私の名前は佐倉 美緒。
サブタイ詐欺じゃんと思われるかも知れませんが、今回はまず私のモノローグから始まります。
AmaterasuとBreak Bellの自己紹介が終わった後、私達生徒役のメンバーだけで、フリートークが繰り広げられています。
まぁ、私もそれなりに経験値はありますので、こんなモノローグを語りながらもフリートークには絶賛参加中です。
私は志保と一緒にAmaterasuの天音と、Break Bellの結月と会話をしています。
「そういや母さんもタカさんはラーメンが好きって言ってたっけ」
「そ、そうなんだ…。ラーメンかぁ。私はあんまり食べに行かない…かな。行く機会がなかったっていうのもあるけど…」
「なるほど。しょうがありませんね。可愛い後輩の為ですし、今度、お兄さんが好きなラーメン屋に連れて行ってあげましょうか?」
「え!?ほ、本当に!?いいんですか!?佐く…美緒先輩のご都合が良い日で構いませんので是非!」
「え!?天音ずるい!美緒先輩!あたしも連れて行って欲しいです!」
「美緒先輩…なんていい響きなんでしょう。
わかりました。その時は結月さんも是非」
「「やった!!」」
「これってバンドの話だよね?何でラーメンの話になってんの?」
そして、少し離れた所では茅野先輩と栞と、真凛が話しているようだった。
「あたし実はファントムで開催されるライブにはよく行かせてもらってんですけど、双葉さんと栞さんって見かけた事ないんですよね。何でこんな凄い企画バンドに参加されてんですか?あ、もしかしてファントムってよりスカー…じゃないや。M&Sの方のバンドの方とか?」
「あ…あはは、まぁ…そんな感じ…かな?ね、栞」
「オーイェイ」
「おお!やっぱそうなんですね!あ、ヤバ。もしかして秘密のバンドだったりとか?それなのにあたしったらこんな所で…」
「あ~…秘密っちゃ秘密だけど…気にしなくて大丈夫だよ。ね、栞」
「オーイェイ」
そっか。茅野先輩と栞が実はFABULOUS PERFUMEのメンバーだとは思いませんもんね。
真実を知ったらびっくりするんだろうな。
それより栞はフリートークでもその台詞しか言わないんだね。
「おー!さっすがー!わかってますねー、あ、これから姉御って呼ばせてもらっていいですか?」
「姉御…か。まぁ、呼び方は好きにしてくれて構わないよ。しかし、蘭といったね?キミもなかなか見所がある。私達はとても気が合いそうだ」
そしてびっくりなのがこの2人。
有希さんはフリートークといっても、あんまり喋らないんだろうなって思ってたのに、まさか蘭とめちゃくちゃ会話が盛り上がっているとは。
びーえるとかゆりとか、ゆめしょうせつとか会話してたみたいですけど、いったい何なんでしょうか?
「あの時は本当にありがとうございました!助けていただいたのはもちろんですけど、おかげでドラムに出会えて…私…」
「あははー。…あたしがデュエルギグ野盗狩りしてた時の事では、色々あったみたいだけどさ?輝美ちゃんみたいに、それでドラムと出逢えて感謝までしてくれてさ。あたしこそあの時にデュエルギグ野盗狩りをしてて良かったんだって、思わせてもらえて感謝感激だよ」
「私も椎名さ…うぅん…。輝美さんという善きドラムのライバルと出逢えたのは幸運だと思ってます」
「ええ!?こ、琴子さん、私なんかをライバルだなんて…」
「私は綾乃さんやまどかさんと出逢えてドラムを始め、輝美さんは香菜さんと出逢えてドラムを始めた。BREEZEのEIJIさんの音楽はこういう形でも紡がれているのですね」
おお。
香菜さんと輝美と琴子さんの会話は、本当に音楽らしいこの番組にぴったりな会話ですね。
それに引き替えこの2人は…。
「絶対、私達幼馴染みでしたわよね?」
「姫咲先輩が何を仰っているのか、さっぱりわかりませんわ」
まだ幼馴染みかどうかの問答を繰り返しています。
「秋月さんも何をそんな拘ってんだか…」
「あ!明日香ちゃんダメだよ?一応これは生放送中なんだから、ミュージシャンとしての呼び名で、秋月先輩の事も姫咲って呼ばないと!」
「あー、えっとさっちちゃん先輩だっけ?さっちちゃん先輩も普通に秋月先輩って呼んじゃってますけど…。まぁ、姫咲先輩の場合は秋月家のゲストって形での出演みたいですから問題ないんでしょうけど…」
夏希さんも大変そうですね。
明日香は引っ込み思案な所もあるから、夏希さんと進んで会話はしなさそうですしね。
そんな場所にさっちさんが居るもんだから、明日香と夏希さんはさっちさんのペースで振り回されそうですよね。
などと、みんなの会話を盗み聞いている場合じゃないですね。私もせっかくのラーメントークを楽しまないと。
しかし、モノローグって便利ですよね。
こんなに離れているのにみんなの会話が丸聞こえですもん。
「そういやお兄さんの好きなラーメン屋とは言いましたが、お兄さんの好きなラーメン屋って結構あるんですよ。天音と結月さんは苦手な味とか好みの味とかありますか?先程の好物とかはラーメンには当てはまらないでしょうし」
「あ、まだラーメン談議続くんだ?この場にあたしいる?」
「わ、私は人参とかピーマンとか苦い野菜が入っていなければ…あ、いや、でもさっき食べられるように頑張りますって言っちゃったし…な、何でも大丈夫です!人参やピーマンが入っていても…!」
「確かにお店に寄ってはラーメンに入ってなくはないだろうけど、そんな意気込む事でもなくない?あ、何だかんだあたしまでラーメン談義参加しちゃってるわ」
「あたしは割とガッツリ系もいけますから、全然大丈夫ですよ。あ、それとあたしには『さん』はいらないんで、美緒先輩も気軽に結月って呼んで下さい」
「え?あれ?ガッツリ系もいけるって…。結月ちゃんのお家はお寺でしょ?ラーメンにはチャーシューとかお肉入ってるけど…大丈夫なの?」
「いや、天音は何を言ってるの?あたし好物は牛丼って言ったじゃん。お寺の子でも別に肉も魚も食べるよ?」
なるほど。2人共何でも大丈夫なのなら、思い切ってあのラーメン屋に連れて行きましょうか。
ふふ、この2人があのラーメン屋に行って、お兄さんの好きなあのラーメンを目の前にするとどんな反応をするのか…。今から楽しみですね。ニヤリ
「美緒は何を悪役みたいにニヤリと笑ってるの?てか、あたし本当に空気?あ、そだ。あたしも結月も天音も呼び捨てでもいい?」
「し、志保先輩!?ぜ、是非是非です!呼び捨てで結構ですのでよろしくお願い致します!」
「もちろんですよ!全然呼び捨てにしてもらって大丈夫です。良かったら今後ともよろしくお願いします」
「あー、良かった。断られたらどうしようってより、無視されたらどうしようってビビっちゃってたよ。あたしまるで空気みたいだったし」
「む、無視なんてとんでもないですよ!?」
「そうですよ。あ、そういえば今日って観覧席にもBREEZEの方達っていらっしゃらないですよね?」
「そうよ。あたしもそれは気になってたわ」
「「あゆみ(ちゃん)!?」」
あ、そういえばあゆみさんって誰ともフリートークしてませんでしたね。
「も、もしかしてあゆみって誰もトークしてくれなくて今までぼっちだったの?」
「そんな!?あゆみちゃん可哀想!!」
「結月も天音も何言ってんのよ。フリートークが始まった頃は姫咲先輩と話してて、その後にちょっと教室から抜けて理奈先生とトークしてたのよ。そして今戻ってきたの。美緒先輩と話したくてね。そしたらBREEZEの方々が居ないって話してたから間に入っただけよ」
最初に姫咲さんと話して次に理奈さん。
そして私と話したくて…か。
なるほど。同じベーシストってのもありますが、Irisベースの持ち主と…って訳ですかね。
「ふぅん、そうなんだ?美緒と何を話したいのか知らないけど、BREEZEの事なら何で今日居ないのか知ってるよ。実は今日はBREEZEのメンバーはさ…」
そうして天音と結月とあゆみさんに、何故今日の公開収録にBREEZEのメンバーが居ないのかを志保が説明してくれた。
そう。今日の公開収録にはBREEZEのメンバーは誰も居ません。お兄さんの企画バンドの番組なのに…。
実は今、BREEZEのメンバーの方達は…。
・
・
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「っと、そろそろ約束の時間にちょうど良さげだな。そろそろ行くか?」
「はぁ…何で俺らがこんな事を…」
「タカもいい加減諦めろ。天音や真奈美の娘に会ってみたかっただろうけどな」
「俺も天音ちゃんにも真奈美ちゃんの娘さんにも会ってみたかったけど、これも大事な仕事でしょ。今日はしょうがないよ」
「いや、真奈美の娘とか関係ないしな?Break Bellのボーカルとして、昔の俺や大神さんの歌を思い出させられる歌声をしていたって部分はめちゃくちゃ気になってるけど」
「てか、いつもラーメン屋に連れてかれるのに、今日に限ってこの店とはよ。お前やっぱまだ真奈美の事引き摺ってんじゃねぇの?ここは真奈美のバイト先ってのもあったし、俺達の思い出の店だもんな。あー思い出すと笑えてくる」
「は?…英治。言葉には気を付けろよ?うっかり◯すぞ?今から電車乗るから駅ナカのこの店をチョイスしただけで、今はここは真奈美がバイトしてた店ってより、香菜のバイト先だろうがよ」
「それに今日はハンバーガーが食べたいって言ったのは宮ちゃんだしね。あんま下手な事言ってると、英ちゃんの命の保証は出来ないよ?はーちゃんからは守れても、あの娘らから根掘り葉掘り聞かれて八つ当たりされるのは英ちゃんだろうし…」
「英治。BREEZEだけで集まれて浮かれてんのかも知れねぇが…。俺もあいつらからは守ってやれねぇからな?特に15年…より少し前か。あん時の怪獣大戦争には俺はもう巻き込まれたくねぇからな」
「すみません…ちょっと調子に乗ってました。だから、何卒報告したり、この話をあいつらに読ませたりはしないで下さい」
「あ?お前は何でトシキと拓斗に謝ってんだ?謝るなら謂れのない事で被害受けた俺にじゃねーの?」
俺の名前は中原 英治。
今回のこの文化祭編は三咲や初音の目がないからと、少しテンションが高くなっている。
もちろんタカにしばかれたり、トシキにグチグチ言われたり、拓斗にバカにされたりはしたくはないが、こんな流れも昔に戻ったような気持ちになって、俺の心は昂っていた。
「ま、とりあえず電車にもいい時間だし、英ちゃんの言う通りそろそろ行こうか」
「まぁ、納得はいかねぇが遅れたりしたら、また姫咲にグチャグチャめんどい事言われるだろうしな。そろそろ向かうか」
今日、俺達はかつて俺達の敵であり、そして仲間でもあった羽山 秀の事務所に所属するバンドの撮影をする事になっている。
今回の撮影は今、生放送されているタカと澄香の企画番組の、見所編とかいう後程の放送時に公開される動画らしい。
今回の生放送は色々準備や予算が掛かったという事で、1回の放送だけで終わらせず撮れ高のある番組に混ぜ混んだりして採算を取りたいそうだ。何なのこの大人の会話。
「今日の撮影場所ってヒデくんの事務所のビルなんだよね?俺は行った事なかったと思うんだけど、はーちゃんは行った事あるよね?」
「ああ、あの時な…思い出したくないけど。まぁ、行った事はあるぞ。まさかBlue Tearの時の事務所もあそこ使ってたとは知らなかったけどな」
「だよなぁ。あそこ行った事あんのはタカだけだしな。チ、俺も知ってれば架純ちゃんの現役時代に…」
「俺は架純に連れられて行った事あるぞ。もちろん中には入ってねぇけどな」
俺達の地元から電車で3駅行った場所。
そこがヒデの事務所の場所だった。
さっきの俺達の会話からもわかるように、そこに行った事があるのは、俺達の現役時代にはタカだけだ。
ま、そん時の話もいつかやるファントムメンバーへの過去話の時に話す事になるだろうし今はいいだろう。
電車を降りて少し歩いた所。
タカと拓斗に誘導されるまま俺とトシキも歩き、そして小さな5階建てのビルのある場所に着いた。
だだっ広い敷地内には勿体無いと思うような小さめのビル。
「昔はこのビルの周りには建物とか壁とかあって迷路みたいになってたんだけどな。さすがに取り壊したか」
なるほどな。
昔はこのビルは…ヒデの事務所はクリムゾンの傘下の事務所だった。周りは敵だらけだったはずだ。同じクリムゾンのグループ同士でもな。
そこで周りとの軋轢やいざこざを避ける為に広い敷地内に小さめのビルを建て、その周りを建物や壁とかで遮蔽していんだろう。
今はクリムゾンの傘下って訳でもないから、本社というか本ビルだけ残して、後は取り壊したから広い敷地内の小さなビルって感じになった訳か。
そのまま小さなビルの中へと足を進め、目の前には大きな階段があったが、タカに『確かこっちにエレベーターあるんだわ』と案内され、少し奥へと俺達は向かった。
そこには確かにエレベーターがあり、2階は倉庫、3階はレッスン場、4階は応接室に休憩室と社員食堂、5階は事務所となっていた。
本来なら俺達は応接室に向かうべきなんだろうが、姫咲ちゃんからの話では直接事務所に向かうように言われている。エレベーターに乗った俺達は5階の事務所へと向かった。
エレベーターから降りると、よくドラマや映画で見るような会社の事務所というようや光景があり、エレベーターから降りた俺達に気付いた女性が足早に俺達の元へとやって来てくれた。
「ほ、本日は遠路はるばるありがとうございます!ただ、申し訳ございません!今、羽山はミーティングが長引いて戻って来ておりませんでして…。大変心苦しいのですが、こちらでお待ちいただけますでしょうか?」
そう言ってその女性は平謝りしながら、事務所の端にあるソファーへと俺達を案内してくれた。
なんとなくぎこちない応接の仕方だけどな。
その後『粗茶ですが』と、俺達にお茶を出してくれた。
「はぁ…まぁ、知らない仲じゃねぇし、無理に敬語じゃなくていいぞ?」
「あはは、まぁ一応俺達はお客ってのもあるのかも知れないけど、昔みたいに接してくれた方が俺達も気が楽だよ」
「Blue Tearの時も頑張ってたそうじゃねぇか。架純からチラッとだけだが聞いてるぜ」
タカとトシキと拓斗がその女性に声を掛けた。
なるほどな。やっぱりこいつらも気付いていたか。
俺達を応対してくれた女性は
どことなく面影あるなぁと思いながら、ネームプレートを見て確信した。
彼女は俺達より年下で、澄香に惚れていたヒデに何を勘違いしたのか惚れてしまい、ヒデに何度もフラれながもずっとヒデを想い続けていた女の子だ。
てか、まだあいつの事を想い続けてんのかな?そんな女の子を事務員に雇うヒデの神経どうなってんの?
「あ、あはは。タカさんもトシキさんも拓斗さんも英治さんもご無沙汰しています。まさか私の事なんて覚えてらっしゃるとは…」
「まぁ…なんだ…アレがアレだし?」
「何度か俺達のライブにも来てもらってたし」
「お前、まだヒデの事好きなのか?」
「「「「!!?」」」」
拓斗!?お前それ言っちゃうの!?
「ああ、それね。何度か諦めようとは思ったし、他の人とも付き合ったりもしたんですけどね。いつもすぐ終わっちゃうんですけど」
和泉ちゃんもそんなノリで言っちゃうの!?
「そりゃヒデさんはタカさんみたいにギャルゲーやアニメが好きでヲタクさんですし」
「え?そこ俺みたいにって言う必要あった?」
「英治さんみたいに可愛い女の子見掛けるとすぐに声をかけるし」
「いやいや俺はもうそんな事しないよ!?」
「トシキさんみたいに鈍感だし」
「え?俺鈍感かな?」
「でも、それでもやっぱりヒデさんがいいかな…って。
ってか、それって梓さんに振り向いてもらえてない拓斗さんに言われたくないんですけど。生きてらっしゃるんですよね?梓さん」
「まぁな。さすがにお前も梓が無事ってのは知ってやがったか」
「まぁ、こんな仕事してますしね。それなりには。
あ、それでヒデさんの事ですけど、あの人も澄香さんには振り向いてもらえないだろうって思ってますし。一生。
だったら私もワンチャンあるかなぁ?って思いますし」
今チラッとタカの方見なかった?
「まぁ、似た者同士だな。昔も一回、俺とヒデと和泉で飲みに行った事あったっけか」
「わぁ、それも覚えててくれてたんですね。また3人で『振り向いて貰えない寂しいやつらの会』やりましょうよ」
「そういやそんなタイトルの会合だったな。面白れぇ、またやろうぜ」
「是非是非♪……その時は梓さんと澄香さんと翔子さんにも声かけましょうか?(ボソッ」
「お前そんなメンツで飲み会出来るの?もしかしてハート鋼鉄製?」
タカとトシキには聞こえないようにボソッと言ってたけど俺には聞こえちゃったよ。何なのその翌日にはその周辺一帯が焼け野原になっちゃいそうなメンツ。
俺は既婚者だし呼ばれないだろうが、絶対行きたくないし、俺の生活圏内の外でやってほしいわ。
そうか、そういや拓斗ってヒデと和泉ちゃんと割と仲も良かったもんな。そんな寂しい者同士として仲が良かったのか…。だからあんな質問も普通に出来た訳ね…。
「そういやさっきヒデのやつ、ミーティングって言ってたけどまだかかりそうなの?」
「あ、や、一応ミーティングは皆さんが来られる前には終わらせる予定だったんですけど、ちょっと色々あって長引いているようで…。」
「そっか。サッサと終わらせて帰りたかったんだけどな」
「あー、タカさんそれダメバツですよ。一応タカさん達は私達からしたらお客様ですけど、ファントムっていうかSCARLETのお仕事でしょ?私達もうちのメンバーが紹介してもらえるからって、日奈子さんにはちゃんと……おっと危ない。これは内緒だったんだっ」
日奈子さんには何?ちょっと怖いんですけど。
「何か不穏な言葉が聞こえたから、俺猛烈に帰りたくなったんだけど」
「日奈子ちゃんの事だからお金…って事はないだろうしね。何か日奈子ちゃんにとって面白くなるような事を広告費代わりに差し出した訳か…」
「ヤベェ。一気に色々不安になってきた。ヒデは友達だし、今はクリムゾンと敵対する同志だからとか、ファントムの企画番組盛り上げる為にとかそういう感じで紹介番組に出演させてあげるとかじゃないのか…」
「あは、あはは、あはははは…。まぁ、そのうちわかりますよ」
「「「「「帰りたい…」」」」
はぁ…上手いこと言って俺達を撮影に来させるように仕向けていたが、日奈子にとってはこの撮影は成功させたかった訳ね。ってか成功させたいならプロの技術者を使えよ!
あ、今は公開収録中だから、技術者はみんなあっちに使ってんのか。
『ヒデちゃんならクリムゾンカンパニーの事も多少は知ってるんじゃない?』って言われて最終的にオッケーしちまった俺達ももう少し警戒するべきだったな。
「あ、そだそだ!もし早く終わらせたいんなら、先にうちのバンドメンバーの紹介から撮影しちゃいます?今はみんなレッスン中だろうし、レッスン中の撮影もしてくれたら私達にもありがたいですし!」
「ん?ああ。それもいいか。そうしちゃう?」
「ヒデくんのインタビューなら後からでも問題ないしね」
「バンドメンバーのやつらが、それでいいなら俺達には願ってもないぜ」
「ここで待つだけってもなんだしな」
そうしていそいそとどこかへと連絡した和泉ちゃんは『うちのメンバーはみんなオッケーみたいです!』と俺達に伝えてきた。
それを聞いた俺達は撮影の準備をし、レッスン場へと向かった。
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・
レッスン場へと着いた俺達は、レッスンをするメンバーをある程度撮影し、少し休憩を挟んでからメンバー達の紹介動画の撮影を開始した。
「それでは私から、
以前Blue Tearというグループで活動していましたので、私の事を知って下さっている方もいらっしゃるとは思いますが、今後はCrest Tearで活動させていただきますので、よろしくお願い致します」
なっ!?Blue Tearのルリルリだと!?
ヒデの野郎…。まさかBlue Tearのルリルリをバンドに入れてしまうとはな…。ルリルリはダンス上手かったもんな。ダンサーボーカルってチョイスはさすがだぜ。
「Crest Tear?そういやあいつ俺らの敵だった時はAcid Tearで、架純達のアイドルグループがBlue Tear。そして今回がCrest Tearか。あいつなんかTearって言葉に拘ってんのか?」
「ええ。実はヒデさんのお母様が立ち上げた会社が、Tear Voiceという社名でして、お母様が事業から退かれて、クリムゾンエンターテイメントと提携を組んだ際にCrimson Voiceと社名変更になりましたので、ヒデさんがクリムゾンと関係のないTearという言葉をグループに入れようと決められたそうです」
ふぅん、なるほどな。
ヒデは親父さんや兄貴とは違って、お袋さんの為にしょうがなくクリムゾンに従ってただけだしな。
そんなお袋さんの想いを、少しでも残しておきたかったんだろうな。
「Blue Tearの頃の私を知って下さっている方は、誕生日も知って下さっているとは思いますが、私の誕生日は5月18日。好きな食べ物は実は…地元の味でもあるもつ鍋が大好きでして…苦手な食べ物はバナナが実は食べられないんですよ。あ、血液型はO型です」
おっと撮影に集中しなきゃな。
ルリルリちゃんはもつ鍋が好きなのか。
地元の味なぁ。そういやBlue Tearって各都道府県から選ばれてて47人居たもんな。
確かルリルリちゃんは福岡で、ユイユイちゃんは千葉だっけかな?
そしてちなみに俺の最推しの架純ちゃんは愛媛だぜ。
「それで私は本当はBlue Tearの解散以後は、表舞台に出ず、裏方としてCrest Tearを支えたいと思っていたのですが、今のメンバーや社長からの強い薦めと、元Blue Tearの仲間達の活躍を見て…私ももう1度ステージに立とうと思いました。…ライバルと想える方との出会いもありましたしね」
そっか。ルリルリちゃんは元々は裏方としてやっていくつもりだったのか。
Blue Tear時代にはあんまり歌のパートなかったけど、ダンスはさっきも言ったが凄かったしな。裏方で終わるのは勿体無いよな。
元Blue Tearのメンバーも今は表舞台で見るメンバーは少なくなったが、今はユイユイちゃんも架純ちゃんも頑張ってるもんな。
それにしてもライバルと想える方って誰の事なんだろう?
そしてルリルリちゃんはもう1度『よろしくお願いいたします』と言って頭を深々と下げてカメラの外へと帰って行った。
「今度、大食い大会ばやる時にはじぇったいに盛夏さんには負けん…!」
……今ルリルリちゃん何って言った?
盛夏ちゃんの名前出さなかった?大食い大会?
「あの…は、はじめまして。私はこのCrest
Tearでボーカルを担当させて頂く
好きな食べ物は天ぷらでして、その中でもお野菜の天ぷらが好きでして…茄子とか蓮根とか。ああ、そ、それで嫌いな食べ物っていうか苦手な飲み物なんですけど、ブラックのコーヒーがちょっと苦くて苦手でして…」
何!?ブラックコーヒーが苦手だと!?
それはいかん!これは是非ファントムにお誘いして、俺の淹れたコーヒーを飲んでもらわなくては!!
後で連絡先交換してファントムに招待してあげよう。
うん、そうしよう。
……今の俺モノローグで言ったよな?
何でタカもトシキも拓斗も俺を軽蔑するような目で見てきてんの?ってか、俺はファントムのコーヒーに自信もあるし、普通に飲んでもらいたいだけなんだけど。
「英治さん、ダメバツです。そういう所ですよ?」
「何が!?」
え!?本当に今の何がダメなの!?
「それで私がバンドをやっている理由なんですけど、子供の頃から歌が好きで、いつも音楽番組を観ながら真似して歌ったりする子供でした。それがいつしか自分でバンドをやりたいと思って、高校では軽音楽部に入って…。ははは、最初はそんな歌を好きな女の子がバンドをやってみたい。高校生活の思い出としてやってみようって気持ちだったんですよ」
高校生活の思い出か。
思えば俺達BREEZEもそうだったよな。
いつの間にか大人になって社会人になるまでの思い出にしようとかってズルズル高校卒業してもバンドやってたけど。
タカが喉をやらかさなかったら、クリムゾンの奴らと闘うような事もなかったら、俺達はどうなってたんだろうな。
「でも私の中で高校生活の思い出だけという気持ちが、もっともっと歌いたいという気持ちになって…。そんな時に、こちらの社長に声を掛けていただいて…。
私、これからも大好きな歌を届けていきたいと思っていますので、皆さんよろしくお願い致します!」
そう言って七瀬さんは戻って行った。
大好きな歌を届けたい…か。
「どうも。このCrest Tearでギターを担当している二階堂 慶っていいます。誕生日は6月22日。血液型はAB型、好きな食べ物はうどんっす。嫌いな食べ物っていうか食べれないとか苦手って訳じゃないんですけど、オレは蕎麦が嫌いです」
いつの間にか七瀬さんと入れ替わって、二階堂くんが自己紹介を始めていた。
蕎麦が嫌いとはな。亮くんとは合いそうにねぇな。
「オレは正直、自分でもおかしいって思うくらい、うどんが好きなんですが…」
別にうどんが好きでもおかしいとは思わないけどな。
うちにはおかしいくらいにラーメン好きなメンバーや、蕎麦が好きなメンバーもいるし。
「そのオレの好きなうどんを否定し、蕎麦が好きだというかつての親友…。オレはそいつを倒す為に、そいつがやっているというギターを始めました」
ものすごい動機だな。
「そいつを倒す為だけに…蕎麦よりうどんの方が優れていると認めさせる為にギターをやっていたんですが、最近はそんなギターが楽しくなってきて…」
仮にその蕎麦好きな子にギター勝負で勝っても、うどんが蕎麦より優れているって事にはならないんじゃないかな?まぁ、今はそんな動機で始めたギターも楽しくなってんなら、それはそれでいいか。
「そんな中、ここの社長に声を掛けて頂いてバンドをやる事にしたんですが」
ん?そうなのか。
ヒデのやつ何だかんだと女の子だけじゃなく、男の子にも声を掛けてんだな。
…そういやクリムゾンの時のヒデのバンドも男ばっかだっけか。
「その社長の期待や、こんなオレによくしてくれるこの会社の方達の期待に応える為にバンドを必死で頑張ろうと思っていたんですが…その…つい先日、オレ…恥ずかしいんスけど恋をしちまったみたいで」
恋!?恋だと!?
いいねいいね!青春だね!!
それも一応これネット放送だから全国区で流れるのに、恋話を出しちゃうとは!大丈夫なのかなこれ。
でも、俺はそんな青春してる二階堂くんを応援するぜ!
「本当はこんな全国放送で言うのは恥ずかしいんスけど、オレは『エルフラコ』ってバンドでギターやってる女の子に一目惚れして…。名前もどこに居るのかもわからないんスけど、もしかしたらこの番組観てくれてたらと思って…思い切って告白させてもらいました」
……エルフラコ?聞いた事ねぇな。
いや、待てよ。エルフラコって何かこないだ奈緒ちゃんや理奈達がチラっと言っていたような…?
「もしエルフラコのギターさんが観てなくても、そちらの関係者や、エルフラコのギターさんをご存知の方が居たら、オレがいつか貴女とデュエルをしたいと言っていると、お伝えいただけたらと思います。
こんな所でカッコ悪いとも思いますけど、オレ、本気ですんで。
あ、もちろん、それだけじゃなくて、今のバンドメンバーや、ファンになってくれる方にも、しびれるようなギターの音を届けますんで、今後ともよろしくお願いいたします!」
そう言って二階堂くんはカメラの外へと戻った。
わかるぜ二階堂くん。
俺もBREEZEん時は三咲にカッコよく思われたいって、いつも思っていたしな。改めて俺はキミを応援するぜ!
「次は僕ですね」
おっと、次のメンバーが出てきたか。
彼も練習の時は力強いベースを弾いていたしな。
どんなバンドマンなのか気になるぜ。
「僕の名前は
…めちゃくちゃ普通の自己紹介だな。
「以上です」
ヒデの集めたメンバーだろうから、一癖も二癖もありそうなメンバーだと思っていたが、意外とこういう普通の子も居るんだな。
ふと、あまりにも普通な三宅くんの事が気になって、戻った先を見てみた。いや、見てしまったが正しいか…。
レッスン場にある鏡に向かって色んなポーズ取りながら、スマホで自撮りしたり鏡に映った自分を撮影しだしたよ。何なのこの子。あんな普通の自己紹介しときながら自分大好きなの?めちゃくちゃ怖いんだけど。
と、俺が三宅くんを見ていると、間を割るように1人の男の子がカメラの前へと歩いて行った。
「えっと、こんにちは。あ、これ放送されてる時間ならこんばんはなのかな?
俺はドラムを担当している
あ、それで血液型はA型です。バンドを始めたきっかけなんですけど、俺は昔から趣味でドラムをやってまして、バンドをやるつもりはなかったんですけど、家出して行方知れずになった父を探す為に、有名人になりたくて、ここの社長に声を掛けていただいて…って感じです」
お、お父様が行方不明なのか…。
なかなか重い話だな。
でもまぁこんな番組でも、もしかしたらお父様も観てくれてるかも知れないもんな。
「あ、そだ。父親が家出して行方不明になったっていうのも、俺にはそんな重い話ではなくて…。家に金も入れずに何やってんだって思いますけど…」
いやいやいや、十分重いだろそれ。
「せっかくの番組出演の機会ですし、社長やマネージャーにもOK頂いてるんで、言わせて頂くんですけど…」
そう言った四ノ宮くんの次の台詞。
それを聞いた時、俺もタカもトシキも拓斗も声をあげて驚いてしまった。
「俺の父は蟹座のレガリアってのを持ってまして。
その蟹座のレガリアを託す後継者を探す為に…」
「「「「レ、レガリア!?」」」」
「あ!拓斗さんもタカさんもトシキさんも英治さんも、撮影中に声を出すとかダメバツですよ。ダメバツ4つでダメヨンです!」
ま、まさか四ノ宮くんのお父様がレガリアを持っているとか想像もしてなかったし、そりゃ声も出るだろ。
「おい、タカ。確か蟹座のレガリアって…」
「ああ。俺らの現役ん時には会った事ねぇな。
ってか、氷川さんの話じゃ蟹座のレガリアは、あの大神さんらが現役ん時のレガリア戦争でよ…」
四ノ宮くんには撮影中に大きな声を出しちまって、悪い事をしちまった感があるが、俺達も会った事のない蟹座のレガリアの持ち主が、こんな近くに居るとはな。
いや、居ると言っても、その持ち主である四ノ宮くんのお父様は今は行方知れずか…。
撮影は少しだけ中断となり、四ノ宮くんの自己紹介から撮影をし直す事になった。本当に申し訳ない…。
その撮影の中断時、四ノ宮くんが俺達の方へと挨拶に来てくれた。
「すんません、撮影前にやっぱりBREEZEの皆さんには父の事を話しておけば良かったですね。俺もてっきり社長から話はいってると思い込んでましたんで…。ご迷惑お掛けします」
「いや、全然いいよ。俺達こそごめんね。せっかく撮影してたのに中断させるような事になっちゃって」
「いえ、俺は平気っす。あ、それで先にご挨拶と説明させていただこうと思いまして」
そう言って四ノ宮くんは経緯を話してくれた。
四ノ宮くんのお父様は別にレガリアの使い手という訳ではなく、先代の蟹座のレガリア使いの大ファンだったという関係らしい。
先代の蟹座のレガリア使いは、大神さんともデュエルをしたという話を聞いた事はあるが、どちらかと言えば、まだ大神さん達ONLY BLOODとは仲間だった。
だが、当時のレガリア使いによる戦争の発起人、足立が斡旋したレガリア戦争のせいで、身体を壊し、バンドも解散する事になり、表舞台からは完全に消えてしまった。
その後、先代の蟹座のレガリア使いは、なんとかレガリアを託す後継者を探そうとしていたんだが、レガリア戦争での傷は深く、数年前にとうとう…。
いや、亡くなったとかじゃないよ?これバンドの話だし。俺達がやってるの音楽だし。
そしてずっと先代の蟹座のレガリア使いの側に居た四ノ宮くんのお父様が、蟹座のレガリアを託せる人物を探す事を引き継がせてほしいと頼み込んだそうだ。
射手座のレガリアの次世代を探していた氷川さんみたいなもんだな。同じバンドメンバーかただのファンだったかって違いはあるけど。
そしてずっと側に居た四ノ宮くんのお父様に、先代も託す事に決めたそうだ。それが8年程前の事らしい。
四ノ宮くんは先代にドラムを教わっていたようで、音楽の技術はなかなかのものだったらしいが、レガリアはボーカルのチカラだ。
歌が得意ではなかった四ノ宮くんに見切りをつけて、お父様は3年前に『うぅん!僕!探すもん!絶対蟹座のレガリアにふさわしいボーカルは居るもん!トトロも絶対居るもん!』と、叫んで家を出て行ったらしい。
四ノ宮くんはボーカルの事やレガリアの事はよくわからないが、もしかしたらCrest Tearのボーカルである七瀬さんや、サブボーカルであるルリルリちゃん。
他にもこれから出会うボーカルが、蟹座のレガリアにふさわしい歌声を持ち主に会えれば、お父様が戻ってきてくれてるかも知れないと思い、バンドをやる決意をしたらしい。
そして、四ノ宮くんの挨拶と説明の後、四ノ宮くんの自己紹介を撮影し、Crest Tearの番組撮影は無事に終わった。