おかしい…。この公開収録の台本には私と志保が進行役と書かれているのに、私なんかほとんど発言していませんし、志保もモノローグばっかりで、進行は理奈さんがしている。
確かに女教師理奈さんというワードだけでも興奮するのに、実際に女教師に扮した理奈さんを目の前にして、進行役なんて出来る訳ないと思っていたからありがたいんだけど。
おかげで英語教師理奈さんを目に焼き付ける事が出来た。
私の名前は佐倉 美緒。
Glitter Melodyのベースボーカルなんだけど、ファントムの企画バンドでやる番組の収録をやっている。
正直、私としてはバンドを始めた頃から一緒に居るGlitter Melodyのメンバーや、その音楽が大事だとは思っているけど、企画バンドのPASTEL BEATのメンバーも曲も大事だし大好きです。
だから、こういった茶番劇も私の大好きな居場所って感じがして、結構やりがいも感じている。
そして先程…というか前回の周年記念のお話で、Amaterasuの自己紹介が終わり、次はBreak Bellの自己紹介という事で数十秒のCM休憩に入っています。
ただ私がこのCM休憩で気になっている事はひとつ。
先程休憩に入る前に…
『ふぅ…やっとCMね。みんなはゆっくり休んでいるのよ。私は次の教師役の為に着替えないといけないから、ゆっくりは出来そうにないわね』
と、言って理奈さんはこの教室から出ていった。
理奈さんが演じる次の教師はなんの科目の教師なのかは、台本からじゃわからないんだけど、今、この薄い壁の向こうで理奈さんが着替えをしていると思うと物凄く興奮します。
-キーンコーンカーンコー…
え!?もうCM休憩終わり!?
ちょっと早すぎない!?理奈さんもまだ戻って来てないですし!
そう思った時に私はハッとした。
『理奈さんがまだ戻って来ていない』
そうか。そういう事なんですね。
さっきまでのAmaterasuの自己紹介では台本とは違い、私と志保の進行役を理奈さんが請け負ってくれていた。
さっきの(前回の)理奈さんが自ら進行役をやってくれていたのは、私と志保に進行のお手本を見せる為だったんだ。
私はソッと隣の席に座る志保に目をやった。
…きっと志保も同じ考えなんだね。志保も私に目を向けていて、目が合った瞬間、コクリと頷いてくれた。
見てて下さい理奈さん。
私と志保は理奈さんからのバトンを受け取って、しっかりと番組の進行役をやらせていただきます!
私と志保は席から立ち上がろうとした。
「ガラガラガラガラ、ピシャッ」
「「え?」」
「コラァー!志保!美緒ちゃん!貴女達!何でチャイムが鳴っているのに席を立とうとしてるの!」
いきなりというか、いつものように教室に入ってきた理奈さんに、席を立とうとしていた私と志保は怒られてしまった。
怒りながら小道具の竹刀でバシバシと床を叩く理奈さん。
きっと体育教師なんだろうな、今回は。
いや、それより、半袖の運動着を来て、ジャージパンツのウエストにインしてるもんだから、薄手の運動着からでもわかる理奈さんの薄ブルーの下着が眩しい。
そして、控え目の理奈さんのお胸まで強調されている。正直興奮する。
だが、見所はそこだけじゃない。
トップスをインしているからこそわかる理奈さんの細いくびれに、引き締まったヒップ。
そして極めつけがジャージパンツをロールアップして穿いているもんだから、理奈さんの細く白いくるぶしが露出されている。
正直堪らない。この理奈さんの等身大ポスター…いや、等身大抱き枕が欲しいくらいだ。
何とか日奈子さんが理奈さんを説得して販売してくれないだろうか?言い値で買いますのに。
「では早速だが、Break Bellのみんなに自己紹介してもらおうか。パワー!」
…理奈さん。
確かに体育教師の台詞にはテンプレのようなわかりやすいワードは無いと思いますが、パワーって言うのはさすがに…。いえ、理奈さんの機転の良さを思いしらされました。
そこにシビれる!あこがれるゥ!
「ではBreak Bellのリーダー、ミス結月…じゃなかったわね。結月、よろしく頼む」
あ、さっきの英語教師もまだ抜けきれてないのですね。
「じゃあ、あたしから。
Break Bellでギターボーカルやらせてもらってます、結月です。誕生日は12月25日のクリスマスで、毎年誕生日とクリスマスプレゼントが一緒にされてました。あはは…天音よりお姉ちゃんのつもりでいたのに、実は天音より誕生日遅いとか…。
あ、それで、えっと、血液型はA型で好きな食べ物は牛丼です。嫌いな食べ物っていうのはないけど、好んで食べないのはお赤飯かな?昔から何か事があるとお赤飯ばっかりで、何となく嫌になったっていうか…」
「何だって!?Break Bellのボーカルは牛丼が好きだってのか!?」
「どうした渉。さっきまで静かに観覧してたのに急に」
「拓斗にーちゃんと梓ねーちゃんの話じゃ、あのBreak Bellのボーカルはまるでにーちゃんの歌い方思い出すって言ってただろ?」
「ああ、なんかそんな事言ってたな。聞いてて涙が出たとかな。俺もBreak Bellのライブは観てみたいと思ったぜ」
「Amaterasuのボーカルもにーちゃんのレガリア受け継いでるし俺のライバルって感じじゃん?」
「お、おう、そうなのか。お前のライバルは『BLASTの大和だけだぜ!』とか言うと思ってたんだけどな」
「それがBreak Bellのボーカルの好きな食べ物が牛丼ときたもんだ」
「ああ、だから何だ?」
「俺の大好物はカツ丼。牛丼とはライバル的な関係だからよ」
「そうか。カツ丼と牛丼がライバルってのは初めて聞いたわ。なら天丼とか海鮮丼とかはどうなるんだ?渉、頼むからこの公開収録は大人しく聞いてような」
「…ゴクリ。まさか、6年も経って奏さんや虎次郎以上のライバルが現れるとは思ってもいなかったぜ」
渉と亮が観覧席で何かブツブツ言ってるみたいだけど何だろう?
「それでバンドを始めたきっかけ…なんですけど、あたしの母が昔からBREEZEってバンドのファンでして…(うわぁ、あたし今全国放送で嘘ついちゃったよ…。別に母さんはBREEZEのファンでもなんでもないし。ただ友達だったってだけで…)」
「え?真奈美ってBREEZEのファンだったっけ?」
「三咲ちゃん、あたしと澄香の気持ち知ってるよね?その真奈美って子の話詳しく」
「ちょっと、梓も私を勝手に巻き込まないでよ。それで、三咲。その真奈美って子の事なんだけどさ」
今度は三咲さんと梓さんと澄香さんが騒がしいですね。
「まぁ、あたしはその影響でBREEZEのボーカルの方に憧れて、そんなボーカルになりたいって言うか、あの人みたいに思いっきり歌いたいと思ってた所に、ずっと幼馴染みで一緒に育ってきたメンバーとバンドをすることにしました。……そんな感じです。すみません、必殺技とかは…あたしには全然なくて…」
そう言って結月さんはメンバーの元への戻っていった。
澄香さんの施設部隊の方々が調べたっていう報告書には、結月さんのお母さんは真奈美さんという方で、小学校、中学校とお兄さんとトシキさんと三咲さん。
そして中学からは英治さんとは同級生だったって書かれてるから、私達は結月さんのお母さんとお兄さん達BREEZEがどんな関係だったのかはある程度は知ってますけど…。
「それだけなのかしら?貴女のお母様とBREEZEの…特にボーカルとの関係をもう少し聞きたいわね」
「はい!はいはーい!私も先輩なんかのファンだったって、結月さんのお母さんと先輩の関係知りたいでーす!」
「わ、私も知りたいです!私も母がBREEZEのファンで、 娘である私も…って共通点ありますし!結月さんのお母さんとBREEZEのTAKAさんとの関係知りたいです!」
「私も喉の調子が悪くて…ケホッケホッ、同じ喉が悪い者同士のBREEZEのTAKAさんと、結月さんのお母様の関係を詳しく聞かせて欲しいです!」
観覧席からめちゃくちゃうるさい質問が来てますね。
理奈さんは観覧席じゃないけど…。
全国放送中で撮り直しも出来ない公開収録で、理奈さんも渚さんもお姉ちゃんも架純さんも何を言ってるの?
架純さんに至っては『あ、観覧席に元Blue Tearの架純ちゃんが居る!』とかバレるリスクもあるでしょうし…。
まぁ、私も将来の義兄の事だからって結月さんのお母さんとの関係は少し気にはなりますけどね。
「うぇ!?母さんとタ、タカさんの関係!?
理奈先生も渚さんも奈緒さんも…っていうか架純さんまで!?」
まぁ、結月さんも困りますよね。
「あー、理奈?もう次の人行っちゃおうよ。このままだと話終わんないし…。
収録は滞りなくなく終わらせようよ。あたしもそれは結月にゆっくり聞きたいとは思ってるけどさ」
え?志保も?
「…確かに聞きたい話ではあるけれど、全国放送ってのはリスクが高いわね。
いいわ。次は夏希さんに自己紹介してもらいましょう。あ、さっきの所はカットでお願いしますね」
理奈さん…。公開収録ですからカットとか出来ないですよ…。
「ゆ、結月ちゃん!た、確かに結月ちゃんの方が私よりしっかりしてるとは思うけど、私よりお姉ちゃんのつもりでいたなんて!」
「あはは、でもあたしより天音の方が妹って感じするし」
「も、もう!で、でも私は一人っ子だし…。その、結月ちゃんならお姉ちゃんでも妹でも…って思うよ///」
「天音…。あ、あたしは兄貴も妹も居るし…。けど、天音みたいなお姉ちゃんもいいって思うし、天音みたいな妹も可愛いだろうなって…思う///」
「結月ちゃん…」
「天音…」
「貴女達はいつもそんな事ありませんのに、今日に限って何でイチャついてますの?カメラのせいで変なスイッチでも入ってますの?」
そしてBreak Bellのメンバーである夏希さんが前に出てきました。こんな茶番劇の後じゃプレッシャーですよね。
「あ、あはは…。えっと、私はBreak Bellでリードギターを担当してる夏希っていいます。
誕生日は6月2日で血液型は結月と同じでA型。
好きな食べ物はコンビニのおにぎりかな?新作があるとついつい手をのばしちゃいます。必殺技って言えるかどうかはわかんないですけど、大手コンビニとか近所のスーパーやモール限定なら利きおにぎり出来ます!」
利きおにぎりか。
確かにコンビニのおにぎりって各々に特徴ありますけど、近所のスーパーとかモールも含まれたらあたしには無理かもですね。
まぁ、この付近の私とお兄さんと美来さんの好きなラーメン屋の利きラーメンなら、レンゲ1杯分のスープの麺の2、3本あればわかる自信ありますけど。
あ、やっぱり嘘です。無理です。私の好きなラーメン屋のラーメンならしっかり味わって食べたいですので、きっとわからない振りします。
「それで?」
\\そーれーで?そーれーで?//
「あ、私の時もそれでコール入っちゃうんだ?」
まぁ、夏希さんもバンドのきっかけの話とかされてませんですしね。
「う~ん、私がバンド始めた経過はそんな大したものじゃないんですけど、結月がギター、あゆみがベースを弾いてるのは小さい頃からよく見てて…。結月とあゆみがBREEZEが好きってのは嫌って程見てきたから、いつか結月達もバンドとかやるのかなぁって漠然と思ってたんですよ。あ、私達Break Bellのメンバーは物心ついた時からの幼馴染みでして…」
へぇ、そうなんだ。
幼馴染みか。残念ながら私にはそんな存在居ないですね。
そういや恵美は渉と亮とは幼稚園の時からの幼馴染みなんだっけ?高校からは違うけど。
「それで私らずっと一緒だったんですけど、結月が私達とは違う高校を受験するって言い出した時に、なんか今まで一緒だったのにって寂しくなっちゃって…。結月が私達と違う高校にするって言ったら、琴子まで別の学校にするとか言い出しちゃうし…」
あれ?でも今はBreak Bellのメンバー4人共、同じ学校で同じ軽音楽部ですよね?
「それで何か私達の繋がりが欲しいと思って、私が結月達に提案してバンドをやり始めたって感じです。
まぁ、でも結月は志望校に落ちたから、結局今はみんな同じ高校なんですけどね」
「すみません、Break Bellのドラム担当の琴子です。
まだ私の番ではありませんが、口を挟ませて下さい。
私は結月と違って志望校にはちゃんと合格していました。ですが、結月も志望校に落ちて、結局みんなと同じ高校にするとなったので、私だけ違う高校は嫌だと思い志望校を辞退して、今の高校に通う事にしただけですので」
「な…夏希め…全国放送で余計なことを…。琴子まで…」
「結月はバカだからしょうがないわよね。天音と同じ高校を受験すると言い出した時には、あたしは落ちるだろうなって思ってたから、志望校変えるつもりなかったけど」
結月さんが天音と同じ高校?
って事は結月さんももしかしたら私の後輩になってたかもなんですね。
まぁ、自分で言うのもなんですが、うちの高校って割りと進学校ですしね。それで校風も自由だから人気校でもありますし。
…睦月は本当何で受かったんだろう?
「まぁ、私はそれでって感じです。ギターにしたのは、結月のギターをたまに弾かせてもらってたし、何かピピーンときたっていうか…。あ、でも今はもちろんギター弾くの大好きですんで!そんな感じです」
「確かに結月ちゃんより、なっきーの方がギター上手いけど、なっきーは感覚とか直感で弾いてるから、教えるのは下手くそだしなぁ~。やっぱりあたしの師匠は結月ちゃんしかいないっしょ」
「あの…真凛さん?それさりげなく結月さんに失礼だからね?」
ふぅん、なるほど。
天才肌タイプかな?ファントムでいうなら盛夏さんもそんな感じですよね。
「なるほど。とても素晴らしい自己紹介だったわ。バンドや音楽をやる理由は人各々だと思うのだけど、友達や仲間と一緒にという動機も私は尊重するわ」
理奈さん。
とても良い意見だと思いますが、その小道具の竹刀をバシバシしている音がうるさくて…。
今の台詞ちゃんと録れてるかな?
「では次は…」
「やっっっとあたしの番ね…!この全国放送で堂々と内山 拓実に宣戦布告をしてやるわ!」
「ホントに止めなよ、あゆみ」
「結月の言う通りだよ。ファントムの方と敵対しても私らにはデメリットしかないんだしさ」
「結月も夏希も甘いのよ!デメリットしかない!?そんな事ないわ!あたしが内山 拓実に勝てば、拓斗さんのIrisベースはあたしの物になる!」
「いや、だからレガリアもそうだけど、Irisベースも勝てば手に入るって物じゃないから…」
「それはわかってるっていうの!そもそもね…!」
「次はベーシストのあゆみ!自己紹介をお願いします」
「フッ、まぁ、いいわ。あんたら見てないよ。あたしの宣戦布告を!」
さっきからあの子。
めちゃくちゃでかい声で拓実の名前を連呼してるし、Irisベースがどうこう言ってますし。
拓実も色々大変そうですね。
「何であの子僕の名前をそんな連呼してるの?そんなに僕が拓斗さんのIrisベースを使うのが嫌なのかな…?」
「まぁ、今はそこは考えなくていいんじゃねーか?
何を今言ったり悩んだりしても、拓斗さんにベースを託してもらったのは拓実なんだしよ」
「そうだよ拓実くん。あの子の方が拓実くんよりベースが上手かったとしても、ベースの声が聞こえないとかだったら意味もないし」
「まぁ僕もまだ晴夜の声って聴こえてないけどね…」
ま、亮とシフォンの言う通りですよね。
Irisベースの声が聴けるかどうかってのも大切ですし、Irisベースは上手いからとかで託される物じゃないですしね。私も時々しか花嵐の声は聴こえませんし。
そして、あゆみって子がみんなの前に出てこようとした時、
「待ちなさいあゆみ」
「は?琴子、あんたもあたしに文句あんの?」
「文句があるのかどうかと聞かれれば、文句しかないのだけど」
「何?喧嘩売ってる?」
「それは内山さんに対する貴女の方でしょう?
自己紹介の前によく考えなさい。全国放送で拓斗さんが後継者と選んだ内山さんを否定したり、敵対するような事を言えば、拓斗さんの貴女への印象ってどうなるでしょうね?」
「……い、行ってくるわ」
さて、私はあゆみさん達の会話もバッチリ聞こえてた訳ですが、どういう自己紹介をするんでしょう?
確かにこの収録現場にはお兄さん達BREEZEは居ないといっても、番組自体は後から録画でも観れるでしょうし。
あくまでも拓実を敵視した自己紹介にするのか。
それとも拓斗さんの評価を気にして、当たり障りのない自己紹介にするのか…。
「あ、あたしはBreak Bellのベーシスト、あゆみっていいます。えっ…と、まずは誕生日だっけ。
誕生日は9月26日のB型で、好きな食べ物は和菓子…です。特にお餅系の和菓子が好きです。必殺技は特に思い付かないですけど…バンドを、ベースを始めたきっかけは…」
さて、本当にどう言うのか楽しみですね。
「結月のお母様…結月ママの影響であたしもBREEZEのファンに…ううん、結月ママにBREEZEのライブDVDを観せてもらった時に、BREEZEのベーシスト拓斗さんに一目惚れして憧れて…拓斗さんの演奏があたしには世界一かっこよく見えて…」
「わぁ♪さっすが拓斗くん!やっぱり拓斗くんの良さがよくわかってる子もいるんだねぇ~」
「え?拓斗のファン…?あの子もしかしてアホなの?」
「拓斗に憧れ…て?何で?拓斗のどこにそんな要素が?」
「ライブDVDを観て拓斗さんに…一目惚れ?どうしよう…ケホッ、あの子と拓斗さんを会わせたらあの子の夢を壊しちゃう…ケホッケホッ」
「拓斗くんが世界一…?う~ん、確かに見た目のいかつさとかファッションセンスの無さとかは世界一やなぁ」
「拓斗さんがかっこいい…か。わかる。僕も拓斗さんがめちゃくちゃかっこいいって思ってるもん」
何で梓さんと拓実しか肯定してないんでしょう?
澄香さんはまだわからなくもないですが、Lazy Windのメンバーの皆さんまで…。
まぁ、私も同じベーシストと言えど拓斗さんには、あんまり興味ありませんが。
「それであたしも拓斗さんみたいなベーシストになりたくてって感じですけど…い、今は…、今はAiles Flammeの拓実さんにも憧れてまして~。いつか本気のデュエルをしていただきたいと思っていますぅ~」
「え!?僕!?」
「以上であたしの自己紹介は終わりま~す」
なるほど。憧れているから、憧れの相手とデュエルをしたい。敵対してるって感じさせない上手い言い方ですね。拓実はどう受け取りましたかね?
「やるなー!拓実!お前ももう女子に憧れられるベーシストになったんだな!」
「さすが拓実。オレ達Ailes Flammeのベーシストはやっぱりお前しかいないぜ!」
「渉も亮もわかってて煽ってるでしょ?さっきからIrisベースどうこうって話してたみたいだし…」
「お?何がだ?」
「まぁ、渉は本当にわかってないかもだが、完全に宣戦布告だよな。そう言った意味でもオレはさすがって思ってるぜ?」
亮も拓実もわかってるみたいですけど、渉はやっぱりアホなのかな?明日香も紗智も恵美もあんなののどこがいいんだろう?
……え?何で明日香も紗智も恵美も私を睨んでるの?
「なるほどなるほど!素晴らしい宣戦布告…いや、自己紹介でした!では次はミス琴子!」
理奈先生、そこで宣戦布告って言っちゃうのはどうかと思います。そして結局さっきの英語教師は抜けきってないのですか?
しかし、そんな理奈さんもやっぱり素敵です。
個人的に呼び出されて2人きりの課外授業とかヤりたい気分です。あ、ヤがカタカナになっちゃった。
「では、私で最後ですね。自己紹介だけで尺が長かったわ…。
私はBreak Bellでドラムを担当させていただいている琴子と申します。
誕生日は11月20日のO型です。好きな食べ物は白米…になるかしらね。基本的に白米に合うオカズが好きなのですが、オカズがあっても白米が無いと…食もあんまり進みませんので、白米が好きな食べ物になると思います。
逆に嫌いな食べ物となると、特別に思い付かないのですが、あまり白米と合わない物は好まないです。あ、スイーツやフルーツ類は白米には合いませんが、割と好きな方です」
「へぇ、白米が好きなんだ?トシキくんと気が合いそうだよね」
「あ?梓、今何でトシキさんの名前を出した?白米だったらあたしも好きだからな」
「翔子は何を張り合ってんの?」
「それで必殺技と言ってもいいか迷いますが、幼少の頃から着物の着付けが出来ます。免状も持っていますので、必殺技というよりは特技…ということになると思います」
へぇ、着付けが出来るんだ。
お姉ちゃんが成人式の時に振袖着てたけど、私にもそのスキルがあったら、あの時にお姉ちゃんを…おっと自重しなきゃ。
今回のモノローグ私だから、読者には考えてる事筒抜けですもんね。
「それでバンドを始めたきっかけ…ですね。
私は祖母の教えの元、日本舞踊やお琴など和の文化に通じる事を教わっていたのですが…、そちらにいらっしゃるNoble Fateの綾乃さんと、今はこの場にはいらっしゃいませんが、Blaze Futureのまどかさんが夏祭りで和太鼓を叩いてらして…クスッ…失礼。
今思い出しても笑みが溢れてしまうような…和とは合わないロックなリズムで…私は今までに聴いた事のないような音に感銘を受けました」
「あ、やっぱり琴子ちゃんって…」
「綾乃さんのお知り合いの方ですか?」
「うん、おっちゃんのドラム教室がない日に、私とまどかで叩き方とか教えてあげてたんだよ。…和太鼓でだけど、そして私とまどかは色んな和の文化をお祖母様に教わってて…。お祖母様は厳しい方だったから、ロックな叩き方するとよく怒られてたんだけどね」
「へぇ、まどかさんと綾乃の教え子みたいな者なのかな?人に歴史ありっていうけど世間って意外と狭いね」
そういやお姉ちゃんって成人式なんか行きたくないって言ってたけど、まどかさんと綾乃さんに無理矢理着付けされて成人式に行かされたんだっけ。
そっか。まどかさんと綾乃さんと昔からの知り合いで、まどかさん達は着付けとかも教わってたのかな…?
「それを機にドラムにも興味を持ちまして、まどかさんと綾乃さんに教わりながら、ドラムの叩き方も覚えて…。私には和の音楽よりは洋風な音楽の方が合っていたのか…結月達がバンドをやると言い出した時に、だったら私がドラムをやりたいと思って、バンドに参加しました。…お祖母様は厳しい方でしたので、色々も問答や喧嘩みたいな事もありましたけどね」
それだけ言って琴子さんは戻っていった。
ふぅん、なるほどですね。
Amaterasuの皆さんもBreak Bellの皆さんも色々あったみたいですし、各々個性も強いですね。
-キーンコーンカーンコーン…
そしてそれを見計らったように、チャイムが鳴り、一旦またCMという事になった。
この後は生徒役のメンバーだけでフリートークか。
いつになったら本編に戻るんだろう?