。

 

「えっと…あるには…あるんですけど、後で個人的にお礼の意味を込めて言いたかったっていうか…」

 

「ホワッツ!?ミス輝美!今、何と仰いましタ!?あるにはある!オーイエス!それ言っちゃいマショー!」

 

理奈…何が理奈をここまで駆り立てるの?

 

「さすが理奈さんだね。番組進行を上手く誘導して新たな発見を見出だす。私の進行じゃここまでは…クッ、勉強させてもらいます。理奈先生!」

 

本当に美緒は理奈が絡むとアホになるの?

 

「えっと…私が本格的にドラムをやり始めたのは高校に入ってからでして…。あ、高校受験の為に塾に行ってた時に帰り道の楽器屋で店員さんに教わりながら、たまにドラムを叩いたりはしてたんですけど…」

 

へぇー、って事はドラムをしっかり叩き出したのは本当に最近なんだ?

 

「それで…そもそも何で塾の帰りにドラムを叩くようになったのかというと…そ、そちらにいらっしゃる香菜さんに助けていただいたのがきっかけでして!」

 

「へ?あたし?」

 

香菜に助けてもらった?もしかして香菜がデュエルギグ野党狩りをしてた時かな?

でも、当の本人である香菜はさっぱりわからないって顔をしている。

 

「えっと…話が少し長くなってしまうんですけど…」

 

あ、もしかしたらここからはあたしのモノローグじゃなくて、輝美の回想シーンに入る感じかな?

 

 

 

ある日の塾の帰り道…。

私はちょっとわからない所があったので、残って先生に質問したりしてて…いつもより帰りの時間が遅くなってしまいました。

 

「うわぁ、もうこんな時間だよ…お父さんもお母さんも心配してるかも…」

 

急いで帰ろうと思い、その日はいつもの明るい安全な道とは違うちょっと暗い道を走って抜ける事にしました。

その道はお化けが出るとか妖怪が出るとか、闇の世界に引き込まれるとか…色んな怖い噂のある道でした。

 

でも、走って抜けてしまえば大丈夫。

私は自分にそう言い聞かせて、その道を通る事にしました。

 

そして特に何かが起こる事もなく、お化けに出くわすような事もなく、いつもの道に辿り着く事が出来ました。

 

それからは家までいつも通っている道だから、安心していたんですけど、そんな時にデュエルギグ野党に襲われました。

 

「ヘッヘッへ、お嬢ちゃん可愛いねぇ。そんなお嬢ちゃんのカバンに俺の元バンドの売れ残りのステッカーを貼ってやるよ!それもめちゃくちゃ余ってるから2枚もな!」

 

全然私の趣味じゃないステッカーを、私のカバンに貼ろうとするデュエルギグ野党。

私は恐怖で動く事も声を出す事も出来ないでいました。

 

「待ちな!そのデュエルあたしが請け負うよ!」

 

その時に現れたのが香菜さんでした。

香菜さんはデュエルギグ野党をあっという間に倒し、そして、名前も告げずにその場を去っていかれました。

 

 

 

 

「そして私はその時にドラムを叩いていた香菜さんに憧れて、ドラムに興味を持ってドラムを叩くようになりました。本当に趣味っていうか…叩いているだけって感じだったんですけど…。

でも、志望校に無事入学が出来て、真凛さんと天音さんにバンドに誘われた時はびっくりしましたけど、蘭さんと同じように、真凛さんにBlaze FutureとDivalの対バンに連れていってもらって、香菜さんを見て、名前も覚えて…あの人といつか同じステージでドラムを叩きたいと思ってバンドを始めました。あ、あはは、な、長くなっちゃいましてごめんなさい」

 

「う…うぅ…」

 

「理奈先生!?何で泣いてるんですか!?あ、あれ?よく見たら香菜さんも紗智先輩も姫咲先輩も明日香先輩も泣いてるし!」

 

「ソーリー。まさか自分で無茶振りをしておいて『全米が泣いた。そして私も泣いた。ウィズユー』とかキャッチが付きそうな長編エピソードが語られるとは…グスッ」

 

「あたしが…あたしがやってたデュエルギグ野党狩りは、こんな超新星のきっかけになってたんだね…グスッ…あ、あはは、ガ、ガラにもなく涙が出てきちゃったよ。あ、もちろん嬉しくてだよ」

 

「拓斗…お父さん、お母さん…私も…私も復讐とか恨みとか…そんなのじゃない楽しい音楽を…やれるように頑張るから…遠い空から私を応援しててね。グスッ」

 

待って待って待って待って待って!

ツッコミ所多すぎでしょ!

さっきの輝美の話の怖い道の噂の方が気になるし、香菜に助けてもらった話の方が薄かったし!

 

てか、あたしも香菜に一応助けてもらったって話やったじゃん!香菜がDivalに加入する大事な話だったのに誰も泣かなかったじゃん!

それに輝美はデュエル挑まれたんじゃなくて、ステッカー貼られそうになったって事でしょ!?それで『そのデュエルあたしが請け負うよ』って助け方もおかしいし、それってもうただの変質者案件じゃん!刑事事件じゃん!

それがさも感動話のようになって何でみんな泣いてるの!?

 

それに明日香のお父さんとお母さんに遠い空から見ててって何!?まだ亡くなってると決まった訳じゃないでしょ!?そこに何で拓斗さんの名前も入れてるの?拓斗さんめちゃくちゃ元気じゃん!

 

「それでは、最後にキーボード担当のミス涼風。貴女の自己紹介をお願いシマァス!」

 

「フッ、やっとワタクシの番ですわね。しっかり観て聴いているのですよ!天音!」

 

「結月ちゃんどうしよう?私、全然大した事言えてないよ。Amaterasuのリーダーってめちゃくちゃ薄いじゃん。あ、影も薄いわ。とか思われてたらどうしよう…」

 

「タカさんもネガティブだったらしいけど、射手座のレガリアってネガティブになる呪いでもかかってるの?あ、でも話に聞く矢沢さんも大神さんもネガティブって感じじゃないよね?」

 

「…まぁ、いいですわ。

コホン、ワタクシはAmaterasuでキーボードを担当させていただいております涼風と申します。誕生日は11月11日B型ですわ。好みの食べ物は牛肉。焼いても煮ても蒸しても好きですわね。嫌いな食べ物は特に思い付きませんが、強いて言うのであれば味の薄い物は好まないですわね。必殺技は…天音への荒ぶる愛の力ですわ!」

 

「そういや結月ちゃんは自己紹介で何を言うかもう決めたの?」

 

「あー、まだ悩んでるかな。あたしらは多分次回の話になるだろうし、母さんの事言うべきかも迷ってるっていうか…でもあたしらのルーツには必要だし?」

 

「結月と話し込んでワタクシの話を聞いていない…ですって…!?あんなにたからかに愛を語りましたのに!

クッ、まぁいいですわ。何故か天音への愛を語る時は変な力が働くのか、天音には届かないというのはこの数ヶ月でよくわかりましたし。

さ、これでワタクシの自己紹介は…」

 

「それで?」

 

「は?」

 

\\そーれーで?そーれーで?//

 

「何で会場一体となってそれで?コールをしてますの?」

 

「凄いなぁ。さすがすずちゃんだよ。私なんて食べ物の事しか喋ってないのに、すんなり終わっちゃったし…。

きっとこいつはチンチクリンだから絵にならないし、さっさと終わらせようって事だったんだよ…うっ、お腹が…」

 

「いや、きっと真凛のせいでしょ。あの子が台本通りの事だけで終わらせてたら、こんな自己紹介に尺取ってなかっただろうし…確かに天音はチンチクリンだけど…」

 

「ほ、ほら!結月ちゃんもやっぱり私の事チンチクリンって思ってるんじゃん…」

 

「そうは思ってるけど…あたしはそんな天音が…可愛くてその…好き…だから///」

 

「わ、私だって!いつもかっこよくて、優しくて…そんな結月ちゃんが…す、好き///」

 

「天音…」

 

「結月ちゃん…」

 

「こいつら何でワタクシの自己紹介中にイチャイチャしてますの?しかもワタクシの天音と…(ギリッ」

 

何だか大変そうだな。どこのバンドも。

 

「まぁ今はいいですわ。ワタクシはあいにくそんな面白いような話や感動的な話は持ち合わせてませんの。ですが、天音の音楽性や歌(そしてとてつもなくワタクシの性癖を刺激するような可愛さ)に惹かれバンドをやっているだけですので」

 

今あの子()でものすごい事言わなかった?

 

「あの…涼風さんに質問いいですか?」

 

「oh!ミス美緒!今は残念ながぁるぁ、クエスチョンタイムではないので、クエスチョンは後にしていただきたいのですが…ですが特別に!スペシャルに!ミス美緒のクエスチョンを許可シマース」

 

「あ、ありがとうございます。

理奈さん…こんなみんなの前で私の事を特別な人だなんて…」

 

言ってない。理奈は特別にとは言ったけど、特別な人とは言ってないよ。やっぱりアホになる魔法か何かをかけられたの?

 

「あの、Amaterasuのみんなは私の学校の後輩ですし、天音さんとは特に1学期の頃に何度か話した事もあるんですけど…」

 

「何が言いたいんですの?ワタクシではなくて天音への質問ですの?」

 

「いや、そうじゃなくて、真凛さんも蘭さんもたまにギターケースとかベースケースとか持ってたから学校でも見掛けた記憶もあるんですけど…」

 

「だから何ですの?」

 

「涼風さんには学校で会った記憶なくて…。あ、もちろん私の後輩ってのを疑ってる訳じゃなくて…」

 

「要領を得ませんわね。ワタクシは特に部活動もやっていませんし、1年の教室からそんな出たりしてもいません。たまに音楽室には伺ってましたが、佐く……美緒先輩とは特に接点もありませんし、会うこともなかったとワタクシも記憶してますわ。音楽室と軽音楽部の部室は棟も違いますしね」

 

「だよね…やっぱりそうだ」

 

「はい?やっぱり?何を言ってますの?」

 

「いや、涼風さんって、私とお兄さんがよく行くラーメン屋の店員さんじゃないですか?こうやって直接話してわかったんですけど、どこかで会った事がある気がずっとしてたんですよね」

 

「ラ…」

 

「え?すずちゃんがラーメン屋の店員?」

 

「スズがバイトしてるのは知ってたけどラーメン屋だったん?どこのラーメン屋?みんなで食べ行くし!」

 

「はて?すずかって何かシャレオツなカフェでピアノの弾き語りしてるとか言ってなかった?」

 

「だ、だよね。私もそう聞いてたけど…私達で応援しに行くって言っても、すごく高いお店で大人の人ばかりだから…って…」

 

「(ナァァァァァ!?全国放送の番組の公開収録で何をとんでも発言をしてらっしゃるの!?た、確かにラーメン屋でバイトしてますが、髪型やメイクも変えてますし、わざわざ学校から遠い店でバイトしてましたのに!ラーメン屋とか言うのワタクシのイメージと違いますから、天音達にも内緒にしてましたのに!そういえば失念していましたわ!タカさんと美緒先輩でよくウチの店に来られてましたのに!)何の話ですの?」

 

「いや、いつも美味しいラーメンをありがとうございます。って言いたくて」

 

「(全くもって今言う必要ないじゃありませんの!何で今言うんですの!?この番組関係ないじゃありませんか!それにワタクシはメニュー聞いたりお料理を運ぶだけで調理はノータッチですし!ありがとうなら店長に言ってくれません?きっと喜びますので!)…多分、人違いですわ」

 

「え?そんな事ないと思うんですけど。どことなく豚骨の芳ばしい香もしますし」

 

「(豚骨!?ワタクシから豚骨の匂いがしてますの!?こ、香水は最近はお高くてちょっと…で、ですが豚骨臭いって事はないはずですわ!!え?ないですわよね?)それはワタクシから豚骨臭がするという事ですか?初対面…というのは学内で会った事もあるでしょうから確信も持てませんが、それはさすがに失礼ではありませんこと?」

 

「え?何で豚骨臭が失礼なの?むしろ褒め言葉じゃない?」

 

「(この人はさすがいつもいつもニンニクやらニラやらを山盛り入れるだけありますわね!てか、普通にJKに『あ、今日は豚骨臭がしますわね。素敵な香りですね』なんて言おうものなら、こいつ喧嘩売ってんの?って思われると思いますわよ!だから、ワタクシから豚骨臭がするのは気のせいと仰って下さいまし!)話にならないですわね。ほかに質問はありませんの?」

 

「結月ちゃん…豚骨の匂いってするかな?」

 

「スンスンスン…ん~、あたしはわかんないかな」

 

「(結月ぃぃぃぃぃ!ありがとうございます!ありがとうございます!!今この時だけ天音とイチャつくのを許可しますわ!……あ、ちょっと天音に近くありませんこと?サービスタイムはもう終わってますのよ?)ほかに質問がないのでしたら、次はBreak Bellの番ですわね」

 

豚骨の匂いか…。

美緒が言うって事は涼風はラーメン屋でバイトしてるんだろうね。美緒とタカのラーメンに対する嗅覚は半端ないし。

でも何だって涼風はラーメン屋でバイトしてるのを言いたくないんだろ?

 

「理奈先生。美緒先輩は何か勘違いされているようで、質問には答えられないのですが、他に質問がないようでしたら、ワタクシは戻らせていただきますわね」

 

「ラーメン屋のバイトもいいと思うのだけれど…まぁ、隠したいのなら今は別にいいわ。今度美緒ちゃんと食べに行かせてもらうわね(ニコッ」

 

「まぁ、美緒先輩の勘違いでしょうけど、ワタクシがラーメン屋で働いているとしたら、いらっしゃいました際にはサービスでもさせていただきますわ(この人…理奈さんは間違いないですわ…かなりのドSですわね。隠したいってわかっておきながら何でそんな笑顔でその台詞を言えますの…?ってか、さっきサービスしますと言いましたがごめんなさい。来ないで下さい)」

 

「……ソウデースね!デハァ!次…ネクストはBreak Bellのミナサーンに自己紹介してもらいまショウ!」

 

理奈は本当に何処に行こうとしてるの?

めちゃくちゃ無理矢理イントネーション変えてるけど、理奈の世界の英語教師ってそんな人なの?

 

「ではワタクシは戻らせていただきますわね(良かったですわ。何とかうやむやに出来ましたわね。これ以上、変な質問が来たりしたらワタク…

「あ、すみません、私からも質問ですわ」

って何ですってぇぇぇ!?姫咲ちゃん!?あ、今は姫咲先輩って呼んだ方がいいですわね?)」

 

「oh!ミス姫咲。残念ながぁら、ネクストはBreak Bellのタイムなのデェス。…デェスガ!ここは私の特権で!ミス姫咲のクエスチョンを許可シマース!」

 

「理奈先生、ありがとうございますわ」

 

「(って何でですのぉぉぉぉぉ!どうせ!どうせ!許可されるのでしょうね!って思ってましたが!

『残念ながぁら』って理奈先生が仰った時点で、少し安心しましたのに特権って何ですの特権って!)姫咲先輩ですか?何でしょう?」

 

「私と涼風さんは、昔馴染みの幼馴染みだったと記憶しています。まぁ、ある時を境にあんまり会える機会がありませんでしたので…今日、久しぶりにお会いした訳ですが…」

 

「幼馴染み?はて?覚えがないのですが…(もちろん覚えてますわよ!貴女の無茶振りのせいで何度死にかけたと思ってますの!?あちらにいらっしゃる澄香さんがワタクシ達を見てくれていた時は優しいお姉ちゃんみたいな感じでしたのに、澄香さんが姿を消してセバスちゃんが教育係になった頃あたりから、優しいお姉ちゃんがただの困った独裁者になったじゃありませんの!忘れたいトラウマも未だに悪夢として見る事もありますわ!)」

 

「覚えていらっしゃいませんの?」

 

「秋つ……姫咲先輩のご実家は有名ではございますし、ワタクシの実家とも昔は交流もあったとは思いますが、ワタクシと姫咲先輩は歳も2つですが離れてますし、昔の事…となると、あまり接点もないのでは?と思うのですが…」

 

「一緒にお琴を学んだり、日本のこれからの政治について語り合ったり、一緒にお料理に挑戦したりした事も覚えていらっしゃいませんか?」

 

「ええ。全く身に覚えがありませんわ(って本当に覚えがないのですけど!?お琴!?お琴なんかワタクシやった事ありませんし、政治について語るとか、今ならまだしも幼少時に語り合う訳ないじゃないですの!

え?カメラが入ってるからって自分の事持ち上げていらっしゃいます?スイカ割りをやりたいとか貴女が言い出して、秋月家代々伝わる兜をスイカ代わりにして叩き割ったり、チャンバラがしたいと言って真剣を取り出して、うちのメイド達を血塗れにした血のバレンタインの惨状を今ここで語りましょうか!?)」

 

「残念…ですわ」

 

「きっと人違いですわね(何でそんなしょんぼりと残念そうな顔をしてますの!?ワタクシがめちゃくちゃ悪者みたいじゃないですか!?そもそも貴女の記憶は改ざんってより模造されてますし!……クッ、まぁいいですわ。これもうやむやには出来た事ですし、次はBreak ベ「あ、はいはーい!私も質問でーす」って、今度は麻衣ちゃん!?)」

 

「oh~…ミス麻衣。とてもとてもベリーベリー残念デェス…。ミス麻衣は残念ナガァラ、トゥデイは観覧ゲストですので…」

 

「どうせ許可されるのでしょう?だったらさっさと終わらせたいのですけど…」

 

「聞きまぁしたか!?ミス涼風からクエスチョンの許可がでまぁした。私は心苦しくも…ミス麻衣のクエスチョンを却下しないといけないと思っていたぁのでぇすが」

 

理奈。いい加減そのキャラはウザいと思われるよ?

あ、何かあたしのモノローグですら久しぶりな感じする。

 

「クッ、こ、この人は…。まぁ、いいですわ。麻衣先輩、質問は何ですの?」

 

「わぁ、観覧客だから質問なんか出来ないとか思ってたけど、やっぱり言ってみるべきだよねー。あ、カメラさん。私こっちですこっち」

 

麻衣…ただカメラに映りたかっただけじゃないよね?

 

「んじゃ、質問ね。

涼風ちゃんってさ?何でピアノ教室辞めちゃったの?あ、私も高校入ってからは辞めちゃったから偉そうな事言えないけど、私と毎年ピアノ教室の最優秀賞をどっちが取れるか勝負してたのに、私が小6で涼風ちゃんが小5の時が最後になって結局私の勝ち越しじゃん?来年こそ同率に並んで、中学になったら逆転勝ちしてやるーって意気込んでたのに」

 

「(今!公開収録の!生放送で!それを言いますか!?ちょっと家庭の事情っていうかクソ親父のせいで月謝が払えなく…クッ、わ、ワタクシだって貴女に負け越しって本当に悔しかったんですのよ!)…まぁ、ピアノに興味が失くなりましたので。それに大人の考え方になったのか、勝負で勝ちや負けなど、ワタクシにとってはどうでもいい事になった…。ただそれだけですわ」

 

「ふぅん、そうなんだ。あ、私からの質問は以上で~す」

 

「(興味薄すぎません!?他に言うことないんですの!?)さ、これで本当に終わりでいいですわね?」

 

そう言った涼風は、理奈の次の台詞を待つことなく、そそくさとバンドメンバーの方へと戻っていった。

これ以上質問されるの嫌だったんだろうね。

 

ってか、天音はよくわかんなかったけど、Amaterasuのメンバーって意外と濃いの多いね。

さりげにファントムのメンバーと因縁って言い方はおかしいかもだけど、何かしらの接点はあるわけだし。

 

そして理奈が『ソォレデハァ、一旦CMに入りマァス!』と言って少し間、休憩時間になった。

 

次はBreak Bellの自己紹介かな。

あたしは特に理不尽な暴力を奮われる事も、恐怖体験する事もなく安堵していた。

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