ソードアート・オンライン〜真実を知る者〜 作:夜明けを齎す竜
ーー『笑う棺桶』ーー。通称、ラフコフはPKを主とした殺人ギルドだ。オレンジよりも上のレッドプレイヤーが多く所属しており、殺しの術を他プレイヤーにも教える糞野郎たちのことである。もちろん、その中の数人を屠ってはきたがのだがその幹部はおろかトップを殺したことは無かった。それは愛しき『後輩』、PoHがリーダーをしているからだ。
2024年8月某日
「で、なんで俺にアジトの場所をバラすんだ?PoH」
「そりゃそっちの方が面白いからに決まってるだろ」
第50層の主街区『リンダース』で俺とPoHは会っていた。PoHのやつがどんな手を使ったのか知らんが、人づてに連絡してきやがった。『血盟騎士団』や『聖龍連合』といった巨大ギルドの攻略組の選抜メンバーで近々ラフコフ討伐作戦があることが漏れてるのではと危惧した俺は単騎で突入したわけだ
「変わったな、お前」
「変わった?変わってなんなねぇよ俺はw」
「変わったってより、化けたとか剥がれたっていう方が合ってるか?お前の持ってる『憎しみ』はお前の残虐性を増長させたらしいな。特にこのデスゲームはそれを育てるには十分過ぎる苗床だったわけだ」
「ルーキスさんよぉ、細かい話は俺にはわかんねー。だから、俺に殺し合いをさせてくれよ。なぁなぁ」
「言われなくても、アジトの場所は皆んなに伝えるよ。でも、お前んとこの部下たちを潰すことになるが良いのか?」
「あんな奴らなんてただの猿だ。俺は猿たちの殺し合いが見てぇんだよ」
「ふん。お前『度し難い悪』そのものだなww。まぁ、俺はそこを高く買ってるんだけどな」
「それじゃ、俺は戻って作戦がある事をバカどもに伝える。あんたもよろしく頼むぜ!」
「はいよ」
〜ラフコフ討伐作戦会議〜
「ってわけで、ラフコフのアジトの場所がわかったぜ」
理由に嘘をついて選抜メンバーたちの会議で伝えた
「さすがの『人狩り鴉』だな!」
騒めく中で俺を呼んだのはクラインだ。こいつがギルドマスターをやってる『風林火山』も少人数ながら攻略組の中にいる以上は実力があるのは折り紙付きだ。再開した時はギルマスなんて信じられなかったが……
「『人狩り』なんて物騒な名前のせいで下層プレイヤーに怖がれるのは辛いんだぞ……」
作戦では強襲仕掛けることになっており、万が一に人殺しをしてもカルマ回復のクエストを準備しておくらしい
「では作戦実行は明後日。各自、入念な準備でもって挑んでくれたまえ」
ヒースクリフの声で会議は終わった。
「ルーキス!」
「なんだキリト?どうした?」
「話がしたい。場所を変えよう」
「お、おう」
キリトが急に話しかけてきたから返答が揺らいでしまった。なんだ話って?
会議をしていたのは第55層の『グランザム』の血盟騎士団の現本部、その大会議室だ。外にはバルコニーがついている
キリトは俺をバルコニーまで呼んで何を話したいんだろうか…
「ルーキス、あんたさ……この作戦に参加するのを止めろよ」
「ん⁉︎何故だ?自分で言うのもアレだが、俺はお前と一緒でソロプレイヤーとしてここまでやってきた。確かにこの前ギルドを作ったさ。でも、メンバーをこの作戦に参加させるつもりはないし、まして俺が死ぬなんて絶対に無い。…違うか?」
「そうだが……、俺は頼まれたたんだよ。あんたを作戦に参加させないようにしてくれって」
「誰だそれを言ったのは?他の攻略組か?ヒースクリフか?アスナか?誰だ!」
「ーーーームラマサさんだよ。」
「んな!!お前、ムラマサに会ったのか!どうして⁉︎」
「会ったっていうか、会いに来てくれたんだよ。あんたがエギルの店によく行くって聞いて何時間も粘っててくれたんだ…」
エギルってのは第1層のボス攻略のときにいた黒人のプレイヤーのことだ。今は第50層で商店を開いている
「ムラマサが……」
「会うなり土下座をして俺に『ルーキスを、旦那を、ラフコフ討伐から外して欲しい』なんて頼み込んできたんだ。わかった以外の言葉が出てこなかったよ」
ムラマサ………家じゃそんな顔一切見せないのに…俺は馬鹿だ、阿保だ。惚れた女に頭を下げさせるなんて……
「わかった、辞めるーーーと言いたいが、ヒースクリフは許可してくると思うか?」
「思わない。あの団長様はあんたの強さを高く買ってる。総合力じゃなくて対人戦においては一番強いのはルーキス、あんただ。俺もそう思ってる…だから、こうなってるんだよ!」
「俺自身で交渉してみるよ。すまんな、キリト。こんなもん背負わせちまって…」
キリトは喋らなかった。ただ首を振っただけだった
「ヒースクリフ団長!ヒースクリフ団長と話をさせてくれ!」
団長室の前で警備員役のプレイヤーに止められながら叫ぶ
「入りたまえ」
扉を吹き飛ばすくらいの力でこじ開ける
「ヒースクリフ団長、大事なお話があります!」
「作戦のこともある。簡潔に説明してくれ」
カクカク、シカジカ
「無理だ。すまないが、諦めてくれ」
それの一点張りだった。クソ…なんで…
【村正】に帰る。道々でギルメンが声をかけてくれたみたいだが、なんて返事をしたのか思い出せない。
「ただいま」
「おかえりなさい」
ムラマサが玄関で待っていてくれた。俺の表情からわかったのだろうか、目を向けるととても哀しげな顔をしていた
「アタシの願いは通らなかったみたいだね………」
「ごめん、ごめん、ごめんーーー」
泣きながら謝った。謝りまくった。不甲斐ない夫ですまない、そんなことしか口に出来ない自分に腹がたった
「仕方ないよ、あんたは強い。それはアタシが誰より知ってる。SAO最強の団長がなんだってんだ!アタシの旦那の方が強いってんだ!」
俺の頭を撫でながらムラマサはそんなことを言ってくれた
「泣き虫でごめんな。強い強いと言われても俺はおっさんなんだ。今まで多くのものを失くして、泣かせてきた…。もう、俺は……」
「アタシにできるのは惚れた男を変わらず思い続けるだけさね」
そのまま朝になった
「今日は一日遊びに行かないか?」
「どうしたんだい、急に?」
「なに、気分転換だよ」
他のギルメンに鍛治場を任せて、俺とムラマサは出かけた
まずは第48層だ!
「すいませ〜ん、リズ?リズベットはいませんかぁ?」
「いらっしゃいませ……ってルーキスさん!お久しぶりです」
「畏まらなくていいよ。今日は前に言ってた嫁さんを連れてきたんだ」
「ここは?」
「リスベット武具店。アスナやキリトたちが贔屓の鍛冶屋だ。ムラマサなら花畑とかよりここのほうが喜ぶかなと思って……聞いてないか…」
ムラマサは展示されている武器たちをまじまじと見つめている。いつぞやの時の目と同じだ。キラキラしてて眩しいほどに
「リズ、ムラマサの相手をしてやってくれないか?」
「初対面よ、私⁉︎ムラマサさんも鍛治師っては聞いてたけど………う〜ん、わかったわ…わかったけど、夫のあんたが付き合ってやらなくていいの?」
「多分、今日一日中はここから離れないと思うからなぁ。昼食の調達をしてくるだけさ」
そうやって店を出たが、本音はとは少し違う
「キリトのとこ行ってくるか…」
〜エギルの店〜
「エギル〜、キリトいるか?」
「ルーキスか、キリトは今日はまだ来てないぞ」
「来るまで待ってていいか?用事があってな。ついでに買い物だよ」
「俺はついでかよ……」
なんて談笑しながら待ってると
「おーい、エギる……ってルーキス⁈」
「待ってたぞ、キリト」
「なんだよ、そんなニヤついた顔で…怖いぞ」
「ちょっと出かけないか?」
「は?」
エギルとの用を済まさせて、キリトを連れ出す
「ここは?」
「とっておきの特訓場さ」
リンダースの建物と建物の間に出来た広い空間。元は公園らしく、ベンチとかがあり、空間そのものが空に抜けた場所だ
「なぁ、デュエルしようぜ」
「え⁉︎連れてきて急にデュエルぅ⁈」
「明日の作戦の願掛けみたいなもんさ。頼むよ」
「あんまり乗り気じゃないんだけど、『人狩り鴉』の頼みじゃ断れないな」
「『黒の剣士』の名は伊達じゃないって見せてくれよ」
浮かんだ【初撃決着モード】のYesのボタンを押す。これは最初の一撃をクリーンヒットさせた方を勝者とするデュエルだ。デスゲームであるこのSAOではデュエルのほとんどがこのモードでやるのが通説になっている
なんだよ。乗り気じゃないって言ってるわりにはオーラが迸ってるぜ、キリト
3……2……1!
タイマーが鳴る
「ハァァァァ!」
「速いなキリトは!!その剣をこの速さで扱えるとは!」
「速いのはそっちの方だよ!そんなひ弱そうな短剣で捌ける人はあんただけだ!」
キリトの剣は【エリシュデータ】という魔剣だ。第50層のフロアボスへのラストアタックによるボーナスドロップらしく、それ相応の性能を持っている。
「キリトよ!今のお前のレベルってどれくらいだ?」
キィィン
「あぁ?80は超えてるってことは教えてやるよっ!」
ギィィィン!俺の『無銘・黒』が弾かれてかけた
「武器破壊か!でも、まだまだあるぜ!」
「知ってるよ!」
うはw憂さ晴らし程度と思ってたけど、これなら明日じゃなくてもキリトにぶつけてもいいよね?
あれ、PoHってこんな気持ちなのか?
「血の渇望!」
からの
「エグジスト・スペクター!」
赤黒い光とともに音がなる!
キリトの黒剣を抜け、懐にブチかました連撃はその身体を吹き飛ばす
「グハァァァ!!」
壁まで見事な飛び方をして、地面に落ちた
「大丈夫か、キリト⁉︎」
「お、おい!なん、なんなんだ今の!」
息切れと驚きで呂律が回らないキリトを見ると何故だか笑いがこみ上げた
「ーーーハハハハwどうだ?勝負あっただろう?」
「そうさ!俺の負けだよ!で、なんなんだアレ?短剣のソードスキルであんなのあったか?見たことも聞いたことも無いぞ」
「エクストラスキルだよ。俺にも出現条件は分からんがな!俗に言う、ユニークスキルってやつさ」
さらに驚いた顔をするキリト。が、すぐに表情が曇る。何か隠し事を言うべきか否かみたいだ……
「ルーキス………俺にもあるんだ、ユニークスキル……」
「へ⁈」
やっちまった!カッコよく決めた筈が!恥ずかしいぃぃ
「俺もどうやって出たのか分からないけどな」
「そ、そうか……なんていうスキルなんだ?」
「『二刀流』。今は使わなかったけど、ほとんどのスキルは習得してある」
「俺のは『暗殺剣』。俺はもう全部を習得しているが………、これでユニークスキル持ちは確認されている中で三人になるのか…。俺、キリト、そしてヒースクリフの『神聖剣』…か」
「見せてくれとか言わないのか?」
「使わなかったのは理由があるんだろ?それなら隠すのも分かるってもんさ」
「お前のソレを知ってるやつは他にいるのか?」
「ヒースクリフには見せたさ、互いに見せ合うのを条件にな」
キリトは喋らなくなった。数分後、
「うん、今日はすまなかった」
「おいおい、謝るな。誘ったのは俺だぜ?こっちが感謝する方なんだから」
「お前とのデュエルでのボロボロになった剣を直したいんだけど、一緒にリズの所に行かないか?」
「その言葉を待ってたんだよ」
〜リズベット武具店〜
「遅くなった!ランチタイムは過ぎたけど昼食と行こうぜ……?なんじゃこりゃぁぁ!」
「おーい、リズ居るか?うわっ!」
店の中は剣、防具、その他多くの装備品が散乱していた。元々販売していた商品たちは無事らしく見えるが、床に山がいくつも出来ていた
モゾモゾ、ゴソゴソ
「プハァっ!!」
山の一つが崩れて、中からリズベットが飛び出した
「あ!ルーキス、遅い!あれ?キリトはなんでいるの?」
「何があった⁉︎なんだこの状況⁈」
「あー、これはですね、ちょっとね……」
「まどろっこしいな、早く説明してくれよ」
「……奥の工房を覗くといいわ」
どういうこと?
キリトにリズベットと一緒に片付けをしてやってくれと言い、工房を覗く。まぁ、予想はなんとなくついてるんだが……そうで無いと信じたい……
キィィン、カンカン、ジュゥゥゥゥ
「やっぱりか……」
ムラマサが剣とか色んなモンをとんでもないスピードで制作していた。その全てが一級品だと素人目でもわかるほどの……俺が見慣れてるからわかるのもあるのか?
「おーい!おーい!ムラマサーー!!」
聞こえてないな、これ。喋る方が集中できるって言ってたのはどこの誰だよ、人の声なんて聞こえてないじゃん
しっかし、長いなぁ。飯の耐久がつきそうだぞ……
綺麗だなぁ。何人も寄せ付けない氣を纏って、その目には炎が灯る。初めて会ったときと変わらない、最初から惚れてたんだな、俺
「これで良し!」
「納得のいくのが出来たかい?」
「わ!ルーキス!」
「もう昼は過ぎてるぞ。というか夕日が落ちそうだ」
「そんなにやってたの、アタシは?こりゃリズに迷惑かけたかなぁ……」
「おや?初めて会って急接近だな」
「職人肌ってのが気の合う理由なのかも。アタシが『工房、貸してくれない?お金と材料はウチの旦那がもつからさ』って言ったらすぐ貸してくれたよ」
「へー!っておい!勝手に約束するんじゃない、払えないわけではないけどな………はぁ……」
ニシシシ!
そんな可愛い顔したら許すしか無くてなる……
「次に来るときにでも持ってこよ……ムラマサ、今夜はレストランを予約してるんだ。そこに行こう」
「いつの間に予約したんだい?」
「な・い・しょ」
「ルーキス?もう終わった?」
「すまんな、リズ。後日、金とか持ってくるよ。絶対に!」
「わかってるわよ、そんなこと。早く行ってちょうだい、キリトがボロボロにした私の剣を直さないといけないんだから」
それ、俺のせいだよってのは黙っておいたほうがよさそうだ
「キリト、また明日な」
「あ、あぁ……」
『明日』に露骨な反応をするキリト
ヴァサゴにはああ言ったが、こいつとあと数人には死んでほしくない。殺されないようにサポートしてやろうかな?
「で、どこに予約をしてあるの?」
「第56層さ」
〜第56層〜
正しくは予約ではなく、契約の条件の一つに盛り込んでおいたからである。ここには『聖竜連合』本部があり、その『聖竜連合』のメンバーたちには俺のお得意様が何人もいる。問題のあるやつらだが、ある意味では一番このゲームを楽しんでると言っても過言ではない。つまり、俺が好きなタイプの人種たちの集まりなわけだ
主街区を見下ろす高台に要塞のような建物がその本部である。そこの正門にて
「よう、リンド、シヴァタ、ヤマタ」
「おや、ルーキスさん。お久しぶりです」
リンド。亡きディアベルの意志を継いで皆んなの為にと攻略を続けるプレイヤーの1人。横のシヴァタ、ヤマタと3人での行動が多いこいつらは前身のDKB時代からのパーティーだ。
「今日はなんのご用件で?」
「条件の一つを果たしてもらおうってね」
「っ!では、こちらへ。至急、用意を」
周りのやつらが何処かに走っていった
「ルーキス、これは?」
「恩は売れば売るほどいいってことだな」
「して、そちらの女性は?」
「俺の嫁だよ」
「アタシはムラマサ。このルーキスの専属鍛治師兼奥さんをやってる。よろしく!」
ムラマサはリンドに握手を求める。スッとなんの躊躇もなく手を出すリンド
「お初にお目にかかります、わたくしはリンド。この『聖竜連合』に所属しているただのプレイヤーです」
「かしこまり過ぎだろ、リンド。お前が普通なわけあるかよ、攻略会議とか昨日の討伐作戦会議のときだって進行役してたじゃん」
「進行だけではダメなんです。『彼等』になんて任せてられなかっただけです」
「そうかい……」
負けたくないのは分かるけどな……
その後も最近の身の回りの話をしながら階段を上がり、最上階のテラスへと案内をされた
「ルーキスさん、ちょっと……」
テーブルまで案内しといてなんだよ?ディナーに問題でもあったのか?
「明日の件でご相談があります」
「話せ」
真剣な目のリンドにこっちも気を引き締める
「単刀直入に言います。明日のラフコフ討伐戦で出来るだけ多くのレッドプレイヤーを『殺し』てください」
「何故?捕まえて牢獄送りって算段のはずだ、俺に殺させるメリットは?なんの利益がある?」
何を言い出すかと思えば……舐めやがって!怒りが湧いてくるぜ
「いえ、正確には利益ではありません。あくまでも俺個人の考えです。今後、ラフコフのようなPKをするプレイヤーを出さない為には見せしめが必要という答えに辿り着きました。ディアベルさんならもっと良い作戦を考えるでしょが………俺には……」
「ディアベルの名前を出されて退くわけにはいかないな。……了解した。このツケは必ず払ってもらうぞ」
「ありがとうございます」
テーブルに戻るとすでに料理たちが準備されていた
「遅っそいなぁ〜!ルーキス!座って!」
「ごめん、ごめん。さ、食べようか」
満天の星空、数少ないプロの腕前の料理人たちの皿、愛する人
他に必要なものなんていらなかった
〜ラフコフ討伐作戦当日〜
昨日はそのまま『聖竜連合』の客室に泊まらせてもらった。ギルドに帰ることもできたが、マサムネたちに旅館を任せるのもいいだろうと思い、そうした
「アタシはこのまま【燈し火の家】に帰るよ……」
悲しそうな顔するなよ、戦えなくなるだろ……ええい!ままよ!
「必ず帰る。ムラマサを1人なんてさせない」
ムラマサを引き寄せて、抱きしめる。その温かさを身体に忘れさせないように
「目、閉じろ」
スッ、目を閉じて顔を出すムラマサ
チュッ
「いってらっしゃい」
「いってきます」
ーーーー
「もうすぐアジト付近だ!気をを引き締めろ!!」
皆んなに声をかける。攻略組のオールスター連中の空気が変わる。張り詰めた緊張感は聞きしに勝るボス攻略戦のようだ
「……では、頼みます。ルーキス」
「ああ。わかってる、リンド」
生きて帰ることとこれからの殺しが楽しみなこと、殺させないやつらのこと、ヴァサゴのこと、全てが頭の中で渦巻く……
そしてーーー
ギィィィン、ガンッッッ
ウワァァァァ!ギャァァァ!
「オラァァァ!」
ブスッッ!!首を一突きし、殺す。小さくエフェクトが出て、HPが無くなる
「雑魚に興味は無い、死ね。」
PoHと俺の作戦は成功し、戦場は瞬く間に血の流れる地獄になった。助けをこう声、泣き叫ぶ声、殺して笑う声
これだ、これ!俺たちの見たかったのはまさにこれだ!ヴァサゴめ、これが見たかったのかよ!早く言ってくれれば話に乗ってやったのに
まぁ、キリトとかは死なせねぇけどな
「ハァァァ!!」
「張り切ってるのはいいが、やりすぎだキリト!」
「クソっ!」
聞こえちゃいないか……お前は死なせねぇ。背中は俺に任せろ
ヒュッ!
ナイフが俺の腹に擦りそうになりながら通り過ぎる。見えてないわけないだろが!
「これを避けるかよ⁉︎」
「毒ナイフとは感心しないなぁ!ジョニー!!」
「あんたが『人狩り鴉』、ルーキスだな」
「その面、お前はザザだな」
「Ha!さすがだな、ルーキス」
「PoH!」
ラフコフ幹部のお出ましかぁ!
「ヘッド!『黒の剣士』は俺がやるぜ!」
「やりすぎんなよ、ジョニー!」
キリトはジョニーと戦い、離れてしまった
「どうする?俺はもう何人か殺っちまったが、どっちから俺と殺り合う?」
目配せでPoHにザザを指名する意を伝える
が、
「俺は『閃光』をやる。こいつはリー
ダーが」
「Ha Ha!好きにやっちまえよ!」
「ハッ!いいのかPoH?加減は出来ねぇぞ?」
「知るかよ!さぁ、イッツ・ショウ・タイム!」
PoHが右手に持つのは『友切包丁』。一見、大型のダガーではあるが、PKをするほどにスペックが成長するという特性があるモンスタードロップの魔剣だ。
腕の腱を切るように何度も俺に刃を振るうPoH
「当たらんわ、そんなもん!」
友切包丁をパリィして、無銘で脇腹を切る!
「遅いぞ!こんなもんか?」
「楽しい時間を終わらせたくないだけだよ!」
笑って言うなwwこっちもニヤけちまうw
「ギルター・アーク!」
ガッギィィィン
「防ぐなよぉ!」
「んだ今の⁉︎見たことねぇぞ!そんなの」
「『暗殺剣』。俺のユニークスキルだ!まだまだ行くぞ!」
「まだ終わってたまるかよぉ!あんたを殺すまでなぁ!!」
ーーー
「フィニッシュ・ディス・ネグロイド!」
「ガハっ!」
吹き飛び、倒れこむPoH
ここか
PoHを押さえて小声で耳打つ
「まだ殺るか?」
「殺りたい、見たいと言いたいが……あんたがそれを言うのはいつも丁度の引き際だけだったな」
「変なこと覚えてるんじゃねぇ。俺がお前をズラからせる。笑って、殺して、それでもまだ足りないなら従え」
「はいよ」
PoHの拘束を解き、わざと飛ばされる
「さぁ、本気で殺ろうか」
魅せてやるよ、ここからが『人狩り鴉』の本領だ!
『アサシン ブレード』を摩り、覚悟を決める
何も知らないラフコフの構成員は俺を狙って突っ込んでくるが、関係ない
ブスッ!ブシュ!
「1人!2人!3人!4人!お前ら、俺がそんなに弱いと思ってんのか?足りねぇなぁ!」
首を一人づつ刺す。右、左と殺し続ける。単純な作業の殺しは好きじゃないが、これはこれで面白いw
作業は作業でも、駆け引きのある狙撃は好きなんだけどな!
「オラオラ、どうした?かかってこんかい!」
いい感じに殺すと、PoHは何処かに行ったようだった。これで逃げてるなら万々歳だ
それかも数人を殺した。いつの間にか戦闘は終わっていた。捕らえられたのはジョニー、ザザと数人のメンバーだけ。PoHの姿は無かった。何人かの被害者が出てしまったが、キリトやアスナは無事だった
「どうした?どうした?顔が暗いぞぉ?ラフコフは壊滅した、これからは攻略に専念できるだろ?」
なんとか励まそうとするが、効果は無い。テンションが上がって変なことを言った気がするが気にはしなかった。
死にたいないと思っていたが、別段それほどの死の危険は感じなかった。むしろ高揚感を覚える自分に驚いたくらいだ。暗殺してないのはこれいかに?
しかし、ムラマサには演技しなきゃいけないのは別の意味で辛いな
「……ありがとうございます」
「リンドよ、俺にはこれくらいしか出来ないだけだ。感謝はありがたいが、お前さんが気を落とすことはない」
「……では失礼します」
「ザザとジョニーの連行は俺がやる。皆んなはさっさと帰れよ」
ザザとジョニーの連行役から2人の身柄を受け取ると俺は転移結晶を使った
「お前らにはちょいと用がある。ぶち込んでやりたいのは山々だが、コッチが先だ」
パリィィン
「どこだ?ここは?」
「ヘッドは捕まってないんだろ?俺らに何しろってんだ」
「おい、連れてきたぞPoH」
「すまねぇな、ルーキス」
「ヘッド⁈」
「リーダー⁇」
ここは前もって作っておいた隠れ家。本来なら俺用としてそのままだったが、PoHの今後を鑑みて、くれてやった
「PoH、早くしろよ。こいつらの牢獄行きは変えられん。俺が疑われる」
「はいはい、わかってますよ〜だ。お前らに伝えとくことがある。ーーーーー」
カクカク、シカジカ
「もういいか?これ以上は危険だ。俺の身のな!」
「五月蝿えな〜!もう終わったよ」
「ヘッド!もう行くのかよ」
「どれくらいでクリアされるか分からねぇが、お前らとはこれでサヨナラだ。あばよ!」
「ほら、行くぞ!」
俺はまた結晶を使って転移した。転移の瞬間、ヴァサゴが、
いや、PoHが薄気味悪い笑みを浮かべていたのがやけに目に焼き付いた
〜【燈し火の家】〜
「ただいま〜」
「親父!」
「ルーキス!」
ムラマサとマサムネが玄関から飛び出してきた。
ガバッ!飛びつくムラマサ
「おかえりなさい」
「おう!ただいま」
「マサムネ、他のやつらは?」
「中の方に、呼びますか?」
「いや、後から1人づつ声をかけたいからいいよ」
「アタシに言うことは無いのかい?」
「愛してる」
「そんなのは知ってるよ」
ムギュゥゥ、ムラマサを抱きしめる
「口下手な俺にはこれくらいしか出来ないよ」
「……もうッ」
「あの〜?イチャイチャするのはせめて中でしてくれませんか?」
「「う、うん」」
マサムネが見たことないほどイライラしていたので俺とムラマサは自室に急ぐ
「泣いてないのは少し驚いた。よく泣くムラマサにしてはね」
「そんなに泣き虫じゃないの!泣き虫なのはルーキスだろ?」
「こりゃ一本取られたなww」
「これからはどうするの?」
「今まで通りさ。ボス戦には参加しない、下層の援助、このギルドの裏方としてやっていくさ。ま、半ば隠居したい気持ちもあるがね」
「フフw」
「どうした?おかしなこと言ったか?」
「いやw なんかキラキラした目で言ってる姿が子供みたいで可笑しくてw」
「中年オヤジなんだけどなぁ……」
この後、ギルドメンバー全員に声をかけて皆んなでワイワイして過ごした
キラキラってより、ギラギラがあってるかもな。久しぶりに『暗殺者』としての血が騒いで仕方がない!身体が火照るようで、抱くか殺すかじゃないと収まらない感覚は懐かしい
これからが楽しみだw
最後のとこがブライアン・ホークなのは書き終わってから気づきましたw