ソードアート・オンライン〜真実を知る者〜   作:夜明けを齎す竜

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わかる人にはわかる題名ですね。アイツでまーす。途中までアサクリっす。ヒロインって書きにくいですよね?好みをいかにして打ち込めるかのせめぎ合い。投稿が遅れて大変申し訳ございませんm(_ _)m


5話 山中の月

シュッ、シャッ、シュッ、シャッ

 

「う〜ん、中々に良いなぁ」

 

昨日手に入れた『アサシン ブレード』2本の試験運用とレベリングを兼ねて第35層の「迷いの森」に来てみた。ここの「ドランク エイプ」は集団戦を得意とする最強クラスの猿人モンスターで、ソロや軽い武器種を使うプレイヤーにとって地獄のような苦戦を強いられるーーーが、俺には関係ない。見つかる前に忍び寄り、群の端の個体から喉を搔き切り、即離脱。そんな単純な脳死ゲーをする以外に対策がない以上はそうするしか無かったのだが、コイツはどうだ?1体殺るとガードされない限り相手の体力に関係なく次も殺れる!タイミングの問題もあるが、猿ぐらいならほぼ確実に決められる!スゲェェww

 

だが、イマイチ対人には向かない気がする。パリィを取るのはなんとかなるかもしれんが、いかんせん加減が出来ない。ヒースクリフからの依頼や万が一のやむを得ない殺し、人型に近いモンスターとの戦うなら問題無いが……

 

「一応は短剣なんだろうけど、籠手から刀身を外さないとソードスキルが使えないのが一番の難点だな。別にそんなことしなくても他に武器あるからいいんだけど」

 

AGI極振りステータスの俺には合ってるかもしれんが、他のプレイヤーはこんなピーキーなもんを使えるのか?茅場のやつめ…

一帯の猿たちを撃破し、ひと段落したところで帰ることにした。途中、

 

「お〜い!」

 

「ん?誰だ?」

 

遠くに手を振るやつがいる。小柄で丈の長いマントを着ている。あいつは

 

「久しぶりだな、ルーキスの旦那!こんなとこで何してんダ?」

 

「久しぶり、アルゴ。な〜に、最近手に入れた武器を試しに来てただけだよ」

 

コイツは【鼠のアルゴ】。腕利きの情報屋で、裏取りもしっかりやる元βテスターだ。噂じゃ5分で100コルを持っていかれるとか言われちゃいるがちゃんと節操のある信用できる人物だと思ってる。手に入れた情報で攻略本を作って下層のプレイヤーたちに無料配布もしてるしな

 

「へ〜!どんな武器を手に入れたんダ?頼むから教えてくれヨ〜」

 

「わかった、わかった。そんなねだらなくても教えてやるよ」

 

かくかくしかじか。アレをこうやって、ここでーー

 

「ーー旦那。オイラから聞いといてなんだがもういいヨ。」

 

「遠慮すんなよ。別に教えて上げてもコッチは損はしないぜ?急にどうした?」

 

「『アサシン ブレード』だっけソレ?NPCクエストの報酬って言ってたけど、オイラはそんなクエストの事知らないゼ?そんな情報は聞いたことが無い。」

 

「クリアしたやつが俺以外に居ないだけじゃないか?そんなに難しいわけでもなかったから、クエスト発生の条件が厳しいのかな?」

 

「それならそれで良いんだけどナ……。オイラはこれで帰るヨ、また新しい情報があったら教えてくれよナ!」

 

そう言って去っていった。何か隠してる気がしたが、詮索はしなかった。聞いたらどれだけ金を持ってかれるかわかったもんじゃないし

 

「もうちょっとだけ試すか」

 

アルゴの態度から『アサシン ブレード』に何かあるかと思って数匹の猿人たちを刺した、気にするようなことは無かった

 

〜主街区『ミーシェ』〜

 

街まで戻ってきた。今のホームは第48層の『リンダース』にあるのだが、下層にやってきた時には宿に泊まることにしている。攻略組ほどの腕ではないにしろ、中層プレイヤーにもクリアを目指して頑張ってるやるはいる。そんなやつらへの匿名での資金援助や、多少の訓練をしてやっている。後者はあまり人気は無いのだが……ちなみに現在の最前線は第49層である

予約してある部屋に着いて今日の成果を見る

 

「今日で上がったレベルはどれだけかなっと………66か。1しか上がってねぇじゃん!猿ぐらいじゃもう上がらなくなったのか?はぁぁぁ」

 

当たり前の事実に思わず溜息が出る。そりゃ、1ぐらいしか上がらないだろうよ。レベル差どれだけあると思ってんだ俺よ……思わず自分自身をツッコんでしまった

「ん?なんだこのスキルは?【自由走り(フリーランニング)】?壁面や天井以外をどこでも走る事ができるぅぅ?うわぁぁぁw」

 

笑いが止まらないw。なんだこの凄いのか凄くないのか分からないどっちつかずなスキルは?障害物を避けたり、それを利用しながら走り続ける的なことだろうが、スキルにするほどのもんかね?実際、スキル無しでできるだろコレ

 

「お!まだあるな!【鷹飛び込み(イーグルダイブ)】と【鷹の目】か……どんなに高所からの飛び込みでも着地点になんらかのの衝撃を和らげるものさえあればノーダメージになる?万が一のときに使えるな!それに使用すると周囲の人物が光始め、その色によって敵が赤、味方は青、標的は金、一般市民は光らないというように分類することができるぅ?また、通常では見えない足跡や指紋、拭き取られた血痕なども見ることができる!【鷹の目】チートすぎww」

 

それ以外に新たに追加されていたスキルは無かった。そうじゃなきゃ逆に困る

 

 

「でも、『索敵』とダブるよな?ーーーーソードスキルの追加は………無いな」

 

アルゴと出会ったときにコレ言っておけばよかった……

 

「夜も遅いし、寝よ寝よ」

 

必要最低限の装備になって寝た。

 

これから先にある悪夢を知らずに……

 

〜次の日〜

 

昨夜の驚きからか、

 

「早速お試しに行きましょか!」

 

と、上の第43層に行くことにした。43層は和風テイストのフロアになっており、NPCや街並みは江戸時代後期の雰囲気がある。フィールドも和を感じさせる自然環境が再現されていて、日本人がほとんどであるプレイヤーの中にはココをホームとしてやっている人もいる。ま、RPGは西洋風のイメージが多いからそっちの方が圧倒的だが、

 

「諸々の手入れもしたいし、『ムラマサ』のとこ行くか!」

 

転移門のある主街区の一番端にある地区【村正】。この辺りはガラの悪いやつらがたむろしているエリアなんだが、俺にとっては依頼がよく来るお得意様が多い。オレンジプレイヤー間では俺の名前は何でも屋として広まっているらしく、ここに来れば金には困らないから定期的に来るようにしている。ここのオレンジたちは人助けの為にオレンジになったやつらばかりだ。そんなやつらを狩るつもりはさらさらない。【村正】の由来である『ムラマサ』はここにいるプレイヤー達の元締めであり、この辺り唯一のグリーンプレイヤーだ。ギルドではないのにグリーンのままここを治めているのには尊敬の念すら抱いてしまう

 

この辺りで一番大きな建物にムラマサはいる。建物というが地上にはハリボテ同然の木製の家で鍛冶場はここにある。だが地下には表とは比べ物にならない広さの空間があり、生活は専ら地下なのだろう

 

「お〜い、ムラマサ〜〜!!起きてっか〜〜!」

 

返答がない。いつものことだ。地下への階段を下り、もう一度

 

「起きんか、アホンダラぁぁぁ!!」

 

精一杯の大声で叫ぶ。すると明かりが付き、

 

「うるせ〜な〜!最初の声で起きたっつうのクソジジイ!」

 

奥から30代後半らしき黒髪の『女』が1人出てくる。着崩れた着物のまま……

 

「仕事を頼みたい。1日で仕上げて欲しい。」

 

「へいへ〜い、わかったよ」

 

「あのなぁ、毎回言ってるが服をちゃんと着ろ!俺じゃなかったらどうしてんだ?若い連中が嘆いてたぞ『親方がほとんど裸でいるから、目のやり場に困るんですよ〜』って」

 

「この身体は授かり物だ。恥ずかしくて見れないならアタシの前に出てくんなっての」

 

ここまではいつものテンプレだ。喋りながら仕事着に着替える。髪をまとめ、火の粉に耐えられる服を着る。作務衣に近いデザインだ。なんとなく火耐性の高い高級装備に見えなくもないし、ドラゴン系のブレスなら余裕なんじゃないだろうか?

 

地上の鍛冶場にて

 

「さ、見せてみな。」

 

「『無銘・黒』全てとダガー類、ナイフ系、そして『アサシン ブレード』だ。」

 

両手の籠手を外しながら、武器たちを渡す。

 

「なんだコリャ?『アサシン ブレード』?」

 

ムラマサも見たことがないモノだったらしい。驚きと歓喜を感じる顔をしやがる、子供が新しいオモチャを貰ったみてぇな良い目だ

 

「アンタも知ってるはずだが、自慢じゃねぇが、アタシは鑑定と鍛冶はスキルレベルがMAXなんだ。魔剣やら聖剣クラスぐらいなら素材次第で作れるし、実際にアンタはそれを見てる。それでいいよな?」

 

「そうだが…。」

 

「アンタの『アサシン ブレード』はアタシじゃ作れない。恐らく、このゲーム内で実装されてる武器の中で最もレア度の高い部類にコイツは入る。素材云々は関係ない。クエスト報酬でこれほどの業物が手に入るのか?一体、どんなクエやったんだ……?手入れに問題は無いがよ……」

 

「普通のクエなんだが…、NPCのお爺さんの依頼を順番にやるだけの簡単なお仕事だぜ?よく分からん金色の金属で出来てる球とか杖とかを集めるっていう」

 

「それだけ?マジで?」

 

「ああ、それだけだ。モンスターが出てこないダンジョンみたいなとこの一番奥に置いてあるだけだったよ。まぁ、罠とかはあったけど」

 

「ハハ、そんな簡単に手に入れたのかよwこいつは傑作だなw」

 

「その爺さんはそれをくれた後に、『汝、己の剣を罪なき者に振ることなかれ』『民衆に紛れ、同化し、彼らと一体になり行動すべし』『兄弟を危険にさらすなかれ』って言ってたな。それが我らの信条だって…」

 

「なんだ?何かの教えてなのか?」

 

「さぁ?しかも誓いをを立てろとか言われてな、『闇に生き、光に奉仕する。そは我らなり』とか『真実はなく、許されることなど無い』て誓いを立てたよ」

 

「それはそれは大層な事なこった」

 

キィィーーン、シャーー

その間にも段々と手入れは進んでいる。ムラマサ曰く、頭と身体の動きをバラバラにした方が集中しやすいらしいから、毎回談笑しながらその仕事ぶりを見ている。昔ながらの研ぎ方と砥石そのものを回転させたものに刃を当てて研ぐのを交互に繰り返しているのがいかにも鍛冶屋らしい

 

「フーーー、手入れは全部やったぜ。ついでに無銘の修復もやったよ。」

 

「毎度毎度ありがたい。攻略組専属の鍛冶屋ならこうはいかないな。アイツらは武器の耐久は気にされないのですか?とかこの武器はどうですか?とかいくら腕があるからって…依頼だけ聞いとけっての!」

 

「アイツらの愚痴を言うンじゃねぇよ。攻略組さま方の活躍はアイツらあってこそのモンだろぅw」

 

お互いに因縁があるからか、笑いが止まらなかった。ほんとにずっと笑っていられた。この時間が無限に続けばと年甲斐もなく思った。

 

「そうだ!お代の代わりっちゃなんだが、ある所に連れてって欲しいんだよ」

 

「ある所?武器とかの素材集めかなんかか?」

 

「いや、武器そのものだ」

 

「へ?」

 

ムラマサの話によるとこの階層にある『柳洞寺』という寺院のエリアの入り口にある侍がいるらしく、立ち寄った者を寺の中に入れないように門番をしているらしい。戦って勝った者はいないが、全員が生きて戻ってきているそうな。

 

「で、お前さんは倒せばその侍の武器が手に入ると考えていると…まぁ、その可能性はあるな。」

「だろ?しかも、その侍の武器が『物干し竿』らしいんだよ!鑑定スキルのあるやつが言ってた」

 

『物干し竿』って言えば、巌流島で宮本武蔵と戦った佐々木小次郎の愛刀だな。つまりは小次郎と戦うってわけか?

 

「ふむふむ、了解した。つまりアレだろ?お前と俺がそれぞれ戦って刀を手に入れるチャンスを増やしたいと」

 

「わかってるじゃん。さっすがアタシの惚れ込んだ男だねぇ」

「ふん、恥ずかしいこと言うなよ…」

 

思わず顔が赤くなる。

「あれ?気づいてなかった?意外と本気なんだよ。この見た目と喋り方じゃ分からないかもしれないけど…アッサリ過ぎ?」

 

ムラマサは何気なく言ったかに思ったが、ほんのり頬が温かい色に染まっていた

 

「マジか!これは参ったな。ハハハハハ!」

 

うーん、これはどうしたものか…男なら自分からが方針の俺には計算外過ぎるぞ。

 

「そうだ!指輪の代わりに『物干し竿』をとってきてやるよ。ムラマサは留守番でもしててくれ」

 

「えーー!生の『物干し竿』見たいーー!」

 

「告白はそっちからしたんだからさ、男がカッコつけられるのはここなの!ここしかないの!」

 

なんとか宥めて待っててもらうことにした。

 

「『物干し竿』を手に入れたら、引っ越しの手続きしてくるからな」

 

「早く帰ってこいよ」

 

あーあ、告白そっちのけで武器を弄りたいって顔してるし

 

「いってきます」

 

ーーー

 

『迷宮区』の手前の街での情報収集の結果、近くの寺がそうだとわかった

 

「ーーうわっ」

 

寺は山を登らないといけないと街の人が言っていたが、階段だった。めちゃくちゃ長い階段だった。

 

「何百段あるんだよ……登りきったらバトルがあるんだぜ?」

 

愚痴を誰にとも言わずに階段を登る

登る途中で夜空に満月が浮かんでいるのを見た

 

「今宵は良い月であるというのに女子の1人でもと思うのだが、貴殿はどうかな?」

 

上の方に背中に長刀を担いた長髪の侍の姿があった。なるほど『強い』。遥かに俺を凌ぐ剣の使い手らしい。にやける自分の顔を止められない!

 

「お前がここの門番か?」

 

「如何にも。拙者の名は佐々木小次郎。貴殿はなんという名か?」

 

「ルーキス。俺はルーキスだ。」

 

「るぅ〜きす…。良い名だ。果たし合いに来たようだか、今宵はよさぬか?せっかくの満月だ。些かに風流にかけるとは言えぬか?」

 

「ほぅ…、意外にもいい事をいうやつだ。わかった、今夜の月に免じてお前とヤるのは明日でもいいだろう。だが、必ず死合ってもおう。俺の女の為に」

 

「フフw自らの女の為に拙者と死合うとw話を聞かせてもらっても?」

 

「おう、いいぜ」

 

今所持してる全ての食料を小次郎と食べながら話をした。念のため酒を持ってたのが幸いにもよかったらしい。多くの事を話した。自分の過去を話したのは茅場以外にはいなかったのだが、小次郎はそれを親身に聴いてくれた。俺も小次郎の人生、作られた設定かもしれないが、それでも聴き入ってしまった。空が明るくなるまで飲みあかした

 

「既に日も高い。そろそろ」

 

「ああ。そろそろだな」

 

「貴殿と出会ってまだ1日も経ってはいないが、何故だろうな古い友との再会をしたかのような気分だ」

 

「俺もさ。ガキの頃からの幼馴染かと思うほどにな」

 

「「ハハハハハ!」」

 

運命とは皮肉なもんだ。たとえゲームの中であってもソレはやってくる。最愛の相手を得た次には最大の敵が現れるのだか。ましてそいつは己にとって最も理解あるやつなのだから

 

小次郎は『物干し竿』を抜く。俺も『無銘・黒』を握る。間合いも技量も劣っているのはこちら。だが、

 

「じゃあ、やろうぜ!」

 

「これでもう会うことは無かろう」

 

「「すなわちは!我ら二匹の剣の鬼!」」

「「魂震わす果たし合い!空前絶後、驚天動地、是れこそ我らが我らである証!これぞーーまことの真剣勝負!!」」

 

「ルーキスゥゥゥ!!」

 

「小次郎ぉぉぉ!!」

 

語った。剣のこと、己がこと。全てを。剣戟の中で

 

ーー否、時間と空間と存在と概念を超越せしめる両者の剣は対極にあるかの如くだったーー

 

ーー鴉が如き男が持つは命あるものを死に至らしめる終いの剣。それはいわば"ただ一つの終わり"へと到る道

幾千、幾万とある死の"選択肢"

それはすべてを検証し、潰し、無意味と押し止め。誰も彼もに待ち受ける"終わり"に辿り着く。いわば"終末"の剣である。

究極にまで、これ以上の続きはありえないというほどにその存在を否定して、その末に必ずある"何か"

それがルーキスの"終わり"たとえ神仏であろうと持ち合わせる"死"を齎す剣。

かたやーーー

 

「ーー秘剣 燕返し!」

 

「エターナル・サイクロン!」

 

ザシュュッッッ!

 

どれだけの時が過ぎただろう。俺は小次郎の心臓を刺し、その終わりを告げた

 

「………嗚呼。実に、満足のいく一時であった。」

 

「……小次郎。」

 

「なぜそのように悲しげな顔をする、ルーキス。貴殿に否はない。そうであろう?」

 

「殺しちまったことじゃない。お前の剣技を見れなくなることに泣きそうのんだよ」

 

「その言葉、女子にいって欲しいものだな……」

 

「最後まで、いい男だなお前は」

 

「さらばだ、友よ……」

 

パリィィィン

 

光の粒になって小次郎は消えた。残ったのは凡人には振るえぬ長刀『物干し竿』だけ

 

「"また"ダチをこの手で殺したのか、俺は」

 

ムラマサと所に戻ろう。それしか考えられなかった。

 

今にもHPがなくなりそうになるのも気にせずに歩く

バトルヒーリングスキルでHPは回復しても、気力が戻る訳ではない。男を動かしているのは『会いたい』という衝動のみ。愛する人、友、仲間、それら全てに向けた気持ち。

 

己が手で与え、刈り取る醜悪さを憎みながらも男の心は『命』の温かみを欲し、その魂は『血肉』での潤いを求めた。かつての復讐は男の『獣』を目覚めさせた。その結末がコレである

 

ムラマサの鍛冶場についた途端、意識が途絶えた。ムラマサや他のプレイヤーたちの声が聞こえた気がした。

 

夢を見た。復讐に駆られ、人を殺した。その後も乾きや飢えのために殺した。意味もなく、意義もなく。まるで息をするかのように無数に殺した。俺は『獣』だった。

 

「ーーい!お〜い!起きてくれよ…」

 

誰かの泣く声がした。

 

「………もう泣くな。」

 

目を開けるとぐしゃぐしゃの顔をしたムラマサがいた。目元は腫れて、涙で濡れていた。俺はその涙を手で拭ってやった

 

「泣くなって言ったって……心配したんだよ!そりゃ泣くよ!」

 

「心配かけてゴメンな。どれくらい気を失ってた?」

 

「2分くらい……」

 

長いな。カーディナルはそんなやわじゃないんだが…初日にも回線切断らしき消失もあったし、深く考えない方がいいか

 

「もうこんな無茶はしないって約束しろ。アタシはこれ以上は耐えられない。いつも武器の手入れをしてて思ってた、こんなにも短期間で耐久値を減らすなんてどれだけの無茶をやってるんだろって……。だから約束しろ!」

 

「口調がブレブレだぞ…。でも、わかった約束する。これからは絶対に無事でムラマサの元に帰ってくるよ。だがらさーーー結婚してくれ」

 

「………はい」

 

そういえば引っ越しの準備してないや

 

「親方!」「旦那!」

 

【村正】の他のプレイヤーたちが様子見に集まってきた。ーーそうだ!

 

「野郎ども!俺とムラマサは結婚する。」

 

えーー!マジっすか!嘘ーー!

言いたい放題にいってるが祝福してくれてるみたいだ

 

「だか、お前らを見捨てはしない。だから、俺はここにギルドを作る!俺たちの家として絶対に帰って来る場所を作る、それでいいかぁ?」

 

「「「わかりやした、親父!」」」

 

「調子のいい奴らだよ、まったく。」

 

親父か…。懐かしい響きだ

 

「明日にでも早速ギルド建設に取り掛かる!今日はしっかり休めよ!解散!」

 

散り散りに奴らは帰っていった

 

「すまないな、ムラマサ。急にあんなこと言って」

 

「いや、そんなことない。あいつらもそうしてくれて嬉しそうだったし」

 

何か言いたげな表情のまま黙ってしまった。どうしよ?なんか気の利いた言葉は出てこないものか……

 

「今夜は一緒に…いてくれるか?」

 

「ーー!!……うん」

 

小さな声で返事をしてくれた

 

二人で過ごした初めての夜は月が綺麗に見えた

 




ゴッチャゴッチャしてて自分でもワケワカメww

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