ソードアート・オンライン〜真実を知る者〜 作:夜明けを齎す竜
2025年1月22日
ダッ、ダッ!ドンッ!
「急げぇ!」
『オオオ……オオオ……』
「退け!雑魚ども!オラぁ!」
全力で走る。全力で雑魚の群れを捌く。なぜこんなことになるのかと言うと……
ーーー
「遅くなってすまんな、翁」
『遅れてはいないだろう、主よ』
「あいつは?キリトはもう中に入ったか?」
『確認した。ただ問題がある。あれを見よ』
「ん?なんだ……どれのことだ?」
『森に小さな光たちが見えないか?』
「あれか!」
山の前に広がる古森にいくつかの光源があった。それらが一つの塊になって漂っている
「あれ……こっちに来てないか?」
『あれらは恐らく、魔法であろう。我らはほとんどの魔法を知らぬ。たが、情報によればあれはテイミングしたモンスターを操る際に術師の杖から出る光に非常に近い。』
「よくあの距離にある小さいモンからそこまで予想できるな」
『これくらいの事、主でも情報さえ知っていれば出来る。謙遜するではない』
「で、何が問題なんだ?」
『ここまで言っても分からぬか?あれらは【黒の剣士】を追跡しているのだ。今は尾行させていた小型モンスターを呼び寄せている。あれらは【黒の剣士】を打倒するやもしれん。なれば……』
「はぁ……。キリトは厄介ごとを集める呪いにでもかかってるんじゃないのか?」
急がなきゃ倒されかねん。ここでやられたら勝算が低くなる。伸之から奪えるものも奪えなくなる
「急ぐぞ!早く鉱山都市行きの坑道を探して、あのバカに助力する!」
ーーー
というわけである。焦っているのは想像以上にオークたちの数が多いからだ
ズバババ!
数頭のオークの頭を射抜く。声も許さない瞬殺で
「段々と人間離れしてきたかな?弓の感覚を取り戻しつつあるね!」
ズバババ!
『それは良き行いだ。かつての主がどれほどの力を誇っていたのか、我にも興味が湧いてくるというものだ』
ザン!ザン!
「へへ。そうかよ!」
ブン、ブン!
射抜けないのなら近接で払うのみ。翁の野郎、俺の扱いが上手くなりすぎてないか?煽てられてる気しかしない…
「待ってろよ、キリト。急いでいるのはお前だけじゃないんだ。頼むから死んでいてくれるなよ」
ーーー
ゴォォ……
低い音が聞こえる。これは地響き?いや、炎か!
キラ!
「出た!あれが鉱山都市か!」
『街に架かる橋の上で戦闘が行われているようだ。』
「どうやらあの炎の前にいる黒っぽいのがキリトらしいな。後ろに緑の女?もいるようだ………」
あいつめ。どこに行っても女の子を呼び寄せるんだな
『視認できる敵は12。盾役3人と後方にメイジ複数。その中央にリーダーらしき人物あり。』
「ほんじゃ、まずは第一射!」
バスっっ!
「とぅ!翁、着地任せたぜ?」
『請け負った』
ーーー
「もういいよキリトくん!やられたらまた何時間か飛べば済むことじゃない!もう諦めようよ」
「ーー嫌だ。俺が生きている間ばパーティーメンバーを殺させはしない。それだけは絶対嫌だ!」
「っ!」
「ウオォォォァァ!」
ズガァァァン!
何かが盾役を貫き、吹き飛ばした
狼狽えるサラマンダーたち
「な、なんだ?」
トンッ……
「ーーーそうさ。その男は諦めが悪い。仲間のために命を持って救う今年から考えない。………まったく。いい奴だよ、お前は!」
「あ、あんたは!もしかして!」
現れるは二つの影。一つは黒い髑髏の騎士。もう一つは……
「俺は簒奪者。復讐のため、愛する人のため、何より……危機にある友のため!終わらぬ辺獄より貴様らに絶望を与えに参上つかまつった、『天つ風の簒奪者』ルーキス」
『同じく、我は影。幽谷の淵より、暗き死を馳走に参った。【山の翁】ハサン・サッバーハである。』
「ルーキス!」
「キリトくんの知り合い?」
「ああ。こういう時に一番強い人だ!」
「翁、お前はあの女の子を守れ!キリトはそのまま突っ込め!」
『うむ』
「了解!」
ズガァァァン
ズバ、スバ、ズバババ!
「あんたが剣じゃなくて弓を使うなんてなぁ!」
「無駄口よりも手を動かせ!」
ギギギィィィ
「クソッ…!」
「おいおい。そんなチビ助より俺を止めてみせな!」
キリトから俺にヘイトが集まることであいつの動きに余裕がでる。その隙に形成逆転の必殺技を!
「Þeír hræða nótt dýpt,auga brott svalr (セアー・ウラーザ・ノート・ディプト、アウガ ブロット スバール)」
キリトが詠唱を始めると、その周りに光る文字が現れる。ほう!これが魔法か!どっかの古い言語かな?短文形式みたいだ……聞いたことがあるような、無いような…?
「オラァァ!」
ズガァァァ
「っ!!あの弓使いを狙え!」
今の一矢で2人のメイジを撃破した。サラマンダーのリーダーは魔法を発動するキリトより俺に気を向けてくれた
「キリト!」
キリトの体は爆炎に包まれ、その中から大きな影が姿を見せる
「おいおい……そいつはないぜ……」
「ガァァァァ」
青と黒の毛。大きな角が生えたヤギの頭。鋭い爪と牙。こいつはあの!
「『青い悪魔』……」
キリトは自らをあの悪魔へと変貌させた。今でもあれはトラウマものだ。たが、この姿になってどうする気だ?攻撃力が上がるようには見えないし、リーチの確保つったってこれじゃなくても
ズガガガ
「ガハッ!」
「うへ〜」
サラマンダーたちが容易く蹴散らされていく。その巨躯と強さに恐れ、あいつらの陣形はメチャクチャだ。えげつねぇ
「クソッ!」
リーダーが橋の下の湖へと飛び降りた。が、
「ギャァァ」
「お?」
どうやら水中には大型のモンスターが棲息しているみたいだ。そいつに食われたのか。サラマンダーよりこっちとやり合いてぇな……ワクワク!
「くッ……離せぇ!」
悪魔ことキリトは一人だけ生き残らせたみたいだ。尋問でもするのかね?それなら俺がやりたいんだが…
「いや〜、暴れた暴れた。」
「お前はジジイか!俺より若いくせに」
「よ!ナイスファイト!」
キリトは唯一の生き残りに微笑みかける。悪巧みしてる顔だこと……ん?このシルフの肩にいるって
「いい作戦だったよ。俺一人だったらやられてたなぁ」
「ちょ、ちょっとキリトくん⁈」
「まぁまぁ。さてモノは相談なんだが君………」
ほらな。結局は賄賂だよ。
ーーー
サラマンダーとの取引を穏便に終え、俺らは街へと歩く
「しっかし、なんだ?お前、あの悪魔はないだろう?」
「それはこっちの台詞だ。剣よりも弓の方が強いなんて知らなかったぞ?」
「そら言ってないからな」
『主…』
「パパ!」
「キリトくん?この2人は?」
「この人は俺の知り合いのルーキスだ。リアルでも最近再会したんだ」
「よろしく、お嬢さん?俺はルーキス。このバカの友達さ。君の名前は?」
「私はリーファ。あなたと同じシルフだけど、あなたみたいなプレイヤーは知らないわよ?あれほどの強さなら噂になっててもおかしくないはずだけど……?それに……その骨のお面の人は?」
『我は【山の翁】ハサン・サッバーハ。我が主、ルーキスの影である』
「???」
「こいつは俺の相棒だよ。ゲームじゃロールプレイに徹するのが自分へのルールなんだと」
『信仰なき者に生きる価値なし。』
「へ、へぇ……」
考えておいた受け答えが実を結んでよかった。準備しててマジよかった
ーーー
「へーー!ここが『ルグルー』かぁ!」
なんだリーファが案内してるようにも見えたけど、初めてなのな
「さっきサラマンダーとやる前にメッセージが届いてなかった?」
「あ、忘れてた」
ビロロン
「なによレコン、寝ちゃったのかな?」
レコン?また新しい名前が出てきたぞ?
「一応、向こうで連絡とってみたら?」
「そっちの方が確実でいいと思うぜ?」
「ふぅん。じゃあ、ちょっとだけ落ちて確認してくるからキリトくんとルーキスさん?と翁さん?は待ってて。私の体、よろしくユイちゃん」
「はい?」
「パパたちがイタズラしないように監視しててね」
「了解です!」
「あのなぁ……」
「ハハw 随分と勝気な子だw」
『ォォォ……』
リーファはベンチに座ってログアウトした。
「キリト、単刀直入に聞く。お前、あの写真を見たのか?だからALOに?」
「……流石だな。じゃあ、あんたも?」
「お前と理由は同じさ。愛する人を救うため……だろ?」
「……っ!じゃあ、ムラマサさんも!」
「デカい声だすなよ。ま、そういうこった。」
キリトは驚愕の色を浮かべる。理由は同じだが、俺は一つじゃあないんだよ
「それはおいといて……。ユイちゃん、久しぶり」
「お久しぶりです、ルーキスおじさん!」
お、おじさん……
「なぁ、なんであんたはユイを見て驚かないんだ?あんたはユイの何を知ってる?」
「知ってるんじゃなくて、同じモンがいるからだよ。この翁がな」
『改めて名を名乗ろう。我は山の翁。故あってこの男を主とし、影として共にある者だ。そこのピクシー、元SAOのシステムの一部たるユイと同質の存在である。』
「ユイと同じくシステムから切り離されたAIだと⁈」
「こいつは元々、ユイちゃん並びにプレイヤーの心理バイタルをチェックするAIたちのそのアルゴリズムなどの原型、アーキタイプなんだ。」
「私と一緒…」
『そう。我と汝は同じだった。例えるなら我が兄で、汝は妹か』
「ブハw いい例えだな、翁。まぁ、そういうことだ」
「そ、そうなのか……」
お〜お〜!怪しんでる怪しんでる。嘘はついてないぜ? 本当を言ってないだけで
グゥゥゥ〜
「おいおい、腹減ってんのか?キリトくんよぉ?」
「仕方ないだろ?現実じゃ、夜なんだぜ?腹も減るさ。屋台で何か買おうかと思うんだが、ルーキスはいるか?」
「いや、いらねぇ」
腹は減ってるんだ。ただ、ここでも向こうでも、俺には味が分からねぇ。味のしないガムにしか感じられないんだよ……
ーーー
「あ〜〜ん……」
キリトが気色悪い紫の串焼きを口にしようとしたそのとき…
「いかなきゃ!」
「うわ!どうした急に?」
ログアウトしていたリーファが急に覚醒して、立ち上がる
「お帰り、リーファ」
「お帰りなさい」
『戻ったか』
「キリトくん、ごめんなさい」
「えぇ?」
「ん?事件か?」
声色から問題が発生したと予測。なにやら思わぬ展開になりそう。
「急いで行かなきゃいけない用事がてきちゃった…。説明してる時間もなさそうなの…。多分、ここにも帰ってこれないかもしれない」
ほら、来た!コレコレ!戦いか?闘いなのか?モンスターはなさそうだな。人か?プレイヤーならまだまだやりたいぞ?
「じゃ、移動しながら話を聞こう」
「手短かに頼むよ。その感じから時間も本当になさそうだし」
「えっ。」
「どっちにしてもここから足を使って出なきゃいけないんだろ?」
「…わかった」
ーーー
街を出て、走る最中
「ーーーそれで40分後に『蝶の谷』を抜けたところでシルフとケットシーの領主の会談が始まるの」
「ふむふむ」
「なるほど、いくつか聞いていいかな?」
「どうぞ」
「シルフとケットシーの領主を襲うことでサラマンダーにはどんなメリットがあるんだ?」
お。肝心要の質問だ
「まず、同盟を邪魔することによってシルフ側から漏れた情報で領主を討たれたらケットシー側は黙ってないでしょう」
「そりゃそうだわな。」
「下手したらシルフとケットシーで戦争になるかもしれない」
俺はそっち方が退屈せずに済むんだけど、それは伸之をぶちのめしてからだな
「あとは、領主を討つと領主館に蓄積されてる資金の3割を入手できて、10日間、街を占領して税金を自由にかけられる」
ブチ。あ〜あ、それはダメだ。許せないわ、俺
「そんなことが出来るのか」
「だからね、キリトくん。これはシルフ族の問題だからこれ以上君が付き合ってくれる理由はないよ。多分、会談場に行ったら生きて帰れないから、またスイルベーンから出直してだろうしね」
「だそうだぜ?キリト。これは俺たち側の問題らしい」
でも、お前はそうしない。なぜなら…
立ち止まるリーファ。キリトも俺も翁もそれに応じて走るのをやめた
「もっと言うなら、世界樹の上に行きたいなら君はサラマンダーに協力するのが最善かもしれない。サラマンダーがこの作戦に成功すれば、万全の体制で世界樹の攻略に挑むと思う。……スプリガンの君なら傭兵として雇ってくれるかも」
拳を強く握るリーファ。そうか、この子は責任を感じているのか。キリトの目的がアスナ救出ならばここでこちらを裏切っても仕方ない。我々はシルフ。義理よりも目的を果たすにはそうするべきと理解している
「今ここで私たちを切っても文句はないわ……」
「所詮、ゲームなんだからなんでもありだ。殺したければ殺すし、奪いたければ奪う。そんな風に言う奴には嫌ってほど出くわしたよ。一面ではそれも事実だ。俺も昔はそう思っていた………。でもそうじゃないんだ。仮想世界だからこそ守らなきゃならないことがある。俺はそれを大切な人に教わった」
「大切な人……ね……」
こいつにとってのアスナ。俺にとってのムラマサ。それはあの世界で得た『自分よりも大事な存在』だ。そいつのためなら何でもできる。何でもやってやるって気概でな
「この世界で欲望に身を任せれば、その代償はリアルの人格へと帰っていく。……プレイヤーとキャラクターは一体なんだ。俺、リーファのこと好きだよ。友達になりたいと思う」
それ。受け取りようにとっちゃ、勘違いしますからね⁈
「例えどんな理由があっても、自分の利益のためにそういう相手を切るようなことは、俺は絶対にしない。」
「……キリトくん…………ありがとう」
「ご、ごめん。偉そうなこと言って。悪い癖なんだ」
「ううん。嬉しかった」
これだよ!これがキリトさ!
「よく言った、キリト!そうさ、それがお前だ!それこそが俺の信じたキリトだ!お前はそうでなくちゃならん!ハハハハハ!…………おっと時間を無駄にしてしまったかな?」
「ルーキス、あんたそんなキャラだったか?」
『主、キリト、リーファ。急がなければ間に合わなくなるぞ』
「そ、そうだ。ユイ、ナビよろしく」
「翁、お前もだ。」
「ちょっとお手を拝借……」
キリトはリーファの手を掴んだ。何する気だ……?
「行くぞ!」
ドンっ!
「きゃあァァァァ!」
「あ!急に走るな!翁!俺たちも!」
『うむ』
【早さ】ならまだしも【速さ】なら負けねぇよ
「うわぁぁぁぁぁ!」
リーファの声が洞窟に響く。キリトはモンスターの合間を抜けて走り続ける
「人一人を引っ張ってるのに、器用なことだ」
バサッ。スパッ!
弓でモンスターたちを払いのける
「俺はそこまでの器用さはない。だからぁ!」
ズバ!
「こうやるしかない」
まてコラぁ!
「ありゃ………出口か?」
キリトは光る外へと繋がる穴に向かって走った
まったく。変わらんなぁ、キリトよ……
オリ主感が薄い気もする