「さぁ!文化祭編も終わってハロウィン編?修学旅行編?に入ろうというタイミングで、やって来ました7周年記念!今回はこのわたくし!プリティー日奈子ちゃんが司会進行を勤めさせていただきますっ!!」
……俺の目の前で昔から変な事しかしないちびっ子がはしゃいでいる。
司会進行を勤めるのは勝手にやってれば?って思うが、ここには特に撮影班の方々も、SCARLETやファントムのスタッフの方々も居ない。
俺の名前は葉川 貴。
俺のモノローグって何気に久しぶり?
この場に居るのはファントムに所属しているAiles Flammeのメンバーと、Blaze FutureのメンバーとCanoro Feliceのメンバー、そしてDivalのメンバーevokeのメンバーと……あ~、もうモノローグすんのもめんどくせぇ。取り敢えずファントムに所属しているバンド、9バンドのメンバーが揃っている。
まぁ何か日奈子の企画で7周年記念をやるらしい。
何でも一流バンドか三流バンドかを見極める為の格付けチェックをするそうだ。絶対年始とかにやってるあの番組のパクリだよな?
本来ならこんな面倒そうな企画には参加せず、他のバンドのメンバー達が出演したいって頑張ってる間に、『実は作詞作曲してました』とか『実は小さいライブをやってました』みたいな事をモノローグ内に入れて、目立つことなく細々とバンドをやっていたかったのだが…。
まぁ、奈緒はともかく盛夏とまどかは出たがりだからなぁ~。特にまどかは仕事柄忙しいのか最近出演少ないし。あいつらの説得と英治からの一言で俺は出演を了承してしまったのだ。
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『でもライブやるんならファントムがいいんじゃない?盛夏のおかげで出演料も割引してもらえんでしょ?』
『まぁ確かに俺も勝手知ったるファントムの方がやりやすいし、いいとは思うんだけどな』
『あの…これって何の話し合いなんですか?まだハロウィンライブもファントムギグも控えてますのに、次のライブを何処でするかとか話し合いをしているって描写ですか?何のために…』
『不思議だよねー。前に貴ちゃんが奈緒のお仕事の事とか練習する時間がとかの為に、そんな頻繁にライブ出来ないとか話してたのに~。あたし達も裏ではバンド活動してんだよって設定描写かなぁ~?』
『まぁ、奈緒ちゃんも盛夏ちゃんもそう言ってやるなよ。タカは昔から自分が目立たず、かつ、楽しんでバンドやるって事に必死だったからな。俺達ん時も"そしてライブは終わった"とか"今日のライブは激しいデュエルだった"とか、あれ?ライブやったんだっけ?みたいな描写も多かったし』
『メタな事言ってんじゃねぇよ英治。俺もお前もBREEZEん時はめちゃくちゃバンドもライブも頑張ってたじゃん』
『いや、確かにそんな記憶もあるしやってたとは思うんだが、はっきりとした記録とか思い出とかよ…』
俺がBlaze Futureのメンバーを召集し、いつものようにバンド活動としてミーティングをしている時だった。
『やっぱこないだの失敗を覆す為に、もっかいでかいライブもした方がいいよな』
『え?失敗って何?そこまでいくとあたしもさすがに同意出来ないんだけど?』
『まるでこないだライブをしたかのような言い回し…』
『あ~、失敗じゃなくて大成功って感じだったら、まどかさんもあたしも乗っかったかもしれないのに~。ある意味貴ちゃん失敗しちゃったね~』
『お前ら本当に不毛な話し合いしてんのな。俺らん時もそうだったのかなぁ。今度トシキと拓斗にも聞いてみるか……。って、そんなのはどうでもいいんだよ!タカ、聞けよ。そろそろ7周年記念やるみたいなんだけどよ』
『あ?7周年だ?俺らまだバンドやって半年も経ってねぇだろ。それなのに7周年って何だよ。そんなのは我が儘お嬢様に任せてたらいいじゃん。僕達Blaze Futureはバンド活動で忙しいからパスで』
『え!?タカずるい!あんた一昨年はゴリラに殴られるとかでしっかり出演してたじゃん!』
『そうですよ!私としてはそんな企画物じゃなくて、しっかりライブとかしたいと思いますけど、全然出番がないのは寂しいです!』
『奈緒はしっかりライブ以外で出演してると思うけどなぁ~。でもあたしも出番はいっぱい欲しいかも~』
『お前達黙りなさい。俺だって一昨年に好きこのんでゴリラに殴られた訳じゃねぇんだよ。今年もどうせ粗末な扱いになるだけだって』
『いや、そうでもねぇぞ。今年はファントムのバンドで一流か三流かとか見極める為の企画らしくてな。ファントムのバンドは全バンド全メンバーが出演するらしいぜ』
『全バンド全メンバーだって!タカ!あたし達も出るんだからしっかりしなさいよ!』
『そうだそうだ~。ファントムのバンドみんななら、その中で三流とか思われたくないし~』
『一流とか三流とか他人が決めるもんじゃねぇよ。そしてそういうのは自分達でずっと探し続けるものだ』
『とか、貴は何かカッコいい風に言ってますけど、これってどなたの企画なんですか?一流かどうかって確かに自分達で感じるものって思うんですけど…』
『ああ。日奈子の企画だ。まどかも盛夏ちゃんも乗り気だし、奈緒ちゃんも参加してもって感じなのに、Blaze Futureの大将であるお前が反対派かよ』
『日奈子の企画だぁ?尚更出る訳ねぇだろ、アホか。全力で不参加だわ』
『なるほどな。お前は一流じゃないもんな。逃げたくなる気持ちもわからなくねぇな』
『何だとこの野郎。言葉には気をつけろよ?三咲を未亡人にしてやろうか?あ、ダメだ。その直後に絶対俺も三咲にやられる』
『タカ…お前は俺にとっても唯一の大将だ。誰が何と言おうと俺にとってお前は一流ミュージシャンなんだよ』
『な、なんだよ急に…気持ち悪い…』
『…俺達が無様なせいでお前は1人で足立とやり合う事になっちまって…お前は声が…喉を潰してしまった』
『いやお前ホント急に何言ってんの!?アレは俺が勝手に足立にムカついてやった事だし、そもそもあいつとやり合う前から喉にダメージあったわけだしっ!』
『それでも俺達はお前を守れなかった。お前が自分の事を一流だと思えないのは…あの時お前を守れなかった俺達の責任だと思ってる。許してくれ』
『何で今さら!?ちょっと止めてくんない!?だからアレはお前らのせいでも足立のアホのせいでもないしっ!そ、それに俺一流だから!超一流だからっ!え?俺自分で何言ってんの!?』
『一流だったら…本当にそう思ってんなら、日奈子の企画とはいえ、参加出来るに決まってるじゃねぇか。タカが参加したくないってのは…もう喉をやっちまって、俺達のせいで一流とは言えなくなっちまっ…』
『何言ってんだよ!てか今現在進行形でバンドボーカルやってますしっ!参加するに決まってんじゃねぇか!俺だよ?一流の俺が出ても勝負見えてんよなーって思ったから渋ってただけで…!出るよ出る出る!日奈子にもそう言っとけ!』
『(あータカがチョロい男で良かった)そっかならタカ達は参加な。日奈子には俺から伝えておくわ』
『ねぇ、それよりさ英治』
『あん?まどか?どした?』
『あんためちゃくちゃ必死だったよね?何で?なんか日奈子さんに握られてんの?』
『ああ、それな。タカは参加したがらないだろうから、俺がタカを説得できなかったら、7周年記念は格付けチェックとのは無しで、Artemisと三咲で飲み会しながら"過去にBREEZEと対バンしたガールズバンドのお話"とかにするとか言い出してな?』
『は?何それ』
『そんなの俺にとっては黒歴史も多いし、三咲の前でそんな話とかされたら命が危ういだろ?だから俺としては格付けチェックしてもらわないと…』
『英治は必死になるところがやっぱりズレてるよね』
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とかなやり取りがあり、俺は出演する事を承諾したのである。やっぱり失敗だったよなぁ。本当なら今頃家でゴロゴロしながらゲームでもやっていただろうに…。
「って訳で!みんなが一流バンドなのか三流バンドなのか、それをこれからの試練で見極めさせてもらいます!」
別に撮影とかしてる訳でもないのに、あのちびっこはノリノリだな。まぁ、日奈子の考える試練なんて、昔に何度も乗り越えてきたし、渉達や美緒ちゃん達みたいにまだ高校生の奴らも多いんだし、命に関わるような試練は今回はないだろう。……いや、甘いか。考えてみたら俺が死にかけるような企画やらされた時、俺らまだ高校生だったわ。
日奈子の今回の企画説明はこういう事だった。
SCARLET(とは言っているが日奈子の独断だろう)が考えた試練は全部で8つ。
簡単なAかBの2択、もしくはABCの3択から正解を選び、1問間違えるごとに一流から二流へ、二流から三流へと格付けが下がっていくらしい。
一応、格付けがアップする救済問題もあるらしいけどね。
ま、やるって言ってしまったからには適当にやるだけやるか。あの年始にやってる番組と同じ感じなら、最終的には写す価値なしとかで早期撤退も出来るだろ。
「それでは細かいルールの説明です!
まずみんなは一流バンドとしてスタートします。
さっき言った試練を不正解したり失敗しちゃうと一流バンドから二流バンドに、二流バンドから三流バンド、三流バンドからなんちゃってバンド、なんちゃってバンドからバンドなんか辞めれば?になっちゃいます」
「バンドなんて辞めれば?って何だよ…」「俺だけなら一流バンドをキープ出来たものを」「うわ、タカみたいな事言ってる人がいるとか思ったら拓斗さんだった!」「拓斗さんは一流に決まってるよ」「さすが内山だな。僕もそう思うよ」「内山はしょうがないとしても東山先生もアホだったの?」
あん?『バンドなんて辞めれば?』だと?
これが写す価値無しと同意な感じか?
なら割と早々にリタイアも可能っぽいな。
「えっとそれでね。そのバンド辞めれば?から格下げされちゃうと、バンドのお手伝いさんという事で、他のバンドのライブのサポートを1年間無料でやってもらいます。あ、もちろんファントムのバンドのファントムでやるバンドのサポートね」
「な!?1年間もだと!?」「しかも無料!?」「横暴だ!」「まぁ一流をキープするであろう私達には関係ないわね」「理奈ちさぁ…そういうの言っちゃうとたか兄とか拓斗さんの仲間みたいに思われちゃうよ?」「私は空いてる日ならみんなのサポートとしてお手伝いしてもいいんだけど?」「茅野ってホントにいいヤツだよな」
まだ下があったのかよ…!
ふぅむ…まぁ、別にこれもいいか。
俺がバンド再活動する前も、英治達が忙しいって時は手伝いもしてたし。むしろ無料で色んなバンドの演奏も観れるいい機会だった訳でもあるしな。
それがまた
「そしてそのバンドのお手伝いさんから、さらに格下げされちゃうと日奈子様の元で修行中という事になって、あたしが考えるおもしろ企画に強制参加してもらいます!これも1年間の期間限定ね」
な、何だと!?
1年間も日奈子のおもしろ企画に強制参加だと!?
あかん、死ぬ。こっちはもう若くねぇし無茶出来ねぇんだぞ!
「はぁ!?ふざけんなっ!」「お前俺達を殺す気か!?」「にーちゃんも拓斗にーちゃんも、物凄い勢いで拒否ってるな」「翔子ちゃんに聞いた話だと、日奈子さんの企画をやってきて、生きてる今は奇跡かもとか言ってたよ」「フッ命を賭した企画か…面白いな」
さすがに拓斗も文句があるみたいだな。
よし、言ってやれ拓斗。ここは俺と協力してこの企画をぶち壊そう。
「あれ?何でタカちゃんと拓斗ちゃんが文句言ってるの?あ、もしかしたら一流バンドをキープするどころかそこまで落ちちゃうと思ってるの?あ、ごめんね。だったらタカちゃんと拓斗ちゃんの為にもう少しルールぬるくしよっか?」
「なぁ!?一流の俺がそんな心配する訳ないだろ!」
「ああ、そうだ。俺達は一流だが他の奴らの為に代弁してやったに過ぎねぇ。俺も自分がそのおもしろ企画とやらをやらされる訳はありえねぇって思ってんよ」
「ありゃ?だったら問題ないじゃん。あたしもただ名目上の罰ゲームって事で言っただけだし、ファントムのみんな一流だと思ってるから、どのバンドもあたしのおもしろ企画をやることになるとは思ってないよ?ね?渉ちゃん」
「お?俺か?まぁ、俺もにーちゃんに比べたらまだまだだけど、一流の中の一流だと思ってるからな!何の問題もねぇな!」
「だよね~。で、タカちゃんも心配はしてないとして、あ、姫咲ちゃん!姫咲ちゃんはもしかしたら一流じゃないかもとか思ってる?心配かな?」
「は?日奈子さんともあろう方が何をおっしゃってるんですの?わたくし達が一流でない訳がありませんじゃないですか。何の心配もしてませんわ」
「あたしもそう思ってるよ~。もちろん理奈ちゃんも一流だから問題ないよね?」
「当然ね。むしろこんな企画をしてこけないかどうかの方が心配だわ」
「お~!言うね~。折原ちゃんはどうかな?」
「あ?俺達は一流だ。二流以下の訳がねぇ」
クッ、しまった…。
変にくその役にも立たないプライドだけは高い俺と拓斗はまんまと乗ってしまった!
日奈子のヤツ、それを見越して渉達まで巻き込むとは…。ぐぬぬぬぬ…今さら嫌だとかめちゃくちゃ言いづらい!むしろ今さら言うの恥ずかしい!
「綾乃ちゃんは?今回の企画で一流でいられないと思ってる?」
「日奈子さんがこうやって各バンドのメンバーを煽って言質取っちゃおうとしてるのは見え見えですけど、ここのみんなが不正解して鼻が折れる様を見るのも面白そうって思うから、私達Noble Fateは参加で大丈夫ですよ」
「ちょっ…!綾乃さん、そこまでわかってて…」
綾乃!日奈子の策を気付いてんなら止めろよ!
てか、日奈子の策に気付いてんなら、俺と拓斗は変なプライドが邪魔して断れないってのもわかってんだろ!俺達の気持ちも汲んでくれ…!
とか、一瞬思ったけどダメだわ。
綾乃は面白い事になりそうとか思ったら、自分に実害があってもやる変態さんだもん。
自分の被害より俺達の被害を楽しんで悦に入る人だもん。日奈子のやつそんな綾乃の性格まで見越してんだろうな。
「ありゃ、バレちゃってたかー。でもそれがわかってて参加するのは流石だね!もちろんチヒロちゃんもオッケーだよね?みんなの参加なのに逃げたりとか出来ないもんね?」
「は、はぁ!?あったり前だろ!俺達は参加だ!一流の俺達が逃げる訳ねぇだろ!」
よし、もう逃げられないな。
チ、面倒だがやるしかないか…。
美緒ちゃんも…俺や理奈と同じタイプだから、煽られたら断らないだろうしな。
「美緒ちゃん達はどうする?渉ちゃんも自信いっぱいみたいだけど、やっぱり逃げちゃう?まだ高校生だもんね。渉ちゃん達も高校生だけど」
「はぁ!?私達が逃げる訳ないじゃないですか!」
「そうだよね。渉達が一流ならあたし達は超一流だろうし」
ほらね。こうなると思ってました。
ハァ…取り敢えず日奈子のおもしろ企画の参加にならない程度に、程よく手を抜きながら最後までやるしかないか…。
「拓斗ちゃんも大丈夫みたいだしみんな参加かな?
みんなバンドのメンバーがやる気みたいだから、自分は参加したくないとかないよね?」
「み、美緒ちゃん…でも万が一って事もあるし」「理奈ちもさぁ…ちょっとは考えてみた方が…」「姫咲が参加するなら俺達に拒否権はないよね…」「奏~、結弦の事止めた方がいいよ~。俺あんま自信ないし~」「花音は反対派みたいだけど…綾乃はともかく何で達也はやる気なの?」
やれやれ、みんな若いな。
日奈子がここまでやった以上、これ以上なんかしても絶対に参加する事にはなるんだし。
あれだよ?適当に手を抜く方法も覚えなきゃ世の中しんどくなるよ?
その後、日奈子は手をパンパンと鳴らし「有希ちゃん、みんなにアレ配って」と声をあげた。
その直後にこの部屋のドアを開き、有希がめんどくさそうに室内に入ってきた。
もしかして有希達も参加なのか?
「やれやれ…ボスのこういう所は私も困った所だと思っているのだがね」
室内に入って来た有希が、各々のメンバーを確認しながら1枚の紙を配っている。なんだあれ?
「オホン。今、有希ちゃんに配ってもらっている紙は、各々みんな違う事が書かれています。そこにはあたしが全経済力や全権力を駆使してでも、一流に残れた場合そのメンバーに賞品として与えられる"特別な物"が書かれています。まぁ、あたしが独自で調べた物だから、人には知られたくない物もあるかも知れないし、一応他の人には何が賞品かバレないように、各人にこっそりあなたへの賞品をお知らせします」
何だと…賞品…?
マジでか?え?その賞品によっては俺もやる気出そうなんだけど。え?何かドキドキしてきた。
「おい、日奈子。この…一流に残れた場合の賞品ってのは…その…マジでか?」
拓斗?拓斗が有希に渡された紙を見ながらブルブルと震えている。え?そんなすごい物貰えるの?
「(拓斗ちゃん?拓斗ちゃんの賞品は確かそよ風でのバイトの時給アップだっけ?これは全然問題ないね。晴香ちゃんが『兄貴も頑張ってるしそろそろ時給アップしてあげようかなぁ?』とか言ってたから、今回のお話をして『拓斗ちゃんが一流に残ったら時給アップしたげるのはどお?』『あ、それいいかも!そうしよっか』ってな事があったからね。)うん、問題ないよ。拓斗ちゃんが一流に残れたらそこに書かれている賞品は約束されてるよ」
「ま、マジでか…。そしたらトイレの電気も直して…2日に1回は米も炊いて…」
…え?拓斗何貰えるの?
「あの!日奈子さん!これって本当に…じゃない。私は今はナギだった。えっと、日奈子さん、オレの賞品として書かれているこの賞品は本当に貰えるんだろうか?」
双葉まで!?
双葉とは長い付き合いではあるが、あいつって物欲はそんな高い方じゃないのに…。
そりゃヲタであるあいつもグッズやら薄い本やら買い漁ったりはしているが…。
「(おりょ?双葉ちゃんの賞品って何だっけ?)え、えっと…」
「ボス、双葉への賞品は『松岡 冬馬と冬の遊園地デート(スケート込み)』の権利と遊園地のペアチケットだ(ボソッ」
「(あー、あーあー、それかそれか。 松岡ちゃんなら口車でいくらでもその気にさせられるし、多分断る事が出来ないように持っていけるだろうから大丈夫かな。)うん、全然大丈夫。SCARLETの社長として約束するよ」
「ど、どうしよう…スケートとか初めてだし、手…手を繋いでもらっちゃったりとか…///」
「すまない、日奈子社長。俺のこの賞品も本当に頂けるのか?」
ん?豊永くんも?
「豊永ちゃんへの賞品は…(ん~…あれ?本当に思い出せないんだけど、豊永ちゃんの賞品って何だっけ?)」
「ボス、豊永くんへの賞品は『バナナの形をしたダンベル2個セット』だ(ボソッ」
「(……へぇ、そんなのあるんだ?ってか、あの賞品を選らんだ当時のあたしは何を思ってそんな賞品を書いたんだろう?そして豊永ちゃんは本当にそれが欲しいの?)うん…大丈夫だよ。約束する」
「フッ、これは本当に一流から外れる訳にはいかんな」
あのいつもクールな豊永くんが笑みをこぼしながら欲する物だと!?いや、みんなの欲する物も気になるけど、俺には何が用意されてんのか、めちゃくちゃ期待しちゃってんですけど!
「ふんぬぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
-バターン!
有希に紙を手渡された渚が急に叫びながら椅子から転げ落ちてしまった。
「まさか…まさか…こんなのが頂ける事になるとは…!」
「びっくりしたぁ…(なっちゃんへの賞品は確かDivalに梓ちゃんか作詞作曲して新曲をプレゼントだっけ? 梓ちゃんも今は
やべぇ。渚は物欲の塊だし、あんな事になっちゃっても全然びっくりしない。馴れとは怖いものだな。
「渚は一体どうしたというのかしら?いきなり倒れるものだからびっくりしたじゃ…あぁぁぁあぁあぁぁぁぁ!!!」
-バターン!
「ちょ!?理奈ちもどうしたの!?」
「渚も理奈も…うちのメンバーって何て恥ずかしいんだろう…一流のびっくりの仕方とは思えな……うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
-バターン!
「志保まで!?え!?これあたしも倒れた方が良かったの!?あたし賞品見て嬉しくなったけど、そんな倒れる程じゃなかったんだけど!?渚も理奈ちも志保もそんなすごい賞品なの!?」
理奈と志保まで椅子から転げ落ちるような物を…。
いや、やっぱあいつらなら大した物じゃなくても、大喜びして椅子から転げ落ちるくらいの芸当はやってしまいそうな気がする。
どうしよう。あいつらがあんなすごい反応するもんだから、逆に実は大した物じゃないんじゃないかな?って思いだしてきた。
そして有希が俺に賞品の書かれている紙を渡そうとした時だった。
「タカ。これはお前には不要の物だな。しょうがない、お前が一流に残れた際にはこの賞品は私が貰えるという事にしよう」
は?何言ってんだこいつ。
そして俺に渡すはずだったであろう紙を自分のスカートのポケットにしまい、そのまま奈緒達に紙を配り始めた。
「いや、お前何やってんだよ。早く俺にも賞品が何か教えろよ。てか何でお前が勝手に不要だとか決めてんの?」
「やれやれ。面倒くさいヤツだな。…いややはりお前には不要だよ」
「いや、不要かどうかは俺が決めるんで。とにか早く教えなさい」
「まったく…本当にしょうがないヤツだな。よし、ん、んん…」
有希はわざとらしく咳払いをし、一瞬下を向いて微動だにしなくなってどうしたの?とか思っていると、俺の方へ上目遣いでこう言ったのだ。
「ねぇ、お願い…パパ…。あたしこれ欲しいの…頂戴(はぁと」
「うん、いい………訳ねぇだろ!あっっぶねぇ!!」
「チッ」
「お前本当何やってんの!?うっかり承諾しちゃうとこだったじゃねぇか!」
「私はお前の遺伝子から造られたmakarios bios。つまりお前の娘みたいなものだ。たまには娘を労うといい」
「どの口が言ってんのお前?いつもいつも俺の事…」
「だって…恥ずかしい…もん。いつもは照れ隠しなの。パパの事大好きなの…気付かれちゃうとあたし…///」
「いや、あげないよ?」
「やれやれ、私にここまでやらせておいて承諾しないとは…。本当に甲斐性のない男だな」
「いや、お前が勝手にやったんじゃねぇか」
「とにかくだ…」
そう言った有希な残りの紙をみんなに素早く配り、
「これは私が頂く!ボス!そういう訳だからタカのバカが一流になったあかつきにはこの賞品は私が貰い受ける!一流になれなかった場合は今回のお手伝い賃として私が貰い受ける!」
そう言って結局、俺に賞品が何なのかわからないままになり、有希は走って部屋を出て行った。
「おい、日奈子。どうなってんだよこれ」
「う~ん、さすがタカちゃんの遺伝子だよね。こういう事には普段クールな有希ちゃんも、タカちゃんみたいになっちゃうね」
いや、さすがの俺でもあんな風にはならねぇわ。
「ま、ここでタカちゃんの賞品だけ言っちゃうのも何だし、賞品が何なのか知りたいなら一流に残るしかないよ。しょうがないから有希ちゃんの分も別に用意するか。
一流にタカちゃんが残れても賞品はちゃんとタカちゃんにお渡しするから安心して」
本当に俺への賞品は何なんだよ…。
あの有希があそこまで壊れるほどのとんでもない賞品なのか…。
この日奈子の7周年企画は適当にやるつもりだった俺だが、賞品の為に…じゃない。
俺が一流だと証明する為に気合いを入れて、参加する事にしたのだった。