バンやろ外伝 -another gig-   作:高瀬あきと

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第20話 evokeの決断

俺の名は豊永 奏。

evokeのボーカルをやらせてもらっている。

 

南国DEギグへの旅行中に聞いた15年前の話。そしてSCARLETとファントムとクリムゾンの事。

 

南国からファントムに戻って来て、俺達は先に帰らせてもらい、これからの自分達の事を集まって一度話してみようと、鳴海の家に集合する事にしていた。

 

「結弦。お前は今回の旅行でどう思った?」

 

「あ?テメェがinterludeと会って俺が雨宮 大志とデュエルギグをして…。

SCARLETとファントムの今後を聞いて南国DEギグの爆発事件からの今日か…。

ハッ、この3日で随分と立て続けに色んな事が起こったもんだ」

 

「ああ。今はevokeの俺とお前だけだ。

だから正直に話させてもらうが俺は…」

 

「楽しみで身体が疼いてしょうがねぇんだろ?」

 

フッ、結弦の想いも一緒というわけか。

 

「ああ、不謹慎だとは思うが、俺は今回の話を聞いて俺達evokeはもっと音楽の先に行ける。DESTIRAREに近付ける。

そう思ってしまってな…」

 

「そうだな。俺達はもっと先の世界に行く事が出来る。ファントムに所属すりゃメジャーデビューの近道でもあるし、クリムゾンに狙われるなら俺達のレベルアップにもうってつけの相手だ」

 

メジャーデビューか…。

思えば結弦と出会った時からこいつはそればっかりだな。

 

あれは高校に入学したての頃か。

俺がいつものようにタイヤを引っ張りならがロードワークをしてた時か…。

 

 

-----------------------------

 

 

『ハァ…ハァ…ハァ…。俺はもっと強く、もっと強くならねば…』

 

当時は地上最強の男になりたい。

そう思って身体を鍛えてたものだ。

 

『ハァ…ハァ…ん、んん?タイヤが急に重くなっただと…?』

 

俺は急に重くなったタイヤを見てみた。

するとそこには同じ歳くらいの男が座っていた。

 

『貴様。俺のタイヤに座って何をしている?まさか俺のロードワークの邪魔をするつもりか』

 

『……』

 

その男は何も答えなかった。

 

『おい!聞いているのか!』

 

『うるせぇゴリラ。俺は今インスピレーションが浮かんできてんだ。ちょっと黙ってろ。ゴリラはそこでバナナでも食いながらウホウホ言ってやがれ』

 

何て自分勝手な奴だと思った。

こいつはインスピレーションが浮かんできたという理由だけで俺のタイヤに座って考え事をし始めたのだ。

 

やむを得ず俺はポケットからバナナを取り出し、食べながらこの男がどこかに行くのを待っていた。

 

『テメェ…マジでバナナを持ってやがるとはな…』

 

『もぐもぐ』

 

『チッ、幸せそうなツラしてバナナを食いやがって…』

 

『貴様も食うか?』

 

『誰がバナナなんか……チッ悪くねぇ。ありがたく貰ってやる』

 

これが巷の噂に聞くツンデレというやつか。俺はそんな事を思いつつもその男にバナナを渡した。

 

『貴様…ギターをやっているのか?』

 

『あ?勝手に触るんじゃねぇ』

 

『心配するな。見ているだけだ』

 

『テメェ…ギターに興味あんのか?』

 

『いや、全くこれっぽっちも興味ないな』

 

『そうかよ』

 

俺はそれまで音楽や楽器といったものに興味が無かった。

だがロードワーク中に出会ったこの男。

俺はこいつに興味が出た。

 

『貴様はバンドをやっているのか?』

 

『あ?バンドはやってねぇ。

俺はメジャーデビューしてぇって思ってるからな。半端な奴等と音楽をやる気はねぇ』

 

『メジャーデビュー…?

デビューして金儲けしたいのか?それとも有名になってチヤホヤされたいのか?』

 

『チッ、やっぱゴリラじゃその程度しか考えつかねぇか』

 

『違うのか?』

 

『俺の夢は地上最強のギタリストになる事だ。いつか越えてぇと思ってるすげぇギタリストが山程いる』

 

地上最強のだと…?

 

『そしてそんなギタリストより上手くなって、世界中の奴等にこいつのギターを聴きたい。こいつのギターは最高だ。そう言わせるのが俺の夢だ。

だったらメジャーデビューすんのが手っ取り早いだろうが』

 

『貴様…その為のメジャーデビューだというのか』

 

『ああ、まずばメジャーデビュー。

そこが俺のスタートラインだ』

 

 

 

-----------------------------

 

 

 

あの日から俺達は毎日のように会うようになって……毎朝バナナを食べたものだ。

 

「結弦さんはアイスコーヒーで良かったかな?奏さんはいつも通りバナナジュースで良かったですよね?」

 

「ああ、ありがとう紗智ちゃん」

 

「ごめんなさい。みんなで集まるって知らなかったから、お兄ちゃんにアイス食べたいって言っちゃって……」

 

「いや、まだ響も来ていないしな。ゆっくり待たせてもらうさ」

 

俺と結弦が鳴海の家に到着した時、鳴海は家に居なかった。

紗智ちゃんがアイスを食べたいと言ったから、いずこかへとアイスを買いに出掛けたらしい。

 

鳴海の両親は共働きで、ほとんど家には帰ってこない。

だから鳴海がずっと紗智ちゃんの親変わりをしてきたのだが、紗智ちゃんはいい子に育ったが鳴海は紗智ちゃんを溺愛しすぎ、重度のシスコンとなった。

 

鳴海がドラムをやり始めたのも、紗智ちゃんが『ドラム叩いてる人ってかっこいい』って言ったからだったしな。

 

しかしその紗智ちゃんは兄の鳴海をうざがっているのだがな。

 

「あ、そういや紗智」

 

「結弦さん?どうしたの?」

 

「テメェ、Ailes Flammeの連中やDivalの雨宮とクラスメートらしいな」

 

「え?うん。志保ちゃんの事も知ってるの?」

 

「ああ、南国DEギグの旅行でな」

 

「あ~、そっか。ファントムのみんなと一緒に行ってたんでしたっけ?」

 

「ああ…。俺は雨宮と内山と同じ旅館だったしな」

 

「俺は江口とシフォンと同じホテルだったな」

 

「へぇ~。えっと……秦野くんは別のホテルだったのかな?」

 

「あ?ああ、秦野は別のホテルだったな」

 

「そっかぁ~」

 

ん?紗智ちゃんは秦野の事が気になるのか?

フッ、鳴海の奴に知られたら秦野の命も危ういな。

 

-ピンポーン

 

「ん?誰だろ?響さんかな?」

 

家のインターホンが鳴り、紗智ちゃんは玄関へと向かった。

 

「奏。お前はどう思う?」

 

「何がだ?」

 

「響と鳴海の事だ…」

 

響と鳴海の事?

 

「響は他人や他のバンドの音楽にゃ興味ねぇしな。ファントムでやるってなるとよ…」

 

「それでも響はお前よりは協調性はあるだろ。すぐ寝てしまうのは困ったもんだがな」

 

「そして鳴海だ。あいつは紗智の事もあるしな。クリムゾンとの事に巻き込んでいいのかどうか……ってな」

 

「確かに…そうだな。もしかしたら紗智ちゃんまで戦いに巻き込む事になるかも知れんしな…」

 

響も鳴海もevokeの音楽に対しては情熱的だ。だが、これからのクリムゾンとの事を考えると…。

 

「あ、あの…奏さん、ちょっといいですか?」

 

ん?紗智ちゃん?

 

「どうした?何かあったか?」

 

「あの…響さんが玄関で靴を脱ごうとしたら寝ちゃって…」

 

はぁ…何であいつはそんなタイミングで寝れるんだ…。

 

「わかった。俺が運ぼう」

 

 

 

 

 

 

「ねぇ。これ何の集り?南国DEギグのお土産くれるの?」

 

「ああ、鳴海が帰ってきたら取っておきの土産話をしてやる。ちょっと待ってろ」

 

「わかった。俺は寝てるから鳴海が帰ってきたら起こ……し…グー」

 

もう寝た…。

 

「しっかし鳴海の奴遅いな。どこまでアイスを買いに行きやがった…」

 

「うぅ……ごめんなさい…」

 

「あ?紗智のせいじゃねぇだろ。気にすんな」

 

確かに遅すぎるな。どこまで買いに行ったんだ…。

 

「紗智~。今帰ったぞ~」

 

ん?噂をすれば……か。

やっと帰ってきたようだな。

 

「お兄ちゃん!みんなを待たせ過ぎだよ!どこまでアイス買いに行ってたの!」

 

「フッ、紗智の為なら何処にでも行ってやるさ」

 

「いや、質問の答えになってないよ…」

 

「奏、結弦待たせたな。俺が居ない間に紗智に変な事してないだろうな?」

 

「お前はバカか。紗智にそんな事するわけねぇだろ」

 

「紗智にそんな事するわけない?

お前らこそバカなのか?紗智を目の前にして何もするわけないとか…」

 

まずいな。紗智ちゃんがとてつもなく心配になってきた…。

 

「お兄ちゃんもバカ言ってないで。

大事な話なんでしょ?アイス頂戴。私は部屋に戻ってるから」

 

「いや、紗智ちゃん。これからの話は紗智ちゃんにも聞いてもらいたいんだ」

 

「え?私も…ですか?」

 

「おい。響起きろ。大事な話だ」

 

 

 

 

 

 

「うにゅ~?すかあれっと?くりむぞん?」

 

「奏、結弦その話はマジなのか…?」

 

「爆発…?志保ちゃんもみんなも大丈夫だったんですか…?」

 

俺は響と鳴海、そして紗智ちゃんにも今回の旅行での出来事、これからの事を話した。15年前の梓さんの事も。

 

「クリムゾングループは危険だと以前から聞いていたが、正直これ程までとは思っていなかった」

 

「このままバンドを続けるならどうせクリムゾンとぶつかるのは時間の問題だと思ってる。ファントムに所属すりゃメジャーデビューの近道になる。この2つの理由からせっかくのチャンスだからファントムに所属してぇと思ってる」

 

「だが、これは俺と結弦が勝手に考えて決めた事だ。お前達を巻き込む訳にもいかん。クリムゾンと戦う事になれば鳴海の妹である紗智ちゃんの身にも危険が及ぶかも知れん。それを踏まえてお前達にも考えて答えを出して欲しい」

 

もしこれで響と鳴海がファントムに所属する事を反対したら……。いや、それ以前にevokeを辞めたいと言ったら……。俺達は…。

 

「奏~。いっこ質問いい?」

 

「ん?響?何だ?」

 

「ファントムに入ったら俺達は俺達の曲やれなくなる?事務所の音楽をやれとか言われる?」

 

「いや、その点は心配ない。ファントムに所属しても俺達は俺達で作ったevokeの曲だけだ。イベントとか仕事とかになるとわからんが…」

 

「まぁ、メジャーデビューしてお仕事ってなるとそうなる事もあるよね。

でもライブとかは俺達の曲でやれるんだね?」

 

「ああ、ライブは問題ないはずだ」

 

「だったら俺もファントムに所属してもいいよ。奏の歌と結弦のギター、鳴海のドラムでベースやれるなら所属がどうとかどうでもいいし」

 

どうでもいいって…。

 

「響、テメェ本当にわかってんのか?

クリムゾンと戦うって事は…」

 

「もう~結弦なんなの?俺にevoke辞めてほしいの?」

 

「バカな事言ってんじゃねぇ!

んな訳ねぇだろ!俺はただ心配してんだけだ!」

 

「大丈夫。わかってるよ。現地に居た訳じゃないし奏や結弦よりはわかってないかもしれないけど………俺はevokeのベースだから」

 

「チッ、わかってんならいい…」

 

響…。お前も俺達と同じ気持ちで嬉しいぞ。

 

「奏、結弦、響。………すまん!」

 

鳴海はそう言って俺達に頭を下げた。

すまん………か。鳴海はやはり…。

 

「お、お兄ちゃん…?何言ってるの?」

 

「鳴海。頭を上げろ。別にテメェを責めたりしねぇ」

 

「そうだぞ鳴海。俺達自身も恐怖や不安もある。お前の気持ちもわかっているつもりだ。だから頭を上げてくれ」

 

「俺は……お前らとメジャーデビューしたいって気持ちはある。この話を聞くまではクリムゾングループとも戦う事になってもevokeをやっていきてぇ。そう思ってた」

 

「お兄ちゃん、だったら何で…」

 

「今日、お前らの話を……15年前の事、南国DEギグの事を聞いて、俺は正直クリムゾンとは戦えないと思った。本当にすまん!!」

 

鳴海…。

 

「んにゅ…鳴海も気にしなくていいんじゃない?さっきの話を聞いてそう思っても俺はしょうがないと思うよ?俺もクリムゾンってヤバイなぁって思ったし」

 

「そうだぞ鳴海。真剣に考えた末の結論なのだろう?気にする必要はないさ」

 

「俺は…元々は音楽なんてどうでも良かった…。紗智がドラムを叩いてる人がかっこいい。そう言ったからドラムをやり始めただけだ。

だけど、お前らとevokeをやって来て、もう紗智にかっこいいと言われたいからじゃなくて、お前らとの演奏を好きになってきてた。いや、お前らと演奏する事が好きだった」

 

「鳴海。テメェの気持ちを聞けただけで十分だ。俺もテメェと演奏するのは悪くなかった」

 

そうだな。俺も鳴海のその気持ちを聞けただけで満足だ。ありがとうな。鳴海…。

 

「でも……俺は…俺がファントムに所属してクリムゾンと戦う事になって……もし紗智が巻き込まれたりしたらと思うと…俺は楽しんで音楽はやれねぇ」

 

「お兄ちゃん…?」

 

「俺はevokeを脱退させてもらう。新しいドラムを入れて、お前達はお前達の夢を追いかけてくれ。

応援くらいはこれからもさせて欲しいけどな……」

 

鳴海…。紗智ちゃんを巻き込むわけには…か…。俺もそれが気掛かりだったしな。

俺はお前のその決断にも敬意を払うぞ。

 

「フッ、鳴海…。本当に気に…」

 

「お兄ちゃん本当にバッカじゃないの!?」

 

さ、紗智ちゃん…?

 

「私の為にお兄ちゃんのやりたい事我慢されたって私はちっとも嬉しくない!悔しいくらいだよっ!」

 

「紗智ちゃん…鳴海も紗智ちゃんの事が心配なんだよ。だから……」

 

「もういい。お兄ちゃんなんてもう知らない…」

 

「おい紗智!テメェ鳴海の気持ちも…」

 

「奏さん!結弦さん!!」

 

「な、なんだ?紗智ちゃん?」

 

「秦野くん達Ailes Flammeや志保ちゃん達のDivalはどうするか聞いてます?ファントムに所属するの?」

 

Ailes FlammeとDival…?

ちゃんとあいつらがどうするのかは聞いていないがあいつらなら…。

 

「Ailes Flammeはinterludeの事もあるし、雨宮は親父の事もあるからな。

どうするのかハッキリと聞いた訳じゃねぇがファントムに所属するだろうと思うぜ」

 

「うん。そっか。じゃあ私はこれからAiles FlammeとDivalを応援する為にファントムに行きまくる。そしてお兄ちゃんの抜けたevokeも応援していく!」

 

紗智ちゃん何を…!

 

「おい、紗智。いい加減にしろ!

俺はお前を危険な目に合わせる訳には…!」

 

「江口くん達や志保ちゃんなら私を守ってくれる。きっと。

お兄ちゃんには私を守る自信がないんでしょ?だからやりたいくせにevokeを辞めるんでしょ!?」

 

「何だと…?俺はお前を守れるに決まってんだろうが!!」

 

「だったら何でevokeを辞めるのよ!?

私を守ってくれるんなら辞める必要ないじゃん!!やりたいんでしょ?evokeを本当は続けたいんでしょ!?

私の事を言い訳に使わないでっ!!」

 

紗智ちゃんは本気で怒っていたように感じた。こんな紗智ちゃんを見るのは初めてだ。

 

「紗智ちゃんすっごいね。俺の眠気も一発で覚めちゃった。

鳴海?今の紗智ちゃんの話聞いたでしょ?どうする?」

 

「俺は…それでも……紗智に危険が及ぶような事になったりしたら……」

 

「あ~あ…はいはい。もういいよお兄ちゃんは。

お兄ちゃんがファントムに入ってメジャーデビューしてくれたら、私の『かっこいい大好きなお兄ちゃん』ってみんなに自慢出来ると思ったのにさ…」

 

「奏、結弦、響。悪い。さっきの俺が脱退するって話は無しだ。

それでメジャーデビューについてもう少し詳しく話を聞きたいんだが…」

 

な、鳴海?お前は本当に…。

涙が出そうになってきたぞ…。

 

「ハァ……テメェは本当にバカだな…」

 

「紗智ちゃんありがとうね。おかげでこれからも俺の好きなevokeでいられそうだよ」

 

「本当に…バカな兄がご迷惑お掛けします…」

 

 

 

 

 

 

「なるほどな。詳しい話は次の土曜にって話なのか…」

 

「ん~。土曜かぁ。せっかくの休みだから俺も寝てたいけど……今回ばかりは俺もちゃんと行かないとな。奏や結弦からの話だけじゃなくて中原さん達から聞きたい事もあるし」

 

次の土曜に葉川さん達元BREEZEのメンバーと中原さんの奥さんと初音ちゃん、澄香さんと何故か晴香さんとでSCARLETの本社に行くらしい。

 

そしてファントムに所属を希望するバンドのメンバーも一人、希望であれば全員で本社に行くという事になっている。

未成年組は親や関係者等も連れて来ても構わないらしい。

 

今さらっと言ってみたが、ファントムのバンドメンバー全員が保護者と参加となったら一体何人になるんだ……。

 

「奏?どうした?」

 

「いや、何でもない…。

取り合えず話を纏めるぞ。

俺達evokeは全員の意思でファントムに所属を希望。土曜のSCARLETへの訪問は俺達4人で…という事で構わないな?」

 

「ああ、俺は問題ねぇ」

 

「俺も俺も~。土曜は寝ないように頑張ってみるよ」

 

「俺もそれで大丈夫だ。メジャーデビューを1日でも早くしたいしな」

 

「いえ、それは問題大ありですよ」

 

「紗智ちゃん以外は問題ないようだな。

………え?紗智ちゃん、問題あるのか?」

 

「はい。問題大ありです」

 

何で紗智ちゃんが…?

まぁいい。その問題とやらを聞いてみるか。

 

「紗智ちゃん。良かったらその問題とやらを教えてくれないか」

 

「はい。その土曜日のSCARLET本社への訪問ってAiles FlammeもDivalも来ますよね?」

 

「ああ…多分な」

 

「じゃあ私も今はevokeの河野 鳴海の関係者としてSCARLETの本社に行きます。だから4人じゃなくて5人です」

 

は…?じゃあって何なんだ…。

 

「紗智!お前は何を言って…」

 

「お兄ちゃん達がファントムの所属になってクリムゾンと戦う事になったら、私も巻き込まれるかも知れないんでしょ?

だったら私もクリムゾンの事を知ってた方が良くない?」

 

いや…確かにそれはそうかも知れんが…。

 

「それでもダメだ。クリムゾンの事なら帰ってから俺が話して…」

 

「ファントムのみんなに『かっこいいお兄ちゃんをよろしくお願いします』って妹として挨拶しなきゃね」

 

「奏。そういう訳だ。俺達evokeは5人でSCARLETの本社に行こう」

 

鳴海…本当にお前というやつは…。

 

「紗智ちゃん…本当にいいの?話を聞いちゃったらもう普通の生活に戻れなくなるかもだよ?」

 

「うん。大丈夫です。私もAiles Flammeや志保ちゃんの力になりたいってずっと思ってましたから」

 

「あ、俺達evokeの為じゃないのね…」

 

ふぅ……。鳴海の事で一時はどうなるかと思ったが…。

俺達はこの4人でまだevokeをやっていけるんだな。俺達は地上最強のバンドになる為に覇道を突き進む!!


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