ソードアート・オンライン〜真実を知る者〜   作:夜明けを齎す竜

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翁、最&高。異論は認めない。だいぶ前に書いたやつを修正して載せました。


7話 "山の翁"

 

〜65階層〜

 

俺は拠点にしている第43層の家を離れ65階層に来ていた。このフロアはほとんどが岩や砂ばかりの荒野でその周りを山脈で囲まれているという地形で、転移門から離れればモンスターがウヨウヨいるような場所だ。比較的視界が開けているためかある程度のパーティー人数があればそれほどの難易度でもないのもドロップアイテムやレベリングには向いていると攻略組に好かれている。まぁ、その攻略組はすでにこの階層のフロアボスを倒しているので今では人は少ない。

俺がここに来たのはある噂を耳にしたからだ。なんでも山間の村々では鐘の音が遠くから聞こえることがあり、現地では『暗殺教団』なる者たちもいるらしい。何かのクエストかと思い、情報屋のアルゴに話を聞けば

「何人かのプレイヤーが挑戦したんだが、まだクリアしたやつはいないんだよナ。ていうか戻ってきたってのも聞いたことが無くてナァ……。あんまりオススメはできねぇゾ。」

と……。

 

「そんな事聞いた余計に気になるじゃんか!暗殺と聞けば居ても立っても居られない!おじさん、ワクワクしてきたわぁ!」

 

そんな感じで街を出たのもつかの間、

 

「っっと!どうした?どうした?急に停まるなんて聞いてねぇぞ!」

ドサァァァーー!

 

不意に山の方から吹いてきた風に当たると町で借りた馬が急停止して、体が地面に吹っ飛ばされた。

 

「どうどう。大丈夫か?」

 

声をかけるが馬は一向に大人しくならない。まるで何かに怯えているようだ。仕方ないが、馬はココで降りることにしよう。不思議なことにまだモンスターに遭遇していないから消耗はしてないし、この分なら徒歩でもいけるだろう。馬には街に帰っててもらうか

 

「んじゃ、歩くとしますか。」

 

〜1時間半後〜

 

まだ村の影さえ見えない。道中、モンスターとの遭遇は何度かあったが難なく撃破。さすがの『アサシンブレード』だ。中型武器で捌き、ブレードで急所を刺す。シンプルだが殆どダメージを受けずに倒せるのは大きなアドバンテージだな。それにしても村はまだなのか?疲れた訳じゃないが、1人で歩き続けるのは色々と辛い…。

 

程なく、「お?煙が登ってる。人が住んでるっぽいな。」

 

ようやく村に着いたらしい。街ほどの活気は無いが、NPCたちの表情は明るかった。

 

「すいません、どこか宿はありませんか?街からきたのですが休みたくて…。」

 

「旅の方ですか?宿はありませんが、私の家ならお泊まりになってもいいですよ。」

 

「ありがとうございます。私の名前は『ルーキス』です。」

 

「こちらこそ。私は『サリア』と言います。ルーキス様は何の御用でこんな辺境の村にまで来られたのですか?」

 

さて、どう答えたらよいものか?下手なことを言えば村を追い出されかねない。彼女らにとって「暗殺教団」はどのような立ち位置なんだ?

そんな風に悩んでいると、

 

「無理におっしゃらなくてもいいですよ。喋りたくないこともあるでしょうし。さ、こちらへ。家にご案内します。」

 

どうやらいい方向に捉えてくれたらしい。好都合だ。早めにクエストクリアして、帰った方が良さそうな感じがするし。

 

「では、お言葉に甘えて泊まらせていただきます。明日の午後には村を出るつもりなのでそれまでよろしくお願いします。」

 

そんなこんなで夕飯までご馳走になってしまった。中東地域をモチーフにしているのか「仕事」時代に食べたことのある伝統料理が出てきた。ついでに、料理スキルMAXなのを生かして料理を教えてもらった!これは嬉しい誤算♫

 

〜翌日〜

 

早朝にサリアさん家を出た俺は早速、山奥へ進むことにした。

 

「風が冷ぇな。」

 

と独り言を言った瞬間、

 

「グワァァァ!!」

 

「ワイバーン!?なんで⁉︎」

 

突然にワイバーンが現れた。さすがに短剣形の武器じゃ太刀打ちできない。が、『アレ』を念のために装備しておいて良かったぁ。小次郎、ありがたくテメェの置き土産を使わせてもらうぜ!

 

「ワイバーンか。落とし甲斐のあるよ。」

 

『物干し竿』

 

決まったァァァ!一回、言ってみたかったんだよなこのセリフw

 

「グガァァァ!」

 

鋭利な爪での攻撃の嵐。だが、物干し竿の長い刀身はそれらを捌ききる。自分で言うのもなんだがバランスブレイカーすぎる防御だなww。要求ステータスもそれほど高くはないし、なにより速く振れるのは俺向きだ。

 

「とは言うものの、イマイチ決めてにかけるのはどうしたものか…。」

 

攻撃力そのものが高くないのがこの武器だ。現状、俺は曲刀および刀系のソードスキルを覚えてはいないし、まして『燕返し』を使える訳でもない。防戦一方だとジリ貧だ。

 

「早くしねぇとヤバイッッ!集まってきちまう!」

 

そう、ワイバーンは元来、群で行動が多く、目の前の個体のように1匹でいることは珍しい。つまりは、たまたま1匹なのであってコイツの群は別の場所にいるということ。

 

「「「「グギャーース!!」」」」

 

「あーあ…。来やがった……。」

 

その数、凡そ30匹。いくらなんでも多すぎる……。他に挑んだプレイヤーたちはコイツらにやられたんじゃないだろな⁉︎冗談じゃない!こんなアホみたいな死に方なんて出来るか!ヒースクリフにどんなに笑われるか!死んでたまるかよ!

 

「えぇい、クソが!」

 

次々と俺の周りにやってくれるワイバーンども。その牙が、爪が、俺の肉を切り裂く。血の代わりに赤いエフェクトが飛び散る。ポーションを使う暇すらくれないトカゲたち。

 

「死ぬのか…?ココで…?」

 

せめて、美味いメシを食ってから死にたかったぜ……

 

『汝もそこで終わりか?』

 

どこからか声が聞こえた。まるで『死』が語りかけてくるような深さと、恐ろしさを持った声だった。でも、不思議と力が湧いてくる。この声の主は誰だ?

 

「終わる訳にはいかない!自分の死に場所は自分で決める!おっさんを舐めるな、トカゲ野郎!」

 

『ならば立つが良い。その刀を貴様にくれてやった「侍」はその程度、燕が如く切り捨てるだろう。』

 

物干し竿を構える。小次郎はどんな風にやってた?あいつの技を思い出せ。あの目を、あの男がその一生で生み出した「たったひとつの全て」を!

 

「ーー秘剣 燕返し!」

 

ワイバーンの首が飛ぶ。どうやら三の太刀までは再現できなかったらしい。たが、それで十分!!コイツらの首さえ落とせれば問題は無い!!

 

それからどれだけの時間が経ったろう……。気付けばあと少しで太陽が地面に潜ろとする頃合いだった。

 

「『午後には出ます』って言ったもんなぁ。今から村に戻るのは恥ずかしいし、先に進むしか無いのかぁ。ま、さっきの声も気になるからそうする以外に道はないんだがっ…。」

 

HPは赤にまで落ちており、文字通りの死にかけだったが、ポーションを使って全開する。マジで死ぬのはログイン前から重々承知だったが、初めてそうなった今は中々に精神にこたえる。

短剣以外のソードスキルを修得しておけばよかったぜ。レベル76で短剣スキルとユニークの暗殺剣しかないのはダメなのかねぇ?

 

「ん?なんだあの建物は?」

 

谷の奥にうっすらと建物が見える。人が住むでいるような気配は感じないが、あれは寺院だろうか?

近づくにつれてこの寺院のヤバさがひしひしと伝わってくる。モンスターの気配だけじゃなく、普通の生物のものすらしない。出来れば今すぐ帰りたいと身体が震えてる…!

 

『ーー剣の徒よ。汝は何故にここに参った?』

『それがどの様なものであろうともーーー我が廟に踏み入る者は、悉く死なねばならない。』

『死者として戦い、生をもぎ取るべし。ーー解なりや。』

 

目の前の何もない空間に大きな影が現れた。身体全体に鎧を身につけて、顔に髑髏の面を付けた騎士。死神とも見間違うオーラを発している。正直、戦っても勝てる気がしない。魂がここから逃げたいと叫んでる!

 

「お前は……誰だ…?」

 

『我は"山の翁"、ハサン・サッバーハである。』

 

「山の翁……。なるほどな…。だから「暗殺教団」ってわけか。しかも、ハサンときたか。」

 

『剣の徒よ。汝は何を求め、ここに参った?返答次第ではその首を今すぐ貰い受けるが?』

 

「いやいやいや、別に悪さをしにきたんじゃない。噂でここに強いナニカがあるってのを耳にしただけだ。結果、アンタみたいな強い奴がいたって話だよ。」

 

ゴーン、ゴーン、ゴーン。鐘の音だ。

 

『ーーほぅ。強さを求めに参ったというか。中々に肝の座ったやつよ。我の前に立ちながらその様な言葉を口にする余裕があろうとは…。』

『ならば、余計に逃すことは出来んな。元より生かして逃すつもりも無いが。』

 

髑髏の騎士、山の翁は手の中に剣を出現させる。キリトがよく使う片手直剣をより大きくしたような形だ。大剣にも見える。見た目からはギミックがあるとは考えられないが、むしろそっちの方が怖い。真っ向勝負で自分より大きな奴がバンバン、ソードスキルを使ってくる。リーチが短いコッチが圧倒的不利。長い物干し竿しかまともには張り合えないらしい。肝心の物干し竿も『燕返し』以外には使えないし、その『燕返し』ですら完成していない。とどのつまり、勝ち目はほぼゼロ……。

 

「なぁ、見逃してくれたりはしないのか?見なかったフリするからさ?」

 

『我がそれを赦すの思うのか?汝は我が霊廟に立ち入っただけでなく、己が「死ぬべき時」すら見失っている。晩鐘はすでに汝の名を指し示している。故に我は汝に天命を下すのだ。』

 

「死ぬべき時を見失っただと?ハハっ!死にかけたことはあっても死ななきゃいけなかったことは今まで無いぜ?俺はいつだって生き残ってきたんだからな?さっきのワイバーンの群からも生き残ったしな。」

 

『言の葉で繕おうとも意味は無い。』

 

「そうかよ。じゃあ、せいぜい死なない程度にヤらせてもらうぜ!」

 

山の翁の上に緑のHPバーが現れる。5本か……。恐らく、70階層相当のフロアボス級だろう。1人でフロアボスに挑むとかどこぞの黒の剣士かよ!

 

「早々に決着をつけたいねぇ!」

 

俺は『燕返し』の構えを取る。これだけで首が取れるとは思わないが、少しの隙が出来れば「アサシン ブレード」で殺れる。

 

『シャアッ!』

 

キィィン!ガキィン!刃が打ち合う音が辺りに響く。クソ!燕返しさえできねぇじゃねぇかよ!どんな設定にしてんだ、あいつは?

 

『思いのほかやるではないか。』

 

「そりゃ、どうも!お前も相当の使い手だよ!」

 

『首を出せぃ!』

 

「あっぶな!会話の途中に殺すのはマナー違反だ!喋り終わってからにしようや?」

 

『ーーフフっ。これは異な事を言う。汝こそ我が剣を捌き、今にもこの素っ首を落とそうとしておるではないか?』

 

「お互い様だよっ!」

 

 

長い間、打ち合った。一つ一つの剣圧が鋭い。防ぎきれない攻撃が確実にHPを削ってくる。たが、客観的に見てもあちらの方が数枚も上なのに大技の一つすら出してこない。それに、時々だが5本のHPバーが消えたり、本数が減ったり、減らしたはずのHPが元に戻ってたりすることがあった。そのせいで山の翁の攻撃が緩くなることは無かったが、おかしな事が起こるたびに翁の顔が歪み、苦しんでいるようにも思われた。

 

『グッッ!』

 

大振りの一閃。

 

「ここ!」

 

振り終わりの隙を狙って構える。

 

「秘剣 燕返し!」

 

翁の首を落とす為に『燕返し』を放つ。このまま倒せるとは思わないが、流れがコッチに来るようになれば!

 

『フンッ!』

 

ガッキィィィン!!

 

「た、盾ぇ⁉︎」

 

いつのまにか左手に大盾を持っている翁。どっから出てきたんだ、その盾!ガードしなかったらクリーンヒットしてただろうが!

 

『よき太刀筋だ。かの「侍」には一歩足りぬが、この短い期間によくぞここまでの武を修めた。』

 

「ズルいぞ!盾持ってるなんて話してないぞ!ガードすんな!ってかワイバーンとやってる時にも「侍」とか言ってたな?お前、小次郎を知ってるのか?どういうことだ?階層間のエネミー同士にそんな繋がりの設定があるのか?」

 

『ーーいや、知らぬ。我はかの「侍」を何故に我が知っているのかを知らぬ。だが、かの者と貴様が鎬を削りあったことはわかる…。』

 

どういう事だ?設定を与えられていないにも関わらず、知らない?システムの障害か?いや、茅場がそんなミスをするはずは無い…。ではわざとなのか?何らかの思惑があるとすればそいつは俺にだけ向けられた意思になる……。つまりーー

 

「ーーわかった。お前が何者なのか?いや、何なのか?それはこの戦いに決着をつけてからなら教えてやるよ。」

 

『我が誰かだと…。我は"山の翁"。ハサン・サッバーハ。ハサンの中のハサンであり、汝が首を断つ者である!』

 

ーーゴ〜ン、ゴ〜ン、ゴ〜ンーー

再び、鐘が霊廟から谷の全体に響き渡る。これがコイツのいう晩鐘ってやつの音だったのか。

 

『あの鐘の音が聞こえるか?今再び神託は下った。その首を断つ!』

 

「鐘ごときに命を決められてたまるか!」

 

空間に力が満ちる。翁は明らかに大技を出すつもりだ。コッチは『燕返し』しか無い…。だが、いけるのか?未だ「空」に至らないこの身であの技ができるのか?

 

「"Try not.Do or Do not.There is No try." ま、やるしかないなら、やるだけだ!」

 

「死」そのものとも言えるほどの、全ての攻撃が死をもたらす技量を持つ髑髏の騎士。かたやこの世界を創った男の友。目の前の騎士の技になどに及ばぬ殺しと長刀を振るだけの男。その果てに辿り着く結末はーー

 

『聴くが良い。晩鐘は汝の名を指し示した。告死の羽ーーー首を断つか、【死告天使】・・・!』

 

騎士が放つは絶死の剣。何と変哲もない大剣。この騎士が信じ続けてきた信仰が染み付いている。それが何者であろうとも即死効果を与える剣。

 

「秘剣 燕返し!」

 

ただの殺し屋が放つは「無限」の剣。かつて友と呼び、酒を酌み交わし、その果てに死合った男の置き土産。三つの太刀筋を"同時"に放つことで逃げられぬ牢獄をつくる剣。

 

永遠が如き刹那。その明けにあるのはーー

 

『ーー速いな…。』

 

「ダハァァーーー」

 

大きく息を吐く。どうやらコッチが勝ったらしい。翁の剣は肩を切り裂き、鎖骨のあたりまで届いている。HPは数ミリあるかないかの赤。翁の方は、

 

『その神域の剣、しかとこの目に焼き付けたり。よもや我が首に届く刃があろうとは。』

 

首に物干し竿で斬ったと思われる傷のみ。

 

「あぁーー!理不尽すぎんだろ!茅場の野郎、いつかとっちめてやるァァ!」

 

『あまり叫ぶと体力をさらに消耗するぞ。我が剣を受けながら未だ灯る命を散らすのか?』

 

ンな訳にいくか!ポーションで回復っと。結晶じゃなくてポーションでここまで全快するって他のゲームじゃそうそうあるもんじゃないが、回復のバランス間違ってるだろ

 

「生き延びたなら俺の勝ちだよな?」

 

『「生き延びた」というのは違うな。貴様は一瞬、死んでいた。が、生き返ったのだ。一度消えた火が再び灯るが如くな。』

 

「死んでた!?ホントか?HPが全損してたのか?」

 

『誠だ。死から蘇った。貴様…。いや、貴殿の「心」がなした結果だろう』

 

俺の心…?システムがそんなあやふやな存在を認識したのか?人の心が機械に勝った…?ある意味、俺の『理論』が正しかった事になるが……。

 

「ま、生きているのに越したことはない。…ってか『貴様』が『貴殿』になってるけど、どんな風の吹き回しなんだ?どゆこと?」

 

『貴殿がそう呼ぶに値すると思ったまで。何せ自らが誰なのかすら完全に理解できていない我なのだから…。』

 

自らを憐れんでいる顔をする翁。

 

「そんな顔をするな。お前はそれを学ぶ必要は無い。」

 

『「学ぶ」?なぜ?我は学びなどしておらぬ。』

 

「いや、お前は学んでいる。お前は……

 

俺の『理想』だ。」

 

『我は貴殿の「理想」だと?』

 

「そう。お前は俺の目指した『そうあれたのなら』として創ったAIのアーキタイプ。言ってしまえばそうなる。」

 

『我が貴殿に創られた存在だと……?』

 

そう、コイツは俺の血と汗と涙の結晶。北欧での研究の成果、簡単に言えば俺の子でもある。裏社会から復帰した後、東都工業大学で非常勤講師をしていたのだが、その話をつけてくれた重村教授に渡されたデータ群の中に入っていた。俺は定期的に研究データを日本の重村教授の元に送っていて、バックアップを依頼していた。別に教授が自らの研究に使ってもいいと言っておいたのだが、そのまま残しておいてくれたらしい。いい先生に出会えてよかったと思う。

 

「この世界の創造主に頼まれて、俺はお前のデータをコピーして渡しておいたのだが、まさかこういう使われ方をされていたとはなぁ……。」

 

『ーー我が貴殿に創られたもの…。何故か驚くことができぬ。むしろ貴殿に我が剣が届きながらも、首を断ち切れなかった事にも納得できよう。』

 

「俺はお前を切れないし、お前も俺を切れない。カーディナル・システムはこの状況をまだ『戦闘中』と認識しているっぽいが、このままだとお前がバグを起こしたとして初期化されるか消されるか……」

 

『我は闇に蠢く亡霊に過ぎぬ。個としての欲望はない。告死の剣、存分に使うがよい。―――願わくば、末永くな。』

 

「ハナっからそのつもりだ。お前を消させはしない。時間が無いのにシステムに干渉する手立てがないのが問題なのだが」

 

ピコーン

 

メールが届いた。誰からだろうか?

 

「ヒ、ヒースクリフ⁈なんでっ⁈」

 

メールを開くと、

【やぁ、ルーキス。突然のメールで驚いただろうか?このメールが読めているということは君は山の翁に勝ったのだろう。これは翁との戦闘が開始されてから一定時間経過後に自動的に君に届くよう、システムに組み込んでおいたものだ。カーディナル・システムは本来、人の手がいらないのようにプログラミングしてあるが、いくつかある君に与えた特権の一つがそれだ。特権というより借りていたものを返しただけだがね。君の成果たる「翁」をどうするかは君次第だ。霊廟の中にGM用のコンソールを設置しておいたので、それで対処するといい。では】

 

用意周到なことで……。先読みしすぎなんだよなぁ

霊廟に入り、GMコンソールを起動した。

 

「そんな訳だから、お前をカーディナルから引き剥がす。お前のデータは俺のナーブギアに保存するがいいよな?」

 

『承知した。暫しの別れとなるが我が主よ。また』

 

「『ルーキス』。それがこの身体の名前だ。またな!」

 

『我が名はもとより無名。拘りも、取り決めもない。好きに呼ぶが良い。我が救済の光よ』

 

黄金の光とともに翁は消えた。いつ会えるのか検討もつかないが、常に一緒にいるのは変わりようの無い事実だ。

 

「『光』ねぇ……上手いことを言うやつめ。我が影よ…」

 

影。俺の夢の残滓。今はまだ「俺たち」の夢を見ている途中だが、いつか俺だけの夢をもう一度見たいものだ

 

「これでクエスト クリアでいいのかな。疲れた、疲れた!ホームに戻って早く寝たい」

 

転移結晶をポーチから取り出して転移門までひとっ飛び!その後、ムラマサの元に戻った。また無茶したんじゃないだろな!と少し怒られた

余談だが後日、血盟騎士団の本拠地に半ば殴りこみのようにあの団長様に文句を言いに行ってやった

 




翁をユイちゃん枠にしたかっただけの回ですwwww
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