バンやろ外伝 -another gig-   作:高瀬あきと

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第42話 デュエルギグ干支

デュエルギグ干支…。

私はこの語呂の悪さにも恐怖を隠しきれないんだけど、でもそれ以上にずっとクリムゾンエンターテイメントの名もない下っ端のミュージシャンだと言っていたお父さんが、そのデュエルギグ干支とかいう謎の人達の隊長をやっていたという事に驚いている。

 

私の名前は本城 天音。

タカさんがお父さんとお母さんにご挨拶したいって言ってきた時は、しょ…正直その…色々期待もしちゃったし、まぁ、アレがアレでアレだったんだけど…。

 

お父さんはそのままジッとタカさんと英治さんを見ている。そしてタカさんと英治さんはびっくりした顔で固まっている。

お母さんの方へ目を向けるとばつが悪そうに下を向いていたけど、結月ちゃんの方へ目を向けたらめちゃくちゃ顔を反らされた。結月ちゃんは知ってたって事?

 

「は、ははは、あの、その…いきなりこんなカミングアウトされたら、葉川さんも中原さんも困ります…よね?」

 

「ああ…いや…まぁ。あの時…の事もあるからな。た、多少は気になる…かな?」

 

デュエルギグ干支…。

あの時の事って、さっき梓さんの話もチラッと出てきたし、梓さんの事も何か関係があるんだろうけど…。

あの時の事っていうのは、梓さんの事故の事かな?

あんまりその話は詳しく知らないし、デュエルギグ干支ってのが居た事も初耳なんだけど…。

 

「あ、あの!おじ様がデュエルギグ干支だったとしても、あの梓さんとの事故とは関係なくて…」

 

「結月ちゃん」

 

「あ、す、すみません…」

 

英治さんが気になるって言うものだから、結月ちゃんが何か弁護してくれそうだったけど、お父さんが結月ちゃんの言葉を遮った。

 

「やっぱり気になりますよね。秘匿されていた部隊とはいえ、梓さんの事故の事も、makarios biosの子の事もありますから…」

 

「い、いや!俺が気になるっては…あの、その…。お、おい、大将。お前から天音ちゃんのお父さんに言ってやってくれ」

 

「ハァ…お前、その困った時に俺の事を大将とか持ち上げてくるの止めてくれません?まぁ、その…気になってる事言わせてもらっていいですか?」

 

タカさん…。

やっぱりタカさん達にとっては、梓さんのあの事故の事は大変な事だっただろうし。

…タカさん達がお父さんを許せないっていうなら、それはそれでもしょうがないと思う。

 

そして、その事が引っ掛かって、私達がファントムに所属出来なくなるのなら…。

な、何とか真凛ちゃん達は所属させてもらえないかな?

 

あ、でもレガリアだけは…その…。私が託したいって思えるまではとか思うようになったんだけど…だ、ダメかな?

 

「はい。何を言われようと覚悟はしています」

 

お父さん…。

 

「はぁ、すんません。それなら遠慮なく…。えっと…そんな昔の事は気にしないでいいと思うんすよね。正直、あの時の事はムカついてんし、色々あったんですけど、その時の事はもう終わった事ってか、俺らはもちろん梓自身も気にしてないし、今もあいつ元気ですし」

 

タカさん?

 

「何か言葉の選び方難しいな…。えっと、お父さんもあん時の事後悔ってか、やっちまった感あるから、俺らに話してくれたんだと思いますし、アレがアレなんですけど、その…まぁ、今バンドやってる天音ちゃん達には関係ない事だし、お父さんがどうだったとか、そんなので天音ちゃん達への評価?っていったら偉そうか。

あの、印象とかそういうの?全然関係ないんで、ほんと気にしないでください」

 

「そう!それ!さすが俺達の大将!夜の太陽!俺もそういうのが言いたかったんだよ!」

 

「何お前が俺の事を夜の太陽とか言ってんの?○すぞ」

 

タカさん…それって…。

お父さんは許されたって思っていいの?かな?

 

「ありがとうございます。僕も天音達にはそんな事気にしないでもらいたい。知らないまま音楽を楽しんでほしいと思って、今日まで天音には話さないでいたんですが」

 

わ、私はそんな事…た、確かにちょっと前なら気にしちゃってたかな?で、でも今は…。

あ、だからお父さんも今ならと思って話してくれたのかな?

 

「でも僕もズルいですよ。葉川さん達ならきっとそう言って下さると計算してたのもありますから」

 

「ま、そういうのはお互いになしにしましょう。俺らだって逆に言えば、お父さんの友達や仲間をぶっ潰していってたんだし」

 

タカさん達もお父さんの友達や仲間をぶっ潰してた…か。確かに…。タカさん達も自由な音楽をやりたいってだけだったのに、クリムゾンエンターテイメントに邪魔されて、クリムゾンエンターテイメントの人の中には、そんな音楽しかやれなくて、しょうがなくやってた人達も居る訳で…。

 

三咲さんから聞いたレガリア戦争もそうだけど悲しいな。音楽を好きな人達が好きな音楽で争うなんて…。

 

「だけど…俺もせっかくだから気になるって事聞かせてもらいますね。元クリムゾンエンターテイメントだったってのはもちろん知ってます。でも、何で今、その中でもデュエルギグ干支だった事を話してくれたんですか?正直黙ってれば、俺らに知られる事もなかったと思うんすけど…」

 

「そうですね…」

 

確かにそうだよ。私も知らなかったくらいなんだし。

デュエルギグ干支だったって言われても、さっき聞かせてもらった程度にしか私も知らないけど…。

 

「僕の過去の事を知って天音の事をどう思われるのか、それが気になったっていうのはありますが、あの時の事と今の事を、話せる範囲は話させていただこうと思いまして」

 

「話せる範囲って…俺達は別に…」

 

「僕達、デュエルギグ干支の事、どこまでご存知かはわかりませんが、最初の僕達は四天王と呼ばれた九頭竜、二胴、手塚、足立その4人に遣えていたミュージシャンの中から選ばれたのではなく、海原さんが独自に探しだしたミュージシャンで構成されていました」

 

「海原のアホが?てか最初の?」

 

「構成されていましたって…過去形なのか?」

 

「ええ。クリムゾンエンターテイメントの社風は弱肉強食。四天王から離反する者や、四天王を倒して自分がのしあがろうとする者、それにデュエルギグ戦闘員や暗殺者、将軍といった立場から名乗りを許される為の共食いとか…そんな悲惨な世界でした」

 

そんな…同じ事務所の仲間同士のはずなのに、そんな事が行われていたなんて…。

タカさん達はさすがに知っていたのかな?

黙ってお父さんの話を聞いていた。

 

「そんな中でも僕達は秘匿された部隊でして、日々、レガリア使いを倒す為、かつてのレガリア戦争と同じレベルの過酷なデュエルギグに勝つ為の訓練を日々受けていました」

 

「そういや梓と会ったって言ってたヤツが言ってたんだっけ?」

 

「かつてのレガリア戦争。"音がしないデュエルギグ"か…」

 

音がしないデュエルギグか。

これは三咲さんから聞いたことがある。

音楽の戦いであるデュエルギグのはずなのに、周りには一切を悟られる事がなかったという…。

レガリア戦争ではそんなデュエルギグが行われていたって…。

 

「そんな僕達にも新たな仕事が与えられました」

 

「新たな仕事?」

 

「ええ、クリムゾンエンターテイメント内の、離反を考えている者の粛正、そしてmakarios biosの教育です」

 

「makarios biosの教育…?」

 

「はい。makarios bios…。その存在はあなた方はもちろんご存知だと思います。彼女達への音楽の特訓や日常生活に差し支えのないように教育、そういった事を僕らはやっていました」

 

「だから…36番と39番の脱走の時に…か」

 

-ガタッ

 

「え?どしました?」

 

お父さんの話を聞いていたタカさんが、何か番号?みたいなのを言ってすぐ、お父さんは血相を変えて立ち上がった。こ、こんなお父さんを見るの初めてで私もびっくりなんだけど…。

 

「39番…美来ちゃんの事は知ってらっしゃったとしても、何故、葉川さんが36番…サムの事を!?」

 

み、美来…ちゃん?

えっと…美来ちゃんってもしかして、文化祭の時にいらっしゃったセバスマンに助けを求めていた特別ゲストって腕章されてた方かな?めちゃくちゃ梓さんに似ててびっくりしたんだけど…。

 

「美来のヤツも有希にいつもサムって呼んでるよな」

 

「そういやそうな。美来ちゃんも元々はサクって呼ばれてたみたいだしな」

 

「美来ちゃんがサムと呼ぶ…有希さん…?まさか、36番は…元気なのですか?葉川さんと無事にお会い出来たのですか?」

 

「ん?ああ、有希ってか36番?今もめちゃくちゃ元気ですよ」

 

「タカのmakarios biosってのに全然似てないけどな」

 

「良かった…36番…有希さんが無事で…。僕のやった事は間違いじゃなかった…」

 

そう言ったお父さんは急に泣き出し、その…有希さん?って方の事を、タカさんと英治さんから色々と聞いていた。私の知らない方だし、私は何となくでしかわからなかったけど…。

 

何となくの話の流れで、お父さん達が教育をしていた36番と39番って…マカリなんとかって人が、クリムゾンエンターテイメントから脱走して、教育係だったデュエルギグ干支のお父さん達に、連れ戻すよう命令が出たらしい。そしてお父さん達が36番、他の人が39番という風に別々に探す事になって…。

 

でも有希さんって…こないだの撮影の時にいらっしゃったあの方かな?蘭ちゃんが姉御って呼んでたっけ?

 

「当時はすでにクリムゾンエンターテイメント内の粛正で、僕らの中でも入れ替わりも余儀なくされるような事もあり…。海原さんに選ばれたミュージシャンは二胴や九頭竜の部隊へと左遷されて、常にデュエルギグ干支はクリムゾンエンターテイメント内の四天王に次ぐミュージシャン達12人で構成されるようになっていました」

 

「そっか…。二胴達の部下を粛正の際に負けたりで…入れ替わりとかそんな感じか」

 

「本当に面白くねぇ奴らだな。クリムゾンエンターテイメントに離反するって言っても、結局そのデュエルギグ干支を倒したら自分がデュエルギグ干支になったって事だろ?」

 

「そうですね。だからデュエルギグ干支の中には海原さんを尊敬している者、デュエルギグギグ干支という立場になって上手く利益を得る者、デュエルギグ干支という立場からクリムゾンエンターテイメントを潰そうとする者、互いが互いに信用出来なくなるような状況になり、僕も隊長とはいえ…その…すみません」

 

「いや、その…本城さんが謝るような事ではないと思いますんで」

 

「そうだよな。んで、本城さん達は結局36番…有希を見つける事が出来なかったから、有希は日奈子に保護されたって事なのか?」

 

「いえ…僕らは…」

 

 

 

 

『やっと捕まえた。36番、手間をかけさせるな』

 

『あ?捕まった訳じゃねぇし。わざとだし。てか、いつも私のことサムって呼んでるくせに、何で36番とか言ってんの?あ、あれ?部下の人がいるからちょっとカッコつけてる的な?』

 

『黙れ36番!キサマがmakarios biosの仲間達からサムと呼ばれているのは知っている!だが我らの隊長である"()"がサムなんで呼ぶわけないだろう!』

 

『フッ、子を動揺させ油断を誘い、逃げようという腹積もりか。浅はかなり』

 

『だってさ』

 

『ちょっとカッコつけたいってわかってんだろ?だからお願い。少し黙っててくれない?』

 

そんな時、僕の元へ海原さんから連絡がありました。

 

『子かね?首尾はどうだろう?』

 

『ハッ!我々は…』

 

『39番は無事に確保する事が出来たよ』

 

『それは何よりです!私共が担当している36番ですが…』

 

『そうだね。39番を確保する為に多大な犠牲が出てしまった。"亥"は梓にデュエルで敗れ、その梓も事故に合い…生死は不明だが目撃した"卯"の話では助からないだろうとの事だ』

 

『"亥"が敗れ…梓さんが…?』

 

『とても残念な事だよ。そこで我々はもうこれ以上被害を出す訳にはいかなくてね。36番はタカのmakarios biosだし期待していたのだが…。見つけ次第、処分してくれたまえ』

 

『は…?しょ、処分…です…か?その…処分というのは…』

 

『やれやれ、わかっているだろう?アレを連れ戻してもまた脱走を企てるかも知れないしね。そうなっては被害は増えるというものだ』

 

『それは…36番が大人しく戻ると言っても…でしょうか?』

 

『ああ、そのつもりだ。頼んだよ』

 

36番は処分対象。

僕がこのまま36番を連れ戻しても、おそらく海原さんは36番を処分するのだろう。

だけど36番を見つける事も、処分する事も出来なかったら…僕らはきっと。

 

『あ~、なら私を処分しるしかないんじゃね?

パパに会ってみたかったけど…お前らに見つかった時点で無理だろうしな。未練たらたらだけど覚悟してやるわ』

 

『お前…海原さんとの会話が聞こえて…』

 

『サクは梓と会えたって事みたいだな。ま、それだけで逃げた甲斐はあったわ。さ、やれよ。出来れば痛くなくしてね?』

 

そして、36番は僕の手から逃れ、僕に背を向けて跪き、

 

『私も天に帰りましょう』

 

間違いない…。

これは北斗の拳でユリアがラオウに手を掛けられようとしていたときに言っていた台詞…。

こんな幼女があのユリアのように…。

出来ない…僕にはこの子を手に掛けるなんて…。

 

『"辰"、"戌"、すまん。我は…いや、僕は…』

 

『いかん!我の靴紐がいつの間にかほどけている…!クッ、こんな時に…ええい!靴紐を結ぶのに必死で、今、36番に逃げられても追う事が出来ない!この変な仮面さえ着けていなければ、靴紐を結ぶなぞ容易な事なのに!』

 

『クソッ!朝から36番を追っていたものだから、今物凄くトイレに行きたい!やむを得ん!どこかにトイレを借りに行こう!ここには"子"と"辰"が居るから、我が少し抜けても問題ないはずだ!』

 

『お前ら…』

 

『何やっているのだ"子"。我は靴紐を結ぶのに忙しい。早く36番を、海原さんの元に連れていくのだ』

 

『そうだな。我はトイレに行かねばならん。早く36番を連れて行け。決して逃げられるなよ?』

 

『…ありがとう』

 

『…オレが無職になったら奢れよ?』

 

『あたしも。あ、いい男紹介してよね。出来ればバンドマンとかじゃなくて、商社で真面目に働いてる人とか』

 

『…ごめん、僕も無職になるかもだし無理かな?ほら、サム、行け』

 

『あ?ちょ、ちょっと待てよ。お前ら私逃がしたらヤバくね?ってか"戌"って女だったの?』

 

『いいから行け。僕達がヤバいってわかってるなら、ほかの奴らには見つかったりしないでくれな。そして、何がなんでも生きてくれ。きっといつか葉川さんとも会えるさ』

 

『お前らわかってる?ここで私を逃がしても…私はmakarios biosだから…いつ崩れるか…いつ壊れてしまうか』

 

『だからそれまで精一杯生きてくれ』

 

『行けよ。まぁ、最近の海原さんはおかしくなる事が多いし、オレ達も潮時だと思ってたしな。出来ればクビにはなりたくないけど…』

 

『いつか会えるといいね。お父さんに』

 

『…借りは絶対返すから』

 

 

 

 

「そうして僕らは36番を見つけられなかった事にして、海原さんには失敗と伝えました。…不思議と僕らには何のお咎めもなく、僕は天音を連れて逃げるまで隊長の座に居て、"辰"も僕が去った後…今はわからないですけど、そのまま。"戌"はそのちょっと後に寿退社しましたが…」

 

『ゆ、有希が俺の事をパパと呼んでいただと…!?』

 

『デュエルギグ干支の"戌"が女だと…!?現役の時にお会いしたかった…!』

 

お父さんの話はすごい事だったっての私でもわかったんだけど…。タカさんと英治さんが気になったのはそこなんだ?あ、でも、お父さんのユリアとかラオウとかは、よくわかんなかったんだけど…。

 

「そうか…36番は有希という名前をもらって、葉川さんにもお会い出来て、今も元気なんですね」

 

今、お父さんが一瞬涙を流したような気がした。

今のお話を聞いた感じだと、お父さんはその有希さんって方を逃がす為に、自分の立場が悪くなるとしても…。

やっぱり私のお父さんは最高のお父さんだ。

 

それから少しお話をして、私達は無事にファントムに所属させていただける事になった。

一応、ファントムの親会社的な扱いであるSCARLETからも承諾を得られたらというお話だけど、日奈子さんの事だから多分大丈夫だろ?との事だった。

 

その後、タカさん達はそよ風ってお店で、みんなで飲み会の予定が入っているらしく、私とはここでお別れして、結月ちゃんをお家に送って開催する予定だったらしいけど、英治さんが『あ、なんなら顔合わせって感じで結月ちゃんと天音ちゃんも来るか?』とか言ってくれるものだから、私達は喜んで参加させていただいた。

 

そこにはAiles Flammeの皆さんと河野 沙智さん、Blaze Futureの皆さん、Canoro Feliceの皆さん、Divalの皆さん、evokeから河野さん、Noble Fateからは大西さんと北条さんと木南さん、FABULOUS PERFUMEの方はいらっしゃらなかったけど、先日の撮影の時にご一緒させていただいた茅野さんと小松さん、Glitter Melodyの皆さん、Lazy Windの皆さん。そしてArtemisから梓さんと澄香さん。梓とも直接お話出来たのは嬉しかったな。

席替えとかも頻繁にあって色んな方とお話する事も出来たし。

 

そういえば席替えのタイミングの度に雨宮さんと英治さんが泣いていたのは何でだったんだろう?

 

そして美来さんと有希さんもいらっしゃったから、ちょっとお話してみたかったけど、席替えの関係であんまり近くなれなかったら、ゆっくりはお話出来なかったな。

今度何となくででも、お父さんの事をお話出来たらいいなって思った。

 

 

 

 

 

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その日の夜。

天音をタカ達の飲み会に送り出した本城夫婦は、2人で夕飯を食べながら話をしていた。

 

「天音の本当の父親の事は言わなかったわね。まだ言うタイミングじゃないと思った?」

 

「タカさんが…本当に天音を嫁にもらってくれるって話だったら、ちゃんと言おうと思ってたんだけどね」

 

「私はびっくりしたわよ。あ、天音が勘違いしてた事じゃないわよ?あなたがまさかデュエルギグ干支の事を話すなんて。天音の前で…」

 

「ハハハ、それは…天音にもそろそろ話しておかないと…とも思っていた事だし」

 

「そう…ね。それに…36番の事もよ…本当に良かったわ。私もずっと心残りでたから」

 

「うん。本当に嬉しかったよ。

……でもまぁ、あいつも僕から"子"を受け継いだんだから、その情報は入ってるだろうに…!何で僕に報告してくれないかなぁ!おこなんだけど!」

 

「このご時世におこだなんて…」

 

「葉川さん達の話じゃ、有希さんは手塚に育てられて、ギターボーカルとしてクリムゾングループとデュエルしてたって…!ああ…僕がそれを知っていれば有希さんに加勢したのに」

 

「ギターボーカルの加勢にボーカルのあなたが入るの?それにあの子から報告がなかったって事は、クリムゾンエンターテイメントは、有希さんが36番、makarios biosだと気付いてない可能性もあるんじゃない?」

 

「いいや!あのデュエルギグ干支だよ?

あいつ…僕の全てを叩き込んでやったってのに、そんな情報が入らないはずがないよ!もし本当に知らないんだとしたら…職務をサボッてるとしか思えないよ!」

 

「あなたも自分は大した事のないミュージシャンだったもいう割に…デュエルギグ干支の事はいつも持ち上げるわよね」

 

「僕にわざと報告しなかったのか…本当に知らないのか…どちらにしても、今度会った時にお仕置きだな」

 

 

 

 

「へーっくしっ!!」

 

「ヨッシー汚い。ご飯中にでかいくしゃみとか…」

 

「す、すみません。風邪とかじゃないと思うんスけど、あ~、誰かオレの噂でもしてんスかね?あはは」

 

「あははじゃないですよ。いつもお昼カップ麺ですけど、栄養足りてます?朝御飯と夕御飯はしっかり食べてますか?」

 

「あ、いや、そう言われると…金もないんでいつもこうと言うか…。いや、でもオレはめちゃくちゃ元気ッスよ!」

 

「それじゃお腹ももたないんじゃないですか?私のお弁当の…えっと、唐揚げあげます」

 

「わ、ジュ、ジュリさんこそ食べ盛りじゃないスか!?そんな悪いスよ!」

 

「マネージャーに身体壊されでもしたら、あたしらも困りますし。あたしからは卵焼きあげます」

 

「わわわ、キョーコさんまで…」

 

「じゃあ私はウインナーあげます」

 

「…しょうがない。アタシは…。ごめん、全部食べ…ちゃってた。お茶…ならある。あ、そういえば…お昼、食べきれなかった…おにぎり…あげる」

 

「あ、アンナさんも…。トモミさんもお気持ちだけで…」

 

「み、みんな何て淫らなの!?彼女の居る金子くんに食べかけのお弁当のおかずを…!?ほぼ間接キッ…」

 

「「「食べかけの物じゃないですし、間接キッスではありませんからっ!」」」

 

「アタシのは…朝…コンビニで買ってきた…やつだし」

 

「皆さん!本当にありがとうございます!オレ、休憩の後も事務所の掃除頑張るッス」

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