私立文月学園。
ここはオカルトと科学が融合させ、テストの点数で強さが決まる召喚獣を用いて、
クラス同士の設備を奪い合う「試験召喚獣戦争」通称「試召戦争」と呼ばれる特別なシステムを導入した世界初の進学校である。
そして4月。
この春に、
馬鹿が集うFクラスへと振り分けられた―――
これは、変態と馬鹿が織り成す下ネタ満載の青春物語である。
Side 川上宗一
春。僕がここ文月学園に入学してから2度目の春がやってきた。
「鉄人先生、おはようございますー」
「鉄人じゃあない。西村先生と呼べ」
坂を登り切ると、校門の前に見慣れた大男が待ち構えていた。
「西村先生、相変わらずマッチョですね。触ってもいいですか?」
「……お前は相変わらずマイペースだな。お前ぐらいだぞ、男の俺の筋肉を触ってくる奴は」
浅黒い肌の短髪大男。灰色のスーツを着こなし、びしっとネクタイで決めたその人は我らが学園の生活指導の西村先生。通称鉄人。下の名前は宗一。僕と同じ名前で実は少し親近感がわく。
先生の返事を待たずに僕は先生の二の腕をふにふにと触ってみる。それにしても相変わらず筋肉隆々だ。カチカチで固い(確信)
「いやあ、デッサンとかする時、眼で見るより実際触ってみたほうが参考になるんですよねぇ。お、先生また筋肉つけました? 去年より固いですよ。さすが趣味がトライアスロンのことだけはある」
鉄人は生活指導の先生で、その立場故多くの生徒から苦手とされているが、僕はこの人の厳しさとなんやかんや面倒見のいい性格や筋肉が好きだった。
ふうむ、なかなかのもみごたえ。今度ヌードデッサンをお願いしようかな。
「ふふふ。褒められるのは悪い気はしないがな、とりあえずほら、振り分け試験の結果通知だ」
「あざまーす」
先生が箱から取り出した封筒を僕に差し出す。宛名には「川上宗一」と書かれていた。
この文月学園は学力至上主義だ。
先月行われた学力振り分け試験の結果に応じて、上からA,B,C,D,E,Fと合計6クラスに分けられる。
Aクラスが一番勉強ができるクラスで、Fクラスはその逆の最下層。
成績順でクラスがはっきりと分けられる為、Fクラス=馬鹿という方程式が成り立つわけだ。
「わざわざ手渡しなんて、朝から先生も大変ですよね」
「そう思うなら今年は静かに生活してくれないか川上。お前のことは一人の生徒として好ましく思うが、何度も生徒指導室に来るような真似はしないでくれ。吉井や坂本だけでも手を焼いているんだ、お前まで暴れられると気苦労が絶えん」
「無理ですよ先生。明久達も僕も、器用に生きられる人間じゃないですから。ブルースも歌ってました。
先生は「そういう意味の歌じゃないだろう」と重い溜息を吐いた。
「それにどうせ、明久達のことですから新学期初日から試召戦争やらかしますよ」
「……ありえそうで怖いな。まあいい、その封筒に入っている結果がお前のクラスだ」
「はーい」
僕は封筒を開いて中身を確認しようとすると、鉄人はこう言ってきた。
「なあ、川上」
「はい?」
「俺は去年1年間、吉井達とつるむお前を見て…ひょっとしたらこいつは、変態じゃないかと思っていた」
「そうですか? 自分ほど平々凡々とした人間はいないと思いますけど」
「ああ。反省文に官能小説を書くわ、学園にエロ写真をばら撒くわ、テスト用紙の裏に×××なイラストを描くわ、全裸で校内を歩き回るわ、女子たちに公然とセクハラをするわ――吉井達とは違うベクトルの馬鹿じゃないかと疑いを抱いていた」
なんてことだろう。あの明久と同レベルとして扱われるとは。
ちなみに全裸で校内は歩いたことはさすがにない。ただ単にノーパン主義だったのがバレて噂に尾ひれがついてしまっただけだ。
「天才と馬鹿は紙一重って言いますしね」
「ああ、お前はある種の天才だろう。先生たちもその才能は分かっている。だが――」
僕は封筒の中の紙を確認する。
そこには―――Fという字と、もっとがんばりましょうというはんこが押されていた。
「だからと言って、校則違反をしていい理由にはならない。Fクラスで大人しくするように」
こうして、僕のFクラスでの生活が幕を開けた。
初投稿です!
二次創作初挑戦なので、暇つぶしに読んでいただければ幸いです。