あたしの名前は雨宮 志保。
あたしのモノローグってちょっとで終わるみたいだから、ゆっくり聞いてね。
あたし達の近隣の高校で行われている合同文化祭。
その合同文化祭で行われている催し物の1つに、ガールズバンドによるライブ大会が繰り広げられている。
本来なら各学校で行われる予選大会の上位2バンドで、文化祭最終日に決勝トーナメントが行われる予定だったけど、思いの外ライブ大会はお客様から評判が良く、決勝リーグは最終日の土曜日だけじゃ勿体ないとかそんな理由で、金曜日と文化祭最終日である土曜日の2日に分けて開催される事になった。
まぁ、文化祭としては片付けとか閉会式とかで日曜日まであるんだけどね。
そんなライブ大会の決勝リーグ。
予選に勝ち抜いた16バンドでのデュエルギグ。
そこに勝ち抜いた8バンドでのデュエルギグを金曜日に開催し、そこに勝ち抜いた4バンドで準決勝を、そこで勝ち抜いた2バンドでの決勝戦と、負けたバンドによる3位決定戦が土曜日に開催される事に決まった。
今、あたしがモノローグを語っているのは金曜日。
今日の決勝リーグの1回戦、そしてその後の2回戦が全て終わった所である。
明日、土曜日の決勝リーグには、美緒達のGlitter Melody。天音達のAmaterasu。結月達のBreak Bell。
そして、全然知らない人達のバンド"しゃけの切り身"の4バンドに決まった。
明日の1回戦はBreak Bellとしゃけの切り身。
2回戦はGlitter MelodyとAmaterasuのデュエルギグが開催される。そして優勝バンドもその4バンドから決まる。
あたしもバンド参加をしていたけど、決勝リーグの1回戦で負けてしまった。
負けて悔しいって気持ちはあるけど、どのバンドも優勝してもおかしくない凄い演奏をするバンドだ。
あたしは若干まだお腹が痛いけど、明日の決勝を凄く楽しみにしている。
あ、あたしが何でまだお腹が痛いのかは過去の話を読んでね。
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「もぉぉぉぉぉ!!何でこんなド平日にライブ大会の決勝リーグとかやっちゃうのよぉぉぉぉぉ!!」
私の名前は中原 初音。
かつてBREEZEというメジャーでも何でもないバンドでドラムを担当していた中原 英治と、その中原 英治をずっと陰から支え、BREEZEというバンドでチューナーを担当しながら、子供っぽいアホなBREEZEのメンバーに大人として上品さや道徳を教え、今ではSCARLETのファントムという音楽事務所の社長という大変なポジションにいながらも、私を優しく愛してくれている中原 三咲(旧姓桜井 三咲)の一人娘だ。
そんな両親に育てられたからか、私も物心がついた時から音楽が大好きで、今回行われている合同文化祭のライブ大会は楽しみにしていた。
ライブ大会に参加したいっていうバンドは、このご時世多いだろうし、予選からずっと観るのは無理とは思って我慢していたけど…。
何で!?何で決勝リーグも平日の金曜日からやってるの!?私観れないじゃん!
明日は学校も休みだから決勝とかは観れるけど、せめて決勝リーグは1回戦から全部観たかったのに!
私は年齢不詳という事になっている。
だから金曜日に学校があると言っても、大学生なのか高校生なのか中学生なのか小学生なのか、それは秘匿される事だとタカやお父さん、トシキさんからもキツく言われている。
タカやお父さんからの言い付けなら即破りしてもいいんだけど、この事に関してだけは、お母さんからもキツく言われているのだ。
私はお母さんが大好きだし、尊敬もしているから、お母さんの言い付けだけは絶対だし、それを破る訳にはいかないと思っている。
だから私の年齢は内緒だから読書の想像に任せているのだ。
そう思いながら私は机の上に置いているランドセルに顔を埋めながら嘆いていた。
「ん?どうした中原。まだ昼休みだぞ?もうランドセルを机の上に置いて…帰る気満々か?」
「波瀬くん…。違うよ。私は自分が学生という十字架を背負っている事に嘆いてるだけだよ」
「学生という十字架って…意外と軽い物を背負ってるんだな中原は」
ランドセルに顔を埋めながら嘆いている私に話し掛けて来たのはクラスメートの
波瀬くんとはお母さん同士が仲良しで、小さい頃から幼馴染みという感じだ。
波瀬くんのお父さんも若い頃は音楽をやっていたっぽい話は聞いているけど、ぶっちゃけ詳しくない。
当の波瀬くんはサッカーとか野球とかバスケとか、スポーツばっかりって感じだし。
……スポーツばっかりって訳でもないか。
勉強もめちゃくちゃ出来るもんね。文武両道をしっかりやっているクラスの人気者だ。
私の好みからは180度くらい違ってるんだけど、顔も整っているから、女子からもめちゃくちゃモテてるみたいだし。
「波瀬くんには私の嘆きはわかんないよ。
ほら、みんな待ってるし、いつもみたいにサッカーでも野球でもして来たらいいじゃん」
「ん…そうだな。
あ、みんな悪い。オレ、ちょっと給食食べ過ぎちゃったからさ。今日の昼休みはゆっくりしとくよ」
そう言って波瀬くんは持っていたサッカーボールを、ポンっと蹴ってクラスメートの男の子に渡し、何故か私の席の前に座った。
「…何?」
「何って聞きたいのはオレの方なんだけど。
こうやってぼっちで居る中原って珍しい訳でもないけどさ。いつもの仲良しグループはどうしたんだよ。いつものように音楽室か図書室か?」
…いつもの私の仲良しグループ。
私の仲良しグループはどちらかというと文科系で、スポーツはあんまり観ないしやらない。まぁ、私もそうだけど。
いつもは私もみんなと図書室で本を読んだり勉強したり、音楽室でピアノやクラシックギターを弾いたりしている。今日は気分的に沈んでいたからみんなには『ごめん、今日は給食食べ過ぎちゃったみたいでお腹の調子が…』と言って1人にさせてもらっていた。
言い訳も波瀬くんと被ってるとかマジ萎える。
「どうでもいいじゃんそんな事は。
それより、せっかくみんな波瀬くんと遊びたかったってのに、昼休みキャンセルしちゃってさ?こうやって私と話してるもんだから、周りの女子達の目が痛いんだけど?余計に心労が増えて私にダメージきてんだけど?」
「え?周りの女子の目?」
そう言って教室の外に目をやる波瀬くん。
教室の外から恨めしそうに私を見ている女子の集団に気付いたようだ。
\\キャ~!波瀬くんカッコいいー!//
こいつ何やってんの?
何でこの状況下で女子達に笑顔で手を振ってんの?
もしかしてこうやって私を女子達の敵にする事に悦びを感じる変態なの?
「みんなオレの体調を心配してくれてるのかな?取り敢えず元気だよって気持ち込めて手を振ってみたけど…。オレなんかの為に貴重な昼休みを潰されるのは申し訳ないもんな。はは、別の言い訳にしとくべきだったな」
あー、いつもいつも思ってたけど、勉強出来るだけでこいつアホだわ。
ああ…ここにタカが居てくれたら、こいつも女子達も蹴散らしてくれるだろうにってめちゃくちゃ思う。
「って、それより中原だよ。
どうしたんだよ、お前。何かあるんなら出来る限り…ってのはあるけど、オレも力になるからさ。良かったら相談してくれよ」
はぁ、ここからお前が消えてくれたら、今の私の心労も半分以下にはなるんですけどね。
……って言いたいけど、波瀬くんも私を心配してこうやってくれてるんだから無下にも出来ないか。
波瀬くんも私が何を嘆いているのか説明すれば、納得してこの場から去ってくれるだろう。
私の本来嘆いていた事は波瀬くんではどうにも出来ないし、何も解決出来ないんだから、この場から去ってもらって心労を減らすのが最善手だと思う。
私は今回の美緒や志保達の学校で行われている合同文化祭の事、その合同文化祭で行われているライブ大会の事を話した。
まぁ、昔馴染みの幼馴染みでお母さん同士も仲良しだから、私がファントムの手伝いをしている事も、ファントムが今は音楽事務所としても活動している事も知っているしね。
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「あ~…なるほどな。音楽バカの中原にはキツい状況だよな」
スポーツバカの波瀬くんにはそんな事言われたくないんですけど?
「でも…そうだな。オレもそのライブ大会観たかったってのはあるな。中原の気持ちはわかるよ」
は?…こいつ何言ってんの?
「気持ちはわかるよって…ああ、アレ?
私が女だから弱ってる時に優しくするとかな大人なやつ?私そんなの効かないからね」
どんだけタカに鍛えられてると思ってんのよ。
そんな事、幼馴染みの波瀬くんに言われても嬉しくないしむしろキモい。あ、目の前にいる幼馴染みがキモくなってきた。助けてお母さん!
「は?女だから優しく?何だよそれ。
…あ、もしかしてオレの事を男子って意識はしてくれてる感じ?」
「消えて。3秒以内に」
「悪かったよ。ちょっと中原にそんな風に思われてたりしたら面白いなって思っただけの冗談だよ。
……まだアピール足りないか(ボソッ」
「ん?何か言った?最後の方聞こえなかったんだけど」
「ただの冗談って話だよ。
っていうか、その合同文化祭のライブ大会ってやつ?オレもそれ中原に聞いて知ったんだけどさ。オレも観たかったってのは本当の気持ちだぜ?それを茶化されたからオレも冗談で返しただけだし」
「は?それこそ何で?波瀬くんって音楽とか興味ないでしょ?音楽番組とスポーツ番組があったらスポーツ番組を観るだろうし」
波瀬くんとは先述の通りお母さん同士が仲が良いから、昔からよく会ってたりする。
波瀬くんのお父さんは会った事ないとは思うけど、晩御飯なんかも昔はよく一緒に食べていた。あ、そん時は何故かうちのお父さんも居なかったっけ?
まぁ、そんな事もある関係柄からか、晩御飯時のチャンネル争い。
音楽番組を観たい私と、スポーツ番組を観たい波瀬くんとで争いが勃発していたのだ。そんな波瀬くんがライブ大会を観たかったとか言ってきても、女の子を口説くためのアレがアレじゃないの?って思いしかない。
「中原のオレを見る目を見てると、どんな事考えてんのかよくわかるよ…。そういう所見ると父さんの言い分もあながち…とか思っちゃうよな」
「へ?父さん?波瀬くんの?」
「…ん、いや、父さんの事はどうでもいいや。
そのライブ大会の話だけどさ」
珍しく波瀬くんからお父さんの事を聞けそうだったから、思わず食いついちゃったけど、波瀬くんのお父さんの言い分?何だろうそれ。
「オレは中原の思ってるように、あんまり音楽番組とかは好んで観たりしないよ。オレはサッカーとか野球とかバスケとかバレーとか…スポーツで頑張ってる選手を応援したいし、日本代表としてスポーツ頑張ってくれてる人達は本当に尊敬してる!オレもスポーツは好きだってのはあるけど、日本国民の期待を背負ってさ………」
ああ、波瀬くんのスポーツ談義が始まっちゃった。
私も日本代表としてオリンピックとか世界大会に出てる人達は凄いと思うし応援もしてるけど、それはそれでその時だけって感じもあるし、流行りのバンドとかアイドルの演奏を観たいし、その人達も私達の為にエンターテイメントを提供する為に努力や我慢も…とか思うし。
まぁ、こういうのって各々の価値観だよね。
どこに自分のリソースを割くのかどうかっていうか。
だから波瀬くんのスポーツ好きとか、そういう話も文句とか批判とか?そういう話じゃないから聞いていて苦ではないけどさ。
「って…中原、聞いてるか?」
「へ?」
おっと…考え事しててそっちに夢中になっちゃってたよ。あ、それを言ったら…ライブ大会の決勝を1回戦からしっかり観たかったって嘆いてた私の気を紛らわせてくれたから、波瀬くんの今のスポーツ談義にも感謝っちゃ感謝なのかな?
「ごめん。どうでも良さそうだから、考え事してて聞いてなかった」
「お前って昔からそういうとこはハッキリ言うよな」
あはは、ごめんね。
でもまぁ…少しは感謝してるから。
私がそう言った直後。
波瀬くんから出た言葉を聞いて私は驚きを隠せなかった。
「だから…音楽番組とかさ。オレ自身がやっている訳じゃないし…まぁ、スポーツ観戦もそんな感じだけどさ。
オレとしてはそのAmaterasuってバンド?そのバンドの演奏は観てみたいって思ってたからさ」
へ?Amaterasu?
「波瀬くんって…音楽とか全然興味ないと思ってたけど、Amaterasuの事知ってるの?」
「音楽に興味ないって…。別に音楽に興味ない訳じゃないよ。好きなバンドも居るし、流行りの曲はカラオケ行ったら歌いたいって思うし」
わぁ…私としては意外な答えだった。
波瀬くんって私やクラスメートが音楽の話をしても、特に食いついてくるような事はなかったし、いつも無難な返事だなぁって呆れてるくらいだったのに。
「そんな詳しくないしライブも行った事はないけど、Ailes FlammeもBlaze FutureもCanoro FeliceもDivalも知ってるよ。あ、クラスの女の子達がよく話してるFABULOUS PERFUMEもそれなりには知ってるかな」
うわぁぁぁぁ…。
マジでなの?本当にめちゃくちゃ意外なんだけど。
FABULOUS PERFUMEは、うちの学校の女子達にも人気だし、話に聞いた事があっても不思議じゃないけど、何で波瀬くんがAiles FlammeやBREEZE FutureやCanoro FeliceやDivalを知ってるの?
私はこの学校ではみんなのバンド名とか聞いた事ないよ?みんなカッコいいし凄いバンドだと思ってるから、波瀬くんが知ってるってだけで、なんか鼻が高い気持ちになっちゃってますけど。
「まぁ、話戻すとさ……」
ん?どうしたのかな?
さっきまで普通に話してた波瀬くんが、周りの目を気にしているような…いや、周りだけじゃないかな。
私の事すらも警戒しているような…。そんな印象を受ける眼差しで私を見ている。
「…中原ならもちろん知ってる。
そう思って話させてもらうな。Amaterasuはさ、あの大神さんが持っていた射手座のレガリア。その唯一の継承者である葉川さんの…その継承者が居るバンドだろ?オレも射手座のレガリアを継承したバンドの音楽は、生で観て感じてみたいよ」
「レガリア!?」
「ちょ…中原、お前声がでかすぎ…。まぁ、ここらでレガリアとか言っても、みんなにはわかんないだろうけどさ。っていうか、その反応。やっぱり中原もレガリアの事は知ってるんだな」
意外も意外。
めちゃくちゃ意外過ぎるんだけど。
何で波瀬くんからレガリアの…それも射手座のレガリアの話題が…。私ですらレガリアの事を知ったのは最近の話なのに…。
……お父さんは割とレガリアの話も私にしてくれてたはしいんだけど、お父さんの言う事だしっ聞き流してたから、最後のまで知らなかったってのが本当の所なんだけどね。
「い、いや、そりゃ波瀬くんからレガリアの…それも射手座のレガリアの話が出てきたらビックリするでしょ」
「オレも父さんからなんだけど、小さい頃から何度も何度もレガリアの話は聞かされてきたからさ。特に射手座のレガリアの事は…。父さん自身はオレがスポーツの方が好きってのも理解してくれてるし、今となっては音楽をやってくれとか、そういう事は言わなくなってきたけど」
波瀬くんのお父さんから?
やっぱりお母さん同士が仲良しなだけあって、波瀬くんのお父さんもうちのお父さんやタカ達と何か関係あったのかな?今度何気なくタカ達に聞いてみようかな?
「レガリアの事は…その昔にあったレガリア戦争の事とか、それより昔にあった矢沢さんって人達の話とか…みんな凄くて凄絶だったんだ…って思ってるよ。
もちろん、葉川さんや中原のお父さん達の事もね」
うわぁ。これってもしかしなくても、波瀬くんの方が私よりレガリアについては詳しいんじゃないかな。
「それでついこないだなんだけどさ。
母さんから射手座のレガリアはAmaterasuってバンドに継承されたみたいだってのを聞いてな。そのバンドの演奏を観たいって思ってた所だったんだよ。
……あれ?そういやこの話は父さんには内緒って母さんが言ってたな。何でなんだろ?」
波瀬くんのお母さんがAmaterasuの事を?
あ、もしかしてお母さんが波瀬くんのお母さんに連絡したのかな?お母さんも天音さんって人にレガリアを託した後の事は何も知らなかったし、その天音さんがAmaterasuってバンドを始めた事を知ったのも、この合同文化祭での話だし。
「…ものは相談だけどさ」
「ん?何?私が嘆いているのを見かねて声を掛けてきたくせに、その私に相談持ちかけるとかどんな心情してるの?あ、もしかして心臓鋼で出来てる?」
「ものすごい言われようだな…」
「だって波瀬くんの相談事とか聞く余裕なんて今の私にはないし」
「いや、そのライブ大会さ?明日は決勝があるんだろ?もしかしたら…そのAmaterasuは今日の大会で負けちゃってるかも知れないけどさ。勝ち残ってたら明日も演奏するんだろ?そのライブ大会、オレも連れて行ってくれないか?」
「NO」
「何で英語で断るんだよ。しかも即答とか…」
「え?だって嫌だし」
考えるまでもなく嫌なものは嫌だし。
さっき波瀬くんが笑顔で手を振ったりしたもんだから、教室の外では気絶したり悶絶してる女子達で、しっちゃかめっちゃかになってるし『衛生兵ー!こっちだ!』とか、『私、生きて帰れたら今日の事を日記に書くの』『ダメだ!それは死亡フラグよ!』とか叫び合ってるから、私達の会話なんて聞こえてないと思うけど、もし、聞き耳を立ててる女子が居て、その子らも来るとかなったらライブどころじゃなくなって、大変な事になりそうだし。
「ちょっとくらい考えてくれてもいいじゃん」
「嫌だよ。会場は教えたげるから、行くなら私と別にして」
「頼むよー。オレがさすがに1人で高校とか入るのって勇気いるし、父さんや母さんに知られずにこっそりライブっての観てみたいんだよ」
いや、波瀬くんが誘ったら来てくれる友達いっぱい居るでしょ。それに波瀬くんなら堂々と高校でも入れるんじゃない?割りと適応力やコミュ力もあるし。
それに私は…
「…私、明日は茜と行く約束してるんだよね。
学校まではお母さんが送ってくれるけど、お母さんは仕事もあるから、そこで茜と…」
「あたしは波瀬くんが来てもオッケーよ?」
「ほら、茜も波瀬くん来るの嫌って……茜!?」
この子の名前は
この学校に入学してからの友達で、お兄さんがバンドをやっているという事で話が合い、それからファントムの手伝いのない日にはよく遊ぶようになり、今では親友のように付き合いのある女の子だ。
そのお兄さんが実はAiles Flammeの大ファンになったってのも私的には嬉しいポイントだ。
そして茜もお兄さんの影響で今ではAiles Flammeの大ファンで渉さん推しなんだよね~。亮さんの方がカッコいいのに。
「いや、あたしは波瀬くんが来てもオッケーって言ったけど?」
「ほら!中原!不破はオッケーって言ってくれてるじゃん!」
「いやいやいや。茜は何でオッケーしてんの?てか、いつの間にここに居たの?」
「ん?あたしは初音がライブ大会1回戦から観れない事にむしゃくしゃして、給食食べ過ぎたって理由をでっち上げるくらい落ち込んでるみたいだから心配になっちゃって。そしたら波瀬くんも来たし、どんな話してんだろ?って気配殺しながら聞き耳立ててたんだよ」
めちゃくちゃ近くに聞き耳立ててる女子がいたよ。
ってか、私が食べ過ぎでしんどい訳じゃなくて、ライブ大会に行けなかった事に嘆いてただけってバレてたの?
「別に波瀬くんが来たからって特に害がある訳でも邪魔される訳でもないし、Ailes Flammeの布教をするチャンスでもあるし」
「そうそう。不破はわかってるな。絶対中原と不破に迷惑掛けたりしないって約束するから」
「…それにあたしが来るって知っても嫌そうな顔もしないし、初音とデートしたいって口実の為にライブ大会に行きたい訳でもなさそうだしね」
「「え?なんて?」」
「何でもない。ただ本当にライブ大会…そのAmaterasuってバンド?そのバンド観たいだけなんだろうなって思っただけ」
う~ん…。
確かにレガリアの事を昔から聞いているなら、そのレガリアを継承したバンドの演奏を観てみたいって気持ちはわかるし、茜もオッケーなら私が波瀬くんを断るのもちょっと可哀想か…。
私もライブ大会でAmaterasuの演奏を観てみたいって、お母さんに聞いてからずっと思ってたし。だから、余計に今日行けなかったのが辛いんだけど。
「わかったよ。茜もオッケーなら私も波瀬くんが来るの許可してあげる。その代わり私達の邪魔したり迷惑を掛けたりしない事。いい?」
「中原もありがとう。絶対迷惑掛けたりしないって約束する!
うわぁ明日が楽しみになってきた。観れるといいなぁ、Amaterasu」
本当に嬉しそうに喜ぶ波瀬くん。
この笑顔を教室の外に居る女子達が見たら、またとんでもない事になるんだろうな。
そうして、明日のライブ大会決勝リーグは、元BREEZEのドラマーの娘である私、中原 初音と、Ailes Flammeの大ファンで今もバンドをやっているお兄さんのいる不破 茜。そして、昔にお父さんがバンドをやっていたという波瀬 翔太くんとの3人で観に行く事になった。
「はぁ…面倒な事起こらないといいなぁ…」
「ねぇ、波瀬くんってまだキーボードの練習たまにしてるの?(ボソッ」
「な、何で不破がその事知ってんだよ!?てか、それはその…中原に聞こえてないだろうな…。それは昔からやってたピアノの延長でやってたっけだけで…(ボソッ」
「ふぅん、初音がギターボーカル、あたしがドラム。波瀬くんがキーボードか。あとベース見つけたらバンドやれちゃうね(ボソッ」
「だ、だから…オレはバンドとか音楽は…。
オレはサッカー選手になるのが夢だからさ。(ボソッ
それに…それに中原は…今はBlaze Futureのチューナー…だしさ」